JP2016222644A - 環状炭化水素骨格およびエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物、ポリアミック酸、及びポリイミド。 - Google Patents

環状炭化水素骨格およびエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物、ポリアミック酸、及びポリイミド。 Download PDF

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友香理 山科
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Abstract

【課題】溶媒可溶性、低誘電性、透明性に優れたポリイミドを提供すること。【解決手段】以下式(1)で表される、環状炭化水素骨格とエステル基とを併せ持つテトラカルボン酸二無水物製造されるポリイミドは、溶媒可溶性、低誘電性、透明性に優れることを見出した。【化1】(式中、xは1〜11の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表す。R1及び/又はR2が複数存在する場合、それぞれは同一でも異なってもよい。m及びnはそれぞれ独立して0又は1〜4の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド樹脂等の原料として有用な環状炭化水素骨格およびエステル骨格を有する新規なテトラカルボン酸二無水物及び該テトラカルボン酸二無水物を用いたポリアミック酸、ポリイミドに関する。
テトラカルボン酸二無水物は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂の硬化剤の他、ポリイミド樹脂の原材料として用いられている。とりわけポリイミドは優れた耐熱性の他に、機械特性、電気特性、耐薬品性を有し、電気・電子材料、特に半導体用電子材料の分野で、フレキシブルプリント配線回路基板、層間絶縁膜、及び保護膜として広く利用されている。しかしながら、多くのポリイミドは有機溶剤に不溶で、ポリイミドそのものを成形加工することは通常容易ではない。その為、ポリイミドは前駆体のポリアミック酸溶液で膜などを成形し、250〜350℃といった高温で加熱脱水閉環(イミド化)する必要がある。しかしながら、電子回路の高密度化に伴い、多層配線基板が採用されるようになった結果、ポリイミド/金属基板積層体を熱イミド化温度(250〜350℃)から室温へ冷却する過程で発生する熱応力は往々にカーリング、膜の剥離、割れ等の問題を引き起こし、デバイスの信頼性を著しく低下させるといった問題を生じさせる。
一方、ポリイミドが有機溶媒に可溶な場合は、金属基板上にポリイミドの溶媒溶液(ワニス)を塗布し、熱イミド化温度よりも低い温度で溶媒を蒸発・乾燥するだけで成形が可能であり、その結果、ポリイミド/金属基板積層体における熱応力を低減できることから、溶媒に可溶なポリイミドが求められている。
また、LSI(大規模集積回路)等のデバイスの処理速度は、さらなる高速化が要望されている。この高速化を支える方法の一つが、配線周辺を低誘電率の層間絶縁膜で覆うことであり、この層間絶縁膜として耐熱性に優れたポリイミドが使用されるが、典型的なポリイミドの誘電率は3.5〜3.0であり、さらに誘電率を低下させることが望まれている。
更には、近年、次世代の表面実装基板として提案されている光導波路には、耐熱性が良好なことから透明性が高いポリイミドの使用が検討されており、高透明性で且つ耐熱性、可溶性、適度な靱性を兼ね備えたポリイミドが得られれば、液晶ディスプレー、電子ペーパー、太陽電池等で使用されるガラス基板の代替材料として使用可能となる。
このような溶媒可溶性、低誘電性、高透明性を有する高耐熱性のポリイミドとして例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレノンから製造されるエステル結合を有するテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)等のアミンとから製造されるポリイミドが知られている(特許文献1)。しかしながら、溶媒可溶性、低誘電性、透明性を更に向上させたポリイミドが求められていた。
特開2007−91701号公報
本発明の目的は、低誘電性、高透明性及び高い溶媒溶解性を備えたポリイミドを提供することにある。
発明者らは、ポリイミドの原料の内、テトラカルボン酸二無水物の構造に着眼し鋭意研究を重ねた結果、環状炭化水素骨格とエステル基とを併せ持つテトラカルボン酸二無水物をジアミン類と重合させポリイミドとすることにより、低誘電性、高透明性といった特徴を有し、かつ有機溶媒への溶解性が高いといった特徴を兼ね備えたポリイミドが製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕
下記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
Figure 2016222644
(式中、xは1〜11の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表す。R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なってもよい。m及びnはそれぞれ独立して0又は1〜4の整数を表す。)
〔2〕
下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸。
Figure 2016222644
(式中、x、R、R、m、及びnの意味は上述の通りである。又、Zはジアミン残基を示す。)
〔3〕
下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
Figure 2016222644
(式中、x、R、R、m、n、及びZの意味は上述の通りである。)
本発明により見出された、環状炭化水素骨格とエステル基とを併せ持つテトラカルボン酸二無水物は、該テトラカルボン酸二無水物をジアミン類と重合させることにより、低誘電性、高透明性といった特徴を有し、かつ有機溶媒への溶解性が高いといった特徴を兼ね備えたポリイミドが製造可能となる。該ポリイミドは、低誘電性、高透明性や有機溶媒への溶解性が高いといった特徴を兼ね備えていることから、フレキシブルプリント配線回路基板、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等の電子材料や、光ファイバー、光導波路等の光通信用材料、液晶ディスプレー、電子ペーパー、太陽電池等で一般的に使用されるガラス基板を代替するフレキシブル基板といった用途に好適に用いることができる。
上記式(1)で表わされるテトラカルボン酸二無水物の内、下記式(1−A)で表される構造を有するテトラカルボン酸二無水物のH−NMRスペクトルである。 上記式(1)で表わされるテトラカルボン酸二無水物の内、下記式(1−A)で表される構造を有するテトラカルボン酸二無水物の13C−NMRスペクトルである。 上記式(1)で表わされるテトラカルボン酸二無水物の内、下記式(1−A)で表される構造を有するテトラカルボン酸二無水物の質量分析チャートである。
<新規な環状炭化水素骨格とエステル基とを含有するテトラカルボン酸二無水物>
以下、本発明をその実施の形態とともに記載する。本願発明における環状炭化水素骨格とエステル基を含有するテトラカルボン酸二無水物は以下式(1)で表される。
Figure 2016222644
