JP2016121035A - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学ガラスは、モル%で、B2O3成分を10.0%以上50.0%以下、Ln2O3成分を10.0%以上35.0%以下(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)含有し、モル和(CaO+ZnO)が1.0%以上35.0%以下であり、1.80以上2.20以下の屈折率(nd)を有し、25以上38以下のアッベ数(νd)を有し、比重が5.50以下である。
【選択図】図1
Description
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
La2O3成分 0〜30.0%、
Y2O3成分 0〜30.0%、
ZnO成分 0〜35.0%
SiO2成分 0〜20.0%、
ZrO2成分 0〜15.0%
である(1)記載の光学ガラス。
Gd2O3成分 0〜15.0%、
Yb2O3成分 0〜10.0%、
TiO2成分 0〜40.0%、
Nb2O5成分 0〜15.0%、
WO3成分 0〜10.0%、
MgO成分 0〜15.0%、
CaO成分 0〜20.0%、
SrO成分 0〜15.0%、
BaO成分 0〜15.0%、
Li2O成分 0〜10.0%、
Na2O成分 0〜10.0%、
K2O成分 0〜10.0%、
P2O5成分 0〜15.0%、
GeO2成分 0〜15.0%、
Ta2O5成分 0〜10.0%、
Al2O3成分 0〜15.0%、
Bi2O3成分 0〜10.0%、
TeO2成分 0〜15.0%、
SnO2成分 0〜5.0%及び
Sb2O3成分 0〜1.0%
である(1)又は(2)記載の光学ガラス。
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)のモル和が10.0%以下
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
また、本発明によれば、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が所望の範囲内にありながらも、可視光についての透過率が高い光学ガラスを得ることもできる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総物質量を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
B2O3成分は、希土類酸化物を多く含む本発明の光学ガラスにおいて、ガラス形成酸化物として欠かすことの出来ない必須成分である。
特に、B2O3成分を10.0%以上含有することで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ比重を小さくできる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは18.0%を下限とする。
他方で、B2O3成分の含有量を50.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇を抑えられ、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは42.0%、さらに好ましくは37.0%、さらに好ましくは32.0%を上限とし、さらに好ましくは30.0%未満とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
特に、このモル和を10.0%以上にすることで、ガラスの屈折率を高められるため、高屈折率ガラスを得易くできる。従って、Ln2O3成分の含有量のモル和は、好ましくは10.0%、より好ましくは14.0%、さらに好ましくは16.0%を下限とし、さらに好ましくは18.0%超とする。
他方で、このモル和を35.0%以下にすることで、ガラスの液相温度が低くなるため、耐失透性を高められる。また、これによりアッベ数の上昇を抑えられ、且つガラスの材料コストを抑えられる。従って、Ln2O3成分の含有量のモル和は、好ましくは35.0%、より好ましくは31.0%、さらに好ましくは27.0%を上限とし、さらに好ましくは25.0%未満とする。
特に、この和を1.0%以上にすることで、比重を小さくでき、且つガラス転移点を低くできる。従って、モル和(CaO+ZnO)は、好ましくは1.0%、より好ましくは1.7%、さらに好ましくは2.2%を下限とする。
他方で、この和を35.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、モル和(CaO+ZnO)は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%を上限とし、さらに好ましくは12.0%未満とする。
他方で、La2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めて失透を低減でき、且つアッベ数の上昇を抑えられる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは21.0%を上限とする。
La2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)等を用いることができる。
他方で、Y2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を低減でき、且つアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Y2O3成分は、原料としてY2O3、YF3等を用いることができる。
他方で、ZnO成分の含有量を35.0%以下にすることで、屈折率の低下や失透を低減できる。また、これにより熔融ガラスの粘性が高められるため、ガラスへの脈理の発生を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは12.5%を上限とし、さらに好ましくは10.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF2等を用いることができる。
他方で、SiO2成分の含有量を20.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ比重を小さくできる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは14.5%を上限とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分を15.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有による、アッベ数の上昇や耐失透性の低下を抑えられる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは13.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは7.4%を上限とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、Gd2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、耐失透性を高められ、比重の増加を抑えられ、且つアッベ数の上昇を抑えられる。特に、Gd2O3成分の含有量を低減することで、ガラスの材料コストを抑えられる。従って、Gd2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Gd2O3成分は、原料としてGd2O3、GdF3等を用いることができる。
他方で、Yb2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられ、比重の増加を抑えられ、且つガラスの材料コストを抑えられる。従って、Yb2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Yb2O3成分は、原料としてYb2O3等を用いることができる。
