JP2016069710A - ニッケル粒子組成物、接合材及び接合方法 - Google Patents

ニッケル粒子組成物、接合材及び接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】貴金属と比較して安価なニッケル微粒子を用い、250〜350℃の温度にて良好な焼結状態を達成することで、十分な接合強度が得られる接合層を形成するするためのニッケル微粒子組成物およびそれを用いた接合材の提供。【解決手段】ニッケル粒子組成物は、A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、ニッケル元素を99重量%以上含有するニッケル粒子、B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99重量%の範囲内で含有し、粒子表面が有機化合物で被覆され、示差熱・熱重量同時測定によって200℃から250℃まで加熱したときに、0.15%/分以上の重量減少及び発熱ピークが観測されるニッケル微粒子、を含有し、成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が30:70〜70:30の範囲内であるニッケル微粒子組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品の製造に利用可能なニッケル粒子組成物、接合材及びそれを用いた接合方法に関する。
近年、省電力化の取り組みの中で、インバータなどの電力変換器の高効率化が進められている。その中でも、低損失化が期待できる次世代のパワーデバイス半導体材料として、SiC(シリコンカーバイド)の実用化が検討されている。しかしながら、現行のSi(シリコン)パワーデバイスの駆動温度が125℃程度に対して、SiCは250℃以上が想定されるため、パワー半導体チップと実装基板を接合する接合材料には高温駆動時の信頼性が必要となる。
また、2006年にEUにおいて施行されたRoHS指令により、鉛フリーのはんだ材料が求められているが、高温領域の鉛はんだ代替材料については、いまだ満足するものは得られていない。
はんだに代わる接合材料として、微小なサイズの金属がバルク金属よりも低い温度で焼結する物性を利用し、銀ナノ微粒子を中心に広く検討が行われてきた。一方で、微小な金属粒子は、その表面活性の高さゆえに粒子同士の凝集が生じやすく、分散安定性確保のために有機物などで粒子を被覆する必要がある。粒子被覆物の炭素数が大きい場合、それを揮発させるための温度は当然高温化するため、半導体実装温度としては不適であった。
このような問題に対し、特許文献1では100nm以下の金属粒子の被覆に炭素数2以上8以下の有機物を用いることで、有機物の低温揮発させることが提案され、ヘキシルアミンやオクチルアミンで被覆された銀粒子を用いた接合材料は250℃の加熱で高い接合強度を発揮すると例示されている。同様に低炭素数表面被覆材の試みとして、特許文献2では、炭素数1〜9又は11のアルコール分子残基、アルコール分子誘導体(ここで、アルコール分子誘導体とは、カルボン酸、アルデヒド又はCn−12n−1COOの一種以上に限定される)又はアルコール分子の一種以上からなる有機被覆層を形成した複合銀ナノ粒子を含有する金属ペーストが提案されている。
また、特許文献3では、金属粒子有機被覆の熱分解を熱示差・熱重量同時測定(Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis:TG−DTA)を行い、粒子の焼結性良否を判定する方法が示されている。具体的には、金属の触媒作用により有機物の熱分解温度が本来その有機物が持つ熱分解温度よりも低下し、かつ熱分解における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合に優れた焼結性であるとされる。
上記特許文献1および2は銀微粒子を例にした良好な低温焼結の例示であり、ニッケルのような銀と比較して安価な金属を粒子焼結する例は示されていない。さらに特許文献3では、フレーク状のニッケル粒子を空気気流下で熱示差天秤を測定し、有機物の熱分解温度や活性化エネルギーから焼結性が銀粒子よりも劣る判定しており、10%水素を含む還元雰囲気での焼成による接合試験では接合強度測定不可と例示されている。
特許第4872663号公報 特許第5306322号公報 特許第4633857号公報
本発明の目的は、貴金属と比較して安価なニッケル微粒子を用い、250〜350℃の温度にて良好な焼結状態を達成することで、十分な接合強度が得られる接合層を形成することである。
本発明者は上記課題に対し、特定の熱挙動を有する有機化合物で被覆されたニッケル微粒子を用いることで、250℃から350℃の間においても良好な粒子焼結状態を達成できることを見出した。
すなわち、本発明のニッケル粒子組成物は、次の成分A及びB;
A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、ニッケル元素を99重量%以上含有するニッケル粒子、
B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99重量%の範囲内で含有し、粒子表面が有機化合物で被覆され、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスからなる雰囲気中で、5℃/分の昇温速度の示差熱・熱重量同時測定によって、200℃から250℃まで加熱したときに、0.15%/分以上の重量減少及び発熱ピークが観測されるニッケル微粒子、
を含有し、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が30:70〜70:30の範囲内である。
本発明のニッケル粒子組成物は、前記有機化合物が、炭素数6〜17の範囲内にある脂肪酸であってもよい。
本発明のニッケル粒子組成物は、前記ニッケル微粒子が、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスからなる雰囲気中で、5℃/分の昇温速度の示差熱・熱重量同時測定によって、250℃を超える温度で加熱したとき、重量減少が観測されないものであってもよい。
本発明の接合材は、上記いずれかのニッケル粒子組成物を含有するものであって、前記ニッケル粒子組成物の含有量が70〜96重量%の範囲内である。
本発明の接合材は、沸点が100〜300℃の範囲内にある有機溶媒を含有し、前記有機溶媒の含有量が4〜30重量%の範囲内であってもよい。
本発明の接合材は、前記有機溶媒が1−ウンデカノール、テトラデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種を全有機溶媒に対して15重量%以上含むものであってもよい。
本発明の接合材は、更に、有機バインダー成分を含有するものであってもよい。
本発明の接合方法は、上記いずれかの接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜350℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する。
