JP4466414B2 - 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、およびカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、およびカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、下引き層を有する電子写真感光体に関するものであり、より詳しくは、電気特性および画像特性が良好な電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層および、電荷移動層からなる積層型の感光体は、主流となっている。現在これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置の分野に広く用いられている。
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。支持体から電荷注入や支持体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上が帯電性の改善のために、感光層と支持体の間に下引き層を設けることが行われている。
下引き層としては、種々の樹脂材料を用いることが知られているが、中でも特に可溶性ポリアミド樹脂が好ましいことが知られている(例えば、特許文献1 参照)。そして、ポリアミド樹脂の中でも特に好ましいものとして、特定のジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂が知られている(例えば、特許文献2 参照)。更に、ポリアミド樹脂に無機材料を分散させた下引き層として、例えば、酸化チタンと酸化スズを8−ナイロンに分散させたものが知られている(例えば、引用文献3 参照)。
特開昭56−21129号公報 特開平4−31870号公報 特開昭62−280864号公報
しかしながら、従前知られた下引き層を用いた電子写真感光体では、電気特性や画像特性の環境依存性が大きくなり、高品質の画像を得ることが困難であった。例えば、特開昭62−258471号公報に記載の技術による下引き層を用いた場合、下引き層の膜厚が厚いほど画像特性は良好になるものの、逆に残留電位等の電気特性は、特に低温低湿度環境において急激に悪化する。一方で、下引き層の膜厚を薄くすると、残留電位は改善するものの、画像欠陥は十分に解消できず、特性を両立できなかった。
同様に、金属化合物粒子として、例えば表面処理を施していない酸化チタンの微粒子を分散させると、確かに低湿環境における残留電位は改善するが、逆に高温高湿条件での画像特性が悪化してしまい、膜厚を上げても十分に改善できなかった。また、アルミナ表面処理を施した酸化チタンを分散させたものでも同様であった。メチル水素シロキサンのみで処理を施した酸化チタンを分散させたものは、無処理の酸化チタンを分散させたもの、アルミナ処理酸化チタンを分散させたもの、およびアルミナ処理を施し更にメチル水素ポリシロキサン処理したものに比べると、特性の改善は見られるが、不十分であった。
本発明は、高温高湿から低温低湿にわたる様々な使用環境下において、電気特性に優れ、しかも画像特性にも優れた電子写真感光体、および該電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、電子写真感光体の下引き層に用いる材料について鋭意検討した結果、硫黄原子を含む有機基を有する金属化合物粒子と、バインダー樹脂を含む下引き層を用いた感光体が、電気特性に優れ、しかも画像特性にも優れることを見いだし、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は導電性基体上に、下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層が、実質的にメルカプト基を有する有機ケイ素化合物のみで表面処理された平均一次粒径が100nm以下の酸化チタン粒子と、バインダー樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
本発明の下引き層を用いた電子写真感光体は、高温高湿度条件から低温低湿度条件にわたる、様々な使用環境において、感光層並びに導電性基体との接着性が良好であって、しかも、帯電性、残留電位などの電気特性、および画像特性に優れた、高性能な電子写真感光体、該感光体を用いた高性能な画像形成装置、および該感光体を用いた画像形成装置用のカートリッジを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明では導電性支持体上に、硫黄原子を含む有機基を有する金属化合物粒子と、バインダーを含有する下引き層が形成される。ここで、金属化合物粒子が硫黄原子を含む有機基を有する状態としては、金属化合物粒子全体で硫黄原子を含む有機基を有してさえいればよく、より具体的には、硫黄原子を含む有機基が金属化合物粒子表面に化学的に結合していても構わないし、硫黄原子を含む有機基を有する化合物が金属化合物粒子表面に付着しているだけでも構わない。硫黄原子を含む有機基を有する化合物が金属化合物粒子表面に付着しているという状態についても、物理的吸着状態に限らず、化学的吸着状態によっても構わない。
本発明において、金属化合物粒子が有する硫黄原子を含む有機基としては、分子構造中に硫黄原子を含有する有機化合物であればどのようなものも使用することができ、有機硫黄ハロゲン化物、チオール、スルフィド、ポリスルフィド、ヒドロポリスルフィド、チオアルデヒド、チオケトン、チオアセタール、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、スルトン、スルタム、スルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、チオカルボン酸、チオ炭酸誘導体等があげられる。また、これらの残基でも構わない。これらの中でも、チオール、スルフィド、ポリスルフィド、ヒドロポリスルフィド、およびこれらの残基が好ましく、より好ましくはチオール、ヒドロポリスルフィド、およびそれらの残基であり、更に好ましくはシラチアンのような硫黄原子を含む有機珪素化合物、およびその残基であり、特にはメルカプト基を有する有機珪素化合物およびその残基が好ましい。有機珪素化合物骨格としては、ビニルシラン化合物、アミノシラン化合物、アクリルシラン化合物のような、反応性のシランカップリング剤があげられ、メルカプト基を含有するメルカプトシラン化合物、およびその残基が最も好ましい。
本発明の金属化合物粒子としては、塗布液の分散安定性が高いものが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化インジウムのようなものがあげられ、これらの中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウムのようなものが好ましく、特に好ましくは、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでも良いが、吸水性、表面処理の効率等の理由からアナターゼ型またはルチル型が一般的に用いられる。特に好ましくは、ルチル型のものを用いることである。
