JP3215865B2 - 窒素酸化物接触還元触媒及び窒素酸化物の接触還元方法 - Google Patents

窒素酸化物接触還元触媒及び窒素酸化物の接触還元方法

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JP3215865B2
JP3215865B2 JP17576697A JP17576697A JP3215865B2 JP 3215865 B2 JP3215865 B2 JP 3215865B2 JP 17576697 A JP17576697 A JP 17576697A JP 17576697 A JP17576697 A JP 17576697A JP 3215865 B2 JP3215865 B2 JP 3215865B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物接触還
元触媒及び窒素酸化物の接触還元方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の内燃機関や燃焼器より排出される
窒素酸化物(以下、「NOx」と記すこともある)を大
気中に放出することは、人体に悪影響を及ぼすのみなら
ず、光化学スモッグや酸性雨の発生原因ともなる。環境
を保全するためには、それらの低減対策が急務となって
いる。従来、このNOxを除去する方法として、触媒を
用いて排ガス中のNOxを低減する方法がすでに幾つか
実用化されている。具体的には、(イ)ガソリン自動車
の排ガスを三元触媒により処理する方法や、(ロ)ボイ
ラーなどの大型設備排出源からの排ガスのアンモニア存
在下における選択的接触還元法が挙げられる。また、最
近、(ハ)酸化性雰囲気において炭化水素類を還元剤と
してNOxを還元する方法が提案されており、銅、コバ
ルトなどの金属を担持させたアルミナなどの金属酸化物
若しくは種々の金属を担持させたゼオライトが触媒とし
て用いられる(特開昭63−100929号、特開昭6
3−283727号参照)。上記(イ)の方法は、炭化
水素成分と一酸化炭素を含有するガソリン自動車の燃焼
排ガスを、白金族金属を含有する触媒と接触させて、炭
化水素と一酸化炭素を水と二酸化炭素とし、同時に前記
排ガスに含まれるNOxを窒素に還元しようとするもの
である。しかし、この方法では、炭化水素成分および一
酸化炭素は酸化するために必要とする酸素量と排ガス中
の酸素濃度(NOx中に含まれる酸素量を含む)から計
算される酸素と化学量論的に等しくなるように調節する
必要があり、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジ
ンのように排ガス中に多量の酸素を含む雰囲気下では、
原理的に適用不可能であるなどの指摘があり、困難とさ
れていた。最近、酸素過剰雰囲気下においても、NOx
を浄化できる白金族金属含有三元触媒が提案されている
が、その還元率は低く、また、還元副生物として亜酸化
窒素が多量に生成するなどの問題があり、本質的な課題
解決には至っていない。また、上記(ロ)の方法では、
存在させるアンモニアが有毒で、しかも多くの場合に、
高圧ガスの状態で用いなければならないため、その取り
扱いが容易でなく、また設備が巨大化し、小型の排ガス
発生源、特に移動型発生源に適用することは技術的にも
困難である上、経済性も良くない。そして、上記(ハ)
の方法は、酸化性雰囲気においてもNOxを還元除去で
きる新しい方法として発表され、注目されている。しか
しながら、これまで提案されている銅等を担持したゼオ
ライト、アルミナ等の触媒について実際に検討してみる
と、使用にともない、ゼオライトでは高温水熱条件下に
おいて骨格が破壊され、また、アルミナでは硫黄酸化物
により活性点が覆われしまうために、NOx除去活性の
大幅な低下をもたらすことが分かった。このことは、窒
素酸化物の還元処理と同時に活性が低下した触媒を再生
或いは交換する必要があることを意味している。したが
って、移動する自動車の触媒反応器に使用することは不
可能であり、ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジ
ンの排ガスに含まれるNOxを前記の触媒で除去するこ
とには適していない。更に、最近、アルミナ担体に酸化
ガリウムを浸漬する触媒が提案されているが(日本化学
会第70年春季年会2PC079)、本発明者らの検討
によれば、かなりの高温とすることにより、還元率を高
くすることができるものではあるが、低温域では、十分
な還元率を得ることはできないことが分かった。又、排
ガスには水蒸気が存在したり、又、硫黄酸化物が存在す
るのであるが、このような状態では窒素酸化物の還元率
の点で満足する結果が得られないなどの問題点があるこ
とも分かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、窒素
酸化物の還元処理に関し、酸化性雰囲気で、かつ水蒸気
および硫黄酸化物共存下においても、ガソリン機関は勿
論のこと、ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々の設
備から発生する排ガス中の窒素酸化物を効率良く還元で
きる窒素酸化物接触還元触媒の提供、及び窒素酸化物の
接触還元方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の従
来技術に存在する問題を解決するために研究を重ねた結
果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によ
れば、5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜20重量
%の酸化アルミニウムからなる複合酸化物により構成さ
れるものであり、アルミニウムのアルコキシド化合物を