本発明のニッケル粒子組成物、接合材、接合方法は、焼結時の体積収縮が抑制され、銀などの貴金属を用いず、250〜350℃の温度にて良好な焼結状態が達成でき、十分な接合強度が得られる接合層を形成することができる。
ニッケル微粒子1のTG−DTA測定結果を示す図面である。 ペースト1の焼結性評価によるSEM画像を示す図面である。 ニッケル微粒子2のTG−DTA測定結果を示す図面である。 ニッケル微粒子3のTG−DTA測定結果を示す図面である。 ニッケル微粒子4のTG−DTA測定結果を示す図面である。 ペースト4の焼結性評価によるSEM画像を示す図面である。 ニッケル微粒子5のTG−DTA測定結果を示す図面である。 ニッケル微粒子6のTG−DTA測定結果を示す図面である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のニッケル粒子組成物は、次の成分A及びB;
A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、ニッケル元素を99重量%以上含有するニッケル粒子、
B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99重量%の範囲内で含有し、粒子表面が有機化合物で被覆され、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスからなる雰囲気中で、5℃/分の昇温速度の示差熱・熱重量同時測定によって、200℃から250℃まで加熱したときに、0.15%/分以上の重量減少及び発熱ピークが観測されるニッケル微粒子、
を含有し、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)は30:70〜70:30の範囲内である。
(成分A:ニッケル粒子)
成分Aのニッケル粒子は、加熱よる接合層形成時の体積収縮を抑制する観点から、レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内とする。平均粒子径が0.5μm未満であると、加熱による接合層形成時において体積収縮が大きくなり、被接合体同士が十分に接合しない。一方、平均粒子径が20μmを超えると、被接合体上に塗布性の悪化や、接合層厚みの調整が困難となる。
また、成分Aのニッケル粒子は、その使用目的に応じて、ニッケル元素の含有量を適宜選択すればよく、全金属元素の100重量部に対し、本発明の効果を発現するために、ニッケル元素を99重量部以上含有することが最も好ましい。例えばニッケル元素含有量を99重量部以上とするのは、一般的に市販されているニッケル粒子に含有されるニッケル元素量を目安としたものである。その他の含有成分としては、酸素や炭素の他、不純物金属を含んでもよい。また、ニッケル粒子の焼結性は、ニッケル粒子の表面又は表層部の性状に影響されるので、このような観点から、ニッケル粒子は、ニッケル元素を含有するシェル(殻部)と異種金属によるコア(中心部)からなるコア−シェル構造などの多層構造を有していてもよく、あるいは、ニッケル粒子の表層部におけるニッケル元素の濃度が中心部より高く、異種金属の濃度が中心部で高い構造を有していてもよい。このような構造を有する場合には、表層部における全金属元素に対して、ニッケル元素を好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有することがよい。
成分Aのニッケル粒子は、その製造方法を問わず利用できる。成分Aのニッケル粒子としては、例えば、関東化学工業社製(製品名:ニッケル(粉末))、シグマアルドリッチジャパン合同会社製(製品名:Nickel)などの市販品を好ましく利用できる。
(成分B:ニッケル微粒子)
成分Bのニッケル微粒子は、走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内である。ニッケル微粒子の平均一次粒子径が30nm未満であると、ニッケル微粒子が凝集しやすくなり、成分Aのニッケル粒子との均一な混合が困難となる。一方、ニッケル微粒子の平均一次粒子径が150nmを超えると、350℃以下の低温焼成において、ニッケル微粒子間もしくはニッケル微粒子とニッケル粒子との焼結能力が不十分であり、接合強度の低下を招く。なお、本明細書において、ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径は、実施例で用いた値を含めて、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission−Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として算出した値である。
また、成分Bのニッケル微粒子は、その使用目的に応じて、ニッケル元素の含有量を適宜選択すればよく、全金属元素の100重量部に対し、90〜99重量部の範囲内で含有することがよい。例えば、成分Bとして、湿式還元法で製造したニッケル微粒子や分散処理を行ったニッケル微粒子を使用する場合は、それらの平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内であると、表面被覆の炭素や不動態酸素の存在で、ニッケル元素の含有量は上記の値となる。また、ニッケル微粒子の焼結性は、ニッケル微粒子の表面又は表層部の性状に影響されるので、このような観点から、ニッケル微粒子は、ニッケル元素を含有するシェル(殻部)と異種金属によるコア(中心部)からなるコア−シェル構造などの多層構造を有していてもよく、あるいは、ニッケル微粒子の表層部におけるニッケル元素の濃度が中心部より高く、異種金属の濃度が中心部で高い構造を有していてもよい。このような構造を有する場合には、表層部における全金属元素に対して、ニッケル元素を好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有することがよい。
また、成分Bのニッケル微粒子は、ニッケル以外の金属を含有していてもよいが、その含有量は1〜10重量%の範囲内の量とすることが最も好ましい。ニッケル以外の金属としては、例えば、スズ、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、バナジウム等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム等の貴金属などの金属元素を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよい。
また、成分Bとして、湿式還元法で製造したニッケル微粒子や分散処理を行ったニッケル微粒子を使用する場合は、例えば、酸素元素、炭素元素などの非金属元素を含有していてもよい。炭素元素を含有する場合、その含有率は、例えば0.3〜2.5重量%の範囲内、好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲内である。炭素元素は、ニッケル微粒子の表面に存在する有機化合物に由来するものであり、ニッケル微粒子の分散性向上に寄与する。従って、炭素元素の含有量が0.3重量%未満では、十分な分散性が得られない場合があり、2.5重量%を超える場合は、焼成後に炭化して残炭となり、接合層の導電性を低下させる可能性がある。また、酸素元素を含有する場合、その含有率は、例えば0.7〜7.5重量%の範囲内、好ましくは1.0〜2.0重量%の範囲内である。
