JP2016117357A - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動駐車ブレーキによるクリアランスの調整動作を異常発生時にも行うことができるようにする。【解決手段】 駐車ブレーキ制御装置18は、車両データバス16から取得した走行距離のデータを基にブレーキパッド23の摩耗具合(摩耗量)を推定する。しかし、CANの断線等により車両データバス16からデータを取得できずに距離データが異常となったときには、異常発生前の距離データに拘わらず、車両を走行後に停車させてイグニッションスイッチがOFFされ、かつ車両がロックされていない非制動状態の条件下で、オートアジャスト制御を実行する。これにより、異常発生時にも、オートアジャスト制御を適切に行うことができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に制動力を付与するブレーキ装置に関する。
自動車等の車両には、ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ液圧を、各車輪側のブレーキ機構(ホイールシリンダ)に向けて供給することにより、車両に制動力を付与する構成としたブレーキ装置が搭載されている。ディスクブレーキに代表されるブレーキ機構は、例えばキャリパのシリンダ内に外部から液圧を供給することにより、ピストンをブレーキパッド(即ち、制動部材)と一緒にディスク(即ち、被制動部材)の表面側に押動して制動力を発生させる。
このようなブレーキ装置には、車両走行時に液圧に基づいて制動力を発生させるだけでなく、車両の停車、駐車時等に駐車ブレーキとして作動させるため、電動モータの回転駆動により直動部材を直動(即ち、軸方向に移動)してピストンに接触させ、このときのピストンの移動により制動力を発生させるようにした電動駐車ブレーキ機能付きのブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−209041号公報
ここで、特許文献1は、ブレーキパッドの摩耗によりピストンと直動部材とのクリアランスが次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大している場合について、何ら考慮していない。
そこで、本発明の目的は、電動駐車ブレーキによるクリアランスの調整動作を行うことができるようにしたブレーキ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明によるブレーキ装置は、車輪と共に回転する被制動部材を押圧することにより車両に制動力を与える制動部材と、該制動部材を前記被制動部材に向けて、または前記被制動部材から遠ざかる方向に移動させるピストンと、電動モータを駆動することにより直動し、前記ピストンに接触して該ピストンを移動させる直動部材と、前記車両に制動力を与えるためのアプライ制御、及び、前記車両の制動力を解除するためのリリース制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記リリース制御を行ったタイミングで走行距離の算出を開始し前記車両の走行による距離データの算出を行う走行距離算出手段と、該走行距離算出手段により算出される距離データが正常であるか否かを判定する距離データ判定手段と、該距離データ判定手段により前記距離データが異常と判定されて車両が走行したときには、前記走行距離算出手段の距離データに拘わらず、前記車両が非ロック状態となって停車しているときに前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御する異常時制御手段と、を含む構成としている。
本発明によれば、電動駐車ブレーキによるクリアランスの調整動作を行うことができるようにしたブレーキ装置を提供することができる。
実施形態によるブレーキ装置が搭載された車両の概念図。 図1中の駐車ブレーキ制御装置等を示す制御ブロック図。 後輪側に設けられる電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキを拡大して示す縦断面図。 駐車ブレーキ制御装置によるオートアジャスト制御の判定処理を示す流れ図。 図4中のオドメータ値異常判別処理を具体化して示す流れ図。 図4中のリリース後の走行距離算出処理を具体化して示す流れ図。 図4中のオートアジャスト制御処理を具体化して示す流れ図。 オドメータ値が正常な場合における駐車ブレーキのアプライ、リリースの制御、オドメータ値および走行距離等の関係を示すタイムチャート。 オドメータ値が異常となった第1の場合における駐車ブレーキのアプライ、リリースの制御、オドメータ値および走行距離等の関係を示すタイムチャート。 オドメータ値が異常となった第2の場合における駐車ブレーキのアプライ、リリースの制御、オドメータ値および走行距離等の関係を示すタイムチャート。 オドメータ値が異常となった第3の場合における駐車ブレーキのアプライ、リリースの制御、オドメータ値および走行距離等の関係を示すタイムチャート。
以下、実施形態によるブレーキ装置を4輪自動車に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。なお、図4〜図7に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示すものとする。
図1において、車両のボディを構成する車体1の下側には、例えば左,右の前輪2(FL,FR)と左,右の後輪3(RL、RR)とからなる合計4個の車輪が設けられている。これらの前輪2および後輪3には、それぞれの車輪(各前輪2、各後輪3)と共に回転する被制動部材としてのディスクロータ4が設けられている。前輪2用のディスクロータ4は、液圧式のディスクブレーキ5により制動力が付与され、後輪3用のディスクロータ4は、電動駐車ブレーキ機能付の液圧式のディスクブレーキ21により制動力が付与される。これにより、各車輪(前輪2と後輪3)は、それぞれ独立して制動力が付与されたり、制動解除されたりする。
車体1のフロントボード側には、ブレーキペダル6が設けられている。このブレーキペダル6は、車両のブレーキ操作時に運転者によって踏込み操作され、この操作により各ディスクブレーキ5,21は、常用ブレーキ(サービスブレーキ)としての制動力の付与と制動解除とが行われる。ブレーキペダル6には、ブレーキランプスイッチ、ペダルスイッチ、ブレーキ操作検出センサ6A(ペダルストロークセンサまたはブレーキセンサとも呼ぶ)等が設けられている。ブレーキ操作検出センサ6Aは、ブレーキペダル6の踏込み操作の有無、または、その操作量を検出し、その検出信号を後述のコントロールユニット(C/U13)に出力する。
車両の運転者がブレーキペダル6を踏込み操作すると、その操作力(入力)が倍力装置7により倍力された状態でマスタシリンダ8に伝達される。倍力装置7は、ブレーキペダル6とマスタシリンダ8との間に設けられた負圧ブースタまたは電動ブースタとして構成され、ブレーキペダル6の踏込み操作時に踏力を増力してマスタシリンダ8に伝える。このとき、油圧源として機能するマスタシリンダ8は、マスタリザーバ9から供給されるブレーキ液により液圧を発生させる。マスタリザーバ9は、ブレーキ液が収容された作動液タンクにより構成されている。ブレーキペダル6により液圧を発生する機構は、上記の構成に限られるものではなく、ブレーキペダル6の操作に応じて液圧を発生する機構、例えばブレーキバイワイヤ方式の機構等であってもよい。
マスタシリンダ8内に発生した液圧は、例えば一対のシリンダ側液圧配管10A,10Bを介して液圧供給装置11(以下、ESC11という)に送られる。このESC11は、各ディスクブレーキ5,21とマスタシリンダ8との間に配置され、マスタシリンダ8からの液圧を各ディスクブレーキ5,21に分配して供給する装置である。即ち、マスタシリンダ8からの液圧は、ESC11によりブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dを介して各ディスクブレーキ5,21に分配して供給される。これにより、車輪(各前輪2、各後輪3)のそれぞれに対して相互に独立して制動力が付与される。
ここで、ESC11は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成される専用の制御装置、即ちコントロールユニット13(以下、C/U13という)を有している。C/U13は、ESC11の各制御弁(図示せず)を開,閉したり、液圧ポンプ用の電動モータ(図示せず)を回転,停止させたりする駆動制御を行うことにより、ブレーキ側配管部12A〜12Dから各ディスクブレーキ5,21に供給されるブレーキ液圧を互いに独立して増圧、減圧または保持する制御を行う。これにより、種々のブレーキ制御(例えば、倍力制御、制動力分配制御、ブレーキアシスト制御、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、横滑り防止を含む車両安定化制御、坂道発進補助制御等)が実行される。