金属化合物粒子の粒径は、塗布液への分散安定性の理由から、通常その平均粒径が100nm以下のものが好ましく、特に10〜60nmが好ましい。塗布液に用いる粒子の粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でも良い。異なる粒径の複合系の場合、粒径の最大ピークが150nm付近にあり最小粒径が約30nmから約500nmの粒径分布をもつようなものが好ましく、例えば平均粒径が0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
本発明の硫黄原子を含有する有機化合物(以下、表面処理剤ということがある)で処理された金属化合物粒子は、乾式法および湿式法の製造法で製造することができる。すなわち、乾式法では、本発明の表面処理剤を、金属化合物粒子と混合することによって金属化合物に被覆させ、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造できる。湿式法では、金属化合物粒子と、適当な溶媒に本発明の表面処理剤を混合したものを、均一に付着されるまでよく攪拌するか、メディアによって混合し、その後乾燥し、必要に応じて加熱処理を行う方法で製造することができる。
本発明の表面処理剤で処理することにより、硫黄原子を含む有機珪素化合物が金属化合物粒子表面に固く結合し、該粒子を含有する塗布液の分散安定性、低吸水性、良好な電気特性を発揮する。
表面処理剤の量については、処理量が少ない場合、本発明の効果が得られず、処理量が多過ぎると、電気特性が悪化しやすくなる。更に、処理量が多過ぎる場合には、粒子表面に修飾されない処理剤が存在し、塗布工程等の際に塗布膜のはじき等の原因になる。従って、表面処理剤の量は金属化合物粒子の種類によって調整することが好ましく、用いられる金属化合物粒子に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.2重量%以上であって、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の表面処理剤によって処理される。
本発明の電子写真感光体が有する下引き層が含有するバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。なかでも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。その中でも特に、下記一般式(2)で示されるジアミン成分を構成材料として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 0004466414
式(2)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。
表面処理剤で処理された金属化合物粒子とバインダー樹脂の比率は、任意に選ぶことができるが、液の安定性、塗布性、および電気特性面からバインダー樹脂1重量部に対して0.5重量部から6重量部の範囲が好ましい。下引き層は主として、硫黄原子を含有する有機化合物で被覆された金属化合物粒子とバインダー樹脂で構成されるが、必要に応じて、他の表面処理金属化合物粒子(フッ素シラン処理の酸化チタン、メチルジメトキシシラン処理の酸化チタン等)、表面処理無し金属化合物粒子、酸化防止剤、添加剤、導電剤等を加えても良い。
下引き層の膜厚は、薄すぎると局所的な帯電不良に対する効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の低下の原因となる。本発明は下引き層の膜厚は0.1〜10μmで、より好ましくは0.3〜6μmで使用されることが好ましい。
下引き層の体積抵抗値は、通常1×1011Ω以上、好ましくは1×1012Ω以上であって、通常1×1014Ω以下、好ましくは1×1013Ω以下である。
硫黄原子を含有する有機化合物で被覆された金属化合物粒子とバインダー樹脂を含有する下引き塗布液を得るには、遊星ミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトラクター、超音波などの粉砕または分散処理装置で処理された金属化合物粒子のスラリーに、バインダー樹脂又は、バインダー樹脂を適当な溶媒に溶かした溶解液を混合し、溶解および攪拌処理を行えばよい。逆に、バインダー樹脂溶解液に金属化合物粒子を添加し、上記のような分散装置で、粉砕または分散処理を行う事によってもよい。
<電子写真感光体>
下引き層の上には感光層が形成される。感光層は、単層構造でもよいが、電荷発生層と電荷輸送層の分離された、積層構造の方が好ましい。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体(基体)上に感光層を設けたものであれば、その構造は特に制限されない。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダ樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダ樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダ樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<積層型感光層>
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダ樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダ樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に例えば、上述のバインダ樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダ樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダ樹脂と電荷発生物質との配合比(重量)は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常10重量部以上、好ましくは30重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダ樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
バインダ樹脂は膜強度確保のために使用される。電荷輸送層のバインダ樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダ樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。
