JP2009251284A - 複合偏光板およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板において、該偏光フィルムと該位相差フィルムとの接着性に優れ、優れた耐久性を有する複合偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光フィルム101とこの一方の面に第1の接着剤層104を介して積層された透明保護フィルム102と、他方の面に第2の接着剤層105を介して積層された、面内位相差値が150〜300nm、Nz係数が0.2〜0.6のオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム103とを備え、第2の接着剤層105は、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる複合偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルムが積層された複合偏光板に関し、より詳しくは、偏光フィルムの一方の面に透明保護フィルムが積層され、他方の面に位相差フィルムが積層された複合偏光板に関する。また、本発明は、当該複合偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型であるなどの特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど、多くの光学部材から構成されている。そのため、当該光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化などを図ることが可能であり、このような研究が盛んに行なわれている。
構成フィルムやシートの枚数を減らし、液晶表示装置の薄型化を図るための手段として、偏光板の片側の保護フィルムを位相差フィルムで兼ねる手法が知られている。たとえば、特許文献1には、偏光膜の両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特許文献2には、偏光フィルムの透明保護層のうち少なくとも片側の透明保護層を複屈折性のフィルムで構成することが記載されている。
位相差フィルムに求められる機能の一つは、液晶セルの複屈折による位相差を正面方向および斜め方向において光学補償することである。そこで、位相差フィルムの斜め方向の位相差値が角度によってどのように変化するかは非常に重要な事項である。
角度によらず位相差値がほぼ一定である位相差フィルムが種々提案されており、たとえば、特許文献3には、固有複屈折が正であって、分子がフィルム面の法線方向に配向してなるフィルムを延伸することにより、垂直入射における位相差と法線から40°傾いた方向からの入射における位相差がほぼ同じになる位相差フィルムとすることが開示されている。この位相差フィルムは、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとしたとき、nx>nz>nyの関係を示す。
上記nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムの製造方法として、特許文献4には、樹脂フィルムの片面又は両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理する方法が開示されている。この方法は、樹脂フィルムを、延伸と同時にその延伸軸と直交する方向に収縮させ、厚み方向(Z方向)への配向を起こさせるものであり、樹脂フィルムの屈折率分布を延伸前後で大きく変化させている。このため、この製造方法に用いる樹脂フィルムは、低い延伸倍率で位相差を生じやすいものが好ましく、従来、たとえばポリカーボネート系樹脂フィルムや、ポリアリレート系樹脂フィルム、ポリサルフォン系樹脂フィルムのような、芳香族系樹脂フィルムが用いられてきた。
また、特許文献5には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、熱収縮性を有するフィルムを、その熱収縮軸方向が該一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの延伸軸方向と直交するように貼合して、熱収縮させることにより、位相差フィルムを製造することが開示されている。このようにして得られた一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムからなる位相差フィルムは、その厚み方向にも配向されている。この方法も、熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの収縮を利用して厚み方向に配向させるものであるため、やはり位相差の発現しやすい芳香族系樹脂フィルムを中心に適用されている。
ここで、上記芳香族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が大きいために、応力に対して位相差が変化しやすい。そのため、液晶セルと偏光フィルムとの間に貼合配置された状態で高温に曝された場合に、偏光フィルムの収縮応力によって位相差値が設計値からずれたり、液晶表示装置におけるバックライトの熱によって発生する応力のムラによって、位相差値のムラが発生したりして、表示特性を悪化させることが問題となっていた。
一方、ノルボルネン系樹脂フィルムなどの脂肪族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が小さいため、近年、位相差フィルムに適用する動きが高まっている。しかし、脂肪族系樹脂フィルムは、一般に位相差を発現しにくいため、芳香族系樹脂フィルムのような低い延伸倍率ではもちろんのこと、延伸倍率を高くしても、所望の位相差値を得ることが難しかった。特に、延伸軸方向とともに厚み方向にも所定の位相差値が得られるように配向させることは難しく、上記特許文献4や特許文献5に記載の方法に、脂肪族系樹脂フィルムを適用することには限界があった。
そこで、特許文献6には、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面又は両面に、幅方向の収縮率が大きい収縮性フィルムを貼り合わせて、面内位相差値が100〜350nm、かつ(nx−nz)/(nx−ny)で表される係数(Nz係数)が0.1〜0.9となるように加熱延伸する方法が提案されている。ここで、nx、nyおよびnzは、先に定義したとおりの意味を有する。この方法によれば、位相差の発現しにくいノルボルネン系樹脂フィルムについて、延伸軸方向とともに厚み方向にも配向させ、nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを製造することができる。
特開平8−43812号公報 特開平9−325216号公報 特開平2−160204号公報 特開平5−157911号公報 特開平7−230007号公報 特開2006−72309号公報
しかし、上記ノルボルネン系樹脂フィルムを含むオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを偏光フィルムの片面に接着する場合、従来のポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に従来使用されているポリビニルアルコール系接着剤では接着力が十分でなく、耐久性にも問題があることが明らかになってきた。
そこで、本発明の目的は、偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板において、該偏光フィルムと該位相差フィルムとの接着性に優れ、優れた耐久性を有する複合偏光板を提供することである。また、本発明の他の目的は、かかる複合偏光板を用いた、耐久性および信頼性に優れる液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、オレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを、偏光フィルムの片面に保護フィルムとしての機能を兼ねる層として積層させた複合偏光板を開発すべく鋭意研究を行なってきた。その中で、従来の偏光板におけるポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に用いられている接着剤では、偏光フィルムと上記のような位相差フィルムとが、十分な強度で接着しないことが明らかになってきた。そこでさらに研究を重ねた結果、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤を用いることで、偏光フィルムと位相差フィルムとの接着性に優れ、耐久性に優れた複合偏光板が作製できることを見出し、本発明に至った。