C/U13には、バッテリ14からの電力が電源ライン15を通じて給電される。また、C/U13は、車両データバス16に接続されている。なお、ESC11の代わりに、公知のABSユニット等を用いることも可能である。さらに、ESC11を設けずに省略することも可能であり、このような場合には、マスタシリンダ8とブレーキ側配管部12A〜12Dとの間に機械的な液圧制御弁等を設ける構成とすればよい。
車両データバス16は、車体1に搭載されたシリアル通信部としてのCAN(Controller Area Network)を備えており、車両に搭載された多数の電子機器、C/U13および駐車ブレーキ制御装置18等との間で車両内での多重通信を行うためのデータバスである。車両データバス16に送られる車両情報としては、ブレーキ操作検出センサ6Aからの検出信号の他に、例えばイグニッションスイッチ(IGN SW)、シートベルトセンサ、ドアロックセンサ、ドア開センサ、着座センサ、車速センサ、操舵角センサ、アクセル操作センサ、スロットルセンサ、エンジン回転センサ、ブレーキ液圧の圧力センサ、勾配センサ、シフトセンサ、加速度センサ、車輪速センサ、車両のピッチ方向の動きを検知するピッチセンサ(いずれも図示せず)等からの検出信号による車両情報が挙げられる。
また、車体1には、車両の積算走行距離計であるオドメータ(図示せず)が搭載されている。そして、車両データバス16には、前記オドメータで計測したオドメータ値(車両の走行距離に相当する距離データ)が車両の走行時に逐次更新されるかたちで送られる。制御部としての駐車ブレーキ制御装置18は、このようなオドメータ値を車両データバス16から読込み、これを必要に応じて後述の記憶装置20により記憶させることができる。
車体1内には、運転席(図示せず)の近傍に駐車ブレーキスイッチ17(図2示すPKB SW)が設けられ、該駐車ブレーキスイッチ17は運転者によって操作される。駐車ブレーキスイッチ17は、運転者からの駐車ブレーキの作動要求(アプライ要求、リリース要求)に対応する信号を、制御部としての駐車ブレーキ制御装置18に伝達する。即ち、駐車ブレーキスイッチ17は、電動モータ37の回転駆動に基づいてブレーキパッド23をアプライ作動またはリリース作動させるための信号(アプライ要求信号、リリース要求信号)を、駐車ブレーキ制御装置18に対して出力する。
図2に示すように、駐車ブレーキ制御装置18は、その入力側が車両データバス16、駐車ブレーキスイッチ17および電流センサ(図示せず)等に接続され、出力側が電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキ21に接続されている。前記電流センサは、電動モータ37に流れる電流値を検出し、その検出信号(例えば、電動モータ37の負荷状態を検出するための信号)を駐車ブレーキ制御装置18に出力する。駐車ブレーキ制御装置18は、その中央演算装置18A(即ち、CPU18A)の他に、後述するディスクブレーキ21の電動モータ37を駆動するモータドライバとしての駆動回路19と、駐車ブレーキの制御に必要なデータや情報を記憶する記憶装置20とを含んで構成されている。
記憶装置20は、例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM、EEPROM等からなるメモリ部品により構成されている。記憶装置20には、図4に示すオートアジャスト制御の判定処理用プログラムと、走行距離Lの判定を行うための閾値Lsと、オートアジャスト制御を行う上での後述の条件(a)〜(g)を判定するために必要な各種データおよび情報と、図5に示すオドメータ値異常判別処理用プログラムと、図6に示すリリース後走行距離算出処理用プログラムと、図7に示すオートアジャスト制御処理用プログラムと、後述の図5に示すオドメータ異常時走行履歴の履歴フラグ等とが格納されている。
図4に示す処理手順のうちS2は、リリース後の走行距離算出処理(図6参照)を行うもので、車両の走行による距離データの算出を行う走行距離算出手段の具体例を示している。また、図5に示すオドメータ値異常判別処理のうちS11の判定処理は、車両データバス16から読込んだオドメータ値が異常(例えば、CANの断線等により異常)であるか否か、即ちオドメータ値に基づいて前記走行距離算出手段により算出される距離データが正常であるか異常であるかを判定する距離データ判定手段を構成する。
さらに、前記距離データ判定手段により距離データが異常と判定して車両が走行したときには前記走行距離算出手段の距離データに拘わらず、車両が非ロック状態となって停車しているときに直動部材35をピストン29に接触するよう制御する異常時制御手段は、図4に示す処理手順のうちS3とS4とを含んで構成されている。この異常時制御手段は、図5のオドメータ値異常判別処理により後述の如く、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「あり」に設定されている場合で、かつオートアジャスト制御の他の条件(b)〜(g)を満たしている場合に、オートアジャスト制御を行う。
一方、図4のS3とS4とによる処理は、正常時制御手段の具体例も含んでいる。この正常時制御手段は、前記距離データ判定手段により前記距離データが正常と判定している間、後述の走行距離Lが閾値Ls以上(L≧Ls)となった場合で、かつオートアジャスト制御の他の条件(b)〜(g)を満たしている場合に、オートアジャスト制御を行う。
運転者により駐車ブレーキスイッチ17が制動側にON操作されたときには、駐車ブレーキスイッチ17からアプライ要求信号が出力される。このとき、駐車ブレーキ制御装置18は、駆動回路19から後輪3用のディスクブレーキ21に対し電動モータ37を制動側に回転させるための電力を出力(給電)する。これにより、後輪3用のディスクブレーキ21は、駐車ブレーキとしての制動力が付与された状態(即ち、アプライ状態)となる。
一方、運転者によって駐車ブレーキスイッチ17が制動解除のためにOFF操作されたときには、駐車ブレーキスイッチ17からリリース要求信号が出力される。このとき、後輪3用のディスクブレーキ21には、電動モータ37を制動側とは逆方向に回転させるための電力が駐車ブレーキ制御装置18を介して給電される。これにより、ディスクブレーキ21は、駐車ブレーキとしての制動力の付与が解除された状態(即ち、リリース状態)となる。
次に、左,右の後輪3側に設けられるディスクブレーキ21の構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3では、左,右の後輪3側にそれぞれ設けられた左,右のディスクブレーキ21のうち、その一方のみを代表例として示している。
ここで、後輪3用のディスクブレーキ21は、電動式の駐車ブレーキ機能が付設された液圧式のディスクブレーキとして構成されている。ディスクブレーキ21は、制御部である駐車ブレーキ制御装置18と共にブレーキ装置(ブレーキシステム)を構成する。ディスクブレーキ21は、車両の後輪3側の非回転部分に取付けられる取付部材22と、制動部材(摩擦パッド)としてのインナ側,アウタ側のブレーキパッド23と、電動アクチュエータ36が設けられたブレーキ機構としてのキャリパ24とを含んで構成されている。
この場合、ディスクブレーキ21は、ブレーキペダル6の操作等に基づく液圧によりキャリパ本体25のシリンダ部26内でピストン29を推進することにより、ブレーキパッド23をディスクロータ4に押圧し、車輪(後輪3)に制動力を付与する。また、後輪3用のディスクブレーキ21は、駐車ブレーキスイッチ17からの信号等に基づく駐車ブレーキ制御装置18からの作動要求に応じても作動される。このとき、ディスクブレーキ21は、後述の電動アクチュエータ36(電動モータ37)により回転直動変換機構33を介してピストン29を推進させ、ブレーキパッド23をディスクロータ4に押圧することにより車輪(後輪3)に制動力を付与する。
取付部材22は、ディスクロータ4の外周を跨ぐようにディスクロータ4の軸方向(即ち、ディスク軸方向)に延びディスク周方向で互いに離間した一対の腕部(図示せず)と、該各腕部の基端側を一体的に連結するように設けられ、ディスクロータ4のインナ側となる位置で車両の非回転部分に固定される厚肉の支承部22Aと、ディスクロータ4のアウタ側となる位置で前記各腕部の先端側を互いに連結する補強ビーム22Bとを含んで構成されている。
インナ側,アウタ側のブレーキパッド23は、ディスクロータ4の両面に当接可能に配置され、取付部材22の各腕部によりディスク軸方向に移動可能に支持されている。インナ側,アウタ側のブレーキパッド23は、キャリパ24(キャリパ本体25の爪部28とピストン29)によりディスクロータ4の両面側に押圧される。これにより、各ブレーキパッド23は、車輪(後輪3)と共に回転するディスクロータ4を両側から挟持(押圧)して車両に制動力を与える。
