JP2016519222A - コア−シース繊維ならびにそれを作製するための方法およびそれを使用するための方法 - Google Patents

コア−シース繊維ならびにそれを作製するための方法およびそれを使用するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明の一局面に従って、多成分線維が提供され、上記多成分線維は、(a)コア形成ポリマーを含むポリマーコア、および(b)上記コア形成ポリマーとは異なるシース形成ポリマーを含むポリマーシースを含む。コア形成ポリマーの例としては、例えば、とりわけ、架橋ポリシロキサンおよび熱可塑性ポリマーが挙げられる。シース形成ポリマーの例としては、例えば、とりわけ、溶媒溶解性ポリマー、分解性ポリマーおよびヒドロゲル形成ポリマーが挙げられる。本発明の他の局面は、このような多成分線維を形成するための方法に関する。例えば、ある種の好ましい実施形態において、上記多成分線維は、同軸電界紡糸技術を使用して形成される。本発明のさらに他の局面は、上記多成分線維を使用して形成されるメッシュおよび他の物品に関する。

Description

関連出願
本出願は、「同軸電界紡糸を使用したシリコーン繊維の生成のためのシステムおよび方法」という発明の名称である2013年3月15日に出願された米国仮出願第61/852,224号および「生体成分エラストマーヒドロゲル繊維」という発明の名称である2013年8月2日に出願された米国仮出願第61/861,629号の利益を請求し、各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、米国国立標準技術研究所(NIST)に授与された技術イノベーションプログラム助成金番号70NANB11H004の下で政府支援によりなされた。政府は、本発明における特定の権利を有する。
(技術分野)
開示は、とりわけ、コア−シース線維、コア−シース線維を作製するための方法、ならびにコア−シース線維と関連するデバイスおよび適用に関する。
線維および線維の集まりは、縫合糸から、とりわけ、創傷包帯から、皮膚移植片ないし人工移植片までの範囲に及ぶ医療および手術における適用を含め、種々の産業適用において材料として使用されてきた。これら適用は、材料としての線維の特有の特性に基づく。
(発明の要旨)
発明の一局面によれば、多成分線維が提供され、上記多成分線維は、(a)コア形成ポリマーを含むポリマーコア、および(b)上記ポリマーコアを少なくとも部分的に取り囲み、上記コア形成ポリマーとは異なるシース形成ポリマーを含むポリマーシースを含む。コア形成ポリマーの例としては、例えば、とりわけ、架橋ポリシロキサンおよび熱可塑性ポリマーが挙げられる。シース形成ポリマーの例としては、例えば、とりわけ、溶媒溶解性ポリマー、分解性ポリマーおよびヒドロゲル形成ポリマーが挙げられる。
本発明の他の局面は、このような多成分線維を形成するための方法に関する。例えば、種々の好ましい実施形態において、上記多成分線維は、同軸電界紡糸技術を使用して形成される。
本発明のさらに他の局面は、上記多成分線維を使用して形成されるメッシュおよび他の物品に関する。
本発明のこれらおよび多くの他の局面および実施形態は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を検討すれば、当業者に即座に明らかになる。
図1は、本発明の一実施形態に従って形成されるPLGA/PDMS シース/コア線維の断面の顕微鏡写真を示す。
図2は、シース層除去後の図1のPDMS線維を示す。
図3A〜3Bは、本発明の一実施形態に従って形成されるPLGA/PDMS シース/コア線維の上面写真および断面写真(シース除去前(図3Aおよび3C)およびシース除去後(図3Bおよび3D)の両方)を示す。
図4は、本発明に従うPDMSメッシュ上に置かれた、水滴(左)および油滴(右)の画像を示す。
図5は、キャストPDMSフィルムと比較した、本発明に従うPDMSメッシュの機械的特性を図示する応力−ひずみ図である。
図6A〜6Bは、本発明の一実施形態に従って、3種の異なるシース:コア流速で電界紡糸したPLGA/PDMS シース/コア線維の断面の顕微鏡写真を示す。
図7は、本発明の一実施形態に従って形成されるPVP/PDMS シース/コア線維の顕微鏡写真を示す。これらは、(A)PVPが100℃で硬化したコア−シース線維の断面;(B)水抽出を受けた後の(A)にあるのと同じ線維;(C)PVPが150℃で硬化したコア−シース線維の断面;(D)水抽出を受けた後の(C)にあるのと同じ線維を示す。
図8は、乾燥させた場合および濡れている場合の、純粋PDMSフィルム、純粋PVPフィルムおよび本発明の一実施形態(100℃で硬化)に従って形成されるPVP/PDMS シース/コア線維のFTIR(フーリエ変換赤外分光分析)スキャンを示す。
図9は、乾燥させた場合および濡れている場合の、純粋PDMSフィルム、純粋PVPフィルムおよび本発明の一実施形態(150℃で硬化)に従って形成されるPVP/PDMS シース/コア線維のFTIRスキャンを示す。
図10は、乾燥させた場合および濡れている場合の、本発明の一実施形態(100℃および150℃で硬化)に従って形成されるPVP/PDMS シース/コア線維の機械的特性を図示する応力−ひずみ図である。
図11Aおよび11Bは、本発明の一実施形態に従って、100℃で硬化した水和PVP−PDMS線維メッシュから形成されるバルーンを2つの拡張レベルで示す。
図12は、本発明の種々の実施形態に従う、4種の親水性ポリウレタン(HLPU):より疎水性のポリウレタン(HBPU)比で形成された、HLPUシースおよびHBPUコアを有する線維(本明細書でHLPU/HBPU シース/コア線維ともいわれる)の顕微鏡写真を示す。
図13は、本発明の種々の実施形態に従って形成されるHLPU/HBPU シース/コア線維から形成されたメッシュのHLPU含有量の関数としての膨潤および引っ張り強度を示す。
図14は、本発明の種々の実施形態に従って形成されるHLPU/HBPU シース/コア線維から形成されたメッシュのHLPU含有量の関数としての膨潤および収縮を示す。
図15は、本発明に従って形成される4種の異なるHLPU/HBPU シース/コア線維(配合A〜D)から形成されたメッシュ、ならびに2種の市販の創傷包帯の膨潤を示す。
図16は、本発明に従って形成される4種の異なるHLPU/HBPU シース/コア線維(配合A〜D)から形成されたメッシュ、ならびに2種の市販の創傷包帯の湿潤引っ張り強度を示す。
図17は、本発明に従って形成される4種の異なるHLPU/HBPU シース/コア線維(配合A〜D)から形成されたメッシュ、ならびに2種の市販の創傷包帯の収縮を示す。
図18Aおよび18Bは、本発明の一実施形態に従って、アニーリング前後のHLPU/HBPU シース/コア線維から形成されたメッシュの顕微鏡写真をそれぞれ示す。
図19は、本発明に従って形成されるアニールされた(B アニール済み)およびアニールされていない(B 標準)HLPU/HBPU シース/コア線維から形成されたメッシュ、ならびに2種の市販の創傷包帯のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)保持を示す。
図20は、本発明に従って形成されるアニールされた(B アニール済み)およびアニールされていない(B 標準)HLPU/HBPU シース/コア線維から形成されたメッシュ、ならびに2種の市販の創傷包帯の収縮/拡張を示す。
図21は、被包された銀ナノ粒子を有するHLPU/HBPU シース/コア線維の顕微鏡写真である。
好ましい実施形態の詳細な説明)
開示の一局面によれば、ポリマーコアおよび上記コアを少なくとも部分的に取り囲む(すなわち、包む)ポリマーシースを含む多成分線維が提供される。
本明細書で使用される場合、「線維」、「マイクロファイバー」および「ナノファイバー」とは、サイズのみが異なる細長い構造をいうために類義語として使用される(「マイクロファイバー」は、線維が数ミクロンから数百ミクロンの程度の断面直径を有することを示し、「ナノファイバー」は、線維が数ナノメートルから数百ナノメートル程度の断面直径を有することを示し、「線維」は、いかなるサイズの線維をも示す)。
本開示に従う線維は、従って、広く種々のサイズで形成され得る。好ましい全体的な線維直径は、0.05〜50ミクロン(μm)(例えば、0.05〜0.1ミクロンないし0.25〜0.5ミクロンないし1〜2.5ミクロンないし5〜10ミクロンないし25〜50ミクロンの範囲に及ぶ)、より好ましくは、考えられる寸法の中ではとりわけ、0.1〜20ミクロンの範囲に及ぶ。好ましいコア直径は、考えられる寸法の中ではとりわけ、0.01〜10ミクロン(例えば、0.01〜0.025ミクロンないし0.05〜0.1ミクロンないし0.25〜0.5ミクロンないし1〜2.5ミクロンないし5〜10ミクロンの範囲に及ぶ)の範囲に及ぶ。好ましいシース厚は、0.02〜25ミクロン(例えば、0.02〜0.05ミクロンないし0.1〜0.25ミクロンないし0.5〜1ミクロンないし2.5〜5ミクロンないし10〜25ミクロンの範囲に及ぶ)範囲に及び、より好ましくは、考えられる寸法の中ではとりわけ、0.2〜18ミクロンの範囲に及ぶ。
シース体積 対 コア体積の比は、広く変動し得る。好ましいシース体積:コア体積比は、例えば、100:1〜1:100の範囲に及び、値の中でもとりわけ、例えば、100:1〜50:1ないし25:1〜10:1ないし5:1〜2:1ないし1:1〜1:2ないし1:5〜1:10ないし1:25〜1:50ないし1:100の範囲に及ぶ。
本開示に従う多成分線維は、種々の線維紡糸技術(種々の溶融紡糸法および溶剤紡糸法が挙げられる)を使用して形成され得る。従って、溶剤紡糸技術、およびより具体的には、静電溶剤紡糸技術が本明細書で詳述されるが、本発明は、このような技術に限定されない。多成分線維を形成するためのさらに例示的な技術としては、とりわけ、ホットメルト紡糸(hot melt spinning)、融解電界紡糸、遠心線維紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、ゲル紡糸、重力紡糸、押し出し成形、押し出し紡糸(extrusion spinning)、およびラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)が挙げられる。これらおよび他の技術を使用して、(a)コア形成ポリマーを含むポリマーコア、および(b)上記ポリマーコアを少なくとも部分的に取り囲み、上記コア形成ポリマーとは異なるシース形成ポリマーを含むポリマーシースを含む、多成分線維が形成され得る。
電界紡糸は、電荷を使用して、非常に細い、代表的には、マイクロスケールもしくはナノスケールの線維を液体から引き出すプロセスである。溶剤電界紡糸は、電界紡糸ジェットを誘発するために、ポリマー溶液に印加される電気の力を利用する。上記ジェットと関連するストリームが、空気(もしくは他の雰囲気)中に移動するにつれて、その溶媒のエバポレーションから、接地コレクターに沈積した1本の長いポリマー線維が生じる。その集められた線維は、医療産業および非医療産業における種々の技術において使用され得るメッシュの形成を生じ得る(例えば、とりわけ、薬物送達デバイス、ティッシュエンジニアリング、ナノスケールセンサー、創傷包帯、自己修復コーティング(self−healing coating)、およびフィルターなどが挙げられる)。
本明細書で使用される場合、「メッシュ」とは、三次元ネットワークを形成するように絡み合わされた1以上の線維の集まりによって形成される構造である。メッシュは、織布メッシュもしくは不織布メッシュを含む。
本開示に従うメッシュは、厚みが広く変動し得、好ましい厚みは、値の中でもとりわけ、10〜5000ミクロン(例えば、10〜25ミクロンないし50〜100ミクロないし250〜500ミクロンないし1000〜2500ミクロンないし5000ミクロンの範囲に及び得る)に及ぶ。
本開示に従うメッシュは、多孔度が広く変動し得る。ある種の実施形態において、本開示のメッシュは、99%以下の多孔度(例えば、99%〜90%ないし80%〜70%ないし60%〜50%ないし40%〜30%ないし20%〜10%以下の範囲に及ぶ)を有する。多孔度は、ポリマーの体積を決定し、その量をメッシュの体積で割ることによって測定され得る。この点に関して、ポリマー体積=メッシュ質量÷ポリマー密度;メッシュ体積=メッシュ長×メッシュ幅×メッシュ厚=メッシュ面積×メッシュ厚;およびメッシュ多孔度=(メッシュ体積−ポリマー体積)÷メッシュ体積。種々の実施形態において、所定のメッシュの多孔度は、ある温度でおよびメッシュ多孔度の減少が観察される時間にわたって上記メッシュをアニールすることによって減少させられ得る。
(電界紡糸)
従来から、コア−シース電界紡糸(本明細書では、同軸電界紡糸ともいう)は、2本の同心ニードルを利用して、2種の溶液(具体的には、内側コアポリマー溶液および外側シースポリマー溶液)を別個に送達する。上記コア溶液は、内側ニードルを通って送達されるのに対して、上記シース溶液は、外側ニードルを通って送達される。電界の作動の際に、上記2種の異なるポリマー溶液は、接地コレクターに向かって連続ストリームで射出される;この形態は、ニードル先端において単一のコア−シースTaylorコーンを形成し、コア−シース線維の形成をもたらす。しかし、ニードルを使用するコア−シース線維の生成は、スループットが制限されている。
ある種の実施形態において、コア−シース線維は、ハイスループットコア−シース・無ニードル電界紡糸設備(high−throughput core−shiath needleless electrospinning fixture)(これは、中空容器の表面にある1以上のスリットを利用して、Taylorコーンを形成する複数部位に多くの材料を共存させ、それによって、複数の電界紡糸ジェット、従って、複数の電界紡糸された線維の形成を促進する)を使用して生成される。従って、上記中空容器の表面にあるスリットは、コア−シース線維のハイスループット生成を生じ得る。さらなる情報については、例えば、米国特許公開番号2012/0193836(Sharma et al.)および米国特許公開番号2013/0241115(Sharma et al.)(これらの開示は、参考として援用される)を参照のこと。