(ニッケル微粒子の示差熱・熱重量同時測定)
ニッケル微粒子に含まれる酸素元素、炭素元素は、焼成によって除去された場合、ニッケル金属表面が露出され、目的とするニッケル微粒子同士の焼結、もしくはニッケル粒子との焼結が進行する。上記成分が除去される熱挙動は、熱示差・熱重量同時測定(Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis:TG−DTA)によって調べることが可能であり、測定結果よりニッケル微粒子の焼結に必要最低限の温度も把握することができる。
TG−DTA測定雰囲気は、実際の接合試験時と同様に、数体積%以上の還元性ガスと不活性ガスの混合ガスでなければならない。還元性ガスを全く含まない不活性ガスのみの場合、ニッケル微粒子上での還元反応が発生しないため、正確な熱挙動を調べることができない。さらに炭素成分が除去される温度も、不活性ガスのみでは10℃以上高温で検出される場合がある。また、酸素などの酸化性ガスが含まれる場合も、ニッケル微粒子の酸化反応が進行による重量上昇が発生し、熱挙動をみるのに適さない。上記還元性ガスと不活性ガスの混合ガスとしては、例えば、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスを用いることが好ましい。
TG−DTA測定時の昇温速度は5℃/分以下が好ましい。昇温速度が速いほど炭素成分、酸素成分の除去される際の重量減少が高温化、もしくは広い温度域で観察されるため、正確な挙動が分からない場合が多い。
250℃〜350℃の間でニッケル微粒子同士の焼結、もしくはニッケル微粒子とニッケル粒子の良好な焼結状態を実現するため、成分Bのニッケル微粒子は、上記TG−DTA測定条件にて200℃から250℃の間に0.15%/分以上の重量減少が測定されることが好ましい。ニッケル微粒子を被覆している有機成分は、ニッケル微粒子表面との相互作用により安定化され、被覆有機成分自体が持つ沸点よりも高温で揮発する。そのため、低分子成分あっても200℃以上で分解揮発が生じる。200℃を下回って重量減少が生じる場合、ニッケル微粒子表面との相互作用が小さく、溶媒のように振る舞うと考えられる。その場合、ニッケル微粒子は分散安定性を得られず、凝集状態となり、接合材の機能を果たさない。また、250℃を超える温度で重量減少が測定される場合は、有機成分の炭化反応のため粒子焼結が阻害される。従って、成分Bのニッケル微粒子は、250℃を超える温度では重量減少が観測されないことが好ましい。さらに、200℃から250℃の間の重量減少が0.15%/分を下回る場合は、有機成分が十分にニッケル微粒子表面を被覆できておらず凝集状態をまねくことが懸念される。
ニッケル微粒子を上記TG−DTA条件で測定した場合、重量減少と同時に発熱ピークが観察される。この発熱は、還元性ガスを含まない雰囲気や被覆有機成分のないニッケル微粒子では測定されないため、表面有機成分がニッケル金属表面で生じた反応熱であると考えられる。
(ニッケル微粒子の合成方法)
成分Bのニッケル微粒子は、その製造方法を問わず利用できるが、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを加熱還元して析出させる公知の方法によって得られたものが好ましい(例えば、特許文献1を参照)。ここでは、湿式還元法によるニッケル微粒子の製造方法の一例について説明する。
湿式還元法によるニッケル微粒子の製造は、次の工程1及び2;
工程1)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
及び、
工程2)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆されたニッケル微粒子のスラリーを得るニッケル微粒子スラリー生成工程、を含むことができる。
工程1)錯化反応液生成工程:
(カルボン酸ニッケル)
カルボン酸ニッケル(カルボン酸のニッケル塩)は、カルボン酸の種類を限定するものではなく、例えば、カルボキシル基が1つのモノカルボン酸であってもよく、また、カルボキシル基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。このようなカルボン酸ニッケルとして、非環式モノカルボン酸ニッケルを好適に用いることができ、非環式モノカルボン酸ニッケルのなかでも、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、安息香酸ニッケル等を用いることがより好ましい。これらの非環式モノカルボン酸ニッケルを用いることによって、例えば、得られるニッケル微粒子は、その形状のばらつきが抑制され、均一な形状として形成されやすくなる。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。
(1級アミン)
1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)に対する還元能を効果的に発揮する。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも単独では使用できないが、1級アミンを使用する上で、生成するニッケル微粒子の形状に支障を与えない範囲でこれらを併用することは差し支えない。1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級アミンであっても、100℃以上の加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成するニッケル微粒子の粒径を制御することができ、特に平均一次粒子径が30nm〜150nmの範囲内にあるニッケル微粒子を製造する場合において有利である。ニッケル微粒子の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られるニッケル微粒子の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。例えばオレイルアミンは、ニッケル微粒子生成過程に於ける温度条件下において液体状態として存在するため均一溶液で反応を効率的に進行できる。
1級アミンは、ニッケル微粒子の生成時に表面修飾剤として機能するため、1級アミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、1級アミンは、還元反応後の生成したニッケル微粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元してニッケル微粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級アミンにおいては沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましく、また、炭素数が9以上のものが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族アミンのC21N(ノニルアミン)の沸点は201℃である。1級アミンの量は、ニッケル1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましく、4mol以上用いることが望ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られるニッケル微粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