取付部材22には、ディスクロータ4の外周側を跨ぐようにホイールシリンダとしてのキャリパ24が配置されている。キャリパ24は、取付部材22の各腕部に対してディスクロータ4の軸方向に沿って移動可能に支持されたキャリパ本体25と、このキャリパ本体25内に摺動可能に挿嵌して設けられたピストン29と、後述の回転直動変換機構33および電動アクチュエータ36等とを備えている。キャリパ24は、ブレーキペダル6の操作に基づいてマスタシリンダ8に発生する液圧によりピストン29を作動させる。このとき、ピストン29は、ブレーキパッド23と一緒にディスクロータ4に向けて、またはディスクロータ4から遠ざかる方向に移動される。
キャリパ本体25は、インナ側のシリンダ部26とブリッジ部27とアウタ側の爪部28とを備えている。インナ側のシリンダ部26は、軸方向の一側が隔壁部26Aによって閉塞され、ディスクロータ4に対向する軸方向の他側が開口された有底円筒状に形成されている。ブリッジ部27は、ディスクロータ4の外周側を跨ぐように該シリンダ部26からディスク軸方向に延びて形成されている。アウタ側の爪部28は、シリンダ部26と反対側においてブリッジ部27から径方向内側に向けて延びるように配置されている。
キャリパ本体25のシリンダ部26(即ち、後述の液圧室30)内には、図1に示すブレーキ側配管部12Cまたは12Dを介してブレーキペダル6の踏込み操作等に伴う液圧が供給される。シリンダ部26には、その奥所側(軸線方向の一方側)と電動アクチュエータ36との間に位置して隔壁部26Aが一体に形成されている。シリンダ部26の隔壁部26Aは、軸線方向の貫通穴26Bを有しており、貫通穴26Bの内側には、後述する電動アクチュエータ36の出力軸36Bが回転可能に挿入されている。
キャリパ本体25のシリンダ部26内には、底部29Aと筒部29Bとからなる有底カップ状のピストン29が軸方向に摺動変可能に挿嵌され、該ピストン29の底部29Aは、インナ側のブレーキパッド23に対面している。シリンダ部26の隔壁部26Aとピストン29との間には液圧室30が画成され、この液圧室30はピストンシール31によりシールされている。液圧室30内には、シリンダ部26に設けた給排ポート(図示せず)を介してマスタシリンダ8からの液圧が供給される。ピストン29の底部29Aの外周面とシリンダ部26の開口側内周面との間には、シリンダ部26内への異物の侵入を防ぐためにダストブーツ32が介装されている。
キャリパ本体25のシリンダ部26とピストン29との間には、液圧室30内に位置して回転直動変換機構33が設けられている。この回転直動変換機構33は、後述の電動アクチュエータ36による回転運動、即ち電動モータ37の回転を直線方向の運動(以下、直動という)に変換し、ピストン29に軸方向の推力を付与すると共に、ピストン29を制動位置で保持する機能等を有している。図3に示すように、回転直動変換機構33は、ピストン29内に収容される構成としているが、回転直動変換機構33によってピストン29が推進されるようになっていればよく、回転直動変換機構33は必ずしもピストン29内に収容して設ける必要はない。
回転直動変換機構33は、台形ねじ等の雄ねじが形成された棒状体からなるねじ部材34と、台形ねじからなる雌ねじ穴が内周側に形成された推進部材となる直動部材35とにより構成されている。即ち、直動部材35の内周側に螺合したねじ部材34は、後述の電動アクチュエータ36による回転運動を直動部材35の直線運動に変換するねじ機構を構成している。この場合、直動部材35の雌ねじとねじ部材34の雄ねじとは、不可逆性の大きいねじ(例えば、台形ねじ)を用いて形成されている。
これにより、回転直動変換機構33は、電動アクチュエータ36(即ち、電動モータ37)に対する給電を停止した状態でも、直動部材35(即ち、ピストン29)を任意の位置で摩擦力(保持力)によって保持することができ、給電停止により省エネルギ化が可能となる。なお、回転直動変換機構33は、電動アクチュエータ36により推進された位置にピストン29を保持することができればよく、例えば、台形ねじ以外の不可逆性の大きい断面三角状のねじ、またはウォームギヤ等を用いて構成してもよい。
直動部材35の内周側に螺合して設けられたねじ部材34は、軸方向の一側に大径の鍔部となるフランジ部34Aが設けられ、軸方向の他側がピストン29の底部29A側に向けて延びている。ねじ部材34は、フランジ部34A側で後述する電動アクチュエータ36の出力軸36Bに一体的に連結されている。また、直動部材35の外周側には、直動部材35をピストン29に対して廻止め(相対回転を規制)し、軸方向の相対移動を許す係合突部35Aが設けられている。直動部材35は、軸方向他側の先端部35Bがピストン29の底部29A側に当接し、ピストン29を軸方向に押動して推進させる。
電動アクチュエータ36は、駐車ブレーキ用アクチュエータを構成し、その外殻をなすケーシング36Aを有している。電動アクチュエータ36のケーシング36Aは、隔壁部26Aの外側位置(即ち、キャリパ本体25のシリンダ部26の軸方向一側となる位置)でシリンダ部26に固定して設けられている。電動アクチュエータ36は、ケーシング36A内に設けられたステータおよびロータ(図示せず)からなる電動モータ37と、ケーシング36A内に配置され電動モータ37の回転を減速してトルクを増大させる減速機(図示せず)とを含んで構成されている。
さらに、電動アクチュエータ36は、前記減速機からの回転トルクを回転直動変換機構33に出力する出力軸36Bを有している。電動アクチュエータ36の出力軸36Bは、シリンダ部26の隔壁部26Aを貫通穴26Bに沿って延び、シリンダ部26内でねじ部材34のフランジ部34A側と一体に回転するように連結されている。ねじ部材34と出力軸36Bとの連結手段は、例えば軸方向には移動可能であるが回転方向は廻止めされるように構成することができる。この場合は、例えばスプライン嵌合や多角形柱による嵌合(非円形嵌合)等の公知の技術が用いられる。
なお、電動アクチュエータ36のケーシング36A内に設ける減速機は、例えば遊星歯車減速機やウォーム歯車減速機に代表される歯車式減速機構等を用いて構成してもよい。また、ウォーム歯車減速機等、逆作動性のない(不可逆性の)公知の減速機を用いる場合は、回転直動変換機構33は、ボールねじやボールアンドランプ機構等、可逆性のある公知の機構を用いることができる。
ここで、運転者が図1ないし図3に示す駐車ブレーキスイッチ17を制動側に操作したときには、駐車ブレーキ制御装置18を介して電動アクチュエータ36の電動モータ37に給電が行われ、電動アクチュエータ36の出力軸36Bが回転駆動される。このため、回転直動変換機構33のねじ部材34は、例えば一方向に出力軸36Bと一体に回転され、直動部材35を介してピストン29をディスクロータ4側に推進(駆動)する。これにより、ディスクブレーキ21は、ディスクロータ4をインナ側,アウタ側のブレーキパッド23間で挟持し、電動式の駐車ブレーキとして制動力を付与した状態、即ち、保持状態(アプライ状態)となる。
一方、駐車ブレーキスイッチ17が制動解除側に操作されたときには、電動アクチュエータ36により回転直動変換機構33のねじ部材34が他方向(逆方向)に回転駆動される。これにより、ピストン29と直動部材35とがディスクロータ4から離れる(離間する)後退方向に駆動され、ディスクブレーキ21は駐車ブレーキとしての制動力が解除された状態、即ち、解除状態(リリース状態)となる。
この場合、回転直動変換機構33の直動部材35は、係合突部35Aによりピストン29内での回転が規制されている。このため、ねじ部材34が直動部材35に対して相対回転されると、直動部材35は、ねじ部材34の回転角度に応じて軸方向に相対移動する。即ち、回転直動変換機構33は、ねじ部材34の回転運動を直動部材35の直線運動に変換し、直動部材35の先端部35Bは、ピストン29を軸方向に推進させる。また、回転直動変換機構33は、前記摩擦力によって直動部材35を任意の位置に保持することができる。これにより、ピストン29およびブレーキパッド23は、電動アクチュエータ36により推進された位置に保持される。
シリンダ部26の隔壁部26Aには、ねじ部材34のフランジ部34Aとの間にスラスト軸受38が設けられている。このスラスト軸受38は、ねじ部材34からのスラスト荷重を隔壁部26Aと一緒に受承し、隔壁部26Aに対するねじ部材34の回転を円滑にする。また、シリンダ部26の隔壁部26Aには、電動アクチュエータ36の出力軸36Bとの間にシール部材39が設けられ、該シール部材39は、シリンダ部26内のブレーキ液が電動アクチュエータ36側に漏洩するのを阻止すべく両者の間をシールしている。
なお、前輪2側のディスクブレーキ5は、後輪3側のディスクブレーキ21と駐車ブレーキ機構を除けばほぼ同様に構成されている。即ち、前輪2側のディスクブレーキ5は、後輪3側のディスクブレーキ21のように、駐車ブレーキの作動(保持、解除)を行う回転直動変換機構33および電動アクチュエータ36等が設けられていない。しかし、これ以外の点では、前輪2側のディスクブレーキ5も後輪3側のディスクブレーキ21とほぼ同様に構成されている。また、場合によっては、電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキ21を前輪2側にもディスクブレーキ5に代えて設ける構成としてもよい。
