JP2016210824A - 樹脂成形用組成物及びそれを用いた成形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用ポリオレフィン系樹脂とデンプンを主原料に用いて、良好な機械的特性と帯電防止性能をあわせもつ熱可塑性樹脂成形物に加工し得る樹脂成形用組成物を提供することであり、そのような組成物から、公知のプラスチック加工技術を用いて良好な機械的特性と帯電防止性能をあわせもつ成形物を得ることである。
【解決手段】本発明の樹脂成形用組成物は、デンプン(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、常温で液体の多価アルコール(C)、界面活性剤(D)、及び相溶化剤(E)を含有して成り、(A)の含有量に対する(C)と(D)の合計含有量が10%〜42%であり、(B)と(E)の合計含有量に対する(C)と(D)の合計含有量が10%〜28%である。
【選択図】図1A

Description

本発明は、ポリオレフィンに熱可塑化デンプンを配合した樹脂成形用組成物及びそれを用いた成形物に関する。
地球温暖化に関与する炭酸ガスの排出量削減の観点から、様々な技術分野でセルロースやデンプン等の再生産可能で安価な植物由来成分の利用可能性が検討されている。樹脂成形技術の分野においても植物由来成分を例えばフィラーにして樹脂組成物に配合することが古くから行われてきたが、特に近年では、デンプンに適当な可塑剤を配合して溶融加工が可能な熱可塑化デンプン(Thermoplastic Starch(TPS))とし、これと汎用の熱可塑性合成樹脂を溶融混練したいわゆるポリマーブレンドの検討が進んでいる。
ポリマーブレンドは、異なる性質を有する複数の高分子材料を混合し、物理的あるいは化学的作用により結合させて新たな物性(特性)を持った高分子組成物を生成する技術であり、その一つに、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑化デンプン(TPS)を含む組成物から成形物を製造する技術がある(特許文献1)。
ポリオレフィン系樹脂組成物は熱可塑性合成樹脂の中でもポリエチレンやポリプロピレンといった比較的安価な材料を主成分とするもので、成形物の製造が容易であること、成形物の耐熱性や機械的強度が優れていること等から、電子・電気部品や機械部品等の筐体や食品容器、各種製品の包装用シートや包装袋等、様々な分野で利用されている。
デンプンは分子量数万の長鎖状分子であるアミロースと分子量数十万の枝分れの多いアミロペクチンからなり、熱可塑性を示さない。そのため、デンプン単独では成形物を作ることは難しく、特に、シートやフィルム等の成形物を作ることは不可能である。デンプンは可塑剤と共に加熱混練するとデンプン粒子が崩れて糊化し、流動性が得られるため、熱可塑的に加工可能となる。しかしながら、デンプンの可塑剤として知られている水は沸点が低く、樹脂成形時に蒸発し易いため、樹脂成形物の材料のTPSの可塑剤として水を用いることは好ましくない。そこで、従来、沸点が高い多価アルコールを可塑剤とする熱可塑化デンプン(TPS)を用いた射出成形やシート成形等のプラスチック加工が行われてきた(例えば、特許文献2 )。グリセリンや1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類をデンプンと共に加熱混練すると、均質で熱可塑性的に加工可能なTPSとなる。
ただし、TPS単独では得られる成形物の機械的強度や耐水性が低く、用途が限られる。そのため、成形物の機械的強度や耐水性を向上させることを目的として、TPSに汎用の熱可塑性合成樹脂を溶融混練したポリマーブレンドの開発が進められてきた。なかでも、ポリオレフィン系樹脂とTPSのポリマーブレンドについては、相溶性の向上や該ポリマーブレンドを用いた成形加工性、成形物の機械的強度や耐水性の向上を目指して、相溶化剤の種類やTPSの可塑剤の種類、樹脂組成物中の各成分の比率等について、多くの検討がなされてきた(例えば特許文献3〜5)。
一方、ポリオレフィンは分子中に極性基をもたないため、ポリオレフィン系樹脂の成形物は帯電しやすく静電気が発生し易いことが知られており、このようなポリオレフィン系樹脂成形物の性質は、ポリオレフィン系樹脂にTPSを配合して得られる成形物においてもみられる。成形物がフィルム状あるいはシート状の場合、静電気によって該成形物に埃が付着したり、シート状成形物同士がくっつく、所謂ブロッキングという現象が生じたりするため、問題となる。特に電気・電子部品の保護や包装のために用いられるフィルム状、シート状の成形物においては、静電気や該静電気によって付着した埃が電気・電子部品の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
一般に、ポリオレフィン系樹脂成形物の帯電によって生じる諸問題は、成形物表面の表面固有抵抗値を低下させることで防止し得ることが知られている。例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のフィルムは、表面固有抵抗値が通常、1015(Ω)オーダーを超えるレベルであるが、1013(Ω)未満に低下させると埃が付着しにくいレベルになり、さらに上述の帯電に関する問題を解消するためには表面固有抵抗値を1012(Ω)未満に低下させることが望ましいとされている。従って、ポリオレフィン系樹脂とTPSを含む成形物においても帯電が問題となるが、上述したように従来は機械的強度や耐水性の向上に重点が置かれており、帯電性に関する十分な検討がなされていない。