電界紡糸において、そのようにして形成する各ジェットは、集められる1本の長い連続線維をもたらす。上記無ニードル設備の代表的操作において、約10本のジェットが上記スリットの長さに沿って形成される;この集められたメッシュは、従って、約10本の非常に長い、互いに絡み合った線維から構成される。対照的に、上記ハイスループットコア−シース・無ニードル電界紡糸設備において使用されるオープンバスフリーサーフェス電界紡糸(open bath free surface electrospinning)の作動の間に、数百本のジェットが形成され、ドラムの各回転とともに消失する。従って、得られたメッシュは、数千本の比較的短い線維からなる。
上記無ニードル電界紡糸設備の設計は、線維直径にわたってより大きな制御を可能にし得る加工処理パラメーターを考慮する。例えば、溶液特性に加えて、溶液流速は、線維直径を制御するために操作され得る。さらに、生成されるジェットの数も制御され得、これは、線維直径の差異をもたらし得る。
本開示の任意の実施形態の線維は、従って、不織布メッシュ形態で集められ得る。しかし、代替の実施形態は、調整された線維(ギャップアラインメントもしくは回転ドラムを通る場合)、撚糸、ロープとして、ある種のパターン、または電界紡糸の分野で公知の線維収集の任意の他の方法で、集められる線維を含む。
(シリコーン成分を有する線維)
発明の種々の局面は、シリコーンポリマー(本明細書で「シリコーン」、「シロキサンポリマー」もしくは「ポリシロキサン」ともいわれる)を使用して形成される多成分線維に関する。例えば、ある種の実施形態において、(a)1種以上のシリコーンポリマーを含むポリマーコア、および(b)上記コアを少なくとも部分的に包み、シリコーン以外の1種以上のさらなるポリマーを含むポリマーシースを含む多成分線維(その逆もまた同様)が、形成される。
本開示は、複数のシロキサンユニット:
から形成される、ポリシロキサンを含む全てのシロキサン(すなわち、−Si−O−Si結合を有する化合物)に適用可能であり、
ここでRおよびRは、有機ラジカル、例えば、置換されていても置換されていなくてもよい、直鎖状、分枝状もしくは環式のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基など)、ならびに置換されているかもしくは置換されていないアリール基(例えば、フェニル基、p−、m−もしくはo−アルキル置換されたフェニル基など)である。RおよびRは、同じであっても異なっていてもよい。
種々の実施形態において、PDMSとして含むポリシロキサンは、種々の機構(例えば、プラズマ、UV、CVDなど)によって官能化されて、表面特性(例えば、疎水性など)を改変し得るかまたは特定の化学的相互作用(例えば、抗体結合)を提供し得る。線維は官能化され得、表面におよび/もしくは塊で(in the bulk)、固定化された生体分子を生じる。官能化は、多くの新しい特性(生物学的効果、センサー適用を含む)を材料に提供し得る。マイクロファイバーおよびナノファイバーは、例えば、高い表面積および小さな孔を提供することによって、これら利益をさらに増強する。
この点に関して、シロキサンに結合されるペンダント基として重合される官能基(例えば、ヒドリド、ヒドロキシル、アミン、イソシアネート、エポキシなど)は、化学的活性および多様性を付加する、ならびに特性の中でもとりわけ、機械的特性、膨潤および溶媒耐性、および屈折率を改変するために、使用され得る。本明細書で記載されるとおりのポリシロキサンの同軸電界紡糸は、さらなる適用において有用にする種々の特性を有するシリコーンマイクロファイバーおよびナノファイバーを得るために官能化とともに組み合わされ得る。例えば、上記線維をより親水性にする処理は、より容易に濡れる、弾性の、耐久性のある線維を提供する。いくつかの実施形態において、上記PDMSの官能化する部分は、上記線維の中に組み込まれる。硬化の際に、上記線維中の官能部分は、シロキサンの化学作用を通じて上記PDMSに組み込まれる。このことは、上記PDMSの1工程官能化を可能にする。1つの具体的実施形態において、PDMS表面は、Bo Huang et al.,「Phospholipid biotinylation of polydimethylsiloxane(PDMS) for protein immobilization」 Lab Chip, 2006, 6, 369−373に記載されるように、ビオチン化リン脂質を硬化前に上記PDMSプレポリマーに添加することによって、ビオチン基で官能化され得る。これらビオチン基は、次いで、目的の種(例えば、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント)にアビジン結合体化されたものでさらに改変されて、シリコーン表面を官能化し得る。これは、例えば、タンパク質を脂質から除去する(例えば、タンパク質分離)にあたって、もしくはある種のタンパク質の優先的結合が有利である医療用移植物(例えば、改善された内皮細胞相互作用)において、有用であり得る。
種々のシロキサンポリマーを含め、ポリマーのいくつかのクラスは、それらの低分子量および流動性に起因して電界紡糸し難いことが示されている。この点に関して、種々のポリシロキサンは、それらが架橋されるまでは流動性のままであり、このことは、線維が形成するように十分なポリマー鎖のもつれを可能にしない。
例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、弾性および耐久性という特性を一般に示す、上記のとおりのシロキサンポリマーのより大きな群に属するシリコンベースの有機ポリマーである。線維を製造し、ならびにそのような特性を示すPDMSおよび他のシロキサンポリマーから作製された構築物を形成する能力とともに、線維直径を制御する能力は、種々の他の適用と同様に、医療技術において非常に有利である。PDMS線維を電界紡糸しようとする試みがなされてきたが、そのこれまで発展してきた技術は、ブレンドされたポリマーシステム(すなわち、純粋なPDMSではない)を使用するので、純粋なPDMS線維構築物(例えば、メッシュ)を製造するための、本発明者らに公知の電界紡糸法は現在存在しない。
従って、本開示のいくつかの局面において、コア−シース電界紡糸技術が提供される。これは、公知の技術を使用して以前は電界紡糸されなかったシリコーン材料を含む線維を形成するために使用され得る。本明細書で記載される技術によって形成される線維は、コア材料としてのシリコーン材料、およびシース材料として異なるポリマー材料を含む。線維形成および/もしくは収集の後、上記コア−シース線維は、代表的には、適切な機構によって架橋される。例えば、上記線維は、架橋技術の中でもとりわけ、一晩室温で硬化され得るか、または数時間にわたって最大100℃までの温度で硬化され得る。
ある種の実施形態において、上記ポリマーシースは、親水性もしくはヒドロゲル材料(これは、以下でより詳細に考察される)から形成され得る。
ある種の実施形態において、上記ポリマーシースは、上記シリコーンコアから溶解、分解もしくは他の方法で除去され得、後に純粋なシリコーン線維を残す材料から形成され得る。このような材料の例としては、分解性ポリマーおよび溶媒溶解性ポリマー(水溶性ポリマーが挙げられる)が挙げられる。
分解性ポリマーの例としては、とりわけ、以下のうちの1種以上が挙げられる:(a)ポリグリコリド(PGA)(ポリグリコール酸ともいわれる)、ポリラクチド(PLA)(ポリ乳酸ともいわれる)のようなポリエステルホモポリマーおよびコポリマー(とりわけ、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチドおよびポリ−D,L−ラクチド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリグルコネート(ポリ−D−グルコネート、ポリ−L−グルコネート、ポリ−D,L−グルコネートが挙げられる)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(ラクチド−co−δ−バレロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−ε−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−β−リンゴ酸)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート−co−β−ヒドロキシバレレート)が挙げられる)、(b)ポリカーボネートホモポリマーおよびコポリマー(例えば、とりわけ、ポリ(チリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド−co−トリメチルカーボネート)およびポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート))、(c)ポリ(オルトエステル)ホモポリマーおよびコポリマー(例えば、とりわけ、種々のジケテンアセタールおよびジオールの共重合によって合成されるもの)、(d)ポリ無水物ホモポリマーおよびコポリマー(例えば、とりわけ、ポリ(アジピン酸無水物)、ポリ(スベリン酸無水物)、ポリ(セバシン酸無水物)、ポリ(ドデカンジオン酸無水物)、ポリ(マレイン酸無水物)およびポリ[1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン無水物])、(e)ポリホスファゼン(例えば、とりわけ、アミノ化およびアルコキシ置換されたポリホスファゼン)、ならびに(f)アミノ酸ベースのポリマー。
水溶性ポリマーの例としては、架橋されていない親水性ポリマーが挙げられ、上記ポリマーは、とりわけ、以下のモノマーのうちの1以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーから選択され得る:エチレンオキシド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、ビニルアセテート、ビニルピリジン、メチルビニルエーテル、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アルキルオキサゾリン、サッカリドモノマー(例えば、デキストラン、アルギネートなどのようなポリサッカリド)、ならびにアミノ酸(例えば、親水性ポリペプチドおよびタンパク質(例えば、ゼラチンなど))。架橋される場合、前述の親水性ポリマーは、ヒドロゲルとして有用である。
標準の不織布材料に関しては、微小構造は、線維直径に大きく依存する。よって、シースがその後除去されるこのコア−シース製造プロセスの利点は、孔サイズ、多孔性および他の微小構造特徴を得る能力である。上記ハイスループットコア−シース・無ニードル電界紡糸設備(例えば、米国特許公開番号2012/0193836および同2013/0241115(Sharma et al.)を参照のこと)を使用すると、シース 対 コアの厚みの比は、他の製作技術で得られ得るよりも、より大きな孔サイズとより細い線維、もしくはより高い多孔性とより細い線維を提供するように変動し得る。
(ヒドロゲル成分および変動する親水性/疎水性の成分を有する線維)
発明の種々の局面は、ヒドロゲルを使用して形成される多成分線維に関する。例えば、ある種の実施形態において、(a)1種以上のコア形成ポリマーを含むポリマーコア、および(b)1種以上の親水性ポリマーもしくはヒドロゲル形成ポリマーを含むポリマーシースを含む多成分線維が形成される。
本発明の種々の局面は、(a)1種以上の親水性ポリマーを含むポリマーシース、および(b)上記1種以上の親水性ポリマーより疎水性である1種以上のポリマーを含むポリマーコアを含む多成分線維に関する。逆に、本発明の他の局面は、(a)1種以上の親水性ポリマーを含むポリマーコア、および(b)上記1種以上の親水性ポリマーより疎水性である1種以上のポリマーを含むポリマーシースを含む多成分線維に関する。
コアおよび/もしくはシースポリマーとして使用するためのポリマーとしては、水性媒体(例えば、水、PBSなど)の中で、25℃において1時間にわたって浸漬した際に、(湿潤重量−乾燥重量)/乾燥重量(×100)として計算される、概して0〜1000%以上の水の範囲に及ぶ水吸収値(例えば、0%〜1%ないし2.5%〜5%ないし10%〜25%ないし50%〜100%ないし250%〜500%ないし1000%以上の範囲に及ぶ)を有するものが挙げられる。本明細書で使用される場合、「親水性ポリマー」とは、5〜1000%以上の水の範囲に及ぶ水吸収値を有するものである。「より疎水性のポリマー」(本明細書で「親水性が低いポリマー」ともいわれる)とは、比較されている所定のポリマーより少ない水を吸収するポリマーとして定義される。
いくつかの実施形態において、コアおよびシースポリマーは、シースポリマー水吸収値:コアポリマー水吸収値の比率が2:1〜100:1の範囲に及び(例えば、2:1〜5:1ないし10:1〜20:1ないし50:1〜100:1の範囲に及ぶ)、考えられる値の中でもとりわけ、好ましくは、ある種の実施形態において5:1〜20:1の範囲に及ぶように、選択される。例示によれば、以下の実施例4におけるシースポリマーの水吸収値は500%であるのに対して、シースポリマーの水吸収値は50%であり、シース:コア水吸収比10:1を生じる。
ヒドロゲルは、実質的な量の水を吸収する能力を有する親水性ポリマーの三次元架橋ネットワークを含む。ヒドロゲルは、薬物送達からティッシュエンジニアリング足場の範囲に及ぶ医療分野の多くの適用において長く使用されてきている。多くの潜在的適用にも拘わらず、ヒドロゲルは、構造制御を欠いていることおよびヒドロゲルの機械的特性の理解が不十分であったことから、ヘルスケア他の分野などにおいて利用が制限されてきた。この分野において他者は、種々の添加剤でヒドロゲルを強化することを研究してきた。さらに他の者は、ポリマー線維もしくはポリマー線維構築物(例えば、メッシュ)を作製し、その後これを、上記ポリマーを架橋する前にヒドロゲルもしくはヒドロゲル形成ポリマーの中に浸漬することによって、ヒドロゲルを強化することを目指した。このような方法および構造は、一般に効果的でないので、未だに所望の特性を有するヒドロゲル構造が必要である。
