JP2016098267A - セルロースエステル樹脂組成物、セルロースエステルフィルム、偏光板用保護フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステル樹脂組成物、セルロースエステルフィルム、偏光板用保護フィルム及び液晶表示装置 Download PDF

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裕輔 田尻
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Abstract

【課題】 透明性と湿度の変化に伴う寸法安定性に優れ、光学用途に好適に使用できるフィルムが得られるセルロースエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】 ポリエステル樹脂の主鎖骨格に下記一般式(1)(式中R1〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)で表される構造を含有するポリエステル樹脂(A)とトリアセチルセルロース樹脂(B)とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、偏光板用保護フィルム等の光学フィルムをはじめ様々な用途に使用することが可能なセルロースエステル樹脂組成物、該組成物を用いて得られるセルロースエステル光学フィルム、偏光板用保護フィルム及び液晶表示装置に関する。
近年、映像や文字を鮮明に表示できる液晶表示装置(LCD)を備えたノートパソコンやテレビ、携帯電話等の情報機器が、次々と市場に供給されている。これらの情報機器において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムは,透明性、光学的等方性及び強靭性を有すること、水糊を使用した偏光子(ポリビニルアルコール(PVA)/ヨウ素からなる)との接着が容易であることからから偏光板用保護フィルムとして広く使用されている。
しかしながら、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムは、外部から偏光子への湿気(水)の浸入を十分に防止する事ができず、偏光子の劣化や偏光子と偏光板用保護フィルムとの剥離が引き起こされる問題があった。
このような中、近年、LCDの大画面化・薄型・軽量化が要求されており、偏光子保護フィルムにおいても薄膜化が検討されている。そして、薄膜化が進むにつれて、湿気(水)の浸入が少ない(耐透湿性に優れる)フィルムが要求されていている。
耐透湿性に優れるフィルムを得るための樹脂組成物としては、例えば、炭素原子数2〜4のグリコールと炭素原子数2〜6の脂肪族ジカルボン酸と炭素原子数4〜9のモノアルコール及び/又はモノカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル樹脂を含むトリアセチルセルロース樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、ジオールと、テレフタル酸、テレフタル酸ジアルキルエステル、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸ジアルキルエステル、ビフェニルジカルボン酸及びビフェニルジカルボン酸ジアルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上の芳香族ジカルボン酸化合物とを反応させて得られる数平均分子量が300〜3,000の範囲であるポリエステル樹脂を含むトリアセチルセルロース樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。更に、直鎖状アルキレンジオールと、分岐状アルキレンジオール(a−2)と、特定の芳香族ジカルボン酸化合物と、芳香族モノカルボン酸化合物(a−4)とを特定のモル比で反応させて得られ、数平均分子量が300〜2,000であるポリエステル樹脂を含むトリアセチルセルロース樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、前記特許文献1〜3で開示されたトリセルロースエステル樹脂組成物を用いて得られるセルロースエステルフィルムは、フィルムの透湿抑制に効果があるものの吸湿することによりフィルムの寸法が変化する問題がある。このようなフィルムを偏光子保護フィルムとして用いたLCDは、使用環境変化によってフィルム寸法変化に起因した画像コントラスト低下を引き起こす。
特開2009−046531号公報 特開2010−138379号公報 特開2010−248493号公報
本発明が解決しようとする課題は、透湿度が小さく、湿度の変化に伴う寸法の変化も少なく、更に、透明性にも優れるフィルムが得られるセルロースエステル樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたセルロースエステル光学フィルム、偏光板用保護フィルム及び液晶表示装置を提供する事にある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、主鎖骨格中にビスフェノールAの水素添加物由来の骨格を有するポリエステル樹脂を改質剤として用い、これをトリアセチルセルロースと組み合わせることにより、上記課題を解決できること、ビスフェノールAの水素添加物由来の骨格に限らず水素化ビスフェノール骨格を有するポリエステル樹脂でも上記課題を解決できること等を見出し、本発明を解決するに至った。
即ち、本発明は、ポリエステル樹脂の主鎖骨格に下記一般式(1)
Figure 2016098267
(式中R〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)
で表される構造を含有するポリエステル樹脂(A)とトリアセチルセルロース樹脂(B)とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記セルロースエステル樹脂組成物を含有してなることを特徴とするセルロースエステルフィルムを提供するものである。
更に、本発明は、前記セルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られる樹脂溶液を、金属支持体上に流延させ、次いで前記有機溶剤を留去し乾燥させて得ることを特徴とする偏光板用保護フィルムを提供するものである。