特表2003−518541号公報 特表平03−502113号公報 特表平06−500149号公報 特開平03−70753号公報 特開平06−340771号公報 特開2012−246374号公報
本発明が解決しようとする課題は、汎用のポリオレフィン系樹脂とデンプンを主原料とする熱可塑性樹脂組成物を用いて、良好な機械的特性と帯電防止性を併せ持つ熱可塑性樹脂成形物を加工することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る樹脂成形用組成物は、
デンプン(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、常温で液体の多価アルコール(C)、界面活性剤(D)、及び相溶化剤(E)を必須成分として含有して成り、
前記デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜42重量%であり、
前記ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜29重量%であることを特徴とする。
以下、ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計を「樹脂系組成成分(B+E)」ともいう。
本発明に係る樹脂成形用組成物に配合されるデンプン(A)としては、工業的に流通しているデンプンのいずれでも使用可能であり、天然起源のデンプン、加工デンプンのいずれでも良い。天然起源のデンプンとしては、例えばコーンスターチ、小麦澱粉、ジャガイモ澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等が挙げられるが、流通量が多く品質が安定している点でコーンスターチが好ましい。また、加工デンプンとしては、アセチル化デンプン、リン酸化デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン等が挙げられ、これらの中でもリン含量0.5%以下のリン酸化デンプン、特に、特許文献6に記載されているようなリン酸化コーンスターチが好ましい。
なお、デンプンは、通常10〜15重量%の水分を含んでいる。本発明においては、デンプンに含まれる水分を予め乾燥除去しても良いが、含水状態のデンプンをそのまま使用することが可能である。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂(B)として、押出成形、射出成形、インフレーション成形、及びブロー成形等において一般的に使用される、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモ重合体及び共重合体、多段重合体等から成るポリオレフィン系樹脂を用いることができる。また、1種類のポリオレフィンを使用しても良く、複数種類のポリオレフィンを混合して使用しても良い。前記重合体の代表例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ポリブテン、エチレンプロピレンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等を挙げることができる。これらの中から目的とする成形物の特性に合わせた適宜のポリオレフィン系樹脂を選定して使用すると良い。
本発明の樹脂成形用組成物に占めるポリオレフィン系樹脂の割合は80〜30重量%、好ましくは75〜35重量%、更に好ましくは70〜40重量%である。この割合が80重量%以上では成形物で良好な帯電防止効果の発現が困難となり、30重量%以下では成形物の良好な機械的特性を得ることが困難である。
本発明では、常温で液体の多価アルコール(C)を熱可塑化デンプン(TPS)の必須可塑剤として用いる。「常温」とは15℃〜25℃の温度範囲を意味し、「常温で液体の多価アルコール」とは、融点が15℃〜25℃の温度範囲にあるか融点が15℃よりも低い多価アルコールであって、沸点が25℃よりも高い多価アルコールを意味する。常温で液体の多価アルコール(C)としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#300、#400、#600)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールが挙げられる。これらの中から1種の多価アルコールを使用しても良く、複数種の多価アルコールを混合して使用しても良い。
上述した多価アルコール(C)のうちグリセリンは下記の点から特に好ましく用いることができる。
・分子量が小さく、デンプンに対する浸透性・溶解性に優れる。
・加工・使用温度域における蒸気圧が低く、揮散し難い。
・水酸基価が大きい。水素結合能が高く、デンプン及び水との親和性が高い。
・ヤシ油やパーム油等のバイオマス由来のグリセリンが利用可能である。
また、熱可塑化デンプンの流動性や弾性率等の機械的特性を調整するため等、必要に応じて、常温で液体の多価アルコール(C)と常温で固体の多価アルコールを併用することができる。常温で固体の多価アルコールとしては、グルコース、フラクトース、ソルビトール、シュークロース、トレハロース、マルトース等が挙げられ、特にソルビトールを好ましく使用することができる。
