本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る撮影装置では、良好な動画AFが行われる。ここで動画AFとは、動画記録中に、被写体にピントを合わせ続けることを目的とした、コンティニュアスAFのことを意味するものとする。動画AFでは、そのレンズ駆動が動画作品に記録されてしまうことから、記録される動画の見栄えのよさが重視される。ここで動画AFの見栄えのよさの条件として、次が挙げられる。すなわち、フォーカス位置を変更しているときに、合焦位置を大きく越えるような動作がないことが挙げられる。また、撮影装置をパンやチルトしているときにAFがふらつかないことが挙げられる。また、AFが迷ってハンチングのような動作をしないことが挙げられる。また、慌てて急激な動作をしないことが挙げられる。このように、動画AFでは、「安定性」が求められる。静止画を撮影するときのAFに求められる、素早い、急激な動作は、動画AFでは好ましくない。動画AFでは、「じっくり」、「じわり」とした合焦動作がよいとされる。ただし、当然に被写体に合焦し続けることが求められるので、安定性と追従性の両立が求められる。
本実施形態に係る撮影装置1の構成例の概略を図1に示す。図1に示すように、撮影装置1は、撮影装置1の各部の動作を制御するシステムコントローラ10を備える。
また、撮影装置1は、レンズ群21と、絞り22と、シャッタ23と、撮像素子24と、表示素子25と、タッチパネル26と、カメラ操作スイッチ27と、ジャイロセンサ回路28と、焦点調整機構31と、絞り駆動機構32と、シャッタ駆動機構33と、撮像素子IF回路34と、表示素子駆動回路35と、タッチパネル駆動回路36とを備える。
レンズ群21は、複数のレンズを含む。レンズ群21は、焦点を調整するためのフォーカスレンズを含む。フォーカスレンズが光軸方向に移動することによって、撮像素子24上に形成される被写体の像のフォーカスが調整される。絞り22は、レンズ群21を介して撮像素子24に入射する光の量を調整する。レンズ群21及び絞り22等を含む光学系は、撮影装置1の本体に対して着脱可能な交換レンズとして構成されてもよい。シャッタ23は、撮像素子24の前面に設けられ、レンズ群21を介した撮像素子24への光の入射を制御する。撮像素子24は、例えばCCD又はCMOSを含む。撮像素子24は、レンズ群21によって形成された被写体像に基づいて、光電変換によって画像信号を作成する。
焦点調整機構31は、システムコントローラ10の制御下で、フォーカスを調整するために、レンズ群21に含まれるフォーカスレンズを光軸方向に移動させる。絞り駆動機構32は、システムコントローラ10の制御下で、絞り22を駆動する。シャッタ駆動機構33は、システムコントローラ10の制御下で、シャッタ23を駆動する。撮像素子IF回路34は、撮像素子から画像信号を読み取り、デジタル信号に変換した画像データをシステムコントローラ10に出力する。
表示素子25は、例えば液晶ディスプレイを含む。表示素子25は、ライブビュー画像や撮影した画像や操作画面など、各種画像を表示する。タッチパネル26は、表示素子25上に設けられており、ユーザによるタッチ入力を取得する。
表示素子駆動回路35は、システムコントローラ10の制御下で、表示素子25による表示動作を制御する。タッチパネル駆動回路36は、システムコントローラ10の制御下で、タッチパネル26によるタッチ入力の取得を制御する。
カメラ操作スイッチ27は、例えばレリーズスイッチや録画ボタンや各種入力を行うための十字キー等を含む。カメラ操作スイッチ27は、ユーザによる入力を取得して、その入力をシステムコントローラ10に伝達する。ジャイロセンサ回路28は、撮影装置1の姿勢を検出する。ジャイロセンサ回路28は、撮影装置1の姿勢に係る情報をシステムコントローラ10に伝達する。
撮影装置1は、Flash Rom41と、SDRAM42と、記録メディア43とを備える。Flash Rom41は、例えばシステムコントローラ10によって用いられる、撮影装置1の動作を制御するためのプログラムコード41aや制御パラメータ41bを記録している。SDRAM42には、システムコントローラ10による演算に用いられる記憶領域であるWork Area42aが設けられている。記録メディア43は、撮影装置1に対して着脱自在であり、撮影装置1によって撮影された静止画のデータや動画ファイル43aを記録する。
システムコントローラ10は、Central Processing Unit(CPU)11と、AF制御回路12と、AE制御回路13と、画像処理回路14と、顔認識回路15と、動画記録回路16とを含む。
CPU11は、Flash Rom41に記録されたプログラムコード41aや制御パラメータ41bを用いて、各種演算を行う。AF制御回路12は、オートフォーカス(AF)に係る各種演算を行い、焦点調整機構31等の動作を制御する。AE制御回路13は、露出の制御に係る各種演算を行い、絞り駆動機構32やシャッタ駆動機構33等の動作を制御する。画像処理回路14は、撮像素子24で生成され、撮像素子IF回路34を介して取得された画像データに対して画像処理を施す。顔認識回路15は、撮像素子24で撮影された被写体に含まれる顔を認識する顔認識処理を行う。動画記録回路16は、撮像素子24で生成され、撮像素子IF回路34を介して取得され、画像処理回路14で画像処理された動画のデータを記録メディア43に記録する。AF制御回路12、AE制御回路13、画像処理回路14、顔認識回路15、動画記録回路16等は、例えばApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等によって構成され得る。
このように、例えば撮像素子24及び撮像素子IF回路34は、被写体像を受光して撮像し、画像データを生成する撮像部として機能する。また、例えばレンズ群21、絞り22及びシャッタ23は、被写体像を撮像部の撮像面に形成し、焦点調整用のフォーカスレンズを有する撮影光学系として機能する。また、例えばシステムコントローラ10は、画像データに基づいて、フォーカスレンズの移動を制御して焦点調整動作を行う制御部として機能する。
本実施形態に係る撮影装置1によるオートフォーカス(AF)動作の概略について、図2及び図3を参照して説明する。本実施形態に係る撮影装置1では、ユーザがAFによって合焦させたい領域を選択することができる。このユーザが選択した領域をAF可否判定エリア72と称することにする。また、いわゆるオールターゲットモードなどのように、ユーザによるAF領域選択がなく最至近選択等により自動的にAF領域を選択する場合にも、任意の1点をAF可否判定エリアとして扱うことができる。図2の上図は、撮影領域の中央がAF可否判定エリア72として選択されている場合を示す。また、本実施形態に係る撮影装置1では、図2の上図に示すように、撮影領域を覆うように9つの周辺エリア74が設けられている。
図2に示すように、AF可否判定エリア72にコントラストが高い被写体があるとき、すなわち、AF可否判定エリア72においてAFが容易であるとき、図2の下図に示すようにAF可否判定エリア72に、AF動作における解析が行われるAFエリアを複数含むAFエリア群80が設定される。このように、AF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定される状態をモードAと称することにする。
