以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、図面を用いて第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置1の全体構成図であり、図2は、車両用空調装置1の電気制御部の構成を示すブロック図である。本実施形態では、車両用空調装置1は、エンジン(内燃機関)EGから車両走行用の駆動力を得る車両に搭載されている。
エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機80を作動させるためにも用いられる。そして、発電機80にて発電された電力は、バッテリ81に蓄えることができ、バッテリ81に蓄えられた電力は、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の詳細構成を説明する。この車両用空調装置1は、エンジンEGから供給される動力、およびバッテリ81から供給される電力による車室内の空調を実行可能に構成されている。
本実施形態の車両用空調装置1は、図1に示す冷凍サイクル10、室内空調ユニット30、図2に示す空調制御装置50等を備えている。
まず、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、蒸発器15、ヒータコア36、PTCヒータ37等を収容したものである。
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替箱20が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱20には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口21および外気を導入させる外気導入口22が形成されている。さらに、内外気切替箱20の内部には、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整して、ケーシング31内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア23が配置されている。
従って、内外気切替ドア23は、ケーシング31内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させて吸込口モードを切り替える風量割合変更手段(吸込口モード切替手段)を構成している。より具体的には、内外気切替ドア23は、内外気切替ドア23用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吸込口モードとしては、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉としてケーシング31内へ内気を導入する内気モード、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開としてケーシング31内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風手段である送風機32(ブロア)が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風能力)が制御される。従って、この電動モータは、送風機32の送風能力変更手段を構成している。
送風機32の空気流れ下流側には、蒸発器15が配置されている。蒸発器15は、その内部を流通する冷媒(熱媒体)と送風機32から送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する冷却手段(熱交換手段)として機能する。
具体的には、蒸発器15は、圧縮機11、凝縮器12、気液分離器13および膨張弁14等とともに、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10を構成している。圧縮機11および蒸発器15を有する冷凍サイクル10は、エンジンEGが発生する動力を利用して車室内へ吹き出される空気の温度を調整する空気温度調整手段である。
ここで、本実施形態に係る冷凍サイクル10の主要な構成について説明すると、圧縮機11は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、プーリー、ベルト等を介してエンジンEGにより回転駆動される。
圧縮機11としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチの断続により圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機のいずれを使用してもよい。
凝縮器12は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン12aから送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮機11吐出冷媒を凝縮させる室外熱交換器である。凝縮器12は、圧縮機11吐出冷媒が持つ熱を放熱させる放熱器である。
送風ファン12aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器13は、凝縮器12にて凝縮された冷媒を気液分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、液相冷媒のみを下流側に流すレシーバである。膨張弁14は、気液分離器13から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器15は、膨張弁14にて減圧膨張された冷媒を蒸発させて、冷媒に吸熱作用を発揮させる室内熱交換器である。これにより、蒸発器15は、送風空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する。
以上が本実施形態に係る冷凍サイクル10の主要構成の説明であり、以下、室内空調ユニット30の説明に戻る。ケーシング31内において、蒸発器15の空気流れ下流側には、蒸発器15通過後の空気を流す加熱用冷風通路33、冷風バイパス通路34といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34から流出した空気を混合させる混合空間35が形成されている。
加熱用冷風通路33には、蒸発器15通過後の空気を加熱するためのヒータコア36およびPTCヒータ37が、送風空気流れ方向に向かってこの順に配置されている。ヒータコア36は、エンジンEGを冷却するエンジン冷却水(以下、単に冷却水という。)を熱媒体として蒸発器15通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器(空気加熱手段)として機能する。エンジンEGは、冷却水を加熱する冷却水加熱手段として機能する。
具体的には、ヒータコア36とエンジンEGは、冷却水配管によって接続されて、ヒータコア36とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。そして、この冷却水回路40には、冷却水を循環させるための冷却水ポンプ40aが配置されている。この冷却水ポンプ40aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環流量)が制御される電動式の水ポンプである。冷却水ポンプ40aは、エンジンEGにより回転駆動されるようになっていてもよい。
ヒータコア36を有する冷却水回路40は、エンジンEGが発生する熱を利用して車室内へ吹き出される空気の温度を調整する空気温度調整手段である。