本発明に係る樹脂成形用組成物は、界面活性剤(D)を必須成分とする。界面活性剤はポリオレフィン系樹脂とTPSの界面張力を低下させ、両者の溶融混練性を向上させる。さらに、界面活性剤は成形物の帯電性を低下させる帯電防止作用を有しており、特に、成形直後から成形物の帯電性を低下させる上で重要である。なお、本明細書では、成形物自身が帯電し難い性質、成形物と接触等した物質の帯電を防止する作用を、成形物の帯電防止作用という。界面活性剤を配合しない場合、成形物はある程度、周囲の環境の水分を吸湿することによって帯電防止性能のレベルを上げていくため、成形直後の帯電防止性能は必ずしも良好なレベルにあるとは言えない。これに対して、本発明では、配合した界面活性剤の一部が成形直後からブリードアウトして成形物の表面に存在しており、これが成形直後の帯電防止性能に寄与する。また、成形物の内部に存在する界面活性剤は徐々に成形物の表面にブリードするが、親水性のTPSとの相互作用によりTPSに拘束されるため、ポリオレフィン系樹脂単独相に配合された場合に比べてブリード速度が遅く、長期に渡って帯電防止性能を発揮する。
界面活性剤(D)としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性のいずれをも使用可能であるが、耐熱性の観点からアニオン性、両性、ノニオン性の界面活性剤を使用することが好ましい。また、複数種類の界面活性剤を混合して使用することもできる。ポリオレフィン系樹脂とTPSの相溶性の点から、特に、HLBが3〜9のノニオン性界面活性剤の使用が特に好ましい。
界面活性剤の配合量は、樹脂成形用組成物に対して0.5〜7重量%、好ましくは1.0〜5重量%である。0.5重量%未満の低配合量においては相溶性向上による機械的特性の向上や帯電防止効果への寄与が小さく、5重量%以上になると成形物の強度低下や表面のベタつきが発現するため好ましくない。
ポリオレフィン系樹脂とTPSとの相溶性は極めて不十分であるため、本発明では相溶化剤(E)を必須成分として用いる。相溶化剤としては、従来から既知の、例えばエチレン/アクリレート/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体又はエチレン/メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性されたポリオレフィン等のいずれをも使用できるが、比較的低分子量のポリオレフィンに無水マレイン酸を付加したものが、低添加量でも相溶化作用を発現できるため、特に好ましく使用することができる。このような低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物は市販されており、例えば、三洋化成工業株式会社製の「ユーメックス1001」及び「ユーメックス1010」(商品名)、三菱化学株式会社製の「モディック−AP P908」(商品名)等が挙げられる。低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物における酸変性基の量は特に限定されないものの、酸価が15〜80程度の比較的高いものが好ましい。また、低分子量ポリオレフィンの分子量は特に限定されないが、重量平均分子量において10,000〜200,000、更には、10,000〜100,000と比較的低分子量であることが好ましい。このような低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物を用いることにより、相溶化剤の添加量を抑制しつつ高い添加効果を得ることができる。相溶化剤の配合量は、樹脂成形用組成物に対して1〜15重量%であり、低分子量の相溶化剤のみを配合する場合は、樹脂成形用組成物に対して1〜5重量%である。
TPSはデンプン(A)と可塑剤である常温で液体の多価アルコール(C)を、また必要に応じて常温で固体の多価アルコールを追加して80℃〜230℃で混練することによって製造することができる。デンプンは非晶領域を成すアミロースと結晶構造を作るアミロペクチンを主体とする顆粒を形成している。デンプン顆粒を可塑剤とともに加熱混練すると、可塑剤がデンプン顆粒の内部に進入してその規則正しい構造を壊し、均質で熱流動する熱可塑化デンプン(TPS、Thermoplastic starch)となる。このようにして製造されたTPSとポリオレフィン系樹脂(B)、界面活性剤(D)、相溶化剤(E)、その他添加物を溶融混練することにより本発明に係る樹脂成形用組成物が形成されるが、上述した、デンプンと可塑剤の混練時の加熱温度(80℃〜230℃)は一般的なポリオレフィン系樹脂の溶融温度であるため、あらかじめTPSを製造するのではなく、TPSの構成成分であるデンプン(A)と常温で液体の多価アルコール(C)を、また必要に応じて常温で固体の多価アルコールを追加して、ポリオレフィン系樹脂(B)、界面活性剤(D)、相溶化剤(E)、その他添加物と共に溶融混練することにより本発明に係る樹脂成形用組成物を製造しても良い。後者の方法では、TPSの製造と樹脂成形用組成物の製造が一つの工程で行われるため、工程を簡略化でき、工程時間を短縮できる点で好ましい。
本発明の樹脂成形用組成物に占めるTPSの割合は70〜20重量%、好ましくは65〜25重量%、更に好ましくは60〜30重量%である。この割合が70重量%以上では成形物の機械的特性が不十分であり、20重量%以下では成形物の良好な帯電防止特性を得ることが困難となる。