更に、本発明は、前記偏光板用保護フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置を提供するものである。
本発明によれば、湿度の変化に伴う寸法の変化が少なく、しかも、透明性に優れ光学用途に好適に使用できるフィルムを与えるセルロースエステル樹脂組成物を提供する事ができる。また、本発明のフィルムは透明性、耐透湿性にも優れ、光学用途に好適に用いることができる。従って、偏光板用保護フィルム、光学補償フィルム、位相差フィルムなどに好ましく用いることができる。また、本発明によれば、前記セルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られる樹脂溶液を、金属支持体上に流延させ、次いで前記有機溶剤を留去し乾燥させる方法(溶液流涎法)以外にも、例えば、溶融押出法により前記偏光板用保護フィルム、光学補償フィルム、位相差フィルム等のフィルムを製造することができる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は下記一般式(1)
Figure 2016098267
(式中R〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)
で表される構造を含有することを特徴とする。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の中でも、前記一般式(1)中のR、Rが、それぞれ炭素原子数1〜6のアルキル基のものが、セルロースエステル樹脂との相溶性が良好な改質剤となることから好ましく、前記一般式(1)中のR、Rがそれぞれメチル基のものがより好ましい。
また、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の中でも、前記一般式(1)中のR〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基のものがセルロースエステル樹脂との相溶性が良好な改質剤となることから好ましく、それぞれ水素原子のものがより好ましい。
従って、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の中でも前記一般式(1)中のR、Rが、それぞれ炭素原子数1〜6のアルキル基で、且つ、R〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基のものが好ましく、前記一般式(1)中のR、Rが、それぞれメチル基で、且つ、R〜R22がそれぞれ水素原子のものがより好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、例えば、二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とを反応させて得られ、前記二価のアルコール(a1)が下記一般式(2)
Figure 2016098267
(式中R〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)

で表される二価のアルコールを含むものを用いる事により得ることができる。
前記一般式(2)で表される二価のアルコールとしては、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAP、水素化ビスフェノールB、水素化ビスフェノールBP、水素化ビスフェノールC、水素化ビスフェノールE、水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールG、水素化ビスフェノールPH等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される二価のアルコールは市販品を用いても良いし、必要に応じ合成しても良い。合成は、例えば、特開昭53−119854、特開昭61−260034、特開平4−103548、特開平6−329569等に記載されている方法により行うことができる。
前記一般式(2)で表される二価のアルコールの中でも前記一般式(2)中のR、Rが、それぞれ炭素原子数1〜6のアルキル基のものが、セルロースエステル樹脂との相溶性が良好な改質剤となることから好ましく、前記一般式(2)中のR、Rがそれぞれメチル基のものがより好ましい。
また、前記一般式(2)で表される二価のアルコールの中でも、前記一般式(2)中のR〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基のものが、セルロースエステル樹脂との相溶性が良好な改質剤となることから好ましい。
従って、前記一般式(2)で表される二価のアルコールの中でも前記一般式(2)中のR、Rが、それぞれ炭素原子数1〜6のアルキル基で、且つ、R〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基のものが好ましく、前記一般式(2)中のR、Rが、それぞれメチル基で、且つ、R〜R22がそれぞれ水素原子のもの(水素化ビスフェノールA)がより好ましい。
本発明で用いる二価のアルコール(a1)は、一般式(2)で表される二価のアルコールに加えて他の二価のアルコールも本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。二価のアルコール(a1)中の一般式(2)で表される二価のアルコールの含有量としては、二価のアルコール(a1)100質量部に対して5〜100質量部が、湿度変化に対する位相差の変化が少ない光学フィルムが得られることから好ましく、15〜100質量部がより好ましい。
前記他の二価のアルコールとしては、例えば、炭素原子数が2〜4の脂肪族のアルコールを好ましく挙げることができる。このようなアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールを用いることにより、セルロースエステルフィルムに十分な耐透湿性を付与できるポリエステル樹脂が得られることが期待できる。また、これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記二塩基酸(a2)としては、例えば、脂肪族二塩基酸、芳香族二塩基酸等が挙げられる。
前記脂肪族二塩基酸としては、例えば、炭素原子数2〜6の脂肪族二塩基酸が挙げられ、具体的には、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記芳香族二塩基酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
