JP2016140265A - レジスタントスターチ高含有の米およびその製造方法 - Google Patents

レジスタントスターチ高含有の米およびその製造方法 Download PDF

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【課題】本発明は、超硬質米の加熱調理後のレジスタントスターチ含量の低下を抑制し、レジスタントスターチ高含有の米および米加工食品を簡便かつ容易に製造する方法を提供することにある。
【解決手段】アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって得られる、レジスタントスターチ高含有米または米加工食品、ならびにその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスタントスターチ高含有の米およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、レジスタントスターチの含量が精米状態で増加し、かつ加熱調理による減少が抑制された米およびその製造方法に関する。
近年、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防を目的として、低カロリーや糖質制限、食物繊維高含有といった種々の食品が開発されている。
米およびその加工食品は、日本人にとってなじみの深い食材であるが、その主成分は澱粉である。澱粉は一般的に消化されやすいが、一部、難消化性の画分が存在し、この画分はレジスタントスターチ(resistant starch:RS)と呼ばれている。レジスタントスターチ(以下、「RS」と略記する場合がある。)は生体内で食物繊維と同様な働きをすると言われており、血糖値上昇抑制効果、腸内環境改善効果などが報告されている。
一般的に、米に含まれているRS含量は1%以下であるが、アミロペクチン枝作り酵素IIb(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米(以下、「超硬質米」と記載する場合がある。)は非常に多くのRSを含んでおり、超硬質米の一種である「ちくし粉85号」では約18%、「EM10」では約25%も含まれている。このように、超硬質米は、一般の米と比べて非常に多くのRSを含んでいるが、加熱調理の仕方によってはRS含量が低下してしまうことがある。米は通常加熱調理をした状態のものを食するので、加熱調理後でもRS含量ができるだけ高いことが要求される。
これまで、澱粉の加工処理などによって、澱粉中の難消化性澱粉の含有率を高める研究が行われている。例えば、乳酸菌による発酵処理またはタンパク分解酵素による酵素処理を行う前処理工程と、水蒸気加熱によって表面のみを一時的に糊化した後、冷却乾燥させる表面処理工程と、乾燥米を袋詰め状態のまま高湿度雰囲気内に放置して湿熱処理を行うレジスタントスターチ生成工程で構成されるダイエット米の製造方法(特許文献1)、生米をスクロースと増粘多糖類生成能を備えた乳酸菌を含有する仕込み液に浸漬して発酵処理を行い、発酵によって生成した増粘多糖類を、米に付着または含浸させた状態で液切りを行い、その後前記生米を蒸米処理し、その後冷却及びほぐし処理を行い、ほぐされた処理米を密封状態で更に加熱する湿熱処理を行って澱粉の一部をレジスタントスターチとする方法(特許文献2)、ハイアミロースコーンスターチを160〜260℃の温度、かつその温度の飽和蒸気圧以上の圧力を有する熱水と接触させる方法(特許文献3)、トウモロコシ由来のアミロース含量85%以上の高アミロース澱粉を粒度によって分画して抵抗性澱粉含量が高められた澱粉画分を得る方法(特許文献4)などがある。また、レジスタントスターチの加熱処理耐性の観点から検討した例としては、アミロース含量が40%以上であるアミロース高含有澱粉を無機酸水溶液中で酸処理する方法(特許文献5)などが報告されている。しかしながら、これらの方法はいずれも多段階かつ複雑な処理工程が必要であったり、加熱処理耐性に対して必ずしも満足のいくものではなかった。
特許4757419号公報 特許4038450号公報 特許5322232号公報 特許3628690号公報 特許4482611号公報
