JP6107298B2 - 電子写真感光体、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
また本発明は前記感光体を有する画像形成装置、及びカートリッジに関するものである。
電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で、成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が、開発されている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層および、電荷移動層からなる積層型の感光体は、主流となっている。現在これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置の分野に広く用いられている。
一般に電子写真法により画像形成を行うには、感光体表面に帯電、像露光及び現像を施してトナー像を形成し、該トナー像を転写材に転写、定着して画像を得ると共に、転写後の感光体は、残留トナーのクリーニングが行われて長期に亘り繰り返し使用される。クリーニングがうまく行われないと、残留トナーが感光体に固着していき画像欠陥を引き起こすようになる(フィルミング)。近年は、画像形成装置の省エネ化目的で低温定着トナーがまた、画質向上の面から、球形度が大きく且つ小粒径のトナーが使用されるようになり、よりフィルミングを起こしやすい状況になっており、各環境下での繰り返しの電気特性も良好で、フィルミング画像を抑制することが大きな課題となっている。
繰り返しを含めた電気特性を悪化させずに、フィルミング抑制効果を付与出来れば、生産プロセス上、余分な工程を含まないため、表面保護層または複数層の電荷輸送層を形成する場合と比較して、大きなコスト上のメリットが有る。例えば、電荷輸送層に100nm以下
の一次粒子径を有する酸化珪素フィラー粒子を全電荷輸送層中に0.1〜2質量%含有し、移
動度が電界強度2×105(V/cm)条件下で、電荷移動度が5×10-6(cm2/V・s)以上あるこ
とで、長期間の繰り返し使用に対しても、機械的/電気的耐久性に優れ、異常画像のない高耐久な感光体が得られる技術が開示されている(特許文献13)。特許文献13では、シリカの1次粒子が100nm以下と小さく、また、シリカ粒子の含有量も少ない技術である
。
<1>導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が単層かつ最表面層であり、少なくとも電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び平均一次粒子径が0.2〜1μmのシリカ粒子を含有し、該シリカ粒子が
該電荷輸送層全体の5〜15wt%であり、該電荷輸送層の正孔移動度が電界強度2.0×105V/cm、気温21℃において2.0×10-5cm2/V・s以上であることを特徴とする電子写真感光体。
<2>前記シリカ粒子の平均一次粒径が0.3〜0.9μmであることを特徴とする<1>に記
載の電子写真感光体。
<3>該シリカ粒子が反応性有機珪素化合物で表面処理されていることを特徴とする<1>または<2>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<4>該電荷輸送層の膜厚が10μm以上であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれ
か1つに記載の電子写真感光体。
<5>前記電荷輸送物質の電荷分極率αが、α>100(Å3)であり、双極子モーメントPが、P<1.60(D)であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<6><1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。<7><1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
本発明では導電性支持体上に、直接または、導電層、下引き層等を形成した上に電荷発生層、電荷発生層上に単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層となる。
導電性支持体の上に直接または、導電層、下引き層等を形成した上に電荷発生層が形成される。電荷発生層を形成した上に、単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層になる。感光層は、単層型または、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した順二層型のどちらかである。順二層型の場合、電荷輸送層は単層である。本発明では、電荷輸送層(単層の場合には、感光層)が最表面層になる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。さらには、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
本発明では、下引き層は必須ではないが、下引き層を設ける場合は、どのような下引き層も設けることが出来る。下引き層としては、バインダー単独でも、用いられるが、金属酸化物粒子のような無機フィラー含有することが電気特性等の面で好ましい。
金属酸化物粒子としては、塗布液の分散安定性が高いものが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化インジウムのようなものがあげられ、これらの中でも、n型半導体特性を示す金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズがより好ましく、酸化チタンが最も好ましい。
金属化合物粒子の粒径は、塗布液への分散安定性の理由から、通常その平均粒径が100nm以下のものが好ましく、特に10〜60nmが好ましい。塗布液に用いる粒子の粒径は、均一であってもまた、異なる粒径の複合系でも良い。異なる粒径の複合系の場合、粒径の最大ピークが150nm付近にあり最小粒径が約30nmから約500nmの粒径分布をもつようなものが好ましく、例えば平均粒径が0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
表面処理剤の量については、処理量が少なすぎる場合、表面処理の効果が得られず、処
