JP2016147276A - 圧延機の板厚制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延材Wを圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、現パスより前の複数パスにおける出側板厚の実測値と、ロールギャップの設定値とから、圧延中のミル伸び量をもとめ、求めたミル伸び量と圧延荷重の実測値の関係式(P=fn(δ))を求めておき、次パスのロールギャップの設定において、目標板厚から圧延荷重を求め、前記関係式(P=fn(δ))を用いて次パスでのミル伸び量を求め、次パスの目標板厚から求めたミル伸び量を減算することで、次パスにおけるロールギャップ量を算出し設定する。
【選択図】図7
Description
圧延機は、板厚を制御するための板厚制御部を有しており、この板厚制御部では目標板厚を得るためのロールギャップ量を計算している。すなわち、板厚制御部では、圧延モデルによって圧延荷重Pを計算した後、ロールギャップ、圧延荷重、目標板厚の関係を表すゲージメータ式(次式)を使って、ロールギャップ量を算出している。
ここで、Mはミル定数であり、(1/M)は単位荷重が作用したときに、圧延機内で圧延材が通過する位置でのロールギャップの開き量である。このゲージメータ式には、程度の差はあるものの、常時、誤差ΔSが含まれる。すなわち、狙いの板厚Hを得るためには、真のロールギャップはSではなく、S+ΔSのロールギャップに設定する必要がある。なお、圧延荷重Pの予測誤差は考慮しないこととする。
ΔH=ΔS+ΔP/M
ΔH=Hact−Href
ΔP=Pact−Pcal
ここで、Hactは実測される板厚、Hrefは目標板厚、Pactは実測される圧延荷重、PcalはHrefから計算される圧延荷重である。
要因(1):ロールの磨耗や熱膨張によるロール径の変化
要因(2):ロールのたわみによるロールギャップの変化
要因(3):ミル定数Mの推定誤差
などが考えられる。
Hn+1=Sn+1+ΔS+P n+1 cal/M
また、ゲージメータ誤差ΔSには、nパス目の圧延結果から計算される値を用いるのではなく、それ以前のパスの影響も考慮し、たとえば(n-1)パス目におけるゲージメータ誤差ΔS-1を用いて、次式で計算されるΔS'を用いることも多い。
このようにして、前述したゲージメータ誤差の発生要因(1)〜(3)に起因するとしては、ゲージメータ誤差ΔSを学習していくことで、より目標板厚により近い板厚を実現するロ
ールギャップの設定が可能である。
上述した如く、前パスの圧延結果を現パスに反映させることで、ゲージメータ式による圧延材の板厚制御の精度を向上する技術は、数々開発されており、例えば、特許文献1の技術が該当する。
ところが、ゲージメータ誤差ΔSは全パスにわたって一定ではなく、完全に予測できるものではない。それは、前述の要因(1)〜要因(3)によるゲージメータ誤差が、圧延量、圧延荷重、板幅等によって変化していくからである。そこで、それ以前の圧延結果からΔSを予測してロールギャップを設定する方法では、ΔSの予測の外れによって板厚誤差が発生することが否めない。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、ゲージメータ式を用いた板厚の制御方法において、ゲージメータ誤差の学習方法を改善し、目標板厚を得るためのロールギャップをより高い精度で計算する板厚制御方法を提供することを目的とする。
本発明の板厚制御方法は、圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、現パスより前の複数パスにおける出側板厚の実測値とロールギャップの設定値とから、圧延中のミル伸び量を求めると共に、求めたミル伸び量と圧延荷重の実測値の関係式(P=fn(δ))を求めておき、次パスのロールギャップの設定において、目標板厚から圧延荷重を求め、前記関係式(P=fn(δ))を用いて次パスでのミル伸び量を求め、次パスの目標板厚から求めたミル伸び量を減算することで、次パスにおけるロールギャップ量を算出し設定することを特徴とする。