本発明においては、好ましい機械的強度と帯電防止性能を併せ持つ樹脂成形物を得るために、デンプン(A)や樹脂系組成成分(B+E)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量の比が適当な範囲にある樹脂成形用組成物を用いることが重要である。デンプン(A)やポリオレフィン系樹脂(B)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量の好適な範囲は、本発明に係る樹脂成形用組成物を用いて成形する方法によって、あるいは製造される成形物に要求される機械的強度や帯電防止性能等によって、異なる。例えば、上記樹脂成形用組成物を射出成形、押出成形、又はブロー成形する場合は、デンプン(A)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜34重量%であり、樹脂系組成成分(B+E)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜24重量%であることが好ましい。また、上記樹脂成形用組成物をインフレーション成形する場合は、デンプン(A)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量が32重量%〜42重量%であり、樹脂系組成成分(B+E)の含有量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計含有量が11重量%〜28重量%であることが好ましい。これらの数値範囲にすることにより、成形時の破れや皺の発生、過度な発泡を防止することができ、フィルム状あるいはシート状、その他適宜の形状の成形物を製造することができる。
本発明の樹脂成形用組成物には、必要に応じて本発明の特長を損なわない範囲で、酸化安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機または有機充填剤、染料や顔料などの着色剤を任意に配合することができる。
本発明に係る樹脂成形用組成物は、デンプン(A)、及び樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の配合比率を適宜調整することにより、優れた機械的強度と帯電防止性能を両立した成形物を得ることができる。また、界面活性剤(D)は成形物の初期の帯電防止性能に有効に作用する。デンプン(A)と常温で液体の多価アルコール(C)から形成されるTPS、帯電防止性能に寄与する常温で液体の多価アルコール、水分、及び界面活性剤(D)を樹脂中に保持するため、帯電防止効果を持続的に発現させることができる。
シート成形物の浸水試験の結果である浸水時間と表面固有抵抗値の関係を示すグラフ。 浸水時間と含水率の関係を示すグラフ。 シート成形物におけるデンプンに対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計比率と表面固有抵抗値の関係を示すグラフ(1)。 シート成形物における樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計比率と表面固有抵抗値の関係を示すグラフ(2)。 インフレーション成形物におけるデンプンに対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計比率と表面固有抵抗値の関係を示すグラフ(3)。 インフレーション成形物における樹脂系組成成分(B)+(E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の合計比率と表面固有抵抗値の関係を示すグラフ(4)。
ポリオレフィン系樹脂とデンプンを主原料とするポリマーブレンドでは、価格の高騰を招くことなく、良好な機械的特性と帯電防止特性の両方を満足させ得る熱可塑性樹脂組成物並びに熱可塑性樹脂成形物が求められており、本発明に係る樹脂成形用組成物はこのような要求を満たすものである。
すなわち、本発明に係る樹脂成形用組成物は、デンプン(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、常温で液体の多価アルコール(C)、界面活性剤(D)、及び相溶化剤(E)を必須成分として含有して成り、
前記デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜42重量%であり、
樹脂系組成成分である前記ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜28重量%であることを特徴とする。
以下、本発明に係る樹脂成形用組成物の具体的な製造例について説明する。
まず、樹脂成形用組成物(デンプン質系材料配合ポリオレフィン系樹脂成形用組成物)の成分に使用した製品の名称や品番、製造会社等を表1、表2および以下に示す。また、各成分の配合比率を表1および表2に示す。
[デンプン(A)]
(A1)日本コーンスターチ(株)製 コーンスターチ「Y-3P」
(A2)日本コーンスターチ(株)製 リン酸化デンプン「馬澱のかわり」
(A3)日本コーンスターチ(株)製 PO付加デンプン「HTP−1」
[ポリオレフィン系樹脂(B)]
(1)ポリプロピレン樹脂(PP)
(B1)日本ポリプロ(株)製:メタロセンPP「WINTEC WSX4T」、Clariant社製:「リコセンPP2602」
(B2)ExxonMobil社製:プロピレン系エラストマー「Vistamaxx 6102」
(2)ポリエチレン樹脂(PE)
(B3)(株)プライムポリマー社製:メタロセンLLDPE「エボリュー(登録商標)SP1510」
(B4)日本ポリエチレン(株)製:メタロセンLLDPE「カーネルKF370」、ExxonMobil社製:メタロセンLLDPE「Exceed 1018HA」、「Exceed 3518CB」、「Exceed 2018HA」