PTCヒータ37は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア36通過後の空気を加熱する補助加熱手段としての電気ヒータである。なお、本実施形態のPTCヒータ37を作動させるために必要な消費電力は、冷凍サイクル10の圧縮機11を作動させるために必要な消費電力よりも少ない。
より具体的には、このPTCヒータ37は、図3に示すように、複数(本実施形態では、3本)のPTCヒータ37a、37b、37cから構成されている。なお、図3は、本実施形態のPTCヒータ37の電気的接続態様を示す回路図である。
各PTCヒータ37a、37b、37cの正極側はバッテリ81側に接続され、負極側は各PTCヒータ37a、37b、37cが有する各スイッチ素子SW1、SW2、SW3を介して、グランド側へ接続されている。各スイッチ素子SW1、SW2、SW3は、各PTCヒータ37a、37b、37cが有する各PTC素子h1、h2、h3の通電状態(ON状態)と非通電状態(OFF状態)とを切り替えるものである。
さらに、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、独立して制御される。従って、空調制御装置50は、各スイッチ素子SW1、SW2、SW3の通電状態と非通電状態とを独立に切り替えることによって、各PTCヒータ37a、37b、37cのうち、通電状態となり加熱能力を発揮するものを切り替えて、PTCヒータ37全体としての加熱能力を変化させることができる。
一方、冷風バイパス通路34は、蒸発器15通過後の空気を、ヒータコア36およびPTCヒータ37を通過させることなく、混合空間35に導くための空気通路である。従って、混合空間35にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路33を通過する空気および冷風バイパス通路34を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、蒸発器15の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34の入口側に、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア39を配置している。従って、エアミックスドア39は、混合空間35内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。
より具体的には、エアミックスドア39は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動される回転軸と、その一端側に回転軸が連結された板状のドア本体部を有して構成される、いわゆる片持ちドアで構成されている。また、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間35から、空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口24〜26が配置されている。この吹出口24〜26としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口24、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口25、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口26が設けられている。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、およびデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出すフットデフロスタモードがある。
さらに、乗員が、図2に示す操作パネル60のスイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、図示しない電熱デフォッガを備えている。電熱デフォッガは、車室内窓ガラスの内部あるいは表面に配置された電熱線であって、窓ガラスを加熱することで防曇あるいは窓曇り解消を行う窓ガラス加熱手段である。この電熱デフォッガについても空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動を制御できるようになっている。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、図2に示すシート空調装置90を備えている。シート空調装置90は、乗員が着座する座席の表面温度を上昇させる補助加熱手段である。具体的には、このシート空調装置90は、座席表面に埋め込まれた電熱線で構成され、電力を供給されることによって発熱するシート加熱手段である。
そして、室内空調ユニット10の各吹出口24〜26から吹き出される空調風によって車室内の暖房が不十分となり得る際に作動させて乗員の暖房感を補う機能を果たす。なお、このシート空調装置90は、空調制御装置50から出力される制御信号によって作動が制御され、作動時には座席の表面温度を約40℃程度となるまで上昇させるように制御される。
車両用空調装置1は、シート送風装置、ステアリングヒータ、膝輻射ヒータを備えていてもよい。シート送風装置は、座席の内側から乗員に向けて空気を送風する送風手段である。ステアリングヒータは、電気ヒータでステアリングを加熱するステアリング加熱手段である。膝輻射ヒータは、輻射熱の熱源となる熱源光を乗員の膝に向けて照射する暖房手段である。シート送風装置、ステアリングヒータ、膝輻射ヒータの作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御可能である。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50(空調制御手段)、エンジン制御装置70およびボディ制御装置71は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
エンジン制御装置70の出力側には、エンジンEGを構成する各種エンジン構成機器が接続されている。各種エンジン構成機器としては、具体的に、エンジンEGを始動させるスタータ、エンジンEGに燃料を供給する燃料噴射弁(インジェクタ)の駆動回路(いずれも図示せず)等が接続されている。
また、エンジン制御装置70の入力側には、アクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ、車速Vvを検出する車速センサ(いずれも図示せず)等の種々のエンジン制御用のセンサ群が接続されている。
空調制御装置50の出力側には、送風機32、圧縮機11の電磁クラッチ61、送風ファン12a、各種電動アクチュエータ62、63、64、第1〜第3PTCヒータ37a、37b、37c、冷却水ポンプ40a、シート空調装置90等が接続されている。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53(日射量検出手段)、圧縮機11吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ54(吐出温度検出手段)、圧縮機11吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)、蒸発器15からの吹出空気温度(蒸発器温度)TEを検出する蒸発器温度センサ56(蒸発器温度検出手段)、エンジンEGから流出した冷却水の冷却水温度Twを検出する冷却水温度センサ58、車室内の窓ガラス近傍の車室内空気の相対湿度(以下、窓近傍相対湿度と言う。)を検出する湿度検出手段としての窓近傍湿度センサ59、窓ガラス近傍の車室内空気の温度を検出する温度センサ、および窓ガラス表面温度を検出する窓ガラス表面温度センサ等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