(式中、xは1〜11の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表す。R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なってもよい。m及びnはそれぞれ独立して0又は1〜4の整数を表す。)
上記式(1)で表される化学構造の内、環状炭化水素骨格のアルキレン基数を表すxは1〜11の整数である。具体的にはシクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基を表す。原料の入手性の観点から好ましくはシクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロペンタデシル基であり、より好ましくはシクロドデシル基である。
上記式(1)中、R及びRにおける炭素数1〜12のアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。炭素数1〜12のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4〜16のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。炭素数6〜12の芳香族基としては、例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。芳香族基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素等が例示され好ましくは塩素または臭素である。
m及びnで表される置換基R及びRの数は0または1〜4の整数であり、好ましくは0、1または2である。m及びnは同一であっても良いし異なっていても良いが、通常同一である。
以上詳述した上記式(1)におけるR及びRについて、原料である下記式(4)で表される環状炭化水素化合物の入手性の観点から、これら置換基の中でも置換基数が1個(m=n=1であるもの)であって、該置換基としてはメチル基、エチル基、フェニル基であるもの、置換基数が2個(m=n=2であるもの)であって、該置換基が全てメチル基であるもの、又は置換基を有さないもの、すなわちm=n=0が好ましく、特に、置換基数が1個であって、該置換基がメチル基であるものまたは置換基を有さないものが好ましい。
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物はポリイミド原料として用いるだけでなく、ポリエステル等の樹脂原料、添加剤やエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂の硬化剤などに用いてもよい。
<上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法>
本発明においては、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る方法としては公知の方法を適宜適用することができる。例えば、脱酸剤(塩基)の存在下、下記式(4)
Figure 2016222644
(式中、x、R、R、m、及びnの意味は上述の通りである。)
で表される1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類(以下ビスフェノールシクロアルカン類と称することもある。)とトリメリット酸無水物の酸ハライドとを反応させる方法(酸ハライド法)、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類とトリメリット酸無水物との直接脱水反応による方法、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類のジアセテート体とトリメリット酸無水物とを高温で脱酢酸反応する方法、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水剤を用いて上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類とトリメリット酸無水物とを脱水縮合させる方法、トシルクロリド/N、N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いてトリメリット酸無水物を活性化して上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類をエステル化する方法が挙げられる。その中でも酸ハライド法は、原料であるトリメリット酸ハライドが安価で入手可能であることから、酸ハライド法が好ましい。以下、酸ハライド法について詳述する。
酸ハライド法とは具体的に、脱酸剤存在下、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類と下記式(7)で表されるトリメリット酸無水物の酸ハライドとを反応させ、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得る反応のことを示す(以下、本反応をエステル化反応と称することもある。)。なお、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類は、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の環状炭化水素骨格に対応している。
原料として使用する上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類は市販品を用いてもよく、公知の方法(例えば、特開2010−248164公報、特開2011−6337公報など)で製造することが可能である。その製造方法として具体的には、酸触媒、及び必要に応じチオール類共存下、下記式(5)
Figure 2016222644
(式中、xの意味は上述の通りである。)
で表される環状ケトン類と下記式(6)
Figure 2016222644
(式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表す。Rが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なってもよい。kは0又は1〜4の整数を表す。)
で表されるフェノール類を反応させることにより得ることができる。なお、上記式(6)で表されるフェノール類は必要に応じ2種類以上混合して用いても良い。
エステル化反応に用いられるトリメリット酸無水物の酸ハライドは以下式(7)
Figure 2016222644
(Yはハロゲン原子である。)
で表される構造を有する。トリメリット酸無水物の酸クロリドが安価で入手可能であることからYは塩素原子が望ましい。
エステル化反応に用いられる上記式(7)で表されるトリメリット酸無水物の酸ハライドの使用量は通常、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類1モルに対して、2〜4倍モル使用し、好ましくは2.2〜2.6倍モル使用する。トリメリット酸無水物の酸ハライドの使用量が2倍モルより少ないと反応が十分に進行しない場合がある。4倍モルより多い場合、不純物として系内に残存し、得られる上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の純度が低下する場合がある。