本発明は、偏光フィルムと該偏光フィルムの一方の面に、第1の接着剤層を介して積層された透明保護フィルムと、該偏光フィルムの他方の面に、第2の接着剤層を介して積層された位相差フィルムとを備える複合偏光板に関する。ここで、本発明の複合偏光板において、位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなるフィルムであり、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをd(nm)とするとき、波長590nmの光に対して下記式(1)を満たし、かつ、下記式(2)を満たす。また、上記第2の接着剤層は、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる。
150nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.6 (2)
上記エポキシ樹脂は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するものであることが好ましい。
上記オレフィン系樹脂は、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂であることが好ましい。
また、上記位相差フィルムの厚みは、好ましくは20〜300μmである。
本発明はまた、上記複合偏光板が液晶セルの片面または両面に配置されてなる液晶表示装置を提供する。
本発明によれば、偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板であって、該偏光フィルムと該位相差フィルムとが十分に高い接着強度で貼合された、優れた耐久性を有する複合偏光板を提供することができる。このような耐久性に優れた本発明の複合偏光板は、過酷な環境下に曝された場合であっても、外観不良や光学特性の劣化が生じにくい。また、かかる複合偏光板を用いた液晶表示装置は、耐久性および信頼性に優れる。
<複合偏光板>
図1は、本発明に係る複合偏光板の層構成の例を示す断面模式図である。図1に示される複合偏光板100は、偏光フィルム101の一方の面に、第1の接着剤層104を介して透明保護フィルム102が積層され、偏光フィルム101の他方の面には、第2の接着剤層105を介して位相差フィルム103が積層されたものである。以下、複合偏光板を構成する各部材について詳細に説明する。
(偏光フィルム)
本発明において、偏光フィルムとしては、特に制限されないが、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されたもの、より具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されたものを好ましく用いることができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜10,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、たとえば、10μm〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、および、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、該染色と同時に行なってもよいし、該染色の後に行なってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。上記水洗後、乾燥して得られる偏光フィルムの厚みは、たとえば、5〜50μm程度とすることができる。
(透明保護フィルム)
偏光フィルムの一方の面に積層される透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れる材料からなることが好ましい。かかる透明保護フィルム用材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレン/スチレン共重合体、スチレン/マレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状オレフィン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体などの非環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;芳香族ポリイミド、ポリイミドアミドなどのイミド系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;および、これらの樹脂のブレンド物なども、透明保護フィルム用材料として用いることができる。これらの中でも、偏光フィルムとの接着の容易さなどを考慮すると、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、および環状または非環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施しておくことが望ましい。
透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定し得るが、一般的には、強度や取り扱い性等の作業性などの点から、1〜500μm程度とされる。より好ましくは、10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。かかる範囲内の厚みであれば、偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
(位相差フィルム)
偏光フィルムの他方の面に積層される位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、nx>nz>nyの関係を満たす、いわゆる二軸性の位相差フィルムである。本発明において、オレフィン系樹脂とは、主に、エチレン、プロピレンなどの非環状脂肪族オレフィン、または、ノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する。)などの脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
上記のなかでも、オレフィン系樹脂は、主に脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂であることが好ましく、とりわけ、重合後も脂環式オレフィン由来の環状構造が主鎖中に残っている環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマーなどを挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、4,5−ジ置換体などを挙げることができ、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレンなども挙げることができる。このような主にノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位からなる樹脂は、一般にノルボルネン系樹脂と呼ばれている。
ノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位を含むノルボルネン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さないノルボルネン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、たとえば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−または4−メチルノルボルネン、4−フェニルノルボルネンなどが挙げられる。ノルボルネン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に制限されず、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ノルボルネン系樹脂のより具体的な例を挙げれば、たとえば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、さらにはこれらを水素添加した重合体または共重合体;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。共重合体とする場合における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、非共役ジエン類などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーおよび他の脂環式オレフィンの1種または2種以上を用いた共重合体であってもよい。
上記具体例のなかでも、ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。かかるノルボルネン系樹脂は、成形加工性に優れており、予め延伸処理が施されたフィルム状物とし、これに所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮させることにより、均一性が高く、大きな位相差値を有する位相差フィルムを与えることができる。このようなノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体の水素添加物の市販品としては、いずれも商品名で、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR(株)から販売されている「アートン」などがある。これらのノルボルネン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも、たとえば、(株)オプテスから「ゼオノアフィルム」の商品名で、JSR(株)から「アートンフィルム」の商品名で、また積水化学工業(株)から「エスシーナ」の商品名で、それぞれ販売されている。
また、本発明で用いる位相差フィルムには、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。たとえば、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂の例としては、上記したような環状オレフィン系樹脂と非環状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物を挙げることができる。オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて、適宜、適切なものが選択される。具体例としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などの汎用プラスチック;ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂およびポリエチレンテレフタレート系樹脂などの汎用エンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリテトラフルオロエチレン系樹脂などのスーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行なってから用いることもできる。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性付与などが挙げられる。
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂全体に対して、50重量%程度以下とすることができ、好ましくは40重量%程度以下である。他の熱可塑性樹脂の含有量をかかる範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性や機械的強度、透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
以上説明したようなオレフィン系樹脂は、一般に用いられる溶液からのキャスティング法や溶融押出法などにより、フィルムに製膜することができる。2種以上の混合樹脂からフィルムを製膜する場合、その製膜方法については特に限定されず、たとえば、樹脂成分を所定の割合で溶媒とともに撹拌混合して得られる均一溶液を用いて、キャスティング法によりフィルムを作製する方法、および、樹脂成分を所定の割合で溶融混合し、溶融押出法によりフィルムを作製する方法などを挙げることができる。得られる位相差フィルムの平滑性を高め、良好な光学均一性を得るために、溶液からのキャスティング法が好ましく用いられる。
上記オレフィン系樹脂からなるフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤など、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするため、レベリング剤を含有することもできる。
本発明で用いられる位相差フィルムは、上記式(1)に示されるように、波長590nmの光に対する面内位相差値(nx−ny)×dが150〜300nmの範囲内であり、また、上記式(2)に示されるように、Nz係数と呼ばれる(nx−nz)/(nx−ny)が0.2〜0.6の範囲内である。ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれ位相差フィルムの面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率であり、d(nm)は、位相差フィルムの厚みである。このような特定の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用いることにより、複合偏光板を液晶表示装置に適用した際に、液晶セルの表示特性を広い角度にわたって好適に補償することができる。
位相差フィルムの厚みは、20〜500μm程度の範囲内とすることができ、好ましくは20〜300μmである。厚みがこの範囲内であれば、フィルムの十分な自己支持性が得られ、広範囲の位相差を得ることができる。
位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、上記波長590nmの光に対する面内位相差値は200〜300nm程度の範囲内であることが好ましく、240〜300nmの範囲内であることがより好ましい。この波長590nmの光に対する面内位相差値を、測定波長の約1/2とすることによって、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、厚み方向への配向を十分に行なうために、その厚みは80〜160μmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは85〜145μmの範囲内である。なお、この位相差フィルムは、λ/4板として用いられてもよい。
