JP2016103488A - 電解質複合部材、電解質/電極複合部材 - Google Patents

電解質複合部材、電解質/電極複合部材 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン伝導の抵抗を低減でき、強度に優れる電解質複合部材、電解質/電極複合部材を提供する。【解決手段】金属酸化物から構成される固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一面に、金属酸化物から構成された三次元の網目状の多孔体からなる多孔体層とを具え、前記固体電解質層と前記多孔体とが一体に形成されており、前記多孔体の平均気孔径が1mm以上2mm以下であり、前記多孔体の気孔率が90%以上97%以下であり、前記固体電解質層の平均厚さが300μm以下であり、燃料電池に利用される電解質複合部材。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の構成部材に利用される電解質複合部材、電解質/電極複合部材、及び電解質複合部材の製造方法に関するものである。特に、イオン伝導の抵抗を低減でき、強度に優れる電解質複合部材、及び電解質/電極複合部材に関するものである。
水素をエネルギー源とする燃料電池の利用が検討されている。燃料電池は、燃料ガス(一般に水素を含む)に接触するアノード電極(一般に燃料極と呼ばれる)と、酸素を含有するガス(一般に空気)に接触するカソード電極(一般に空気極と呼ばれる)と、両電極間に配置される電解質層とを具える。代表的には、アノード電極と、電解質層と、カソード電極とで構成される単セルを、インターコネクタを介して積層した積層構造体(一般にセルスタックと呼ばれる)が利用される。
燃料電池の一つに、高効率で、Pt等の高価な材料が不要な固体金属酸化物燃料電池:SOFCがある。SOFCでは、電解質として、イオン伝導性を有する金属酸化物から構成された固体電解質層を具える。上記金属酸化物は、酸素イオン伝導性を有するイットリア安定化ジルコニア:YSZが代表的である(特許文献1)。近年、イットリウム添加ジルコン酸バリウム:BZYなどの水素イオン伝導性(プロトン伝導性)を有する金属酸化物が上述の酸素イオン伝導体の代替材料として期待されている。
SOFCに具えるアノード電極は、Niといった電極用触媒とYSZといった電解質材料とを混合したサーメット、カソード電極は、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン:LSM等の金属酸化物が代表的である。各電極は、固体電解質層との界面に上述のガスが十分に到達できるように、一般に、微細な空孔を有する多孔質体から構成される。多孔質体は、例えば、スラリーコーティング法などによって製造された粉末層が挙げられる。
特開2005-285451号公報
SOFCに対して、イオン伝導の抵抗が低く、かつ高強度な構成の開発が望まれている。
イオン伝導の抵抗を低減するためには、固体電解質層の厚さを薄くすることが効果的である。しかし、固体電解質層を薄くすると、強度の低下が懸念される。
上記強度の低下を補うために、固体電解質層に隣接する電極層の厚さを厚くして、セル全体として強度を高くすることが考えられる。しかし、電極層の厚さを厚くすると、ガスと固体電解質層との間での物質(ここでは、主として原子。以下、断りが無い限り同様)の移動が妨げられて、過電圧増加の原因となる。
例えば、電極層のうち、アノード電極を厚くする場合を考える。固体電解質層から離れた電極層の表面において燃料ガスからH原子が分解・生成されると、このH原子は、電極層表面や電極層内部を拡散して固体電解質層に搬送される。そのため、H原子の搬送速度は、概ね高いとはいえない。一方、固体電解質層に近い電極層表面において燃料ガスからH原子が分解・生成されると、このH原子は固体電解質層に容易に搬送される。しかし、燃料ガスが固体電解質層近傍の電極層表面に達するためには、電極層を構成する多孔質体の細孔を通る必要がある。従って、電極層の厚さを厚くすると、ガスが細孔を通過する距離が長くなって、ガスから固体電解質層への物質の搬送抵抗が大きくなる。その結果、ガスと固体電解質層との間でのH原子の搬送速度が低下し、固体電解質層の薄肉化によるイオン伝導の抵抗の低減効果が十分に反映されない。上述の搬送抵抗の増大は、カソード電極を厚くする場合にも同様に生じ得る。
