人力で動く乗り物の世界で直面する多くの問題の1つは、内燃機関または電動機と異なり、人体は、高速の往復動力ではなく低速で反復・持続される大きな力またはトルクを生じさせるのに適している点にある。今日存在するシステムの多くは、過度に頑健になることなく若しくは他の著しい障害を伴わなずに、この大きな力を活用することができずにいる。例えば、一般的な自転車の駆動システムは、人がペダルにかけられる高トルク負荷下で破損することが多いチェーンを利用している。これらのチェーンは、多くの場合、細長く、ペダルにかかるトルク量を著しく制限してしまう。
他の欠点としては、従来のペダルクランクアームの長さが非常に限られていることがあげられる。このペダルクランクアーム長が限られているのは、クランクアームが真円を描いて動くことから、ペダルを駆動する人の足も、その円の外周上を移動する必要があるためである。搭乗者の身長により若干変動はあるものの、人の脚は一定の距離しか移動できないため、この運動の必要性によりペダルの長さは制限される。一般的な自転車のクランク長は、脚の長さの個人差に対応して、160mm〜180mmと異なる。また、クランク長は、地面からクランク中央までの距離によっても制限される。ペダルクランクアームが長すぎると、踏み込んだペダルが最下点に達するときに、ペダルが地面と接触し、または自転車に乗っている場所の地形面と接触してしまう。
これらの制限に対処している現行の技術を諸図面に例示した。図1〜2で最もよくわかるように、軌道周回駆動システム10は、自転車搭乗者の脚12がもたらす往復動力を、人力で動く乗り物を推進する推進力に変換する、てこの作用を利用した駆動システムを提供する。当該人力で動く乗り物のフレームまたはシャーシは110で示されている。本システムのてこの作用は、先行技術の自転車ペダリングシステムと比べて大幅に高めることができる。このてこ作用の増加は、軌道周回駆動システムと連動する比較的長い一対の外側レバー20Aおよび20Bを設けることにより達成される。前記軌道周回駆動システムにより、前記外側レバー20Aおよび20Bを、一般的な自転車クランク長より数倍長くすることができる。これにより、当該システムは、円形運動ではなく軌道周回態様で運動しながら、著しく長い入力レバーアームを提供できる。
当該軌道周回駆動システム10にかかるトルクは、外側レバー20Aおよび20Bの各入力端部22Aおよび22Bに、上向きまたは下向きの力がかかってもたらされる。これらの外側レバー20Aおよび20Bは、当該外側レバー20Aおよび20Bの入力端部22Aおよび22B上の搭乗者の足により(下向きの力がかかって)直接駆動できる。あるいは、中間ペダル14Aおよび14Bで前記外側レバー20Aおよび20Bを駆動することもできる。これらのペダルは、底部ブラケット18Aの周囲で回転可能なペダルクランク16に取り付けることができる。これが回転軸受として作用し、下向きの力がペダルにかかって、各々の外側レバーアームの入力端部には上向きの力が生じるようにできる。
ここで当該軌道周回駆動システムの右側について説明するが、この右側について説明するそれぞれの特徴および機能が、当該軌道周回駆動システムの左側にも同様に適用されることを理解すべきである。
上述のように、前記外側レバー20Aは、力の入力を受け取る入力端部22Aを有する。当該外側レバー20Aは、出力端部24Aも有する。この出力端部24Aは、軌道周回スプロケット30Aに連結される。輪状張力担持部材(closed tension−bearing member)50A、すなわちベルトまたはチェーンは、前記軌道周回スプロケット30Aの外側部分に係合し、この軌道周回スプロケット30Aだけでなく固定スプロケット40Aにも外接する。前記固定スプロケット40Aおよび前記軌道周回スプロケット30Aは、それぞれ同様な半径を有し、すなわち、チェーンを伴う歯車付きスプロケットの場合には同じ数の歯を有し、ベルト駆動機構を使用する場合には共通の半径を有する。
前記固定スプロケット40Aと前記軌道周回スプロケット30A間の距離は、一対のネジ式ロッドとして設けられる調整可能なクランクシャフト60Aにより保たれる。本発明の目的上、有利なものとして一対のネジ式ロッドを示しているが、当業者であれば、いかなる数のネジ式ロッドでも、この相対距離に十分な調整性が得られることが理解されることを理解すべきである。これらのネジ式ロッドは、後述するように、前記軌道周回スプロケットの軌道周回運動を、駆動軸の回転運動に変換するクランクシャフトとして機能する。