(B5)日本ポリエチレン(株)製:エチレン-酢酸ビニル共重合体「ノバテックEVA LV342」
[常温で液体の多価アルコール(C)]
(C1)阪本薬品工業(株)製:精製グリセリン
[常温で固体の多価アルコール]
(C2)物産フードサイエンス(株)製:「ソルビトールFP」
[界面活性剤(D)]
(D1)理研ビタミン(株)製:ソルビタンラウレート(HLB 7.4)「リケマールL-250A」
(D2)松本油脂製薬(株)製:カルボキシベタイン(33重量%水溶液)「マーポビスターMLS」
(D3)松本油脂製薬(株)製:アルキルスルホン酸ナトリウム「TB-160」
[相溶化剤(E)]
(E1)三洋化成(株)製:酸無水物変性PP「ユーメックスU1001」、「ユーメックスU5202」
(E2)三井−デュポンポリケミカル(株)製:エチレン/メタクリル酸共重合体「ニュクレルN0903HC」
なお、上記した成分のうち成分(B1)は、メタロセンPP「WINTEC WSX4T」と「リコセンPP2602」のいずれか一方、あるいは両方を混合したものを用いた。成分(B4)は、メタロセンLLDPE「カーネルKF370」、メタロセンLLDPE「Exceed 1018HA」、「Exceed 3518CB」、「Exceed 2018HA」の中から選択した1種ないし複数種を混合したものを用いた。成分(E1)は、「ユーメックスU1001」、「ユーメックスU5202」のいずれか一方を用いた。
[デンプン質系材料配合ポリオレフィン系樹脂組成物の製造例]
混練装置として二軸押出機((株)テクノベル製KZW25TWIN、スクリュー径48mm、L/D=60、ベントポート2箇所(水蒸気解放機構、大気圧へ水蒸気を解放するタイプ))を用いて、シリンダー温度120〜160℃、スクリュー回転数150回転にて原料を混練し、混練組成物(本発明に係る樹脂成形用組成物に相当)とした。原料であるデンプン、ポリオレフィン系樹脂、可塑剤、界面活性剤、相溶化剤、並びに、水の投入には、定量フィーダ、及び定量ポンプを用いた。
混練に続いて、150℃に設定されたストランドダイより前記混練組成物を直径約3mmのチューブ状に押出し、約4mm長にペレタイズ化し、デンプン質系材料配合ポリオレフィン系樹脂組成物ペレット(以下「樹脂ペレット」という。)の製造例を得た。
なお、デンプンについては乾燥等を行わず投入し、デンプンが含有している水分量に相当する分を増量した。従って、表1および表2に示すデンプンの配合比率は、水分を含まない、乾燥状態における配合比率に相当する。
[プレスフィルムによる混練・分散性評価]
樹脂ペレットの製造例を、プレスフィルムに成形した。プレスフィルムの成形には、油圧式熱圧プレス機(型式:SA-301、テスター産業(株)製、50トンプレス機)を用い、190℃、8MPaにて樹脂ペレットを溶融、加圧し0.2〜0.5mm厚のフィルム状成形物とした。
得られたフィルム状成形物の目視による混練・分散性の評価を行い、プレスフィルム混練・分散性として表1、2に表示した。評価基準は次の通りである。
ブツが認められず、フィルムが均一である:○
ブツが認められる、もしくは透明性に欠ける部分があり、フィルムが不均一である:×
[シート押出成形の評価]
樹脂ペレットの製造例のうちプレスフィルム混練・分散性に問題のなかった実施例1〜13および比較例1〜8を用いてシート押出成形を行った。押出成形には、株式会社東洋精器製作所製の一軸押出機(D=20mm、L/D=25、Tダイ)を用い、スクリュー回転数50rpm、設定温度140〜180℃、目標厚み250〜330μm、目標幅155〜165mmの条件にて行った。成形性の評価基準は次の通りである。
問題なく成形可能であったもの:○
成形は可能であったが、肌荒れや発泡等が認められるもの:△
成形できなかったもの:×
シート押出成形の評価結果を混練性および分散性の評価結果と共に表3に示す。
なお、表3中の「※」は、装置の測定可能範囲以上に伸びたため最大値の特定ができなかったことを示す。また、表3、表4中の「10^n」(nは実数)は、「10」を意味する。
[インフレーション成形の評価]
樹脂ペレットの製造例のうちプレスフィルム混練・分散性に問題のなかった実施例14〜28および比較例9〜12を用いて空冷インフレーションフィルムの成形を行った。インフレーションフィルムの成形には、株式会社東洋精器製作所製の一軸押出機(D=20mm、L/D=25、リングダイ直径25mm)を用い、スクリュー回転数42rpm、設定温度140〜180℃、ブローアップ比約3.0で目標厚み45μmにて行い、次の評価基準に従い、成形性の評価を行った。
問題なく成形可能であったもの :○
成形は可能であったが、成形時にときどき穴があく、もしくは、成形物に肌荒れ等が認められるもの:△
成形できなかったもの :×
インフレーションフィルム成形の評価結果を混練性および分散性の評価結果と共に表4に示す。
[ブリードアウトの評価]
上述のシート成形物およびインフレーションフィルム成形物から10cm角のサンプルを切出した。そして、これらサンプルを重ならないようにテーブル上に並べ、5日間23℃、65%RHで放置してブリードアウトの評価を行った。
評価は、放置したフィルムの表面にベタつき等が認められないかを素手による触感に基づき行うと共に、フィルムに接触していたテーブル面に曇りやベタつきが認められないかを素手による触感及び目視での確認に基づき行った。評価基準は次の通りである。
フィルム、シート表面、テーブル上にベタつきや曇りが認められないもの :○