水及び酸の存在下に加水分解させてアルミニウムベーマ
イトとし、次にガリウム化合物を混合し、得られる混合
物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することにより製造す
るものであることを特徴とする窒素酸化物接触還元触媒
が提供される。また、窒素酸化物、酸素並びに炭化水素
叉は含酸素有機化合物、場合によりさらに水蒸気、及び
硫黄酸化物を含有するガスを前記窒素酸化物接触還元触
媒と接触させる窒素酸化物を還元することを特徴とする
窒素酸化物の還元方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の窒素酸化物接触還元用触
媒は、酸化ガリウムと酸化アルミニウムからなる成分に
より構成される。これらの構成成分は、複合酸化物を形
成している。そして、触媒に含まれる酸化ガリウムの割
合は5〜80重量%であり(Ga23に換算して算出し
た結果である。)、好ましくは10〜80重量%であ
る。一方の酸化アルミニウムの割合は95〜20重量%
であり(Al23に換算して算出した結果である。)、
好ましくは90〜20重量%である。酸化ガリウムの割
合が5重量%未満の場合は、窒素酸化物の還元反応が十
分に進行しない可能性があり、80重量%を越える場合
は、酸化ガリウムの凝集が著しく促進されてしまうこと
や、触媒表面積の低下などが起きる可能性があり、含有
させた酸化ガリウム成分の効果が発揮されない場合があ
る。そして、本発明の窒素酸化物接触還元用触媒は、次
の三つの製法に従って調製した場合に良好な結果をもた
らすものであり、その製法にしたがって製造した触媒で
ある。その一の方法は、アルミニウムのアルコキシド化
合物を水及び酸の存在下に加水分解させアルミニウムベ
ーマイトとし、次にガリウム化合物を混合し、得られる
混合物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することにより製
造するものである(以下、アルコキシド法ともいう)。
その二の方法は、アルミニウムのアルコキシド化合物を
有機溶媒に溶解させて、有機溶媒に溶解させたガリウム
化合物を混合し、アルミニウム化合物を加水分解させ、
得られる生成物を乾燥させ、酸化条件下に焼成すること
により製造するものである(以下、ゾルゲル法ともい
う)。その三の製法はアルミニウム化合物とガリウム化
合物からなる水溶液に、これらの化合物を沈澱させるこ
とができる沈澱剤を添加して、同時に沈澱を生じさせ
て、沈澱物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することによ
り製造するものである(以下、共沈法ともいう)。これ
ら以外の製法、例えば、アルミナを酸化ガリウムを含む
溶液に浸し、酸化ガリウムをアルミナに担持する方法
(以下、浸漬法ともいう)、により得られる酸化アルミ
ニウムミと酸化ガリウムから成る複合酸化物から成る窒
素酸化物接触還元触媒と前記本発明の三つの方法により
得られる窒素酸化物接触還元触媒と比較すると、本発明
の方法により得られる触媒を用いる場合は、還元率及び
処理温度の点で良好な結果が得られるばかりでなく、処
理ガス中に水蒸気が存在したり、硫黄酸化物が存在して
も、良好に処理できるものである。本発明の触媒は、触
媒を構成する成分とその製法により限定されるものであ
り、その結果、従来からの他の製法による触媒と比較し
て卓越した効果を奏するものである。本発明の触媒は以
下の三つの触媒である。 (1)5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜20重量
%の酸化アルミニウムから構成されるものであり、アル
ミニウムのアルコキシド化合物を水及び酸の存在下に加
水分解させ、次にガリウム化合物と反応させ、得られる
生成物を乾燥させ、酸化することにより製造することを
特徴とする窒素酸化物接触還元触媒。 (2)5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜20重量
%の酸化アルミニウムから構成されるものであり、アル
ミニウムのアルコキシド化合物を有機溶媒に溶解させ
て、有機溶媒に溶解させたガリウム化合物を混合し、ア
ルミニウムのアルコキシド化合物を加水分解させ、得ら
れる生成物を乾燥させ、酸化することにより製造するも
のであることを特徴とする窒素酸化物接触還元触媒。 (3)5〜70重量%の酸化ガリウムと95〜20重量
%の酸化アルミニウムからなる複合酸化物により構成さ
れるものであり、アルミニウム化合物とガリウム化合物
からなる水溶液に沈澱剤を添加し、アルミニウムの沈澱
生成物とガリウムの沈澱生成物を生成させ、得られる生
成物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することにより製造
するものであることを特徴とする窒素酸化物接触還元触
媒。
【0006】アルコキシド法による窒素酸化物接触還元
触媒の製法は次の通りである。原料に用いられるアルミ
ニウムのアルコキシド化合物には、アルミニウムとアル
コキシドが結合した化合物であれば用いることができ、
具体的には、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエ
トキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウ
ムイソブトキシドなどを挙げる事ができる。触媒の調製
段階であるアルミニウムのアルコキシド化合物の加水分
解の際に発生する有機ガスの安全性、入手の容易さ、取
り扱い易さなどの点を考慮すると、アルミニウムイソプ
ロポキシドの使用が好ましい。アルミニウムのアルコキ
シド化合物を加水分解するに先だって、アルミニウムの
アルコキシド化合物を熱水中に添加し、十分に撹拌す