なお、本実施形態の蒸発器温度センサ56は、具体的に蒸発器15の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ56として、蒸発器15のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、蒸発器15を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。また、窓近傍湿度センサ59、温度センサ、および窓ガラス表面温度センサの検出値は、窓ガラス表面の相対湿度RHWを算出するために用いられる。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、オートスイッチ、運転モードの切替スイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、送風機32の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチ60a、現在の車両用空調装置1の作動状態等を表示する表示部等が設けられている。
オートスイッチは、乗員の操作によって車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除する自動制御設定手段である。車室内温度設定スイッチ60aは、乗員の操作によって車室内目標温度Tsetを設定する目標温度設定手段である。車室内温度設定スイッチ60aは、空調目標を決定する空調目標決定手段である。
また、空調制御装置50およびエンジン制御装置70は、電気的に接続されて通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50がエンジン制御装置70へエンジンEGの要求信号を出力することによって、エンジンEGの作動を要求することが可能となっている。なお、エンジン制御装置70では、空調制御装置50からのエンジンEGの作動を要求する要求信号(作動要求信号)を受信すると、エンジンEGの作動の要否を判定し、その判定結果に応じてエンジンEGの作動を制御する。
さらに、空調制御装置50は、ボディに関する各種制御を行うボディ制御装置71(ボディ制御手段)が電気的に接続されている。本実施形態の空調制御装置50には、ボディ制御装置71から出力される出力信号(ワイパの作動有無を示す信号等)が入力される。ワイパは、車両前面窓ガラスの雨滴を拭き取るワイパブレードと、ワイパブレードを保持するワイパアーム等を有している。
ここで、空調制御装置50、エンジン制御装置70およびボディ制御装置71は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
例えば、エンジン制御装置70は、エンジンEGがアイドリング状態となった際にエンジンEGを停止させるアイドルストップ制御を実施する。エンジン制御装置70のうちアイドルストップ制御する構成がアイドルストップ制御手段を構成している。
例えば、空調制御装置50のうち、送風手段である送風機32の作動を制御して、送風機32の送風能力を制御する構成が送風能力制御手段50aを構成し、圧縮機11の電磁クラッチ61の作動を制御して、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する構成が圧縮機制御手段を構成し、吹出口モードの切り替えを制御する構成が吹出口モード切替手段50bを構成している。
また、冷却手段である蒸発器15の冷却能力を制御する構成が冷却能力制御手段50cを構成し、加熱手段であるヒータコア36の加熱能力を制御する構成が加熱能力制御手段を構成している。
また、空調制御装置50におけるエンジン制御装置70と制御信号の送受信を行う構成が、要求信号出力手段50dを構成している。要求信号出力手段50dは、アイドルストップ制御を禁止してエンジンEGを作動させるアイドルストップ禁止要求をエンジン制御装置70に出力するアイドルストップ禁止要求手段を構成している。
また、エンジン制御装置70における空調制御装置50と制御信号の送受信を行うと共に、要求信号出力手段50d等からの出力信号に応じてエンジンEGの作動の要否を決定する構成(作動要否決定手段)が、信号通信手段を構成している。
次に、図4〜図12により、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。図4は、本実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとしての制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器にバッテリ81等から電力が供給された状態で、車両用空調装置1の作動スイッチが投入されるとスタートする。なお、図4〜図12中の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、ステップS1では、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値が維持されるものもある。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内目標温度Tset、吸込口モードスイッチの設定信号等がある。
次に、ステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜59の検出信号等を読み込む。また、このステップS3では、エンジン制御装置70の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、およびエンジン制御装置70から出力される制御信号等の一部も、エンジン制御装置70から読み込んでいる。
次に、ステップS4では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。従って、ステップS4は目標吹出温度決定手段を構成している。目標吹出温度TAOは、以下の数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
なお、目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置1が生じさせる必要のある熱量に相当するもので、車両用空調装置1に要求される空調熱負荷(空調負荷)として捉えることができる。
続くステップS5〜S13では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。まず、ステップS5では、エアミックスドア39の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された吹出空気温度TE、冷却水温度Twに基づいて算出する。
ステップS5の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS51では、次の数式F2により仮のエアミックス開度SWddを算出して、ステップS52へ進む。
SWdd=[{TAO−(TE+2)}/{MAX(10,Tw−(TE+2))}]×100(%)…(F2)
なお、数式F2の{MAX(10,Tw−(TE+2))}とは、10およびTw−(TE+2)のうち大きい方の値を意味している。