本開示のある種の局面において、電界紡糸は、1種以上のヒドロゲル形成ポリマーを含むシースによって少なくとも部分的に取り囲まれた1種以上の線維形成ポリマーを含む線維コアを形成するために使用される。その得られる複合線維は、必要に応じて、架橋工程(例えば、熱、可視光もしくは紫外線のようなエネルギーの印加によって、架橋剤の適用によって、など)に供されて、ヒドロゲル形成ポリマー、コア形成ポリマーもしくはその両方を架橋し得る。結果は、いずれの材料のみからも異なる機械的特性および水和特性を有する複合線維である。これら複合線維は、医療用デバイスもしくは他の生成物としての使用のために、集められ得るか、形成され得るか、または種々の形状(例えば、チューブ、メッシュ、糸など)へと処理され得る。
ポリウレタンは、種々の実施形態においてコアおよび/もしくはシースポリマーとして使用され得る。ポリウレタンは、一般に、ジイソシアネートおよび長鎖ジオール、および代表的には、鎖伸長剤から形成される。芳香族ジイソシアネートが、とりわけ、以下の適切なメンバーから選択され得る:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3’−トリジン(tolidene)−4,4’−ジイソシアネートおよび3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート。非芳香族(脂肪族)ジイソシアネートは、とりわけ、以下の適切なメンバーから選択され得る:とりわけ、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、およびメタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)。長鎖ジオールとしては、ポリエーテルジオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、ポリエステルジオール(例えば、ポリブタンジオールアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオールなど)、およびポリカーボネートジオールが挙げられる。他の長鎖ジオールとしては、とりわけ、1,4−ブタンジオールのようなジオールが挙げられる。
前の段落に記載されるもの以外のポリウレタンもまた、種々の実施形態においてコアおよび/もしくはシースポリマーとして使用され得る。
本開示において使用するためのヒドロゲルは、適切な機構(例えば、共有結合的架橋および/もしくは非共有結合的架橋(例えば、イオン性架橋、物理的架橋などによる))を介して架橋される親水性ポリマーから形成されるものを含む。
架橋され得る親水性ポリマーの例としては、上記に示されるもののような種々の親水性ポリマーが挙げられる。親水性ポリマーのさらなる例としては、親水性ポリウレタン(例えば、親水性セグメントを有するポリウレタン)が挙げられ、これは、物理的に架橋され得る(例えば、上記ポリウレタンに存在する硬いセグメントを介して)。具体的な親水性ポリウレタンとしては、とりわけ、脂肪族ポリエーテルベースのポリウレタンおよび芳香族ポリエーテルベースのポリウレタンが挙げられる。上記で示される親水性ポリマーが、ある種の実施形態においてポリウレタン中の親水性セグメントとして使用され得ることは、さらに注意される。
多くの実施形態において熱可塑性ポリマーおよび種々の親水性/疎水性のポリマーを含むコア形成ポリマーの例としては、とりわけ、上記で記載されるもののようなシリコーン(ポリシロキサン)、熱可塑性ポリウレタン(例えば、とりわけ、脂肪族ポリエーテルベースのポリウレタンおよび芳香族ポリエーテルベースのポリウレタン)、ならびにポリアミド(例えば、ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−6,9、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−4,6など)が挙げられる。コア形成ポリマーの例としては、さらに、とりわけ、以下のモノマーのうちの1種以上を含むホモポリマーおよびコポリマー(ブロックコポリマーを含む)挙げられる:(a)不飽和炭化水素モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、4−メチルペンテン、1−オクテンおよび他のα−オレフィン、イソプレン、ブタジエンなど);(b)ハロゲン化不飽和炭化水素モノマー(例えば、テトラフルオロエチレン、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド、クロロブタジエン、ビニルクロリド、ビニルフルオリドなど);(c)置換されていないビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、2−ビニルナフタレンなど)およびビニル置換された芳香族モノマー(例えば、α−メチルスチレン)、環置換されたビニル芳香族モノマーを含む、ビニル芳香族モノマー;ならびに(d)比較的疎水性の(メタ)アクリルモノマー(アルキル(メタ)アクリレート(例えば、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、およびイソボルニルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなど)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなど)、およびハロ−アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート)が挙げられる)。
ヒドロゲルシースおよび上記シース材料とは異なるコア材料を多成分線維に提供することに関連する利点は、良好な水吸収および保持特性(ヒドロゲル材料の結果として)と合わせて、所望の機械的特性(例えば、強度、弾性、耐久性および収縮量(コア材料の結果として))を有する線維、メッシュおよび他の構築物が形成され得ることである。
(シリコーンコアおよび除去可能なシースを有する線維)
前に示されるように、本開示のある種の局面は、(a)1種以上のシリコーンポリマーを含むポリマーコア、および(b)シリコーン以外の1種以上のさらなるポリマーを含むポリマーシースを含む多成分線維に関する。ある種の実施形態において、上記ポリマーシースは、上記シリコーンコアから溶解され得るか、分解され得るかもしくは別の方法で除去され得、後に純粋なシリコーン線維を残す材料から形成され得る。このような材料の例としては、とりわけ、上記に示されるもののような分解性ポリマーおよび溶媒溶解性ポリマー(水溶性ポリマーが挙げられる)が挙げられる。本明細書中の他の箇所のように、上記線維は、医療用デバイスもしくは他の生成物として使用するために種々の形状(例えば、チューブ、メッシュ、糸)へと形成もしくは処理され得る。
いくつかの実施形態において、シリコンコア形成ポリマーは、除去可能な(例えば、溶解可能なもしくは分解性の)シース形成ポリマーと同時電界紡糸(co−electrospun)されて、新規な複合線維を作り出す。上記電界紡糸は、無ニードル電界紡糸、同軸電界紡糸、スリット表面電界紡糸、もしくは線維紡糸の分野で公知の任意の他の適切な技術によって達成され得る。
以下の実施例1および実施例2において詳述される1つの好ましい実施形態において、線維は、PDMSコアおよび生分解性ポリマーシースで形成される。PDMSの架橋は、プレポリマーおよび架橋反応を開始する架橋剤(熱への曝露は、この反応を促進する)を混合することによって、2成分システム(two−part system)を使用して行われる。本明細書で使用される場合、「プレポリマー」とは、架橋プロセスもしくは他の硬化プロセスに供されて、架橋されたポリマーを作り出すポリマー材料である。他の実施形態において、2成分PDMSシステムは、UV線への曝露によって硬化され得る。さらに他の実施形態において、2成分PDMSシステムは、フリーラジカル、縮合もしくは付加反応を通じて、弾性体へと架橋され得る。あるいは、技術の中でもとりわけ、雰囲気中の水分への曝露の際にもしくは光硬化の際に硬化する1成分PDMSシステムが使用され得る。PDMS化学におけるこれらバリエーションのうちのいずれか、または固体になるために物理的架橋もしくは化学的架橋を要する他のポリマーは、本明細書で記載される線維および方法において使用され得る。
従って、ポリシロキサン(すなわち、PDMS)が好ましい実施形態として例示されるものの、他の実施形態も、固体になるために架橋を要するポリマー(例えば、熱硬化性ポリマーなど)を使用し得る。例としては、他のポリシロキサンおよびあるタイプのポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、エポキシドなどが挙げられる。
分解性ポリマー(すなわち、ポリ(ラクチド−co−グリコリド))が好ましい実施形態として例示されるものの、他の実施形態は、他の分解性ポリマーもしくは溶媒溶解性ポリマーシース(例えば、架橋されていないPEO、PVA、ゼラチン、デキストラン、炭水化物などのような水溶性シース材料から形成される)を使用し得、これは、その後、溶解によって除去され得る。溶解剤として水性溶媒を使用する実施形態は、一般に、PDMS線維の膨潤を生じない。
いくつかの実施形態において、上記シースは、酸を使用してエッチングで除去される。
上記シースポリマーの機械的特性に依存して、機械的破壊は、上記シースを外すために使用され得る。上記の方法の任意の組み合わせ、もしくは他の適切な手段は、上記シースを下にあるコアから除去するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、低分子薬物、麻酔剤、凝固促進剤、抗凝固剤、抗菌物質、生物製剤、RNAi、遺伝物質、遺伝子ベクター、ワクチン、もしくは粒子(例えば、銀ナノ粒子)のような治療剤は、ポリシロキサンコア内にある。
いくつかの実施形態において、ポロゲン(porogen)(例えば、塩、糖などから選択される)は、上記ポリシロキサンコア内に組み込まれる。後のシース除去の際に、上記ポロゲンはまた、除去される。これは、特性の中でもとりわけ、疎水性を改善し得る多孔性もしくは粗い表面特徴を有する線維を後に残す。あるいは、ポロゲンは、線維形成後に、上記ポロゲンのあるパーセンテージが、上記コアおよびシースの界面に位置するように、上記シースの中に組み込まれ得る。シース除去の際に、上記ポリシロキサン線維表面にポロゲンのネガティブインプリント(negative imprint)が存在する。ポリシロキサン線維の表面はまた、適切なエッチングプロセス(例えば、レーザーエッチング)もしくは機械的手段によって、粗くされ得る。
さらに、多孔性は、上記線維を形成する架橋反応の生成物として、本開示の線維に導入され得る。例えば、イソシアネート官能化PDMSは水と反応して、多孔性発泡線維(porous foam fiber)を形成し得る。別の例は、炭酸水素ナトリウムと配合したアセトキシ官能化PDMSである。上記架橋反応の酢酸副生成物は、炭酸水素ナトリウムと反応して、気体および多孔性を生成し得、従って、多孔性発泡線維の形成を可能にする。
線維サイズの操作は、種々の線維特性を生じ得る。例えば、濾過適用において、大きな孔もしくはより高い多孔性を有するより細い線維は、透過性および表面積を増大し得る。本明細書で記載されるとおりのポリシロキサン材料(例えば、PDMS)は、高耐久性、熱安定性および酸化安定性、ならびに可撓性と合わせて、小さい孔サイズおよび高い透過性を提供する。さらに、本開示に従って形成されるポリシロキサン線維メッシュは、小さなサイズの線維に起因して高い表面積を有する。これは、望ましい場合、接着および湿潤を促進し得る。いくつかの実施形態において、これら同じ特性が、線維への細胞浸潤が望まれる医療適用において有用であり得る。特に、より細い線維直径は、一般に、細胞相互作用、内方への成長および増殖を促進する一方で、より大きな孔およびより高い透過性は、一般に、栄養素、サイトカインおよびガス交換を促進すると同時に細胞移動をも改善する。
さらなる実施形態において、上記シースは、特有の特性を有するPDMSコアおよびポリマーシース(例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)を含む複合線維を形成するために、上記コア上に残される。いくつかの実施形態において、水の中に浸漬した際に、外側シースは、PDMS線維メッシュの多孔性を埋めるためにヒドロゲルを形成し得る。
さらなる実施形態において、コアおよびシースポリマーは逆にされ、ポリシロキサンは、コアポリマーを被覆するシースポリマーとして使用される。このことは、外側にポリシロキサンを有する2成分線維の形成を可能にする。さらに、上記コアポリマーの除去は、ポリシロキサンの中空線維を生じる。
小さい直径の線維メッシュは、より大きな直径の線維から作製されるメッシュよりも、高い表面積、高い透過性および低い孔サイズを提供し得る。本開示は、従って、PDMSのようなポリシロキサンと細い直径の線維メッシュの利益とを併せ持った材料を提供する。例えば、耐溶媒性フィルタ、または弾性の生体適合性マイクロファイバーもしくはナノファイバーの医療用デバイス構成要素(例えば、心臓弁の弁膜、血管グラフト、ステントグラフト被覆)が形成され得る。