バインダ樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷輸送物質を20重量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150重量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダ樹脂との相溶性の観点から110重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70重量部以下が最も好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダ樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダ樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダ樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダ樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダ樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダ樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダ樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
保護層の電気抵抗は、通常109Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電
気抵抗が前記範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
本発明の下引き層、および感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
<画像形成装置>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。
帯電方法(帯電機)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロン帯電の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段としては、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いてもよく、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。このうち、コロナ放電を使用した帯電方法では暗部電位を一定に保つため、スコロトロン帯電が好ましい。導電性ローラー等を用いた接触帯電装置の場合の帯電方式としては、直流帯電または交流重畳直流帯電を用いることができる。
露光光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光、および380〜500nm領域の短波長単色光を用いることができる。
現像工程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、2成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁重合、乳化重合凝集法等の重合トナーを用いることができる。特に、重合トナーの場合には、平均径4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写工程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。また、これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、感光体カートリッジということがある)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。なお、残留トナーが少ないか、または、ほとんど無い場合には、クリーニング装置6は無くてもかまわない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「重量部」を示す。
<下引き層塗布形成用分散液の製造>
・分散液P1
平均一次粒子径40nmのルチル型白色酸化チタン(石原産業(株)製、製品名 TTO55N)と該酸化チタン100部に対して、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコーン社製 製品名 TSL8380)5部を、ボールミルにて混合して得られたスラリーを120℃、1時間焼成して表面処理酸化チタンを作製した。次にこの表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノール=7/3の混合溶媒中でボールミル分散を行い、固形分濃度33.3重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン処理酸化チタン分散液を得た。
ここで得られた酸化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例で記載された製造法により製造された下記構造式(3)のランダム共重合ポリアミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=70/30)溶液と混合して、最終的に酸化チタン/ナイロン比 3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散液を調整し、これを分散液(P1)とした。
Figure 0004466414
・分散液P2
分散液P1の調製において使用したγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの量を10部とした以外は、分散液P1の調製と同様にして分散液P2を調製した。
・分散液P3
分散液P1の調製において使用したγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン処理酸化チタンの代わりに、メチルジメトキシシランを5部使用した以外は、分散液P1と同様にして、分散液P3を調製した。
・分散液P4
分散液P1の調製において使用したγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン処理酸化チタンの代わりに、メチルジメトキシシランを10部を用いた以外は、分散液P1と同様にして、分散液P4を調製した。
・分散液P5
表面処理を行っていない酸化チタンを使用したこと以外分散液P1と同様にして分散P5を調製した。
実施例1
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダー上に、分散液P1を、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように浸漬塗布して下引き層を設けた。