続く、ステップS52では、ステップS51にて算出された仮のエアミックス開度SWddに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、エアミックス開度SWを決定して、ステップS6へ進む。なお、この制御マップでは、図5のステップS52に示すように、仮のエアミックス開度SWddに対するエアミックス開度SWの値を非線形的に決定している。
これは、前述の如く、本実施形態では、エアミックスドア39として片持ちドアを採用しているために、エアミックス開度SWの変化に対する実際の送風空気の流れ方向から見た冷風バイパス通路34の開口面積および加熱用冷風通路33の開口面積の変化が非線形的な関係となるからである。
次のステップS6では、送風機32の送風能力(具体的には、電動モータに印加するブロワモータ電圧)を決定する。このステップS6の詳細については、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6に示すように、まず、ステップS611では、操作パネル60のオートスイッチが投入(ON)されているか否かを判定する。この結果、オートスイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS612で、操作パネル60の風量設定スイッチによってマニュアル設定された乗員の所望の風量となるブロワモータ電圧が決定されて、ステップS7に進む。
具体的には、本実施形態の風量設定スイッチは、Lo→M1→M2→M3→Hiの5段階の風量を設定することができ、それぞれ4V→6V→8V→10V→12Vの順にブロワモータ電圧が高くなるように決定される。
一方、ステップS611にて、オートスイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS613で、ステップS4にて決定されたTAOに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して仮ブロワレベルf(TAO)を決定する。
本実施形態における仮ブロワレベルf(TAO)を決定する制御マップは、TAOに対する仮ブロワレベルf(TAO)の値がバスタブ状の曲線を描くように構成されている。
すなわち、図6のステップS613に示すように、TAOの極低温域(本実施形態では、−30℃以下)および極高温域(本実施形態では、80℃以上)では、送風機32の風量が最大風量付近となるように仮ブロワレベルf(TAO)を高レベルに上昇させる。
また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じて送風機32の送風量が減少するように、仮ブロワレベルf(TAO)を減少させる。さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じて、送風機32の風量が減少するように仮ブロワレベルf(TAO)を減少させる。
そして、TAOが所定の中間温度域内(本実施形態では、10℃〜40℃)に入ると、送風機32の風量が最低風量となるように仮ブロワレベルf(TAO)を低レベルに低下させる。これにより、空調熱負荷に応じた基本ブロワレベルが算出される。
上述の説明から明らかなように、この仮ブロワレベルf(TAO)は、TAOに基づいて決定される値であるから、車室内設定温度Tset、内気温Tr、外気温Tam、日射量Tsに基づいて決定される値に基づいて決定されている。
続くステップS614では、窓近傍湿度センサ59が検出した窓近傍相対湿度に基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)を決定する。
すなわち、図6のステップS614に示すように、窓近傍相対湿度が95%未満の場合、下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)を0とし、窓近傍相対湿度が100%以上の場合、下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)を20とし、窓近傍相対湿度が95%以上100%未満の場合、窓近傍相対湿度の上昇に応じて下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)を上昇させる。
続くステップS615では、送風機32の送風能力を決定するために電動モータに印加する送風機電圧に対応するブロワレベルを決定する。具体的には、次の数式F3によりブロワレベルを算出する。
ブロワレベル=MAX(f(TAO),f(窓近傍相対湿度))…(F3)
なお、数式F3のMAX(f(TAO),f(窓近傍相対湿度))とは、f(TAO)およびf(窓近傍相対湿度)のうち大きい方の値を意味している。
そして、ステップS616へ進み、ステップS615にて決定したブロワレベルに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、送風機電圧(ブロワモータ電圧)を決定する。
すなわち、図6のステップS615に示すように、ブロワレベルの上昇に応じて送風機電圧(ブロワモータ電圧)を上昇させる。
これによると、窓近傍相対湿度が高いほど下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)が大きな値に決定される。このため、窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合、ブロワレベルとして下限ブロワレベルf(窓近傍相対湿度)が選択されやすくなって、送風機32の送風能力が増加されやすくなる。
次のステップS7では、吸込口モード、すなわち内外気切替箱20の切替状態を決定する。このステップS7の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。図7に示すように、まず、ステップS71では、操作パネル60のオートスイッチが投入(ON)されているか否かを判定する。この結果、オートスイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS72で、マニュアルモードに応じた外気導入率を決定してステップS8へ進む。
具体的には、吸込口モードが全内気モード(RECモード)の場合、外気導入率を0%に決定し、吸込口モードが全外気モード(FRSモード)の場合、外気導入率を100%に決定する。
一方、ステップS71にて、オートスイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS73へ進み、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、吸込口モードを決定する。
具体的には、TAOが上昇過程にあるときは、TAO≧第1所定温度T1であれば外気モードとし、第1所定温度T1>TAO≧第2所定温度T2であれば内外気混入モードとし、第2所定温度T2>TAOであれば内気モードとする。
一方、TAOが下降過程にあるときは、第3所定温度T3≧TAOであれば内気モードとし、第3所定温度T3≧TAO>第2所定温度T2であれば内外気混入モードとし、TAO>第2所定温度T2であれば、外気モードとしてステップS8へ進む。なお、各所定温度には、T1>T2>T3の関係がある。また、各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
次のステップS8では、吹出口モード、すなわちフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aの切替状態を決定する。このステップS8の詳細については、図8のフローチャートを用いて説明する。