従って、本発明は、超硬質米の加熱調理後のレジスタントスターチ含量の低下を抑制し、レジスタントスターチ高含有の米および米加工食品を簡便かつ容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬質米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって、超硬質米の精米状態でのレジスタントスターチ含量を増加させるとともに、加熱調理後のレジスタントスターチ含量の低下が抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
従って、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって得られる、レジスタントスターチ高含有米。
(2)レジスタントスターチ含量が精米状態で15重量%以上であり、かつ、炊飯後のレジスタントスターチ含量が6重量%以上である、(1)に記載のレジスタントスターチ高含有米。
(3)前記突然変異米に対する油脂の添加量が0.3〜10重量%である、(1)または(2)に記載のレジスタントスターチ高含有米。
(4)前記突然変異米に対する水蒸気加熱処理の温度が80〜250℃である、(1)〜(3)のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米。
(5)前記突然変異米に対する水蒸気加熱処理の時間が2〜120分である、(1)〜(4)のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米を加工した米加工食品。
(7)アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加する工程と、水蒸気加熱処理を行う工程を含む、レジスタントスターチ高含有米の製造方法。
(8)アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって、該突然変異米のレジスタントスターチ含量の加熱調理による減少を抑制する方法。
本発明よれば、簡便かつ容易な手段にて超硬質米の精米状態でのレジストタントスターチ含量を増加させるとともに、加熱調理後のレジストタントスターチ含量の低下を抑制することができる。本発明により提供されるレジストタントスターチ高含有米およびそれを含む米加工食品は、消化・吸収されない水不溶性の食物繊維であるレジストタントスターチを多く含むことから、食後の血糖上昇を緩やかにして糖尿病の発症を予防する効果、あるいは、腸内有用細菌増殖促進による整腸作用やコレステロール低下効果が期待でき、また、満腹感が得られるため肥満防止に役立つ。
本発明のレジスタントスターチ高含有米は、アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米(超硬質米)に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって得られる加工米である。
本発明によれば、上記のレジスタントスターチ高含有米の製造方法も提供される。当該製造方法は、上記の超硬質米に油脂を添加する工程と、水蒸気加熱処理を行う工程を少なくとも含んでいればよく、精米、粉砕、ブレンドなどの他の工程を行ってもよい。油脂添加工程は、水蒸気加熱処理工程の前に行う。
原料米となる超硬質米は、澱粉のアミロペクチン短鎖を枝付けするBEIIbの欠損、または当該酵素活性の低下のために、アミロペクチン短鎖が少ない突然変異米であって、例えば、アミロペクチン短鎖の全アミロペクチン鎖に対する割合が5〜20%程度の突然変異米をいう。BEIIbの欠損は、メチルニトロソウレア(MNU)やN-ビス(2-ヒドロキシプロピル)ニトロソアミン(DHPN)等の化学試薬やコバルト6などの物理的刺激によって人為的に起こされ、BEIIbの酵素活性の完全な欠損のみならず、当該酵素活性の著しい低下も含むものとする。超硬質米として、例えば、EM10、こなゆきの舞、アミロモチ、ちくし粉85号等が知られている。本発明において、これらの超硬質米は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、ちくし粉85号は福岡県農林業総合試験場が保有している超硬質米系統である。