本実施形態による4輪自動車のブレーキ装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
車両の運転者がブレーキペダル6を踏込み操作すると、その踏力が倍力装置7を介してマスタシリンダ8に伝達され、マスタシリンダ8によってブレーキ液圧が発生する。マスタシリンダ8で発生した液圧は、シリンダ側液圧配管10A,10B、ESC11およびブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dを介して各ディスクブレーキ5,21に分配、供給され、左,右の前輪2と左,右の後輪3とにそれぞれ制動力が付与される。
この場合、後輪3側のディスクブレーキ21について説明すると、キャリパ24のシリンダ部26内に液圧がブレーキ側配管部12C,12Dを介して供給されたときには、シリンダ部26内の液圧上昇に従ってピストン29がインナ側のブレーキパッド23に向けて摺動変位する。これにより、ピストン29は、インナ側のブレーキパッド23をディスクロータ4の一側面に押圧し、このときの反力によってキャリパ24全体が取付部材22の前記各腕部に対してディスクロータ4のインナ側に摺動変位する。
図3に示すように、ディスクブレーキ21のキャリパ24内では、シリンダ部26の液圧室30に液圧が供給されると、ピストン29がピストンシール31を弾性変形させながら非制動時の初期位置から前進(図3中の右方向に移動)してインナ側のブレーキパッド23をディスクロータ4に押付ける。そして、キャリパ本体25は、ピストン29の押圧反力により取付部材22に対して図3中の左方向に移動し、爪部28に当接しているアウタ側のブレーキパッド23をディスクロータ4に押付ける。この結果、ディスクロータ4が一対のブレーキパッド23間で挟持され、このときの摩擦力により車両に制動力が発生する。
次に、運転者がブレーキペダル6の操作を解除(解放)すると、マスタシリンダ8からの液圧供給が断たれるので、ディスクブレーキ21のキャリパ24側ではシリンダ部26の液圧室30内の液圧が低下する。これにより、ピストン29は、ピストンシール31の弾性変形の復元力によってシリンダ部26内の初期位置まで後退して制動力が解除される。なお、インナ側,アウタ側のブレーキパッド23の摩耗に伴ってピストン29の移動量が増大し、ピストンシール31の弾性変形の限界を越えると、ピストン29とピストンシール31との間には滑りが生じる。この滑りによってキャリパ本体25のシリンダ部26に対するピストン29の初期位置が移動する。
この結果、パッドクリアランスは、ブレーキパッド23が摩耗した場合でもほぼ一定に調整される。しかし、パッド摩耗に伴ってピストン29の初期位置が移動すると、駐車ブレーキ用の回転直動変換機構33(即ち、直動部材35の先端部35B)とピストン29の底部29Aとの間には、図3中に示すようにクリアランスCが生じており、このクリアランスCはパッド摩耗に従って必要以上に大きくなることがある。このため、本実施形態では、後述の図4〜図7に示す処理手順に従ってオートアジャスト制御を行い、前記クリアランスCが過大になるのを抑えるようにしている。
次に、車両の運転者が駐車ブレーキスイッチ17を制動側(オン)に操作したときには、駐車ブレーキ制御装置18からディスクブレーキ21の電動モータ37に給電が行われ、電動アクチュエータ36の出力軸36Bが回転駆動される。電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキ21は、電動アクチュエータ36の回転を回転直動変換機構33のねじ部材34と直動部材35を介して直線運動に変換し、直動部材35を軸方向に移動させてピストン29を推進することにより、一対のブレーキパッド23をディスクロータ4の両面に押圧する。
このとき、直動部材35は、ねじ部材34との間に発生する摩擦力(保持力)により制動状態に保持され、後輪3側のディスクブレーキ21は駐車ブレーキとして作動(アプライ)される。即ち、電動アクチュエータ36への給電を停止した後にも、直動部材35の雌ねじとねじ部材34の雄ねじとにより、直動部材35(即ち、ピストン29)を制動位置に保持することができる。
換言すると、駐車ブレーキ制御装置18は、一対のインナ側とアウタ側のブレーキパッド23からディスクロータ4に付与される押圧力が予め決められた所定値(例えば、電動モータ37に供給しているアプライ時の駆動電流が所定の電流値)に達するまで電動モータ37を駆動する。このときの駆動電流は前記電流センサで検出している。その後、駐車ブレーキ制御装置18は、ディスクロータ4への押圧力が所定値(具体的には、電動モータ37の駆動電流が所定値)に達したことを検出すると、電動モータ37への通電を停止する。これにより、ねじ部材34はアプライ方向への回転が停止され、これに伴って、直動部材35の軸方向変位(直動)も停止される。
このとき、直動部材35にはディスクロータ4からの押圧反力が作用する。しかし、ねじ部材34の雄ねじと直動部材35の雌ねじとの間には、前記押圧反力に対抗する回転抵抗トルクが生じている。即ち、両者の間のねじ嵌合部は、不可逆性が大きく逆作動しない構成となっている。このため、回転直動変換機構33のねじ部材34は、回転せずに停止状態が維持され、ピストン29を所期の制動位置に保持することができる。これにより、制動力の保持がなされ、駐車ブレーキとしての作動を続ける。この状態において、ディスクロータ4からの押圧反力は、直動部材35、ねじ部材34およびスラスト軸受38を介してシリンダ部26の隔壁部26Aに伝達され、ピストン29に対して駐車ブレーキの保持力を与える。
次に、駐車ブレーキを解除(リリース)する際には、駐車ブレーキスイッチ17がOFF操作されることにより、駐車ブレーキ制御装置18は、ピストン29を戻す方向(即ち、ピストン29をディスクロータ4から離間させるリリース方向)に電動モータ37を回転駆動する。これによって、電動アクチュエータ36は、前記減速機により電動モータ37を減速して所要トルクの回転をねじ部材34に伝え、該ねじ部材34をアプライ時とは逆方向(ピストン29を戻すリリース方向)に回転駆動する。
このとき、ねじ部材34には、ディスクロータ4からの押圧反力が直動部材35を介して作用している。これにより、ねじ部材34の雄ねじと直動部材35の雌ねじとの間のねじ嵌合部には回転抵抗トルクが働く。電動アクチュエータ36(電動モータ37)から伝達されたリリース方向の回転トルクは、ねじ部材34に伝達されると共に、直動部材35の雌ねじに伝達される。これにより、直動部材35がシリンダ部26の隔壁部26A側(リリース方向)に移動して軸方向の初期位置に戻る。ねじ部材34の雄ねじと直動部材35の雌ねじとの螺合位置が初期位置まで戻り、ねじ部材34のリリース方向への回転が停止される。
そして、駐車ブレーキ制御装置18は、直動部材35の先端部35Bとピストン29の底部29Aとの間が所定のクリアランスC(隙間)を有する初期位置に到達した時点で、電動モータ37の回転を停止させるように制御する。このとき、ピストン29は、ピストンシール31の弾性変形の復元力によって初期位置まで後退して制動力が完全に解除される。このように、ディスクブレーキ21は、駐車ブレーキのリリース時に、回転直動変換機構33の直動部材35を初期位置に戻すことによってピストン29への保持力を解除するようにしている。
ところで、この種のブレーキ装置は、車両走行時のブレーキ操作によってピストンを液圧で駆動し、ブレーキパッド(制動部材)をディスク(被制動部材)の表面側に押動して摩擦接触させる。このため、ブレーキ操作の度毎に制動部材が徐々に摩耗し、これに伴ってピストンが直動部材に対して先行する方向に相対移動する。このように、車両走行時のブレーキ操作により制動部材が摩耗すると、ピストンと直動部材との間に大きなクリアランスが発生してしまう。そして、このような状態で電動駐車ブレーキを作動させようとすると、直動部材を前記クリアランス分だけ大きく直動するように電動モータにより駆動する必要があるため、駐車ブレーキ作動時の応答性が低下するばかりでなく、車両の制動性能が低下する虞れがある。
そこで、電動駐車ブレーキを最後に解除させたときからの走行距離(即ち、リリース制御後の走行距離)に基づいてブレーキパッドの摩耗を推定し、その摩耗量が次回作動時の応答性に影響を及ぼすと判断した場合、電動駐車ブレーキの内機部品(直動部材)とピストンとのクリアランスを調整するように、自動的に電動モータを回転駆動させることが考えられる。
しかし、オドメータ等の外部システムにより車両の走行距離を取得している場合、取得した情報に異常が発生すると、走行距離の算出ができなくなるので、ブレーキパッドの摩耗量を推定できなくなってしまう。このため、ブレーキパッドの摩耗によるピストンと直動部材とのクリアランスが、次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大している場合でも、クリアランスの自動的な調整動作が行われない虞れがある。