一方、図3の上から1番目の図に示すように、AF可否判定エリア72内のコントラストが低いとき、すなわち、AF可否判定エリア72においてAFが困難であるとき、図3の上から2番目の図に示すように、AF可否判定エリア72にはAFエリア群80は設定されず、9つの周辺エリア74のうち、コントラストが高い被写体があるエリアにAFエリア群80が設定される。図3の上から2番目の図では、右下の周辺エリア74にAFエリア群80が設定される。このとき、AF可否判定エリア72には、コントラストが高い被写体の出現を監視するターゲット監視エリア92が設定される。このように、AF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定されない状態をモードBと称することにする。
このように、AF可否判定エリア72及びターゲット監視エリア92は、合焦状態の調整の対象となる領域である第1の焦点調整領域に対応し、周辺エリア74は、合焦状態の調整の対象となる領域であり第1の焦点調整領域よりも合焦の調整に係る優先度が低い第2の焦点調整領域に対応する。
図3の上から3番目の図に示すように、ターゲット監視エリア92に、コントラストが高い被写体が出現したとき、図3の上から4番目の図に示すように、AFエリア群80は、ターゲット監視エリア92、すなわちAF可否判定エリア72に設定される。
本実施形態に係る撮影装置1では、AF動作のフェーズとして、3種類のフェーズが用いられる。すなわち、ウォブリングフェーズ(wob)と、サーチフェーズ(サーチ)と、待機フェーズ(待機)とが用いられる。
ウォブリングフェーズにおいて行われるAF動作について図4及び図5を参照して説明する。ウォブリングフェーズでは、フォーカスレンズは、例えば1フレーム毎に無限遠方向と至近方向とに交互に微小駆動される。このような微小駆動を行いながら徐々に振幅の中心位置を移動させることで、フォーカスの微調整が行われたり、合焦位置の方向の判定が行われたりする。このようなフォーカスレンズの駆動をウォブリング駆動(ウォブリング動作)と称する。
図4は、ウォブリング駆動による合焦位置の方向の判定方法を説明するための図である。図4において、実線は、時間経過に対するレンズ位置の変化を示し、破線は、レンズ位置に対して得られる画像のコントラスト値を示す。図4の実線に示すように、レンズ位置が無限遠方向と至近方向とに交互に移動するとき、コントラスト値の変化が得られる。このコントラスト値の変化に基づいて、合焦位置の方向が判定され得る。無限遠方向と至近方向とのうち、コントラスト値が高くなる方向が合焦位置の方向である。
レンズ位置の無限遠方向と至近方向との振幅量が大きいほど、コントラスト値の変化は検出されやすくなり、方向判断はされやすくなる。一方で、振幅量が大きいと、動画に記録されるフォーカスレンズの移動が視認されやすくなる。逆に、振幅量が小さいと、動画に記録されるフォーカスレンズの移動は視認されにくくなるが、コントラスト値の変化は検出されにくくなり、方向判断が難しくなる。本実施形態では、この振幅量は、被写体や撮影条件に応じて適宜に調整される。
図5は、ウォブリング駆動によるフォーカスの微調整の方法を説明するための図である。図5において、実線は、時間経過に対するレンズ位置の変化を示し、破線は、レンズ位置に対して得られる画像のコントラスト値の変化を示す。フォーカスの微調整を行うとき、図5に示すように、無限遠方向と至近方向とに移動させるレンズ位置の振幅の中心位置は徐々に移動する。この移動は、取得されたコントラスト値の情報に基づいて、コントラスト値が最高となるように行われる。この移動によって、フォーカスは、微調整される。この移動量が大きいほど、早く合焦するが、動画に記録される不要なフォーカスレンズの移動が生じやすくなる。逆にこの移動量が小さいほど、合焦までに時間がかかるが、動画に記録される不要なフォーカスレンズの移動が生じにくくなる。
サーチフェーズにおいて行われるAF動作について図6を参照して説明する。図6において、実線は、時間経過に対するレンズ位置の変化を示し、破線は、レンズ位置に対して得られる画像のコントラスト値の変化を示す。サーチフェーズでは、フォーカスレンズは、一方向に連続的に移動する。このようなフォーカスレンズの駆動をスキャン駆動(スキャン動作)と称する。フォーカスレンズがスキャン駆動されているとき、その合焦状態に応じてコントラスト値は変化する。スキャン駆動によっても、合焦位置が探索され得る。また、スキャン駆動によるフォーカスレンズの移動は、ウォブリング駆動によるフォーカスレンズの移動よりも早い。
次に制御フェーズの遷移について、図7を参照して説明する。前述のとおり、本実施形態に係る制御フェーズには、ウォブリングフェーズ(wob)と、サーチフェーズ(サーチ)と、待機フェーズ(待機)とがある。動画記録開始時は、wobから制御が開始される。wobでは、フォーカスレンズのレンズ位置が合焦位置から遠いと判断されたとき、すなわち、コントラスト値のピークが遠いと判断されたとき、サーチに遷移する。サーチに遷移することによって、レンズ位置は素早く合焦位置へと移動する。一方、wobにおいて、レンズ位置は既に合焦位置だと判断されたとき、待機に遷移し、レンズ駆動を止める。
サーチでは、レンズ位置が合焦位置に到達したとき、すなわち、コントラスト値がピークだと判断されたとき、wobに遷移する。このとき、ウォブリング駆動によって、合焦状態が維持される。一方、サーチにおいて、安定した条件で合焦しているとき、すなわち、コントラスト値がピークに到達して安定した状態にあると判断されたとき、待機に遷移し、レンズ駆動を止める。
待機では、ジャイロによる撮影装置1の動きの検出があったときや、画像におけるコントラスト値の変化や顔情報の変化などがあったと判断されたときは、wobに遷移し、合焦状態を維持するようにウォブリング動作を再開する。
次に、wobフェーズ、サーチフェーズ、待機フェーズにおける動作について、フローチャートを参照して説明する。動画AFは、wobフェーズから開始する。まず、wobフェーズにおけるwob制御処理の動作の一例を図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップS101において、システムコントローラ10は、エリア配置モードが不明であるか否かを判定する。ここで、エリア配置モードとは、前述のとおり、AF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定されているモードAと、周辺エリア74の何れかにAFエリア群80が設定されているモードBとがある。動画AF開始時と待機フェーズからwobフェーズに遷移したときとは、エリア配置モードは不明となる。このとき、エリア配置は、仮にモードAと同様に設定される。エリア配置モードが不明であるとき、処理はステップS102に進む。