この点に関して、いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、心臓弁の弁膜で使用され得る。置換心臓弁は、いくつかの場合、天然の弁膜を再現するために合成材料を使用する。天然の弁膜は、薄く、非常に可撓性かつ耐久性がある。これら特性に加えて、上記弁膜は、非血栓形成性である必要がある。内皮形成促進は、非血栓形成性移植物を提供する最良の方法のうちの1つである。電界紡糸シリコーンによって提供されるマイクロファイバー構造は、内皮細胞増殖を促進すると考えられる。しかし、この同じ多孔性は、上記メッシュの孔を血液が通過することおよび上記弁による血流制御の低下をもたらし得る。この現象は、しかし、タンパク質および細胞が孔の中に捕捉されるので、一時的であると予測される。好ましい実施形態において、シリコーンのマイクロファイバーメッシュは、100〜1000ミクロン(μm)の間の厚みへと電界紡糸される。目標線維直径は、500nm〜10μmの間である。次いで、これらメッシュは、適切な形状へと裁断され、本体に取り付けられ、これが開腹術もしくは最小限に侵襲性の手術を介して移植される。代替の実施形態としては、以下が挙げられる:上記メッシュを血流が通過するのを妨げるために、メッシュの一側面にもしくは2枚のメッシュの間でサンドイッチされるかのいずれかで、膜(例えば、シリコーン、PLGA)を提供すること;タンパク質もしくは抗体(例えば、CD34、VEGF)でシリコーンを官能化して、組織の内方への成長および再内皮形成を促進すること;フレーム(例えば、ポリマー線維、金属ワイヤ、輪郭が示された導電性メッシュ)上に電界紡糸して、弁膜を形作るおよび/もしくは本体への取り付けを提供する一助とすること;複合移植物を作り出す生体適合性線維構造体へ電界紡糸すること(例えば、線維が上記弁膜にわたってさらなる機械的強度もしくは種々の剛性を提供する);ならびに上記線維を被覆もしくは官能化して、血栓形成性を低減すること(例えば、ヘパリン)。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、シリコーン線維がチューブ状コレクター上に電界紡糸されて、シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーのチューブを形成することを除いて、心臓弁弁膜に類似の方法でステントグラフト被覆において使用され得る。好ましいメッシュ厚は、100〜1000ミクロンの間である。目標線維直径は、500nm〜10μmの間である。このチューブは、次いで、ステントに取り付けられて、ステントグラフトを形成し得る。あるいは、上記線維は、ステント上に直接電界紡糸され得る。心臓弁に関して記載される代替の実施形態は、ここでも適用可能である。利点としては、シリコーンマイクロファイバーおよび/もしくはナノファイバーが、細胞の内方への成長を促進すると同時に、弾性で、生体適合性で、耐久性ある移植物を提供するという事実が挙げられる。いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、チューブがステントに取り付けられずかつ好ましいメッシュ厚範囲がより大きい(100〜5000ミクロン)ことを除いて、ステントグラフト設計に類似の血管グラフトにおいて使用され得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、生体工学で作られた血管において使用され得る。上記の血管グラフトと非常によく似て、上記シリコーンメッシュは、チューブへと形作られ得、細胞がエキソビボで播種され得る。これら細胞(代表的には、線維芽細胞、平滑筋細胞および内皮細胞)は、上記グラフト材料上で組織を増殖させるために、種々の条件(例えば、拍動性の流れ、一定の流れ、もしくは流れなし)下で栄養豊富な環境の中でインキュベートされる。上記シリコーンマイクロファイバーおよびナノファイバーは、細胞浸潤および増殖を促進することにおいて利点を提供し、同様に、血管に代表的な弾性特性を提供する。上記シリコーンチューブは、単独で、もしくは他の天然材料(例えば、コラーゲン)もしくは合成材料(例えば、PTFE、ePTFE、ポリウレタン)と組み合わせて、使用され得る。他の実施形態において、上記グラフトには、細胞が播種され、意味のあるインキュベーションなしで移植されるか、または細胞播種なしで移植される。後者の場合には、宿主由来の細胞が浸潤し、移植片の中に住み着く。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、動静脈(AV)グラフトおよびシャントにおいて使用され得る。これらグラフトは、反復透析のためのよりよいニードルアクセスを提供するために、血液透析患者において使用される。シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、強い一連の機械的特性を提供し、細胞の内方への成長をも促進する。シリコーンの弾性、耐久性、生体適合性および低い血栓形成性は、これら移植片の性能を改善する。一実施形態において、シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、チューブへと形作られ、移植される。このチューブは、完全性もしくは細胞の内方への成長を改善するために、官能化もしくは他の材料(例えば、ヘパリン、コラーゲン、ゼラチン、増殖因子)での被覆によって前処理され得る。他の実施形態において、上記シリコーンメッシュは、複合層化構造を形成するために、シートもしくはメッシュとして他の天然のもしくは合成の材料と組み合わされ得る。この層化構造は、上記機械的特性、移植直後に血液を含められること、または長期間の耐久性もしくは性能を改善し得る。
いくつかの実施形態において、厚み500〜5000ミクロンの平らなメッシュ構成へと電界紡糸されたシリコーン線維は、ヘルニアメッシュにおいて使用され得る。機械的特性を改善するために、複合材は、所望の構成で生体適合性ポリマー線維上に直接電界紡糸することによって、それら線維で形成され得る。これら線維はまた、上記メッシュの縫合糸性能を改善する構成で提供され得る。代替の実施形態において、上記メッシュは、上記の種々の方法を使用して、組織の内方への成長もしくは一体化を改善するために官能化され得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、二重の被覆において使用され得る。硬膜に傷が付けられる神経外科手順において、上記膜を再度閉じるために被覆を提供することは望ましい。シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュ(必要に応じて、ポリマー膜(例えば、シリコーン、PLGA、コラーゲン)と組み合わされる)は、この目的で使用され得る。
他の実施形態において、シリコーンメッシュは、創傷包帯において使用され得る。創傷包帯の難点は、創傷への接着ならびに空気および水分(創傷滲出液)への透過性を含む。一実施形態において、シリコーンは、100〜5000ミクロンの間の厚みのメッシュへと電界紡糸される。好ましい線維直径は、500nm〜10ミクロンの間である。上記電界紡糸シリコーンは、創傷に対して非接着性であり、高い透過性を提供し、包帯の中で創傷接触層として使用される。別の実施形態において、上記シリコーン包帯は、別個に供給され、医療スタッフが、上記シリコーン包帯の上に層にしてさらなるガーゼもしくは他の包帯を配置し得る。別の実施形態において、上記シリコーンメッシュは、流体を吸収し、創傷を保護するために、最終製品の一部としてガーゼもしくは他の裏打ち材料と組み合わされる。さらに他の実施形態において、上記シリコーンは、治療剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤、局所鎮痛剤、消毒薬(例えば、ヨードチンキ(iodine))など)とともに製作され得る。別の実施形態は、創面環境(wound bed)に水分を提供するために、ヒドロゲルシース(例えば、PEG)で処理もしくはこれとともに製造されたシリコーンメッシュを提供する。この場合のシリコーンメッシュの利点は、高い多孔性がヒドロゲル材料を含み得ると同時に、包帯が外される必要がある場合に除去の一助となることである。さらに他の実施形態において、上記シリコーンメッシュは、陰圧閉鎖療法で使用するために製作される。この場合、上記メッシュは、これらデバイスと適合性であるようなサイズにされ、陰圧が印加されるにつれて創面環境に配置される。この高い透過性および多孔性は、滲出液除去、および包帯が外されなければならない場合に非接着性の包帯を可能にする。陰圧閉鎖療法における適用のために、上記シリコーン線維は、意図された処置部位(例えば、顔面、頭部など)に類似の形状およびトポグラフィーでコレクター上に電界紡糸され得る。このようにして、包帯は、創傷を受けた組織への改善された適合によって、上記療法を改善し得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、止血適用において使用され得る。止血適用のために、上記デバイスは、創傷包帯によく似た構成にされるが、上記シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーは、血栓形成促進剤もしくは凝固促進剤(例えば、トロンビン、カオリン、キトサン、フィブリンなど)とともに製作されるかもしくは表面改変される。上記シリコーンは、容易に外され得る非接着性の包帯を提供する。さらに、その高い透過性および多孔性は、血液が浸透し、表面積のかなりの量が、上記血栓形成促進剤と接触することを可能にする。この開いた構造はまた、凝固因子が創傷の中に戻って拡散して、血餅形成を促進することを可能にする。この材料はまた、他の包帯(例えば、コンバットガーゼ)上の非接着性層として一体化され得る;この適用のために、上記線維は、血栓形成促進剤もしくは凝固促進剤とともに製造されてもよいし、そうでなくてもよい。
他の実施形態において、シリコーンメッシュは、濾過適用において使用され得る。シリコーンメッシュは、空気、他の気体、液体、スラリーもしくは粒子のためのフィルターとしてもしくはフィルターの一部として使用され得る。その高い耐溶媒性および耐久性は、他のマイクロファイバーおよびナノファイバーフィルターを超える利点を提供する。特に、電界紡糸されたマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュのその低い孔サイズおよび高い透過性は、フィルターに望ましい。さらに、その弾性の性質は、フィルターをきれいにする方法を提供する。単に上記材料を二軸方向に延ばすだけで、周囲からもしくは他の方法でその孔サイズが増大する。次いで、気体もしくは液体の逆流が、デブリもしくは他の物質から孔をきれいにする方法を提供する。類似の様式で、フィルターの取り込み側に形成されるケーキは、上記シリコーンメッシュを延ばし、上記ケーキを落とすことによって容易に外され得る。上記シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、単独で使用され得る(好ましい厚みは、100ミクロン〜1cm)。あるいは、上記シリコーンメッシュは、他の市販のフィルター材料を使用して層化フィルターの一部として構築され得る。この場合、上記シリコーンは、別の材料の上に直接電界紡糸され得、アセンブリの間に他の材料上に配置される得るか、またはワイヤ、もしくは機械的支持を提供するために大きな開口部を有する他の線維メッシュ上に電界紡糸され得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、薬物送達において使用され得る。薬物は、患者への送達のために上記シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーへと組み込まれ得る。一実施形態において、シリコーンメッシュは、上記シリコーン溶液中の薬物で形成され、皮膚送達もしくは経皮送達のために皮膚に配置される。別の実施形態において、上記シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーは、メッシュ、チューブもしくは他の構造へと形成され、薬物を内部に送達するために移植される。これは、口もしくは他の身体開口部を含む(例えば、歯へのフッ化物、漂白剤もしくは他のホワイトニング物質の送達)。
他の実施形態において、シリコーンメッシュは、薬物制御送達のために水の浸透を調節するためにバリアの中で使用され得る。ポリシロキサン線維(例えば、シリコーン線維)のメッシュは、薬物放出を調節するためのバリアとして作用し得る。例えば、薬物送達デバイスが大きな破裂を有する場合、PDMSメッシュ(これは、比較的疎水性である)は、上記デバイスの周りに配置されて、上記デバイスと水との接触を防止し得るかもしくは遅らせ得る。さらに、シリコーンは弾性であるので、上記メッシュの拡張は、その多孔性および孔サイズにおいて変化をもたらし得、より多くの薬物放出を引き起こすように水の増大を生じ得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、感圧式接着包帯において使用され得る。この実施形態において、上記シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーは、接着特性を有するシリコーンから電界紡糸される。上記メッシュは、次いで、皮膚に適用され得、十分に接着するが、水および空気の透過性を提供して、天然の皮膚の機能および健康状態を促進する。これは、創傷包帯の一部として、もしくは薬物送達パッチのために、包帯において使用され得る。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、シリコーンが比較的疎水性であることが公知であるので、油−水分離のために使用され得る。高い孔体積率があれば、シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、油を水から分離する。上記シリコーンは、これをより親油性もしくは疎水性にするために、表面処理され得るか、官能化され得るか、または添加剤でドープされ得る。この適用において、上記シリコーンメッシュは、フィルターとして使用され得るか、または油を除去するかもしくは油を水から分離するために、油−水混合物の中に配置され得る。これは、親水性および疎水性の材料もしくは相を含む他のシステムに拡げられ得る。上記メッシュは、非常に弾性であるので、上記メッシュは、上記油の回収および/もしくは上記メッシュの再使用のために、上記孔から上記油を一掃する/除去するために、延ばされ得るか、絞られ得るか、または圧縮され得る。さらに、シリコーンはまた、有機溶媒を吸収し、同様に、水性媒体を有機溶媒から分離するために使用され得る。マイクロファイバーメッシュの高い表面積は、これを、これら適用のために特に効率的にかつ興味に訴えるものにする。
いくつかの実施形態において、シリコーンメッシュは、テキスタイルの中で使用され得る。シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーはまた、高弾性、耐久性および透過性が所望されるテキスタイル適用において使用され得る。他の適用において、シリコーンマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュの疎水性もしくは液体撥水性質は(構造に起因して)、液体からの保護を提供すると同時に、空気透過性をなお許容して、皮膚が「呼吸する」ことを可能にするために使用され得る。