特に、アノード電極がサーメットから構成される場合には、更に搬送抵抗が大きい。具体的には、固体電解質層から離れた電極層の表面において燃料ガスからH原子が分解・生成されると、このH原子の一部は、サーメット中の電解質材料から構成されるネットワークを通って固体電解質層に達する。このときの物質の搬送抵抗は、電解質材料のみから構成される純粋な電解質を通過する場合に比較して大きく、H原子の搬送速度が十分に高いとはいえない。また、サーメットの形成には、通常、高温処理(焼き付け)を行う。この処理によって、電解質材料と電極用触媒とが反応し、両者の性能が損なわれることがある。この現象は、電解質材料が、水素イオン伝導体であるペロブスカイト型酸化物において顕著である。
また、カソード電極を従来の多孔質体で構成すると、電極用触媒を多孔質体に付着させるための方法に制約があり、生産性に劣る。
そこで、本発明の目的の一つは、イオン伝導の抵抗が低く、高強度な電解質複合部材、及び電解質/電極複合部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記電解質複合部材の製造に適した電解質複合部材の製造方法を提供することにある。
(1) 本発明の電解質複合部材は、金属酸化物から構成される固体電解質層と、上記固体電解質層の少なくとも一面に、金属酸化物から構成された三次元の網目状の多孔体からなる多孔体層とを具える。上記固体電解質層と上記多孔体とが一体に形成されている。上記多孔体の平均気孔径が100μm以上であり、上記多孔体の気孔率が50%以上である。本発明の電解質複合部材は、燃料電池に利用される。
本発明の電解質複合部材は、固体電解質層と特定の多孔体層とが一体構造であるため、固体電解質層の厚さが薄くても、多孔体層によって固体電解質層を補強でき、強度に優れる。また、固体電解質層が薄いことで、本発明の電解質複合部材は、イオン伝導の抵抗を低減できる。つまり、本発明の電解質複合部材は、固体電解質層の薄膜化と、機械的強度の確保とを両立できる。また、本発明の電解質複合部材は、上記多孔体の気孔径が大きく、かつ気孔を十分に具えることから、ガスの搬送抵抗の低減、ガスから固体電解質層への物質(ここでは主として分子)の搬送抵抗の低減、搬送速度の向上を図ることができる。従って、本発明の電解質複合部材を燃料電池の構成部材に利用した場合、電池特性に優れる燃料電池を構築できると期待される。また、本発明の電解質複合部材は、上記多孔体の気孔径が大きいことから、多孔体層の形成も容易であり、生産性にも優れる。
(2)上記固体電解質層の平均厚さが300μm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、固体電解質層の厚さが薄いことから、固体電解質層内におけるイオン伝導の抵抗をより低減できる。
(3)上記多孔体の平均気孔径が300μm以上2mm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上記多孔体の気孔が十分に大きいことから、搬送抵抗の低減を図ることができる。かつ、上記形態は、気孔が大き過ぎないため、高い強度を維持できる。
(4)上記多孔体の気孔率が80%以上99%以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上記多孔体の気孔が十分に多いことから、燃料電池のガスの搬送抵抗を低減できる。また、上記形態は、固体電解質層を構成する電解質とガスとの接触面積が広く、反応速度を向上できる。かつ、上記形態は、気孔が多過ぎないため、高い強度を維持できる。
(5)上記固体電解質層を構成する上記金属酸化物、及び上記多孔体を構成する上記金属酸化物は、安定化ジルコニア、又は希土類元素を含有するペロブスカイト型酸化物である形態が挙げられる。
YSZなどの安定化ジルコニアは、耐熱性に優れる。従って、金属酸化物が安定化ジルコニアである形態は、作動温度が高いSOFC(代表的には800℃〜1000℃程度)の構成部材に好適に利用できる。BZYなどの希土類元素を含有するペロブスカイト型酸化物は、イオン伝導の抵抗が低いため、低温で高いプロトン伝導率を達成できる。従って、金属酸化物が希土類元素を含有するペロブスカイト型酸化物である形態は、作動温度が低いSOFC(代表的には600℃以下)の構成部材に好適に利用できる。
(6)本発明の電解質/電極複合部材は、上記本発明の電解質複合部材を具え、上記多孔体層を構成する上記多孔体の表面、及び上記固体電解質層の上記多孔体側の表面に電極用触媒が付着されてなる電極層を具える。