ステップS102において、システムコントローラ10は、AF実施エリア選択処理を行い、エリア配置モードをモードA又はモードBに設定する。AF実施エリア選択処理は、AF可否判定エリア72にコントラストがあるか否かを判定し、AF可否判定エリア72のコントラストが低いと判定される場合には、周辺エリア74のうち最もコントラストが高いエリアを選択する処理である。AF実施エリア選択処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS201において、システムコントローラ10は、装着しているレンズの被写界深度が浅いか否かを判定する。被写界深度が浅いとき、処理はステップS202に進む。ステップS202において、システムコントローラ10は、AF実施可否判定閾値を低い値に設定する。その後、処理はステップS204に進む。ステップS201において、被写界深度が浅くないと判定されたとき、処理はステップS203に進む。ステップS203において、システムコントローラ10は、AF実施可否判定閾値を高い値に設定する。その後、処理はステップS204に進む。このようにして、装着しているレンズの被写界深度が浅いときには、周辺エリア74を用いるモードBが選択されにくく、AF可否判定エリア72を用いるモードAが選択されやすいように設定がなされる。なお、被写界深度の代わりに焦点深度やF値を用いてもよい。装着しているレンズが交換レンズである場合には、システムコントローラ10は、交換レンズとの通信により焦点深度(被写界深度)やF値を取得する。
ステップS204において、システムコントローラ10は、ジャイロセンサ回路28からジャイロ出力情報を取得し、ジャイロ出力が安定しているか否かを判定する。ジャイロ出力が安定していないとき、処理はステップS205に進む。ステップS205において、システムコントローラ10は、ジャイロ安定カウンタ(以下ジャイロカウンタ)をクリアする。その後、処理はステップS206に進む。
ステップS206において、システムコントローラ10は、エリア配置モードは不明であると判定し、エリア配置モードをそのまま維持する。すなわち、エリア配置モードは、仮に設定されたモードAで維持される。その後、AF実施エリア選択処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
ステップS204において、ジャイロ出力が安定していると判定されたとき、処理はステップS207に進む。ステップS207において、システムコントローラ10は、ジャイロカウンタの値を増加させる。
ステップS208において、システムコントローラ10は、AF実施エリア選択処理の実施条件を満たしているか否かを判定する。例えば、次のときはAF実施エリア選択処理が行われないものと設定されている。すなわち、被写体が点光源であるとき、画像に含まれる顔を検出する顔検出処理を行い顔が検出できているとき、画像の中央部を切り出して拡大するいわゆるデジタルテレコンやムービーテレコンを行っているとき、又は画像中で被写体の追尾を行っているときには、AF実施エリア選択処理は行われない。AF実施エリア選択処理の実施の条件を満たしていないとき、すなわち、上述のようなAF実施エリア選択処理を実施しない状態にあるとき、処理はステップS206に進む。一方、AF実施エリア選択処理の実施の条件を満たしているとき、処理はステップS209に進む。
ステップS209において、システムコントローラ10は、ジャイロカウンタが所定の閾値よりも大きいか否か、すなわち、ジャイロが安定して所定の期間よりも長い期間が経過しているか否かを判定する。ジャイロカウンタが閾値よりも大きくないとき、処理はステップS206に進む。一方、ジャイロカウンタが閾値よりも大きいとき、処理はステップS210に進む。
ステップS210において、システムコントローラ10は、AF可否判定エリア72でAFが可能か否かを判定する。例えば、AF可否判定エリア72のAF評価値がステップS202又はステップS203で設定されたAF実施可否判定閾値よりも大きいとき、AFが可能であると判定される。AF可否判定エリア72でAFが可能であるとき、処理はステップS211に進む。
ステップS211において、システムコントローラ10は、エリア配置モードはモードAであると確定する。すなわち、仮に設定されたモードAのエリア配置が維持される。その後、AF実施エリア選択処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
ステップS210において、AF可否判定エリア72でAFが可能でないと判定されたとき、処理はステップS212に進む。ステップS212において、システムコントローラ10は、周辺エリア74にコントラストの高い領域があるか否かを判定する。例えば、周辺エリア74のうち何れかのエリアのAF評価値が所定の閾値よりも大きいとき、周辺エリア74にコントラストの高い領域があると判定される。コントラストの高い領域があると判定されたとき、処理はステップS213に進む。
ステップS213において、システムコントローラ10は、エリア配置モードはモードBであると確定する。その後、AF実施エリア選択処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
ステップS212において、周辺エリア74にコントラストの高い領域がないと判定されたとき、処理はステップS214に進む。ステップS214において、システムコントローラ10は、ジャイロが安定してから所定フレームが経過したか否かを判定する。所定フレーム経過していないと判定されたとき、処理はステップS215に進む。
ステップS215において、システムコントローラ10は、エリア配置モードは不明であると判定し、エリア配置モードをそのまま維持する。すなわち、エリア配置は、仮に設定されたモードAのエリア配置で維持される。その後、AF実施エリア選択処理は終了し、処理はwob制御処理に戻り、次のフレームで再度、AF実施エリア選択処理を実施する。
ステップS214において、ジャイロが安定してから所定フレームが経過したと判定されたとき、処理はステップS216に進む。ステップS216において、システムコントローラ10は、被写界深度が浅いか否かを判定する。被写界深度が浅いとき、フォーカスのずれが非常に大きく、ぼけが大きいときであると考えらえる。このとき、処理は、後述するサーチ制御処理に遷移する。一方、被写界深度が浅くないと判定されたとき、被写体全体でコントラストが低いと考えられる。このとき、処理は、後述する待機制御処理に遷移する。
図8に戻って、wob制御処理について説明を続ける。ステップS102のAF実施エリア選択処理の後、処理はステップS103に進む。
ステップS103において、システムコントローラ10は、撮影領域全面においてコントラストが低いか否かを判定する。全面においてコントラストが低いとき、処理はステップS104に進む。ステップS104において、システムコントローラ10は、所定の一定期間が経過したか否かを判定する。経過していないとき、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。一方、所定期間が経過したとき、処理はステップS105に進む。
ステップS105において、システムコントローラ10は、被写界深度が浅いか否かを判定する。被写界深度が浅いとき、フォーカスのずれが非常に大きいときであると考えられるので、処理はサーチ制御処理へと遷移する。一方、被写界深度が浅くないとき、被写体全体でコントラストが低いと考えられるので、処理は待機制御処理へと遷移する。