る。加水分解を行うためにはアルミニウムのアルコキシ
ド化合物に対して10倍量以上の熱水が必要となる。次
に、この溶液に酸を添加して溶液のpHが2〜3になる
ように調節し、アルミニウムのアルコキシド化合物を加
水分解させる。pHの値が3を越える場合には、白濁し
た溶液となり、2未満の場合にはゲル化速度が速くなる
ので、いずれも適当でない。アルミニウムのアルコキシ
ドに熱水を加えて得られる溶液の温度は、大気圧下に8
0℃以上で100℃以下であることが望ましく、好まし
くは90℃以上100℃以下がよい。80℃未満の場合
には反応が十分に進行しないことががある。以上の条件
を維持するとアルミニウムのアルコキシド化合物を完全
に加水分解し、アルミニウムベーマイトとすることがで
きる。pHを調整するために添加する酸は、溶液中に存
在するゾル粒子を解膠させる作用も有している。この酸
には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などのような無機酸のほ
か有機酸も用いることができる。最終的に得られる調製
された触媒中に塩素や硫黄などの触媒毒となりうる成分
が残されないようにするためには、硝酸の使用が最も望
ましい。
【0007】アルミニウムのアルコキシド化合物の加水
分解により得られる生成物はアルミニウムベーマイトで
あり、アルミニウムのアルコキシド化合物の加水分解生
成物はクリアーゾルであり、針状のアルミニウムベーマ
イトが溶液中に均一に全体に分散した状態のものであ
る。このクリアーゾルに、所定量のガリウム化合物を含
む溶液を添加した後、90℃以上の温度で3時間以上攪
拌、さらに室温で一昼夜攪拌すると、高粘性のゾル溶液
を得る。添加するガリウム化合物は硝酸塩、酢酸塩、塩
化物、炭酸化物、水酸化物、アルコキシド化合物などの
形態で用いることができる。取り扱いの容易さや入手の
容易さから硝酸塩あるいは酢酸塩の状態で使用すること
が好ましい。ガリウム化合物をクリア−ゾルに均一に溶
解させるために、ガリウム化合物を溶媒に均一に溶解さ
せた状態で供給することが必要である。このための溶媒
は、ガリウム化合物を液体の状態に溶解できるものであ
れば差支えなく、溶媒としては純水、各種の有機溶媒な
どを挙げることができる。調製された最終生成物である
触媒中での酸化ガリウムの分散性を高めるためには有機
溶媒、特にアルコールやジオールに類するものを用いる
ことが望ましい。本操作によりガリウムの擬アルコキシ
ド化合物を得ることが望ましく、そのためにはジオール
の使用が好ましい。エチレングリコールを使用すると、
容易に擬アルコキシドが生成すること、調製された触媒
中に残炭素分が少ないことなどから、エチレングリコー
ルを使用することが最も好ましい。このとき用いるジオ
ールは、ガリウムの擬アルコキシドを生成させるために
ガリウム原料1gに対して2 〜10mlを必要とす
る。また、ガリウム原料をジオールに溶解させる温度
は、擬アルコキシド生成のために60℃以上で行うこと
が重要であり、通常は70℃で行う。
【0008】得られた高粘性ゾル溶液を、減圧下で乾
燥、110 ℃で空気乾燥、さらに酸化条件下である空
気の存在下に焼成することにより所望の酸化ガリウムと
酸化アルミニウムの複合酸化物触媒を得る。空気の存在
下における焼成の温度は、約400〜800 ℃、好ま
しくは約500〜700 ℃であり、焼成時間は約1〜
10時間である。焼成温度が400℃未満の場合及び焼
成時間が短すぎる場合には、化合物の分解が十分に進行
せず、触媒の活性化を図ることができない。逆に、焼成
が800℃を越える高温度の場合や長時間に処理が及ぶ
と、含有成分の凝集やシンタリング、また担体自身のシ
ンタリングが起き、触媒の活性はむしろ低下する結果と
なる。酸化アルミニウムに複合された酸化ガリウムは、
アルコキシド法による調製過程で針状ベーマイトゾル表
面にガリウムをイオンとして付着させているため、空気
焼成によりアルミナ粒子の表面に均一に高分散担持され
ているものと考えられる。本発明の触媒が高い活性を有
するに至った原因については解明されてはいないが、現
在のところ、微分散アルミナとこの表面上に高分散した
酸化ガリウムの特異的な相乗効果によるものであると考
えられる。
【0009】ゾルゲル法による窒素酸化物接触還元触媒
の製法は次の通りである。初めに、アルミニウムのアル
コキシド化合物を、90℃以上の温度でアルミニウムの
アルコキシド化合物と有機多座配位子を形成する溶媒に
溶解させる。一方、所定量のガリウム化合物についても
室温で有機溶媒に溶解させる。その後、両方の溶液を9
0℃以上の温度で混合・攪拌を行う。原料に用いられる
アルムニウムのアルコキシド化合物はアルコキシド法の
場合と同じ物が用いられる。上記のアルコキシド法と同
じ理由から、アルミニウムのアルコキシド化合物は、ア
ルミニウムイソプロポキシドの使用が望ましい。アルミ
ニウムのアルコキシド化合物を溶媒に溶解させる事によ
り、アルミニウムのアルコキシドと有機多座配位子が配
位子交換を起こす。一方、溶媒に溶解されたガリウム化
合物と混合されると、前記アルミニウムに配位した配位
子を介してアルミニウムとガリウムの結合が生成する。
この配位子による結合状態を形成する反応を起こさせる
ためには90℃以上の温度が必要である。有機多座配位
子を形成する溶媒としては、アルコール、ジオールなど
のような有機溶媒を用いることができるが、アルミニウ
ムアルコキシドとの配位子交換反応が起こりやすい点か
らジオールの使用が望ましく、また、アルミニウムアル
コキシドを完全に溶解させることのできるジオール、例
えばピナコール、へキシレングリコールなどを用いるこ
とができる。ガリウム化合物は、上記のアルコキシド法
の場合に用いられているものを使用することができる。
上記のアルコキシド法と同じ理由から硝酸塩あるいは酢