図8に示すように、まず、ステップS81では、TAOに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して仮吹出口モードf1(TAO)を決定する。
本実施形態では、図8のステップS81に示すように、TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて仮吹出口モードf1(TAO)をフェイスモード→バイレベルモード→フットモードへと順次切り替える。従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択され易くなる。なお、図8のステップS81に示す制御マップでは、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅が設定されている。
続くステップS82では、仮吹出口モードf1(TAO)がバイレベルモードまたはフットモードであるか否かを判定する。仮吹出口モードf1(TAO)がバイレベルモードまたはフットモードであると判定した場合、ステップS83へ進み、窓近傍湿度センサ59が検出した窓近傍相対湿度に基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して吹出口モードを決定する。
具体的には、窓近傍相対湿度が95%未満の場合、吹出口モードを、ステップS81で決定した仮吹出口モードf1(TAO)とし、窓近傍相対湿度が95%以上99%未満の場合、吹出口モードをフットデフロスタモードとし、窓近傍相対湿度が99%以上の場合、吹出口モードをデフロスタモードとする。なお、図8のステップS83に示す制御マップでは、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅が設定されている。
一方、ステップS82にて仮吹出口モードf1(TAO)がバイレベルモードまたはフットモードでないと判定した場合、ステップS84へ進み、吹出口モードを、ステップS81で決定した仮吹出口モードf1(TAO)とする。
これにより、窓近傍相対湿度が高くて窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合にフットデフロスタモードまたはデフロスタモードを選択して、デフロスタ吹出口26から吹き出される風量の割合を増加させることができる。
次のステップS9では、蒸発器15からの吹出空気温度TEの目標吹出温度TEOを決定する。例えば、本実施形態では、ステップS4で決定したTAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップ(例えば図9)を参照して、蒸発器15からの吹出空気温度TEの目標吹出温度TEOを決定する。
ステップS9は、蒸発器15の目標吹出温度TEOを算出する目標吹出温度算出手段である。ステップS4では、TAOを日射量Tsに基づいて算出する。したがって、ステップS9は、蒸発器15の目標吹出温度TEOを日射量Tsに基づいて算出することになる。
次のステップS10では、PTCヒータ37の作動本数および電熱デフォッガの作動状態を決定する。まず、PTCヒータ37の作動本数の決定について説明すると、ステップS10では、外気温Tam、ステップS51にて決定した仮のエアミックス開度SWdd、冷却水温度Twに応じて、PTCヒータ37の作動本数を決定する。
このステップS10の詳細については、図10のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS101では、外気温に基づいてPTCヒータ37の作動の要否を判定する。具体的には、外気センサ52が検出した外気温が所定温度(本実施形態では、26℃)よりも高いか否かを判定する。
ステップS101にて、外気温が26℃よりも高いと判定された場合は、PTCヒータ37による吹出温アシストは必要無いと判断して、ステップS105に進み、PTCヒータ37の作動本数を0本に決定する。一方、ステップS101で、外気温が26℃よりも低いと判定された場合は、ステップS102に進む。
ステップS102、S103では、仮のエアミックス開度SWddに基づいてPTCヒータ37作動の要否を決定する。ここで、仮のエアミックス開度SWddが小さくなることは、加熱用冷風通路33にて送風空気を加熱する必要性が少なくなることを意味していることから、エアミックス開度SWが小さくなるに伴ってPTCヒータ37を作動させる必要性も少なくなる。
そこで、ステップS102では、ステップS5で決定したエアミックス開度SWを予め定めた基準開度と比較して、エアミックス開度SWが第1基準開度(本実施形態では、100%)以下であれば、PTCヒータ37を作動させる必要は無いものとして、PTCヒータ作動フラグf(SW)=OFFとする。
一方、エアミックス開度が第2基準開度(本実施形態では、110%)以上であれば、PTCヒータ37を作動させる必要があるものとして、PTCヒータ作動フラグf(SW)=ONとする。なお、第1基準開度と第2基準開度との開度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
そして、ステップS103では、ステップS102で決定したPTCヒータ作動フラグf(SW)がOFFであれば、ステップS105に進み、PTCヒータ37の作動本数を0本に決定する。一方、PTCヒータ作動フラグf(SW)がONであれば、ステップS104へ進み、PTCヒータ37の作動本数を決定して、ステップS11へ進む。
ステップS104では、冷却水温度Twに応じてPTCヒータ37の作動本数を決定する。具体的には、冷却水温度Twが上昇過程にあるときは、冷却水温度Tw<第1所定温度T1であれば作動本数を3本とし、第1所定温度T1≦冷却水温度Tw<第2所定温度T2であれば作動本数を2本とし、第2所定温度T2≦冷却水温度Tw<第3所定温度T3であれば作動本数を1本とし、第3所定温度T3≦冷却水温度Twであれば作動本数を0本とする。
一方、冷却水温度Twが下降過程にあるときは、第4所定温度T4<冷却水温度Twであれば作動本数を0本とし、第5所定温度T5<冷却水温度Tw≦第4所定温度T4であれば作動本数を1本とし、第6所定温度T6<冷却水温度Tw≦第5所定温度T2であれば作動本数を2本とし、冷却水温度Tw≦第6所定温度T6であれば作動本数を3本としてステップS11へ進む。
なお、各所定温度には、T3>T2>T4>T1>T5>T6の関係があり、本実施形態では、具体的に、T3=75℃、T2=70℃、T4=67.5℃、T1=65℃、T5=62.5℃、T6=57.5℃としている。また、上昇過程、および下降過程、における各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
また、電熱デフォッガについては、車室内の湿度および温度から窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合、あるいは窓ガラスに曇りが発生している場合は、電熱デフォッガを作動させる。
次のステップS11では、空調制御装置50からエンジン制御装置70へ出力される要求信号を決定する。この要求信号としては、アイドルストップ禁止要求信号等がある。
アイドルストップ禁止要求信号は、エンジン制御装置70に対してアイドルストップ制御の禁止を要求する信号である。アイドルストップ制御は、車両燃費の向上のために、エンジンEGがアイドリング状態となった際にエンジンEGを停止させる制御である。
アイドルストップ制御を実行するとエンジンEGが停止するので、冷凍サイクル10の圧縮機11も停止する。したがって、蒸発器15における冷媒の温度が徐々に上昇し、蒸発器15通過後の空気の温度も徐々に上昇する。すなわち、蒸発器15による空気の冷却除湿効果が徐々に減少する。また、エンジン冷却水温度が徐々に低下し、ヒータコア36通過後の空気の温度も徐々に低下する。すなわち、ヒータコア36による空気の加熱効果が徐々に減少する。