本発明の電解質/電極複合部材は、固体電解質層と、電極層を構成する特定の多孔体とが一体構造であるため、固体電解質層の厚さが薄くても、多孔体によって固体電解質層を補強できる。更に、上記多孔体の表面は、触媒用電極によっても補強される。従って、本発明の電解質/電極複合部材は、固体電解質層の厚さが薄くても、機械的強度に優れる。また、本発明の電解質/電極複合部材は、固体電解質層が薄いことで、イオン伝導の抵抗を低減できる。更に、電極層に特定の多孔体を具えることから、本発明の電解質/電極複合部材は、ガスの搬送抵抗の低減、ガスから固体電解質層への物質(ここでは分子、原子)の搬送抵抗の低減、搬送速度の向上を図ることができる。従って、本発明の電解質/電極複合部材を燃料電池の構成部材に利用した場合、電池特性に優れる燃料電池を構築できると期待される。更に、本発明の電解質/電極複合部材は、生産性に優れる本発明の電解質複合部材を構成部材とすることで、生産性にも優れる。また、多孔体層を構成する多孔体が特定の気孔径及び気孔率を満たすことから、多孔体の表面だけでなく、固体電解質層の多孔体側の表面にも、電極用触媒を容易に付着できて、本発明の電解質/電極複合部材は、生産性に優れる。また、本発明の電解質/電極複合部材は、電極層の形成にあたり、電解質材料と電極用触媒との反応を防止できる。
上記本発明の電解質複合部材の製造には、例えば、以下の二つの製造方法:形態α、形態βを利用することができる。いずれの形態も、ニッケルセルメットと呼ばれる三次元の網目状の金属多孔体の製造手法を応用した過程を含む。
(7)本発明の電解質複合部材の製造方法:形態αは、以下の工程を具える。
含浸物の形成工程:金属酸化物からなる粉末を含むスラリーを樹脂発泡体に含浸して含浸物を形成する工程。
スラリー層の形成工程:金属酸化物からなる粉末を含むスラリーを用いてスラリー層を形成する工程。
熱処理工程:上記スラリー層の上に上記含浸物を載置して、上記スラリー層と上記含浸物との積層体に熱処理を施す工程。
上記熱処理は、上記含浸物から上記樹脂発泡体を除去する第一の熱処理と、上記樹脂発泡体に付着していた上記スラリーから三次元の網目状の金属酸化物の多孔体を形成し、かつ上記スラリー層から燃料電池の固体電解質層に利用される金属酸化物の緻密体を形成する第二の熱処理とを具える。
形態αの製造方法は、気孔径が大きく(例えば、平均気孔径が100μm以上)、気孔率が高い多孔体(例えば、気孔率が50%以上の多孔体)を具える電解質複合部材を容易に製造できる。また、形態αの製造方法では、含浸物に用いるスラリーと、スラリー層に用いるスラリーとを同材質にも異なる材質にもできる。従って、形態αの製造方法では、多孔体と緻密体との構成材料が同材質である電解質複合部材だけでなく、多孔体と緻密体との構成材料が異なっていながら、両者が一体構造である電解質複合部材を製造できる。更に、形態αの製造方法では、スラリー層の厚さを精度よく制御できるため、緻密体の厚さを調整し易い。
(8)本発明の電解質複合部材の製造方法:形態βは、以下の工程を具える。
含浸物の形成工程:金属酸化物からなる粉末を含むスラリーを樹脂発泡体に含浸して含浸物を形成する工程。
スラリー層の形成工程:上記含浸物を載置面の上に配置し、上記載置面の上に上記スラリーを溜めてスラリー層を形成し、上記スラリー層と、上記樹脂発泡体に上記スラリーが付着した含浸物とを具える積層体を形成する工程。
熱処理工程:上記積層体に熱処理を施す工程。
上記熱処理は、上記含浸物から上記樹脂発泡体を除去する第一の熱処理と、上記樹脂発泡体に付着していた上記スラリーから三次元の網目状の金属酸化物の多孔体を形成し、かつ上記スラリー層から燃料電池の固体電解質層に利用される金属酸化物の緻密体を形成する第二の熱処理とを具える。
形態βの製造方法も、上述の形態αと同様に、気孔径が大きく、気孔率が高い多孔体を具える電解質複合部材を容易に製造できる。形態βの製造方法では、多孔体と緻密体との構成材料が同材質である電解質複合部材を製造できる。
本発明の電解質複合部材及び本発明の電解質/電極複合部材は、イオン伝導の抵抗を低減でき、強度に優れる。本発明の電解質複合部材の製造方法は、上記本発明の電解質複合部材を生産性よく製造できる。
(A)は、実施形態1の電解質複合部材の概略構成図、(B)は、実施形態2の電解質/電極複合部材の概略構成図、(C)は、実施形態3の電解質/電極複合部材の概略構成図である。 形態αの製造方法を説明する工程説明図である。 形態βの製造方法を説明する工程説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
図1(A)を参照して、実施形態1の電解質複合部材1を説明する。電解質複合部材1は、固体電解質層10と、三次元の網目状の多孔体から構成された多孔体層11とを具える積層体であり、燃料電池の構成部材に利用される。固体電解質層10及び多孔体層11のいずれも金属酸化物で構成されている。電解質複合部材1は、固体電解質層10と多孔体層11とが一体に形成されている点を最大の特徴とする。
(固体電解質層)