エステル化反応で用いられる脱酸剤として、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。これら脱酸剤は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用しても良い。これら脱酸剤の中でも、製造コストおよび分離のしやすさの観点からピリジンが好適に用いられる。脱酸剤の使用量としては、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類1モルに対して、通常2〜4倍モル、好ましくは2〜3倍モルである。脱酸剤の使用量を2倍モル以上とすることにより反応速度が向上し、4倍モル以下とすることにより不純物の生成を抑制することが可能となる。
エステル化反応を実施する際、必要に応じ有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒として例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素が例示される。好ましくはエーテル溶媒である。有機溶媒を使用する場合、通常、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類1重量倍に対し、1〜30重量倍、好ましくは1〜5重量倍使用する。これら有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合させて使用しても良い。
エステル化反応時の反応温度は通常、−10℃〜110℃、好ましくは−5℃〜80℃、さらに好ましくは20℃〜70℃である。反応温度が110℃より高いと副生成物が増える場合があり、反応温度が−10℃より低いと反応が有効に進行しない場合がある。
エステル化反応の方法として例えば、上記式(7)で表されるトリメリット酸無水物の酸ハライドと上記の有機溶媒とを混合させた溶液に、該溶液を撹拌しながら、上記式(4)で表されるビスフェノールシクロアルカン類及び脱酸剤を上記の溶媒に混合した溶液を、上記反応温度範囲となるよう間欠あるいは連続的に添加し、添加後、上記温度範囲で更に反応を行うことにより実施される。
エステル化反応終了後、反応マスを15〜35℃に冷却することにより結晶を析出させ、析出した結晶をろ別することにより、本発明の上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることができる。得られた上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は必要に応じ、吸着処理、再晶析や蒸留等の一般的な精製を繰り返し行うこともできる。
また、エステル化反応終了後、反応マスに、水と有機溶媒を加え、水洗を行い、本発明の上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を有機溶媒層に抽出し、過剰分の脱酸剤とトリメリット酸無水物の酸ハライド、及び脱酸剤のハロゲン塩を水層に除去した後、更に前記水洗工程で副生した開環体(上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の加水分解体)を有機溶媒及び無水酢酸存在下で閉環反応させ再度上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物とし、その後同様に結晶を析出・ろ別することにより上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることもできる。得られた上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は上述した方法と同様に一般的な精製を繰り返し行うこともできる。
上記式(1)で表わされるテトラカルボン酸二無水物の純度は、上記式(2)で表されるポリアミック酸又は上記式(3)で表されるポリイミドの重合度を向上させやすい点から、通常、後述する方法で測定されるHPLC純度で95%以上、好ましくは99%以上とする。
<上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸及びその製造方法>
続いて、上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸(以下、本発明のポリアミック酸と称することもある)について詳述する。本発明のポリアミック酸は、下記式(2)で表される繰り返し単位を有している。
Figure 2016222644
(式中、x、R、R、m、及びnの意味は上述の通りである。又、Zはジアミン残基を示す。)
なお、上記式(2)におけるジアミン残基とは、上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、後述するジアミン類とを反応させた際に得られる、ジアミンのアミノ基(−NH)以外の構造のことを表す。
本発明のポリアミック酸の分子量は、後述する測定方法により得られる分子量が重量平均分子量で1万〜60万であることが好ましく、2万〜50万であることがより好ましく、4万〜30万であることがさらに好ましい。ポリアミック酸の分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリアミック酸の分子量が60万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリアミック酸の分子量は、ポリアミック酸溶液の粘度を目安にすることができる。
本発明のポリアミック酸の製造方法として例えば、後述するジアミン類を後述する重合溶媒に溶解後、通常10〜20℃で本発明の上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の粉末を添加した後、10〜100℃、好ましくは10〜30℃で撹拌することでポリアミック酸を重合溶媒の溶液(以下、ポリアミック酸溶液と称することもある)として得ることができる。
本発明で使用可能なジアミンとして、ポリイミド前駆体の重合反応性、ポリイミドの要求性能を著しく損なわない範囲であれば、特に限定されず、一般的な芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン等を使用することができる。このようなジアミンとして例えば、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(別名4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(別名2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)―2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、1,6−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(4−シクロヘキシルアミン)、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1,3−ジアミン、4−アミノ安息香酸−4−アミノフェニルエステル、2−(4−アミノフェニル)アミノベンゾオキサゾール、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2’−ビス(3−スルホプロポキシ)―4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル―3,3’−ジスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。また、これらを2種類以上併用することもできる。