ステップS103において、撮影領域全面ではコントラストが低くないと判定されたとき、処理はステップS106に進む。ステップS106において、システムコントローラ10は、AF実施エリア選択処理で選択されたエリア配置モードがモードAであるかモードBであるかを判定する。モードAであるとき、処理はステップS107に進む。一方、モードBであるとき、処理はステップS108に進む。
ステップS107において、システムコントローラ10は、エリア配置モードをモードAとし、AFエリア群80をAF可否判定エリア72に設定する。その後、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。
ステップS108において、システムコントローラ10は、エリア配置モードをモードBとし、AFエリア群80をコントラストが高い周辺エリア74に設定する。その後、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。
ステップS101において、エリア配置モードが不明でないと判定されたとき、処理はステップS109に進む。ステップS109において、システムコントローラ10は、フォーカスレンズのレンズ位置が端点にあるか否かを判定する。端点にあるとき、処理はステップS110に進む。ステップS110において、システムコントローラ10は、リトライするか否かを判定する。ここでリトライとは、ウォブリング駆動によって合焦状態にするための動作を継続することをいう。リトライするとき、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。一方、リトライしないとき、処理は待機制御処理に遷移する。
ステップS109において、レンズ位置は端点でないと判定されたとき、処理はステップS111に進む。ステップS111において、システムコントローラ10は、合焦判断処理を実行する。合焦判断処理は、ウォブリング駆動の駆動状況と、コントラスト値の変化から、現在、合焦状態であるかを判断する処理である。
ステップS112において、システムコントローラ10は、合焦状態であるか否かを判定する。合焦状態であるとき、処理は待機制御処理に遷移する。一方、合焦状態でないとき、処理はステップS113に進む。
ステップS113において、システムコントローラ10は、方向判断処理を行う。方向判断処理では、合焦位置の方向と合焦位置までの距離とに係る情報が取得される。
ステップS114において、システムコントローラ10は、変化検出処理を行う。変化検出処理は、エリア配置モードがモードBであるときに行われる。変化検出処理は、モードBにおけるAF可否判定エリア72であるターゲット監視エリア92にコントラストが高い被写体が現れることを監視する処理であり、ターゲット監視エリア92内のコントラストの評価値の増加又は減少を監視する処理である。変化検出処理について説明する。
変化検出処理では、例えば3種類の閾値が用いられる。この3種類の閾値を、第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値とする。例えば第1の閾値では、ターゲット監視エリア92におけるコントラスト値が変化したか否かの判定基準となる変化率の閾値が30%に設定されており、その変化が継続している期間を表す継続時間の閾値が20フレームに設定されている。すなわち、コントラスト値の変化率が30%以上であり、そのコントラスト値が20フレーム以上継続したときに、変化があったと検出されることになる。第2の閾値では、変化率の閾値が32%に設定されており、継続時間の閾値が12フレームに設定されている。第3の閾値では、変化率の閾値が35%に設定されており、継続時間の閾値が10フレームに設定されている。第1乃至第3の閾値の何れかの条件を満たすとき、ターゲット監視エリア92にコントラストが高い被写体が出現したと判定される。
なお、第1乃至第3の閾値は、ターゲット監視エリア92におけるコントラストの検出に用いられるハイパスフィルタの強度(周波数特性)によって異なるように設定され得る。例えば上述の場合と異なる強度のハイパスフィルタが用いられるとき、例えば第1の閾値では、変化率の閾値が32%に設定され、継続時間の閾値が20フレームに設定される。また、第2の閾値では、変化率の閾値が35%に設定され、継続時間の閾値が12フレームに設定される。第3の閾値では、変化率の閾値が38%に設定され、継続時間の閾値が10フレームに設定される。
変化検出処理について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS301において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS302に進む。
ステップS302において、システムコントローラ10は、増加方向の変化検出カウント処理を行う。増加方向の変化検出カウント処理は、上述の第1乃至第3の閾値の何れかの条件を満たしているか否かを判定する処理である。本処理のため、第1乃至第3の閾値用の増加方向のカウンタと、第1乃至第3の閾値用の減少方向のカウンタとの合計6つの変数が用意されている。増加方向の変化検出カウント処理について、図11を参照して説明する。
ステップS401において、システムコントローラ10は、第1乃至第3の閾値用の減少方向のカウンタの値を全てクリアして0とする。ステップS402において、システムコントローラ10は、第1の閾値用の増加方向カウンタを増加させる。
ステップS403において、システムコントローラ10は、第1の閾値用の増加方向のカウンタの値が第1の閾値の継続時間の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きいとき、処理はステップS404に進む。ステップS404において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92における変化を検出した旨を設定する。その後、本処理を終了し、処理は変化検出処理に戻る。
ステップS403において、第1の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS405に進む。ステップS405において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第2の閾値よりも大きいか否かを判定する。第2の閾値よりも大きいとき、処理はステップS406に進む。
ステップS406において、システムコントローラ10は、第2の閾値用の増加方向カウンタを増加させる。ステップS407において、システムコントローラ10は、第2の閾値用の増加方向のカウンタの値が第2の閾値の継続時間の閾値よりも大きいか否かを判定する。第2の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きいとき、処理はステップS404に進む。一方、第2の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きくないとき、処理はステップS408に進む。