具体的には、車両走行時のブレーキ操作によりブレーキパッド23が摩耗すると、これに伴って、ピストン29と直動部材35との間のクリアランスC(図3参照)が必要以上に増大する。そして、このような状態(クリアランスCが過大な状態)で電動駐車ブレーキを作動させようとすると、直動部材35をクリアランスC分だけ移動すべく、電動アクチュエータ36によって回転直動変換機構33を余分に駆動する必要があるため、駐車ブレーキ作動時の応答性が低下するばかりでなく、車両の制動性能が低下する虞れがある。
また、CAN通信による車両データバス16から車両の走行距離(例えば、オドメータ値)を取得している場合、取得した情報に異常が発生すると、走行距離の算出ができなくなり、結果として、ブレーキパッド23の摩耗量を推定することができない。この場合、ブレーキパッド23の摩耗によるピストン29と直動部材35とのクリアランスCが、次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大しているか否かを、駐車ブレーキ制御装置18によって判断できないことになる。
そこで、本実施形態では、このような問題を解決するために、図4〜図7に示す処理手順に従って駐車ブレーキ制御装置18によるオートアジャスト制御の判定処理を行う構成としている。
図4に示す処理がスタートすると、S1ではオドメータ値異常判別処理を図5に示す手順に従って実行する。また、S2ではリリース後の走行距離算出処理を図6に示す手順に従って実行する。次のS3では、後述の条件(a)〜(g)を満たしているか否かを判定する。そして、S3で「YES」と判定した場合は、オートアジャスト制御が実行可能と判断できるので、次のS4に移ってオートアジャスト制御処理(後述の図7による制御処理)を行うようにする。一方、S3で「NO」と判定する間は、オートアジャスト制御を行わずに、次のS5でリターンし、ステップ1以降の処理を繰返すようにする。図4に示す処理手順のうちS3とS4とは、本発明による異常時制御手段または正常時時制御手段の具体例を構成している。
次に、S1のオドメータ値異常判別処理について、図5を参照して説明する。処理がスタートすると、S11でオドメータ値が異常であるか否かを判定する。CAN通信による車両データバス16からオドメータ値(即ち、車両の走行距離)を取得している場合、例えばCANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなると、オドメータ値が異常となってS11では「YES」と判定する。一方、オドメータ値を正常に取得している場合は、S11「NO」と判定し、次のS12では、オドメータ異常時走行履歴「なし」と履歴フラグを設定し、次のS13でリターンする。
S11で「YES」と判定した場合は、次のS14で車両が走行しているか否かを判定する。例えば、車輪速度が2km/h以上の状態が所定時間(一例として30ミリ秒)以上継続した場合は、車両が走行していると判定する。S14で「YES」と判定した場合は、オドメータ値が異常となった状態で車両は走行しているので、次のS15では、オドメータ異常時走行履歴「あり」と履歴フラグを設定し、次のS13でリターンする。
一方、S14で「NO」と判定する間は、車両は走行しておらず、停止していると判断できるので、次のS16では駐車ブレーキが解除されるリリース完了のタイミングであるか否かを判定する。これは、前記電流センサによる電流値の変化から判定してもよいし、駐車ブレーキスイッチ17からの信号により判定してもよい。そして、S16で「NO」と判定する間は、駐車ブレーキが解除(リリース)された後か、または、リリース前の状態(例えば、駐車ブレーキの作動中も含む)にあると判断することができる。
そこで、次のS17では、オドメータ異常時走行履歴を前回と同じく、即ち履歴フラグを変更することなくそのままとし、次のS13でリターンする。なお、オドメータ異常時走行履歴は、図5のオドメータ値異常判別処理を最初にスタートさせる段階(例えば、エンジンの始動時)に、オドメータ異常時走行履歴「なし」と履歴フラグを初期設定しておけばよい。しかし、前記S15で履歴フラグをオドメータ異常時走行履歴「あり」と設定した後には、車両の走行を停止したときにも、S16で「NO」と判定する限りは、S17でオドメータ異常時走行履歴を前回と同じく、履歴フラグを「あり」に設定し続ける。
一方、S16で「YES」と判定したときには、例えば駐車ブレーキスイッチ17がOFF操作されてリリース完了のタイミング(即ち、駐車ブレーキが解除されたタイミング)であると判断できる。換言すると、ピストン29と直動部材35との間のクリアランスC(図3参照)は、このタイミングで適正な隙間寸法に設定されていると判断できる。そこで、次のS18では、オドメータ異常時走行履歴「なし」と履歴フラグを設定し、次のS13でリターンする。
次に、S2のリリース後走行距離算出処理(即ち、走行距離算出手段)について、図6を参照して具体的に説明する。処理がスタートすると、S21で駐車ブレーキが解除されるリリース完了のタイミングであるか否かを判定する。これは、前述の如く電流値の変化から判定してもよいし、駐車ブレーキスイッチ17からの信号により判定してもよい。例えば、駐車ブレーキスイッチ17がOFF操作されたときには、S21で「YES」と判定するので、次のS22に移って車両データバス16から車両の走行距離(リリース時点でのオドメータ値)を読込み、これを初期値L1として記憶する。
一方、S21で「NO」と判定するときには、駐車ブレーキが解除(リリース)された後か、または、リリース前の状態(例えば、駐車ブレーキの作動中も含む)にあるので、S23に移って車両データバス16から車両の走行距離(現在のオドメータ値)を読込み、これを更新値Lxとして記憶する。次のS24では、駐車ブレーキをリリースした後の車両の走行距離L(即ち、距離データ)を、下記の数1式のように、更新値Lxと初期値L1との差分として演算する。
Figure 2016117357
最後に駐車ブレーキを解除(リリース制御)したタイミングからの走行距離Lは、仮にバッテリの電力不足等の原因で一時的にシステムダウンした場合でも、その後にシステムが復帰したときには、前記数1式による走行距離Lの演算が継続できるようにする必要がある。このため、初期値L1をシステムダウン時にも駐車ブレーキ制御装置18の記憶装置20に格納できるようにする。なお、走行距離Lの演算結果を格納してもよい。
次に、図4に示すS3の判定処理について、具体的に説明する。即ち、S3では、下記の条件(a)〜(g)を満たしているか否かを判定する。
(a)履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「あり」となっているか、または、リリース後の走行距離Lが閾値Ls以上か
(b)車両が停車
(c)電動駐車ブレーキが解除(リリース)状態
(d)イグニッションスイッチ(IGN SW)がONからOFFに変化
(e)電動駐車ブレーキのアクチュエータが作動していない
(f)オートアジャスト制御で使用する入力データが正常
(g)他のアクチュエータの作動要求がない
即ち、S3において、条件(a)〜(g)を満たしているとして「YES」と判定した場合には、オートアジャスト制御が実行可能と判断できるので、次のS4に移ってオートアジャスト制御処理(後述の図7による制御処理)を行うようにする。一方、S3で「NO」と判定する間は、オートアジャスト制御を行わずに、次のS5でリターンし、ステップ1以降の処理を繰返すようにする。
ここで、前述した条件(a)は、例えばCANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなり、オドメータ値が異常(または、特定の値に固定)となって履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「あり」となっているか、または、ブレーキパッド23の摩耗量が所定量を越えて大きくなっている否かを判定するための条件である。
リリース後の走行距離L(即ち、距離データ)に対する閾値Lsは、例えば1000kmに設定されている。この閾値Lsは、高速走行からの急制動等のように、ブレーキパッド23が摩耗する可能性の高い運転を行った場合等を想定した走行距離であり、場合によっては、1000km以上の走行距離に設定することも可能である。換言すると、閾値Lsの走行距離は、駐車ブレーキスイッチ17をON操作して通常時の作動完了に要する時間に対し、パッド摩耗時(即ち、ピストン29と直動部材35とのクリアランスCが大きくなったとき)の作動完了遅れ時間が1秒以内となるような所定値(走行距離)に設定されている。
上記の条件(b)は、車両が停止していることを検出するための条件である。駐車ブレーキ制御装置18は、車両データバス16から取得した車輪速度の情報により車両が停車しているか否かを判断する。例えば、車輪速度が1km/h未満の状態が所定時間(例えば、30ミリ秒)以上継続した場合に停車と判定し、2km/h以上の状態が所定時間(同じく、30ミリ秒)以上継続した場合に走行中と判定する。オートアジャスト制御を行う場合には、電動アクチュエータ36を一度アプライ方向に駆動する必要があり、その際に推力が発生する。そのため、走行中にオートアジャスト制御を実施してしまうと、運転者の意図しない制動力が発生して車両挙動に影響を与える虞れがある。このような影響を回避するため、オートアジャスト制御は停車時のみ実行可能とする。