二塩基酸(a2)のなかでもトリアセチルセルロース樹脂への相溶性が良好なポリエステル樹脂(A)となることから炭素原子数3〜8の脂肪族二塩基酸が好ましく、中でもコハク酸またはアジピン酸がより好ましい。
前記ポリエステル樹脂(A)は、例えば、前記の原料を、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば、180〜250℃の温度範囲内で10〜25時間、エステル化反応させることにより製造することができる。尚、エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定せず、適宜設定してよい。
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、原料の全量100質量部に対して、0.001〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、セルロースエステル樹脂への相溶性が良好となることから500〜3,000の範囲が好ましく、500〜2,500の範囲がより好ましい。
ここで、数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC−8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ−L」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料15mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC−8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−300」
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
前記ポリエステル樹脂(A)の性状は、前記数平均分子量(Mn)や組成などにより異なるが、通常、常温にて液体、固体、ペースト状などである。
前記ポリエステル樹脂(A)の中でも、前記二塩基酸(a2)と二価のアルコール(a1)とを反応させて得られるポリエステル樹脂は、その末端に水酸基またはカルボキシル基を有する。これらの水酸基、カルボキシル基は、これらと反応する反応性基を有する化合物と反応させて、前記ポリエステル樹脂(A)の末端を封止しても良い。このように末端を封止することにより、更に添加したフィルムの保存安定性が向上すると期待される。
前記ポリエステル樹脂(A)の中でも末端を封止した改質剤を得るには、例えば、以下の方法により好ましく得ることができる。
方法1:前記一般式(2)で表される二価のアルコールを含む二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とモノカルボン酸を反応系に一括で仕込み、反応させる方法。
方法2:前記一般式(2)で表される二価のアルコールを含む二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とを反応させて樹脂の末端に水酸基を含むポリエステル樹脂を得たのち、該ポリエステル樹脂とモノカルボン酸無水物とを反応させる方法。
方法3:前記一般式(2)で表される二価のアルコールを含む二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とモノアルコールを反応系に一括で仕込み、反応させる方法。
方法4:前記一般式(2)で表される二価のアルコールを含む二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とを反応させて樹脂の末端にカルボキシル基を含むポリエステル樹脂を得たのち、該ポリエステル樹脂とモノアルコールとを反応させる方法。
前記モノカルボン酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、ノナン酸等の炭素原子数2〜9のモノカルボン酸や、これらの脂肪族モノカルボン酸の無水物等が挙げられる。前記芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、クミン酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、フロ酸、アニス酸やこれらのメチルエステル及び酸塩化物等が挙げられる。これらのモノカルボン酸は、単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記モノアルコールとしては、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、イソノニルアルコール、1−ノニルアルコール等の炭素数4〜9のモノアルコールを好ましく例示することができる。これらは単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記末端を封止する際は、末端の全てのカルボキシル基や水酸基を封止する必要はなく、一部のカルボキシル基や一部の水酸基が末端に残存していても良い。
前記ポリエステル樹脂(A)の酸価としては、フィルムに優れた耐透湿性を付与し、且つポリエステル樹脂(A)自体の安定性を維持できることからから3以下が好ましく、1以下がより好ましい。また、水酸基価は200以下が好ましく、150以下がより好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は前記ポリエステル樹脂(A)とトリアセチルセルロース樹脂(B)とを含有することを特徴とする。ここで、ポリエステル樹脂(A)は、セルロースエステル樹脂の改質剤としての役割を担っている。本発明のセルロースエステル樹脂組成物には、改質剤としてポリエステル樹脂(A)のみを有していても良いし、ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステルを含んでいても良い。また、ポリエステル以外の改質剤を含んでいても良いし、ポリエステル樹脂(A)の製造に用いた原料の未反応物を含んでいても良い。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物は、前記の通り、ポリエステル樹脂(A)とトリアセチルセルロース樹脂(B)とを含有する。この組成物を用いる事により、湿度の変化に伴う寸法の変化が少なく、しかも、透明性に優れ、透湿度も小さく、光学用途に好適に使用できる光学フィルムが得られる。