固体電解質層10を構成する金属酸化物は、燃料電池(特にSOFC)に利用されているイオン伝導性を有する種々の材質のものが挙げられる。酸素イオン伝導性を有する金属酸化物は、安定化ジルコニア、特にY(イットリウム)を添加したYSZなどが挙げられる。水素イオン伝導性を有する金属酸化物は、希土類元素を添加したペロブスカイト型酸化物などが挙げられる。より具体的には、BZY、BCY(BaCeO3-Y2O3)、BZYとBCYとの固溶体などが挙げられる。
固体電解質層10の厚さは、薄いほどイオン伝導の抵抗を低減できて好ましい。例えば、平均厚さは、300μm以下、更に100μm以下が挙げられる。
固体電解質層10の形状は、適宜選択することができる。図1では平たい膜状を示すが、円筒状などの立体的な形状とすることができる。
(多孔体層)
多孔体層11を構成する金属酸化物は、例えば、YSZなどの安定化ジルコニア、BZYやBCYなどの希土類元素を添加したペロブスカイト型酸化物などが挙げられる。多孔体層11を構成する金属酸化物は、固体電解質層10を構成する金属酸化物と同じ材質である形態、固体電解質層10を構成する金属酸化物とは異なる材質である形態のいずれも取り得る。前者の場合、両層10,11を構成する金属酸化物は連続している。後者の場合、両層10,11を構成する金属酸化物は材質の界面が生じるものの、実質的に継ぎ目の無い一体の成形体となっている。
多孔体層11を構成する多孔体は、気孔が大きく、かつ気孔が多いほど、(1)ガスの搬送抵抗を低減できて、固体電解質層10にガスを導入し易い、(2)ガスから固体電解質層10への物資の搬送抵抗を低減でき、搬送速度を高められる、(3)後述する電極用触媒の付着作業性にも優れる、という優れた効果を奏する。従って、本発明では、多孔体の平均気孔径を100μm以上、かつ気孔率を50%以上とする。
平均気孔径は、200μm以上、更に300μm以上が挙げられる。但し、気孔径が大き過ぎると、多孔体自体の強度の低下から補強効果の低下を招くため、平均気孔径は2mm以下が好ましい。
気孔率は、60%以上、更に80%以上が好ましい。但し、気孔率が多過ぎると、多孔体自体の強度の低下から補強効果の低下を招くため、気孔率は、99%以下が好ましい。平均気孔径が1mm以上、気孔率が90%〜97%程度の多孔体が上述の(1)〜(3)の効果に加えて、製造性にも優れて利用し易い。
多孔体層11は、固体電解質層10の少なくとも一面に、固体電解質層10を構成する金属酸化物に一体に形成されて、固体電解質層10の補強材として機能する。そのため、固体電解質層10が、薄い場合でも、また一般に強度に劣るとされるペロブスカイト型酸化物から構成されている場合でも、多孔体層11の補強によって、電解質複合部材1は、強度に優れる。従って、固体電解質層10と多孔体層11とが一体化された構成は、固体電解質層10がペロブスカイト型酸化物から構成される場合の強度の向上に効果的であるといえる。固体電解質層10の一面のみに多孔体層11を具える形態であっても、補強効果を十分に得られる。
また、多孔体層11は、電解質複合部材1を燃料電池に利用する場合、後述する電極層21(図1(B))の一部を構成し、ガスと固体電解質層10との間の物質の搬送経路に利用される。つまり、多孔体層11は、燃料電池の電極層の構成部材と補強材との機能を兼用する。
多孔体層11の厚さは適宜選択することができる。厚いほど、固体電解質層10の補強効果を高められるが、ガスやイオンなどの搬送抵抗の増大を招く。従って、多孔体層11の厚さは10mm以下が好ましく、1mm〜5mm程度が利用し易いと考えられる。
(製造方法)
<形態α>
電解質複合部材1の製造方法として、例えば、以下の製造方法:形態αが挙げられる。以下、図2を参照して、形態αの製造方法を説明する。この製造方法は、含浸物の形成工程→スラリー層の形成工程→熱処理工程という手順によって、電解質複合部材1を製造する。
含浸物の形成にあたり、まず、樹脂発泡体200を用意する。樹脂発泡体200の構成樹脂は、ウレタンなどが挙げられる。多孔体層11を構成する多孔体の気孔径及び気孔率、形状、厚さは、焼結時の収縮によって若干低下することもあるが、樹脂発泡体200の気孔径及び気孔率、形状、厚さに概ね依存する。従って、上記多孔体が所望の仕様となるように樹脂発泡体200の仕様を選択する。図2では、板状の樹脂発泡体200を示す。
また、この工程では、金属酸化物からなる粉末を含むスラリーを用意する。スラリーに用いる原料粉末は、熱処理(焼結)後に所望の組成の金属酸化物が得られるように材質や配合比などを選択する。原料粉末は、金属酸化物粉末のみ、金属酸化物粉末にその他の化合物(例えば、金属炭酸塩)からなる粉末を混合した混合粉末のいずれも利用できる。
