JP2016068054A - 窒素酸化物の接触還元除去触媒およびその製造方法 - Google Patents

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羽田 政明
Masaaki Haneda
政明 羽田
太田 祐介
Yusuke Ota
祐介 太田
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Abstract

【課題】ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々のリーンバーンエンジン、ボイラーなどから発生する水蒸気および高濃度の酸素を含有する排ガス中の窒素酸化物を効率良く還元除去する触媒及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化スズと酸化アルミニウムからなる複合酸化物により構成されるものであり、酸化スズ粒子が10nm以下のナノ粒子として酸化アルミニウム表面に分散担持された、水蒸気と過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中で、還元剤を使用して、窒素酸化物を選択的に還元除去するための触媒およびその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒素酸化物の接触還元除去触媒及びその製造方法に関する。
種々の内燃機関や燃焼器より排出される窒素酸化物(以下、「NOx」と記すこともある)は、人体に悪影響を及ぼすのみならず、光化学スモッグや酸性雨の発生原因ともなり得るため、環境対策上その低減が急務となっている。この排ガス中のNOx を除去する方法として、触媒を用いて低減する触媒後処理技術が、既に幾つか実用化されている。例えば、第一の方法としてガソリン自動車における三元触媒法がある。この方法では、排ガス中の酸素とNOxに含まれる酸素の合計量と、炭化水素成分および一酸化炭素が酸化されるのに必要となる酸素量とが化学量論的に等しくなる条件で高いNOx浄化性能を示す。そのため、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンのように排ガス中に多量の酸素を含む酸素過剰雰囲気下では、NOx浄化性能が低く、原理的に適用が不可能という問題がある。
また、第2の方法として、ボイラー等の大型設備排出源からの排ガスについてのアンモニアによる選択的接触還元があるが、アンモニアは非常に有毒であり、その取り扱いは容易でなく、従って小型の排ガス発生源、特に移動型発生源に適用することは技術的に困難であり、経済性も良くない。
第3の方法として、アンモニア代替還元剤として、ディーゼル車排ガスにおける尿素を還元剤とする選択的接触還元が大型ディーゼル車への実用化が実現されているが、尿素を供給するためのインフラ整備や長期使用過程における触媒の劣化など、未だに多くの課題が残されている。
第4の方法として、リーンバーンガソリン車からの排ガスにおけるNOx吸蔵還元法も実用化されているが、リーン/リッチ条件を周期的に変動させるために複雑な運転制御を必要とし、さらに硫黄酸化物により失活した触媒を再生するために周期的に燃料リッチな条件で運転する必要があり、希薄燃焼エンジンの特徴である低燃費性を犠牲にしている。
一方、上記第2〜第4の方法に替わる酸化性雰囲気におけるNOxを除去する方法として、第5の炭化水素類を還元剤還元剤とする選択的接触還元法が提案されている。本反応が開発された1990年以降、国内外を問わずに盛んに研究が行われてきており、これまでに金、銀、コバルトなどの金属や白金などの貴金属を含むアルミナなどの金属酸化物(特許文献1、非特許文献1〜2)や種々の金属を担持させたゼオライト(特許文献2、非特許文献3)、また酸化ガリウムや酸化スズ、酸化インジウムなどとアルミナの複合酸化物が有効な触媒として提案されている(特許文献3、非特許文献4〜5)。これらの方法は炭化水素の一種である燃料を還元剤に利用できることから比較的簡便なシステムが利用できるため実用化が期待される技術であるが、高いNOx除去性能を実現するため、希少元素である白金族金属や貴金属、さらにはガリウム、インジウムを比較的多量に使用する必要がある。この方法は一部の中型ディーゼル車で実用化されたが、白金、パラジウムなどの白金族金属が触媒成分として用いられているため、元素戦略上、資源量が豊富で、かつ少量成分で高いNOx除去性能を実現できる新規窒素酸化物接触還元除去触媒が望まれていた。
特開平1-224047 特開平1-130735 特開平11-019512
"Alumina-supported silver catalysts for the selective reduction of nitric oxide with propene and oxygen-containing organic compounds", Tatsuo Miyadera, Applied Catalysis B, 2, 199-205 (1993). "A review of the selective reduction of NOx with hydrocarbons under lean-burn conditions with non-zeolitic oxide and platinum group metal catalysts", R. Burch, J.P. Breen, F.C. Meunier, Applied Catalysis B, 39, 283-303 (2002). 「O2及びSO2存在下での炭化水素によるNOの選択還元」岩本正和、八尋秀典、田宇喜裕、春藤聖二、水野哲孝、触媒、32、430−433 (1990). 「スズ担持アルミナ触媒によるNO選択還元反応に対する共存SO2の影響」田畑光紀、吉成知博、宮本勝見、山崎初太郎、浜田秀昭、日本エネルギー学会誌、75、424−432 (1996). "Recent advances in catalytic DeNOx science and technology", Ziming Liu, Seongt Ihl Woo, Catalysis Review, 48, 43-89 (2006).