酸塩の使用が好ましい。また、ガリウム化合物を溶解さ
せる溶媒としてはアルコール、ジオールのような有機溶
媒が望ましく、特に上記の有機多座配位子の場合と同様
に、アルミニウムアルコキシドの溶液と混合時に沈殿を
生じさせないためにアルコールの使用が望ましく、例え
ばエタノール、イソプロパノールを用いることができ
る。この混合溶液に蒸留水を滴下し、アルミニウム化合
物の加水分解を起こさせる。アルミニウム化合物の加水
生成分解物は水酸化アルミニウムである。十分に加水分
解を起こさせるためには、アルミニウムアルコキシドの
3倍モル以上の蒸留水を必要とする。この溶液を90℃
以上で5時間以上攪拌すると高粘性のゾル状態の溶液が
得られ、この溶液を、減圧下で乾燥することにより、ゲ
ル状沈殿物が得られる。得られるゲル状沈殿物を110
℃で空気乾燥、さらに酸化条件下である空気の存在化
に焼成することにより所望の酸化ガリウムと酸化アルミ
ニウムの複合酸化物触媒を得る。このようにして得られ
る酸化物触媒を製造するための空気焼成の温度、時間な
どの条件はアルコキシド法の場合と同じである。複合さ
れた酸化ガリウムは、ゾルゲル法の調製過程で有機配位
子を介してアルミニウムとガリウムの結合が生成してい
るため、空気焼成により”アルミニウム−酸素−ガリウ
ム”の結合が生成し、酸化ガリウムは非常に高い分散度
でアルミナ上に担持されてているものと考えられる。こ
のような本触媒の高い活性については解明されてはいな
いが、アルミナ中に高分散した酸化ガリウムの特異的な
相乗効果であると考えられる。
【0010】共沈法による窒素酸化物接触還元触媒の製
法は次の通りである。アルミニウム化合物とガリウム化
合物からなる混合水溶液に沈澱剤を添加し、これらの混
合物の沈澱を調製し、沈澱を捕集、水洗、乾燥、焼成す
ることにより触媒を得る。アルミニウム化合物には、ア
ルミナのエアロゾル、硝酸塩、塩化物などを用いること
ができるが、通常、空気の存在下に焼成する際に、比較
的低温で分解することができる、硝酸塩を用いることが
好ましい。ガリウム化合物には、アルコキシド法の場合
と同じものを用いることができる。沈澱剤には前記アル
ミニウム化合物及びガリウム化合物の混合水溶液からこ
れらを沈澱させる化合物を生成できるものであれば、ど
のようなものでも使用することができる。具体的には、
シュウ酸、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸アンモ
ニウム、尿素などを挙げることができる。空気の存在下
に焼成した後に不純物として残留することがないことが
望ましいことから、通常、アンモニア水を用いることが
好ましい。触媒を空気の存在下に焼成する時間及び温度
などの条件は、前記のアルコキシド法の場合と同じであ
る。
【0011】このようにして得られる本発明の触媒は、
粉状、粒体状、ペレット状、ハニカム状などで使用する
ことができる。これらの形状は、使用する反応器及び用
途を考慮して適宜定めることができる。触媒を、粉状、
粒体状、ペレット状にするには、本発明の触媒の複合酸
化物を直接成形することができるし、担体に担持するこ
ともできる。このような形状に成形するに当たっては、
一般に無機酸化物の成形時に用いられる粘結剤すなわち
ポリビニルアルコールなど、あるいは滑剤すなわち黒
鉛、ワックス、脂肪酸類、カーボンワックスなどを使用
することもできる。
【0012】本発明により得られる上記触媒を用いる
と、窒素酸化物を含有するガスに含まれる窒素酸化物を
接触還元し、窒素とすることができる。窒素酸化物の接
触還元に際しては、炭化水素又は含酸素有機化合物を共
存させる。本発明の触媒を用いた窒素酸化物の接触還元
反応に関し、窒素酸化物(NOx)として一酸化窒素
(NO)、反応系に加える炭化水素類あるいは含酸素有
機化合物としてプロピレン(C36)を用いる場合を例
にとれば、その反応は、化1に示す反応式によるものと
推測される。
【化1】12NO+ 3O2 + 2C36 → 6N2
6CO2 + 6H2O すなわち、NOをN2にまで還元させるには、C36
NOによってCO2 (場合によってはCO)とH2Oに
まで酸化することが必要であり、C36の酸化が進行し
なければ、NOのN2への還元も進行しない。ただし、
36の酸化が進みすぎると、C36が化1の反応に関
与しなくなり、この結果としてNOのN2への還元率も
低下する。したがって、NOを高い割合で還元するに
は、NOの還元剤であるC36などの炭化水素類(以
下、「還元剤」と記すこともある)の適度な酸化が必要
となる。このような還元剤の適度な酸化を促すために、
本発明の酸化ガリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物
からなる触媒は有効に作用するものと考えられる。な
お、本発明の触媒によるNOの還元反応において、還元
生成物の殆どはN2であり、極く僅かにN2Oの生成が認
められるだけである。
【0013】本発明の方法は、窒素酸化物含有ガスの処
理に有効である。本発明の方法において、処理対象とな
るNOx含有ガスとしては、ディーゼル自動車や定置式
ディーゼル機関などのディーゼル排ガス、ガソリン自動
車などのガソリン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、
各種燃焼設備などの排ガスを挙げることができる。これ
ら排ガス中のNOxの除去は、上記した本発明の触媒を
排ガスと接触させることにより行う。排気ガスには、過
剰の酸素が存在する酸化性雰囲気中で、しかも水蒸気や
硫黄酸化物を含む雰囲気中で、還元剤としての炭化水素
類の存在下であっても、本発明の触媒を用いることによ
り行うことができる。ここで、酸化性雰囲気とは、排ガ
ス中に含まれる一酸化炭素、水素、炭化水素類などと、
本発明の方法において必要に応じて添加される炭化水素