ステップS408において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第3の閾値よりも大きいか否かを判定する。第3の閾値よりも大きいとき、処理はステップS409に進む。ステップS409において、システムコントローラ10は、第3の閾値用の増加方向カウンタを増加させる。ステップS410において、システムコントローラ10は、第3の閾値用の増加方向のカウンタの値が第3の閾値の継続時間の閾値よりも大きいか否かを判定する。第3の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きいとき、処理はステップS404に進む。一方、第3の閾値用のカウンタの値が閾値よりも大きくないとき、本処理は終了し、処理は変化検出処理に戻る。
ステップS408において、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第3の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS411に進む。ステップS411において、システムコントローラ10は、第3の閾値用の増加方向カウンタをクリアする。その後、本処理は終了し、処理は変化検出処理に戻る。
ステップS405において、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第2の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS412に進む。ステップS412において、システムコントローラ10は、第2の閾値用の増加方向カウンタ及び第3の閾値用の増加方向カウンタをクリアする。その後、本処理は終了し、処理は変化検出処理に戻る。
図10に戻って、変化検出処理について説明を続ける。ステップS302の増加方向の変化検出カウント処理の後、変化検出処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
ステップS301において、ターゲット監視エリア92における増加方向のコントラスト変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS303に進む。
ステップS303において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92における減少方向のコントラスト変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS304に進む。
ステップS304において、システムコントローラ10は、減少方向の変化検出カウント処理を行う。減少方向の変化検出カウント処理は、上述の第1乃至第3の閾値の何れかの条件を満たしているか否かを判定する処理である。減少方向の変化検出カウント処理は、増加であるか減少であるかの違いを除いて、図11を参照して説明した減少方向の変化検出カウント処理と同様であるので、その説明を省略する。減少方向の変化検出カウント処理の後、変化検出処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
ステップS303において、ターゲット監視エリア92における減少方向のコントラスト変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS305に進む。ステップS305において、システムコントローラ10は、第1乃至第3の閾値用の増加方向カウンタ及び減少方向カウンタの全てをクリアする変化検出カウンタ初期化処理を行う。その後、変化検出処理は終了し、処理はwob制御処理に戻る。
図8に戻ってwob制御処理について説明を続ける。ステップS114の変化検出処理の後、処理はステップS115に進む。ステップS115において、システムコントローラ10は、変化検出処理によってターゲット監視エリア92において変化が検出されたか否かを判定する。変化が検出されたとき、処理はステップS116に進む。ステップS116において、システムコントローラ10は、エリア配置モードをモードAとし、AFエリア群80をAF可否判定エリア72に設定する。その後、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。その結果、AF可否判定エリア72で合焦するように焦点調整が行われることになる。
ステップS115において、変化検出処理によってターゲット監視エリア92において変化が検出されていないと判定されたとき、処理はステップS117に進む。ステップS117において、システムコントローラ10は、処理をサーチフェーズに遷移させるか否かを判定する。例えば合焦位置が所定の値よりも遠いと判断されるとき、サーチフェーズに遷移させると判定する。サーチフェーズに遷移させると判定されたとき、処理はサーチ制御処理に遷移する。一方、サーチフェーズに遷移させないと判定されたとき、処理はステップS118に進む。
ステップS118において、システムコントローラ10は、ウォブリング駆動において、方向判断が確定しているか否か、すなわち、フォーカスレンズを移動させる方向が確定しているか否かを判定する。方向判断が確定していないとき、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。一方、方向判断が確定しているとき、処理はステップS119に進む。
ステップS119において、システムコントローラ10は、ウォブリング駆動における移動量を更新する。例えば、フォーカスレンズを移動させる方向が確定しているので、その方向への移動量を大きくすることができる。また、現在の移動方向が方向判断結果と逆であった場合には、逆方向に移動する。その後、wob制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS101に戻る。
次に、サーチフェーズにおいて行われるサーチ制御処理について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS501において、システムコントローラ10は、スキャン駆動を開始し、スキャン駆動において、AFエリア群80、周辺エリア74、ターゲット監視エリア92等のそれぞれについて、フォーカスレンズの移動方向を判定するスキャン方向判断処理を行う。スキャン方向判断処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS601において、システムコントローラ10は、後の判定で用いられる各種閾値の最適化する閾値の最適化処理を行う。ステップS602において、システムコントローラ10は、コントラスト値に係るAF評価値が増加したか減少したかを判定する。
AF評価値が増加したとき、処理はステップS603に進む。ステップS603において、システムコントローラ10は、AF評価値の増加をカウントするための変数cnt_incを増加させる。ステップS604において、システムコントローラ10は、AF評価値の変化について評価するAF評価値の比較処理を行う。
ステップS605において、システムコントローラ10は、カウンタcnt_incがステップS601で設定された所定の閾値以上であるか否かを判定する。閾値以上でないとき、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。一方、閾値以上であるとき、処理はステップS606に進む。