前記軌道周回スプロケットの軌道周回運動は、回転方向に固定された連結部を、前記外側レバー20Aの前記出力端部24Aと、前記軌道周回スプロケット30Aとの間に有することにより達成される。回転方向に固定された連結部をこれら2つの構成要素間に有することで、前記外側レバー20Aにかかるモーメント、すなわちトルクにより、前記軌道周回スプロケット30Aに対するモーメントが生じる。通常、このようなモーメントは前記軌道周回スプロケット30Aを回転させる。しかしながら、前記輪状張力担持部材50A(本明細書において以下、チェーンという)は、前記軌道周回スプロケット30Aおよび前記固定スプロケット40Aの双方を取り囲んで前記軌道周回スプロケット30Aの回転を防ぎ、代わりに当該チェーン50A自体に張力がかかるように作用する。前記右側では、下向きの力により前記軌道周回スプロケット30Aと前記固定スプロケット40Bとの間の前記チェーン前部側に張力がかかり、この張力によって前記軌道周回スプロケット30Aが引張られ、前記固定スプロケット40Aの周りを反時計方向41に軌道周回する(図1に見られるように)。同様に左側では、下向きの力が前記外側レバー20Bにかかって前記軌道周回スプロケット30Bと前記固定スプロケット40Bとの間のチェーン50B後部側に張力がかかり、これにより前記軌道周回スプロケット30Bが前記固定スプロケットの周りを反時計方向に軌道周回する(図1では隠れているが、図2では見える)。
前記固定スプロケット周囲での前記軌道周回スプロケットのこの軌道周回運動は、駆動軸70の回転へと変換される。前記軌道周回スプロケット30Aおよび30Bの各々は、調整可能なクランクシャフト60Aおよび60Bをそれぞれ有する。上記の説明同様、ここで当該軌道周回駆動システム10の右側について説明するが、この右側について説明するいずれの特徴および機能も、同左側に同様に適用されることを理解すべきである。前記クランクシャフト60Aは、回転自在な連結部を介して前記軌道周回スプロケットに連結される。これは、前記軌道周回スプロケット30Aが前記固定スプロケット40Aの周りを軌道周回する際、前記クランクシャフト60Aが前記軌道周回スプロケット30Aに対して回転可能であることを意味する。前記軌道周回スプロケット30Aに対する連結部と対向する側の前記クランクシャフト60Aの端部には、回転方向に固定された、前記駆動軸70に対する連結部が設けられる。これにより、前記クランクシャフト60Aは、前記軌道周回スプロケット30Aの軌道周回運動に従って円形パターンで運動し、回転の円(例えば、図1および3における45)の半径を画成する。前記クランクシャフト60Aと前記駆動軸70との間にある、回転方向に固定された連結部により、前記軌道周回スプロケット30Aが軌道周回して前記駆動軸70を回転駆動することが可能となる。前記駆動軸には、当該システムに推進力をもたらすための駆動スプロケット80も設けられる。
また、図示した本発明の例示的な一実施形態では、前記駆動軸70が前記固定スプロケット40Aの中央部分を貫通し、前記固定スプロケットに対し自由に回転可能であることを理解すべきである。ただし、当業者であれば、前記クランクシャフト60Aを前記固定スプロケットに関して前記駆動軸の中央または内側の部分に設けてもよいことが容易に理解できるであろう。この場合、前記駆動軸70が前記固定スプロケット40Aの中央部分を貫通する必要性はなくなる。
さらに図1〜2を参照すると、直接的な下向きの力を前記外側レバー20Aおよび20Bにかけた場合、軌道周回スプロケット30Aおよび30Bが反時計回りの態様41で動くことに注意すべきである(図1で側部から見た場合)。この反時計回りの軌道周回は、実際には、従来の自転車構成で使用された場合、一般に種々のスプロケットが逆方向に回転していると見なされる結果になる。この回転は、ベルト、チェーン、スプロケット、トランスミッション、または他の任意数の伝達方法を含む多くの機械的方法を使って、順方向の駆動手段に変換できることを理解すべきである。
本例示の目的上、ペダルクランク16Aおよび16Bのセットは、それぞれ外側レバー20Aおよび20Bに連結されている。底部ブラケット、すなわち軸受18Aおよび18Bにそれぞれ連結されたペダルクランク16Aおよび16Bを使って、上向きの力が前記外側レバー20Aおよび20Bにかけられと、結果的に前記軌道周回スプロケット30Aおよび30Bが、各々の固定スプロケット40Aおよび40Bの周りで時計回りの軌道周回運動43を行う(図1の側面図で例示したように)。下向きの力が、例えば駆動スプロケット80により前記ペダルにかかると、前記時計回りの回転43の結果、前記駆動軸は時計回りに回転し、これがより容易に当該乗り物の順方向すなわち右向きの運動へと変換される。