(有機溶媒)
工程1では、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。有機溶媒を用いる場合、有機溶媒をカルボン酸ニッケル及び1級アミンと同時に混合してもよいが、カルボン酸ニッケル及び1級アミンを先ず混合し錯形成した後に有機溶媒を加えると、1級アミンが効率的にニッケル原子に配位するので、より好ましい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して反応を行う。この加熱は、カルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル2水和物や酢酸ニッケル4水和物のようなカルボン酸ニッケルの水和物を用いた場合に特に有利である。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した配位水と1級アミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、この錯体配位子としての水分子を解離させることができ、さらにその水を系外に出すことができるので効率よく錯体を形成させることができる。例えば、ギ酸ニッケル2水和物は、室温では2個の配位水と2座配位子である2個のギ酸イオンが存在した錯体構造をとっているため、この2つの配位水と1級アミンの配位子置換により効率よく錯形成させるには、100℃より高い温度で加熱することでこの錯体配位子としての水分子を解離させることが好ましい。また、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応における熱処理は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記の上限温度以下とし、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下とすることがよい。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができるが、錯形成反応を完結させるという観点から、10分以上とすることが好ましい。加熱時間の上限は特にないが、長時間熱処理することはエネルギー消費及び工程時間を節約する観点から無駄である。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応は、カルボン酸ニッケルと1級アミンとを有機溶媒中で混合して得られる溶液を加熱したときに、溶液の色の変化によって確認することができる。また、この錯形成反応は、例えば紫外・可視吸収スペクトル測定装置を用いて、300nm〜750nmの波長領域において観測される吸収スペクトルの吸収極大の波長を測定し、原料の極大吸収波長(例えばギ酸ニッケル2水和物ではその極大吸収波長は710nmであり、酢酸ニッケル4水和物ではその極大吸収波長は710nmである。)に対する錯化反応液のシフト(極大吸収波長が600nmにシフト)を観測することによって確認することができる。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成が行われた後、得られる反応液を、次に説明するように、マイクロ波照射によって加熱することにより、ニッケル錯体のニッケルイオンが還元され、ニッケルイオンに配位しているカルボン酸イオンが同時に分解し、最終的に酸化数が0価のニッケルを含有するニッケル微粒子が生成する。一般にカルボン酸ニッケルは水を溶媒とする以外の条件では難溶性であり、マイクロ波照射による加熱還元反応の前段階として、カルボン酸ニッケルを含む溶液は均一反応溶液とする必要がある。これに対して、本実施の形態で使用される1級アミンは、使用温度条件で液体であり、かつそれがニッケルイオンに配位することで液化し、均一反応溶液を形成すると考えられる。
工程2)ニッケル微粒子スラリー生成工程:
本工程では、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して1級アミンで被覆されたニッケル微粒子スラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られるニッケル微粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。なお、加熱温度は、例えばカルボン酸ニッケルの種類やニッケル微粒子の核発生を促進させる添加剤の使用などによって、適宜調整することができる。
本工程では、マイクロ波が反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。
均一な粒径を有するニッケル微粒子を生成させるには、工程1の錯化反応液生成工程(ニッケル錯体の生成が行われる工程)でニッケル錯体を均一にかつ十分に生成させることと、本工程2のニッケル微粒子スラリー生成工程で、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元により生成するニッケル(0価)の核の同時発生・成長を行う必要がある。すなわち、錯化反応液生成工程の加熱温度を上記の特定の範囲内で調整し、ニッケル微粒子スラリー生成工程におけるマイクロ波による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、ニッケル微粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、ニッケル微粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、ニッケル微粒子の収率の点からも好ましくはない。
マイクロ波照射によって加熱して得られるニッケル微粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、ニッケル微粒子が得られる。ニッケル微粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることが好ましい。
以上のようにして、平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内のニッケル微粒子を調製することができる。
(ニッケル粒子組成物における配合比)
ニッケル粒子組成物は、成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が30:70〜70:30の範囲内である。上記範囲よりも成分Aのニッケル粒子の割合が高くなると、焼結されていないニッケル粒子が増えることにより、接合層としての強度不足が生じる。一方、上記範囲よりもニッケル粒子の割合が低くなると、接合層全体の体積収縮が大きくなり、この場合もまた十分な接合強度が得られない。
(ニッケル微粒子被覆有機成分)