ステップS606において、システムコントローラ10は、AF評価値についてステップS601で設定された所定の閾値以上の変化があるか否かを判定する。閾値以上の変化がないとき、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。一方、閾値以上であるとき、処理はステップS607に進む。ステップS607において、システムコントローラ10は、スキャン方向は現在の方向である順方向とする旨を確定する。その後、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。
ステップS602において、AF評価値が減少していると判定されたとき、処理はステップS608に進む。ステップS608において、システムコントローラ10は、AF評価値の減少をカウントするための変数cnt_decを増加させる。ステップS609において、システムコントローラ10は、AF評価値の変化について評価するAF評価値の比較処理を行う。
ステップS610において、システムコントローラ10は、カウンタcnt_decがステップS601で設定された所定の閾値以上であるか否かを判定する。閾値以上でないとき、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。一方、閾値以上であるとき、処理はステップS611に進む。
ステップS611において、システムコントローラ10は、AF評価値についてステップS601で設定された所定の閾値以上の変化があるか否かを判定する。閾値以上の変化がないとき、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。一方、閾値以上であるとき、処理はステップS612に進む。ステップS612において、システムコントローラ10は、スキャン方向は現在の方向と反対方向である逆方向とする旨を確定する。その後、スキャン方向判断処理は終了し、処理はサーチ制御処理に戻る。
このように、スキャン方向判断処理では、カウンタ及び変化の両方が所定の閾値以上であるとき、スキャン方向について順方向又は逆方向とする旨が確定される。
図12に戻ってサーチ制御処理について説明を続ける。ステップS501のスキャン方向判断処理の後、処理はステップS502に進む。ステップS502において、システムコントローラ10は、エリア配置モードがモードBであるか否かを判定する。モードBでないとき、処理はステップS507に進む。一方、エリア配置モードがモードBであるとき、処理はステップS503に進む。
ステップS503において、システムコントローラ10は、ステップS501のスキャン方向判断処理の結果を参照して、ターゲット監視エリア92において、スキャン方向が確定しているか否かを判定する。ターゲット監視エリア92においてスキャン方向が確定していないとき、処理はステップS507に進む。一方、ターゲット監視エリア92においてスキャン方向が確定しているとき、処理はステップS504に進む。
ステップS504において、システムコントローラ10は、スキャン駆動すべき方向を判定する。スキャン方向が順方向で確定しているとき、処理はステップS506に進む。一方、スキャン方向が逆方向で確定しているとき、処理はステップS505に進む。ステップS505において、システムコントローラ10は、スキャン方向を逆転させる反転処理を行う。その後、処理はステップS506に進む。
ステップS506において、システムコントローラ10は、現在モードBとなっているエリア配置モードをモードAに変更する。すなわち、ターゲット監視エリア92にAFエリア群80が設定される。その後、サーチ制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS501に戻る。
ステップS507において、システムコントローラ10は、AFエリア群80又は他の周辺エリア74でスキャン方向が確定しているか否かを判定する。逆方向でスキャン方向が確定しているとき、処理はステップS508に進む。ステップS508において、システムコントローラ10は、スキャン方向を反転させる反転処理を行う。その後、処理はステップS509に進む。ステップS507で逆方向でスキャン方向が確定していないとき、すなわち、順方向でスキャン方向が確定しているときやスキャン方向が確定していないとき、処理はステップS509に進む。
ステップS509において、システムコントローラ10は、コントラスト値のピーク位置を調べるピーク検出処理を行う。ピーク検出処理では、AF評価値となるコントラスト値が最大値から減少したかを監視することによって、コントラスト値のピークを検出する。ステップS510において、システムコントローラ10は、ピーク位置が検出されたか否かを判定する。ピーク位置が検出されたとき、処理はステップS511に進む。
ステップS511において、システムコントローラ10は、ステップS509で検出されたコントラストのピーク値について、その信頼性を判定する信頼性判定処理を行う。
ステップS512において、システムコントローラ10は、検出されたピーク値について信頼性あるか否かを判定する。信頼性がないと判定されたとき、サーチ制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS501に戻る。一方、信頼性があると判定されたとき、処理はステップS513に進む。
ステップS513において、システムコントローラ10は、検出されたコントラストのピーク値に基づいて、合焦位置を演算によって求める合焦位置演算処理を行う。ステップS514において、システムコントローラ10は、ステップS513で算出された合焦位置にレンズを移動させる合焦位置駆動処理を行う。
ステップS515において、システムコントローラ10は、合焦位置にレンズを移動させた結果得られたコントラストのピーク値が非常に安定したものであるか否かを判定する。安定したピーク値であるとき、処理は待機制御処理に遷移する。一方、安定したピーク値でないとき、処理はwob制御処理に遷移し、フォーカスの微調整が行われる。
ステップS510において、ピーク位置が検出されていないと判定されたとき、処理はステップS516に進む。ステップS516において、システムコントローラ10は、レンズ位置は端点にあるか否かを判定する。端点にないとき、サーチ制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS501に戻る。一方、レンズ位置が端点にあると判定されたとき処理はステップS517に進む。
ステップS517において、システムコントローラ10は、スキャン方向を反転させてピークの検出を続けるか否かに係る判断を行う端点処理を行う。ステップS518において、システムコントローラ10は、ステップS517の端点処理の結果、スキャン駆動をリトライするか否かを判定する。リトライしないとき、処理は待機制御処理に遷移する。一方、リトライするとき、処理はステップS519に進む。ステップS519において、システムコントローラ10は、反転処理を行う。その後、サーチ制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS501に戻る。