種々の実施形態において、上記複合線維は、糸のような調整された線維束へと集められ得る。これら糸は、使用され得る(例えば、縫合糸)かもしくはさらに処理され得る(ロープになる複数の撚糸、織布シート、チューブもしくは他の形状になる複数の織り糸、ステント、足場もしくは他のチューブ状構造体になる複数の組紐糸(braiding yarn)が挙げられる)、強く、弾性の線維として作用する。
(ポリマーコアおよび親水性もしくはヒドロゲルシースを有する線維)
規な材料は、種々のポリマーコア材料(これは、親水性もしくはヒドロゲル材料のための強化材料として作用する)の周りに種々の親水性もしくはヒドロゲル材料を形成することによって生成され得る。上記包まれるポリマー材料は、別な方法では不可能である、上記親水性もしくはヒドロゲル材料に特有の材料特性(機械的、化学的、熱的など)を付与し得る。
より具体的には、いくつかの実施形態において、コア形成ポリマーは、親水性もしくはヒドロゲルシースによって少なくとも部分的に取り囲まれるポリマー線維コアを有する新規な複合線維を作り出すために、親水性もしくはヒドロゲル形成ポリマーと一緒に同時電界紡糸される。上記電界紡糸は、無ニードル電界紡糸、同軸電界紡糸、スリット表面電界紡糸、もしくは紡糸分野で公知の任意の他の適切な技術によって、達成され得る。その結果は、いずれの材料単独からも異なる、機械的特性および水和特性を有する複合線維である。これら複合線維は、医療用デバイスもしくは他の生成物として使用するために、種々の形状(例えば、チューブ、メッシュ、糸など)へと集められ得るか、形成され得るかまたは処理され得る。
任意の適切な親水性もしくはヒドロゲル形成材料は、シースポリマーとして使用され得、ポリマーコア材料の選択のように、上記親水性もしくはヒドロゲル形成材料は、上記複合線維の特別の目的に合うように選択され得る。例えば、上記親水性もしくはヒドロゲルポリマーシースに関して、ポリマーの中でもとりわけ、架橋されたPVP、PEO、PVA、および親水性ポリウレタン、ならびに多くの他の可能性の中でもキセロゲル、エアロゲルなどが、使用され得る。他のヒドロゲルポリマーとしては、上記に列挙されるもののような親水性ポリマーの架橋されたバージョンが挙げられる。
同様に、任意の適切なポリマーが、手近な機械的もしくは化学的必要性に依存して、コア形成ポリマーのために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記線維コアは、比較的疎水性のポリマーを使用して形成される。ある種の実施形態が共有結合的な架橋シリコンベースの有機ポリマーコア(例えば、PDMSのようなポリシロキサン)を使用する一方で、上記コアポリマーは、強化線維として作用するように共有結合的に架橋される必要はない。従って、他の実施形態において、熱可塑性ポリマー(例えば、とりわけ、ポリウレタン、PLGA、PCL、ナイロン、ポリスチレン、アクリルポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびフルオロポリマー)が、コア強化線維として使用され得る。
ポリウレタンは、広い範囲の特性を有するポリマーの広いクラスを表し、よって、本開示に関連してコアおよび/もしくはシース材料として働き得る。例えば、熱可塑性ポリウレタンコアは、親水性もしくはヒドロゲルポリウレタンシース中で少なくとも部分的に囲まれ得る。多くのポリウレタン材料は、物理的架橋を示すので、別個の架橋工程を要しない。このような材料は、例えば、とりわけ、溶融ベースのもしくは溶剤ベースの紡糸プロセスと関連して使用され得る。
本発明者らは、以下の実施例4に詳述されるように、より疎水性のポリウレタンコアの周りに親水性のポリウレタンシースを同時電界紡糸することによって、ポリウレタンの化学的性質に関連したこのコンセプトを示した。得られた複合線維は、いずれの材料単独からも異なる機械的特性および水和特性を有する。
より具体的には、機械的に強いポリウレタンコアおよび親水性のポリウレタンシースからなる複合材が、作り出された。使用される特定の技術は、スリット表面コア−シース電界紡糸であった。以前に示されるように、電界紡糸は、さらなる利益および機能性(例えば、軟らかさ、高い表面積、適応性)を付与する小さな直径(マイクロメートルもしくはナノメートル)を有する線維を作り出す。しかし、適切な線維はまた、他の技術(線維形成技術の中でもとりわけ、溶融紡糸、溶融電界紡糸、および遠心線維紡糸が挙げられる)を使用して生成され得る。
上記のように、PDMSのプレポリマーは、線維が形成されるほど十分なポリマー鎖の絡み合いを可能にしないその低分子量および流動性に起因して、電界紡糸し難い。さらに、上記シリコーンプレポリマーは、架橋されるまで流動性のままであるので、線維構造を保存する何らかの方法なしで線維を紡糸すると、良好な線維形成が生じない可能性がある。本発明者らは、この困難を、特に、マイクロサイズおよびナノサイズの線維に関して、ポリマーシース内にPDMSプレポリマーおよび架橋剤を囲むように同軸電界紡糸することによって克服した。ある種の実施形態において、ヒドロゲルポリマーは、ポリマーシース材料として使用される。例えば、以下の実施例3において、上記コアポリマーは、架橋PDMSであり、上記ポリマーシースは、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)である。
いくつかの実施形態において、上記ヒドロゲル形成ポリマーの架橋は、上記コア材料、ならびに上記複合線維の所望の特性に適するように改変される。いくつかの実施形態において、ヒドロゲル架橋は、コア架橋とともに、熱を適用することによって開始される。例えば、上記コアポリマーは、架橋PDMSであり得、上記ポリマーシースは、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)であり得る。これらはともに、熱の適用によって架橋される(例えば、実施例3を参照のこと)。他の実施形態において、上記ヒドロゲルポリマー(および/もしくはコアポリマー)の架橋を開始するための方法としては、UVもしくはγ照射、凍結/融解サイクル、超臨界乾燥などが挙げられる。さらに他の実施形態において、物理的に架橋されたヒドロゲルが選択される(例えば、実施例4を参照のこと)。ヒドロゲル化合物のこれらバリエーションの全ては、本開示の範囲内である。
本開示のこの局面の主な利益は、弾性で、耐久性のある生体適合性かつ機械的に安定な構築物がヒドロゲルのために提供され得、その結果、ヒドロゲルの多くの潜在的利益がより大きな機械的一体性を要する適用において利用され得ることである。別の利益は、コア−ヒドロゲル線維を形成するための方法が提供され、これは、上記コア形成ポリマーおよび/もしくはシース形成ポリマーとして選択されるポリマーの物理的架橋属性に起因して、別個の架橋工程を要しないことである。
以前に示されるように、小さな直径の線維メッシュは、より大きな直径の線維から作製されるメッシュよりも、とりわけ、高い表面積、高い透過性および低い孔サイズを提供する。従って、本開示は、ヒドロゲルの利益と小さな直径の線維メッシュとを併せ持つ材料を提供する。
他で記載されるように、これらコア−ヒドロゲル線維は、医療用デバイスもしくは他の生成物として使用するために種々の形状(例えば、チューブ、メッシュ)へと集められ得るか、形成され得るかもしくは処理され得る。
他の材料はまた、新たな特性を改変もしくは得るために、上記コアもしくはシースポリマーの中に組み込まれ得る。例えば、水吸収粒子は、水保持能力、もしくは溶離して別の利益を提供する薬剤をさらに改善するために含まれ得る。
従って、いくつかの実施形態において、賦形剤材料が、水膨潤および保持能力を増大させるために、上記線維の中に組み込まれる。賦形剤材料は、架橋親水性ポリマー(例えば、とりわけ、PVP、セルロース、ゼラチンおよびデンプン)を含む。これら材料は、電界紡糸の間に、上記シースもしくはコア中にポリマーを溶解させた場合に組み込まれ得る。あるいは、それらは、上記線維を生成するために使用される溶媒中で、溶解性でないかまたは部分的に溶解性であるに過ぎない粒子として含まれ得る。この場合、上記賦形剤材料は、最終線維の表面の中に埋め込まれるかもしくは上記表面から突出する粒子として存在する。
いくつかの実施形態において、治療剤(例えば、低分子薬物、麻酔剤、凝固促進剤、抗凝固剤、抗菌剤、生物製剤、RNAi、遺伝物質、遺伝子ベクター、ワクチンもしくは銀ナノ粒子のような粒子)が、線維の中に組み込まれ、水和した際に放出される。
適用に関して、いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、心臓弁の弁膜において使用され得る。置換心臓弁は、いくらかの場合、天然の弁膜を再現するために合成材料を使用する。天然の弁膜は、薄く、非常に可撓性でかつ耐久性がある。これら特性に加えて、上記弁膜は、非血栓形成性である必要がある。内皮形成を促進することは、非血栓形成性移植物を提供する最良の方法のうちの1つである。上記ヒドロゲル層シースと上記マイクロファイバーもしくはナノファイバー構造は、内皮細胞増殖を促進する。水和の際に、上記ヒドロゲル層は膨潤し、上記コア線維の間の孔を埋め、従って、上記弁の孔を血液が通過しないようにする。好ましい実施形態において、コア−ヒドロゲル線維のマイクロファイバーメッシュは、100〜1000ミクロンの間の厚みへと電界紡糸される。目標線維直径は、500nm〜10μmである。これらメッシュは、次いで、適切な形状へと裁断され、本体へと取り付けられ、これが開腹術もしくは最小限に侵襲性の手術を介して移植される。代替の実施形態としては、以下が挙げられる:タンパク質もしくは抗体(例えば、CD34、VEGF)で上記コアポリマーを官能化して、組織の内方への成長および再内皮形成を促進すること(特に、分解性ヒドロゲルが選択される場合);フレーム(例えば、ポリマー線維、金属ワイヤ、輪郭が示された導電性メッシュ)上に電界紡糸して、弁膜を形作るおよび/もしくは本体への取り付けを提供する一助とすること;複合移植物を作り出す生体適合性線維構造体へ電界紡糸すること(例えば、線維が上記弁膜にわたってさらなる機械的強度もしくは種々の剛性を提供する);ならびに上記線維を被覆もしくは官能化して、血栓形成性を低減すること(例えば、ヘパリン)。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、ステントグラフト被覆において使用され得る。例えば、ヒドロゲル線維は、左心耳閉鎖において使用されるステント上の被覆として使用され得る。これら実施形態は、心臓弁の弁膜に類似しているが、上記コア−ヒドロゲル線維は、管状コレクターの上に電界紡糸されて、マイクロファイバーもしくはナノファイバーのチューブを形成する。好ましいメッシュ厚は、100〜1000ミクロンの間である。目標線維直径は、500nm〜10μmの間である。このチューブは、次いで、ステントに取り付けられて、ステントグラフトを形成し得る。あるいは、上記線維は、上記ステント上に直接電界紡糸され得る。心臓弁のコンセプトに関して記載される代替の実施形態は、ここでも適用可能である。利点は、複合コア−ヒドロゲル線維が、細胞の内方の成長を促進すると同時に、弾性の生体適合性で耐久性のある移植物を提供することである。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、血管グラフトにおいて使用され得る。これら実施形態は、ステントグラフト設計に類似であるが、そのチューブは、ステントに取り付けられず、好ましいメッシュ厚範囲は、より大きい(100〜5000ミクロン)。あるいは、これらチューブ状メッシュは、天然の組織の機械的特性が低下してしまった場合の血管(例えば、バイパス手術のための自家血管グラフト)または他のチューブ状構造(例えば、腹部大動脈瘤において)としてのための強化カフとして作用する。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、生体工学で作られた血管において使用され得る。これら実施形態は、上記の血管グラフトに類似しており、上記コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、チューブへと形作られ得、細胞がエキソビボで播種され得る。これら細胞(代表的には、線維芽細胞、平滑筋細胞および内皮細胞)は、上記移植片材料上で組織を増殖させるために、種々の条件(例えば、拍動性の流れ、一定の流れ、もしくは流れなし)下で栄養豊富な環境の中でインキュベートされる。上記コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーは、細胞浸潤および増殖を促進することにおいて利点を提供し得、同様に、血管に代表的な弾性特性を提供し得る。上記コア−ヒドロゲルチューブは、単独で、もしくは他の天然材料(例えば、コラーゲン)もしくは合成材料(例えば、PTFE、ePTFE、ポリウレタン)と組み合わせて、使用され得る。他の実施形態において、上記グラフトには、細胞が播種され、意味のあるインキュベーションなしで移植されるか、または細胞播種なしで移植される。後者の場合には、宿主由来の細胞が浸潤し、上記グラフトの中に住み着く。
