JP2016222601A - 新規ペプチド及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する、新規ペプチド及びその用途の提供。【解決手段】以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド、及び、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤、血管内皮障害抑制剤又は、飲食品としての用途。(a)Met−Gln−Gln−Met、(b)Leu−Arg−Gln−Gly−Asp、(c)Leu−His−Gln−Lys【選択図】なし

Description

本開示は、新規ペプチド及びその用途に関する。より詳しくは、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する、新規ペプチド及びその用途に関する。
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(以下、「DPP−4」ともいう)は、N末端ジペプチダーゼ活性を有する多機能性の膜貫通型糖タンパク質である。DPP−4は大部分の哺乳類の細胞上に存在し、腎臓、肝臓、腸管、胎盤等の組織の上皮及び内皮細胞、並びにT細胞の細胞表面に発現していることから、生体内での幅広い役割が想定され、創薬のターゲットとして近年注目されている酵素である。
DPP−4の基質として、インクレチンと呼ばれるホルモンが挙げられる。インクレチンは、栄養素の刺激により腸管から分泌され、血糖依存的に膵β細胞からインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GLP−1、GIP等が知られている。
GLP−1は、食後に放出されるものであり、インスリンの生合成及び分泌に対するグルコース誘導性の刺激、グルカゴン分泌抑制、遺伝子発現の調整、β細胞に対する栄養性の効果、食物摂取の抑制、胃内容排出の緩徐化等をはじめとする、多面的な作用を有する。そして、DPP−4の活性を阻害することで、インクレチンのGLP−1及びGIPの分解が抑制され、血中のこれらの濃度が上昇する。その結果、インスリン分泌が促進され、血糖値を低下させることが知られている。
このインクレチンによるインスリンの分泌促進は、血糖値が高値であることが作動条件である。このため、2型糖尿病の中でもインスリン分泌低下による糖尿病において、DPP−4の活性を阻害することは、これまでのインスリン分泌促進剤で生じる低血糖症という副作用の危険性が少ないものと言える。
このように、DPP−4阻害活性を有する物質に関して、抗糖尿病剤としての利用が期待されている。しかしながら、DPP−4の活性を阻害する作用機序は、インスリン分泌抑制、ブドウ糖吸収阻害、インスリン抵抗性改善等の作用機序と比べて未だ新しく、新たなDPP−4阻害活性を有する物質を見出すことが望まれている。
また、糖尿病の治療の第一歩は食事療法と運動療法であり、それでも血糖値のコントロールが出来ない場合に糖尿病治療用医薬品が用いられているのが現状である。このような現状から、DPP−4阻害活性を有する物質を含有する飲食品等を提供することができれば、DPP−4阻害活性を有する物質は糖尿病治療用医薬品としてだけでなく、更に広い分野で血糖値のコントロールに資することができる。
ここで、例えば、特許文献1には、DPP−4阻害活性を有する二環系ピリミジンが開示されている。
また、最近では、ペプチドにDPP−4阻害活性があることも知られている。DPP−4阻害活性を有するペプチドとしては、例えば、特許文献2には、MKP、特許文献3には、SPAQ、GPVR、HPHPH、APKが開示されている。また、特許文献4の表2には、IPI、LPL、KVLP、LPVPQK、VPLGTQ、VPYPQ、PLLQ、GPFP、LPVPQ、LPQYL、MPLW、YVPEPF、PQSVLS、PFP、LPVP、EMPFPK、LPLP、GPFPIIV、APFPE、HPIK及びAPFPEVFが開示されている。
特表2008−527011号公報 国際公開第2013/125622号パンフレット 国際公開第2013/133032号パンフレット 国際公開第2006/068480号パンフレット
従来、DPP−4阻害活性を有する物質が開示されているものの、例えば、特許文献1においては、複雑な合成過程を必要とし、安全性に関しても今後の検証が必要であった。
また、ペプチドは有益な生理活性作用を有する場合が多く、新規ペプチドの探索及びペプチドの様々な生理活性作用の探求が行われている。しかし、ペプチド中のアミノ酸が増減したり、アミノ酸の一部が異なったりすると、生理活性作用が低下又は消失することがある一方で、様々なアミノ酸配列を有するペプチドが存在するため、目的とする生理活性作用を有する新規又は既知のペプチドを見出すことは非常に困難である。
ここで、特許文献2〜4に開示されたペプチドは、その配列中にL−プロリン残基(P、Pro)を有することが一つの特徴として考えられるが、L−プロリン残基を有しないDPP−4阻害活性を有するペプチドの探求は、未だ不十分である。
このように、DPP−4阻害活性を有する物質についての探究は不十分であるのが実状である。