図7に示す如く、厚鋼板等の圧延材Wを圧延する圧延装置1は、その上流側に圧延材Wを加熱する加熱炉2を有し、加熱炉2の下流側には、圧延材Wの粗圧延を行う粗圧延機3が備えられている。粗圧延機3の下流側には、仕上げ圧延を行う仕上圧延機4が備えられている。加熱炉2で加熱されたスラブRは、粗圧延機3や仕上圧延機4で複数回(複数パス)圧延されて、製品の圧延材W(厚鋼板)となる。
さらに、圧延機には、ワークロール5,5の間隙長(以下、ロールギャップ量と呼ぶ)を調整する油圧駆動の圧下装置が備えられている。また圧延機には圧延荷重を計測するロードセルが設けられている。圧延機の出側には、圧延材Wの出側板厚を計測するための板厚計が設けられている。板厚計としてはγ線板厚計などを採用することができる。なお、インラインの板厚計測手段が具備されていない場合、作業者がマイクロメータ等の測定具を用いて、手作業にて圧延材Wの出側板厚を計測する場合もある。
本実施形態における板厚制御部は、基本的には、ゲージメータ式を用いたAGC(例えば、BISRA−AGC)を実行してロールギャップ量を制御している。ゲージメータ式を用いたAGCは、圧延機の弾性や圧延材Wの変形抵抗を考慮した上で、圧延機の出側板厚を求めるものであって、例えば、ロードセルが計測した圧延荷重を基にミル定数などを考慮して出側板厚を推定し、その値を基にロールギャップ量を変更し圧延機の制御を行うものである。
本発明の板厚制御方法を説明する前に、まず、図1を参照しつつ、従来の手法によりロールギャップを設定する方法について、説明する。
ージメータ式(次式)に基づいて算出する。その後、ロールギャップの設定値S1に基づいて圧延を行う。
S1=H1 ref-P1 cal/M
STEP102において、1パス目の圧延結果(H1 act、P1 act)を取得する。
ΔS1=ΔH1-ΔP1/M
ΔH1=H1 act−H1 ref
ΔP1=P1 act−P1 cal
次に、STEP104では、2パス目のロールギャップ量S2を、次式で設定し、ロールギャップの設定値S2に基づいて圧延を行う。
STEP105において、2パス目の圧延結果(H2 act、P2 act)を取得する。
STEP106において、2パス目の圧延実績に基づいたゲージメータエラー値を、次式により計算する。
ΔS2=ΔH2-ΔP2/M
ΔH2=H2 act−H2 ref
ΔP2=P2 act−P2 cal
求めたΔS2を基に、STEP107において、3パス目のロールギャップ量S3を次式で設定し、ロールギャップの設定値S3に基づいて圧延を行う。
STEP108において、3パス目の圧延結果(H3 act、P3 act)を取得する。
STEP109において、3パス目の圧延実績に基づいたゲージメータエラー値を、次式により計算する。
ΔS3=ΔH3-ΔP3/M
ΔH3=H3 act−H3 ref
ΔP3=P3 act−P3 cal
以下、STEP110〜STEP112にて同様の計算を行い、4パス目からnパス目までのロールギャップ量S4〜Snを設定する。
しかしながら、実際の圧延では、ゲージメータ誤差ΔSは全パスにわたって一定ではなく、完全に予測できるものではない。それ故、以前の圧延結果からΔSを予測してロールギャップを設定する方法(従来の板厚制御技術)では、ΔSの予測の外れによって板厚誤差が発生することが否めない。
以下、図2を基に、本発明の板厚制御方法について詳細に説明する。
まず、本発明の板厚制御方法においては、2パス目までは従来法と同じ計算法を採用するようにしている。すなわち、図2のSTEP1に示すように、1パス目のロールギャップの設定値S1をゲージメータ式(次式)に基づいて算出し、ロールギャップの設定値S1に基づいて圧延を行う。
STEP2において、1パス目の圧延結果(H1 act、P1 act)を取得する。
STEP3において、1パス目の圧延実績に基づいたゲージメータエラー値を、次式で計算する。
ΔS1=ΔH1-ΔP1/M
ΔH1=H1 act−H1 ref
ΔP1=P1 act−P1 cal
その後、STEP4では、1パス目のミル伸び量の実測値δ1の計算を、次式で行う。
STEP5にて、ロールギャップ量S2を、次式で設定する。
S2=H2 ref-P2 cal/M-ΔS1
同様に、STEP6にて、2パス目の圧延結果(H2 act、P2 act)を取得し、STEP7にて、2パス目のミル伸び量の実測値δ2の計算を、次式で行う。