このステップS11の詳細については、図11のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1101では、空調要因のアイドルストップ可能時間を演算する。具体的には、外気温が低い程、暖房の必要があり、且つ窓が曇りやすいため、アイドルストップ可能時間が短く設定される。一方、外気温が高い場合、冷房の必要があるため、アイドルストップ可能時間は短く設定される。
次に、ステップS1102では、実際のアイドルストップ時間が、ステップS1101で設定されたアイドルストップ可能時間以上であるか否かを判定する。
なお、アイドルストップ時間は、アイドルストップ開始時にリセットされてからカウントが開始される。
実際のアイドルストップ時間がアイドルストップ可能時間以上であると判定された場合、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却やヒータコア36による空気の加熱を行うことが可能になる。
一方、実際のアイドルストップ時間がアイドルストップ可能時間未満であると判定された場合、ステップS1104へ進み、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度(本実施形態は25℃)以上であるか否かを判定する。
車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度以上でないと判定した場合、冷房運転であると判断できるので、ステップS1105へ進み、乗員による車室内温度設定スイッチ60aの操作によって車室内目標温度Tset(設定温度)が低下したか否かを判定する。
車室内目標温度Tsetが低下していないと判定した場合、空調目標が変更されず空調負荷が増加していないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
一方、車室内目標温度Tsetが低下したと判定した場合、空調目標が変更されて空調負荷が増加したと判断できるので、ステップS1107へ進み、車室内温度Tr(室温)が車室内目標温度Tset未満であるか否かを判定する。
車室内温度Trが車室内目標温度Tset未満でないと判定した場合、空調目標が達成されておらず車室内を冷房する必要があると判断できるので、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却を行うことが可能になる。
一方、車室内温度Trが車室内目標温度Tset未満であると判定した場合、空調目標が達成されていてこれ以上車室内を冷房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
一方、ステップS1104にて車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度以上であると判定した場合、暖房運転であると判断できるので、ステップS1108へ進み、乗員による車室内温度設定スイッチ60aの操作によって車室内目標温度Tset(設定温度)が上昇したか否かを判定する。
車室内目標温度Tsetが上昇していないと判定した場合、空調目標が変更されず空調負荷が増加していないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
一方、車室内目標温度Tsetが上昇したと判定した場合、空調目標が変更されて空調負荷が増加したと判断できるので、ステップS1109へ進み、車室内温度Tr(室温)が車室内目標温度Tsetを上回っているか否かを判定する。
車室内温度Trが車室内目標温度Tsetを上回っていると判定した場合、空調目標が達成されておらず車室内を暖房する必要があると判断できるので、ステップS1110へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、ヒータコア36による空気の加熱を行うことが可能になる。
一方、車室内温度Trが車室内目標温度Tsetを上回っていないと判定した場合、空調目標が達成されていてこれ以上車室内を暖房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
次に、ステップS12では、冷却水回路40にてヒータコア36とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる冷却水ポンプ40aを作動させるか否かを決定する。このステップS12の詳細については、図12のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS121では、冷却水温度Twが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。
ステップS121にて、冷却水温度Twが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS124へ進み、冷却水ポンプ40aを停止(OFF)させることを決定する。その理由は、冷却水温度Twが吹出空気温度TE以下となっている場合に冷却水をヒータコア36へ流すと、ヒータコア36を流れる冷却水が蒸発器15通過後の空気を冷却してしまうことになるため、かえって吹出口からの吹出空気温度を低くしてしまうからである。
一方、ステップS121にて、冷却水温度Twが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS122へ進む。ステップS122では、送風機32が作動しているか否かが判定される。ステップS122にて、送風機32が作動していないと判定された場合は、ステップS124に進み、省動力化のために冷却水ポンプ40aを停止(OFF)させることを決定する。
一方、ステップS122にて送風機32が作動していると判定された場合は、ステップS123へ進み、冷却水ポンプ40aを作動(ON)させることを決定する。これにより、冷却水ポンプ40aが作動して、冷却水が冷媒回路内を循環するので、ヒータコア36を流れる冷却水とヒータコア36を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS13では、シート空調装置90の作動要否を決定する。シート空調装置90の作動状態は、ステップS5で決定した目標吹出温度TAO、仮のエアミックス開度Sdd、ステップS2で読み込んだ外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して決定される。
次に、ステップS14では、上述のステップS5〜S13で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器32、12a、61、62、63、64、12a、37、40a、80に対して制御信号および制御電圧が出力される。さらに、要求信号出力手段50cからエンジン制御装置70に対して、ステップS11にて決定された要求信号が送信される。
次に、ステップS15では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、送風機32から送風された送風空気が、蒸発器15にて冷却される。そして蒸発器15にて冷却された冷風は、エアミックスドア39の開度に応じて、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34へ流入する。