本発明において超硬質米に添加する油脂は、食用油脂として一般に使用され、本発明の効果を妨げないものであれば特に限定はされないが、例えば、菜種油、綿実油、大豆油、胡麻油、紅花(サフラワー)油、ひまわり油、とうもろこし油、米油、ぶどう油、落花生油、オリーブオイル、ツバキ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂等の植物性油脂、牛脂、豚脂、鶏油、魚油、卵黄油等の動物性油脂、これらの油脂の混合油、これらの油脂に水素添加、エステル交換、および分別から選択される1種または2種以上の処理を施した加工油脂(例えば、ショートニング、マーガリン等)を用いることができる。なかでも、常温で液体の植物性油脂が好ましく、精製度が高く、味や臭いに癖の少ない精製油や脱ロウした精製油であるサラダ油が好ましい。サラダ油としては、JAS規格で定められた菜種サラダ油、綿実サラダ油、大豆サラダ油、胡麻サラダ油、紅花(サフラワー)サラダ油、ひまわりサラダ油、とうもろこしサラダ油、米サラダ油、ぶどうサラダ油が挙げられる。これらの油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
超硬質米に対する油脂の添加量は、0.3重量%以上、好ましくは1.0重量%以上で、風味への影響や作業性の観点から、上限は、10.0重量%以下であることが好ましい。超硬質米への油脂の添加は、超硬質米に所定量の油脂を一度に添加した後、撹拌混合することによって行ってもよく、所定量の油脂を数回に分けて撹拌混合しながら添加することによって行ってもよい。超硬質米への油脂の添加方法は、超硬質米の表面に油脂を均一になじませることが可能な方法であれば特に限定はされず、例えば、撹拌混合、気流混合、スプレー噴霧などの常法で行うことができる。また、混合装置としては、食品用のドラム型ミキサー、縦型ミキサー、リボンミキサー等を用いることができる。
超硬質米に油脂を添加した後、水蒸気加熱処理を行う。水蒸気加熱は、熱水、飽和水蒸気、過熱蒸気、減圧(真空)蒸気等を熱媒体とし、高湿度雰囲気下、例えば、湿度80%以上の雰囲気下で対象物を加熱する方法である。水蒸気加熱は熱媒体を対象物に直接接触させることによって行ってもよく、または対象物を熱交換機を通じて間接的に加熱してもよい。また加熱は常圧下および加圧下のいずれで行ってもよい。水蒸気加熱の具体的な条件としては、温度は80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であるが、作業性、色調の観点から、上限は例えば250℃以下であることが好ましい。時間は2分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上であるが、作業性、色調の観点から、上限は例えば120分以下であることが好ましい。また、時間が2分に満たない場合は、所望の効果が得られないので好ましくない。これらの温度および時間の条件はあくまで例示であり、温度および時間の相互の関係で適宜変更できる。また、本発明における水蒸気加熱は、連続式またはバッチ式のスチーマー(蒸し機)やオートクレーブなどを用いて行えばよい。
上記のような油脂添加と水蒸気加熱処理により、未加工の超硬質米に比べて精米状態でのレジスタントスターチ含量が増加し、かつ加熱調理後のレジスタントスターチ含量の低下が抑制された本発明のレジスタントスターチ高含有米を得ることができる。ここで、「加熱調理」には、「炊く」、「茹でる」、「焼く」、「煮る」、[蒸す」、「炒める」、「揚げる」などの調理が含まれる。
本発明のレジスタントスターチ高含有米は、レジスタントスターチ含量が精米状態で15重量%以上であり、かつ、炊飯後のレジスタントスターチ含量が6重量%以上であることにより特徴づけられる。なお、本発明において「レジスタントスターチ(RS)含量」は、AOAC(Association of Analytical Chemists)公定法2002.02のレジスタントスターチ測定法による値をいう。