いくつかの実施形態において、上記ヒドロゲル線維は、医療用デバイス閉鎖適用において使用される。これら機械的に強いヒドロゲル線維、および得られるメッシュ、糸、チューブなどは、理想的には、医療用デバイスと身体、他の医療用デバイスもしくは閉鎖を要する他の表面との間の界面を閉じるための使用に合わせられる。例えば、それらは、移植された心臓弁と天然の弁輪との間の閉鎖を提供して、弁周囲逆流を防ぐために使用され得る。一実施形態において、上記ヒドロゲル線維は、上記弁ステントの外側表面に直接電界紡糸されるか、まがはメッシュ、糸もしくはチューブに形作られ、製造プロセスの一部として上記弁ステントに適用される。移植の際に、上記ヒドロゲルは、血液から水分を吸収し、このことから膨潤がもたらされ、上記移植物と弁輪との間の空間が埋められ、従って、弁の周りを閉じて、漏出を妨げる。他のヒドロゲルと比較した利点は、都合の良い機械的特性および耐久性が、より安全かつより有効な製品をもたらすことである。他の適用としては、以下が挙げられる:ステントグラフト、血管グラフトもしくは他の医療用デバイスの側面に接触する血管にヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーを提供して、上記グラフトもしくは他の医療用デバイスと血管壁との間を閉じること;ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーをステントグラフトの外径もしくは内径に提供して、一緒にアセンブリされる2つのステントグラフト構成要素(例えば、EVARグラフト本体および腸骨動脈脚伸長部)との間を閉じること;チムニー、シュノーケルなどとして、別のステントグラフト配置の一部として使用される予定のステントグラフトの外側に線維を提供すること;経皮カテーテル、人工肛門***用バッグ、もしくはリード線の外側表面にヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーを提供して、上記デバイスと、皮膚および/もしくは下にある筋肉、脂肪もしくは筋膜との間を閉じること;消化管への移植に設計されたデバイスの外側に線維を提供して、食物が消化器系のセグメントと接触するのを防ぐこと;内視鏡もしくは腹腔鏡機器もしくはアクセスチューブの周りに線維を提供して、上記患者の組織に一時的閉鎖を提供し、出血、気体の漏れもしくは流体の漏れを防止すること。上記デバイスが一時的であり、除去されるそれら適用のために、上記ヒドロゲルの強い機械的特性および滑りやすい表面は、除去を助ける。
いくつかの実施形態において、上記ヒドロゲル線維は、ひずみが付与される場合のみそれらが水和するように製造され得る(例えば、以下の実施例3を参照のこと)。水和の際に、上記線維状構築物は、体積が増大する。この特性は、ステントグラフトおよび心臓弁カフの周りにひずみ依存性閉鎖を作る場合に応用され得る。いくつかの場合、ステントグラフトおよび心臓弁カフが展開されるときに、それらは、血管壁もしくは弁輪と完全に一致して接触せず、それによって、上記ステントグラフトと血管との間に開いた空間を残し、これは翻って、漏出、デバイス不良および不十分な臨床転帰をもたらし得る。上記ヒドロゲル線維は、環もしくはステントの覆いとして使用され得、その結果、送達の間には、上記ヒドロゲル線維の被覆が濡れないが、ステントを展開した際には、上記線維の被覆が引っ張られ、上記線維の湿潤および膨潤を生じ、ステントが周りの組織と一致して接触しない空の空間を埋める。
いくつかの実施形態において、上記ヒドロゲル線維は、非医療用シーリングにおいて使用される。例えば、上記コア−ヒドロゲル線維は、水性環境もしくは非水性環境において非医療用適用でシールを提供するにあたって有用である。例えば、水性環境では、シールされるべき2つの表面の間に配置された線維は、水と接触した際に水和し、次いで、膨潤することによって、上記表面をシールし、微小構造を通る流れを妨げる。非水性適用(例えば、油輸送)では、上記メッシュは、取り付けの際に水和し、2つの表面の間での膨潤からシールを作りだし、非水性液体と非混和性であることから漏出をも防止する。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、動静脈グラフトもしくはシャントにおいて使用され得る。これらグラフトは、反復透析のためのより良好なニードルアクセスを提供するために、血液透析患者において使用される。コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、強い一連の機械的特性を提供し、細胞の内方への成長をも促進する。弾性、耐久性、生体適合性の可能性および低い血栓形成性は、これらグラフトの性能を改善する。一実施形態において、コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、チューブへと形作られ、移植される。このチューブは、完全性および細胞の内方への成長を改善するために、官能化もしくは他の材料(例えば、ヘパリン、コラーゲン、ゼラチン、増殖因子)での被覆によって前処理され得る。他の実施形態において、コア−ヒドロゲルメッシュは、複合層化構造を形成するために、シートもしくはメッシュとして他の天然のもしくは合成の材料と組み合わされ得る。この層化構造は、上記機械的特性、移植直後に血液を含められること、または長期間の耐久性もしくは性能を改善し得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、ヘルニアメッシュにおいて使用され得る。コア−ヒドロゲル線維(例えば、ヒドロゲルシースを有するシリコーンもしくはポリウレタンコア)は、厚み500〜5000ミクロンの平らなメッシュ構成へと電解紡糸され得る。機械的特性を改善するために、複合材は、所望の構成で生体適合性ポリマー線維上に直接電界紡糸することによって、それら線維で形成され得る。これら線維はまた、上記メッシュの縫合糸性能を改善する構成で提供され得る。代替の実施形態において、上記メッシュは、組織の内方への成長もしくは一体化を改善するために官能化され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、二重の被覆において使用され得る。硬膜に傷が付けられる神経外科手順において、上記膜を再度閉じるために被覆を提供することは望ましい。コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュ(必要に応じて、ポリマー膜(例えば、シリコーン、PLGA、コラーゲン)と組み合わされる)は、この目的で使用され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、創傷包帯において使用され得る。創傷包帯の難点は、創傷への接着、創傷滲出液の管理、ならびに空気および水分(創傷滲出液)への透過性を含む。例えば、ヒドロゲルを囲むポリマー(例えば、シリコーンもしくはポリウレタン)は、100〜5000ミクロンの間のメッシュへと電界紡糸され得る。好ましい線維直径は、500nm〜10ミクロンの間である。上記強化されたヒドロゲルの利点は、これが創面環境に水分を提供すると同時に、上記創傷に接着しない保護層をも形成することである。一実施形態において、ヒドロゲル−ポリマー包帯は、別個に供給され、医療スタッフが、上記コア−ヒドロゲル線維包帯の上に層にしてさらなるガーゼもしくは他の包帯を配置する。別の実施形態において、コア−ヒドロゲルメッシュは、流体を吸収し、創傷を保護する助けとするために、最終製品の一部としてガーゼもしくは他の裏打ち材料と組み合わされる。さらに他の実施形態において、上記コア−ヒドロゲルメッシュは、治療剤(例えば、抗生物質、抗真菌剤、局所鎮痛剤、消毒薬(例えば、ヨードチンキ)など)とともに製作され得る。さらに他の実施形態において、上記ヒドロゲル−ポリマーメッシュは、陰圧閉鎖療法で使用するために製作される。この場合、上記メッシュは、これらデバイスと適合性であるようなサイズにされ、陰圧が印加されるにつれて創面環境に配置される。この高い透過性および多孔性は、滲出液除去、および包帯が外されなければならない場合に非接着性の包帯を可能にする。上記ヒドロゲルシースもしくはコアポリマーはまた、上記創傷への治療剤の放出を制御するにあたって有用であり得る(例えば、抗菌剤、抗生物質、銀イオン、増殖因子、鎮痛薬、麻酔剤、デブリードマン化合物もしくは酵素など)。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、止血適用において使用され得る。止血適用のために、上記デバイスは、創傷包帯によく似た構成にされるが、上記ヒドロゲル−ポリマーマイクロファイバーもしくはナノファイバーは、血栓形成促進剤(例えば、トロンビン、カオリン、キトサン、フィブリン)とともに製作されるかもしくは表面改変される。上記線維は、容易に外され得る非接着性の包帯を提供する。さらに、その高い透過性および多孔性は、血液が浸透し、表面積のかなりの量が、上記血栓形成促進剤と接触することを可能にする。この開いた構造はまた、凝固因子が創傷の中に戻って拡散して、血餅形成を促進することを可能にする。この材料はまた、他の包帯(例えば、コンバットガーゼ)上の非接着性層として一体化され得る;この適用のために、上記線維は、血栓形成促進剤とともに製造されてもよいし、そうでなくてもよい。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、濾過において使用され得る。複合コア−ヒドロゲル線維メッシュは、空気、気体、液体、スラリーもしくは粒子のためのフィルターとしてもしくはフィルターの一部として使用され得る。特に、電界紡糸されたマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュのその低い孔サイズおよび高い透過性は、フィルターに望ましい。さらに、上記線維が弾性である場合、その弾性の性質は、フィルターをきれいにする方法を提供する。単に上記材料を二軸方向に延ばすと、周囲からもしくは他の方法でその孔サイズが増大する。次いで、気体もしくは液体の逆流が、デブリもしくは他の物質から孔をきれいにする方法を提供する。類似の様式で、フィルターの取り込み面側に形成されるケーキは、上記シリコーンメッシュを延ばし、上記ケーキを落とすことによって容易に外され得る。上記コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、高い強度および親水性によって特徴付けられ得るので、水中の油含有物を分配するために、フィルター、バリアもしくは分離膜として有用である。上記コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーメッシュは、単独で使用され得る(好ましい厚みは、100ミクロン〜1cm)。あるいは、上記コア−ヒドロゲルメッシュは、他の市販のフィルター材料を使用して層化フィルターの一部として構築され得る。この場合、上記コア−ヒドロゲルは、別の材料の上に直接電界紡糸され得、アセンブリの間に他の材料上に配置される得るか、またはワイヤもしくは機械的支持を提供するために大きな開口部を有する他の線維メッシュ上に電界紡糸され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、薬物送達において使用され得る。上記水和したコア−ヒドロゲル複合材は、実質的に非多孔性であるが、適応する(conformal)層として作用し得る。一実施形態において、上記コア−ヒドロゲル材料は、標的送達領域に挿入され、次いで、気体もしくは他の流体(例えば、薬物含有溶液など)で膨張させられて、上記標的領域の内部構造に適応する。上記ヒドロゲルと上記表面との適応する接触は、効率的な薬物送達をもたらす。あるいは、膨張に際して特定の拡張制限に達すると、上記孔は延ばされて開き、薬物溶液が放出されることを可能にする。いったん縮小すると、上記孔は、元に戻って閉じるので、領域への薬物送達の阻害は、上記デバイスの除去の間には標的とされない。このアプローチは、類洞空間(sinusoidal space)のような腔および内腔への治療剤送達のために特に適用可能である。
種々の実施形態において、薬物は、患者への送達のために上記コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーへと組み込まれ得る。例えば、コア−ヒドロゲル線維メッシュは、コア形成溶液中の薬物で形成され得、皮膚送達もしくは経皮送達のために皮膚に配置され得る。本開示の線維メッシュは、適応送達のためにバルーンを開く能力に起因して、それらが副鼻腔(sinus cavity)、腸壁もしくは外耳道のような困難な開口部に標的化送達の手段を提供する。それは、単独で移植されてもよいし、ステントのような別の医療用デバイスを使用して適所に保持されてもよい。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、糸のような調整された線維束へと集められ得る。これら糸は、使用され得る(例えば、縫合糸)かもしくはさらに処理され得る(ロープになる複数の撚糸、織布シート、チューブもしくは他の形状になる複数の織り糸、ステント、足場もしくは他のチューブ状構造体になる複数の組紐糸が挙げられる)、強く、弾性のヒドロゲル線維として作用する。これら構成は、新規な医療用デバイス(例えば、ヒドロゲルカテーテル、イントロデューサーシース、ガイドワイヤ、血管グラフト、ヘルニアメッシュなど)へと展開され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、テキスタイルの中で使用され得る。コア−ヒドロゲルマイクロファイバーもしくはナノファイバーはまた、高弾性、耐久性、水吸収性および透過性が所望されるテキスタイル適用において使用され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、ティッシュエンジニアリング適用において使用され得る。ヒドロゲルは、これらの目的に望ましい酸素、栄養素などの自由な拡散を可能にする。この特性は、拡散がヒドロゲルの体積全体にわたって起こり得るのみならず、線維ネットワークによって作られた多孔性を通じても起こり得るので、さらに増強される。ヒドロゲルは、これらの有望な生体適合性および水和特性に起因して、ティッシュエンジニアリング適用において広範囲に使用される。本開示の主な利益は、3D足場を形成するために、線維性ヒドロゲルがより良好な細胞結合および一体化を可能にすることである。上記ヒドロゲルシースは、細胞の結合および内方への成長を可能にし、それは、最終的に分解される一方で、上記コアポリマー線維は、より恒久的な機械的支持を提供する。この適用の具体例としては、硝子軟骨修復が挙げられ、ここで上記ヒドロゲルシースは、幹細胞が結合して軟骨細胞に分化するための生体適合性足場を提供する一方で、その多孔性がコラーゲンおよびECM成分の軟骨細胞分泌の空間を提供する。