本発明で用いるトリアセチルセルロース樹脂(B)は、例えば、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等から得られるセルロースが有する水酸基の全部が酢酸にてエステル化されたものなどが例示でき、それらの中でも、綿花リンターから得られるセルロースを酢酸にてエステル化して得られるセルロースエステル樹脂を使用して得られるフィルムは、フィルムの製造装置を構成する金属支持体から剥離しやすく、フィルムの生産効率をより向上できるため、好ましい。
本発明で用いるセルロースエステル樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、70,000〜300,000の範囲が好ましく、80,000〜200,000の範囲がより好ましい。前記セルロースエステル樹脂(B)の(Mn)がかかる範囲であるならば、優れた機械的物性を有するフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物中のポリエステル樹脂(A)の含有量としては、セルロースエステル樹脂(B)100質量部に対して、5〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲がより好ましい。前記セルロースエステル樹脂用改質剤をかかる範囲で用いるならば、湿度の変化に伴う位相差の変動が少なく、しかも、透明性に優れ光学用途に好適に使用できるフィルムが得られる組成物となる。
次に、本発明のセルロースエステルフィルムについて説明する。
本発明のセルロースエステルフィルムは、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を含有してフィルムであり、特に光学用途のセルロースエステル光学フィルムとして好ましく用いることができる。本発明のセルロースエステルフィルムの膜厚は使用される用途により異なるが、一般に10〜200μmの範囲が好ましい。
前記セルロースエステルフィルムは、光学異方性あるいは光学等方性等の特性を有していてもよいが、前記光学フィルムを偏光板用保護フィルムに使用する場合には、光の透過を阻害しない光学等方性のフィルムを使用することが好ましい。
前記セルロースエステル光学フィルムは、種々の用途で用いることができる。最も有効な用途としては、例えば、液晶表示装置の光学等方性を必要とする偏光板用保護フィルムがあるが、光学補償機能を必要とする偏光板用保護フィルムの支持体にも使用することができる。
前記セルロースエステルフィルムは、種々の表示モードの液晶セルに用いることができる。例えばIPS(イン−プラン スイッチング:In−Plane Switching)、TN(ツイスティッド ネマチック:Twisted Nematic)、VA(バーティカリー アラインド:Vertically Aligned)、OCB(オプティカリー コンペンセートリー ベンド:Optically Compensatory Bend)等が例示できる。
また、本発明のセルロースエステルフィルムに含有されるポリエステル樹脂(A)は、トリアセチルセルロース樹脂(B)100質量部に対して、5〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲がより好ましい。前記ポリエステル樹脂(A)をかかる範囲で用いることにより、湿度の変化に伴う位相差の変動が少なく、しかも、透明性に優れ光学用途に好適に使用できるフィルムが得られる。
前記セルロースエステル光学フィルムは、例えば、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤中溶解して得られた樹脂溶液を、金属支持体上に流延させ、次いで、前記有機溶剤を留去し乾燥させる、いわゆる溶液流延法(ソルベントキャスト法)で成形することによって得ることができる。
前記溶液流延法によれば、表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れるフィルムが得られる。その為、該溶液流延法により得られるフィルムは光学用途に好ましく用いることが出来、特に偏光板用保護フィルム用途として好ましく使用できる。
前記溶液流延法は、一般に、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1工程と、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を留去し乾燥させてフィルムを形成する第2工程、それに続く、金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3工程からなる。
前記第1工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属製のものなどを例示でき、例えば、ステンレス製でその表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
前記金属支持体上に樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
前記第2工程の乾燥方法としては、特に限定しないが、例えば30〜50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び/又は下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤の50〜80質量%を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法が挙げられる。
次いで、前記第3工程は、前記第2工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2工程よりも高い温度条件下で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100〜160℃の温度条件にて段階的に温度を上昇させる方法が、良好な寸法安定性を得ることができるため、好ましい。前記温度条件にて加熱乾燥することにより、前記第2工程後のフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
尚、前記第1工程〜第3工程で、有機溶媒は回収し再使用することも可能である。