スラリーの溶媒は、水、エタノール、有機溶媒などが挙げられる。また、スラリー全体を100質量%とするとき、分散剤及び有機物バインダを合計で1質量%以上15質量%以下の範囲で含有するスラリーとすると、利用し易い。分散剤や有機物バインダはいずれも、燃料電池の固体電解質層の形成に利用されている公知のものが利用できる。原料粉末と溶媒などとの混合には、ボールミル、ロールミル、V型ミキサーなどを利用することができる。
そして、この含浸物の形成工程では、図2(A)に示すように用意したスラリー100を樹脂発泡体200に含浸して含浸物300を形成する。
次に、スラリー層の形成にあたり、含浸物の形成工程と同様にして、スラリー100を用意する。そして、図2(A)に示すようにスクリーン印刷などを利用してスラリー層110を形成する。ここでは、フィルム210の上にスラリー層110を形成している。フィルム210は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる適宜なものが利用できる。スラリー100が付着し難いように、表面にフッ素樹脂加工が施されたフィルム210を利用すると、作業性に優れる。フィルム210は、樹脂発泡体200を載置可能な面積を有すればよく、大きさや厚さは特に問わない。また、フィルム210以外の上にスラリー層110を形成することもできる。
次に、図2(B)に示すように、スラリー層110の上に含浸物300を載置して、スラリー層110と含浸物300との積層体を形成する。上述の含浸物の形成工程とスラリー層の形成工程とは並行して行い、含浸物300内のスラリーとスラリー層110との双方が完全に乾燥しない間に積層体を形成することが好ましい。なお、含浸物300は、ある程度乾燥させると、積層時にスラリーが垂れ難く、取り扱い易い。積層させた後、スラリーを完全に乾燥させてから、積層体をフィルム210から取り外す。
そして、上述の積層体に熱処理を施す。この熱処理は、含浸物300から樹脂発泡体200、及び有機バインダなどを除去する第一の熱処理と、樹脂発泡体200に付着していたスラリーから多孔体層11を構成する三次元の網目状の多孔体を形成し、かつスラリー層110から固体電解質層10となる緻密な金属酸化物:緻密体を形成する第二の熱処理(焼結)とを具える。第一の熱処理と第二の熱処理とを分けて行うことで、樹脂発泡体200などの除去、多孔体(焼結体)の形成、緻密体(焼結体)の形成、及び多孔体と緻密体との一体化を確実に行える。この熱処理を経て、電解質複合部材1(図2(C))が得られる。
第一の熱処理条件は、樹脂発泡体200の材質に応じて適宜選択するとよい。例えば、雰囲気:大気又は酸素、加熱温度:500℃以上1000℃以下、保持時間:0.1時間以上10時間以下が挙げられる。
第二の熱処理条件は、スラリー100に用いた原料粉末の材質などに応じて適宜選択するとよい。例えば、雰囲気:酸素、加熱温度:1100℃以上1800℃以下、保持時間:0.2時間以上5時間以下が挙げられる。YSZの場合、酸素雰囲気でも大気雰囲気でもよい。第一の熱処理と第二の熱処理との間に室温程度までの冷却工程を挟んで、両熱処理を段階的に行ってもよいが、連続して行うと加熱に必要なエネルギーを削減でき、生産性に優れる。
<形態β>
電解質複合部材1を製造する別の製造方法として、例えば、以下の製造方法:形態βが挙げられる。以下、図3を参照して形態βの製造方法を説明する。この製造方法は、含浸物の形成工程→スラリー層の形成工程→熱処理工程という手順によって電解質複合部材1を製造する。形態βの製造方法における基本的な事項は、上述の形態αと同様であるため、異なる点を主に説明する。
含浸物の形成工程では、作製したスラリー100を用意した樹脂発泡体200に含浸して(図3(A))、含浸物300を形成する。そして、スラリー層の形成工程では、含浸物300を用いてスラリー層110を形成する点が形態αとの相違する。具体的には、含浸物300を載置面(ここではフィルム210)の上に配置し、載置面の上にスラリーを溜めてスラリー層110を形成する(図3(B))。
ここで、樹脂発泡体200の表面は、気孔によって凹凸が生じている。そのため、平滑な載置面の上に樹脂発泡体200を配置すると、樹脂発泡体200は、上記凹凸によって載置面に対して点接触するように載置される。つまり、樹脂発泡体200と載置面との間には、上記凹凸に応じた微細な空間が生じ得る。この空間にスラリーを溜めて、スラリー層110を形成する。スラリーは、自重によって載置面側に容易に溜まる。従って、載置面の上に含浸物300を静置した状態を保持すれば、含浸したスラリーの一部によって所望の厚さのスラリー層110を載置面の上に形成できる。スラリー層110が形成されたら、スラリーを完全に乾燥してフィルム210から取り外し、スラリー層110と、樹脂発泡体200にスラリーが付着した含浸物300とを具える積層体が得られる。載置面をフィルム210とすると、上述のようにフィルム210を容易に除去できる。