そこで、このような実状に鑑み、本開示では、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する、新規ペプチド及びその用途を提供することを主目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、Met−Gln−Gln−Met(以下、「MQQM」ともいう:配列番号1)、Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(以下、「LRQGD」ともいう:配列番号2)、及びLeu−His−Gln−Lys(以下、「LHQK」ともいう:配列番号3)の各ペプチドが、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有することを見出し、本開示を完成するに至った。
すなわち、本開示では、以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドを提供する。
(a)Met−Gln−Gln−Met(配列番号1)
(b)Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(配列番号2)
(c)Leu−His−Gln−Lys(配列番号3)
また、本開示では、前記の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有する、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤又は血管内皮障害抑制剤を提供する。
更に、本開示では、前記の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチドを含有する飲食品を提供する。
本開示によれば、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する、新規ペプチド及びその用途を提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本開示を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書における「開示」とは、「発明」とほぼ同義に用いられるものである。
1.本開示のペプチド
本開示のペプチドは、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する、配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。
本開示のアミノ酸残基4又は5個からなるペプチドとして、以下のものが挙げられる。
テトラペプチドとして、Met−Gln−Gln−Met(MQQM)(配列番号1)からなるペプチド:Leu−His−Gln−Lys(LHQK)(配列番号3)からなるペプチド;
ペンタペプチドとして、Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(LRQGD)(配列番号2)からなるペプチドが挙げられる。
本開示では、配列番号1〜3に示すアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上を利用することができる。
ここで、本開示において、Asp(D)はL−アスパラギン酸残基、Gly(G)はグリシン残基、His(H)はL−ヒスチジン残基、Lys(K)はL−リシン残基、Leu(L)はL−ロイシン残基、Met(M)はL−メチオニン残基、Gln(Q)はL−グルタミン残基、Arg(R)はL−アルギニン残基を示す。本開示では、特に断りのない限り、ペプチドはL−アミノ酸残基から構成されているものとする。
前述の通り、従来、DPP−4阻害活性を有するペプチドは、その配列中にL−プロリン残基(P)を有することが一つの特徴として考えられていたが、配列番号1〜3の各ペプチドはその配列中にL−プロリン残基(P)を有しないにもかかわらず、DPP−4阻害活性を有する。
なお、MQQMは、2つのL−グルタミン残基(Q)を含むペプチド、LHQK及びLRQGDは、1つのL−グルタミン残基(Q)を含むペプチドである。
また、本開示のペプチドは、これらのペプチドの塩類であってもよい。
前記塩類としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属類;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類等が挙げられ、このうちの1種又は2種以上を用いてもよい。
本開示のペプチドの製造方法としては、例えば、配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列のいずれかを少なくとも1種以上含む蛋白質やペプチドを加水分解等にて分解し、得られた分解物から分離精製して得る方法;ペプチドの化学合成方法にて本開示のペプチドを合成した後、得られた合成物から本開示のペプチドを分離精製して得る方法;本開示のペプチド及びこれを含むペプチド等を生産する植物、動物や微生物から抽出し、得られた抽出物から分離精製して得る方法等が挙げられる。
本開示のペプチドのより具体的な製造方法としては、例えば、蛋白質を、適宜、酸・アルカリ、酵素等にて加水分解し、本開示のペプチドを得る方法が挙げられる。この方法としては、例えば、原料蛋白質を加水分解酵素で加水分解し、本開示のペプチドを得る方法が挙げられる。以下、詳説する。
まず、原料蛋白質を酵素で加水分解する前に、蛋白質を水に溶解、分散又は懸濁させる。