次に、待機制御処理について、図14に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS701において、システムコントローラ10は、各種状態に変化があったか否かを判定する。ここで変化として検出され得るものは、例えば、タッチパネル26がタッチされたことや、被写体の中に顔が検出されたり、検出されていた顔が消失したりすることや、特定の被写体に係る追尾について捕捉や喪失がされたことや、ジャイロセンサ回路28によって撮影装置1の姿勢の変化が検出されたことや、レンズ群21についてズーム動作が行われたことなどが挙げられる。状態に変化があると判定されたとき、処理はステップS702に進む。
ステップS702において、システムコントローラ10は、エリア配置モードを不明に設定する。その後、処理はwob制御処理に遷移する。
ステップS701において、状態に変化がないと判定されたとき、処理はステップS703に進む。ステップS703において、システムコントローラ10は、コントラスト変化検出処理を行う。コントラスト変化検出処理は、図10を参照して説明した変化検出処理と同様の処理である。ただし、待機制御処理で行われるコントラスト変化検出処理は、AFエリア群80におけるコントラストの変化と、ターゲット監視エリア92におけるコントラストの変化とがそれぞれ検出され、さらにこれらは、異なる2種類のハイパスフィルタについて行われる。
コントラスト変化検出処理について、図15に示すフローチャートを参照して説明する。第1のハイパスフィルタ(HPF)及び第2のハイパスフィルタ(HPF)について、ステップS801乃至ステップS810の処理が行われる。
ステップS801において、システムコントローラ10は、AFエリア群80で増加方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS802に進む。ステップS802において、システムコントローラ10は、AFエリア群80の増加方向の変化検出カウント処理を行う。この処理は、図11を参照して説明した処理と同様の処理である。その後、処理はステップS806に進む。
ステップS801において、増加方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS803に進む。ステップS803において、システムコントローラ10は、AFエリア群80で減少方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS804に進む。ステップS804において、システムコントローラ10は、AFエリア群80の減少方向の変化検出カウント処理を行う。この処理は、図11を参照して説明した処理と同様の処理である。その後、処理はステップS806に進む。
ステップS803において、減少方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS805に進む。ステップS805において、システムコントローラ10は、AFエリア群80の変化検出カウンタの初期化処理を行う。すなわち、システムコントローラ10は、AFエリア群80用の第1乃至第3の閾値用の増加方向カウンタ及び第1乃至第3の閾値用の減少方向カウンタの値を0にする。その後、処理はステップS806に進む。
ステップS806において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92で増加方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS807に進む。ステップS807において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92の増加方向の変化検出カウント処理を行う。この処理は、図11を参照して説明した処理と同様の処理である。その後、処理はステップS811に進む。
ステップS806において、増加方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS808に進む。ステップS808において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92で減少方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。第1の閾値よりも大きいとき、処理はステップS809に進む。ステップS809において、システムコントローラ10は、AFエリア群の減少方向の変化検出カウント処理を行う。この処理は、図11を参照して説明した処理と同様の処理である。その後、処理はステップS811に進む。
ステップS808において、減少方向の評価値の変化が第1の閾値よりも大きくないと判定されたとき、処理はステップS810に進む。ステップS810において、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92の変化検出カウンタの初期化処理を行う。すなわち、システムコントローラ10は、ターゲット監視エリア92用の第1乃至第3の閾値用の増加方向カウンタ及び第1乃至第3の閾値用の減少方向カウンタの値を0にする。その後、処理はステップS811に進む。
ステップS811において、システムコントローラ10は、変化検出完了条件を満たしているか否かを判定する。変化検出完了条件は、AFエリア群80又はターゲット監視エリア92におけるコントラスト変化の検出がなされたときに満たされる。変化検出完了条件が満たされていないとき、コントラスト変化検出処理は終了し、処理は待機制御処理に戻る。一方、変化検出完了条件が満たされているとき、処理はステップS812に進む。
ステップS812において、システムコントローラ10は、コントラスト変化を検出した旨を確定する。その後、コントラスト変化検出処理は終了し、処理は待機制御処理に戻る。
図14に戻って待機制御処理の説明を続ける。コントラスト変化検出処理の後、処理はステップS704に進む。ステップS704において、システムコントローラ10は、コントラスト変化検出処理において、コントラスト変化が検出されたか否かを判定する。コントラスト変化が検出されたとき、処理はステップS702に進む。コントラスト変化が検出されていないとき、待機制御処理を継続する。すなわち、処理はステップS701に戻る。このように、上述した変化が生じたときにはウォブリングフェーズに移行し、変化が生じていないときには待機フェーズが維持される。
以上で説明した処理におけるエリア配置モードの遷移の概略を示す状態遷移図を図16に示す。この図に示すように、待機フェーズから他のフェーズに遷移したとき、エリア配置モードは不明となる。エリア配置モードが不明なときにAF可否判定エリア72にコントラストがあるとき、エリア配置モードはモードAとなる。一方、AF可否判定エリア72のコントラストが低いとき、エリア配置モードはモードBとなる。また、エリア配置モードがモードBであるときに、ターゲット監視エリア92にコントラストが出現したとき、エリア配置モードはモードAとなる。
また、エリア配置モードと、wobフェーズ、サーチフェーズ及び待機フェーズ間の遷移との関係の概略を示す状態遷移図を図17に示す。図17に示すように、各フェーズ及び各モード間で、所定の条件に応じて処理は遷移する。