熱処理工程では、上記積層体に、上述の形態αと同様に熱処理(好ましくは多段の熱処理)を施す。この熱処理を経て、電解質複合部材1(図3(C))が得られる。
[実施形態2]
図1(B)を参照して、実施形態2の電解質/電極複合部材2を説明する。電解質/電極複合部材2は、固体電解質層10と、固体電解質層10の一面に設けられた電極層21とを具える積層体であり、燃料電池の構成部材に利用される。固体電解質層10の一面は、三次元の網目状の多孔体が一体に形成されている。電極層21は、主として、上記多孔体と、上記多孔体の表面及び固体電解質層10の多孔体側の表面に付着された電極用触媒(図示せず)とで構成されている。従って、電解質/電極複合部材2は、固体電解質層10と、電極層21を構成する多孔体とが一体に形成された部材である。そして、電解質/電極複合部材2は、電解質複合部材1を主要素とし、電解質複合部材1に具える多孔体層11を構成する多孔体の表面と固体電解質層10の多孔体側の表面とに電極用触媒が付着されて構成されている。
電極層21は、電極用触媒からなる層が反応で生じた電子を取り出す導電層として機能し、電解質材料からなる多孔体がイオンの補助的な伝導経路として機能し、アノード電極又はカソード電極に利用される。電解質材料からなる多孔体の表面及び固体電解質層10の多孔体側の表面に、これらの表面に沿って電極用触媒が付着されることで、電極層も多孔体となる。この点から、電極用触媒と固体電解質層10との間の物質の搬送抵抗の増加を緩和できる。
電極用触媒の材質は、金属単体、金属酸化物、金属と金属酸化物との混合物(例えば、サーメット)が挙げられる。金属単体や混合物に含む金属は、Ni、Pd、Pt、Ir、Os、Rh、Ra、Co、Feなどが挙げられる。金属酸化物は、LSM、ランタンストロンチウムコバルト鉄:LSCFなどが挙げられる。混合物に含む金属酸化物は、YSZなどの安定化ジルコニア、BZY、BCYなどの電解質と同じ材料などが挙げられる。特に、多孔体を構成する金属酸化物と混合物中の金属酸化物とが同じ材質である場合、密着性に優れて好ましい。
電極用触媒は、例えば、以下の手法(1)〜(3)などによって固体電解質層及び多孔体層に付着できる。(1)金属、金属酸化物、及び金属と金属酸化物とを含む混合物(例えば、サーメット)から選択される1種の無機材料の粉末を含むスラリーを塗布する方法。(2)スラリーに代えて、金属塩の溶液、有機金属化合物液体、及び有機金属化合物液体の溶液から選択される1種の液を塗布する方法。これら(1),(2)では、塗布後、乾燥、適宜焼き付けを行う。(3)金属単体の場合、無電解めっき法などのめっき法、スパッタ法などの蒸着法。この場合、電極用触媒となる金属層を多孔体などに直接形成できる。公知の手法を利用することができる。
電極用触媒からなる層の厚さは、適宜選択することができる。例えば、平均厚さが0.1μm〜10μm程度が挙げられる。
電解質/電極複合部材2は、電解質複合部材1に具える多孔体の表面が電極用触媒によって機械的に補強されている。従って、電解質/電極複合部材2は、固体電解質層10が薄い場合でも、多孔体に加えて電極用触媒によって強度をより効果的に高められる。また、電極用触媒の形成に際して、多孔体の気孔径が上述のように十分に大きいため、多孔体の全域に亘って、及び固体電解質層10の多孔体側の表面に電極用触媒の付着を良好に、かつ容易に行えて、電解質/電極複合部材2も生産性に優れる。更に、電解質/電極複合部材2は、電解質複合部材1の形成と、電極用触媒からなる層の形成とを、独立に行える。詳しくは、多孔体を形成するための熱処理(焼結)と、例えば、電極層21を形成するための熱処理(焼き付け)とが独立している。そのため、電極用触媒からなる層の形成にあたり、電極用触媒と電解質材料とが反応して、それぞれの特性が劣化することを防止できる。
[実施形態3]
次に、図1(C)を参照して、別の形態の電解質/電極複合部材3を説明する。電解質/電極複合部材3は、固体電解質層10の一面に電極層21を具える点が実施形態2と共通し、固体電解質層10の他面に、電極用触媒のみからなる電極層31を具える点が異なる。電極層31の形成には、上述した手法(1)〜(3)などを利用できる。
電解質/電極複合部材3は、実施形態2と同様に固体電解質層10が薄い場合でも、多孔体に加えて電極用触媒によって補強されて、高い強度を有する。また、電解質/電極複合部材3は、実施形態2と同様に製造時における部材の特性劣化を抑制できる上に、生産性にも優れる。そして、電解質/電極複合部材3は、固体電解質層10の両面に電極層21,31を具えることで、各電極層21,31をアノード電極、カソード電極とする燃料電池の単セルとして好適に利用できる。
[試験例]