ニッケル微粒子を被覆している有機化合物は、200℃から250℃で分解・揮発することが好ましい。先述の通り、200℃を下回って重量減少が生じる場合、ニッケル微粒子表面との相互作用が小さく粒子凝集状態を引き起こす可能性がある。そこで、上記有機化合物はニッケル微粒子と相互作用が生じるような官能基を含有することが好ましく、例えば、アルコール基、アミノ基、スルファニル基、カルボキシル基、カルボニル基などが挙げられる。一方で、ニッケル微粒子表面との相互作用が強すぎる場合、250℃を超える温度でもニッケル微粒子を被覆する有機化合物が揮発しないことがあり、粒子表面で有機化合物が炭化することで焼結を阻害することが懸念される。以上を勘案すると、より好ましい官能基はカルボキシル基である。
低温揮発性とニッケル微粒子の分散性とを両立させるという観点から、ニッケル微粒子を被覆する有機化合物は、好ましくは炭素数が6〜17の範囲内、より好ましくは炭素数が6〜12の範囲内にある脂肪酸がよい。炭素数が5以下の場合は、ニッケル微粒子同士のニッケル金属表面の距離が近くなり、凝集が起こりやすくなる。また、炭素数が18以上の場合は、250℃を超える温度でも有機化合物は十分に揮発せず、粒子表面で炭化することで焼結を阻害することが懸念される。
また、脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸、環状脂肪酸、ヒドロキシル脂肪酸などが挙げられるが、この中でも特に好ましい脂肪酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸などの直鎖脂肪酸や、2−エチルヘキサン酸など分岐脂肪酸等が挙げられる。
(有機化合物の被覆処理)
ニッケル微粒子の有機化合物の被覆処理は、例えばニッケル微粒子を有機溶媒でスラリーの状態にして表面処理することができる。スラリーは、例えばニッケル微粒子と有機溶媒とを混合し、撹拌することにより製造することができる。撹拌は、特に限定されず、超音波による方法や、メカニカルスターラーやペイントシェーカーなどによる方法が挙げられるが、有機化合物の添加後にも、これらの撹拌手段を適用することができる。また、必要に応じてジェットミルやボールミルなどの解砕処理をしてもよい。
有機化合物の被覆処理で使用する有機溶媒としては、ニッケル微粒子の凝集を抑制し、被覆する有機化合物が有機溶媒に相溶するものを用いる。このようなものとしては、水と混和しない有機溶媒であり、その具体例として、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、デカン、オクタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、α−テルピネオール、ブチルカルビトール等の長鎖アルコール系、長鎖アルコールとカルボン酸とのエステル等が挙げられる。また、ニッケル微粒子が凝集しないものであれば、上記の有機溶媒以外の有機溶媒も使用可能である。
有機化合物の添加量は、ニッケル微粒子に被覆可能な量に対して過剰に添加することが好ましく、ニッケル微粒子スラリー中のニッケル量に対し、2〜100重量%程度添加する。また、ニッケル微粒子の表面に被覆されなかった余剰の有機化合物は、有機溶媒によって洗浄することが好ましい。その有機溶媒は被覆有機成分との相溶するものが好ましく、上記の有機溶媒が使用可能であり、例えばオクタンなどの炭化水素溶媒やトルエンやキシレンなどの非極性芳香族溶媒が特に好ましく挙げられる。
(接合材)
本実施の形態の接合材は、上記ニッケル粒子組成物を含有する。本実施の形態の接合材は、さらに、沸点100〜300℃の範囲内にある有機溶媒を含有することができる。接合材は、高沸点の有機溶媒を添加後、濃縮し、ペーストの形態とすることが好ましい。接合材に含有される溶媒の沸点は、実使用上の観点から、150〜260℃の範囲内が好ましい。使用する有機溶媒の沸点が100℃未満であると、長期安定性に欠ける傾向があり、300℃を超えると、加熱時に揮発せずに、接合層中に残炭が生じ、粒子同士の焼結や金属間化合物の形成を阻害する傾向がある。
接合材におけるニッケル粒子組成物の含有量は、例えば70〜96重量%の範囲内であり、85〜95重量%の範囲内が好ましい。ニッケル粒子組成物の含有量が70重量%未満であると、接合層の厚みが薄くなる場合があり、例えば塗布などを複数回繰り返す必要が生じてムラの原因となり、また十分な接合強度が得られない場合がある。一方、ニッケル粒子組成物の含有量が96重量%を超えると、ペーストとしての流動性が失われ、塗布が困難になるなど使用性が低下する場合がある。
沸点が100〜300℃の範囲内にある溶媒として、例えば、アルコール系、芳香族系、炭化水素系、エステル系、ケトン系、エーテル系の溶媒が使用できる。アルコール系溶媒の例としては、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノールなどの炭素数7以上の脂肪族アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、メチルトリグリコール等の多価アルコール類、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール等のテルピネオール類、さらにエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のエーテル基を有するアルコール類を挙げることができる。また、炭化水素系の溶媒として、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンなどを挙げることができる。これらの中でも、1−ウンデカノール、テトラデカンが好ましく、全有機溶媒に対して1−ウンデカノール及び/又はテトラデカンを15重量%〜50重量%の範囲内で含むことがより好ましい。1−ウンデカノール及び/又はテトラデカンを使用する場合、全有機溶媒に対してテルピネオールを30重量%〜85重量%の範囲内で併用することが更に好ましい。
本実施の形態の接合材における有機溶媒の含有量は、例えば、4〜30重量%の範囲内であり、5〜15重量%の範囲内が好ましい。接合材における有機溶媒の含有量が4重量%未満であると、流動性が低下して接合材としての使用性が低下する場合がある。一方、有機溶媒の含有量が30重量%を超えると、例えば塗布などを複数回繰り返す必要が生じてムラの原因となり、また十分な接合強度が得られない場合がある。
本実施の形態の接合材は、有機バインダーを含有することが好ましい。有機バインダーは、成分Aのニッケル粒子と成分Bのニッケル微粒子とを連結させ、両者を近接した状態に置くことによって、接合層を塊状にする作用を有する。本実施の形態のニッケル粒子組成物では、マイクロメートルサイズの粒子とナノメートルサイズの微粒子を含むことから、粒子サイズの相違によって、均一粒子に比べて凝集が生じにくく、粒子どうしの接点が少ない。そこに有機バインダーを添加すると、粒子どうしの連結が広範囲にわたって形成される。そして、有機バインダーによって成分Aのニッケル粒子と成分Bのニッケル微粒子との広範囲の連結状態を維持したまま、焼成を行うことによって、高い接合強度を有する塊状の接合層が得られる。