条件(c)は、駐車ブレーキが解除されていることを検出するための条件である。オートアジャスト制御ではアプライ方向に電動アクチュエータ36を駆動させた後、リリース方向に電動アクチュエータ36を駆動して完了させる。このため、駐車ブレーキが作動している状態で、オートアジャスト制御を実施してしまうと、不用意に駐車ブレーキが解除されてしまい、車両が坂道等をずり下がる虞れがある。このような問題を回避するため、オートアジャスト制御は解除(リリース)状態であるときのみ実行可能とする。
条件(d)は、車両の運転者の駐車意思を判断するための条件である。駐車ブレーキをアプライ(作動)させたときには推力が発生するため、オートアジャスト制御は、運転者の発進意思を妨げない(阻害しない)タイミングで実行する必要がある。そこで、本実施形態では、イグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFしたら、運転者に発進意思がないこと(即ち、駐車意思)を確認し、この上でオートアジャスト制御の実行タイミングを判断する。なお、車両のエンジンが停止されたことをモニタ(監視)することによって判断してもよい。
条件(e)は、電動モータ37が停止しているか否かを判断するための条件である。電動モータ37を仮にアプライ方向に駆動している場合は、電動モータ37が停止すれば、駐車ブレーキは作動完了状態となり、電動駐車ブレーキの内機部品(例えば、直動部材35)がピストン29に当接する。即ち、ピストン29と直動部材35との間には、調整すべきクリアランスCが生じていないので、オートアジャスト制御は不要である。一方、電動モータ37をリリース方向に駆動していた場合は、電動モータ37が停止した際に解除完了状態(即ち、適切なクリアランスCが確保された状態)となるため、オートアジャスト制御不要となる。従って、電動モータ37が作動側あるいは解除側に駆動している場合は、いずれの場合でも電動モータ37が停止すればオートアジャスト制御が不要となる。このため、電動モータ37が作動していないことを確認するようにしている。
条件(f)は、オートアジャスト制御を誤って実行することを防止するため、入力データ(入力信号)が正しいか否かを判断する上での条件である。例えば、車両データバス16による車輪速度の情報が異常となっている場合、走行しているか否か判断できない。この時にオートアジャスト制御を実行してしまうと、走行中に意図しない制動力が発生してしまう虞れがある。このような状況を回避するために、入力データ(但し、走行距離の算出に用いるオドメータ値等の入力データを除く)が異常な場合はオートアジャスト制御を禁止するようにしている。
さらに、条件(g)は、オートアジャスト実行タイミングで、運転者のSW操作等による他の要求が発生しているか否かを判断するための条件である。オートアジャスト制御は、駐車ブレーキの作動性能を維持するための補助機能であるため、オートアジャスト実行タイミングにて運転者の他の要求を検出した場合は、運転者の要求を優先させる必要がある。このために、他のアクチュエータの作動要求がないことを確認するようにしている。
以上の条件(a)〜(g)を満たした場合に、駐車ブレーキ制御装置18は、図7に示す処理手順に従ってオートアジャスト制御を実行する。まず、S31では、オートアジャスト制御における電動モータ37の作動制御が未完了であるか否か(即ち、アプライ方向駆動が完了しているか否か)が判定される。
S31で「YES」と判定した場合は、次のS32に移って電動モータ37をアプライ方向に駆動させる。そして、次のS33でリターンし、S31以降の処理を続ける。S31で「NO」と判定した場合は、アプライ方向の駆動が完了しているので、次のS34に移って電動モータ37の解除方向制御が未完了か否か(即ち、リリース方向駆動が完了したか否か)を判定する。S34で「YES」と判定した場合は、電動モータ37をリリース方向に駆動させる。これにより、ピストン29と直動部材35とのクリアランスC(軸方向の隙間)を適正に調整する。
ここで、S31の処理により作動制御が未完了(即ち、電動モータ37のアプライ方向駆動が完了しない)か否かは、電動モータ37に流れる電流値の変化(前記電流センサで検出している電流値)から判定することができる。オートアジャスト制御では、通常のアプライ制御時のように推力を発生させる必要はなく、駐車ブレーキの内機部品(即ち、直動部材35)をピストン29に接触(当接)する位置まで移動させれば十分である。このため、通常のアプライ制御時に比較して、アプライ完了を判定するための電流の閾値(図示せず)を低く設定することができる。
一例として、電動モータ37に流れる電流値が10Aに達したときに通常のアプライ制御が完了したと判断する場合は、オートアジャスト制御においては、電動モータ37に流れる電流値が空走区間の電流値に対して0.5Aだけ上昇したときに作動制御が完了したと判断することができる。但し、本実施形態では、予め運転者の駐車意思を確認した上でオートアジャスト制御を行う構成であり、車両の駐停車状態でオートアジャスト制御を行うため、通常のアプライ制御時と同様な電流の閾値を用いることも可能である。
次のS34では、オートアジャスト制御における電動モータ37の解除制御(リリース方向駆動)が未完了である否かを判定する。この場合も、電動モータ37に流れる電流値の変化から、電動モータ37のリリース方向駆動が完了したか否かを判定することができる。そして、S34で「NO」と判定したときには、電動モータ37のリリース方向駆動が完了しているので、次のS33に移ってリターンする。このように、リリース(解除)制御においては、通常時の解除制御と同等のクリアランスCを確保するため、通常時の解除制御と同様に行うようにする。
かくして、本実施形態によると、駐車ブレーキ制御装置18は、車両データバス16から取得した距離データとしての走行距離Lを基にブレーキパッド23の摩耗具合(摩耗量)を推定する。そして、最後に駐車ブレーキをリリース(解除)したタイミングからの走行距離Lが所定の閾値Ls(例えば、1000km)以上となったときには、各ブレーキパッド23の摩耗によってピストン29と直動部材35とのクリアランスCが大きくなっており、次回に運転者が駐車ブレーキを作動させようとするときに、アプライ制御の応答性が悪くなることが予想される。
そこで、次回の駐車ブレーキ作動時の不具合(例えば、駐車ブレーキ作動時の応答性低下、車両の制動性能の低下等)を回避できるようにするため、図4のS3による判定処理で、最後にリリース制御を行ったタイミングからの走行距離Lが閾値Ls以上となったか否かを判定すると共に、かつオートアジャスト制御の他の条件(b)〜(g)を満たしているか否かを判断する。
これにより、車両を停車させてイグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFされ、かつ車両がロックされていない非制動状態において、図7に示す処理手順でオートアジャスト制御を実行する。この結果、純粋にサービスブレーキによってブレーキパッド23が摩耗したと判断された場合にのみオートアジャスト制御を行うことができる。これにより、オートアジャスト制御の実行頻度を、従来技術に比較して必要最低限に抑制することができ、電動駐車ブレーキ(ディスクブレーキ21)に掛かる負荷を低減することができる。
一方、例えばCANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなると、オドメータ値が異常となる(図5のS11参照)。そして、この場合には、前記数1式による走行距離Lの算出(即ち、距離データの算出)を適正に行うことができず、ブレーキパッド23の摩耗量を推定できなくなる。このため、ピストン29と直動部材35とのクリアランスC(図3参照)が、ブレーキパッド23の摩耗によって次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大している場合でも、オートアジャスト制御が行われないことになる。
そこで、本実施形態では、前述した距離データ判定手段により前記距離データが異常(即ち、図5のS11でオドメータ値異常)と判定して車両が走行したときには、前記走行距離算出手段の距離データに拘わらず、前記車両が非ロック状態となって停車しているときに直動部材35をピストン29に接触するよう制御する異常時制御手段を備えている。この異常時制御手段は、図4に示すS3とS4とを含んで構成され、前記履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「あり」に設定されている場合で、かつオートアジャスト制御の他の条件(b)〜(g)を満たしている場合に、オートアジャスト制御(即ち、クリアランスの自動的な調整動作)を行う。