本発明の課題は、窒素酸化物の還元処理に関し、酸化性雰囲気で、ガソリン機関は勿論のこと、ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々の設備から発生する排ガス中の窒素酸化物を効率良く還元できる、資源量が豊富な元素を少量含む窒素酸化物接触還元触媒の提供、及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記の従来技術に存在する問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、レアメタル元素ではない、酸化スズと酸化アルミニウム(アルミナ)からなる複合酸化物で構成され、10nm以下の酸化スズナノ粒子をアルミナ表面に分散担持させ、酸化条件下で焼成することにより製造された窒素酸化物接触還元触媒が、水蒸気の共存・非共存にかかわらず、幅広い温度条件でNOxを酸素過剰雰囲気下で炭化水素によって効率よく還元できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
・ 過剰酸素雰囲気下で、炭化水素により窒素酸化物を選択的に還元する触媒であって、酸化スズと酸化アルミニウムからなる複合酸化物により構成され、粒子径10nm以下酸化スズ粒子が酸化アルミニウム表面に分散して担持されている、窒素酸化物接触還元除去触媒。
・ 前記酸化スズの担持量が酸化アルミニウムに対して1重量%〜10重量%である前記[1]に記載の窒素酸化物接触還元除去触媒。
・ 水溶性スズ塩、高級不飽和脂肪酸を含む水溶液をアルカリ性にして得られる沈殿物を蒸留水に懸濁させてpHを10.5〜12.0に調製した溶液を作製し、当該溶液をオートクレーブ内にて150〜200℃の温度で処理することにより酸化スズナノ粒子を含有する溶液を作製し、その後酸化スズナノ粒子を含浸被着させた酸化アルミニウムを温度500〜900℃、酸素を含む雰囲気で熱処理を行う、窒素酸化物接触還元除去触媒の製造方法。
[4]水溶性スズ塩、高級不飽和脂肪酸及び酸化アルミニウムを含む水溶液をアルカリ性にして得られる沈殿物を蒸留水に懸濁させてpHを10.5〜12.0に調製した溶液をオートクレーブ内にて150〜200℃の温度で処理することにより酸化スズナノ粒子を被着させた酸化アルミニウムを温度500〜900℃、酸素を含む雰囲気で熱処理を行う、窒素酸化物接触還元除去触媒の製造方法。
本発明により得られる窒素酸化物接触還元触媒は、炭化水素による窒素酸化物の選択還元反応において、酸素過剰雰囲気下においても80%を超えるNOx転化率が得られるとともに、約50%を超えるNOx転化率が約150℃という広範な温度範囲にわたり得られる。また本発明により得られる窒素酸化物接触還元触媒の製造方法は、溶媒に水のみを使用するため環境に対する負荷の小さいグリーンプロセスである。
図1 (a)、図1(b)、図1(c)はそれぞれ、150℃、180℃、200℃で水熱合成した酸化スズナノ粒子のTEM観察結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明の触媒の構成主成分であるアルミナ(Al)は耐熱性および耐水性の高い金属酸化物であり、従来公知の方法や金属塩水溶液にアンモニア水などのアルカリ性の水溶液を加えることにより沈殿を得る沈殿法、アルコキシド化合物を用いるゾル・ゲル法など、いかなる方法で合成されたものを使用してもよい。
本発明の触媒は、粒子径が10nm程度以下の酸化スズ粒子をアルミナ粒子表面に分散担持させることが特徴である。アルミナ表面に酸化スズを分散担持する方法としては、最も汎用的な含浸法がある。含浸法は、四塩化スズなどのスズ原料塩の水溶液をアルミナ粉末に浸漬させた後、乾燥および焼成する方法である。この方法では、アルミナ表面に酸化スズを選択的に分散担持できるが、酸化スズの粒子径を小さくすることは困難であり、多くの場合、20nm以上の大きな酸化スズ粒子が析出する。また、酸化スズをアルミナにナノ分散する方法としてゾル・ゲル法の利用が考えられるが、ゾル・ゲル法では合成過程でSn‐O‐Alなる結合が三次元的に構築され、複合粒子内部に触媒活性成分であるスズが取り込まれて、触媒反応に関与しないスズが存在することになり、元素戦略上好ましくない。また、酸化スズの担持量が酸化アルミニウムに対して1重量%〜10重量%であることが好ましく、3重量%〜7重量%であることがより好ましい。