フィルム、シート表面に少しベタつきが認められ、テーブル上に少し曇りが認められるもの :△
フィルム、シート表面にベタつきが認められ、テーブル上もベタついているもの :×
ブリードアウトの評価の結果を上記の表3および表4に示す。
[引張試験]
上述のシート成形物およびインフレーションフィルム成形物から帯電防止成形物について引張試験を行った。試験に用いた設備、条件、及び環境は以下の通りである。
設備:(株)島津製作所製 Autograph AG-500B AG-I/R
条件:JIS K 7127/2/500、チャック間隔 50mm、ロードセル 5kgf 又は500kgf、
n=5、引張速度:500mm/min
環境:20℃、65%RH
その結果を表3および表4に示した。
[エメンドルフ引裂き試験]
上述のシート成形物について、エメンドルフ引裂き試験を行った。その結果を表3に示す。エメンドルフ引裂き試験に用いた設備及び環境は以下の通りである。
設備:Textest社製 引裂き試験器 FX3700、試験片形状 6.3cm × 7.5cm、n=5
環境: 20℃、65%RH
[表面固有抵抗値測定]
上述のシート成形物及びインフレーションフィルムを、温度23℃、湿度50%RHに設定した恒温恒湿槽にて24時間養生後、表面固有抵抗値の測定を行った。その結果を上記の表3および表4に示す。表面固有抵抗値の測定には以下の設備を用いて行った。
設備:(株)三菱化学アナリテック製 高抵抗率計 Hiresta-UP MCP-HT450
環境: 23℃、50%RH
[インフレーションフィルム及びシート成形物の含水率測定]
上述の表面固有抵抗値の測定に使用した後の上述のシート成形物及びインフレーションフィルムの含水率を測定した。含水率の測定には、以下の設備を用い、以下の条件及び方法で行った。その結果をそれぞれ上記の表3および表4に示す。
設備:(株)ケツト科学研究所製 赤外線水分計 FD−610
条件:110℃、10分
測定方式:乾燥減量法
[帯電防止性能の安定性試験]
上述のシート成形物の一部を用いて以下の3つの方法によって帯電防止性能の安定性の評価試験を行った。
(1)流水試験
実施例1〜13および比較例1〜8から得られたシート成形物を流水中に20分間置いた後、表面水分を拭い、その後、温度23℃、湿度50%RHの室内に24時間養生したシートの表面固有抵抗値を測定した。試験結果を上記の表3の「流水20分後」の欄に示す。
(2)浸水試験
実施例1、2および比較例4〜6、8から得られたシート成形物を60℃の温水に浸水し、未浸水(0分)、浸水開始から30分、60分、120分経過後に温水からシート成形物を取り出して表面の水分をペーパータオルで拭った後、温度23℃、湿度50%RHの室内に24時間養生し、表面抵固有抗値と含水率を測定した。その結果を図1A、図1Bに示す。図1A、図1Bは横軸を浸水時間(分)、縦軸を表面固有抵抗値(Ω)、含水率(%)とするグラフである。
[押出成形シートの2次加工性評価]
実施例1、3の樹脂ペレットを用い、生産実機にてシート押出成形の評価とほぼ同様の条件にて厚さ0.8mm、幅580mmのシートを製造し、真空成形での成形性評価に供した。
単発真空成形機にて真空成形を行った結果、型への追随性等、成形性に問題はなく、また、表面固有抵抗値は実施例3、7の樹脂ペレットを使用した成形物で、それぞれ、6.5×1011、3.4×1010であり、良好な帯電防止性能を示した。
[考察]
(1)シート成形物の製造例(実施例1〜13、及び比較例1〜8)について
成形可能であった比較例1の配合をベースとして、界面活性剤を配合しなかった比較例2では、シート成形が不可であった。また、実施例2の配合をベースとして、界面活性剤を配合しなかった比較例5においても、シート表面が波打ち状に荒れ、平滑な成形物を得ることができず成形性は不良であった。
なお、比較例5では、表面が比較的平滑な部分を用い参考データとしてその機械的物性や表面固有抵抗値の測定を行った結果、表面固有抵抗値が1013Ω以上であり、帯電防止性能も不十分であった。
このことから、界面活性剤が樹脂成形用組成物の溶融混練性においても、帯電防止性の発現においても必須成分であることがわかる。
デンプンに対し常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を10重量%とした比較例3では成形時に発泡が認められ、4.2重量%とした比較例4では、さらに発泡量の増加が認められた。常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)が水分によるシート成形時の発泡を抑制していると考えられ、デンプンに対し常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率は10重量%以上必要であることがわかる。
但し、成形性に問題のあった比較例3〜5についても比較的良好な部分を選択し機械的強度、表面固有抵抗値の測定に供し参考とした。
デンプンに対し常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を34重量%とした比較例1では分散性、成形性、機械的強度に問題はなく、表面固有抵抗値も1.7×10Ωと帯電防止性フィルムとしても良好な成形物を得ることができたが、ブリード試験においてフィルム表面のベタつきおよびテーブル上のベタつきが強く製品として使用は困難であった。
デンプンに対し常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を32.9重量%とした実施例10ではブリード試験に問題がないため、デンプンに対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率は34重量%以下にする必要がある。
