JP2016138936A - 電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基体上に、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、前記電荷輸送層が最外層であり、電荷輸送物質、バインダー樹脂、ポリシロキサン構造を有する樹脂、及びシリカ粒子を含有するポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂であり、前記シリカ粒子の平均一次粒径が、0.2μm以上0.9μm以下である、電子写真感光体。
【選択図】なし
Description
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で、成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が、開発されている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び、電荷移動層からなる積層型の感光体は、主流となっている。現在これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置の分野に広く用いられている。
<1>導電性基体上に、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、前記電荷輸送層が最外層であり、電荷輸送物質、バインダー樹脂、ポリシロキサン構造を有する樹脂、及びシリカ粒子を含有し、前記電荷輸送物質が下記式(1)で表され、前記ポリシロキサン構造を有する樹脂が下記一般式(2)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂であり、前記シリカ粒子の平均一次粒径が、0.2μm以上0.9μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体。
<2>前記シリカ粒子の平均一次粒径が、0.3μm以上0.8μm以下である、<1>に記載の電子写真感光体。
<3>前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送層全体の3wt%以上30wt%以下である、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>前記シリカ粒子が、反応性有機珪素化合物で表面処理されている、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体。
<5>前記導電性基体が、円筒状であり、その外径が10mm以上24mm以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の電子写真感光体。
<6><1>〜<5>いずれかに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し像露光を行うことで静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段を有する電子写真カートリッジにおいて、前記現像手段が非接触現像であることを特徴とする、電子写真カートリッジ。
<7><6>に記載の電子写真カートリッジを用いた画像形成装置。
<8>像露光手段がLEDである、<7>に記載の画像形成装置。
導電性支持体の上に直接又は、導電層、下引き層等を形成した上に電荷発生層が形成される。電荷発生層を形成した上に、電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層になる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率
で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
本発明では、下引き層は必須ではないが、下引き層を設ける場合は、どのような下引き層も設けることが出来る。下引き層としては、バインダー単独でも、用いられるが、金属酸化物粒子のような無機フィラー含有することが電気特性等の面で好ましい。
酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでも良いが、吸水性、表面処理の効率等の理由からアナターゼ型又はルチル型が一般的に用いられる。特に好ましくは、ルチル型のものを用いることである。
表面処理剤の量については、処理量が少なすぎる場合、表面処理の効果が得られず、処理量が多過ぎる場合には、粒子表面に修飾されない処理剤が存在し、塗布工程等の際に塗布膜のはじき等の原因になる。従って、表面処理剤の量は金属酸化物粒子の種類によって調整することが好ましく、用いられる金属酸化物粒子に対して、下限は、通常、0.3質量部以上であり、好ましくは1質量部であり、一方、上限は、通常、20質量部以下であり、好ましくは10質量部以下である。
の範囲が好ましく、更には2質量部から5質量部の範囲がより好ましい。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明は下引き層の膜厚は0.1〜20μmで、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは、3〜6μmで使用されることが好ましい。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有する下引き塗布液を得るには、遊星ミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの粉砕又は分散処理装置で処理された金属酸化物粒子のスラリーに、バインダー樹脂又は、バインダー樹脂を適当な溶媒に溶かした溶解液を混合し、溶解及び攪拌処理を行えばよい。逆に、バインダー樹脂溶解液に金属酸化物粒子を添加し、上記のような分散装置で、粉砕又は分散処理を行う事によってもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を
、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
チラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生層上に単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層となることが好ましい。電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂、ポリシロキサン構造を有する樹脂、及びシリカ粒子を含有する。必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とシリカ粒子とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、電荷発生層上に塗布、乾燥して得ることができる。
に好ましい。
シリカ粒子は、反応性有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。表面処理は、乾式法及び湿式法で製造することができる。乾式法では、表面処理剤を、金属酸化物粒子と混合することによって金属酸化物粒子に被覆させ、必要に応じて加熱処理を行うことで製造できる。湿式法では、金属酸化物粒子と、適当な溶媒に本発明の表面処理剤を混合したものを、均一に付着されるまでよく攪拌するか、メディアによって混合し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行うことで製造することができる。
電荷輸送物質としては、下記式(1)で表される化合物が用いられる。
一般式(1)中、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられ、電気特性、製造の観点からメチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、電気特性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の代表例として、以下の例示化合物が挙げられる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性、耐摩耗性の観点から、通常150質量部以下の比率で使用する。相溶性の観点から80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなるバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
ポリシロキサン成分を有する樹脂の構成は、公知のポリシロキサンを有する樹脂の構成を用いることができる。例えば、樹脂成分をAとし、ポリシロキサン成分をBとした場合、以下のような構成が挙げられる。
1.A−Bのように、片末端にポリシロキサン成分を有するブロック共重合体
2.B−A−Bのように、両末端にポリシロキサン成分を有するブロック共重合体
3.A−B−Aのように、ポリシロキサン成分の両側に樹脂成分を有するブロック共重合体
4.A−A(−B)−Aのように、ポリシロキサン成分が主鎖の樹脂から分岐しているブロック共重合体
更に、これらのうちの1つ、或いは複数の構成を組み合わせた樹脂を用いることが可能である。これらの中でも、滑り性、耐摩耗性の観点から、少なくとも1端部にポリシロキサン成分を有する樹脂、すなわち、片末端にポリシロキサン成分を有する樹脂(上記例1)、又は両末端にポリシロキサン成分を有する樹脂(上記例2)を用いることが好ましい。尚、ポリシロキサン成分以外のブロック共重合を構成する成分(上記Aの相当する樹脂成分)は前述のバインダー樹脂として挙げた繰り返し単位構造を適用することができる。
前記ポリシロキサン成分を有する樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、耐摩耗性の観点から、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、また、溶剤への溶解性及び生産性の観点から、好ましくは100,000以下、より好ましくは90,000以下である。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、電気特性、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上、35μm以下、更に好ましくは、15μm以上、25μm以下である。