これらジアミンの中でも、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンを使用した場合、得られるポリイミドの透明性がより顕著に改善され、また、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2、2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどのフッ素含有ジアミンを使用した場合、得られるポリイミドの低誘電化、溶媒溶解性がより顕著に改善可能となる。これらジアミンは本発明の上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物及び他の酸二無水物を併用する場合は他の酸無水物も含めた全酸無水物1モルに対し通常0.9〜1.1モル、重合度を高める観点から好ましくは0.95〜1.05モル使用する。
また、必要に応じ一般的な酸無水物を共重合成分として併用することができる。併用可能な酸無水物として例えば、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−タ−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン等が例示され、これらは2種類以上併用することもできる。他の酸無水物を併用する場合の全酸無水物中の他の酸無水物の使用量は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。他の酸無水物を10重量%以上使用することにより、後述する、他の酸無水物を併用することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他の酸二無水物の使用量を90重量%以下とすることにより、本発明の上記式(1)で表される環状炭化水素骨格とエステル基を含有するテトラカルボン酸二無水物の効果が十分発揮される。
他の酸無水物を併用する効果として例えば、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などの含フッ素酸二無水物を併用することにより、得られるポリイミドの更なる低誘電率化が可能となる。また、剛直な骨格を有する無水ピロメリット酸などの酸無水物を併用した場合、得られるポリイミドの更なる耐熱性向上が可能となる。
ポリアミック酸を製造する際使用可能な溶媒としては、原料モノマーである、本発明の上記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン類とが溶解でき、かつこれら原料や生成するポリアミック酸に対し不活性であれば特に限定されない。このような溶媒として例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等の鎖状エステル系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルアセテート、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコール等のグリコール系溶媒、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、ブタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、キシレン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒が使用可能である。好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン等のアミド溶媒が例示される。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用してもよい。
溶媒の使用量としては反応系中のモノマー成分(テトラカルボン酸二無水物+ジアミン)のトータル濃度が通常5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%となるような量とする。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリアミック酸溶液を得ることができる。なお、上記モノマー濃度範囲よりも低濃度で重合を行うと、ポリアミック酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド膜が脆弱になる場合があり、上記モノマー濃度範囲よりも高濃度で重合を行うとモノマーが十分溶解しない場合や反応溶液が不均一になりゲル化する場合がある。上記の方法で得られた上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の溶液は通常、後述する方法でそのままポリイミド化工程へと使用する。
<上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド及びその製造方法>
続いて、上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(以下、本発明のポリイミドと称することもある)について詳述する。本発明のポリイミドとは、下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを表す。
Figure 2016222644
(式中、式中、x、R、R、m、n、及びZの意味は上述の通りである。)
本発明の上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、上記の方法で得られた、上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応の方法として例えば、熱イミド化法や化学イミド化法が例示される。
まず、熱イミド化法について詳述する。熱イミド化法として例えば、ポリアミック酸の重合溶液をガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、又は空気中で加熱を行う。例えば、オーブン中、通常50〜190℃、好ましくは100〜180℃で乾燥することにより、ポリアミック酸のフィルムを得ることができる。
続いて、得られたポリアミック酸のフィルムをガラス板上で通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃で加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミドフィルムを得ることができる。加熱温度は、イミド化反応を十分に行うという観点から200℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱安定性の観点から400℃以下が好ましい。
イミド化反応は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化反応温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