有機バインダーとしては、有機溶媒に溶解可能なバインダーであれば特に制限なく使用できるが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン樹脂、アセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、特に、分子内に、アセタール基のユニットと、アセチル基のユニットと、水酸基のユニットとを有するポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
有機バインダーは、成分Aのニッケル粒子及び成分Bのニッケル微粒子の沈降を抑制し、十分な分散状態に維持するため、例えば、分子量が30000以上のものが好ましく、100000以上のものがより好ましい。
有機バインダーとしては、例えば、積水化学工業社製ポリビニルアセタール樹脂(エスレックBH−A;商品名)などの市販品を好ましく用いることができる。
本実施の形態の接合材は、上記成分以外に、任意成分として、例えば増粘剤、チキソ剤、レベリング剤、界面活性剤などを含むことができる。
(接合方法)
本実施の形態の接合方法は、上記接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜350℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する。ニッケル微粒子どうし、ニッケル微粒子とニッケル粒子との間に焼結を進行させるためには、ニッケル微粒子およびニッケル粒子の金属表面を露出させることが必要であると考えられる。ニッケル微粒子表面に存在する有機物を揮発又は分解させる加熱温度は250℃以上が好ましく、さらには、還元性ガス雰囲気下で加熱を行うことにより、ニッケル微粒子、ニッケル粒子の両粒子表面の不動態層を除去することができる。一方、加熱温度が400℃を超えると、被接合部材としての半導体デバイス周辺にダメージを与える場合がある。
本実施の形態の接合方法は、例えば、ペースト状の接合材を一対の被接合部材の片方又は両方の被接合面に塗布する工程(塗布工程)、被接合面どうしを貼り合せ、例えば温度250〜350℃の範囲内で加熱することにより、接合材を焼結させる工程(焼成工程)を含むことができる。
接合材を塗布する塗布工程では、例えばスプレー塗布、インクジェット塗布、印刷等の方法を採用できる。接合材は、目的に応じて、例えばパターン状、アイランド状、メッシュ状、格子状、ストライプ状など任意の形状に塗布することができる。塗布工程では、塗布膜の厚みが50〜200μmの範囲内となるように、接合材を塗布することが好ましい。このような厚みで塗布をすることで、接合部分の欠陥を少なくできるため、電気抵抗の上昇や接合強度の低下を防止できる。
また、焼成工程は、被接合部材どうしを、例えば10MPa以下、好ましくは1MPa以下で加圧するか、より好ましくは無加圧状態で行うことができる。焼成工程を簡略化でき、さらには被接合部材の加圧によるダメージを減らすことができる。
本実施の形態の接合方法は、例えば、Si、SiCの半導体材料の接合や、電子部品の製造過程で利用できる。ここで、電子部品としては、主に半導体装置、エネルギー変換モジュール部品などを例示できる。電子部品が半導体装置である場合、例えば、半導体素子の裏面と基板との間、半導体電極と基板電極との間、半導体電極と半導体電極との間、パワーデバイス若しくはパワーモジュールと放熱部材との間などの接合に適用できる。
電子部品を接合させる際は、接合強度を高めるため、予め被接合面の片方又は両方に、例えば、Au,Cu,Pd,Ni,Ag,Cr,Tiあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。また、被接合面の材質が、SiCもしくはSiあるいはそれらの表面の酸化膜である場合は、例えばTi,TiW,TiN,Cr,Ni、Pd,Vあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例によって制約されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[成分Aの平均粒子径の測定]
成分Aとして使用されるニッケル粒子の平均粒子径の測定は、レーザー回折/散乱法によって行った。装置は株式会社セイシン企業製LMS−30を用い、水を分散媒としてフローセル中で測定した。
[成分Bの平均粒子径の測定]
成分B(ニッケル微粒子)の平均粒子径の測定は、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission−Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径を算出した。
[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]
示差熱・熱重量同時測定装置(Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis:TG−DTA、株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名;TG/DTA7220)を用いて確認した。測定条件は、昇温条件:5℃/分、ガスフロー:窒素/水素=97/3体積比 混合ガス 200ml/分にて実施した。
[焼成方法]
焼結性試験用サンプルの焼成は、小型イナートガスオーブン(光洋サーモシステム社製、商品名;KLO−30NH)を使用し、3%水素及び97%窒素の混合ガスを流量5L/分でフローしながら、昇温速度5℃/分で、常温から300℃もしくは350℃まで昇温した後、1時間所定温度を保持した。次いで、400分間かけて50℃まで降温した後、常温まで放置した。
[焼結性の評価]
各実施例で作製したペーストの3mgをガラス板に挟み、約10mmφとなるまで潰して焼結性試験用サンプルとした。このサンプルを所定の条件で加熱し、冷却後のガラス基板に付着した焼成後のサンプルの周辺部を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察した。焼結性の評価は、全てのニッケル微粒子において、各々の粒子界面が全て確認される状態を「不可」、各々のニッケル微粒子において、粒子界面が部分的に確認できる状態を「可」、ニッケル粒子の少なくとも1つは、粒子界面が全く確認されない状態を「良」、全てのニッケル微粒子において、粒子界面が全く確認されない状態を「最良」とした。
[せん断強度(シェア強度)の評価]
ステンレス製マスク(マスク幅;2.0mm×長さ;2.0mm×厚さ;0.1mm)を用いて、試料を金めっき銅基板(幅;10mm×長さ;10mm×厚さ;1.0mm)上に塗布して塗布膜を形成した後、その塗布膜の上に、シリコンダイ(幅;2.0mm×長さ;2.0mm×厚さ;0.40mm)を搭載し、焼成を行った。得られた接合サンプル(接合層の厚さ;50μm程度)を接合強度試験機(デイジ・ジャパン社製、商品名;ボンドテスター4000)により、せん断強度を測定した。ダイ側面からボンドテスターツールを、基板からの高さ50μm、ツール速度100μm/秒で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をせん断強度(シェア強度)とした。なお、金めっき銅基板は、Cu基板(厚さ;1.0mm)の表面に、Ni/Auをそれぞれ4μm/40〜50nmの厚みでめっきしたものであり、シリコンダイは、Si基板(厚さ;0.40mm)の接合面に、Auをスパッタしたものである。