本発明によればまた米加工食品も提供される。本発明における米加工食品は、上記のレジスタントスターチ高含有米、またはこれを粉砕した米粉を用いて製造される食品をいい、例えば、米飯類、麺類、パン類、菓子類等が含まれる。米粉は、上記のレジスタントスターチ高含有米を胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉などの常套的な製粉手段を単独又は組み合わせることにより得ることができる。米飯類とは、上記のレジスタントスターチ高含有米を炊飯または他の具材や調味料とともに調理したものをいい、白飯、粥、雑炊、ピラフ、チャーハン、炊き込みご飯、リゾットなどが含まれる。また、これらの米飯類は、常温流通されるもの、冷蔵流通されるもの、冷凍流通されるもののいずれであってもよい。また、レトルト殺菌の工程を経て、保存性を高めたものであってもよい。麺類としては、上記の米粉を含む麺生地から作製される麺類であればよく、例えば、うどん、そば、中華麺、スパゲッティ、マカロニ、ワンタンの皮、餃子の皮等が挙げられる。パン類としては、上記の米粉にその他の原料および水を加えて混合して作製した生地を焼く、揚げる、蒸す等の加熱処理をすることにより得られるパン類であればよく、例えば、食パン、ハースブレッド、ロールパン、デニッシュ、クロワッサン、各種菓子・惣菜パン、ピザ、蒸しパン等が挙げられる。菓子類としては、上記の米粉にその他の原料および水を加えて混合して作製した生地を焼く、揚げる、蒸す等の処理をした菓子類であればよく、例えば、ケーキ、ドーナツ、カステラ、パイ、ワッフル、スコーン、ビスケット、クッキー等が挙げられる。
これらの米加工食品は、原料に上記のレジスタントスターチ高含有米、またはこれを粉砕した米粉を用いる以外は、各食品の通常の製造方法に準じて製造することができる。これらの米加工食品もまた、上記のレジスタントスターチ高含有米を原料とすることにより、通常の米を原料とする米加工食品よりもレジスタントスターチ含量の高い米加工食品となる。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、下記実施例において濃度表示は「%」で示し、「%」は「重量%」を意味する。
(参考例)未処理米のRS含量
(1) 試験サンプルの調製
米試料は、一般のジャポニカ米として「ヒノヒカリ」、また超硬質米として「ちくし粉85号」および「EM10」を使用した。これらの米試料の玄米を精米機で「ヒノヒカリ」は精米歩合90%、「ちくし粉85号」および「EM10」は精米歩合85%に精白し、精米を得た。得られたヒノヒカリ精米、ちくし粉85号精米、EM10精米をそれぞれ1mmのスクリーンを付けた粉砕機にて粉砕し、試験サンプルを調製した。
(2) RS含量の測定
試験サンプル100mgに膵臓由来アミラーゼ及びアミログルコシダーゼを含む4mlの0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)を加え、37℃で16時間反応させ、消化性澱粉を消化した。その後、50%濃度となるようにエタノール4mlを加えて混合し、1500×gにて10分間遠心し、沈殿を回収した。さらに50%エタノール溶液8mlを加えて懸濁、遠心する操作を2回繰り返し行った。沈殿として回収した残余澱粉に2Mの水酸化カリウムを2ml加えて氷中で20分間懸濁させた。懸濁後、アミログルコシダーゼを含む酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.8)8mlを加えて50℃で30分間反応させ、残余澱粉をグルコースまで分解し、生じたグルコースを比色定量することでRS含量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016140265
表1に示すように、ヒノヒカリ精米、ちくし粉85号精米、EM10精米のRS含量はそれぞれ0.6%、18.7%、24.6%であった。
(比較例1、実施例1〜2)油脂添加および水蒸気加熱処理による精米のRS含量の増加の確認
ヒノヒカリ精米、ちくし粉85号精米、EM10精米に、表2に示す所定量のサラダ油を添加してなじませた後、60分間水蒸気加熱処理(温度100℃)の前処理を行い、試験サンプルを調製した(比較例1、実施例1〜2)。これらの試験サンプルについて、参考例(2)と同様の方法によりRS含量の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016140265