前記原料蛋白質は、配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列のいずれかを少なくとも1種以上含む蛋白質であって、適宜加水分解酵素で消化したときに本開示のペプチドが生成可能なものであれば、特に限定されない。前記蛋白質としては、例えば、動物由来や植物由来のもの等が挙げられる。
このとき、原料蛋白質の性状により処法は異なるが、原料蛋白質が可溶性の場合には、原料蛋白質を水又は温水に分散し、溶解すればよく、また、難溶性の場合には、熱水に蛋白質を混合撹拌にてホモジナイズすればよい。
そして、前記蛋白質を含有する溶液に、アルカリ剤又は酸剤を添加し、pHを調整してもよい。このpHは使用する加水分解酵素の至適pH又はその付近に調整することが好ましい。
前記アルカリ剤又は酸剤としては、特に限定されず、例えば、医薬品や食品に許容されるものを使用することができる。
前記アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;炭酸カリウム等の炭酸塩等が挙げられ、これらはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩であってもよい。
また、前記酸剤としては、例えば、塩酸、リン酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、ギ酸等の有機酸等が挙げられる。
前記アルカリ剤又は酸剤は、適宜1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、雑菌汚染による変敗防止の点から、前記蛋白質を含有する溶液を加水分解前にあらかじめ70〜90℃で15秒〜10分間程度熱処理することが好ましい。
次に、前記蛋白質を含有する溶液に、所定量の加水分解酵素を加え、温度10〜85℃程度で0.1〜48時間反応を行ない、加水分解物を得る。
このとき、前記加水分解酵素を添加した後、当該溶液を、酵素の種類に応じて適当な温度、例えば、30〜80℃、好ましくは45〜75℃の温度で、1時間以上、好ましくは3時間以上保持して行ない、酵素反応の停止は加熱により行うのが好ましい。
前記加水分解酵素としては、特に限定されないが、前記原料蛋白質を加水分解して本開示のペプチドを生成させ得る酵素であるのが好ましく、前記酵素としては、具体的にはエンドペプチダーゼが好ましい。前記エンドペプチダーゼとしては、例えば、パパイン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、ズブチリシン、エラスターゼ、サーモライシン等が挙げられる。
なお、原料蛋白質の分解率の算出方法は、ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102頁、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を、ホルモール滴定法(満田他編、「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から分解率を下記式(1)により算出する。
Figure 2016222601
本開示では、前記加水分解液物から本開示のペプチドを単離又は精製するのが好適である。
本開示のペプチドの精製は、通常、オリゴペプチドの精製に用いられているのと同様の手法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー、溶媒沈殿、塩析、2種の液相間での分配等の方法を適宜組み合わせることにより行なうことができる。
本開示のペプチドの単離又は精製に際し、目的物質を含む画分は、後述するDPP−4阻害活性を指標として決定することができる。また、それらの画分の活性成分は、質量分析法等により同定可能である。
本開示では、前記加水分解酵素によって得られる蛋白質分解物には、MQQM、LRQGD又はLHQKから選ばれる1種又は2種以上のペプチドが含まれていることが好ましい。
本開示のペプチドのより具体的な製造方法としては、その他にも、例えば、オリゴペプチドの合成に通常用いられている液相法又は固相法により化学合成して得る方法が挙げられる。
化学合成されたペプチドは必要に応じて脱保護され、未反応試薬や副生物等を除去し、本開示のペプチドを単離することが可能である。
このようなペプチドの化学合成は、市販のペプチド合成装置を用いて行なうことができる。目的とするペプチドが得られたことは、後述するDPP−4阻害活性を指標として確認することが可能である。
2.本開示のペプチドの用途
(1)ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤又は血管内皮障害抑制剤等
本開示のペプチドは、後述する実施例に示す通り、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する。
DPP−4は、腎臓、肝臓、腸管、胎盤等の組織の上皮及び内皮細胞、並びにT細胞の細胞表面に発現しており、その酵素活性等を介して様々な生理現象に関与すると考えられている。したがって、DPP−4が、生体内の生理機能に関与している化合物を分解することで、種々の疾患や症状が生じることがある。このため、DPP−4の活性を阻害すると、DPP−4によって分解されていた生体内の生理機能に関与している化合物の寿命が延びることを利用して、DPP−4に起因する疾患や症状の予防、改善及び/又は治療が可能となる。