位相差フィルムのNz係数は、0.2〜0.6の範囲内であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲内である。位相差フィルムのNz係数を0.5付近であると、角度によらず位相差値がほぼ一定の特性を達成することができ、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層は、上記偏光フィルムと上記位相差フィルムとの接着を担う層であり、本発明においては、これらのフィルムの接着に、活性エネルギー線(たとえば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する硬化性のエポキシ樹脂組成物を接着剤として用いる。したがって、第2の接着剤層は、当該硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる。第2の接着剤層の形成に用いられる接着剤は、典型的には、上記エポキシ樹脂を主成分とする、無溶剤型の硬化性エポキシ樹脂組成物である。かかる接着剤は、上記偏光フィルム、特にはポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、上記したオレフィン系樹脂からなり、特定の屈折率異方性を示す位相差フィルムとを十分に高い接着強度で貼合することができ、これにより、耐久性に優れた複合偏光板を得ることができる。偏光フィルムと位相差フィルムとの接着は、これらフィルム間に介在する接着剤の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、または加熱し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ樹脂を硬化させることにより行なうことができる。本発明において活性エネルギー線の照射または熱によるエポキシ樹脂の硬化は、好ましくは、エポキシ樹脂のカチオン重合によるものである。なお、本発明においてエポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
本発明においては、耐候性や屈折率、カチオン重合性などの観点から、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂は、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂として、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが例示できる。
水素化エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂を触媒の存在下、加圧下で選択的に核水素化反応を行なうことにより得ることができる。芳香族エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールなどの多官能型のエポキシ樹脂などが挙げられる。なかでも、水素化エポキシ樹脂として、水素化したビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
脂環式エポキシ樹脂とは、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ樹脂を意味する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、下記式に示される構造における(CH2mから1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基である。下記式中、mは2〜5の整数である。
Figure 2009251284
したがって、上記式における(CH2m中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が脂環式エポキシ樹脂となり得る。(CH2m中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基などの直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ樹脂のなかでも、オキサビシクロヘキサン環(上記式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上記式においてm=4のもの)を有するエポキシ樹脂は、優れた接着性を示すことから好ましく用いられる。以下に、本発明において好ましく用いられる脂環式エポキシ樹脂を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
(a)下記式(I)で示されるエポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
Figure 2009251284
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(b)下記式(II)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
Figure 2009251284
(式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、nは2〜20の整数を表す。)
(c)下記式(III)で示されるジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル類:
Figure 2009251284
(式中、R5およびR6は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、pは2〜20の整数を表す。)
(d)下記式(IV)で示されるポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
Figure 2009251284
(式中、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、qは2〜10の整数を表す。)
(e)下記式(V)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
Figure 2009251284
(式中、R9およびR10は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、rは2〜20の整数を表す。)
(f)下記式(VI)で示されるジエポキシトリスピロ化合物:
Figure 2009251284
(式中、R11及びR12は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(g)下記式(VII)で示されるジエポキシモノスピロ化合物:
Figure 2009251284
(式中、R13およびR14は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(h)下記式(VIII)で示されるビニルシクロヘキセンジエポキシド類:
Figure 2009251284
(式中、R15は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(i)下記式(IX)で示されるエポキシシクロペンチルエーテル類:
Figure 2009251284
(式中、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(j)下記式(X)で示されるジエポキシトリシクロデカン類:
Figure 2009251284
(式中、R18は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
上記例示した脂環式エポキシ樹脂のなかでも、次の脂環式エポキシ樹脂は、市販されているか、またはその類似物であって、入手が比較的容易であるなどの理由から、より好ましく用いられる。
(A)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔式(I)において、R1=R2=Hの化合物〕、
(B)4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔式(I)において、R1=4−CH3、R2=4−CH3の化合物〕、
(C)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と1,2−エタンジオールとのエステル化物〔式(II)において、R3=R4=H、n=2の化合物〕、
(D)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=R6=H、p=4の化合物〕、
(E)(4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=4−CH3、R6=4−CH3、p=4の化合物〕、
(F)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールと1,2−エタンジオールとのエーテル化物〔式(V)において、R9=R10=H、r=2の化合物〕。