他方で、TiO2成分の含有量を40.0%にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高め、且つ、アッベ数の必要以上の低下を抑えられる。また、TiO2成分の過剰な含有による失透を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは40.0%以下、より好ましくは35.0%未満、さらに好ましくは30.0%未満とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
他方で、Nb2O5成分の含有量を15.0%以下にすることで、Nb2O5成分の過剰な含有による、耐失透性の低下や、可視光の透過率の低下を抑えられる。また、これによりガラスの比重を小さくでき、且つ材料コストを抑えられる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの可視光に対する透過率を低下し難くでき、且つ材料コストを抑えられる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
他方で、MgO成分及びSrO成分のそれぞれの含有量を15.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による、屈折率の低下や失透を低減できる。従って、MgO成分及びSrO成分のそれぞれの含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
また、CaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による、屈折率の低下や失透を低減できる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
MgO成分、CaO成分及びSrO成分は、原料としてMgCO3、MgF2、CaCO3、CaF2、Sr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
他方で、BaO成分の含有量を15.0%以下にすることで、過剰な含有による失透や、比重の上昇を抑えられる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2、BaF2等を用いることができる。
他方で、Li2O成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下や失透を低減でき、且つ化学的耐久性を高めることができる。また、これにより熔融ガラスの粘性が高められるため、ガラスへの脈理の発生を低減できる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
Li2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、LiF等を用いることができる。
他方で、Na2O成分及びK2O成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、屈折率を低下し難くでき、且つ過剰な含有による失透を低減できる。従って、Na2O成分及びK2O成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Na2O成分及びK2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6、K2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、P2O5成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
しかしながら、GeO2は原料価格が高いため、その量が多いとガラスの材料コストが高くなる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、Ta2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa2O5成分の使用量が減るため、ガラスの材料コストを低減できる。また、これにより比重を小さくできる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満とする。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分の含有量を15.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を低減できる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
Al2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、TeO2成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。また、TeO2は白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
他方で、SnO2成分の含有量を5.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
他方で、Sb2O3量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.3%を上限とする。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
特に、この和を0.5%以上にすることで、ガラスの安定性が高まるため、失透を抑えられる。従って、モル和(Gd2O3+Y2O3)は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超とする。
他方で、この和を30.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有によるアッベ数の上昇や、ガラスの材料コストの上昇を抑えられる。従って、モル和(Gd2O3+Y2O3)は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
特に、この和を10.0%以上にすることで、屈折率が高まり、且つガラスの安定性が高まるため、高屈折率高分散の光学ガラスを得易くできる。従って、モル和(TiO2+Nb2O5+WO3)は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは12.0%超、より好ましくは14.0%超、さらに好ましくは16.0%超、さらに好ましくは20.0%超、さらに好ましくは23.0%超とする。
一方で、この和を40.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有によるガラスの着色や失透を低減できる。従って、モル和(TiO2+Nb2O5+WO3)は、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、さらに好ましくは30.0%を上限とする。
これにより、アッベ数の小さい安定なガラスを、より低い材料コストで得られる。従って、モル比TiO2/(TiO2+Nb2O5+WO3)は、好ましくは0.50、より好ましくは0.70、さらに好ましくは0.80、さらに好ましくは0.85を下限とする。
他方で、この比率の上限は1.00であってもよいが、可視光についての透過率をより高める観点で1.00未満にしてもよい。
特に、この比率を0.50以上にすることで、屈折率が高くなり、且つガラスの安定性が高まるため、高屈折率の光学ガラスを得易くできる。従って、モル比(TiO2+Nb2O5+WO3)/Ln2O3は、好ましくは0.50、より好ましくは0.65、さらに好ましくは0.85、さらに好ましくは1.00を下限とする。
他方で、この比率を10.00以下にすることで、耐失透性を高められ、且つ可視光領域の短波長領域における透過率を高められる。従って、モル比(TiO2+Nb2O5+WO3)/Ln2O3は、好ましくは10.00、より好ましくは7.00、さらに好ましくは4.00、さらに好ましくは2.00、さらに好ましくは1.50を上限とする。