や含酸素有機化合物を、完全に酸化して二酸化炭素と水
に変換するのに必要な酸素量よりも過剰な酸素が含まれ
ている雰囲気を言う。したがって、例えば、自動車など
の内燃機関から排出される排ガスの場合には、酸素が過
剰に存在する空燃比が大きい状態(リーン領域)の雰囲
気も含むものであり、本発明の触媒を用いて本発明の方
法を有効に行うことができる。
【0014】水蒸気や硫黄酸化物を含む雰囲気とは、全
排ガス量に対して体積%で5〜20%程度の水蒸気およ
び全排ガス量に対して10〜100ppm程度の硫黄酸
化物を含む雰囲気をさすものである。種々の内燃機関や
燃焼器からの排ガスに含まれる水蒸気及び硫黄酸化物の
含有量は、この範囲のものであり、したがって、これら
の排ガスを直接本発明の触媒を充填した反応器に導い
て、排気ガスの処理を進めることができる。このような
酸化性雰囲気で、かつ水蒸気や硫黄酸化物を含む雰囲気
において、上記した本発明の触媒は、炭化水素類と酸素
との反応よりも、化1に示すような炭化水素類とNOx
との反応を優先的に促進させて、NOxを還元除去す
る。存在させる炭化水素類、すなわちNOxを還元除去
する還元剤としては排ガス中に残存する炭化水素や燃料
などの不完全燃焼生成物であるパティキュレートなどで
もよいが、これらが化1のような反応を促進させるのに
必要な量よりも不足している場合には、外部より供給す
る。還元剤には前記炭化水素類の外に含酸素有機化合物
を添加することができる。存在させる炭化水素類の量
は、特に制限されず、例えば要求されるNOx除去率が
低い場合には、NOxの還元除去に必要な理論量より少
なくてよい場合がある。ただし、必要な理論量より過剰
量の炭化水素や含酸素有機化合物を用いると、還元反応
がより進むので、一般的には、これらを過剰に添加する
のが好ましい。通常は、NOxの還元除去に必要な理論
量の約20〜2000% 過剰、好ましくは約30〜1
500%過剰に存在させる。ここで、必要な炭化水素類
の理論量とは、反応系内に酸素が存在するので、本発明
においては、二酸化窒素(NO2)を還元除去するのに
必要な炭化水素類と定義するものであり、例えば、炭化
水素としてプロピレンを用い、1000ppmの二酸化
窒素(NO2)を酸素存在下で還元除去する際のプロピ
レンの理論量は222.2ppmである。一般には、排
ガスのNOx量にもよるが、存在させる炭化水素類や含
酸素有機化合物の量はメタン換算で約50〜10000
ppm程度である。ここで、メタン換算とは、炭素数2
以上の炭化水素について、その量(ppm)にその炭素数
を乗じた値を言う。したがって、プロピレン250pp
mは、メタン換算にて750ppmである。
【0015】本発明の触媒によってNOxを還元除去す
る際に使用する還元剤としては、可燃性の有機化合物な
どの含炭素物質であればどのような物質でも有効である
が、実用性から、窒素、硫黄、ハロゲンなどの化合物
は、価格、二次的な有害物質の発生、あるいは触媒毒と
なり得るなどの問題点が多く、またカーボンブラック、
石炭などの固体物質は、触媒層への供給、触媒との接触
等の点から一般に好ましくない。このため、好適な還元
剤として炭化水素類又は含酸素有機化合物を用いること
が、そして触媒層への供給の点からは気体状または液体
状のものが、また反応の点からは反応温度で気化するも
のが好ましい。本発明における炭化水素類の具体例とし
ては、常温、常圧で気体状のものとして、メタン、エタ
ン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレンなどの炭
化水素ガスが、液体状のものとしてペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの単一炭化水素及び天然ガス、ガソリ
ン、灯油、軽油、重油などの炭化水素油混合物、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのア
ルコール類からなる含酸素有機化合物が、挙げられる。
これらの炭化水素類や含酸素有機化合物は、一種のみを
使用してもよいが、二種以上を組み合わせて使用しても
よい。なお、排ガス中に存在する燃料などの未燃焼ない
し不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素水素類やパティ
キュレート類なども還元剤として有効であり、これらも
本発明における炭化水素類に含まれる。このことから、
本発明における触媒は、排ガス中の炭化水素類やパティ
キュレートなどを減少させたり、場合に因っては除去す
る機能も有していると言うことができる。
【0016】本発明の触媒を用いたNOx還元除去反応
は、本発明の触媒を配置した反応器内に、水分や硫黄酸
化物が存在する酸化性雰囲気中で、炭化水素類を存在さ
せて、NOx含有排ガスを通過させることにより行う。
このときの反応温度は、本発明における複合酸化物の含
有量、あるいは炭化水素類の種類により異なるが、排ガ
スの温度に近い温度が、排ガスの加熱設備などを必要と
しないので好ましく、一般には、約100〜800℃、
特に約200〜600℃の範囲が適している。反応圧力
は、特に制限されず、加圧下でも減圧下でも反応は進む
が、通常の排気圧で排ガスを触媒層へ導入して、反応を
進行させるのが便利である。また、ガス空間速度(GH
SV)は、触媒の種類、他の反応条件、必要なNOx除
去率等で決まり、特に制限はないが、概して、約500
〜200000hr-1、好ましくは約1000〜100
000hr-1の範囲が適している。なお、本発明の触媒
を内燃機関からの排ガス処理に用いる場合、排気マニホ
ールドの下流に配置するのが好ましい。また、本発明の
触媒を用いて排ガスを処理した場合、処理条件によって
は、未燃の炭化水素類や一酸化炭素のような公害の原因
となる不完全燃焼生成物が処理ガス中に排出される場合