また、脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。より具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;プロピレングリコールのジグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。本発明で使用するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲内である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の複合偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
本発明においては、反応性の観点から、エポキシ樹脂の硬化反応としてカチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射または加熱によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」といい、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「熱カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行なう方法は、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、位相差フィルムと偏光フィルムとを良好に接着できる点において有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ樹脂に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなどが挙げられる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロアンチモネート)、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなどが挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品は、容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)などを挙げることができる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や接着強度が低下する傾向にある。また、光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、20重量部を越えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性がある。
光カチオン重合開始剤を用いる場合、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を使用することで、カチオン重合の反応性が向上し、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤のより具体的な例を挙げれば、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンなどのベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンなどのアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの光光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。光増感剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部中、0.1〜20重量部の範囲内で含有されることが好ましい。
一方、熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤は、市販品として容易に入手することが可能であり、たとえば、いずれも商品名で、「アデカオプトンCP77」、「アデカオプトンCP66」(以上、株式会社ADEKA製)、「CI−2639」、「CI−2624」(以上、日本曹達株式会社製)、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業株式会社製)などが挙げられる。
接着剤に含有されるエポキシ樹脂は、光カチオン重合または熱カチオン重合のいずれかにより硬化してもよいし、あるいは、光カチオン重合および熱カチオン重合の双方により硬化してもよい。後者の場合、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とを併用することが好ましい。
また、硬化性エポキシ樹脂組成物は、オキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物をさらに含有してもよい。
オキセタン類は、分子内に4員環エーテルを有する化合物であり、たとえば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。これらのオキセタン類は、市販品として容易に入手することが可能であり、たとえば、いずれも商品名で、「アロンオキセタン OXT−101」、「アロンオキセタン OXT−121」、「アロンオキセタン OXT−211」、「アロンオキセタン OXT−221」、「アロンオキセタン OXT−212」(以上、東亞合成(株)製)などを挙げることができる。これらのオキセタン類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、5〜95重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含有される。
ポリオール類としては、フェノール性水酸基以外の酸性基が存在しないものが好ましく、たとえば、水酸基以外の官能基を有しないポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸基を有するポリオール化合物、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。これらのポリオール類の分子量は、通常48以上、好ましくは62以上、さらに好ましくは100以上、また好ましくは1,000以下である。これらポリオール類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有される。
さらに、硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の添加剤、たとえば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などを配合することができる。イオントラップ剤としては、たとえば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系およびこれらの混合系などの無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
以上のようなエポキシ樹脂を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を、偏光フィルムあるいは位相差フィルムの接着面、またはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で貼合し、活性エネルギー線を照射するか、または加熱することにより当該未硬化の接着剤層に硬化させることによって、偏光フィルムと位相差フィルムとを、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる第2の接着剤層を介して貼合することができる。接着剤の塗工方法に特別な限定はなく、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。