本発明のセルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤に混合させ溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解可能なものであれば特に限定しないが、例えばセルロースエステルとしてセルロースアセテートを使用する場合は、良溶媒として、例えばメチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類を使用することが好ましい。
また、前記良溶媒と共に、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の貧溶媒を併用することが、フィルムの生産効率を向上させるうえで好ましい。
前記良溶媒と貧溶媒との混合割合は、質量比で良溶媒/貧溶媒=75/25〜95/5の範囲が好ましい。
前記樹脂溶液中のトリアセチルセルロース樹脂の濃度は、10〜50質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、本発明の改質剤の役割を担う本発明のポリエステル樹脂(A)以外の改質剤、ポリエステル樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、マット剤、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等)、染料などが挙げられる。これら添加剤は、前記有機溶剤中に前記セルロースエステル樹脂及び前記ポリエステル樹脂(A)を溶解させ混合する際に併せて使用することができ、また、別個に添加し用いてもよく、特に限定しない。
本発明のポリエステル樹脂(A)以外の改質剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂(A)以外の改質剤熱可塑性樹脂としては、特に限定しないが、例えば、ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂、ポリエステルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、特に限定しないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。前記紫外線吸収剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜2質量部の範囲が好ましい。
前記マット剤としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク等が挙げられる。前記マット剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜0.3質量部の範囲が好ましい。
前記染料としては、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、種類や配合量など特に限定しない。
前記セルロースエステルフィルムの膜厚は、5〜120μmの範囲が好ましく、8〜100μmの範囲がより好ましく、10〜80μmの範囲が特に好ましい。前記光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合には、膜厚が10〜80μmの範囲であれば、液晶表示装置の薄型化を図る際に好適であり、且つ充分なフィルム強度、Rth安定性、耐透湿性などの優れた性能を維持することができる。
前記セルロースエステルフィルム及び前記偏光板用保護フィルムは、湿度の変化に伴う位相差の変動が少なく、しかも、透明性に優れることから、例えば、液晶表示装置の光学フィルムやハロゲン化銀写真感光材料の支持体等に使用できる。前記光学フィルムとは、特に限定しないが、例えば、偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム、カラーフィルター等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。例中の部及び%は断りがない限り質量基準である。
合成例1〔ポリエステル樹脂(A)の調製〕
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、水素化ビスフェノールA 240g、1,2−プロピレングリコール7g、コハク酸89g、安息香酸61g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.01gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A1)を得た。ポリエステル樹脂(A1)は常温固体であり、酸価0.52、水酸基価25で、数平均分子量950であった。
合成例2〔ポリエステル樹脂(A)の調製〕
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、水素化ビスフェノールA 216g、1,2−プロピレングリコール10g、コハク酸53g、安息香酸110g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.02gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A2)を得た。ポリエステル樹脂(A2)は常温固体であり、酸価0.33、水酸基価5で、数平均分子量600であった。
合成例3(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、水素化ビスフェノールA 248g、コハク酸89g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.01gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計20時間反応させ一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A3)を得た。ポリエステル樹脂(A3)は常温固体であり、酸価0.65、水酸基価94で、数平均分子量1,100であった。