特に、この和を1.0%以上にすることで、ガラス原料の熔融性やガラスの耐失透性を高められる。従って、RO成分の合計含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは1.5%、さらに好ましくは2.0%を下限とする。
他方で、この和を35.0%以下にすることで、これらの成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、RO成分の合計含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは16.5%、さらに好ましくは15.5%を上限とする。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1100〜1400℃の温度範囲で3〜5時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1000〜1300℃の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高分散(低アッベ数)を有する。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.80、より好ましくは1.85、さらに好ましくは1.87、さらに好ましくは1.91、さらに好ましくは1.93を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.20以下、より好ましくは2.10未満、さらに好ましくは2.00未満、さらに好ましくは1.97以下であってもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは25、より好ましくは27、さらに好ましくは28を下限とし、好ましくは38、より好ましくは36、さらに好ましくは34を上限とし、さらに好ましくは33未満とする。
本発明の光学ガラスは、このような屈折率及びアッベ数を有するため、光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≧(−0.02νd+2.50)の関係を満たすことが好ましく、nd≧(−0.02νd+2.51)の関係を満たすことがより好ましく、nd≧(−0.02νd+2.52)の関係を満たすことがさらに好ましい。
一方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≦(−0.02νd+2.60))の関係を満たすことが好ましく、nd≦(−0.02νd+2.59))の関係を満たすことがより好ましく、nd≦(−0.02νd+2.58))の関係を満たすことがさらに好ましい。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)は、好ましくは500nm、より好ましくは460nm、さらに好ましくは430nm、さらに好ましくは426nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ5)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは370nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
なお、本発明の光学ガラスのガラス転移点の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは460℃、より好ましくは500℃、さらに好ましくは550℃を下限としてもよい。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスから作製したプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
他方で、比較例のガラスは、比重が5.50を超えていた。
そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて比重が小さく、光学素子の軽量化に寄与するものであることが明らかになった。
これらの光学ガラスは、いずれも失透していない安定なガラスであった。
このため、本発明の実施例の光学ガラスは、CaO成分及びZnO成分のうち少なくともいずれかを含有させたときに、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が所望の範囲内にあり、且つ、安定性の高い光学ガラスを得られることが明らかになった。
Claims (13)
- モル%で、B2O3成分を10.0%以上50.0%以下、Ln2O3成分を10.0%以上35.0%以下(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)含有し、モル和(CaO+ZnO)が1.0%以上35.0%以下であり、1.80以上2.20以下の屈折率(nd)を有し、25以上38以下のアッベ数(νd)を有し、比重が5.50以下である光学ガラス。
- モル%で、
La2O3成分 0〜30.0%、
Y2O3成分 0〜30.0%、
ZnO成分 0〜35.0%
SiO2成分 0〜20.0%、
ZrO2成分 0〜15.0%
である請求項1記載の光学ガラス。 - モル%で、
Gd2O3成分 0〜15.0%、
Yb2O3成分 0〜10.0%、
TiO2成分 0〜40.0%、
Nb2O5成分 0〜15.0%、
WO3成分 0〜10.0%、
MgO成分 0〜15.0%、
CaO成分 0〜20.0%、
SrO成分 0〜15.0%、
BaO成分 0〜15.0%、
Li2O成分 0〜10.0%、
Na2O成分 0〜10.0%、
K2O成分 0〜10.0%、
P2O5成分 0〜15.0%、
GeO2成分 0〜15.0%、
Ta2O5成分 0〜10.0%、
Al2O3成分 0〜15.0%、
Bi2O3成分 0〜10.0%、
TeO2成分 0〜15.0%、
SnO2成分 0〜5.0%及び
Sb2O3成分 0〜1.0%
である請求項1又は2記載の光学ガラス。 - モル和(Gd2O3+Y2O3)が0.5%以上30.0%以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
- モル和(TiO2+Nb2O5+WO3)が10.0%以上40.0%以下である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
- モル比TiO2/(TiO2+Nb2O5+WO3)が0.50以上である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
- モル比(TiO2+Nb2O5+WO3)/Ln2O3が0.50以上10.00以下である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
- RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群より選択される1種以上)のモル和が1.0%以上35.0%以下、
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)のモル和が10.0%以下
である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。 - 屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、(−0.02νd+2.50)≦nd≦(−0.02νd+2.60)の関係を満たす請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
- 分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
- 請求項1から10のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項1から10いずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
- 請求項12記載のプリフォームを精密プレスしてなる光学素子。
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