理量が多過ぎる場合には、粒子表面に修飾されない処理剤が存在し、塗布工程等の際に塗布膜のはじき等の原因になる。従って、表面処理剤の量は金属酸化物粒子の種類によって調整することが好ましく、用いられる金属酸化物粒子に対して、下限は、通常、0.3質量部以上であり、好ましくは1質量部であり、一方、上限は、通常、20質量部以下であり、好ましくは10質量部以下である。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂の比率は、任意に選ぶことができるが、液の安定性、塗布性、および電気特性面からバインダー樹脂1質量部に対して0.5質量部から8質量
部の範囲が好ましく、さらには2質量部から5質量部の範囲がより好ましい。
下引き層の体積抵抗値は、通常1×1011Ω・cm以上、好ましくは1×1012Ω・cm以上であって、通常1×1014Ω・cm以下、好ましくは1×1013Ω・cm以下である。
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔
料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状または環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状または環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層上に単層の電荷輸送層が形成され、電荷輸送層が最表面層となる。この場合、保護層を有する場合に比較して、コスト的に有利であり、層が少ないことにより均一な電荷輸送を可能とし、電気特性にも有利である。電荷輸送層は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を含有するとともに、平均一次粒子径が0.2〜1μmのシリカ粒子を3〜30wt%含有する。必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
ght)法により求められる。
該シリカ粒子の平均一次粒子径は、耐フィルミング性の観点から、平均一次粒子径は0.2μ以上であり、0.3μ以上が好ましく、0.4μ以上がより好ましい。塗布液安定性の観点
から、1μ以下であり、0.9μ以下が好ましく、0.8μ以下がより好ましい。シリカ粒子の
平均一次粒子径が0.2μmより小さい場合は、フィルミング抑制効果が小さい。1μmより
大きい場合は、塗布液の安定性が悪くなる。
の効果が少ない。30wt%より多い場合は、シリカ粒子の電荷輸送層膜中での凝集が激しく
なるためフィルミングの抑制効果が薄れる上、塗布液の分散安定性が悪くなる。
において2.0×10-5cm2/Vs以上を達成するために、高性能な電荷輸送物質である必要があ
る。
そのためには、電荷輸送物質の電荷分極率αが、通常α>100(Å3)であり、α>115(Å3)であることが好ましく、α>120(Å3)であることがより好ましい。
また、これら、分極率、双極子モーメントの値は、実測値の代わりに分子軌道法による計算値を利用しても良い。具体的な値としては、MOPAC93のPM3あるいは、AM1パラメータを用いた場合、分極率αの計算値αcalが、通常次式αcal>70(Å3)であり、αcal>80(Å3)であることが好ましい。
このような電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
具体的には、以下に挙げる式(1)〜(3)のような化合物が好ましく用いられる。式(1)又は(3)のような化合物がさらに好ましく、式(1)が特に好ましい。
上記式(1)においてAr1〜Ar5は、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基が好ましく、電荷輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar1〜Ar5が有していてもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキ
シ基が更に好ましい。Ar1〜Ar5がフェニル基である場合、電荷輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、また、Ar1〜Ar5がナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。
コキシ基を表す。nは1以上3以下の整数を表し、k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を、mはそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表す。Zは、アルキル基
、アリール基、アルコキシ基を有していてもよいフェニレン基又は単結合を表す。R6〜R7は、水素原子又はアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
リール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基がさらに好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子が特に好ましい。
よいフェニレン基又は単結合を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、
アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性の面から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面からは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がさらに好ましく、電子写真感光体のオゾンに対する耐性面から、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面からメチル基、エチル基が最も好ましい。さらにR6〜R7がメチル基、エチル基である場合、ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位またはp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位またはp位のいずれかが好ましい。1つのベンゼン環に対するメチル基、エチル基等のアルキル基の合計が2個以上である場合、o位またはp位のいずれかに置換していることが好ましく、電子写真感光体特性の面から、より好ましくはアルキル基の合計が2個であり、その2個の置換基が、それぞれp位、o位に置換していること、もしくは両方ともo位に置換していることがさらに好ましい。