がある。このような場合の対策として、上記の本発明の
酸化ガリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物触媒(以
下、「還元触媒」と記すこともある)で処理したガス
を、酸化性雰囲気下で酸化触媒に接触させることにより
解決することができる。使用することができる酸化触媒
としては、一般に上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼さ
せるものであればどのような触媒でもよいが、アルミ
ナ、シリカ、ジルコニア、チタニアなどの多孔質担体
に、白金、パラジウム、ルテニウムなどの貴金属、ラン
タン、セリウム、銅、鉄、モリブデンなどの卑金属酸化
物、三酸化コバルトランタン、三酸化鉄ランタン、三酸
化コバルトストロンチウムなどのペロブスカイト型結晶
構造物などの触媒成分を、単独または組み合わせて担持
したものが挙げられる。これらの触媒成分の担持量は、
貴金属では担体に対して約0.01〜5wt%程度であ
り、また、卑金属酸化物などでは約5〜70wt%程度
である。もちろん、特に卑金属酸化物などでは、担体に
担持させないで使用することもできる。酸化触媒の形
状、成形などの目的で添加する添加物については、還元
触媒の場合のそれと同様であり、種々のものを用いるこ
とができる。上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、
酸化触媒に担持させる触媒成分量などは、要求性能に応
じて適宜選択可能である。また、特に酸化除去する物質
が一酸化炭素のような炭化水素類の中間生成物である場
合には、還元触媒と酸化触媒とを混合して使用すること
も可能であるが、一般には、還元触媒を排気上流側に、
酸化触媒を排気下流側に配置する。上記の一般的な使用
方法をより具体的に説明するならば、還元触媒を配置し
た反応器を排ガス導入部(前段)に、酸化触媒を配置し
た反応器を排ガス排出部(後段)に配置する方法や、一
つの反応器にそれぞれの触媒を要求性能に応じた比率で
配置する方法などがある。還元触媒(A)と酸化触媒
(B)の比率は、一般には、(A)/(B) で表して約
0.5〜9.5/9.5〜0.5の範囲で用いられる。酸
化触媒の使用温度は、還元触媒の使用温度と同じでなく
てもよいが、一般には、前述の還元触媒の使用温度の範
囲内で使用できるように選択することが、加熱冷却設備
の設置を特に必要としないので、好ましい。
【0017】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 (触媒の調製) アルコキシド法による酸化ガリウム/酸化アルミニウム
複合酸化物の調製 (酸化ガリウム含有量が30wt%の場合)アルミニウ
ムイソプロポキシド(Al(OC373)12.5g
を、約90℃に保持した熱水125ml中に加え、マグ
ネチックスターラーで2時間攪拌を続けた。この溶液に
硝酸(HNO3)2.0mlを駒込ピペットにて素早く滴
下してクリアーゾルを得た後、さらに約90℃で1時間
攪拌した。別のビーカーに計り取った硝酸ガリウム(G
a(NO33・xH2O)5.19gをエチレングリコー
ル((CH2OH)2)20mlに約70℃で溶解させた
後、約70℃で1時間攪拌した。この後、上記のクリア
ーゾル溶液に硝酸ガリウムのエチレングリコール溶液を
素早く滴下して、さらに約90℃で3時間攪拌した。こ
のようにして得られたゾル溶液を室温で一昼夜攪拌し
た。次いで、このゾル溶液をエバポレーターを用いて減
圧下で乾燥した。なお、このとき、オイルバスの温度を
約50℃〜約110℃まで段階的に上昇させながら、減
圧乾燥を行った。得られたゲル状沈殿物を捕集後、11
0℃、空気中にて3日間乾燥後、空気流通下500℃で
5時間仮焼した。さらに、空気雰囲気中にて600℃で
5時間焼成した。このとき触媒に対する酸化ガリウムの
含有量は、三酸化二ガリウム(Ga23) 換算で約3
0wt%であった。 (NOxの還元反応)上記のようにして得られた本発明
の触媒0.2gを常圧流通式反応装置に充填し、約90
0ppmの一酸化窒素(以下、「NO」と記す)、約9
vol%の酸素および約900ppmのプロピレンを含
むヘリウムバランスのガスを毎分66mlの流速(SV
=8500hr-1に相当)で流して反応を行った。水蒸
気を含ませる場合は、マイクロプランジャーポンプを用
いて水を添加し約8vol%の水蒸気を含ませた。反応
ガスの分析はガスクロマトグラフを用いて行い、N2
2O 、CO2 、COなどを定量した。NOの還元除去
率は生成したN2の収率から求め、これらの結果を実施
例1として表1に示した。
【0018】実施例2 ・ゾルゲル法による酸化ガリウム/酸化アルミニウム複
合酸化物の調製 (酸化ガリウム含有量が30wt%の場合)アルミニウ
ムイソプロポキシド(Al(OC373)12.5g
を、約90℃に保持したへキシレングリコール(HO
(CH26OH)18.1g に溶解し、マグネチックス
ターラーで2時間攪拌を続けた。別のナス型フラスコに
計り取った硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)
5.19gをエタノール(C25OH)40mlに室温
で溶解させた後、室温で2時間攪拌した。前者の溶液に
硝酸ガリウムのエタノール溶液を加えた後、90℃以上
の温度で3時間以上攪拌した。次に、この混合溶液に蒸
留水約10mlを滴下して、さらに90℃以上の温度で
5時間以上攪拌を行い、高粘性の溶液を得た。得られた
高粘性の溶液をエバポレーターを用いて減圧下で乾燥し
てゲル状沈殿物を得た。なお、このとき、オイルバスの
温度を約50℃〜約110℃まで段階的に上昇させなが
ら、減圧乾燥を行った。ゲル状沈殿物を捕集後、110
℃、空気中にて3日間乾燥後、空気流通下500℃で5
時間仮焼した。さらに、空気雰囲気中にて600℃で5