また、比較例1は、樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率が24.5重量%であり、20.4重量%とした実施例11、12ではブリード試験において若干グリセリンのブリードが認められたが、成形物としては使用可能なレベルであったため、樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率は24%以下とする必要がある。
実施例1の配合をベースに界面活性剤(リケマール)を4重量%とした実施例13では、成形直後はブリードが認められなかったが、ブリード試験において界面活性剤のブリードが若干認められた。界面活性剤はTPSと樹脂の界面に存在しているため、グリセリンよりも界面活性剤の方がブリードしやすく、表面固有抵抗値を成形直後から低下させる要因であるが、界面活性剤の過度(4%以上)の添加はブリードによるベタつきの発現につながる。
TPSの投入量を約40重量%、約30重量%とした比較例6、7では成形性や機械的物性等に問題ないが表面固有抵抗値が1013Ω以上であり帯電防止性能が不十分であった。しかし、TPSの投入量は同じ約40重量%、約30重量%であっても樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を12.9重量%、10.4重量%とした実施例9、10では、表面固有抵抗値が1012Ω以下となった。このことから、樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を10%以上とする必要がある。
また、実施例1〜13の全ての配合において得られた成形物の含水率は5%未満であるが、表面固有抵抗値は10〜1011Ωと良好な値であった。
TPSを投入せず界面活性剤のみ2重量%投入した比較例8では、成形性、機械的物性、初期の表面固有抵抗値など、全てにおいて良好であった。しかし、流水試験において、1012Ωまで表面固有抵抗値の上昇が認められ、浸水試験においては30分浸水以降では測定が困難なレベルまで抵抗値の上昇が認められた。TPSを含有していないと界面活性剤が水中へ溶出しやすく帯電防止効果の持続性に問題がある。
一方、TPSを配合した実施例1〜13の全ての配合で流水試験後も表面固有抵抗値は1012Ω以下を維持しており、浸水試験を行った実施例1、2については時間が経過しても1010Ωレベルに安定している。
以上のことから、押出成形、ブロー成形、射出成形することにより得られる成形物、並びに、押出成形によって得られる成形物を真空成形等によって二次加工して得られる成形物においては、本発明の樹脂成形用組成物の必須成分である、常温で液体の多価アルコール(C)は、デンプンの可塑剤であると共に帯電防止効果にも寄与する。しかしながら、その配合量が過大になると成形物の機械的特性を悪化させ表面のベタつきを生じさせることとなる。また、必須成分である界面活性剤(D)は、組成物の混練時のブレンド性を向上させると共に成形初期の帯電防止効果発現に重要であるが、多価アルコール(C)同様に適正配合範囲を把握することが重要である。
図2A、図2Bは、実施例1〜13、比較例1〜8のシート成形物についてデンプン(A)の重量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計割合(重量%)、および樹脂系組成成分であるポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の重量の合計に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計割合(重量%)と表面固有抵抗値(Ω)との関係を示したものである。
これらの図より、デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量の割合が10重量%〜34重量%であり、かつ、樹脂系組成成分である前記ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)との重量の合計に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量の割合が10重量%〜24重量%である本発明の実施例の成形物が、良好な帯電防止性能を有することが分かる。また、表3に示したように、実施例の成形物は優れた機械的強度を有するものである。
また、本発明の樹脂成形物は5重量%以下の含水率においても良好な帯電防止性を有した。
(2)インフレーション成形物の製造例(実施例14〜28、比較例9〜12)について
実施例14の配合を基準にデンプン(A)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を26.8重量%とした比較例9、及び30.3%とした比較例11ではインフレーション成形ができなかった。これに対し34.0重量%以上とした実施例14〜28、及び比較例10、12では良好なフィルム成形物が得られた。
比較例9、11においてインフレーション成形ができなかった原因としては、溶融時のTPSの柔軟性が不十分であったため考えられる。シート成形と異なりインフレーション成形では、溶融時のTPSの柔軟性が乏しいと、成形時に膨らまない、膨らんでも穴があいてしまうなどの成形不良の原因となる。