また、この上向きの駆動力が前記外側レバーにかかるようにする前記ペダル16A、16Bの構成は数多く実現できることを理解すべきである。図3は、そのような代替構成の1つを示しており、図中、前記ペダルクランクは、前記外側レバー20Aおよび20Bを駆動する上で、図1〜2のように前記外側レバーから180度ではなく、90度の向きになっている。
また図3では、反時計方向41に90度あるいは時計方向43に170度回転した、すなわち回転方向に応じて4分の1あるいは4分の3回転した軌道周回スプロケット30Aおよび30Bを例示しており、これは前記固定スプロケット40Aおよび40Bの周りの軌道周回による(左側の固定スプロケット40Bは隠されて見えない)。軌道周回の方向は、直接的な下向きの力が前記外側レバーアームにかかっているかどうか、またはペダルクランクシステム16Aおよび16Bを利用して前記外側レバーアームに上向きの力をかけているかどうか、または前記ペダルが時計方向に回転しているか反時計方向に回転しているかに依存する。図3では示したようにペダルクランクシステム16Aおよび16Bが利用されているため、このペダルクランクシステムの一般的な時計回り回転が、時計回りの軌道周回方向43をもたらす。
図4では、いかに前記軌道周回駆動システム10を利用すると、自転車の車輪120または他の車輪駆動システムで当該システムに推進力が得られるかを示している。当該軌道周回駆動システムは、前記外側レバー20Aおよび20Bからトルク入力を受け取る。このトルクにより、軌道周回スプロケット30Aおよび30Bは、それぞれ固定スプロケット40Aおよび40Bの周りで軌道周回する。この軌道周回運動は、調整可能なクランクシャフト60Aおよび60Bを駆動して、駆動軸70を回転させる。駆動軸70には駆動スプロケット80が固定されており、この駆動スプロケット80は、二次駆動軸86上の二次駆動スプロケット84を駆動する付加的な輪状張力担持部材、すなわちベルトまたはチェーンを有する。また、前記二次駆動軸86は、前部自転車スプロケット130を駆動する。前記前部自転車スプロケット130は、ベルト駆動スプロケットであってもチェーン駆動スプロケットであってもよい。この前部自転車スプロケットは、自転車駆動張力担持部材132を介し、本明細書で自転車スプロケットとして示されている駆動ハブ122に連結される。前記駆動張力担持部材132は、自転車チェーンであっても、または他の何らかの自転車タイプ・ベルト駆動部であってもよいことを理解すべきである。
この駆動張力担持部材132は、自転車駆動車輪120の中央ハブに固定された自転車スプロケット122を駆動できる。前記自転車スプロケット122は、一般的な自転車変速機を利用してギアをシフトするマルチギア・スプロケット、すなわち自転車カセットであってよい。また、この自転車スプロケットはベルト駆動のスプロケットであってもよく、その場合、当該自転車のハブは、当業者であれば理解されるように、Schwinn(登録商標)内部駆動ハブシステム、またはRohloff(登録商標)内部タイプ・ハブシステムで一般に見られるような、内部でシフトされるハブである。また、前記自転車スプロケット122は、単一ギアのハブであってもよい。ただし一般に、ハブは、当該乗り物がシステム全体を駆動せず惰行できるようにする何らかの「フリーホイール」タイプのシステムを利用すると有利である。
「フリーホイール」を設けない場合、搭乗者が高速で当該乗り物に乗っている際、例えば急勾配の下り坂を惰走している際、何らかの時点で搭乗者に危険な状態がシステム内に生じるおそれがある。そのような状態において、フリーホイールのないシステムでは、ペダル、軌道周回スプロケット、外側レバーなどが速く動きすぎて搭乗者を負傷させるおそれがある。