時間焼成した。このとき触媒に対する酸化ガリウムの含
有量は、三酸化二ガリウム(Ga23)換算で約30w
t%であった。また、実施例1と同様にしてNOの還元
反応を行い、その結果を実施例2として表1に示した。
【0019】実施例3 計り取った硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)
3.16gと硝酸アルミニウム(Al(NO33・9H
2O)14.0gを蒸留水200gに溶解させ、混合水
溶液を調製した。また、別のビーカーに10wt%アン
モニア水100gを調製した。この後、蒸留水150g
を入れたビーカー中に攪拌しながら、上記の金属硝酸塩
水溶液とアンモニア水を同時に滴下して沈殿を生成させ
た。このとき、ビーカー中のpHは約9にコントロール
した。生成した沈殿をデカンテーションにより上澄み液
から分離した後、得られた沈殿を遠心分離を3回行うこ
とにより、沈殿の洗浄を行った。得られた沈殿を空気中
110℃で一昼夜乾燥後、空気中600℃で5時間焼成
して空気流通下500℃で5時間仮焼した。さらに、空
気雰囲気中にて600℃で5時間焼成した。このとき触
媒に対する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム
(Ga23)換算で約30wt%であった。また、実施
例1と同様にしてNOの還元反応を行い、その結果を実
施例3として表1に示した。
【0020】比較例1 実施例1のアルコキシド法による調製において、その過
程で得られたクリアーゾルを減圧乾燥してゲル状沈殿物
を捕集、空気中110℃で3日間乾燥後、空気流通下5
00℃で5時間仮焼、さらに空気中600℃で5時間焼
成して、酸化アルミニウム(Al23)触媒を得た。実
施例1と同様にしてNOの還元反応を行い、その結果を
比較例1として表1に示した。
【0021】比較例2 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)20.0gを
ビーカーに計り取り、これに蒸留水を加えて200ml
とした溶液を約90℃で1時間攪拌後、この溶液に計り
取った300gの尿素((NH22CO)を加えた。約9
0℃で10時間以上攪拌を続けると沈殿が生成し、この
溶液を遠心分離することにより沈殿を捕集した。捕集し
た沈殿を空気中110℃で一昼夜乾燥後、空気流通下5
00℃で5時間仮焼、さらに空気中600℃で5時間焼
成して、酸化ガリウム(Ga23)触媒を得た。また、
実施例1と同様にしてNOの還元反応を行い、その結果
を比較例2として表1に示した。
【0022】比較例3 計り取った硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)
3.33gを蒸留水3.0gに溶解し、この水溶液を比較例
1のアルミナ(Al23)2.0gに含浸させ、空気中
110℃で一昼夜乾燥後、空気中600℃で5時間焼成
して、アルミナ担持酸化ガリウム触媒を得た。このとき
触媒に対する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウ
ム(Ga23)換算で約30wt%であった。また、実
施例1と同様にしてNOの還元反応を行い、その結果を
比較例3として表1に示した。
【0023】
【表1−(1)】
【0024】
【表1−(2)】
【0025】表1より、酸化アルミニウム単独(比較例
1)あるいは酸化ガリウム単独(比較例2)は水蒸気の
存在しない系では反応温度450℃〜550℃でNO還
元反応が有効に進行するが、実排ガスのように水蒸気が
存在する場合は活性が著しく低下し、特に酸化ガリウム
単独ではNO還元活性をほとんど示さない。また、含浸
法により調製した酸化アルミニウム担持酸化ガリウム触
媒(比較例3)では、水蒸気が存在しない系でのNO還
元活性は、アルミナ(比較例2)への酸化ガリウムの担
持により向上しているが、水蒸気の共存により、NO還
元活性は酸化アルミニウム単独とほぼ同程度にまで大幅
に低下しており、含浸法により調製した触媒は、水蒸気
が共存するような実排ガスに近い条件では、効果的な触
媒でないことが明らかである。アルコキシド法で調製し
た酸化ガリウム/酸化アルミニウム複合酸化物触媒(実
施例1)は、水蒸気が存在しない条件では400℃〜5
00℃の広い温度範囲で還元率がほぼ100%という非
常に高いNO還元活性を示し、しかも水蒸気共存下にお
いても反応温度500℃でNO還元率が約90%という
非常に高い活性を有している。ゾルゲル法(実施例2)
及び共沈法(実施例3)で調製した酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒も水蒸気非共存下、および
共存下とも比較的高いNO還元活性を示している。この
ように、本発明のアルコキシド法、ゾルゲル法及び共沈
法で調製した酸化ガリウム/酸化アルミニウム複合酸化
物触媒は、水蒸気共存下でのプロピレンによるNO選択
還元反応に対して非常に高い活性を示し、実排ガス条件
において、非常に効果的な触媒であることが明らかであ
る。また、本発明の触媒において、最も高い酸化ガリウ
ムの複合効果を得るためにはアルコキシド法で調製する
ことが有効である。
【0026】実施例4 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)0.64gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約5wt%であった。また、実施例1と同
様にしてNOの還元反応を行い、実施例4としてその結
果を表2に示した。