ここで、偏光フィルムと位相差フィルムとの接着に用いる当該エポキシ樹脂を含有する接着剤は、基本的には、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ樹脂組成物を良好に溶解するものを用いることが好ましく、特に限定されないが、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤を挙げることができる。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行なう場合、用いる光源は、特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度は、該組成物ごとに異なり得るが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および硬化性エポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、硬化性エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる可能性がある。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射時間は、該組成物ごとに制御されるものであって、やはり特に限定されないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる可能性がある。また、積算光量が5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
熱により接着剤の硬化を行なう場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件なども特に限定されないが、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行なわれ、具体的には、加熱温度は、たとえば50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、透明保護フィルムの透明性、ならびに位相差フィルムの位相差特性などの複合偏光板の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物からなる第2の接着剤層の厚さは、通常、50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下ある。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層は、偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着を担う層である。これらのフィルムの接着に用いられる接着剤(第1の接着剤層を形成する接着剤)としては、特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を挙げることができ、偏光フィルムと位相差フィルムとの接着に用いられる硬化性エポキシ樹脂組成物と同種の接着剤であってもよいし、異種の接着剤であってもよい。なかでも、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、またはこれを水に分散させたものは、接着剤層の厚みをより低減することができるため、好ましく用いられる。
水系の接着剤について説明する。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、あるいはウレタン系樹脂などを含有するものを挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」、「スミレーズレジン 675」(いずれも商品名)などがある。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合は、塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂をさらに混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。なかでも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」、「クラレポバール KL−118」、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール T−330」、「ゴーセナール T−350」、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」、「AP−17」などが挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂を含む接着剤は、上記エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂の含有量は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その配合量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度とすることが好ましく、1〜5重量部程度とすることがより好ましい。
一方、水系の接着剤に好適に用いることができるウレタン系樹脂としては、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、ウレタン樹脂を構成する骨格内に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、イソシアネート系などの架橋剤をさらに配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンなどの多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体などのポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドランアシスター C−1」などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤においては、粘度と接着性の観点から、当該ウレタン樹脂は、その濃度が10〜70重量%程度となるように水中に溶解または分散されることが好ましい。アイオノマー型のウレタン樹脂の濃度は、より好ましくは20重量%以上であり、また、より好ましくは50重量%以下である。また、イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
上記水系の接着剤を用いる場合において、偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着は、当該接着剤を透明保護フィルムおよび/または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせることにより行なうことができる。より具体的には、偏光フィルムおよび/または保護フィルムに水系の接着剤を、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなどの塗工方式で均一に塗布した後、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行なうことができる。接着性をより高めるために、乾燥後、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが好ましい。