前記生理機能に関与する化合物として、インクレチンと呼ばれるホルモンが挙げられ、具体的には、例えば、GLP−1、GIP等が挙げられる。そして、このGLP−1の分解抑制によって、インスリンの生合成及び分泌に対するグルコース誘導性の刺激、グルカゴン分泌抑制、遺伝子発現の調整、β細胞に対する栄養性の効果、食物摂取の抑制、及び胃内容排出の緩徐化などの各作用を奏することが可能である。これによって、上昇した血糖値の正常化、空腹感及び体重の調整、肥満症や高血圧症の予防、改善及び/又は治療等に寄与することが可能である。
また、DPP−4の作用によって、血管の内皮細胞の機能が低下したり、血管の内皮細胞が傷害されたりすることも知られている。この血管の内皮細胞の機能低下や障害によって、血管の緊張増加による血管収縮、動脈硬化、血栓形成等の血管障害が生じ、これらの原因によって臓器の血流障害が生じ、臓器機能不全となり、糖尿病の合併症が誘発されることとなる。
更に、近年では、DPP−4阻害薬の投与による内皮細胞の機能改善効果が多数報告されている(例えば、〔参考文献1〕Endocrine Journal 2011, 58 (1), 69-73;〔参考文献2〕J Am Coll Cardiol. 2012, 59(3), 265-76;〔参考文献3〕Diabetes Care. 2011, 34(9), 2072-7;〔参考文献4〕Cardiovascular Diabetology 2011, 10(85) (http://www.cardiab.com/content/10/1/85)等参照)。
これらの効果は、単に血糖値を下げることによる改善の他にも、インクレチンによる血管の保護作用を介していると考えられている。高血糖により内皮細胞の傷害で血管のしなやかさが失われると、血圧が上昇し、上昇した血圧が更に血管を傷めるという悪循環が、心臓・腎臓・脳といった臓器への悪影響となって現れる。この悪循環を断ち切るために、DPP−4阻害薬とACE阻害薬の併用も試みられており、DPP−4阻害剤は循環器系の治療においても、重要な役割を果たすものと考えられている。
また、DPP−4は、T細胞活性化マーカーの一つであるCD26と同一であり、多くの免疫調節ペプチドを基質とし、その活性を制御することも知られている。そのため、DPP−4の活性を制御することにより、免疫反応を制御し得ると考えられる。実際に、関節リウマチ等の自己免疫疾患や移植による拒絶反応等の動物モデルにおいては、DPP−4阻害剤が免疫抑制剤として機能することが知られており、自己免疫疾患や移植拒絶反応等の治療に有用であると考えられている。
更に、DPP−4は、いくつかの神経ペプチドや成長ホルモンの代謝;癌における浸潤、転移、血管新生等;HIVのリンパ球への感染等への関与が知られている。そのため、DPP−4の活性を阻害することにより、疼痛、神経変性疾患及び神経精神疾患等の神経障害(例えば坐骨神経痛、アルツハイマー病、うつ病等);成長ホルモン欠損症及び成長ホルモンが治療に使用される疾患;癌(例えばT−細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、甲状腺癌、基底細胞癌、乳癌等);HIV感染症(AIDS)等の疾患を治療することができると考えられる。
すなわち、本開示のペプチド(MQQM、LRQGD又はLHQKのいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチド)を有効成分として含有させることにより、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤として機能し、更には、DPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療のために用いることができる。具体的には、例えば、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤又は血管内皮障害抑制剤等として用いることができる。また、その他にも、食欲抑制、血管内皮細胞の保護等にも有用である。
なお、ここでいう「血糖値上昇抑制」とは、血糖値低下を含む意味であるが、特に「正常値以上又は必要以上に上昇した血糖値を下げることができること」を意味するものである。血糖値の正常値の判断は、日本糖尿病学会の2010年の診断基準等を参考にすればよい。
更に、これら以外のDPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療のために用いることもできる。例えば、肥満症や高血圧症等の糖尿病合併症、自己免疫性疾患、移植拒絶反応などの各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療のために用いることができる。
なお、DPP−4に起因する各種疾患等は、DPP−4が介在する各種疾患等であってもよい。
高血糖症、糖尿病及び高血糖状態によって引き起こされる種々の疾患としては、例えば、糖尿病性の細小血管症(例えば、網膜症、腎症、神経障害等)及び大血管合併症(例えば、狭心症・心筋梗塞等の虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化、壊疽等)等が挙げられる。
また、本開示のペプチドは血糖値上昇抑制作用、抗糖尿病作用、血管内皮機能改善作用及び血管内皮障害抑制作用等を併せ持つため、特に、高血糖状態によって引き起こされる血管内皮機能不全又は血管内皮障害の予防、改善及び/又は治療に有効であると考えられる。より具体的な疾患及び症状としては、例えば、糖尿病性の血管障害等が挙げられる。