本発明では、上記の課題を克服するため、粒子径が10nm程度以下の酸化スズナノ粒子を合成し、アルミナ表面に選択的に分散担持する方法を採用した。すなわち、まず四塩化スズなどのスズ原料塩とナノ粒子の保護剤であるオレイン酸カリウムなどの高級不飽和脂肪酸を含む水溶液に炭酸水素アンモニウムなどのアルカリ性原料の水溶液を滴下することにより、沈殿物を生成する。この沈殿物をろ過・捕集後、さらに蒸留水に分散させ、アンモニア水などで水溶液のpHを10.5〜12.0に制御した水溶液を調製する。得られた水溶液をオートクレーブ内に移し、温度150〜200℃で1〜20時間、加熱撹拌することで酸化スズナノ粒子を合成する。合成された酸化スズナノ粒子を含む溶液をアルミナに含浸し、乾燥および空気中で焼成することで、酸化スズナノ粒子をアルミナ表面に分散担持された触媒を調製する。
また酸化スズナノ粒子とアルミナの相互作用を強めるため、上記の四塩化スズなどのスズ原料塩とナノ粒子の保護剤であるオレイン酸カリウムなどの高級不飽和脂肪酸を含む水溶液にアルミナ粉末を混合した水溶液を用いて、上記のオートクレーブを用いる方法と同様の方法でも触媒を調製できる。この方法で調製することにより酸化スズナノ粒子がより高分散でアルミナ表面に担持され、さらなるNOx除去性能の向上が図られる。
上記方法において、スズ原料、保護剤およびアルカリ性原料は四塩化スズ、オレイン酸カリウム、炭酸水素アンモニウムあるいはアンモニア水の組合せに限定されるものではなく、スズ原料として、酢酸スズ、シュウ酸スズ、あるいはスズイソプロポキシド、保護材としてポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルカリ性原料として炭酸ナトリウム、尿素、ジメチルアミンなどの有機アミン類などが同様に利用できる。また調製した触媒は、原料に含まれる有機物や硝酸イオンなどを分解するために必要であり、空気中で、400〜1000℃、より好ましくは500〜700℃で焼成を行う。なお、 本発明の触媒は、粉状、粒状、ペレット状、ハニカム状等、種々の形状で使用することができ、その形状、構造を特定するものではない。
本発明において、処理の対象となるNOx含有ガスは、ディーゼル車や定置式ディーゼル機関等のディーゼル排ガス、リーンバーンガソリン車等の排ガスをはじめ、各種燃焼設備等の排ガスをあげることができる。これら排ガス中のNOxの除去は、上記の本発明の触媒を用い、該触媒に、酸素を含む酸化雰囲気中で、炭化水素存在下で排ガスを接触させることにより行う。窒素酸化物として一酸化窒素(NO)、炭化水素類あるいは燃料還元剤としてプロピレン(C)をそれぞれ例にとれば、以下の一般式(1)に示す反応式により進行すると推測される。

ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含まれる炭化水素を完全に酸化してCOに変換するのに必要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれる雰囲気である。したがって、一般式(1)でNOをNにまで還元させるには、CがNOによってHOとCOにまで酸化されることが必要である。過剰酸素存在下でCの酸素による過度な酸化を抑えつつ、Cなどの還元剤とNOの選択的な反応を促すために、本発明の酸化スズナノ粒子をアルミナに分散担持した触媒は有効に作用するものと考えられる。なお、本発明の触媒によるNOの還元反応において、還元生成物の殆どはNであり、極く僅かにNOの生成が認められるだけである。
上記の炭化水素は排ガス中に残存するものであり、炭化水素の量は特に制限されない。ただし、必要な理論量より過剰とした方が還元反応はより進行されるので、一般には、過剰に存在させるのが好ましい。炭化水素を還元剤とする場合、メタン換算でNOxの還元除去に必要な理論量の2〜20倍(NO: 500ppmに対して1000〜10,000ppm)の過剰、好ましくは4〜10倍量の過剰とする。ここで、メタン換算とは、炭素数2以上の炭化水素について、その量(ppm)にその炭素数を乗じた値を言う。したがって、プロピレン250ppmは、メタン換算にて750ppmである。