以上に示される本発明の複合偏光板においては、その位相差フィルムの偏光フィルム側とは反対側の面に粘着剤層が設けられてもよい。かかる粘着剤層は、液晶セルなどの他の部材との貼合に好適に用いることができる。なお、粘着剤層表面上には、当該他の部材への貼合までの間、表面を保護するための剥離可能なセパレータを設けておくのが通例である。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上記複合偏光板が液晶セルの片面または両面に配置されてなる。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図であり、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置した例を示している。図2に示される液晶表示装置は、液晶セル201と、該液晶セル201の下側に配置された、粘着剤層202b/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える複合偏光板と、液晶セル201の上側に配置された、同様に、粘着剤層202a/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える複合偏光板とを有する。両複合偏光板は、それぞれ位相差フィルム103側に配置された粘着剤層202a、202bを用いて液晶セルに貼合されている。本発明の液晶表示装置は、いずれかの透明保護フィルム102の外側に、図示しないバックライトを備える。ここで、図3に示されるように、それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム103の遅相軸302と偏光フィルム101の吸収軸303が平行関係になっている。また、下側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に直交し、上側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に平行になるように構成されている。図2に示される構成の液晶表示装置は、液晶セルが横電界モードである場合に特に有効である。
本発明の液晶表示装置は、図2に示されるように、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置する構成であってもよいし、液晶セルの片面に本発明の複合偏光板を配置する構成であってもよい。後者の場合、本発明の複合偏光板が配置されない側には、別の偏光板を配置してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量または含有量を表す「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
<実施例1>
(a)硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤の調製
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)2.2部を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤Aを得た。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合した。
(b)片面透明保護フィルム付き偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコール樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
この偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルムを、5重量%ポリビニルアルコール水溶液を接着剤として用いて貼合し、乾燥させて溶媒を除去し、片面に透明保護フィルムを有する偏光フィルムとした。
(c)位相差フィルムの貼合
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-122/N、面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、面内位相差値241.9nm、Nz係数0.49であった。
こうして得られた位相差フィルムを、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、上記透明保護フィルム付き偏光フィルムの偏光フィルム面上に、上記接着剤Aを用いて貼合した後、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行ない、室温で1時間放置して、複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板に、フィルムの浮きやはがれ、気泡などはなく、外観は良好なものであった。
得られた複合偏光板における偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を、JIS K 6854−1:1999に規定される90度剥離試験により評価した。90度剥離試験において、剥離速度は200mm/分とし、試験片として、複合偏光板を幅25mm×長さ120mmの大きさに切り出したものを用いた。この試験片をシート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いてソーダガラスに固定し、(株)島津製作所製のオートグラフ「AG−1」を用いて、位相差フィルムと偏光フィルムとの間で剥がすようにして試験を行なった。その結果、90度剥離強度は、10N/25mmという非常に高い値であった。
<比較例1>
上記接着剤Aの代わりに、水100部、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール((株)クラレから販売されている「クラレポバール KL318」)3部、および、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」)1.5部からなる水系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、偏光フィルム上に位相差フィルムを接着し、複合偏光板を作製した。得られた複合偏光板は、作製直後ですら位相差フィルムと偏光フィルムとの間に剥離が生じており、90度剥離試験用の試験片を作製することができないほど、接着力が弱かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る複合偏光板の層構成の例を示す断面模式図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。 図2に示される液晶表示装置における軸角度の関係を説明するための斜視図である。
符号の説明
100 複合偏光板、101 偏光フィルム、102 透明保護フィルム、103 位相差フィルム、104 第1の接着剤層、105 第2の接着剤層、201 液晶セル、202a,202b 粘着剤層、301 液晶セルの長辺方向、302 位相差フィルムの遅相軸、303 偏光フィルムの吸収軸。

Claims (5)

  1. 偏光フィルムと
    前記偏光フィルムの一方の面に、第1の接着剤層を介して積層された透明保護フィルムと、
    前記偏光フィルムの他方の面に、第2の接着剤層を介して積層された位相差フィルムと、を備える複合偏光板であって、
    前記位相差フィルムは、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをd(nm)とするとき、波長590nmの光に対して下記式(1)を満たし、かつ、下記式(2)を満たす、オレフィン系樹脂からなるフィルムであり、
    前記第2の接着剤層は、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる複合偏光板。
    150nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
    0.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.6 (2)
  2. 前記エポキシ樹脂は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する請求項1に記載の複合偏光板。
  3. 前記オレフィン系樹脂は、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂である請求項1または2に記載の複合偏光板。
  4. 前記位相差フィルムの厚みは、20〜300μmである請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板が、液晶セルの片面または両面に配置されてなる液晶表示装置。
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