表2に示すように、サラダ油添加および水蒸気加熱処理により、一般のジャポニカ米のヒノヒカリ(比較例1)では未処理米(参考例1)に比べてRS含量の増加がみられなかったのに対し、超硬質米のちくし粉85号(実施例1)、EM10(実施例2)では、それぞれの未処理米(参考例2,3)に比べてRS含量が増加した。以上の結果から、油脂添加および水蒸気加熱処理により、超硬質米の精米でのRS含量自体が増加することが確認できた。
(比較例2〜5、実施例3)炊飯によるRS減少の抑制効果の確認
加熱調理(炊飯)によるRS含量の減少と、本発明の加工処理によるRS含量の減少抑制効果を確認するため、炊飯米でのRS含量の測定を行った。ちくし粉85号精米を用い、炊飯前に表3に示す前処理を行った。サラダ油を配合する場合は、精米に所定量のサラダ油を添加してなじませた後、前処理を行った。
表3に示す配合量で前処理後のちくし粉85号精米を水に1時間浸漬した後、真空内釜圧力IHジャー「極め炊き」NP-RD05-NL(象印)を使用して、ふつうコースにて炊飯した。炊飯米を-40℃にて急速冷凍し、凍結乾燥し、1mmのスクリーンを付けた粉砕機にて粉砕し、試験サンプルとした。これらの試験サンプルについて、参考例(2)と同様の方法によりRS含量の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2016140265
表3に示すように、サラダ油をなじませた後、60分間水蒸気加熱処理を行った米を炊飯した試験サンプル(実施例3)では、炊飯後のRS含量の減少抑制が確認できた。これに対し、サラダ油をなじませずに水蒸気加熱処理を行った米を炊飯した試験サンプル(比較例3)では、RS含量の減少が若干抑制されたが、サラダ油をなじませた場合ほどの抑制効果は見られなかった。また、フライパンでの加熱処理のみを行った米を炊飯した試験サンプル(比較例4)、およびサラダ油の添加のみを行った米を炊飯した試験サンプル(比較例5)では、RS含量の減少の抑制は見られず、未処理米(比較例2)とほぼ変わらなかった。
(比較例6〜7)超硬質米以外の米での効果の確認
ちくし粉85号に代えて、一般のジャポニカ米としてヒノヒカリを使用し、表4に示す前処理または配合量に従い、(比較例2〜5、実施例3)と同様にして炊飯し、試験サンプルを調製した。これらの試験サンプルについて、参考例(2)と同様の方法によりRS含量の測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 2016140265
表4に示すように、ヒノヒカリではサラダ油添加と水蒸気加熱処理によるRS含量の変化は認められず(比較例7)、未処理米(比較例6)とほぼ変わらなかった。
(比較例8、実施例4〜8)油脂の添加量の影響
精米(ちくし粉85号)になじませるサラダ油の量を表5に示すように0.2g〜9.0gの範囲で変更し、60分間水蒸気加熱処理(温度100℃)の前処理を行った。次に、表5に示す配合量で前処理後の精米を水に1時間浸漬した後、(比較例2〜5、実施例3)と同様にして炊飯し、試験サンプルを調製した。これらの試験サンプルについて、参考例(2)と同様の方法によりRS含量の測定を行った。結果を表5に示す。
Figure 2016140265
表5に示すように、精米150gに対してサラダ油を0.5g(0.3%)以上加えることで、RS含量の減少抑制効果がみられた(実施例4〜8)。
(実施例9〜14)油脂の種類の影響
精米(ちくし粉85号)に、オリーブオイル、ひまわり油、米油、紅花油、胡麻油、ショートニングをなじませた後、60分間水蒸気加熱処理(温度100℃)の前処理を行った。次に、表6に示す配合量で前処理後の精米を水に1時間浸漬した後、(比較例2〜5、実施例3)と同様にして炊飯し、試験サンプルを調製した。これらの試験サンプルについて、参考例(2)と同様の方法によりRS含量の測定を行った。結果を表6に示す。
Figure 2016140265
表6に示すように、オリーブオイル、ひまわり油、米油、胡麻油、紅花油、ショートニングのいずれの油脂を使用した場合にも、RS含量の減少抑制についてサラダ油と同様の効果がみられた(実施例9〜14)。
(比較例9、実施例15〜20)水蒸気加熱処理時間の影響
精米(ちくし粉85号)にサラダ油をなじませた後、表7に示すように1分〜120分の範囲で水蒸気加熱処理(温度100℃)を行った。次に、表7に示す配合量で前処理後の精米を水に1時間に浸漬した後、(比較例2〜5、実施例3)と同様にして炊飯し、試験サンプルを調製した。これらの試験サンプルについて、参考例(2)に示した方法に従い、RS含量の測定を行った。結果を表7に示す。