本発明の触媒によってNOxを還元除去する際に使用する還元剤としては、可燃性の有機化合物などの含炭素物質であればどのような物質でも有効であるが、実用性からは軽油や重油などの燃料あるいは燃料を改質することなどにより得られる炭化水素類が好ましい。一方で、単一炭化水素であるメタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレンなどのガス類やペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの液体類も使用することができる。これらの炭化水素類や含酸素有機化合物は、一種のみを使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の触媒を用いたNOx還元除去反応は、本発明の触媒を配置した反応器内に、過剰酸素に加えて水蒸気が存在する酸化性雰囲気中で、炭化水素を存在させて、NOx含有排ガスを通過させることにより行ってもよい。このときの反応温度は、本発明における複合酸化物触媒の含有量、あるいは炭化水素類の種類により異なるが、排ガスの温度に近い温度が、排ガスの加熱設備などを必要としないので好ましく、100〜800℃ 、特に200〜600℃の範囲が好ましい。反応圧力は、特に制限されず、加圧下でも減圧下でも反応は進むが、通常の排気圧で排ガスを触媒層へ導入して、反応を進行させるのが便利である。また、ガス空間速度(GHSV)は、触媒の種類、他の反応条件、必要なNOx除去率等で決まり、特に制限はないが、概して、約500〜200、000h−1、好ましくは約1,000〜100,000h−1の範囲が適している。なお、本発明の触媒を内燃機関からの排ガス処理に用いる場合、排気マニホールドの下流に配置するのが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:酸化スズナノ粒子の合成)
四塩化スズ(SnCl4・5H2O) 0.52g、オレイン酸カリウム(C17H33COOK) 0.47gを蒸留水2.9gに溶解させた水溶液に、炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3) 0.47gを蒸留水1.5gに溶解させた水溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。生成した沈殿を遠心分離機を用いて蒸留水で洗浄、捕集した。得られた沈殿をオートクレーブで使用するテフロン製容器に投入し、蒸留水10.9gを加え、さらに25% アンモニア水を加えて、水溶液のpHを10.5〜12に制御した。テフロン製容器をオートクレーブ内にセットし、温度150〜200℃で1〜20時間、オートクレーブを撹拌しながら合成を行った。合成後、オートクレーブからテフロン製容器を取り出し、酸化スズナノ粒子を含む溶液を得た。このようにして調製した酸化スズナノ粒子について透過型電子顕微鏡による形状観察を行った。水溶液のpHを12に調整し、合成時間を3時間として、温度を150℃、180℃、および200℃で変化させて合成した酸化スズナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。図1から明らかなように、温度を高くするとともに酸化スズの粒子径が大きくなった。表1には種々の条件で合成した酸化スズナノ粒子の粒子径をまとめる。表1から明らかなように、溶液のpH、合成温度を制御することで粒子径が3.4〜4.8nmの範囲の酸化スズナノ粒子を合成することができた。
(実施例1:酸化スズナノ粒子のアルミナへの担持)
前記のように、合成した酸化スズナノ粒子のアルミナへの担持は含浸法により行った。酸化スズナノ粒子を含む水溶液(SnO2-NP-A〜H)に水澤化学社製アルミナ(商品名 ”GB-45”、180m2/g)3.8gを加え、80℃に保温したホットプレート上で撹拌しながら余分な水分を除去した後、110℃で一昼夜乾燥後、空気中600℃で5時間焼成して、アルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒を得た。このとき触媒に対する酸化スズの含有量は、二酸化スズ(SnO2)換算で5wt%であった。このようにして調製したアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒について粉末X線回折法(XRD)により結晶構造を調べたところ、酸化スズナノ粒子の合成条件にかかわらず、全ての触媒についてSnO2とg-Al2O3の生成が認められた。
(実施例1:アルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒のNO選択還元活性評価)
上記のように、酸化スズナノ粒子のアルミナへの担持した本発明の触媒0.1gを常圧流通式反応装置に充填し、約1000ppmの一酸化窒素(以下、「NO」と記す) 、約10vol%の酸素、約1000ppmのプロピレンを含むヘリウムバランスの模擬排ガスを、毎分50mlの流速(SV = 20,000h-1に相当)で流して反応を行った。反応ガスの分析はガスクロマトグラフを用いて行い、N2、N2O、CO、CO2などを定量した。NOの還元除去率は生成したN2の収率から求めた。評価結果を表2に示す。