加熱用冷風通路33へ流入した冷風は、ヒータコア36およびPTCヒータ37を通過する際に加熱されて、混合空間35にて冷風バイパス通路34を通過した冷風と混合される。そして、混合空間35にて温度調整された空調風が、混合空間35から各吹出口を介して車室内に吹き出される。
この車室内に吹き出される空調風によって車室内の内気温Trが外気温Tamより低く冷やされる場合には、車室内の冷房が実現されており、一方、内気温Trが外気温Tamより高く加熱される場合には、車室内の暖房が実現されることになる。
アイドルストップ時、ステップS11により、例えば、図13に示すタイムチャートのようにアイドルストップが禁止される。
図13は、冷房時におけるタイムチャートの例を示している。アイドルストップ時において車室内目標温度Tsetが低下した場合、車室内温度Trが車室内目標温度Tset以上であるとアイドルストップが禁止される。
アイドルストップが禁止されることによって冷房効果が発揮されて車室内温度Trが車室内目標温度Tsetを下回ると、再びアイドルストップが実施される。
これにより、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、乗員の空調快適性を向上させることができる。暖房時も同様であるので、暖房時のタイムチャートの例の図示を省略する。
本実施形態の車両用空調装置1では、制御ステップS11で説明した通り、空調制御装置50(アイドルストップ禁止要求出力手段50d)は、アイドルストップ制御の実施中において空調負荷が増加した場合、アイドルストップ制御を禁止してエンジンEGを作動させるアイドルストップ禁止要求をエンジン制御装置70(アイドルストップ制御手段)に出力する。
これによると、アイドルストップ制御の実施中において空調負荷が増加した場合、アイドルストップを禁止するので、空調負荷が増加した場合にエンジンEGを始動させることができる。そのため、車室内へ吹き出される空気の温度を蒸発器15やヒータコア36で調整できるので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、空調快適性を向上させることができる。
また、制御ステップS1105、S1107、S1108、S1109で説明した通り、空調制御装置50は、アイドルストップ制御の実施中において空調目標が変更されることによって空調負荷が増加した場合、変更後の空調目標が達成されるまでの間、エンジン制御装置70にアイドルストップ禁止要求を出力する。
具体的には、空調制御装置50は、アイドルストップ制御の実施中において車室内温度設定スイッチ60a(目標温度設定手段)によって車室内目標温度Tsetが変更されることによって前記空調負荷が増加した場合、車室内の温度Trが変更後の目標温度Tsetに達したと判断できるまでの間、エンジン制御装置70にアイドルストップ禁止要求を出力する。
これによると、車室内の温度Trが変更後の車室内目標温度Tsetに達して変更後の空調目標が達成されるとアイドルストップ制御を再実施するので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を極力抑制できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図14に示すように、上記第1実施形態のステップS1107、S1109をステップS1111、S1112に変更している。
ステップS1111では、車室内目標温度Tsetを変更したときの車室内温度Trから現在の車室内温度Trを減じた差ΔTr(以下、車室内温度変化量と言う。)が、変更前の車室内目標温度Tsetから現在の車室内目標温度Tsetを減じた差ΔTset(以下、車室内目標温度変更量と言う。)を上回っているか否かを判定する。
車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを上回っていないと判定した場合、空調目標が達成されておらず車室内を冷房する必要があると判断できるので、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却を行うことが可能になる。
一方、車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを上回っていると判定した場合、空調目標が達成されていてこれ以上車室内を冷房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
ステップS1112では、車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを下回っているか否かを判定する。車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを下回っていないと判定した場合、空調目標が達成されておらず車室内を暖房する必要があると判断できるので、ステップS1110へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、ヒータコア36による空気の加熱を行うことが可能になる。
一方、車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを下回っていると判定した場合、空調目標が達成されていてこれ以上車室内を暖房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
図15は、冷房時におけるタイムチャートの例を示している。アイドルストップ時において車室内目標温度Tsetが低下した場合、車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTset以下であるとアイドルストップが禁止される。
アイドルストップが禁止されることによって冷房効果が発揮されて車室内温度変化量ΔTrが車室内目標温度変更量ΔTsetを上回ると、再びアイドルストップが実施される。
これにより、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、乗員の空調快適性を向上させることができる。暖房時も同様であるので、暖房時のタイムチャートの例の図示を省略する。
本実施形態では、空調制御装置50(アイドルストップ禁止要求出力手段50d)は、アイドルストップ制御の実施中において車室内温度設定スイッチ60a(目標温度設定手段)によって車室内目標温度Tsetが変更されることによって空調負荷が増加した場合、車室内目標温度Tsetの変更前後における車室内温度Trの、空調が強くなる側への変化量ΔTrが、車室内目標温度Tsetの変化量ΔTsetよりも大きくなったと判断できるまでの間、エンジン制御装置70(アイドルストップ制御手段)にアイドルストップ禁止要求を出力する。
これによると、車室内目標温度Tsetの変更に追従して車室内温度Trが十分に変化するとアイドルストップ制御を再実施するので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を極力抑制できる。
(第3実施形態)
本実施形態におけるステップS11の詳細について、図16のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1101では、空調要因のアイドルストップ可能時間を演算する。具体的には、外気温が低い程、暖房の必要があり、且つ窓が曇りやすいため、アイドルストップ可能時間が短く設定される。一方、外気温が高い場合、冷房の必要があるため、アイドルストップ可能時間は短く設定される。
次に、ステップS1102では、実際のアイドルストップ時間が、ステップS1101で設定されたアイドルストップ可能時間以上であるか否かを判定する。