上述の形態αの製造方法、又は形態βの製造方法を利用して、金属酸化物から構成された緻密体(固体電解質層)と多孔体とが一体に形成された電解質複合部材を作製し、この電解質複合部材を用いて燃料電池を作製し、電池特性を調べた。
(試料No.1)
試料No.1は、形態αの製造方法によって作製した。所定量のBaの炭酸塩からなる粉末と、ZrO2粉末と、Y2O3粉末とを用意し、溶媒としてエタノールを添加して混合した後、乾燥して混合粉末を得た。この混合粉末を酸素中、1400℃に加熱して反応させた。その後、粉砕して、Yの添加量が20mol%であるBZY(化学式:BaZr0.8Y0.2O3-δ、3-δは理想的にはYの添加量の1/2(ここでは0.1))粉末を合成した。作製したBZY粉末に、分散剤及び有機物バインダを合計で4質量%添加し、溶媒としてエタノールを添加して、ボールミルで20Hr混合し、スラリーを調製した。平均気孔径が約1.2mm、厚さが4mmの発泡ウレタンを用意し、この発泡ウレタンに作製したスラリーを含浸させた含浸物を作製した。
上述のスラリーと同じスラリーを用意し、表面がフッ素樹脂加工されたフィルムの上に用意したスラリーをスクリーン印刷して、スラリー層を形成した。
上記スラリー層が完全に乾燥しない間に、先に作製した半乾燥状態の含浸物をスラリー層の上に載置して、積層体を形成した。スラリー層の厚さは約100μmであった。乾燥後、乾燥した積層体をフィルムから取り外し、この積層体に、大気中、600℃×1Hrの熱処理を施して樹脂(ここでは発泡ウレタン)と分散剤及び有機物バインダとを除去した。その後、1気圧の酸素中、1600℃×2Hrの熱処理(焼結)を施して、焼結体を得た。
得られた焼結体は、BZYから構成された緻密体の一面に、BZYから構成された三次元の網目状の多孔体が連続的に形成された複合構造体である。多孔体の気孔率は約95%、多孔体の平均気孔径は約1.2mm、緻密体の平均厚さは約80μm、焼結体の全体厚さは約3mmであった。気孔率は、多孔体の見かけの体積と質量とから推定した。平均気孔径と緻密体の平均厚さとは、焼結体の切断面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡によって観察して求めた。平均気孔径は、20mm角の測定用試料を複数用意し(n=3)、各測定用試料について気孔径を求め、n=3の平均値とした。平均厚さは、上記切断面から任意の5点を測定点として抽出し、各測定点での厚さを求め、5点の厚さの平均とした。
得られた焼結体(電解質複合部材)の一面側(緻密体の一面側)に存在する多孔体の表面と、この緻密体の多孔体側の表面とに、無電解めっき法によってアノード電極用触媒:Pdを被覆して、多孔体の網目に沿って三次元的に形成されたPd層と、緻密体の多孔体側の表面に形成されたPd層とを具える電極層を形成した。Pd層の厚さは約1μmであった。この工程により、緻密体:固体電解質層の一面に電極層が一体に形成された電解質/電極複合部材が得られる。焼結体の他面(緻密体の他面)に、カソード電極用触媒:LSCF(La-Sr-Co-Fe-O)からなる粉末のスラリーを塗布して、乾燥後、水素雰囲気中、800℃×1時間加熱して、LSCFからなる電極層(粉末層)を形成した。この電極層(粉末層)の厚さは約10μmであった。この工程により、BZYの緻密体を固体電解質層とし、BZYの多孔体の表面と緻密体の表面の一部とにPd層を具える電極層をアノード電極、LSCFからなる層をカソード電極とするセルが得られる。得られたセルを用いて、水素を燃料として動作温度:600℃で最大発電電力密度を測定したところ、150mW/cm2であった。
(試料No.2)
試料No.2は、形態βの製造方法によって作製した。Y2O3を添加した安定化ZrO2粉末:YSZ粉末に、分散剤及び有機物バインダを合計で5質量%添加し、溶媒として水を添加して、ボールミルで20Hr混合し、スラリーを調製した。平均気孔径が約2mm、厚さが10mmの発泡ウレタンを用意し、この発泡ウレタンに作製したスラリーを含浸させた含浸物を作製した。
上記スラリーが完全に乾かない間に、表面がフッ素樹脂加工されたフィルム上に含浸物を載置した。含浸物を静置すると、発泡ウレタンに付着したスラリーの一部は、フィルム上に流れ落ち、フィルム上にスラリーが溜まってスラリー層が形成される。ここでは、平均厚さが約250μmのスラリー層が形成された。スラリー層を具える積層体を乾燥した後、フィルムから取り外し、この積層体に、大気中、600℃×1Hrの熱処理を施して樹脂などを除去した。その後、1気圧の大気中、1400℃×2Hrの熱処理(焼結)を施して、焼結体を得た。