図5は、例示的な実施形態に係る前記軌道周回駆動システム10の部分拡大図を示したものである。この図は、当該軌道周回駆動システム10の各種構成要素間の各種連結部をよりよく例示している。前記外側レバー20Aおよび20Bから始めると、これら外側レバー20Aおよび20Bは、それぞれの軌道周回軸32Aおよび32Bに連結されている。それぞれの前記外側レバーと前記軌道周回軸間の連結部は、回転方向に固定された連結部である。前記軌道周回軸32Aおよび32Bは、前記外側レバーからのトルクが前記軌道周回スプロケットに伝達されるよう、それぞれ軌道周回スプロケット30Aおよび30Bに強固に連結される。前記軌道周回軸32Aおよび32Bは、それぞれ回転連結部により調整可能なクランクシャフト60Aおよび60Bに連結される。この回転連結部は、それぞれ軸受62Aおよび62Bによりもたらされる。この回転連結部により、前記軌道周回軸32Aおよび32Bは、前記軌道周回スプロケット30Aおよび30Bが各々の固定スプロケット40Aおよび40Bの周りを軌道周回し、前記クランクシャフトが前記固定スプロケット40Aおよび40Bの中心周囲を円形パターンで運動するよう、各々のクランクシャフト60Aおよび60Bに対して回転できる。これにより、前記軌道周回スプロケット30Aおよび30Bは、各々の円軌道経路の外周に沿って軌道周回する。その軌道周回経路は、図1および3において点線で示している。
前記クランクシャフト60Aおよび60Bと前記駆動軸70間の連結部は、回転方向に固定された接続部であり、各々の駆動軸70端部上にあるクランプ64Aおよび64Bによりもたらされる。この連結部は回転方向に固定されているため、前記軌道周回スプロケット30Aおよび30Bが、それぞれ前記固定スプロケット40Aおよび40Bの周りを軌道周回すると、前記クランクシャフト60Aおよび60Bの円形経路は前記駆動軸70を回転式に駆動することができる。
また、駆動軸70は、前記固定スプロケット40Aおよび40Bの中央部分を貫通できる。前記固定スプロケット40Aおよび40Bは、前記外側レバー20Aおよび20Bへのトルクによる張力を維持しながら前記張力担持部材50Aおよび50Bを配置できるよう、一般に固定された状態を保ち、回転しない。前記固定スプロケットが回転可能であると前記張力担持部材に張力は生まれず、前記外側レバーへのトルクにより生じる軌道周回運動ももたらされない。そのため、本構成で前記駆動軸70を回転させるには、当該駆動軸70が、これら固定スプロケット40Aおよび40Bの中央を貫通し、これら固定スプロケットに対して自由に回転するようにしなければならない。これは、一実施形態において、前記固定スプロケットと、前記駆動軸70を支持する各駆動軸の軸受72Aおよび72Bとの中央に透設された穴を有することにより達成される。また、この構成により、動径方向の力が前記駆動軸70から前記フレーム110へと伝達される。前記駆動スプロケット80は、前記駆動軸80の長手方向に沿ってどこでも設置できるが、種々の構造的理由から、前記駆動軸の軸受72Aおよび72Bのそれぞれ右側と左側間の点に前記駆動スプロケット70を配置すると有益であろう。この駆動スプロケット70は、前記クランクレバー60Aおよび60Bから前記駆動軸70にかかるトルクが前記駆動スプロケットに伝達されたのち、何らかの推進手段に伝達されるよう、前記駆動軸に対して回転方向に固定すべきである。
上述のように、前記クランクシャフトは内側へ移動させることもでき、これにより前記固定スプロケットの中央側に連結させて、前記固定スプロケットの中央部分を貫通させる必要性を排除できる。
また、前記固定スプロケットおよび前記軌道周回スプロケットは、人が当該システムを推進する際の典型的な動力行程と一致するよう、楕円形状を含め、様々な形状で設けてよいことを理解すべきである。そのような楕円形状を利用する場合は、前記軌道周回スプロケットと前記固定スプロケット間に同様な数の歯を存在させて前記軌道周回スプロケットが自転しないようにすべきであることを理解すべきである。同じ数の歯(またはベルトの場合は同様な外周)を有することにより、前記軌道周回スプロケットは自転せず、その代わり、純粋に軌道を周回する。これにより、前記外側レバーは、地面に対して一定の配向を保つことができる(すなわち、本実施形態で示すように、軌道上の位置に関係なく地面と平行になる)。これにより、前記外側レバーは、ほぼ無制限に延長させることができ、その端部は前記軌道周回スプロケットの動きを模倣するため、その回転を搭乗者が自分の体肢で模倣できなくなる程度まで変位させずに当該レバーを延長してトルクを高めることが可能である。