実施例14の配合をベースに常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を42.0重量%とした比較例10では、インフレーション成形も可能であり、機械的強度も良好であったが、ブリード試験においてベタつきが認められた。実施例14〜28ではベタつきは認められなかった。
TPSの投入量を約40%、約30%とし、更に樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率を11%以上とした実施例26〜28においては、表面固有抵抗値が1011Ωレベル以下と良好であった。これに対し、TPSの投入量約30%、樹脂系組成成分(B+E)に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率が11%未満である比較例12では1012Ωであった。
図3A、図3Bは、実施例14〜28、比較例9〜12のインフレーション成形物についてデンプン(A)の重量に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計割合(重量%)、および樹脂系組成成分であるポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の重量合計に対する常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量合計の割合(重量%)と表面固有抵抗値(Ω)との関係を示したものである。なお、比較例9、比較例11は成形不可であったため表面固有抵抗値の測定が未実施であるが、便宜上、表面固有抵抗値を1×1014として図3A、図3Bにプロットした。
これらの図より、インフレーション成形では、デンプン(A)の重量に対し、常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率が31〜42重量%、且つ、樹脂系組成成分であるポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計重量に対し、常温で液体の多価アルコール(C)と界面活性剤(D)の重量の合計比率が11〜28重量%配合した本発明の組成物が良好な帯電防止性能を有することが分かる。また、表4に示したように、各実施例の成形物は優れた機械的強度を有するものである。さらに、本発明の樹脂成形物は7重量%以下の含水率においても良好な帯電防止性を有する。
なお、上記製造例では、本発明に係る樹脂成形用組成物を使ってシート成形およびインフレーション成形によりシート状、フィルム状といった厚みが小さい成形物を製造したときの該成形物の機械的強度や帯電防止性能、成形性等について検討したが、本発明に係る樹脂成形用組成物を使って厚みのある成形物を製造することも可能であり、また、シート成形およびインフレーション成形以外の周知の成形技術を使用して成形物を製造することも可能である。

Claims (9)

  1. デンプン(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、常温で液体の多価アルコール(C)、界面活性剤(D)、及び相溶化剤(E)を必須成分として含有して成る、樹脂成形用組成物。
  2. 前記デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜42重量%であり、
    樹脂系組成成分である前記ポリオレフィン系樹脂(B)と界面活性剤(E)の合計含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜28重量%である請求項1に記載の樹脂成形用組成物。
  3. 前記常温で液体の多価アルコール(C)がグリセリンである、請求項1又は2に記載の樹脂成形用組成物。
  4. 前記相溶化剤(E)が不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンである、請求項1又は2に記載の樹脂成形用組成物。
  5. 前記デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜34重量%であり、
    樹脂系組成成分である前記ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が10重量%〜24重量%である請求項1に記載の樹脂成形用組成物。
  6. 前記デンプン(A)の含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が32重量%〜42重量%であり、
    樹脂系組成成分である前記ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶化剤(E)の合計含有量に対する前記常温で液体の多価アルコール(C)と前記界面活性剤(D)の合計含有量が11重量%〜28重量%である請求項1に記載の樹脂成形用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂成形用組成物を成形加工することにより得られる成形物。
  8. 請求項5に記載の樹脂成形用組成物を押出成形、ブロー成形、射出成形することにより得られる成形物、並びに、押出成形によって得られる成形物を真空成形等によって二次加工して得られる成形物。
  9. 請求項6に記載の樹脂成形用組成物をインフレーション成形することにより得られる成形物。
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