その後、STEP8にて、2パス目までのミル伸び式P=f2(δ)を作成する。ここで、f2()は、P1=f2(δ1)とP2=f2(δ2)を満たす関数とする。f2(δ)としては、ミル伸び量δと圧延荷重の実測値(P1, P2)の関係を簡易の数式、たとえば、以下に示す2次式の形で表現したものを採用するとよい。
続いて、STEP9において、STEP8にて作成したミル伸び式P=f2(δ)を用いて、3パス目のミル伸び量のδ3の予測計算を行い、その結果を基に、STEP10にて、
次式に基づいて、3パス目のロールギャップ量を計算する。
S3=H3 ref−δ3 cal
その後、STEP11にて、3パス目の圧延結果(H3 act、P3 act)を取得し、STEP12にて、3パス目のミル伸び量の実測値δ3の計算を、次式で行う。
STEP13にて、3パス目までのミル伸び式P=f3(δ)を作成する。ここで、f3()は、Pi=f3(δi)(i=1,2,3)を満たす関数とする。
以下、同様にSTEP14〜18を行うことで、4パス目のミル伸び量のδ4の予測計算、4パス目の圧延、4パス目のミル伸び量の実測値δ4の計算、4パス目までのミル伸び式P=f4(δ)の作成を行う。
ここで、fn(δ)としては、ミル伸び量δと圧延荷重の実測値(Pn-1, Pn-2, Pn-3, ・・・, Pn)の関係を簡易の数式、たとえば、以下に示すn次式の形で表現したものを採用するとよい。
以上のように、ゲージメータ式を用いた板厚の制御方法において、ゲージメータ誤差ΔSの学習方法を改善することで、目標板厚を得るためのロールギャップをより高い精度で計算することが可能となる。特に、圧延開始に対応する圧延材Wの先端部での板厚を目標値に一致させることが可能となる。
P=fstd(δ)
を作成しておき、
δ1=f-1 std(P1 cal)
によって1パス目のミル伸び量を予測して、1パス目の目標板厚H1を得るロールギャップS1を計算してもよい。
P=fn(δ)
の作成において、1〜nパス目のすべてのパスの圧延実績(P1, P2, …, Pn, δ1, δ2, …, δn)を満足するのではなく、近似的に満足する関数fn()を採用するようにしてもよい。その際、最新の圧延実績により大きな重みをつけて近似式を作成するのが望ましい。圧延材Wの板幅、強度クラスが変わった場合、新たにミル伸び式を再構築するのが望ましい。
以上述べた本発明にかかる板厚制御方法を用いて、圧延実験を行った結果を、図3〜図6に示す。
一方、図5は、従来法によりセットアップ計算を行ったときのゲージメータ誤差を示したものであり、図6は、本発明によりセットアップ計算を行ったときのゲージメータ誤差示したものである。図5と図6を比較することから明らかなように、本発明の板厚制御方法を適用することにより、ゲージメータ式に含まれる種々の誤差を正確に同定して、ゲージメータ式を修正することで、圧延時において高い板厚精度が得られることがわかる。
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 ワークロール
6 バックアップロール
W 圧延材
Claims (2)
- 圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、
現パスより前の複数パスにおける出側板厚の実測値とロールギャップの設定値とから、圧延中のミル伸び量を求めると共に、求めたミル伸び量と圧延荷重の実測値の関係式(P=fn(δ))を求めておき、
次パスのロールギャップの設定において、目標板厚から圧延荷重を求め、前記関係式(P=fn(δ))を用いて次パスでのミル伸び量を求め、次パスの目標板厚から求めたミル伸び量を減算することで、次パスにおけるロールギャップ量を算出し設定する
ことを特徴とする圧延機の板厚制御方法。 - 1パス目の圧延において、ミル伸び量と圧延荷重の実測値の関係式(P=fn(δ))を初期化し、
2パス目以降の圧延データから、ミル伸び量と圧延荷重の実測値の関係式(P=fn(δ))内の係数を決定し、
3パス目以降、順次、パス数の増加とともに、前記関係式(P=fn(δ))内の係数を修正する
ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機の板厚制御方法。
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