続いて化学イミド化法について詳述する。まず、上記の方法で得られた本発明の上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸溶液に重合時と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とし、撹拌しながら、有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、温度0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1〜72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。その際に使用可能な有機酸無水物としては無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。これら有機酸無水物の中でも、取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好ましい。また塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が使用できる。これら塩基性触媒の中でも、取り扱いや分離のし易さからピリジンが好ましい。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミック酸の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、より好ましくは2〜10倍モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量に対して0.1〜5倍モルの範囲であり、より好ましくは1〜5倍モルの範囲である。
上記化学イミド化法で得られた反応溶液中には、塩基や未反応の化学イミド化剤、有機酸などの副生成物(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを単離・精製してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、最も簡便な方法としては、イミド化した反応溶液を、大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が適用できる。この時、使用できる溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であれば良く、例えば、水やメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒中に滴下して析出させる際のポリイミド溶液の濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粒塊中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間要する場合がある。一方、ポリイミド溶液の濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、その結果、多量の廃溶剤処理が必要となるため、環境負荷増大や製造コスト高となる場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する時のポリイミド溶液の濃度は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。この時使用する貧溶媒の量はポリイミド溶液に対し1重量倍以上が好ましく、1.5〜10重量倍量が好適である。得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質しない温度であれば制限はなく、例えば30〜150℃で乾燥させる。
こうして得られた上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド粉末をポリイミドフィルムとする場合、一旦上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド粉末を溶媒に溶解させポリイミド溶液とする必要がある。使用可能な溶媒としては、使用用途や加工条件に合わせて適宜ポリイミド粉末が溶解する溶媒を用いれば良く、具体的に例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒の他、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系といった汎用溶媒なども使用可能であり、これら溶媒は1種、あるいは2種類以上混合して用いてもよい。ポリイミド粉末の溶解方法は、空気中、または不活性ガス中で室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で溶解させ、ポリイミド溶液とすることができる。
こうして得られたポリイミド溶液を、例えばガラス板上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、または空気中で加熱することによりポリイミドフィルムを得ることができる。例えば、オーブン中、通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃で乾燥することにより、ポリイミドフィルムを得ることができる。ポリイミドフィルム作成は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
上述した方法によって得られた上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの分子量は、後述する測定方法により得られる分子量が重量平均分子量で1万〜60万であることが好ましく、2万〜50万であることがより好ましく、4万〜30万であることがさらに好ましい。ポリイミドの分子量が1万以上であれば、成型可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリイミドの分子量が30万以下であれば、合成する場合に分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすく取扱いが容易である場合が多い。なお、ポリイミドの分子量はポリイミド溶液の粘度を目安にすることができる。
上述した方法によって得られた本発明の上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの誘電率は通常、3.0以下、好ましくは2.9以下となり、層間絶縁膜として好適に用いることが可能である。また、ポリイミド膜の400nmにおける光透過率(T400)も高い値を有することから透明性に優れ、更には、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に対する溶解性も優れていることから、低誘電透明性ポリイミドとして光学材料、電子材料として好適に用いることが可能である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕NMR測定
H−NMR、13C−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒として重DMSOを用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
〔2〕LC−MS測定
LC−MSは次の測定条件で分離、質量分析し、目的物を同定した。
・装置:(株)Waters製「Xevo G2 Q−Tof」
・カラム:L−Column2 ODS
(2μm、2.1mmφ×100mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 220−500nm
・移動相:A液=0.1%ギ酸水、B液=メタノール
・移動相流量:0.3ml/分
・移動相グラジエント:B液濃度:80%(0分)→80%(10分後)→100%(15分後)
・検出法:Q−Tof
・イオン化法:APCI(−)法