得られた焼結体は、YSZから構成された緻密体の一面にYSZから構成された三次元の網目状の多孔体が連続的に形成された複合構造体である。多孔体の気孔率は約97%、多孔体の平均気孔径は約1.6mm、緻密体の平均厚さは約200μm、焼結体の全体厚さは約8mmであった。気孔率、平均気孔径、平均厚さは、試料No.1と同様にして測定した。
得られた焼結体(電解質複合部材)の一面側(緻密体の一面側)に存在する多孔体の表面と、この緻密体の多孔体側の表面とに、アノード電極用触媒:Niの硝酸塩溶液を塗布し、焼結体の他面(緻密体の他面)に、カソード電極用触媒:LSM(La-Sr-Mn-O)からなる粉末のスラリーを塗布した。その後、乾燥してから、水素雰囲気中、800℃×30分加熱した。この工程により、緻密体:固体電解質層の両面に電極層を具える電解質/電極複合部材が得られる。ここでは、固体電解質層の一面に、多孔体と、この多孔体の網目に沿って三次元的に形成されたNi層及び緻密体の表面の一部に形成されたNi層とを具える電極層が設けられ、他面にLSMからなる電極層(粉末層)が設けられている。Ni層を具える電極層は、固体電解質層に一体に形成されている。Ni層の厚さは約2μm、電極層(粉末層)の厚さは約10μmであった。
得られた電解質/電極複合部材を、YSZを固体電解層とし、多孔体の表面にNi層を具える電極層をアノード電極、LSMからなる層をカソード電極とするセルとし、水素を燃料として動作温度:900℃で最大発電電力密度を測定したところ、130mW/cm2であった。
(比較例No.100)
試料No.1と同様にして、BZY粉末を作製し、このBZY粉末に成形助剤(市販品)を4質量%添加して、乾式で混合して混合粉末を得た。この混合粉末を乾式プレスによって成形し、粉末成形体(厚さ:2mm)を得た。成形圧力は1000kg/cm2とし、一軸加圧とした。得られた粉末成形体を試料No.1と同じ条件で、多段に熱処理を施して(成形助剤(樹脂)の除去及び焼結)、厚さが約1.6mmの焼結体を得た。この焼結体を燃料電池の固体電解質層に用いるにあたり、イオン伝導の抵抗を低下させるため、機械的研磨を施して、100μmまで薄くしようと試みた。しかし、厚さが250μm以下となると、焼結体に割れが生じることが多く、研磨によって250μm以下の厚さにすることが困難であった。
一方、300μmの厚さにまで研磨したBZYの焼結体を固体電解質層とし、試料No.1と同様にして、アノード電極:Pd層のみ、カソード電極:LSCF層を形成してセルを作製した。このセルについて試料No.1と同様にして最大発電電力密度を測定したところ、100mW/cm2であった。
上記試験結果から、試料No.1,No.2の電解質複合部材や電解質/電極複合部材は、ガスと固体電解質層との間の物質(ここでは分子、原子)の搬送抵抗を低減でき、過電圧が低い燃料電池を構築できると期待される。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、固体電解質層の材質・厚さ、多孔体の気孔径・気孔率、多孔体の材質、電極用触媒の材質などを適宜変更できる。
本発明の電解質複合部材及び本発明の電解質/電極複合部材は、燃料電池(特にSOFC)の構成部材に好適に利用できる。本発明の電解質複合部材の製造方法は、上記本発明の電解質複合部材の製造に好適に利用できる。
1 電解質複合部材 2,3 電解質/電極複合部材
10 固体電解質層 11 多孔体層 21,31 電極層
100 スラリー 110 スラリー層 200 樹脂発泡体 210 フィルム
300 含浸物

Claims (4)

  1. 金属酸化物から構成される固体電解質層と、
    前記固体電解質層の少なくとも一面に、金属酸化物から構成された三次元の網目状の多孔体からなる多孔体層とを具え、
    前記固体電解質層と前記多孔体とが一体に形成されており、
    前記多孔体の平均気孔径が1mm以上2mm以下であり、
    前記多孔体の気孔率が90%以上97%以下であり、
    前記固体電解質層の平均厚さが300μm以下であり、
    燃料電池に利用される電解質複合部材。
  2. 前記固体電解質層の平均厚さが200μm以下である請求項1に記載の電解質複合部材。
  3. 前記固体電解質層を構成する前記金属酸化物、及び前記多孔体を構成する前記金属酸化物は、安定化ジルコニア、又は希土類元素を含有するペロブスカイト型酸化物である請求項1又は請求項2に記載の電解質複合部材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電解質複合部材を具え、
    前記多孔体層を構成する前記多孔体の表面、及び前記固体電解質層の前記多孔体側の表面に電極用触媒が付着されてなる電極層を具える電解質/電極複合部材。
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