Figure 2016140265
表7に示すように、水蒸気加熱処理を2分以上行うことでRS含量の減少抑制効果がみられ、さらに、20分以上行うことでより好ましい結果が得られた(実施例15〜20)が、1分ではRS含量の減少抑制効果が低かった。
(比較例10〜12、実施例21〜23)炊飯米以外での効果の確認
米加工食品での効果を確認するため、ちくし粉85号の米粉を用いたスポンジケーキ、蒸しパン、うどんを調製し、RS含量の測定を行った。米粉は、前処理を行っていない米粉(比較例10〜12)と、サラダ油を米粉に対して1%添加した後、60分間水蒸気加熱処理(温度100℃)の前処理を行った米粉(実施例21〜23)の2種類を使用した。
<スポンジケーキ>
スポンジケーキは、以下の配合および製法にて作製した。なお、スポンジケーキ中の米粉の比率は27%である。
(配合)
米粉100重量部
グラニュー糖120重量部
全卵150重量部
水15重量部
(製法)
グラニュー糖、全卵を竪型ミキサー(株式会社ダルトン製、ホイッパー使用)で中速で6分間混合し、米粉を加えて軽く混ぜ合わせた。続いて、6寸の焼型に生地を350g流し込み、170℃で28分間焼成した。
<蒸しパン>
蒸しパンは、以下の配合および製法にて作製した。なお、蒸しパン中の米粉の比率は42%である。
(配合)
米粉70重量部
小麦粉30重量部
グラニュー糖60重量部
ベーキングパウダー7重量部
水90重量部
(製法)
米粉、小麦粉、グラニュー糖、ベーキングパウダー、水を、ホイッパーを用いて、手混ぜで100回混合した。続いて、13号浅口グラシンに70g生地を流し込み、100℃で15分間蒸した。
<うどん>
うどんは、以下の配合および製法にて作製した。なお、うどん中の米粉の比率は85%である。
(配合)
米粉85重量部
グルテン15重量部
食塩1重量部
水45重量部
(製法)
米粉、グルテン、食塩水を竪型ミキサー(関東混合機工業株式会社製、ビーター使用)で中速で10分間混合し、3回複合を行った。1時間熟成させた後、3回圧延し、麺帯の最終厚みを1.4mmとして、#10(角)の切刃で切りだした。
作製したスポンジケーキ、蒸しパン、うどんのRS含量測定は炊飯米の場合と同様の方法にて実施した。結果を表8に示す。
Figure 2016140265
表8より、炊飯米以外の米加工食品においても、加熱調理によるRS含量の減少抑制について、同様な効果が確認できた。
本発明は、米または米粉、これらを使用する米飯類、麺類、パン類、菓子類等の米加工食品の製造分野に利用することができる。

Claims (8)

  1. アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって得られる、レジスタントスターチ高含有米。
  2. レジスタントスターチ含量が精米状態で15重量%以上であり、かつ、炊飯後のレジスタントスターチ含量が6重量%以上である、請求項1に記載のレジスタントスターチ高含有米。
  3. 前記突然変異米に対する油脂の添加量が0.3〜10重量%である、請求項1または2に記載のレジスタントスターチ高含有米。
  4. 前記突然変異米に対する水蒸気加熱処理の温度が80〜250℃である、請求項1〜3のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米。
  5. 前記突然変異米に対する水蒸気加熱処理の時間が2〜120分である、請求項1〜4のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のレジスタントスターチ高含有米を加工した米加工食品。
  7. アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加する工程と、水蒸気加熱処理を行う工程を含む、レジスタントスターチ高含有米の製造方法。
  8. アミロペクチン枝作り酵素(BEIIb)が欠損した、または、当該酵素活性が低下した突然変異米に油脂を添加し、水蒸気加熱処理を行うことによって、該突然変異米のレジスタントスターチ含量の加熱調理による減少を抑制する方法。
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