(合成例1)
642重量部のオレイルアミンに100.1重量部の酢酸ニッケル四水和物を加え、窒素フロー下、150℃で20分加熱することによって酢酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、492重量部のオレイルアミンを加え、マイクロ波を用いて250℃で5分加熱することによって、ニッケル微粒子スラリー1を得た。
合成例1で得られたニッケル微粒子スラリー1を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して得られたニッケル微粒子の平均一次粒子径は90nmであった。
(合成例2)
182重量部のオレイルアミンに18.5重量部のギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下、120℃で10分間加熱することによって、ギ酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、121重量部のオレイルアミンを加え、マイクロ波を用いて180℃で10分間加熱することによって、ニッケル微粒子スラリー2を得た。
合成例2で得られたニッケル微粒子スラリー2を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して得られたニッケル微粒子の平均一次粒子径は40nmであった。
(合成例3)
642重量部のオレイルアミンに263.7重量部の酢酸ニッケル四水和物を加え、窒素フロー下、140℃で20分間加熱することによって酢酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、492重量部のオレイルアミンを加え、マイクロ波を用いて250℃で12分間加熱することによって、ニッケル微粒子スラリー3を得た。
合成例3で得られたニッケル微粒子スラリー3を静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して得られたニッケル微粒子の平均一次粒子径は170nmであった。
(実施例1)
<ニッケル微粒子1、ペースト1の調製と熱分析、焼結性評価および接合評価>
合成例1で得られたニッケル微粒子スラリー1を100重量部分取し、これに20重量部のオクタン酸(和光純薬工業株式会社製)、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液1(固形分濃度68.1重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子1を得た。
ニッケル分散液1の193重量部を分取し、これに、131重量部のニッケル粒子1(関東化学工業株式会社製、商品名;ニッケル(粉末)、レーザー回折/散乱法による平均粒子径;9.8μm、ニッケル元素の含有量;ニッケル粒子1の全体に対して99重量%以上)、6.9重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製、沸点;220℃)、6.9重量部の1−ウンデカノール(和光純薬工業株式会社製、沸点;243℃)、1.4重量部のバインダー樹脂1(積水化学工業株式会社製、商品名;エスレックBH−A)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、278重量部のペースト1(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子1を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.187%/分、発熱ピーク温度は210℃であった。結果を図1および表1に示す。
ペースト1を用いて上記[焼成方法][焼結性の評価]に従い、焼結性の評価を行った。300℃では「良」、350℃では「最良」の結果が得られた。SEM観察結果を図2に示す。
ペースト1を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、39.2MPaと良好な強度が得られた。結果を表1に示す。
(実施例2)
<ニッケル微粒子2、ペースト2の調製と熱分析および接合評価>
合成例1で得られたニッケル微粒子スラリー1を100重量部分取し、これに20重量部のラウリン酸、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液2(固形分濃度65.2重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子2を得た。
ニッケル分散液2の184重量部を分取し、これに、120重量部のニッケル粒子1、6.3重量部のα−テルピネオール、6.3重量部の1−ウンデカノール、1.3重量部のバインダー樹脂1を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、253重量部のペースト2(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子2を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.526%/分、発熱ピーク温度は237℃であった。結果を図3および表1に示す。
ペースト2を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、21.8MPaと十分な強度が得られた。結果を表1に示す。
(実施例3)
<ニッケル微粒子3、ペースト3の調製と熱分析および接合評価>
合成例2で得られたニッケル微粒子スラリー2を100重量部分取し、これに20重量部のオクタン酸、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液3(固形分濃度70.0重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子3を得た。
ニッケル分散液3の108重量部を分取し、これに、75.6重量部のニッケル粒子1、4.0重量部のα−テルピネオール、6.3重量部の1−ウンデカノール、0.79重量部のバインダー樹脂1を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、160重量部のペースト3(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子3を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.340%/分、発熱ピーク温度は231℃であった。結果を図4および表1に示す。
ペースト3を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、15.5MPaと十分な強度が得られた。結果を表1に示す。
(比較例1)
<ニッケル微粒子4、ペースト4の調製と熱分析および接合評価>