すなわち、ウォブリングフェーズのモードAにおいて、合焦位置が遠いことが明らかになったとき、処理はサーチフェーズのモードAに移行する。また、被写体のコントラストが非常に低い場合や合焦した場合やレンズ位置が端点に達してリトライしない場合には、処理は待機フェーズのモードAに移行する。また、AF可否判定エリア72のコントラストが低いとき、処理はウォブリングフェーズのモードBに移行する。
サーチフェーズのモードAにおいて、コントラストのピーク値が検出できたとき、処理はウォブリングフェーズのモードAに移行する。また、合焦状態で安定したときや、レンズが端点に達してリトライしないとき、処理は待機フェーズのモードAに移行する。
待機フェーズのモードAにおいて、各種変化が検出されたとき、処理はウォブリングフェーズのモードAに移行する。
ウォブリングフェーズのモードBにおいて、合焦位置が遠いことが明らかになったとき、処理はサーチフェーズのモードBに移行する。また、被写体のコントラストが非常に低い場合や合焦した場合やレンズ位置が端点に達してリトライしない場合には、処理は待機フェーズのモードBに移行する。また、ターゲット監視エリア92にコントラストが出現したとき、処理はウォブリングフェーズのモードAに移行する。
サーチフェーズのモードBにおいて、コントラストのピーク値が検出できたとき、処理はウォブリングフェーズのモードBに移行する。また、合焦状態で安定したときや、レンズが端点に達してリトライしないとき、処理は待機フェーズのモードBに移行する。また、ターゲット監視エリア92において合焦位置の方向が判定されたとき、処理はサーチフェーズのモードAに移行する。
待機フェーズのモードBにおいて、各種変化が検出されたとき、処理はウォブリングフェーズのモードAに移行する。
ここで、wob制御処理において用いられるAFエリア群80の一例について図18を参照して説明する。wob制御処理において用いられるAFエリア群80には、大エリア81と、中エリア82と、9個の小エリア83とが含まれる。これら11個のAFエリアを組み合わせて用いることで、様々な被写体に対して適当なAF動作を行うことができる。例えば図19に示すように、大エリア81や中エリア82内に、手前の被写体と奥の被写体とが含まれる時も、小エリア83を用いることで、正確に合焦することができる。このため、小エリア83による合焦方向や合焦位置の判断結果が、大エリア81や中エリア82の判断結果よりも優先されることが好ましい。なお、状態遷移する際には、方向判断に使用したエリアを、次の状態のAFエリア群80の中心とすることが好ましい。また、待機制御処理において図18のAFエリア群80を採用してもよい。
また、サーチ制御処理において用いられるAFエリア群80の一例について図20を参照して説明する。サーチ制御処理において用いられるAFエリア群80には、複数のAFエリア85と、全面カバーエリア86とが含まれる。全面カバーエリア86は、補助的に用いられる。例えばAFエリア85でピーク検出ができずにレンズ位置が端点に到達してしまったときに、全面カバーエリアでピーク検出がなされていれば、その検出された位置にレンズを移動させる。また、待機制御処理において図20のAFエリア群80を採用してもよい。
例えば図10を参照して説明したwob制御処理における変化検出処理の効果について図21を参照して説明する。図21の上から1番目の図に示すようにターゲット監視エリア92内のコントラストが低いとき、AFエリア群80は、周辺エリア74の内、コントラストがある部分に設定される。ここで、図21の上から2番目及び3番目の図に示すように、短期的にターゲット監視エリア92を通過する被写体があっても、継続時間閾値が適当に設定されることで、この一時的に通過する被写体のためにエリア配置モードがモードBからモードAに遷移しない。その結果、不必要なレンズ駆動が生じないという効果が得られる。サーチ制御処理におけるコントラスト変化検出処理についても同様の効果がある。
また、例えば図10を参照して説明したwob制御処理における変化検出処理の別の効果について図22及び図23を参照して説明する。例えば被写体が図22のようになっている場合を考える。すなわち、ターゲット監視エリア92に含まれる被写体は大きくぼけていてコントラストが低い状態となっている場合を考える。このとき、AFエリア群80は周辺エリア74に設定されている。この状態における時間に対するレンズ位置の変化を図23の上図に、時間に対するコントラストの変化を図23の下図に示す。図23の下図において、実線はターゲット監視エリア92におけるコントラスト変化を示し、破線はAFエリア群80におけるコントラスト変化を示す。図23に示すように、エリア配置モードがモードBであり、AFエリア群80において合焦しようとウォブリング駆動しているとき、ターゲット監視エリア92においても被写体が存在するためにコントラスト変化が生じる。このコントラスト変化が所定の閾値を超えたとき、エリア配置モードがモードAに切り替えられる。すなわち、ターゲット監視エリア92であったAF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定され、このターゲット監視エリア92内の被写体に合焦することができる。
サーチ制御処理においても同様である。図23と同様に、サーチ制御処理における時間に対するレンズ位置の変化を図24の上図に、時間に対するコントラストの変化を図24の下図に示す。図24の下図において、実線はターゲット監視エリア92におけるコントラスト変化を示し、破線はAFエリア群80におけるコントラスト変化を示す。この場合においても、エリア配置モードがモードBであり、AFエリア群80において合焦しようとスキャン駆動しているとき、ターゲット監視エリア92においても被写体が存在するためにコントラスト変化が生じる。このコントラスト変化が所定の閾値を超えたとき、エリア配置モードがモードAに切り替えられる。すなわち、ターゲット監視エリア92であったAF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定され、このターゲット監視エリア92内の被写体に合焦することができる。
本実施形態によれば、ユーザが設定したAF可否判定エリア72のコントラストが高いとき、またはオールターゲットAFでの任意のAF可否判定エリア72のコントラストが高いとき、当該AF可否判定エリア72にAFエリア群80が設定されてAF動作がなされる。一方で、AF可否判定エリア72のコントラストが低いとき、周辺エリア74にAFエリア群80が設定されてAF動作がなされる。このため、コントラストがない領域で合焦しようとレンズを大きく動かすことが避けられる。本実施形態によれば、安定したオートフォーカスが実現され得る。
さらに、周辺エリア74にAFエリア群80が設定されているとき、AF可否判定エリア72にはターゲット監視エリア92が設けられ、コントラストの出現を監視する。このため、ターゲット監視エリア92においてコントラストが出現してこのエリアにおいて合焦できるときは、ターゲット監視エリア92に速やかにAFエリア群80が再設定され得る。このことにより、ユーザが設定したAF可否判定エリア72において適切な合焦が実現され得る。本実施形態によれば追従性が高いオートフォーカスが実現され得る。