次に、CuKα特性X線による粉末X線回折のスペクトルが、ブラッグ角2θ±0.2で、10.5°、26.2°、27.2°に強いピークを有するA型オキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液を、先に設けた下引き層上に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が約0.3μmとなるように電荷発生層を設けた。
次に、下記に示すヒドラゾン化合物A 56重量部、ヒドラゾン化合物B 14重量部、下記に示すシアン化合物 1.5重量部、および特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造方法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記に示すポリカーボネート樹脂100部を、1,4ジオキサン:テトラヒドロフラン=65:25の混合溶媒620重量部に溶解させた塗布液を、該電荷発生層上に浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が17μmになるように電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体を感光体A1とする。
Figure 0004466414
実施例2
実施例1の下引き層形成に用いた分散液P1の代わりに、分散液P2を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体A2を作製した。
比較例1
実施例1の下引き層形成に用いた分散液P1の代わりに、分散液P3を用いた以外は、実施例1と同様にして比較感光体A3を作製した。
比較例2
実施例1の下引き層形成に用いた分散液P1の代わりに、分散液P4を用いた以外は、実施例1と同様にして比較感光体A4を作製した。
比較例3
実施例1の下引き層形成に用いた分散液P1の代わりに、分散液P5を用いた以外は、実施例1と同様にして比較感光体A5を作製した。
実施例3
下引き層の乾燥膜厚が、1.25μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを得た。このようにして得た感光体を感光体B1とする。
実施例4
実施例1の下引き層形成に用いた分散液P1の代わりに、分散液P2を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が1.25μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを得た。このようにして得た感光体を感光体B2とする。
比較例4
実施例2の下引き層形成に用いた分散液P2の代わりに、分散液P3を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が1.25μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例2と同様にして感光体ドラムを得た。このようにして得た感光体を比較感光体B3とする。
比較例5
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液P4に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が1.25μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを得た。このようにして得た感光体を比較感光体B4とする。
比較例6
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを、分散液P5に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が1.25μmとなるよう引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを得た。このようにして得た感光体を比較感光体B5とする。
比較例7
下引き層を設けない以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを得た。この感光体を比較感光体C1とする。
[感光体ドラムの評価]
実施例1〜4、および比較例1〜7で製造した感光体を、市販のレーザープリンター(HEWLETT PACKARD製 LASER JET 4 PLUS)に装着し、種々の環境下において白地画像を形成し、画像評価を行った。画像評価は、Spectro Color Meter SE2000(NIPPON DENSHOKU社製)を使用し、画像印刷前の紙の白度(1枚辺り5点測定し、その平均値をデータとして取得した。)を測定した紙を用いて白ベタ画像を形成し、画像印刷前の紙の白度を測定したのと同様にして画像形成後の紙の白度を測定し、画像形成後の白度値から画像形成前の白度値の差を計算して白度とした。結果を表1に示す。
実施例1〜4の感光体(感光体A1,A2,B1,B2)、および比較例1,2,4,5の感光体は(比較感光体A3,A4,B3,B4)、温度/相対湿度が、5℃/10%(以下、LL環境ということがある)、25℃/50%(以下、NN環境ということがある)、35℃/85%(以下、HH環境ということがある)のいずれの環境下においても良好な画像が得られたが、比較例3,6,7の感光体(比較感光体A5,B5,C1)では白度値が高く、実際の画像を目視確認してもカブリが観察された。
次に、実施例1〜4および比較例1〜7の電子写真感光体を、感光体特性測定機(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着して、表面電位が−700Vになるように帯電させた後、780nmの光を照射した時の半減露光量(以下、感度と言いうことがある)、更に−700Vに帯電して5秒後の電位保持率、660nmのLED光除電後の残留電位を測定した。感度および残留電位は、数値が小さいものほど高性能な電子写真感光体である。結果を表2に示す。
本発明の感光体A1、A2、B1、およびB2は、全ての環境において特に感度に優れ、しかも下引き層を有する感光体の中では全ての環境下において、残留電位にも優れる。
Figure 0004466414
Figure 0004466414
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一実施例を示す概念図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (4)

  1. 導電性基体上に、下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、該下引き層が、実質的にメルカプト基を有する有機ケイ素化合物のみで表面処理された平均一次粒径が100nm以下の酸化チタン粒子と、バインダー樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
  4. 請求項1又は2に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
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