合成例1で得られたニッケル微粒子スラリー1を100重量部分取し、これに20重量部のジ−p−トルオイル−L−酒石酸(東京化成工業株式会社製)、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液4(固形分濃度71.5重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子4を得た。
ニッケル分散液4の122重量部を分取し、これに、87.3重量部のニッケル粒子1、4.8重量部のα−テルピネオール、4.8重量部の1−ウンデカノール、0.92重量部のバインダー樹脂1を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、185重量部のペースト4(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子4を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.112%/分、発熱ピーク温度は263℃であった。結果を図5および表1に示す。
ペースト4を用いて上記[焼成方法][焼結性の評価]に従い、焼結性の評価を行った。300℃では「不可」、350℃では「良」の結果が得られた。SEM観察結果を図6に示す。
ペースト4を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、0MPaと全く強度が得られなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
<ニッケル微粒子5、ペースト5の調製と熱分析および接合評価>
合成例1で得られたニッケル微粒子スラリー1を100重量部分取し、これに20重量部のプロピオン酸(和光純薬工業株式会社製)、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液5(固形分濃度73.1重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子5を得た。
ニッケル分散液5の116重量部を分取し、これに、85.0重量部のニッケル粒子1、4.5重量部のα−テルピネオール、4.5重量部の1−ウンデカノール、0.90重量部のバインダー樹脂1を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、185重量部のペースト5(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子5を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.165%/分、発熱ピーク温度は221℃であった。結果を図7および表1に示す。
ペースト5を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、0MPaと全く強度が得られなかった。結果を表1に示す。
(比較例3)
<ニッケル微粒子6、ペースト6の調製と熱分析および接合評価>
合成例3で得られたニッケル微粒子スラリー3を100重量部分取し、これに20重量部のオクタン酸、100重量部のトルエンを加え、15分間超音波処理をした後、トルエンで洗浄し、ニッケル分散液6(固形分濃度72.6重量%)を調製した。さらに、この一部を60℃に維持される真空乾燥機で1時間乾燥し、ニッケル微粒子6を得た。
ニッケル分散液6の131重量部を分取し、これに、95.1重量部のニッケル粒子1、5.0重量部のα−テルピネオール、5.0重量部の1−ウンデカノール、1.0重量部のバインダー樹脂1を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、201重量部のペースト6(固形分濃度94.5重量%)を調製した。
ニッケル微粒子6を用いて上記[成分Bのニッケル微粒子の熱分析]に従い、TG−DTAを測定した。200〜250℃の重量減は0.098%/分、発熱ピーク温度は198℃であった。結果を図8および表1に示す。
ペースト6を用いて上記[焼成方法]、[せん断強度の評価]に従い、接合試験サンプルを300℃で作製し、せん断強度を評価した結果、0.5MPaと十分な強度は得られなかった。結果を表1に示す。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。

Claims (8)

  1. 次の成分A及びB;
    A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、ニッケル元素を99重量%以上含有するニッケル粒子、
    B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜150nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99重量%の範囲内で含有し、粒子表面が有機化合物で被覆され、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスからなる雰囲気中で、5℃/分の昇温速度の示差熱・熱重量同時測定によって、200℃から250℃まで加熱したときに、0.15%/分以上の重量減少及び発熱ピークが観測されるニッケル微粒子、
    を含有し、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が30:70〜70:30の範囲内であるニッケル粒子組成物。
  2. 前記有機化合物が、炭素数6〜17の範囲内にある脂肪酸である請求項1記載のニッケル粒子組成物。
  3. 前記ニッケル微粒子が、3%の体積割合で水素ガスを含有する水素ガス及び窒素ガスの混合ガスからなる雰囲気中で、5℃/分の昇温速度の示差熱・熱重量同時測定によって、250℃を超える温度で加熱したとき、重量減少が観測されない請求項1又は2記載のニッケル粒子組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル粒子組成物を含有する接合材であって、前記ニッケル粒子組成物の含有量が70〜96重量%の範囲内である接合材。
  5. 沸点が100〜300℃の範囲内にある有機溶媒を含有し、前記有機溶媒の含有量が4〜30重量%の範囲内である請求項4に記載の接合材。
  6. 前記有機溶媒が1−ウンデカノール、テトラデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種を全有機溶媒に対して15重量%以上含む請求項5に記載の接合材。
  7. 更に、有機バインダー成分を含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の接合材。
  8. 請求項4〜7のいずれか1項に記載の接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜350℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する接合方法。
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