これにより、CANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなり、オドメータ値が異常となって走行距離の算出(即ち、距離データの算出)ができなくなった場合でも、ピストン29と直動部材35とのクリアランスCがブレーキパッド23の摩耗によって、次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大する前に、オートアジャスト制御を実行することができ、次回に駐車ブレーキを作動(アプライ)させるときの応答性を維持することができる。
図8に示すタイムチャートは、オドメータ値による距離データが正常な場合(即ち、距離データ判定手段により距離データが正常と判定した場合)におけるイグニッションスイッチ(IGN SW)の動作、電動駐車ブレーキのアプライ、リリースの制御、車両の運転状態、オドメータ値、リリース後の走行距離およびオドメータ異常時走行履歴の関係を時系列データとして表したものである。この場合、電動駐車ブレーキは時間Ta1で、作動(アプライ)状態から解除(リリース)状態に切換えられることにより、リリース後の走行距離が零にリセットされる。
その後に、時間Ta2から車両が走行(ドライブ)すると、リリース後の走行距離がオドメータ値の増加に伴って積算される。走行(ドライブ)している車両を次の時間Ta3で停車(ストップ)させると、この時点において、リリース後の走行距離L(即ち、距離データ)は、予め決められた閾値Lsを越えている。このため、時間Ta4でイグニッションスイッチ(IGN SW)をONからOFFに切換え、エンジンを停止させた段階で、距離データが正常な場合の正常時制御手段としてのオートアジャスト制御が実行される。
そして、時間Ta5でオートアジャスト制御が完了したときに、リリース後の走行距離は再び零にリセットされ、電動駐車ブレーキはリリースの状態となっている。また、オドメータ異常時走行履歴は、時間Ta1〜Ta6にわたって履歴「なし」に設定されている。即ち、図5に示すオドメータ値異常判別処理において、オドメータ値による距離データが正常な場合は、S11〜S13にわたる処理を繰返すため、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「なし」に保持される。
次に、図9に示すタイムチャートは、オドメータ値による距離データが異常となった第1の場合(即ち、距離データ判定手段により距離データが異常と判定した第1の場合)を、前述した正常時の図8と同様な時系列データとして表したものである。この場合も、電動駐車ブレーキは時間Tb1で、アプライ状態からリリース状態に切換えられることにより、リリース後の走行距離が零にリセットされる。その後、時間Tb2から車両が走行(ドライブ)すると、リリース後の走行距離がオドメータ値の増加に伴って積算される。
しかし、この場合には時間Tb3で、例えばCANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなり、オドメータ値による距離データが異常となっている。このため、例えば時間Tb3〜Tb6にわたってオドメータ値が更新されることはなく、リリース後の走行距離は、図9に示すように閾値Lsよりも小さな値となっている。しかし、この場合の車両は、時間Tb4まで走行(ドライブ)を続けており、この時点において、リリース後の走行距離Lが実際には閾値Lsを越えている可能性がある。即ち、実際の走行距離Lが閾値Lsを越えているか否かを判別することができず、実際には閾値Lsを越えている虞れがある。
そこで、車両運転者が時間Tb5でイグニッションスイッチ(IGN SW)をONからOFFに切換え、エンジンを停止させる段階で、距離データが異常な場合のオートアジャスト制御を念のために実行する。そして、時間Tb6でオートアジャスト制御が完了したときに、リリース後の走行距離を再び零にリセットし、電動駐車ブレーキをリリースの状態としている。
図9の場合は、時間Tb3までオドメータ異常時走行履歴が「なし」に設定されている。しかし、時間Tb3以降は、オドメータ値による距離データが異常となっても車両は走行しているので、時間Tb3〜Tb6にわたってオドメータ異常時走行履歴は「あり」に設定されている。即ち、図5に示すオドメータ値異常判別処理において、オドメータ値による距離データが異常な場合は、S11,S14,S15の処理により、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「あり」に設定される。
そして、その後に図5のS16,S17の処理に移っても、オドメータ異常時走行履歴は、前回と同じく「あり」に保持される。しかし、S16で「YES」と判定したときには、リリース完了のタイミング(例えば、時間Tb5〜Tb6でのオートアジャスト制御によるリリース完了時)となっている。このため、次のS18では、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「なし」に切換えられている(図9中の時間Tb6以降)。
次に、図10に示すタイムチャートは、オドメータ値による距離データが異常となった第2の場合(即ち、距離データ判定手段により距離データが異常と判定した第2の場合)を、図8と同様な時系列データとして表したものである。この場合も、電動駐車ブレーキは時間Tc1で、アプライ状態からリリース状態に切換えられることにより、リリース後の走行距離が零にリセットされる。その後、時間Tc2〜Tc3にわたって車両が走行(ドライブ)すると、リリース後の走行距離がオドメータ値の増加に伴って積算されている。
次に、図10の場合は、例えば時間Tc4に達した段階で、CANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなり、オドメータ値による距離データが異常となっている。しかし、この場合は、時間Tc3の段階で既に車両がストップ(停止)しているので、例えば時間Tc3〜Tc5にわたってオドメータ値が更新されることはなく、リリース後の走行距離は、図10に示すように閾値Lsよりも小さな値となっている。
即ち、図10の場合は、時間Tc3でオドメータ値による距離データが異常となった以降にも、車両は走行することなくストップ(停車)しているので、オドメータ異常時走行履歴が「なし」に設定されている。この間、図5に示すオドメータ値異常判別処理では、S14で「NO」と判定し続けるので、オドメータ値による距離データが異常であっても、S11,S14,S16、S17の処理により、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「なし」に設定される。
このため、図10の場合は、車両運転者が時間Tc5でイグニッションスイッチ(IGN SW)をONからOFFに切換え、エンジンを停止させた段階でも、オートアジャスト制御を行わずに、次回の車両走行に待機すればよい。即ち、図10に示す第2の場合は、距離データの異常判定にも拘わらず、車両の停車によってパッド摩耗を考慮する必要はないので、オートアジャスト制御を行わずに済ませるようにしている。
次に、図11に示すタイムチャートは、オドメータ値による距離データが異常となった第3の場合(即ち、距離データ判定手段により距離データが異常と判定した第3の場合)を、図8と同様な時系列データとして表したものである。この場合も、電動駐車ブレーキは時間Td1で、アプライ状態からリリース状態に切換えられることにより、リリース後の走行距離が零にリセットされる。その後、時間Td2〜Td3にわたって車両が走行(ドライブ)すると、リリース後の走行距離がオドメータ値の増加に伴って積算されている。
しかし、図11に示す第3の場合は、時間Td3で車両を走行(ドライブ)から停止(ストップ)にした段階で、リリース後の走行距離Lは既に閾値Lsを越えている。このため、例えば時間Td4で、CANの断線等によりオドメータ値を取得できなくなり、オドメータ値による距離データが異常となったとしても、その後に時間Td5で、イグニッションスイッチ(IGN SW)をONからOFFに切換え、エンジンを停止させた段階で、図8に示す距離データの正常時と同様にオートアジャスト制御が実行される。
この場合、時間Td2〜Td3にわたって車両が走行(ドライブ)する間に、リリース後の走行距離Lが閾値Lsを越えている。即ち、距離データ判定手段により距離データが正常と判定している時間Td2〜Td3の間で、リリース後の走行距離Lが既に閾値Lsを越えている。このため、図8に示す正常時と同様に、正常時制御手段としてのオートアジャスト制御が行われる。
図11の場合は、時間Td4でオドメータ値による距離データが異常となって以降も、車両はストップ(停車)しているので、オドメータ異常時走行履歴が「なし」に設定されている。この間、図5に示すオドメータ値異常判別処理では、S14で「NO」と判定し続けるので、オドメータ値による距離データが異常であっても、S11,S14,S16、S17の処理により、履歴フラグは前回と同じくオドメータ異常時走行履歴「なし」に設定されている。