なお、DPP−4阻害剤が前述した各種疾患や症状の予防剤、改善剤及び/又は治療剤のために利用できることについては、前記特許文献1〜4及び前記参考文献1〜4にも開示されている通りであり、本開示のペプチドについても同様に前述した各種疾患や症状の予防剤、改善剤及び/又は治療剤としても実施できることについては言うまでもない。
よって、本開示のペプチドは、上述のような、DPP−4阻害、血糖値上昇抑制、抗糖尿病、血管内皮機能改善、血管内皮障害抑制等のために使用してもよく、また、DPP−4阻害剤、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤、血管内皮障害抑制剤等の上述のような使用を目的とした各種製剤に使用することができ、これら各種製剤を製造するために使用することもできる。
以上のことから、本開示のペプチド及びこれを有効成分として含有する上述の各種製剤(以下、「前記DPP−4阻害剤等」という)は、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、上述したDPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療を図るための方法に使用することができる。
また、前記DPP−4阻害剤等は、上述したDPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療のためのヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧品等の有効成分として、これらに配合して使用可能である。
医薬品に配合する場合、該医薬品は、経口投与や非経口投与などの投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。その剤形は特に限定されないが、経口投与の場合、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。非経口投与の場合、例えば、座剤、噴霧剤、吸入剤、軟膏剤、貼付剤、注射剤等に製剤化することができる。本開示では、経口投与の剤形に製剤化することが好ましい。
なお、製剤化は剤形に応じて、適宜、公知の方法により実施できる。
製剤化に際しては、適宜製剤担体を配合する等して製剤化してもよい。また、本開示のペプチドのほか、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。更に、公知の又は将来的に見出される疾患や症状の予防、改善及び/又は治療の効果を有する成分を、適宜目的に応じて併用することも可能である。
前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機の担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
前記安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
前記矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
また、本開示のペプチドは、公知の又は将来的に見出されるDPP−4阻害活性を有する薬、血糖値上昇抑制薬、抗糖尿病薬等と併用することも可能である。
糖尿病のヒト又はその予備群(この予備群とは、糖尿病には至っていないが、高血糖値状態のヒトをいう)のヒトは、高血圧に留意する必要性がある。しかし、抗糖尿病薬等で血糖値を低下させても、血圧を低下させることまではできず、逆に、血圧低下薬等で血圧を低下させても、血糖値を低下させることまではできない場合がある。このため、糖尿病かつ高血圧のヒトは、血糖値上昇抑制薬、抗糖尿病薬等と血圧低下薬等の両方を処方されることが多く、薬の組み合わせによる副作用の懸念もある。しかし、本開示のペプチドは、蛋白質の分解物等からも分離精製可能であり、安全性が高いと考えられることから、他の薬を組み合わせた場合でも副作用の低減が期待できる。
本開示の前記DPP−4阻害剤等において、本開示のペプチドの配合量は、製剤の最終組成物に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。この場合、本開示のペプチドの投与量は、年齢、症状等により異なるが、通常、0.001〜3000mg/日、好ましくは0.01〜30mg/日であり、1日1回から3回に分けて投与してもよい。
(2)飲食品
また、本開示のペプチド(MQQM、LRQGD又はLHQKのいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチド)を含有する飲食品は、上述したDPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療の用途に応用できる。具体的には、例えば、DPP−4阻害、血糖値上昇抑制、血管内皮機能改善等の生理機能をコンセプトとする健康食品、機能性食品、病者用食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品等に応用できる。
本開示のペプチドを含有する飲食品は、公知の飲食品に添加して調製することもできるし、飲食品の原料中に混合して新たな飲食品を製造することもできる。