いくつかの実施形態において、上記ヒドロゲル線維は、美容外科手術もしくは形成外科手術において組織膨張薬剤(tissue bulking agent)として使用される。上記ヒドロゲル線維の弾性および可撓性の機械的特性および高い水和作用は、より自然な外観もしくは感触のために、天然の組織のものと適合するように合わせて調整され得る。上記線維性の性質は、膨張薬剤が適所に留まってずれないように、周りの組織と一体化する。さらに、上記ヒドロゲルは、非生体吸収性であるように、従って、時間が経ってもその膨張能力を維持するように作製され得る。
いくつかの実施形態において、上記複合コア−ヒドロゲル線維は、医療用電極として使用される。ヒドロゲルの膨潤特性は、電気インピーダンスを低下させ得、かつ電極性能を改善し得る、組織と適応性のかつ密着した接触を可能にする。さらに、導電性を改善するために、上記コア材料は、導電性ポリマーから構成され得るか、または導電性粒子もしくはイオンを含み得る。
上記複合コア−ヒドロゲル線維のバルーン形成および水和能力は、マイクロ波の使用を通じて組織を切除するたまえに使用され得る特有の特性である。例えば、体腔(例えば、子宮内膜、左心耳)内の切除のために、もしくは不規則な表面(例えば、肝臓、食道、副鼻腔)への切除のために、複合コア−ヒドロゲル線維のメッシュは、気体(例えば、二酸化炭素)で膨らませて、その組織と適応して接触させる。バルーン内の供給源からのマイクロ波の適用は、取り囲んでいる組織を熱で切除するために上記腔もしくは組織表面とぴったりとかつ適応して接触した状態にある上記ヒドロゲル膜の中の水を加熱する。
この同じ技術は、他の切除アプローチ(熱水による(例えば、熱水もしくは他の熱した液体でバルーンを膨らませる)、化学的な(例えば、ヒドロゲル線維中の切除因子(ablative agent))もしくは冷凍切除(cyroablation)(例えば、上記バルーンを冷却するために使用される冷却源もしくは液体窒素)によるアプローチが挙げられる)に拡げられ得る。
本開示の複合コア−ヒドロゲル線維はまた、体腔に塞栓形成するために使用され得る。上記複合構造は、当業者に公知の技術を使用して、患者に挿入され得る線維もしくはコイルを提供する。次いで、上記ヒドロゲルの特性によって上記線維が膨潤され、上記体腔もしくは動脈瘤の内腔を完全に埋める。ここには2つの重要な利点がある:1)線維の強度および高い膨潤比の組み合わせ、ならいに2)非常に小さな線維もしくはコイルおよび/または可撓性の移植物を形成する能力。
(実施例1.PDMSコアおよびPLGAシースを有する線維)
コア/シース線維は、ハイスループットコア−シース無ニードル電界紡糸設備の使用に従って製作する。上記シースポリマー系は、6:1(体積で) クロロホルム:メタノール溶媒中の3.5重量% 85/15 ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)であった。上記コアポリマーは、10:1 質量比で混合したPDMS(Sylgard 184,Dow Corningから市販されている、A部(プレポリマー)およびB部(架橋剤)からなる2成分液体系)からなった。上記シース溶液流速を200ml/hに設定した一方で、上記コア流速を20ml/hに設定した。上記線維を、接地収集プレートの上に沈積させ、ここから集めた。次いで、製作されたメッシュを、100℃(硬化を促進するために)のオーブン中に3時間置き、次いで、クロロホルムの中に1時間浸漬させて、上記PLGAシースを溶解させた。上記PDMS線維メッシュは、溶媒への曝露の際にある程度膨潤したが、溶媒エバポレーション後に元のサイズに戻るように収縮した。図1は、硬化後の上記PLGA/PDMS シース/コア線維の断面の画像を示す。上記シース/コア構成の中の種々のポリマーが観察され得る。図2は、シース層除去後のPDMS線維を示す。PDMS線維を、直径約1〜5ミクロンの間になるように製造した。しかし、本明細書の他の箇所で記載されるように、上記コアPDMSの直径は、電界紡糸パラメーターを調節することによって調節され得る。
(実施例2.PDMSコアおよびPLGAシースを有するさらなる線維)
コア−シース線維を、実施例1に記載されるように、PDMS(Sylgard 184)コアを覆うシースとして、50/50 ポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(5050 PDLGA)で電界紡糸した。そのシース溶液は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中の11重量% 5050 PDLGAであった。上記シース溶液の流速を10ml/hに設定した一方で、上記コア溶液流速を1ml/hに設定した。上記線維を、続いて、60℃のオーブンの中に24時間置いて、上記線維中のPDMSを硬化させた。図3Aは、形成されたコア−シース構造を(断面で)示す。上記線維の直径を、上面図および断面図に関して測定した。上記線維の線維全体の直径は、約7ミクロンであった(図3Aおよび3Cを参照のこと)一方で、上記コアPDMS直径は、約4.5ミクロンであった(図3Bおよび3Dを参照のこと)。上記5050 PDLGAシースを、1.5% リン酸ナトリウム、0.1% ホウ酸、および0.08% クエン酸からなる12pH緩衝液中に、37℃で7日間上記メッシュを浸漬することによって、分解促進条件下で除去した。図3Bで認められ得るように、上記シース層は、後にPDMSのみの線維を残して、完全に分解および除去された。
本開示の電界紡糸された線維およびメッシュは、キャストフィルムとしてPDMSを構築する古典的な方法から形成されるものとは異なる特性を提供する。上記電界紡糸されたPDMSのみのメッシュの接触角は、110°であると測定された一方で、PDMSのキャストフィルムは、接触角104°を有した。図4は、本開示の電界紡糸プロセスを使用して形成されたPDMSメッシュの疎水性および親油性の性質を示す。上記メッシュ上に置かれた水滴(左)は、ビーズ状のままであるの一方で、油滴(右)は、上記メッシュを湿らせ、上記メッシュの孔全体を通じて動き得る。図5は、キャストPDMSフィルムと比較して、上記メッシュの機械的特性を示す。そのデータは、上記PDMS線維メッシュがキャストフィルムとは顕著に異なる機械的特性を示すことを示す。上記キャストPDMSフィルムと比較して、上記メッシュの係数は有意に低い(0.2MPa 対 2.0MPa)一方で、その最大負荷時の拡張は有意に高い(300% 対 122%)。
図6A〜6Cは、上記コアの中にPDMSを、および上記シースの中に5050 PDLGAを有する、本開示の電界紡糸線維の断面顕微鏡写真を示す。その電界紡糸プロセスを、図6A〜6Cの断面図に示されるように、種々の線維直径を有するPDMS線維を生成するために、シース:コア流速 10:1、10:0.25、および20:0.25ml/hで行った。
(実施例3.PDMSコアおよびPVPシースを有する線維)
コア/シース線維を、TFE(トリフルオロエタノール)中の8重量% PVP(ポリビニルピロリドン)のシースポリマー溶液を、一方で、10:1 質量比で混合したSylgard 184(A部(プレポリマー)およびB部(架橋剤)からなる2成分液体系)からなったコアポリマー溶液を使用して製作した。上記シース流速は、10ml/hに設定した一方で、上記コア流速を2ml/hに設定した。
メッシュを、PTFE被覆アルミニウムシム上に集め、次いで、100℃もしくは150℃のいずれかで24時間硬化させた。次いで、上記メッシュをアルミニウムシムから外し、いかなる非架橋PVPをも水で溶解されていない脱イオン水の中に浸漬させた。残りのPVPを、上記シリコーン線維コアの周りの強いシースとして架橋した。次いで、これは、ヒドロゲルを形成し、その最初の質量の>200%へと膨潤した(膨潤の量は、上記PVPの架橋の程度(および従って、硬化温度)に比例する)。特に、100℃のサンプルに関しては、膨潤(質量で)は242%±48%で測定されたのに対して、150℃のサンプルに関しては、膨潤(質量で)は401%±76%で測定された。
ゲル画分データ(%ヒドロゲル)を生成した。100℃サンプルに関して、上記ゲル画分は64%±1%で測定されたのに対して、150℃サンプルに関しては、上記ゲル化区分は98%±3%で測定された。これらデータは、非架橋PVPの水抽出の際に、100℃硬化サンプルがその質量のうちの約40%を失っている一方で、150℃サンプルがその質量のほぼ100%を維持していることを示す。このことは、上記PVPシースが、150℃でほぼ完全に架橋され、100℃では部分的にのみ架橋され得ることを示唆する。
類似の結論が、以下を示す図7に図示されるように、SEMでの断面分析によって引き出され得る:(A)コアが完全に硬化したPDMSからなり、シースが100℃で硬化したPVPであるコア−シース線維のSEM断面;(B)水抽出を受けて、非架橋PVPを除去した後であることをの除いて、(A)と同じ線維のSEM断面;(C)コアが完全に硬化したPDMSからなり、シースが150℃で硬化したPVPであるコア−シース線維のSEM断面;(D)水抽出を受けて、非架橋PVPを除去した後であることをの除いて、(C)と同じ線維のSEM断面。水和の前には、2種の硬化温度サンプルは、コア線維直径(約6μm)およびシース厚(約1μm)において同一を示す。しかし、水和し、その後乾燥した後には、上記シースは、100℃サンプルにおいてほぼ完全に除去されているようである一方で、150℃サンプルにおいては、無傷なまま残っている。
FTIRによる分析から、1650cm−1あたりのアミンピークの存在によって、上記サンプル中にPVPが存在することが示され得る。さらに、PDMSは、水を吸収しないので、3400cm−1あたりに広いピークが存在することで、O−H結合、従って、上記サンプルによる水の吸収が示される。このことは、架橋PVPが存在する場合にのみ起こる。図8および図9は、純粋なPDMS、ならびに100℃および150℃の温度で硬化した純粋なPVPと比較した場合、それぞれ、湿潤状態および乾燥状態においてシリコーン線維ヒドロゲルから得られたスペクトルを示す。
100℃で硬化したPVP−PDMSのスペクトルと、純粋PDMSおよび純粋PVPのスペクトルとの比較において、最初の水抽出後に、上記サンプル中にPVPはほとんど残っていないことが確認され得る。PVPがほとんど残っていないことは、上記サンプルが水和下状態にある場合に検出され得るに過ぎない。乾燥PVP−PDMSヒドロゲルは、純粋PDMSとほとんど完璧に匹敵するので、大気から水分を本質的に吸収しない。このことは、上記サンプルに本質的に検出不可能な量のPVPしか残っていないが、これがヒドロゲルとしてなお挙動するという、質量喪失データおよびSEMからの観察を裏付ける。
100℃で硬化したPVP−PDMSヒドロゲルのスペクトルとは対照的に、150℃で硬化したサンプルのスペクトルは、乾燥時ですらアミンピークおよび吸収された水を示す。これは、PVPのほぼ全てがこの高温で架橋され、最初の水抽出後にもサンプル中に残っていることを裏付けるさらなる証拠である。
上記線維ヒドロゲルの機械的特性は、シリコーンマイクロファイバー構造の存在に起因して、劇的に増強される。ヒドロゲルの引っ張り特性は、希に報告されるが、これの機械的安定性が乏しいことから見出すのは困難である。シリコーン線維強化が伴うと、上記配列胃泥ゲルは、湿潤のためにより大きな表面積を有すると同時に、機械的完全性および強度をも維持する。さらに、上記シリコーン上の架橋されたヒドロゲル層の存在は、上記生理コーン線維を支持するための別の層を提供し、上記複合剤の全体的な強度を増大させる。図10は、湿潤状態および乾燥状態の両方での、ヒドロゲル−シリコーンマイクロファイバー複合剤の種々の配合の比較を示す。上記サンプルを、20mm角に裁断し、50mm/分の速度でInstron(登録商標)システムで試験した。架橋の温度が、上記材料の引っ張り強度および係数に影響を及ぼし得ることが、このデータから認めれ得る。
このデータはまた、機械的特性が上記材料の水和状態によって影響を及ぼされないようであるとすると、100℃で硬化したサンプルに架橋したPVPがほとんどないという先に述べた結論を裏付ける。逆に、150℃で硬化したPVP−PDMSは、水和されている場合より乾燥している場合に、強烈に異なって挙動する。乾燥した状態では、上記材料は、これが水和している状態より約200倍大きな係数を有する(すなわち、75MPa 対 0.4MPa)。それはまた、遙かに短い破断伸びを有する(7% 対 140%)。上記材料が水和状態にある場合、上記PVPは膨潤し、その機械的特性は、PDMS線維によって大いに引き起こされる。
シリコーンコア/ヒドロゲルシース線維の別の特徴は、上記線維が濡れているかもしくは乾燥しているかに依存して、その機械的特徴が変化し得ることである。例えば、乾燥メッシュは、高い空気透過性、高い多孔性を有し、不透明である。逆に、水和下メッシュは、低い空気透過性(膨潤したヒドロゲルが孔を埋めることが理由で)、高い水透過性を有し、光学的に透明である。メッシュがその拡張限界に達すると、それが破裂するときとは対照的に、その孔は開き、上記メッシュを通って気体もしくは液体が流れる。この拡張能はまた、硬化温度によって影響を受ける。なぜなら、上記線維の伸長は、硬化温度に依存するからである。
図11Aに示されるように、「バルーン」を、100℃で硬化した水和PVP−PDMS線維のメッシュから形成した。球形の拡張を想定する場合、体積拡張率は、バルーンが最大拡張に達するとほぼ800%である(図11Bを参照のこと)。最大拡張時には、上記バルーンは破裂しないが、空気透過性になるに過ぎず、空気が孔から漏れてしまう。上記水和メッシュの空気透過性および多孔性は、上記メッシュが延びて孔が開くと増大され得る。上記水和したヒドロゲルメッシュの透過性の低下に起因して、上記材料は、空気もしくは水を保持し得、非常に高体積に拡張すると同時に、機械的完全性をなお維持する。さらに、上記マイクロファイバーは、不規則な表面、腔もしくは容器に適合し得る可撓性のバルーンを提供する。純粋PDMS線維メッシュ(これは、破裂前に約100%拡張するに過ぎない)と比較すると、上記表面に対する架橋PVPの量が非常に少ないという影響は、極めて顕著である。150℃で硬化したPVP−PDMSヒドロゲルは、空気透過性になる前に450%まで拡張するので、硬化温度、従って、上記サンプル中の架橋PVPの量が、この特性をもたらすことを示す。