また、上述のように、前記クランクシャフト60Aおよび60Bは、長さを調整できることが好ましい。この調整性により、前記右側および左側の軌道周回スプロケットの双方が各々の固定スプロケットから等しい距離になるよう当該システムを調整する能力を含め、多くの利点が得られる。これにより、それらが軌道周回する際、その回転モーメントが互いに相殺されるため、当該システムはバランスの取れた状態で保たれ、高速で軌道周回しても振動または「ぐらつき」を生じない。調整可能なクランクシャフトを有することにより実現されるもう1つの利点は、各前記張力担持部材にかかる張力を適切に維持できることである。通常であれば、各ループが過度に緩むと前記張力担持部材が前記スプロケットから外れて、駆動システムが機能しなくなってしまう。
図6は本発明の別の態様を示したもので、これには上述した3本レバー駆動システムを使って人力で動く乗り物を推進する方法が含まれ、この方法を図7のフローチャートに示している。前記軌道周回軸駆動システムを使って人力で動く乗り物を推進するこの方法は、以下を含む種々の工程(steps)または増分工程(increments)を含む。
この方法は、ボックス210において、入力端部および出力端部を有する外側レバーを提供する工程を含み、前記外側レバーは、人の体肢からの力の入力を前記入力端部で受けるよう構成される。212は、前記外側レバーの前記出力端部に固定された軌道周回スプロケットを提供する工程を例示しており、前記外側レバーの前記出力端部は、前記軌道周回スプロケットに強固に固定される。214は固定スプロケットを提供する工程を例示しており、前記軌道周回スプロケットは、当該固定スプロケットの周りを軌道周回し、前記軌道周回スプロケットおよび当該固定スプロケットは、実質的に共通の平面内に配置され、共通の半径を有し、且つ互いに相殺される。216は、前記軌道周回スプロケットおよび前記固定スプロケット双方の外周に係合するように、第1の輪状張力担持部材を取り付ける工程を例示している。218は、前記固定スプロケットと前記軌道周回スプロケットとの間の距離にわたるクランクレバーを提供する工程を例示しており、当該クランクレバーは、前記軌道周回スプロケットと前記固定スプロケットとの間の相対距離を維持するように構成される。220は、前記外側レバーの前記入力端部に力を加えて前記軌道周回スプロケットを前記固定スプロケットの周りで軌道周回させる工程を示しており、前記軌道周回スプロケットの軌道周回運動により前記クランクレバーが駆動され、前記クランクレバーが駆動軸中心として回転し、それにより、前記駆動軸が前記人力で動く乗り物を推進する。
他の種々の工程または増分工程も本発明の範囲内に含まれ、該当し、ボックス222、224、226、228、および230に含まれる。これら付加的な工程または増分工程は、駆動軸を前記固定スプロケットの中央部分に貫通させ、回転自在な態様で連結する工程と、前記駆動軸に駆動スプロケットを設置する工程と、駆動ハブを有する駆動車輪を設ける工程と、前記駆動ハブにフリーホイール駆動機構を設ける工程と、前記フリーホイール駆動機構を前記駆動スプロケットに連結する第2の輪状張力担持部材を設ける工程と、前記人力で動く乗り物のフレームの周囲で前記駆動軸および駆動車輪を支持する工程とを含むことができる。これら付加的な工程または増分工程は、それぞれ任意の順序で、また任意の組み合わせで提供できる。当業者であれば、回転する駆動軸の運動を順方向の推進運動に変換できることは容易に理解されるであろう。
また、上述のように、前記駆動車輪にはフリーホイールを設けられるが、フリーホイールは、利用者が入力源を付与する点と、当該乗り物と周囲環境間でシステムが推進力を付与する点との間の任意の接合部に設けることができる。その例示的フリーホイールは、駆動車輪のハブでマルチギア・カセットを支持するフリーホイール駆動機構として提供される。また、そのようなフリーホイールは、上述のように一般的な内部ギアハブとして提供される。
また、1つのスプロケットから、チェーン、ベルト、駆動軸、中間スプロケットなどを含む別のスプロケットへと、回転の慣性または力を伝達する種々の方法も考えられる。当業者であれば理解されるように、図示したチェーンのいずれも、ベルトまたは他の任意の適切な代替物で同様に提供できる。
以上の例は1若しくはそれ以上の特定の用途で本発明の原理を例示するものであり、当業者であれば、発明能力を行使することなく、本発明の原理および概念を逸脱しない範囲で、実施態様の形態、用途、および細部に多数の変更形態が可能であることが明確に理解されるであろう。そのため、本発明は、以下に記載する請求項以外に限定されるものではない。