前記飲食品は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。
前記小麦粉製品としては、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。
前記即席食品類としては、例えば、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
前記農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
前記水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
前記畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
前記乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
前記油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
前記基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
前記冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
前記菓子類としては、例えば、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
前記飲料としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
上記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
また、本開示で定義される飲食品は、特定の用途(特に保健の用途)や機能が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本開示の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、病者用食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、機能性表示食品制度、これらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。より具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、機能性表示食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を挙げることができる。この中でも典型的な例としては、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、食品表示法(平成25年法律第70号)に定められた機能性表示食品としての表示及びこれらに類する表示である。
また、本開示のペプチド(MQQM、LRQGD又はLHQKのいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチド)を含有する飼料も、DPP−4に起因する各種疾患や症状の予防、改善及び/又は治療に応用できる。本開示のペプチドを含有する飼料は、公知の飼料に添加して調製することもできるし、飼料の原料中混合して新たな飼料を製造することもできる。
前記飼料の原料としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。また、前記飼料の形態としては、例えば、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
前記本開示のペプチドを含有する飲食品又は飼料において、本開示のペプチドの配合量は、飲食品又は飼料に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。この場合、本開示のペプチドの摂取量は、年齢、症状等により異なるが、通常、0.001〜3000mg/日、好ましくは0.01〜30mg/日であり、1日1回から3回に分けて摂取してもよい。
以下、実施例に基づいて本開示を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本開示の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。
[製造例1:MQQM(配列番号1)、LRQGD(配列番号2)及びLHQK(配列番号3)のペプチドの化学合成]
ペプチドシンセサイザー(Model 433A型 アプライドバイオシステムズ社)を使用し、Fmoc−Met((株)ペプチド研究所)、Fmoc−Gln((株)ペプチド研究所)、Fmoc−Met−Wang−PEG Resin(渡辺化学工業(株))を原料に用いて、固相合成法によりMQQMを合成した。
操作はアプライドバイオシステムズ社のマニュアルに従って行なった後、脱保護した。
なお、このペプチドは、下記HPLC条件で精製した。
<HPLC条件>
カラム:カプセルパックC18(UG120.5μm) 20mmI.D.×250mm((株)資生堂製)
検出:UV215nm
流速:16ml/分
溶離液A:0.05%トリフルオロ酢酸を含む1%アセ卜ニトリル水溶液
溶離液B:0.05%トリフルオロ酢酸を含む25%アセ卜ニトリル水溶液
得られたペプチドのアミノ酸配列を、プロテイン・シーケンサー((株)島津製作所社)により確認した。