なお、アイドルストップ時間は、アイドルストップ開始時にリセットされてからカウントが開始される。
実際のアイドルストップ時間がアイドルストップ可能時間以上であると判定された場合、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却やヒータコア36による空気の加熱を行うことが可能になる。
一方、実際のアイドルストップ時間がアイドルストップ可能時間未満であると判定された場合、ステップS1104へ進み、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度(本実施形態は25℃)以上であるか否かを判定する。
車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度以上でないと判定した場合、冷房運転であると判断できるので、ステップS1113へ進み、アイドルストップ開始時から日射量が所定量(本実施形態は300W/m2)以上増加したか否かを判定する。
アイドルストップ開始時から日射量が300W/m2以上増加していないと判定した場合、空調負荷(冷房負荷)が増加していないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
一方、アイドルストップ開始時から日射量が300W/m2以上増加したと判定した場合、空調負荷(冷房負荷)が増加したと判断できるので、ステップS1114へ進み、蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEO以下であるか否かを判定する。
蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEO以下でないと判定した場合、空調目標(冷房目標)が達成されておらず車室内を冷房する必要があると判断できるので、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却を行うことが可能になる。
一方、蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEO以下であると判定した場合、空調目標(冷房目標)が達成されていてこれ以上車室内を冷房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
一方、ステップS1104にて車室内吹出空気の目標吹出温度TAOが所定の温度以上であると判定した場合、暖房運転であると判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。
図17は、冷房時におけるタイムチャートの例を示している。アイドルストップ時において日射量が所定量以上増加した場合、蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEOを上回っているとアイドルストップが禁止される。
アイドルストップが禁止されることによって冷房効果が発揮されて蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEO以下になると、再びアイドルストップが実施される。
これにより、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、乗員の空調快適性を向上させることができる。暖房時も同様であるので、暖房時のタイムチャートの例の図示を省略する。
本実施形態では、空調制御装置50(アイドルストップ禁止要求出力手段50d)は、アイドルストップ制御の実施中において日射量が増加することによって空調負荷(冷房負荷)が増加した場合、蒸発器温度TE(蒸発器15の吹出温度)が、日射量が増加した後の蒸発器目標吹出温度TEOに達したと判断できるまでの間、エンジン制御装置70(アイドルストップ制御手段)にアイドルストップ禁止要求を出力する。
これによると、アイドルストップ制御の実施中において日射量の増加によって空調負荷が増加した場合、アイドルストップを禁止するので、日射量の増加によって空調負荷が増加した場合にエンジンEGを始動させることができる。そのため、車室内へ吹き出される空気を蒸発器15で冷却することができるので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、空調快適性(冷房快適性)を向上させることができる。
また、蒸発器15の吹出温度TEが十分に低くなるとアイドルストップ制御を再実施するので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を極力抑制できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、図18のフローチャートに示すように、上記第3実施形態に対してステップS1115を追加している。
ステップS1114において、蒸発器温度TEが蒸発器目標吹出温度TEO以下でないと判定した場合、ステップS1115へ進み、日射による受熱量が所定量以上増加したか否かを判定する。具体的には、所定の時定数(本実施形態では30秒の時定数)を乗じた日射量が所定時間前(本実施形態では4秒前)と比較して増加中であるか否かを判定する。すなわち、日射による受熱量は日射量と時間で決まるため、30秒の時定数を乗じた日射量を用いて判定する。
30秒の時定数を乗じた日射量が4秒前と比較して増加中であると判定した場合、空調負荷が増加中であり車室内を冷房する必要があると判断できるので、ステップS1103へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力することを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が終了され、蒸発器15による空気の冷却を行うことが可能になる。
一方、30秒の時定数を乗じた日射量が4秒前と比較して増加中でないと判定した場合、空調負荷が増加しておらずこれ以上車室内を冷房する必要がないと判断できるので、ステップS1106へ進み、アイドルストップ禁止要求信号を出力しないことを決定して、図4に示すステップS12へ進む。これにより、アイドルストップ制御が実施され、燃費を向上させることが可能になる。本実施形態においても、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、空調制御装置50(アイドルストップ禁止要求出力手段)は、アイドルストップ制御の実施中において日射量Tsが増加することによって空調負荷(冷房負荷)が増加した場合、日射による車室内の受熱量が増加していると判断できる間、エンジン制御装置70(アイドルストップ制御手段)にアイドルストップ禁止要求を出力する。
これによると、アイドルストップ制御の実施中において日射量Tsの増加によって空調負荷が増加した場合、アイドルストップを禁止するので、日射量Tsの増加によって空調負荷が増加した場合にエンジンEGを始動させることができる。そのため、車室内へ吹き出される空気を冷却用熱交換器15で冷却することができるので、エンジンEGを始動させることによる燃費の悪化を抑制しつつ、空調快適性(冷房快適性)を向上させることができる。
また、日射による車室内の受熱量が増加していると判断できる間、アイドルストップを禁止するので、空調快適性(冷房快適性)を確実に向上させることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、車両用空調装置1は、エンジン(内燃機関)EGから車両走行用の駆動力を得る車両に搭載されているが、車両用空調装置1は、エンジンEGおよび走行用電動モータの双方から駆動力を得て走行可能なハイブリッド車両に搭載されていてもよい。