親水性ヒドロゲルシースと、親油性コア線維とを対にするという特有さから、上記PVPーPDMS線維メッシュは、水中および油中の両方で膨潤する。表1は、種々の硬化温度でのDI水および真空ポンプオイルの中での上記PVP−PDMSメッシュの膨潤特性の比較を示す。100℃で硬化したメッシュは、PDMS線維の存在および表面に非常に少量のPVPがあることに起因して、上記メッシュが水を吸収するのとほぼ同量の油を吸収する。他方で、150℃で硬化したメッシュは、これが油を吸収するより遙かに多くの水を吸収する。なぜなら、遙かにより多くの架橋PVPがこのサンプル中に存在するからである。
100℃で硬化したサンプルと150℃で硬化したサンプルとの間の膨潤、バルーン形成および機械的強度の差異に加えて、これらサンプルはまた、その最初の水和(抽出)および乾燥後の、それらのぬれ性において明確な差異を示す。上記150℃で硬化したPVP−PDMS線維は、迅速に水を吸収し、いかなるさらなる取り扱いも操作もなく、完全に水和する。他方で、100℃で硬化したメッシュは、それらの乾燥した伸びていない状態ではより疎水性である。上記メッシュを水和するために、それらは操作される(例えば、延ばされる)。この点に関して、水が乾燥したメッシュに最初に適用される場合、水は表面上にビーズを形成する。しかし、サンプルが延びて操作されるにつれて、それは完全に水和される。
(実施例4.ポリウレタンコアおよび親水性ポリウレタンシースを有する線維)
この実施例において、スリット−表面・コア−シース電界紡糸が使用され、ここでは親水性脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(HLPU)をシース材料として使用する一方で、より機械的に強く、より疎水性の脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン材料(HBPU)をコア材料として使用した。電界紡糸溶液は、以下のとおりであった:TFE中の4重量% HLPUおよびHFIP中に6重量% HBPU。電界紡糸を、種々のシース:コア流速比で行った。選択された流速比において、得られた線維は、以下のHLPU:HBPU重量比のHLPUおよびHBPUから構成された:それぞれ、(A)93:7、(B)82:18、(C)60:40、および(D)38:62。
図12は、各組成の線維のSEMを示す;全ての配合に関する線維直径は、約2ミクロンであった。
上記メッシュの特徴付けは、以下の表2および表3でまとめられる寸法および水和の測定値を含んだ。機械的特徴付けを、上記メッシュをイヌの骨の形状に裁断し、50mm/分の引き上げ速度でInstron(登録商標)を使用する引っ張り試験を行うことによって決定した。膨潤を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に少なくとも20分間サンプルを浸漬することによって特徴付け、PBSの滴を切った後に秤量した。膨潤を、(湿潤重量−乾燥重量)/乾燥重量として計算した。PBS保持を、上記水和材料を濾紙の上に置いて40mmHgに等しい重量を30秒間適用することによって、決定した。次いで、上記サンプルを再秤量して、試験の間に失われた水分の量を決定した。この種々のポリウレタンサンプルの湿潤引っ張り強度は、表2に示され、上記線維中のHBPUの量が増大されるにつれて、機械的特性における増大を示す。従って、コア 対 シースの材料組成を変化させることによって、引っ張り強度を調節することができる。
表3は、種々の配合の水和特性を示し、水和の際のサンプル収縮および膨潤が、上記線維の化学的組成によって最も影響を受けたことを示す。しかし、PBS保持は、有意には影響を受けないようであった。
HLPU含有量の関数としての機械的特性および水和特性の比較を、図13および図14に示す。図13は、HLPUの量が減少する(従って、HBPUの量が増大する)につれて引っ張り強度が増大することを示す。しかし、引っ張り強度が増大するにつれて、PBS吸収の量は、親水性材料が存在する量が少なくなる結果として減少する。
HLPU含有量の関数としての膨潤(もしくはPBS吸収)および収縮データの比較は、上記機械的特性および水和特性を調節するためにコア−シース線維構造を使用するという有用性を高める。図14に示されるように、HLPU含有量が増大するにつれて、膨潤能が増大する;しかし、上記メッシュの寸法の収縮(すなわち、面積の収縮)もまた、HLPU含有量が増大するにつれて増大することが観察される。これらデータは、これら材料の配合の自由を示し、上記ヒドロゲルメッシュの性能とその化学的組成との間にある相関を示す。
引っ張り強度、収縮、および膨潤にわたる性能を、ポリマー材料のシース:コア比を変化させることによって最適化した。これは、多くの適用、特に医療適用のために非常に有利である。例えば、ヒドロゲル創傷包帯は、乾燥時にその創傷サイズに合うように裁断される。これら包帯は、水分環境を提供することによって創傷治癒を改善し、過剰な創傷滲出液を吸収して、漏れないようにする。しかし、過剰な収縮は、包帯が液体を吸収し始めた後に、上記創傷を不適切に覆う包帯を生じ得る。図15、図16および図17に示されるように、Aquacel(登録商標)(ConvaTec Inc.)もしくはDurafiber(登録商標)(Smith&Nephew)のような市販の創傷包帯と比較すると、匹敵する水分吸収(図15、配合Aおよび配合Bを参照のこと)、遙かに強い機械的特性(図16、全ての配合を参照のこと)を提供し、最小の収縮(図17、配合Dを参照のこと)および既存の製品に匹敵する収縮(図17、配合Bおよび配合Cを参照のこと)を有する材料が開発された。
種々の実施形態において、本開示に従うメッシュは、高温でアニールされて、その特性を改善する。例えば、本明細書で形成されるとおりのHLPU/HBPU シース/コア線維メッシュは、アニーリングの際に多孔性がより少なくなることが見出された。この点に関して、図18Aおよび18Bは、本明細書で記載されるとおりのHLPU/HBPU シース/コア線維から形成されるメッシュのそれぞれ、アニーリング前後の顕微鏡写真である。メッシュ多孔性が減少するとともに、上記アニーリング工程は、メッシュ体積(従って、メッシュ面積)の減少によって達成される。予測外なことに、このようなアニーリング工程は、水分保持を改善し、(メッシュ縮小よりむしろ)メッシュ拡張を生じることが見出された。この点に関して、図19は、本開示に従う、アニールされていない(B 標準)およびアニールした(B アニール済み)HLPU/HBPU シース/コア線維メッシュのPBS保持値、ならびにAquacel(登録商標)およびDurafiber(登録商標)創傷包帯の保持値を示す。図19から認められるように、Aquacel(登録商標)およびDurafiber(登録商標)創傷包帯のものにひってくスルPBS保持を提供するアニールされたメッシュ材料が開発された。この点に関して、図20は、本開示に従う、アニールされていない(B 標準)およびアニールした(B アニール済み)HLPU/HBPU シース/コア線維メッシュの、ならびにAquacel(登録商標)およびDurafiber(登録商標)創傷包帯の収縮値もしくは拡張値を示す。このように、前述から認められるように、本開示は、メッシュ吸収、保持および収縮/拡張を、手近な適用に合わせて調整できることを提供する。
さらに、他の箇所で示されるように、得られル小さな線維サイズがまた、軟らかさ、適応性を改善し、非常に高い表面積をもたらす。高い表面積は、特性の中でもとりわけ、吸収能、水和動態および薬物放出能を改善する。さらに、上記線維形状因子は、糸、ロープ、チューブ、メッシュなどのような新規な形状因子への形成/集まりを可能にする。
(実施例5.銀粒子を含むポリウレタンコアおよび親水性ポリウレタンシースを有する線維)
この実施例において、ニードルコア−シース電界紡糸が使用され、ここでは親水性脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(HLPU)をシース材料として使用した一方で、より機械的に強い、より疎水性の脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン材料(HBPU)をコア材料として使用した。その電界紡糸溶液は、以下のとおりであった:TFE中の4重量% HLPUおよびポリマーに対して銀粒子を30%含む、HFIP中の6重量% HBPU。得られた線維は、銀が被包され、図21に示されるコア−シース外形を示した。銀は、その抗菌特性については周知であり、このようなメッシュは、創傷包帯適用に関して銀の徐放のために使用され得る。銀ナノ粒子に加えて、他の実施形態は、他の粒子および/もしくは賦形剤を上記コア材料の中に組み込んで、種々の性能マトリクスを達成することを包含する。例えば、架橋セルロースもしくは他の親水性ポリマーは、得られた線維の水和特性をさらに補助するために、上記コアの中に組み込まれうる。
種々の局面および実施形態が本明細書中に具体的に記載されているものの、本発明の改変およびバリエーションは、上記の教示によって網羅されており、本発明の趣旨および意図された範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲の中にあることは、認識される。

Claims (30)

  1. (a)コア形成ポリマーを含むポリマーコア、および(b)親水性ポリマーを含むポリマーシースを含む多成分線維であって、ここで該コア形成線維は、該親水性ポリマーより疎水性である、多成分線維。
  2. 前記多成分線維は、コア−シース電界紡糸プロセスによって形成される、請求項1に記載の多成分線維。
  3. 前記多成分線維は、直径0.1〜20ミクロンの範囲に及ぶ、請求項1〜2のいずれかに記載の多成分線維。
  4. 前記多成分線維におけるシース体積 対 コア体積の比は、100:1〜1:1の範囲に及ぶ、請求項1〜3のいずれかに記載の多成分線維。
  5. 前記親水性ポリマーは、共有結合的に架橋されている、請求項1〜4のいずれかに記載の多成分線維。
  6. 前記親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリサッカリド、セルロース、キトサン、アルギネート、カラギーナン、ヒアルロナン、ゼラチンおよびコラーゲンから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の多成分線維。
  7. 前記親水性ポリマーは、親水性ポリウレタンである、請求項1〜4のいずれかに多成分線維。
  8. 前記親水性ポリウレタンは、脂肪族ポリエーテルベースのポリウレタンである、請求項7に記載の多成分線維。
  9. 前記コア形成ポリマーは、熱可塑性ポリマーである、請求項1〜8のいずれかに記載の多成分線維。
  10. 前記コア形成ポリマーは、脂肪族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタンである、請求項9のいずれかに記載の多成分線維。
  11. 前記コア形成ポリマーは、架橋ポリシロキサンである、請求項1〜8のいずれかに記載の多成分線維。
  12. 前記ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである、請求項11に記載の多成分線維。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の多成分線維によって形成される、不織布メッシュ。
  14. 前記メッシュは、厚み10〜5000ミクロンの範囲に及び、前記多成分線維は、直径0.1〜20ミクロンの範囲に及ぶ、請求項13に記載のメッシュ。
  15. 前記メッシュは、少なくとも0.005MPaの湿潤引っ張り強度係数を有する、請求項13〜14のいずれかに記載のメッシュ。
  16. 25℃で1時間水性媒体中に浸漬した際に、前記メッシュは、少なくとも10%の吸収性を有する、請求項13〜15のいずれかに記載のメッシュ。
  17. 前記メッシュの多孔度は、99%未満である、請求項13〜16にいずれかに記載のメッシュ。
  18. 請求項13〜17のいずれかに記載のメッシュを含む、医療用物品。
  19. 請求項1〜12のいずれかに記載の多成分線維を形成するための方法であって、該方法は、前記親水性ポリマーを含む第1の溶液および前記コア形成ポリマーを含む第2の溶液から該多成分線維を電界紡糸する工程を包含する方法。
  20. (a)架橋ポリシロキサンを含むポリマーコア、および(b)除去可能なシース形成ポリマーを含むポリマーシース、を含む多成分線維。
  21. 前記多成分線維は、直径0.1〜20ミクロンの範囲に及ぶ、請求項20に記載の多成分線維。
  22. 前記ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである、請求項20〜21のいずれかに記載の多成分線維。
  23. 前記シース形成ポリマーは、溶解性もしくは分解性のポリマーである、請求項20〜22のいずれかいずれかに記載の多成分線維。
  24. 請求項20〜23のいずれかに記載の多成分線維によって形成される、メッシュ。
  25. 前記メッシュは、厚み10〜5000ミクロンの範囲に及び、前記多成分線維は、直径0.1〜20ミクロンの範囲に及ぶ、請求項24に記載のメッシュ。
  26. 請求項24〜25のいずれかに記載のメッシュを含む、医療用物品。
  27. 請求項20〜23のいずれかに記載の多成分線維を形成するための方法であって、該方法は、前記除去可能なシース形成ポリマーを含む第1の溶液およびポリシロキサンプレポリマーおよび架橋剤を含む第2の溶液から、前記多成分線維を電界紡糸する工程を包含する、方法。
  28. シリコーン線維を形成する方法であって、該方法は、(a)シリコーンコアおよび除去可能なポリマーシースを含む複合線維を形成する工程、および(b)該ポリマーシースを除去する工程を包含する、方法。
  29. 前記除去可能なポリマーは、溶解性もしくは分解性のポリマーである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記線維は、前記ポリマーシースを除去する前に、メッシュの形態へと電界紡糸される、請求項28に記載の方法。
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