しかし、図4に示すS3では、図11の場合にリリース後の走行距離Lが閾値Lsを越えていると判定するために、例えば時間Td4でオドメータ値による距離データが異常となったとしても、その後の時間Td5で、イグニッションスイッチ(IGN SW)をONからOFFに切換えた段階で、図8に示す距離データの正常時と同様にオートアジャスト制御を実行する。
その後に時間Td6でオートアジャスト制御が完了したときに、リリース後の走行距離を再び零にリセットし、電動駐車ブレーキをリリースの状態としている。このとき、図5に示すオドメータ値異常判別処理では、オドメータ値による距離データが異常な場合でも、S11,S14,S16,S18の処理により、履歴フラグがオドメータ異常時走行履歴「なし」に設定され、その後にS16,S17の処理に移ってもオドメータ異常時走行履歴「なし」に保持される。
従って、本実施形態では、CANの断線等によってオドメータ値による距離データが異常となった条件下でも、ピストン29と直動部材35とのクリアランスC(図3参照)が、ブレーキパッド23の摩耗によって次回の駐車ブレーキ作動時の応答性に影響を与えるほど拡大している可能性がある場合には、車両を停車させてイグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFされ、かつ車両がロックされていない非制動状態で、オートアジャスト制御を行うことができる。
また、オドメータ値による距離データが正常であるときには、最後にリリース制御を行ったタイミングからの走行距離Lが閾値Ls以上となったか否かを判定すると共に、かつオートアジャスト制御の条件(b)〜(g)を満たしているか否かを判断する。これにより、車両を停車させてイグニッションスイッチ(IGN SW)がOFFされ、かつ車両がロックされていない非制動状態において、図7に示す処理手順でオートアジャスト制御を実行する。
この結果、純粋にサービスブレーキによってブレーキパッド23が摩耗したと判断された場合にのみオートアジャスト制御を行うことができる。これにより、次回の駐車ブレーキ作動に先立って、アプライ制御の応答性が悪くなることが予想される場合に、オートアジャスト制御を行うことで、電動駐車ブレーキによるクリアランスCの調整動作を適正に行うことができ、駐車ブレーキの作動頻度が余分に増えるのを抑制し、耐久性、信頼性を向上することができる。
なお、前記実施形態では、リリース後の走行距離Lを車両データバス16からのオドメータ値により算出する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えばリリース後の走行距離(距離データ)を、車両の車体速度と時間から算出する構成としてもよい。そして、この場合にも、距離データが異常と判定された後に車両が走行したときには、前記車体速度と時間から算出した距離データに拘わらず、前記車両が非ロック状態となって停車しているときに直動部材35をピストン29に接触するように制御する異常時制御手段を作動させることができる。
また、前記実施形態では、駐車ブレーキ用の回転直動変換機構33を、ねじ部材34と直動部材35とにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば電動モータの回転を直線運動に変換する回転直動変換機構を、ベースナット、プッシュロッドおよびボールアンドランプ機構等により構成してもよく、これ以外の種々の回転直動変換機構にも本発明は適用できる。
また、前記実施形態では、駐車ブレーキ制御装置18をESC11のC/U13と別体とする場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば駐車ブレーキ制御装置18をC/U13と一体に構成してもよい。また、駐車ブレーキ制御装置18は、左、右で2つのディスクブレーキ21を制御するようにしているが、左、右のディスクブレーキ21毎に設けるようにしてもよく、この場合には、駐車ブレーキ制御装置18をディスクブレーキ21に一体的に設けることもできる。
さらに、前記実施形態では、左、右の後輪側ブレーキを電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキ21とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、左、右の前輪側ブレーキを電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキとしてもよいし、全ての車輪(4輪全て)のブレーキを電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキにより構成してもよい。
次に、上記の実施形態に含まれる発明について記載する。即ち、本発明によれば、前記制御部は、前記距離データ判定手段により前記距離データが正常と判定している間は前記走行距離算出手段の距離データ(リリース制御を行ってからの走行距離)に基づいて前記制動部材の摩耗を推定し、該摩耗量が次回作動時の応答性に影響を及ぼすと判断した場合で、かつ車両が非ロック状態のときに前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御する正常時制御手段を備えている。これにより、距離データが正常な条件下では、駐車ブレーキを最後にアプライさせたときからの走行距離ではなく、最後にリリースさせたときからの走行距離を算出し、その走行距離に応じてクリアランスの自動調整(オートアジャスト)を実行することができ、車両の制動性能を向上することができる。従って、純粋にサービスブレーキによってパッドが摩耗したと判断された場合にのみオートアジャスト制御を行うことができるから、オートアジャストの実行頻度を必要最低限に抑制でき、電動駐車ブレーキに掛かる負荷を低減することが可能となる。
また、前記制御部は、前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御するときに、前記電動モータを駆動して前記ピストンと直動部材とのクリアランス調整を行う構成としている。これにより、次回に運転者が駐車ブレーキを作動させようとするときに、アプライ制御の応答性が悪くなることが予想される場合で、かつ車両が非ロック状態のときに、前記直動部材をピストンに接触させるようにクリアランスの自動調整を実行することができ、車両の制動性能を向上することができる。また、車両走行時の距離データが異常のときにも、クリアランスの自動調整を実行することができる。
1 車体
2 前輪(車輪)
3 後輪(車輪)
4 ディスクロータ(被制動部材)
6 ブレーキペダル
16 車両データバス
17 駐車ブレーキスイッチ
18 駐車ブレーキ制御装置(制御部)
19 駆動回路(モータドライバ)
20 記憶装置
21 ディスクブレーキ(駐車ブレーキ)
23 ブレーキパッド(制動部材)
24 キャリパ
26 シリンダ部
29 ピストン
30 液圧室
33 回転直動変換機構
34 ねじ部材
35 直動部材
36 電動アクチュエータ
37 電動モータ

Claims (3)

  1. 車輪と共に回転する被制動部材を押圧することにより車両に制動力を与える制動部材と、
    該制動部材を前記被制動部材に向けて、または前記被制動部材から遠ざかる方向に移動させるピストンと、
    電動モータを駆動することにより直動し、前記ピストンに接触して該ピストンを移動させる直動部材と、
    前記車両に制動力を与えるためのアプライ制御、及び、前記車両の制動力を解除するためのリリース制御を行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記リリース制御を行ったタイミングで走行距離の算出を開始し前記車両の走行による距離データの算出を行う走行距離算出手段と、
    該走行距離算出手段により算出される距離データが正常であるか否かを判定する距離データ判定手段と、
    該距離データ判定手段により前記距離データが異常と判定されて前記車両が走行したときには、前記走行距離算出手段の距離データに拘わらず、前記車両が非ロック状態となって停車しているときに前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御する異常時制御手段と、を含む構成としてなるブレーキ装置。
  2. 前記制御部は、前記距離データ判定手段により前記距離データが正常と判定されている間は前記走行距離算出手段の距離データに基づいて前記制動部材の摩耗を推定し、該摩耗量が次回作動時の応答性に影響を及ぼすと判断した場合で、かつ前記車両が非ロック状態のときに前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御する正常時制御手段を備えてなる請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記制御部は、前記直動部材を前記ピストンに接触するよう制御するときに、前記電動モータを駆動して前記ピストンと直動部材とのクリアランス調整を行う構成としてなる請求項1または2に記載のブレーキ装置。
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