無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアン化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が用いられる。
感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。例えば、図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられたものが適用できる。
1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
塗布液A
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
パノール/トルエンの混合溶媒の質量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18.0質量%の下引き層形成用塗布液Aを得た。
電荷発生層形成用塗布液B
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、図2のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液B1を調製した。
電荷輸送層形成用塗布液C1
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.4μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S50を表面処理、以下T50と呼ぶ)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。前記酸化珪素スラリ−を酸化珪素が10部となるように加え、下記の繰り返し構造で表されるポリカーボネート樹脂90部(樹脂X1、粘度平均分子量50,000)、及びポリシロキサン構造を有する樹脂10部(樹脂XE1、粘度平均分子量50,000)、電荷輸送物質としてCTM1を60部、下記式で表される化合物AD1を2部、レベリング剤シリコーンオイル(信越化学性KF96−10CS)0.05部をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、固形分の濃度が20質量%の電荷輸送層形成用塗布液C1を得た。
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたT50の代わりに、ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理、以下T100と呼ぶ)を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C2を調製した。
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたT50を、用いなかった以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C3を調製した。
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたXE1を、用いなかった以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C4を調製した。
電荷輸送層形成用塗布液C1に用いたCTM1の代わりに、下記構造で表わされるCTM2を用いた以外は、C1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液C5を調製した。
以下上記塗布液を用いて、表-1に示すように実施例1〜4及び比較例1〜6に相当す
る感光体ドラムを以下のように製造した。表面が切削加工された外径30mm、長さ248mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーに塗布液の製造例で作製した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.5μm、36μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
感光体表面のシリカ粒子の分散性を目視若しくは触診にて確認した。結果を表-1に示
す。分散性のレベルは以下の通りである。
○:感光体表面のどこにもシリカの凝集はなく、また手で触ってもザラザラとした凝集物を感じることはない。
△:特に感光体表面の下端の極一部に凝集がみられる。また手で触るとザラザラとした凝集物を感じる。但し、画像域外のために実用上問題はない。
×:感光体全面に凝集が見られ、また手で触るとザラザラとした凝集物を感じる。画像域内のため、実用上も問題がある。
次に、これら電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、感光体特性測定機に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の25℃/50%の環境下で評価を行なった。また、 感光体の初期表面電位が−800Vになるように帯電させ、ハロゲンラ
ンプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、該露光光を1.0μJ/cm2の強度で照射したときの65ms後の露光後表面電位(VL)を測定した(−V)。測定データを表-1に示す。
得られた感光体を、サムスン社製モノクロプリンター ML6510(DCローラ帯電、レーザー露光、非磁性2成分、非接触現像)の感光体カートリッジに搭載して、気温25℃、相対湿度50%下において、印字率5%で、30,000枚の連続印字を行った。30,000枚印刷後に印字前後の膜厚を測定し、感光体1,000回転換算の膜減り量を計算した。結果を表-1に示す。
摩耗については、実施例1及び比較例1を比較すれば分かるように、シリカの添加により顕著に改善された。シリカ添加により局所的に高分子鎖の縺れができ、それが機械的強度を上げることにより耐摩耗を改善したと考えられる。
電気特性については実施例1及び比較例3を比較すれば分かるようにCTM1を用いることにより、低VLを達成した。これにより印字速度が高速の画像形成装置であっても安定して画像濃度を維持できる。また露光パワーの弱いLEDを用いた画像形成装置であっても安定して画像濃度を維持できる。また、摩耗性も改善している。
画像形成装置において、基体の外径の大きい感光体よりも小さい感光体の方がライフを通じた総回転数が大きくなる。具体的には、基体の外径がφ30における総回転数を基準にすると、φ60では0.5倍、φ24では1.25倍、φ20では1.5倍の回転数が必要となる。例えば、実施例1の感光体をφ20で製造した場合、摩耗率は1.5倍の16.1[nm/Kcyc]となる。ここで、30.5[nm/Kcyc](比較例2)の摩耗率で印字ライフ10万ページに耐え得るとした場合、実施例の1の感光体をφ20で製造しても18.9万ページに耐え得ることとなり、高ライフ化が達成される。さらに、外径を小さくしたことにより画像形成装置全体をコンパクトに設計することが可能となる。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (8)
- 導電性基体上に、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、前記電荷輸送層が最外層であり、電荷輸送物質、バインダー樹脂、ポリシロキサン構造を有する樹脂、及びシリカ粒子を含有し、前記電荷輸送物質が下記式(1)で表され、前記ポリシロキサン構造を有する樹脂が下記一般式(2)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂であり、前記シリカ粒子の平均一次粒径が、0.2μm以上0.9μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子の平均一次粒径が、0.3μm以上0.8μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子の含有量が、前記電荷輸送層全体の3wt%以上30wt%以下である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記シリカ粒子が、反応性有機珪素化合物で表面処理されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性基体が、円筒状であり、その外径が10mm以上24mm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜5いずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した電子写真感光体に対し像露光を行うことで静電潜像を形成する像露光装置、前記静電潜像をトナーで現像する現像装置を有する電子写真カートリッジにおい
て、前記現像装置が非接触現像であることを特徴とする、電子写真カートリッジ。 - 請求項6に記載の電子写真カートリッジを用いた画像形成装置。
- 像露光手段がLEDである、請求項7に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015012534A JP2016138936A (ja) | 2015-01-26 | 2015-01-26 | 電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018081180A (ja) * | 2016-11-15 | 2018-05-24 | シャープ株式会社 | 電子写真感光体及び画像形成装置 |
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2015
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