(比較例1:酸化スズとアルミナとの物理的混合による触媒)
実施例1において、水溶液のpHを12に調整し、温度150℃、3時間の条件で合成した酸化スズナノ粒子を含む溶液(SnO2-NP-A)を110℃で乾燥後、空気中600℃で5時間焼成して酸化スズ粉末を得た。このようにして調製した酸化スズ粉末0.20gと実施例1で用いた水澤化学社製のアルミナ3.8gを計り取り、メノウ乳鉢で粉砕混合した。このようにして得られた物理的に混合した触媒(比較例2)、およびアルミナ単体(比較例1:Al2O3-G)について、実施例1と同様にして活性評価を行った。評価結果を表2に示す。
表2より、アルミナ単独(比較例1)では600℃で最も高いNO還元率を示したが、アルミナに酸化スズナノ粒子を分散担持することで(実施例1)、300〜500℃までの温度範囲で顕著なNO還元率の向上が見られた。酸化スズとアルミナを物理混合した触媒(比較例2)においてもアルミナ単独と比較して350〜450℃の温度域でNO還元率は向上したが、アルミナに酸化スズナノ粒子を分散担持した触媒(実施例1)の方が高く、酸化スズナノ粒子のアルミナへの分散担持が高いNO還元活性発現のためには重要であるがわかる。アルミナに分散担持する酸化スズナノ粒子の粒子径の影響は顕著ではなく、合成した3.4〜4.8nmの範囲の酸化スズナノ粒子の全てについて顕著な効果が認められた。
(実施例2)
四塩化スズ(SnCl4・5H2O) 0.52g、オレイン酸カリウム(C17H33COOK) 0.47g、水澤化学社製アルミナ(商品名 ”GB-45”、180m2/g)3.8gを蒸留水40.0gに分散させた溶液に、25% アンモニア水を滴下し、室温で2時間撹拌した。生成した沈殿を遠心分離機を用いて蒸留水で洗浄、捕集した。得られた沈殿をオートクレーブで使用するテフロン製容器に投入し、蒸留水10.9gを加え、さらに25% アンモニア水を加えて、水溶液のpHを12に制御した。テフロン製容器をオートクレーブ内にセットし、150、180、200℃の温度条件で3時間、オートクレーブを撹拌しながら合成を行った。合成後、オートクレーブからテフロン製容器を取り出し、生成した沈殿を遠心分離機を用いて蒸留水で洗浄、捕集した。得られた沈殿を110℃で一昼夜乾燥後、空気中600℃で5時間焼成して、アルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒を得た。このようにして得られたアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒について、実施例1と同様にして活性評価を行った。評価結果を表3に示す。
(実施例3)
使用したアルミナを、住友化学社製アルミナ(商品名”AKP-G015”、151m2/g)とした以外は、実施例2と同様にしてアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒を調製した。このようにして得られたアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒について、実施例2と同様にして活性評価を行った。評価結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例3で用いた住友化学社製のアルミナ(Al2O3-A)について、実施例2と同様にして活性評価を行った。評価結果を表3に示す。
表3より、アルミナとスズ原料を同時に水熱合成して得られた触媒(実施例2)は、250〜500℃までの温度範囲においてベースとなるアルミナ単独(比較例1)と比較して、NO還元率の顕著な向上が見られた。また種類の異なるアルミナを用いてスズ原料と同時に合成して得られた触媒(実施例3)においても、ベースとなるアルミナ単独(比較例3)と比較して、250〜500℃までの温度範囲においてNO還元率の顕著な向上が見られた。アルミナとスズ原料を同時に水熱合成する触媒の製造方法はアルミナの種類に関係なく、高いNO還元率を示す触媒の合成に効果的であることが確認された。
(実施例4)
実施例2で調製したアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒”SnO2/Al2O3-G-150”について、反応ガスとして酸素および炭化水素にさらに10vol%の水蒸気を加えた以外は、実施例3と同様にして活性評価を行った。なお、水分はマイクロシリンジポンプを用いて反応管の加温部に水を添加し、水蒸気として導入した。評価結果を表4に示す。