また、上記と同様、固相合成法により、LRQGD及びLHQKを得た。
[Lys−Val−Leu−Pro(KVLP:配列番号4)、Ala−Pro−Arg−Lys−Asn(APRKN:配列番号5)、Leu−Met−Asn−Asp−Arg(LMNDR:配列番号6)及びHis−Gln−Gln(HQQ:配列番号7)のペプチドの化学合成]
製造例1と同様、固相合成法により、KVLP、APRKN、LMNDR及びHQQを得た。
[試験例1:各ペプチドのDPP−4阻害活性確認試験]
配列番号1〜7の各ペプチドのDPP−4阻害活性確認試験を行なった。
<DPP−4阻害活性の測定方法>
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害活性の測定は、カトウらの方法(Kato, T. et al. Biochem. Med. 19, p.351, 1978)に準じて行なった。
具体的には、阻害酵素(DPP−4)は、Recombinant Human DPPIV/CD26(R&D Systems, Inc.)、基質は、H−Gly−Pro−AMC(Biomol GmbH)を用いて、酵素反応を行なった。
96穴マイクロプレート(nunc 137101)の各ウェルに、水若しくは各濃度の試験物質の水溶液、又は、HPLCの分画フラクションを添加し、Tris−HCl(0.25M,pH8.0)を20μl添加して全量を80μlに調製した。撹拌の後プレートを37℃のインキュベーターで約10分程度温め、DPP−4溶液10μlと、基質溶液10μlを添加し(全液量100μl)、撹拌して反応を開始した。酵素の代わりに水を添加したウェルをコントロールとした。
酵素反応の測定はマイクロプレートリーダー(SH−9000,コロナ電気(株))を用い、庫内温度を37℃に保った条件下で測定した(5分間隔、ex360nm/em460nm)。
蛍光強度の経時的な増加が直線的な期間(反応開始から30分以内)の蛍光強度の値から、下記式(2)により阻害活性を算出した陽性対象として、Vildagliptin(JS Research Chemicals Trading社)を用いた。
Figure 2016222601
X:水+酵素+基質
Y:試験物質+酵素+基質
a:水+基質
b:試験物質+基質
<IC50の濃度の求め方>
試験物質の濃度を段階的に希釈し(10〜2000μg/ml)、その阻害率を求めた。その結果を基に試験物質の添加濃度の常用対数(log10)と阻害率の間の関係式を求めた。そしてこの関係式から酵素の阻害率が50%になる濃度を逆算することで、IC50を算出した。
<結果及び考察>
配列番号1〜7の各ペプチドのDPP−4阻害活性を下記表1に示す。
Figure 2016222601
MQQM(配列番号1)、LRQGD(配列番号2)及びLHQK(配列番号3)は、DPP−4阻害活性を有することが分かった。また、その活性は、LHQK(配列番号3)<MQQM(配列番号1)<LRQGD(配列番号2)の順に強く、いずれのペプチドも他のペプチド(配列番号4〜7のペプチド)よりも強い活性を示した。
更には、従来、DPP−4阻害活性を有するペプチドは、その配列中にL−プロリン残基(P)を有することが一つの特徴として考えられていたが、配列番号1〜3の各ペプチドはその配列中にL−プロリン残基(P)を有しないにもかかわらず、その配列中にL−プロリン残基(P)を有する配列番号4及び5のペプチドよりも強い活性を有していた。配列番号1〜3の各ペプチドは、その配列中にL−グルタミン残基(Q)を有することが一つの特徴として考えられるが、配列番号7のペプチドは配列中にQを有するにもかかわらず、DPP−4阻害活性は低かった。
本開示のペプチド(具体的には、MQQM、LRQGD及びLHQK)は、安全性が高く、医薬品、飲食品等の幅広い分野で利用することが可能である。

Claims (3)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド:
    (a)Met−Gln−Gln−Met(配列番号1)、
    (b)Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(配列番号2)、
    (c)Leu−His−Gln−Lys(配列番号3)。
  2. 以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含有する、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖値上昇抑制剤、抗糖尿病剤、血管内皮機能改善剤又は血管内皮障害抑制剤:
    (a)Met−Gln−Gln−Met(配列番号1)、
    (b)Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(配列番号2)、
    (c)Leu−His−Gln−Lys(配列番号3)。
  3. 以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種又は2種以上のペプチドを含有する飲食品:
    (a)Met−Gln−Gln−Met(配列番号1)、
    (b)Leu−Arg−Gln−Gly−Asp(配列番号2)、
    (c)Leu−His−Gln−Lys(配列番号3)。
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