・Ion Source:温度150℃
・Sampling Cone :電圧 60V、ガスフロー50L/h
・Desolvation Cas:温度500℃、ガスフロー1000L/h
〔3〕HPLC純度
次の測定条件でHPLC測定を行ったときの面積百分率値を各化合物の純度とした。
液体クロマトグラフィー測定条件:
装置: 日立製作所社製 L−2130
カラム:ZORBAX CN(5μm、4.5mmφ×250mm)
移動相:hexane/THF、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃、検出波長:UV254nm
〔4〕ポリアミック酸の重量平均分子量
次の測定条件で、重量平均分子量を測定した。(ポリスチレン換算)
装置:東ソー(株)製 HLC−8320GPC
カラム:TSK−GEL Super AWM―H (6.0 mmI.D.×15cm)
移動相:N,N−ジメチルホルムアミド、流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
〔5〕融点の測定
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DSC 220」)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
〔6〕ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR DSC 220」)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
〔7〕5%重量減少温度(T )の測定
熱分析装置((株)リガク製Thermo Plus Evo II TG−DTA8121/S)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した。
〔8〕カットオフ波長の測定
分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」)を用いて、ポリイミド膜の200〜800nmの透過率を測定した。透過率が0.5%以下となる波長をカットオフ波長とした。カットオフ波長が短いほど、ポリイミド膜の透明性が良好である。
〔9〕光透過率(T400)の測定
分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」)を用いて、ポリイミド膜の400nmの透過率を測定した。透過率が高いほど、ポリイミド膜の透明性が良好である。
〔10〕誘電率(ε)
アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−M2」)を用いて、ポリイミド膜に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率(波長:589nm)で測定し、ポリイミド膜の平均屈折率(nav)を次式で求めた。
av=(2nin+nout)/3
この平均屈折率(nav)に基づいて、次式より1MHzにおけるポリイミド膜の誘電率(ε)を算出した。
ε=1.1×nav
〔11〕溶媒溶解性
得られたポリイミド膜または粉末20mgをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、m−クレゾール(m−Cr)1mLに入れ、溶解性を試験した。下記のとおりのランクで溶媒溶解性を評価した。
〇:室温で溶解する。
△:加温すると溶解し、室温に冷却しても析出しない。
×:不溶
1、上記式(1)で表される環状炭化水素骨格とエステル基を含有テトラカルボン酸二無水物の製造
<実施例1>
(上記式(1)で表されるテトラカルボン酸無水物の内、下記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物(上記式(1)において、m=n=1、x=5、R及びRがメチル基)の製造例)
Figure 2016222644
温度計、滴下ロート、攪拌棒を備えた1Lの4つ口フラスコに無水トリメリット酸クロリド83.0g(394.2mmol)、ジメトキシエタン100.0gを仕込み、撹拌・完溶後、冷却を開始した。そこへ1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン50.0g(131.4mmol)、ジメトキシエタン150.0g及びピリジン31.2g(394.2mmol)を混合溶解したものを、0℃〜9℃で1時間かけて滴下した。その後、0℃〜5℃に保ち、30分間攪拌した。その後55℃まで昇温し、昇温後、55℃〜60℃に保ち4時間撹拌、続けて65〜70℃で2時間撹拌した。加熱を止め、ジメトキシエタン228.8gを仕込み25℃〜26℃で濾過し、ジメトキシエタンで3回洗浄して粗結晶を得た。粗結晶にアセトニトリルを加えて1時間加熱還流することを2回繰り返すことにより、白色結晶57.08g(収率59.6%、純度99.2%)を得た。図1に示すH−NMRスペクトル、図2に示す13C−NMRスペクトル及び図3に示す質量分析チャートより、得られた生成物は上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物であることを確認した。以下、得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物のH−NMR及び13C−NMRについて詳述する。
得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物のH−NMR(DMSO−d)チャートを図1に示す。ここで、8.27〜8.66ppmまでのピークはトリメリット酸に由来するベンゼン環上の水素、7.05〜7.20ppmまでは1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン骨格のベンゼン環の水素、2.17ppmのピークはメチル基の水素、0.91〜2.05ppmまではシクロドデカン骨格の水素に帰属される。なお、2.5ppmに観測されているピークは溶媒であるDMSO、3.3ppmに観測されているピークはDMSOに含まれる水に由来するものである。
13C−NMR(DMSO−d)チャートを図2に示す。ここで、162.3〜162.5ppm及び128.7〜136.9ppmまではトリメリット酸無水物骨格由来の炭素、121.3ppm及び125.7〜126.2ppmは1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン骨格のベンゼン環由来の炭素、47.5ppmのピークはメチル基の炭素、16.0〜32.4ppmはシクロドデカン骨格の炭素に帰属される。なお、39.1〜39.6ppmに観測されているピークは溶媒のDMSO由来のものである。
得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物のマススペクトル値及び融点は下記の通り。
マススペクトル値(M−・):728.26
融点(DSC):182℃
2.上記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸及び上記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造
<実施例2>
(上記式(2)で表されるポリアミック酸の内、上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)との反応から得られるポリアミック酸(以下式(2−A)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸)の製造)