合成例4(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、ポリエステル樹脂(A3)250g及び無水酢酸48gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら120℃になるまで段階的に昇温して、合計4時間反応させ、一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A4)を得た。ポリエステル樹脂(A4)は常温固体であり、酸価0.50、水酸基価2で、数平均分子量1,200であった。
合成例5(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、水素化ビスフェノールA 216g、コハク酸142g、n−ブタノール62g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.01gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計15時間反応させ、一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A5)を得た。ポリエステル樹脂(A5)は常温固体であり、酸価0.89、水酸基価4で、数平均分子量1,400であった。
合成例6(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積0.5リットルの四つ口フラスコに、水素化ビスフェノールA 119g、1,2−プロピレングリコール119g、コハク酸212g、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.01gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ一般式(1)で表される構造を有するポリエステル樹脂(A6)を得た。ポリエステル樹脂(A6)は常温液体であり、酸価0.49、水酸基価50で、数平均分子量2000であった。
比較合成例1〔比較対照用ポリエステル樹脂(A´)の調製〕
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積1リットルの3つ口フラスコに、エチレングリコール341g、アジピン酸659g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.03gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ比較対照用ポリエステル樹脂(A´1)を得た。ポリエステル樹脂(A´1)は常温固体であり、酸価0.19、水酸基価112.2で、数平均分子量1400であった。
比較合成例2〔比較対照用ポリエステル樹脂(A´)の調製〕
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積1リットルの3つ口フラスコに、エチレングリコール82g、1,2−プロピレングリコール102g、コハク酸246g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.02gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ比較対照用ポリエステル樹脂(A´2)を得た。ポリエステル樹脂(A´2)は常温液体であり、酸価0.33、水酸基価160で、数平均分子量900であった。
比較合成例3(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積1リットルの3つ口フラスコに、エチレングリコール55g、1,2−プロピレングリコール200g、テレフタル酸ジメチル533g、安息香酸147g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.03gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ比較対照用ポリエステル樹脂(A´3)を得た。ポリエステル樹脂(A´3)は常温液体であり、酸価0.43、水酸基価27.4で、数平均分子量850であった。
比較合成例4(同上)
温度計、攪拌器及び還流冷却器を備えた内容積1リットルの3つ口フラスコに、エチレングリコール69g、1,2−プロピレングリコール278g、テレフタル酸ジメチル753g及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.05gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃になるまで段階的に昇温して、合計24時間反応させ比較対照用ポリエステル樹脂(A´4)を得た。ポリエステル樹脂(A´4)は常温液体であり、酸価0.27、水酸基価70で、数平均分子量1850であった。
比較合成例5(同上)
1リットル3つ口フラスコに、比較対照用ポリエステル樹脂(A´4)660g、無水酢酸51gを仕込み、窒素導入管より窒素気流下、120℃で2時間反応させた。反応後、過剰の無水酢酸および酢酸を減圧留去し比較対照用ポリエステル樹脂(A´5)を得た。比較対照用ポリエステル樹脂(A´5)は常温で淡黄色液体であり、酸価が0.59、水酸基価0.0で、数平均分子量1850であった。
実施例1(本発明のセルロースエステルフィルム)
トリアセチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製「LT−35」)100部、ポリエステル樹脂(A1)10部を、メチレンクロライド810部及びメタノール90部からなる混合溶剤に加えて溶解し、ドープ液を調製した。このドープ液をガラス板上に厚さ0.8mmとなるように流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分、さらに120℃で30分乾燥させることで、膜厚60μmの本発明のセルロースエステルフィルム(1)を得た。
得られたセルロースエステルフィルム(1)のHAZEを測定すると共に、該フィルム(1)を高温高湿度の環境下においた場合のHAZEも測定した。また、セルロースエステルフィルム(1)の透湿度及び湿度による膨張率を測定した。測定方法を下記に示す。また、測定結果を第1表に示す。
<HAZEの測定方法>
日本電色工業株式会社製NDH−5000を用いてJIS K 7136に準拠した。
<高温高湿度の環境下においた場合のHAZEの測定方法>
セルロースエステルフィルム(1)を85℃、相対湿度90%RHの環境下に5日間静置した。その後、前記<HAZEの測定方法>に従って測定した。
<透湿度の測定方法>