(実施例5)
実施例3で調製したアルミナ担持酸化スズナノ粒子触媒”SnO2/Al2O3-A-200”について、反応ガスとして酸素および炭化水素にさらに10vol%の水蒸気を加えた以外は、実施例3と同様にして活性評価を行った。なお、水分はマイクロシリンジポンプを用いて反応管の加温部に水を添加し、水蒸気として導入した。評価結果を表4に示す。
(比較例4)
水澤化学社製のアルミナについて、反応ガスとして酸素および炭化水素にさらに10vol%の水蒸気を加えた以外は、実施例3と同様にして活性評価を行った。なお、水分はマイクロシリンジポンプを用いて反応管の加温部に水を添加し、水蒸気として導入した。評価結果を表4に示す。
(比較例5)
住友化学社製のアルミナについて、反応ガスとして酸素および炭化水素にさらに10vol%の水蒸気を加えた以外は、実施例3と同様にして活性評価を行った。なお、水分はマイクロシリンジポンプを用いて反応管の加温部に水を添加し、水蒸気として導入した。評価結果を表4に示す。
(比較例6)
比較例2で調製した酸化スズとアルミナの物理的に混合した触媒”SnO2+Al2O3” について、反応ガスとして酸素および炭化水素にさらに10vol%の水蒸気を加えた以外は、実施例3と同様にして活性評価を行った。なお、水分はマイクロシリンジポンプを用いて反応管の加温部に水を添加し、水蒸気として導入した。評価結果を表4に示す。
表4より、10vol%の水蒸気が共存する条件においても本発明の触媒(実施例4および実施例5)は、アルミナ単独(比較例4、5)や物理混合触媒(比較例6)と比較して、250〜600℃までの測定を行った全温度範囲で高いNO還元率を示した。このことから本発明の触媒は、水蒸気が共存する実排ガスにおいても高効率でNOを還元できることが確認された。
本発明の触媒は、過剰酸素を含む排ガス中のNOxの低減に有効な活性を示すものであり、ディーゼル機関やリーンバーンガソリンエンジンをはじめ、種々の内燃機関や燃焼器の排ガス処理技術として利用されることが期待され、産業上の利用可能性が極めて高いものである。

Claims (4)

  1. 過剰酸素または水蒸気共存下で、炭化水素により窒素酸化物を選択的に還元する触媒であって、酸化スズと酸化アルミニウムからなる複合酸化物により構成され、粒子径10nm以下酸化スズ粒子が酸化アルミニウム表面に分散して担持されている、窒素酸化物接触還元除去触媒。
  2. 前記酸化スズの担持量が酸化アルミニウムに対して1重量%〜10重量%である請前記請求項1に記載の窒素酸化物接触還元除去触媒。
  3. 水溶性スズ塩、高級不飽和脂肪酸を含む水溶液をアルカリ性にして得られる沈殿物を蒸留水に懸濁させてpHを10.5〜12.0に調製した溶液を作製し、当該溶液をオートクレーブ内にて150〜200℃の温度で処理することにより酸化スズナノ粒子を含有する溶液を作製し、その後酸化スズナノ粒子を含浸被着させた酸化アルミニウムを温度500〜900℃、酸素を含む雰囲気で熱処理を行う、窒素酸化物接触還元除去触媒の製造方法。
  4. 水溶性スズ塩、高級不飽和脂肪酸及び酸化アルミニウムを含む水溶液をアルカリ性にして得られる沈殿物を蒸留水に懸濁させてpHを10.5〜12.0に調製した溶液をオートクレーブ内にて150〜200℃の温度で処理することにより酸化スズナノ粒子を被着させた酸化アルミニウムを温度500〜900℃、酸素を含む雰囲気で熱処理を行う、窒素酸化物接触還元除去触媒の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3207991A1 (en) * 2016-02-17 2017-08-23 Korea Institute of Energy Research Direct synthesis method of nanostructured catalyst particles on various supports and catalyst structure produced by the same
US10384201B2 (en) 2016-02-17 2019-08-20 Korea Institute Of Energy Research Direct synthesis method of nanostructured catalyst particles on various supports and catalyst structure produced by the same

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