Figure 2016222644
実施例1で得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物4.0g(5.49mmol)と4,4’−ODA1.1g(5.49mmol)とを室温でN,N−ジメチルアセトアミド45.9gに溶解し、更に室温で27時間反応させ、上記式(2−A)で表されるポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、409,266であった。
<実施例3>
(上記式(3)で表されるポリイミドの内、上記式(2−A)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の化学イミド化による、以下式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造)
Figure 2016222644
実施例2と同様の方法で得た上記式(2−A)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度26.0重量%)73.5gにN,N−ジメチルアセトアミド73.5g、無水酢酸21.1g及びピリジン8.2gを加えて室温で24時間撹拌することにより、上記式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度13.0重量%)を合成した。
得られた上記式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を、更にN,N−ジメチルアセトアミドで希釈することで9重量%溶液とし、メタノール600g中へ滴下することで、上記式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを析出させた。析出したポリイミドを濾過し、メタノールで洗浄後、乾燥させ、淡黄色のポリイミド粉末17.8gを得た。
得られたポリイミド粉末2.5gにN−メチル−2−ピロリドン22.8gを加えて均一になるまで撹拌することで、上記式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱して上記式(3−A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約20μmであった。表1に得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(T )、カットオフ波長、400nmにおける透過率(T400)、誘電率(ε)の測定結果を示す。また、表2に各種溶媒への溶解性を示す。
<実施例4>
(上記式(2)で表されるポリアミック酸の内、上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)との反応から得られるポリアミック酸(以下式(2−B)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸)の製造)
Figure 2016222644

実施例1で得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物7.0g(9.61mmol)と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン3.4g(9.61mmol)とを室温でN,N−ジメチルアセトアミド25.6gに溶解し、更に室温で24時間反応させて上記式(2−B)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、50,954であった。
<実施例5>
(上記式(3)で表されるポリイミドの内、上記式(2−B)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の化学イミド化による、下記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造)
Figure 2016222644
実施例4で得た上記式(2−B)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度28.8重量%)34.8gにN,N−ジメチルアセトアミド43.0g、無水酢酸9.5g及びピリジン3.7gを加えて室温で24時間撹拌することにより、上記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度13.0重量%)を得た。
得られた上記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液をN,N−ジメチルアセトアミドで希釈し10重量%溶液とし、更にN−メチル−2−ピロリドンで希釈し9重量%溶液とした後、メタノール350g中へ滴下することで上記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを析出させた。析出したポリイミドを濾過し、メタノールで洗浄後、乾燥させ、淡黄色のポリイミド粉末8.6gを得た。
得られたポリイミド粉末4.0gにN,N−ジメチルアセトアミド16.0gを加えて均一になるまで撹拌することで、上記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱して上記式(3−B)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約24μmであった。表1に得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)、カットオフ波長、400nmにおける透過率(T400)、誘電率(ε)の測定結果を示す。また、表2に各種溶媒への溶解性を示す。
<実施例6>
(上記式(2)で表されるポリアミック酸の内、上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)との反応から得られるポリアミック酸(以下式(2−C)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸)の製造)
Figure 2016222644
実施例1で得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物4.0g(5.49mmol)と3,3’−ジアミノジフェニルスルホン1.4g(5.48mmol)とを室温でN,N−ジメチルアセトアミド13.3gに溶解し、更に室温で24.5時間反応させて上記式(2−C)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、54,896であった。
<実施例7>
(上記式(3)で表されるポリイミドの内、上記式(2−C)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の化学イミド化による、下記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造)
Figure 2016222644
実施例6で得た上記式(2−C)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度28.8重量%)18.6gにN,N−ジメチルアセトアミド8.2g、無水酢酸5.6g及びピリジン2.2gを加えて室温で25時間撹拌することにより、上記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度20.0重量%)を得た。