JIS Z 0208に準じて、フィルムの透湿度を測定し、60μmの厚さに換算した。なお、測定条件は、温度40℃、相対湿度90%RHとした。
<膨張率を測定方法>
セルロースエステルフィルム(1)の膨張率は、相対湿度を20%RHから80%RHに変化させることで発生する膨張率にて評価した。具体的には、以下の方法に従った。
高温高湿度対応湿度制御ユニットを取り付けたTMA−SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、膜厚60μm、幅3mmの試料を引張モードにて荷重50mN、チャック間距離20mmの条件で固定、炉内の試料温度を40℃一定に保ちながら、湿度20%RHから1分あたり2%RHの湿度上昇速度にて80%RHまで加湿したときの湿度変化によるチャック間距離の伸びを湿度差(80−20=60)で除して湿度変化に対する膨張率(%/%RH)で求めた。膨張率の絶対値が0に近い程、高湿度環境下でも寸法安定性に優れるフィルムである。
実施例2〜7(同上)
第1表に示す配合割合でポリエステル樹脂(A1)〜(A6)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロースエステルフィルム(2)〜(7)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第1表に示す。
比較例1〜6(同上)
第1表に示す配合割合で比較対照用ポリエステル樹脂(A´1)〜(A´4)を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用セルロースエステルフィルム(1´)〜(6´)を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第2表に示す。
Figure 2016098267
Figure 2016098267
上記実施例及び比較例の結果から、本発明のセルロースエステル樹脂組成物を用いて得られたフィルム(光学フィルム)は、湿度変化に対する湿度膨張率が小さく、寸法安定性に優れるフィルムであることが分かる。一方、比較例1のフィルムは、湿度変化に対する湿度膨張率が大きく、湿度変化に対する寸法変化が大きいフィルムであった。比較例2〜5のフィルムは,耐透湿性は改善されているが湿度変化に対する湿度膨張率(寸法変化)が大きく(即ち、湿度変化に対する寸法変化が大きい)、LCDにおいて光漏れによる画質低下が懸念されるフィルムであると言える。

Claims (13)

  1. ポリエステル樹脂の主鎖骨格に下記一般式(1)
    Figure 2016098267
    (式中R〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)
    で表される構造を含有するポリエステル樹脂(A)とトリアセチルセルロース樹脂(B)とを含有することを特徴とするセルロースエステル樹脂組成物。
  2. 前記一般式(1)中のR、Rがそれぞれメチル基であり、R〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である請求項1記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  3. 前記一般式(1)中のR、Rがそれぞれメチル基であり、R〜R22がそれぞれ水素原子である請求項1記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A)が、二価のアルコール(a1)と二塩基酸(a2)とを反応させて得られるものであり、前記二価のアルコール(a1)が下記一般式(2)
    Figure 2016098267
    (式中R〜R22は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基または炭素原子数6〜10の芳香族基を表す。)
    で表される二価のアルコールを含むものである請求項1記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  5. 前記一般式(2)中のR、Rがそれぞれメチル基であり、R〜R22がそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である請求項4記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  6. 前記一般式(2)中のR、Rがそれぞれメチル基であり、R〜R22がそれぞれ水素原子である請求項4記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  7. 前記二塩基酸(a2)が、炭素原子数3〜8の脂肪族二塩基酸である請求項4記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  8. 前記脂肪族二塩基酸がコハク酸またはアジピン酸である請求項7記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  9. 前記一般式(2)で表されるアルコールを二価アルコール(a1)100質量部に対して5〜100質量部用いる請求項4記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  10. トリアセチルセルロース樹脂(B)100質量部に対して、ポリエステル樹脂(A)を5〜20質量部含んでなる請求項1〜9のいずれか1項記載のセルロースエステル樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載のセルロースエステル樹脂組成物を含有してなることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
  12. 請求項1〜10の何れか一項に記載のセルロースエステル樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られる樹脂溶液を、金属支持体上に流延させ、次いで前記有機溶剤を留去し乾燥させて得ることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  13. 請求項11記載の偏光板用保護フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
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