k、l、o、pはそれぞれ独立して1以上5以下の整数を、mはそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表す。k、l、m、o、pが2以上の整数を表す場合、ベンゼン環に結合する複数のR1〜R4はそれぞれ異なっていてもよく、また、ベンゼン環に結合する複数のR1〜R4もそれぞれ異なっていてもよい。
ジフェニルアミノ基が結合するアリーレン基部分は、n=1の場合、フェニレン基、n=2の場合、ビフェニレン基、n=3の場合、ターフェニレン基を表す。2つのジフェニルアミノ基がアリーレン基と結合する位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、n=1の場合、電子写真感光体の帯電性の面から、2つのジフェニルアミノ基がフェニレン基の結合位置でm位の関係となることが好ましい。n=2の場合、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、ジフェニルアミノ基がビフェニレン基と結合する位置は、ビフェニレン基の4位と4’位に結合することが好ましく、n=3の場合、製造原料の汎用性からターフェニレン基の中でもp−ターフェニレン基が好ましく、p−ターフェニレン基へのジフェニルアミン基の結合位置は、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から4位と4’’位に結合することが好ましい。
リール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。ベンゼン環に対するそれぞれの置換基の結合位置は、スチリル基に対して、通常、o位、m位またはp位のいずれの位置でも可能であるが、製造の容易さの面から、o位またはp位のいずれかが好ましい。
電荷輸送層に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるためまたは感光層の機械的強度をさらに向上させるために、周知の可塑剤、滑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、増感剤、レベリング剤、安定剤、流動性付与剤、架橋剤等の添加物を含有させることも好ましい。酸化防止剤の例としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、レベリング剤としては、シリコーンオイルやフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
<各層の形成方法>
感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。
帯電方法(帯電機)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロン帯電の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段としては、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いてもよく、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。このうち、コロナ放電を使用した帯電方法では暗部電位を一定に保つため、スコロトロン帯電が好ましい。導電性ローラー等を用いた接触帯電装置の場合の帯電方式としては、直流帯電または交流重畳直流帯電を用いることができる。
転写工程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。また、これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、さらに、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定
電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留している
トナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
・分散液P1
メチルジメトキシシラン3%で処理された平均一次粒子径40nmのルチル型白色酸化
チタン(石原産業(株)製、製品名 TTO55N)をメタノール溶媒中で5時間ボールミル分散を行い、酸化チタン分散スラリーを得た。
・分散液P2
ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、下記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)とをテトラヒドロフラン:トルエン=8/2の混合溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/43/8/0.067であり、テトラヒドロフラン/トルエンの質量比が8/2であって、含有する固形分の濃度が23.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P2を得た。
ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン:トルエン=8/2の混合溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化防止剤を質量比が100/80/8/0.067であり、テトラヒドロフラン/トルエンの質量比が8/2であって、含有する固形分の濃度が23.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P3を得た。
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/43/25/8/0.067であり、固形分の濃度が24.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P4を得た。
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/80/25/8/0.067であり、固形分の濃度が24.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P5を得た。
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−
ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/80/12.5/8/0.067であり、固形分の濃度が24.0質
量%の電荷輸送層形成用塗布液P6を得た。
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された平均一次粒子経0.8μの酸化珪素(株式会社日本触媒製、製品名 KE−S100を表面処理)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホンサン4−(2.2−
ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/80/6/8/0.067であり、固形分の濃度が24.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P6を得た。
平均一次粒子経16nmの酸化珪素(日本アエロジル株式会社製、製品名 R972)をテトラヒドロフラン溶媒で4時間超音波分散を行い、酸化珪素スラリーを得た。上記酸化珪素スラリ−とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂及び、上記構造式(2)で表される電荷輸送物質、BASF社製酸化防止剤Irg1076と、2,4,5−トリクロロベン
ゼンスルホンサン4−(2.2−ジシアノエテニル)フェニルエステル(アクセプター)をテトラヒドロフラン溶媒で加熱撹拌して溶解し、バインダー樹脂/電荷輸送物質/酸化珪素/酸化防止剤/アクセプターを質量比が100/43/15/8/アクセプターであり、固形分の濃度が24.0質量%の電荷輸送層形成用塗布液P8を得た。
[実施例1]
分散液P1を、表面が切削加工仕上げされた外径30mm、長さ340mm、肉厚1.0
mmのアルミニウム製シリンダーに浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、1.25μmとなるように下引き層を設けた。
このようにして得られた感光体をQ1とする。
[実施例2]
電荷輸送層に分散液P6を25μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製したドラムを感光体Q2とする。
電荷輸送層に分散液P7を25μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製したドラムを感光体Q3とする。
[比較例1]
電荷輸送層に分散液P2を25μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製したドラムを感光体Q4とする。
電荷輸送層に分散液P3を25μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製した
ドラムを感光体Q5とする。
[比較例3]
電荷輸送層に分散液P4を25μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製したドラムを感光体Q6とする。
電荷輸送層に分散液P8を30μm塗布したこと以外は、感光体Q1と同様に作製したドラムを感光体Q7とする。
次に、これら電子写真感光体Q1〜Q7を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、感光体特性測定機に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の25℃/50%の環境下で評価を行なった。
次に、この感光体Q1〜Q7を市販のカラーレーザープリンター(リコー社製 MPC2200)に装着して、25℃/50%の環境下で、一部に黒ベタ画像を含む印字パターンをA4用紙に印刷して、500枚後の画像を目視で評価した。500枚で画像が良好なものについては、6000枚後画像も目視で評価を目視で評価した。評価データを表−3に記す。
得られた感光体Q1〜Q7の電界強度2×105(V/cm)における、気温21℃での正
孔移動度をTOF(Time−of−flight)法により求めた。これらの結果を表−1に示す。
)は、6000枚耐刷後も、フィルミング画像は認められず、とくに良好であった。
最表面層に、平均一次粒子径が、0.2〜1μm以下のシリカ粒子を含有していない感光体
(Q4、Q5)はフィルミングが激しかった。また、シリカ粒子は含有しているが、その
平均一次粒子径が0.2μm未満の感光体(Q7)もフィルミング画像が認められ、良好な
画像が得られなかった。
、ホールの移動度が早いため、ホールがトラップされにくく、上記繰り返しが行われても、残留電位(VL)が、上昇しにくい。
際の障害とならないが、粒子が大きい場合には電荷が妨げられ遠回りしなければならない(上記トラップサイト)。従って、粒子の大きさが問題にならない程度の移動度が必要である。
感光体Q1、Q2、Q3は初期電気特性に優れ、さらに繰り返しの電気特性にも優れ、しかも画像特性(耐フィルミング)にも優れる。
Claims (7)
- 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層が単層かつ最表面層である電子写真感光体において、電荷輸送層が少なくとも電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び平均一次粒子径が0.2〜1μmのシリカ粒子を含有し、該シリカ
粒子が該電荷輸送層全体の5〜15wt%であり、該電荷輸送層の正孔移動度が電界強度2.0×105V/cm、気温21℃において2.0×10-5cm2/V・s以上であることを特徴とする電子写真感光
体。 - 前記シリカ粒子の平均一次粒径が0.3〜0.9μmであることを特徴とする請求項1に記載
の電子写真感光体。 - 該シリカ粒子が反応性有機珪素化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 該電荷輸送層の膜厚が10μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
に記載の電子写真感光体。 - 前記電荷輸送物質の電荷分極率αが、α>100(Å3)であり、双極子モーメントPが、P<1.60(D)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
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