得られた上記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液をメタノール200g中へ滴下することで、上記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを析出させた。析出したポリイミドを濾過し、メタノールで洗浄後、乾燥させ、淡黄色のポリイミド粉末5.0gを得た。
得られたポリイミド粉末4.0gにN,N−ジメチルアセトアミド16.0gを加えて均一になるまで撹拌することで、上記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。得られた溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱して上記式(3−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約20μmであった。表1に得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)、カットオフ波長、400nmにおける透過率(T400)、誘電率(ε)の測定結果を示す。また、表2に各種溶媒への溶解性を示す。
<実施例8>
(上記式(2)で表されるポリアミック酸の内、上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(別名2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)(TFMB)との反応から得られるポリアミック酸(以下式(2−D)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸)の製造)
Figure 2016222644
実施例1で得られた上記式(1−A)で表されるテトラカルボン酸二無水物4.0g(5.49mmol)と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(別名2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)1.76g(5.49mmol)とを室温でN,N−ジメチルアセトアミド14.24gに溶解し、更に室温で24時間反応させて上記式(2−D)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を合成した。ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、136,263であった。
<実施例9>
(上記式(3)で表されるポリイミドの内、上記式(2−D)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸の化学イミド化による、下記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造)
Figure 2016222644
実施例8で得た上記式(2−D)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度28.8重量%)20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド8.81g、無水酢酸5.6g及びピリジン2.2gを加えて室温で24時間撹拌することにより、上記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液(溶質濃度20.0重量%)を得た。
得られた上記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液をメタノール200g中へ滴下することで、上記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを析出させた。析出したポリイミドを濾過し、メタノールで洗浄後、乾燥させ、白色のポリイミド粉末5.6gを得た。
得られたポリイミド粉末5.0gにN,N−ジメチルアセトアミド20.0gを加えて均一になるまで撹拌することで、上記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。得られた溶液をガラス板上に塗布した後、150℃で1時間、250℃で1時間加熱して上記式(3−D)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの薄膜を得た。薄膜の膜厚は約28μmであった。表1に得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)、カットオフ波長、400nmにおける透過率(T400)、誘電率(ε)の測定結果を示す。また、表2に各種溶媒への溶解性を示す。
<比較例1>
(フルオレン骨格及びエステル基を有する酸二無水物(下記式(8−A))

Figure 2016222644
と4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)から得られる、以下式(8−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの製造例)
Figure 2016222644
特開2007−91701公報の記載に従い、上記式(8−C)で表される繰り返し単位を有するポリイミド(フルオレン骨格及びエステル基を有するポリイミド)の薄膜を得た。なお、ポリイミドとする前のポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、150,356であり、得られた薄膜の膜厚は約22μmであった。表1に得られたポリイミド薄膜のガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(T )、カットオフ波長、400nmにおける透過率(T400)、誘電率(ε)の測定結果を示す。また、表2に各種溶媒への溶解性を示す。
Figure 2016222644
Figure 2016222644

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
    Figure 2016222644
    (式中、xは1〜11の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数4〜16のシクロアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基を表す。R及び/又はRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なってもよい。m及びnはそれぞれ独立して0又は1〜4の整数を表す。)
  2. 下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸。
    Figure 2016222644
    (式中、x、R、R、m、及びnの意味は上述の通りである。又、Zはジアミン残基を示す。)
  3. 下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
    Figure 2016222644
    (式中、x、R、R、m、n、及びZの意味は上述の通りである。)
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