【0027】実施例5 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)1.35gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約10wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例5としてその
結果を表2に示した。
【0028】実施例6 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)3.03gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約20wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例6としてその
結果を表2に示した。
【0029】実施例7 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)8.07gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約40wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例7としてその
結果を表2に示した。
【0030】実施例8 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)12.1gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約50wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例8としてその
結果を表2に示した。
【0031】実施例9 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)18.2gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約60wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例9としてその
結果を表2に示した。
【0032】実施例10 硝酸ガリウム(Ga(NO33・xH2O)28.3gを
用いる以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム/酸化
アルミニウム複合酸化物触媒を得た。このとき触媒に対
する酸化ガリウムの含有量は、三酸化二ガリウム(Ga
23)換算で約70wt%であった。また、実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、実施例10としてそ
の結果を表2に示した。
【0033】
【表2−(1)】
【0034】
【表2−(2)】
【0035】酸化アルミニウムへの酸化ガリウムの含有
率の効果を検討している表2から明らかなように、含有
率が5〜70wt%において、良好な触媒活性が得られ
ており、また、水蒸気存在下においても触媒活性の低下
が非常に少ないことが分かる。これらのことから、酸化
ガリウムの含有率が5〜80wt%の範囲において、良
好な触媒活性が得られることがわかる。
【0036】実施例11 実施例1の触媒を用い、還元剤として約2800ppm
のメタンを用いた以外は実施例1と同様にしてNOの還
元反応を行い、その結果を実施例11して表3に示し
た。
【0037】実施例12 実施例1の触媒を用い、還元剤として約1400ppm
のエチレンを用いた以外は実施例1と同様にしてNOの
還元反応を行い、その結果を実施例12として表3に示
した。
【0038】実施例13 実施例1の触媒を用い、還元剤として約900ppmの
プロパンを用いた以外は実施例1と同様にしてNOの還
元反応を行い、その結果を実施例13として表3に示し
た。
【0039】実施例14 実施例1の触媒を用い、還元剤として約500ppmの
2−プロパノールを用いた以外は実施例1と同様にして
NOの還元反応を行い、その結果を実施例14として表
3に示した。
【0040】実施例15 実施例1の触媒を用い、還元剤として約250ppmの
n−ヘキサンを用いた以外は実施例1と同様にしてNO
の還元反応を行い、その結果を実施例15として表3に
示した。
【0041】
【表3−1】
【0042】
【表3−2】
【0043】表3から明らかなように、メタン、エチレ
ン、プロパンのような炭化水素および2−プロパノール
のような含酸素有機化合物など、どのような還元剤を用
いても非常に高いNO還元活性が得られている。また、
高いNO還元活性を示す温度は還元剤の種類により異な
り、これらの還元剤を2種類以上組み合わせることによ
り、例えば、メタンとエチレンもしくはプロピレンを組
み合わせることにより、非常に広い温度範囲で高いNO
還元活性を得ることが可能である。水蒸気が共存する系
においても、本発明の酸化ガリウム/酸化アルミニウム
複合酸化物触媒は還元剤として炭化水素・含酸素有機化
合物のいづれを用いた場合においても極めて高いNO還
元活性を示しており、本発明の触媒はNO還元除去反応
に対して効果的に作用することがわかる。
【0044】実施例16 実施例1の触媒を用い、SV=50000hr-1 にな
るように触媒量を0.034gとした以外は実施例1と
同様にしてNOの還元反応を行い、その結果を実施例1
6として表4に示した。
【0045】
【表4】触媒:酸化ガリウム/酸化アルミニウム複合酸
化物触媒(酸化ガリウム含有量30wt%)
【0046】酸化ガリウムを30wt%含有する酸化ガ
リウム/酸化アルミニウム複合酸化物触媒について空間
速度(SV)の影響を検討している表4から明らかなよ
うに、SV=50000hr-1 (実施例16)の条件
で、かつ水蒸気共存下においても、本発明の触媒は非常
に高いNO還元活性を示すことがわかる。
【0047】実施例17 実施例1の触媒を用い、硫黄酸化物として約100pp
mの二酸化硫黄(SO2)を用いた以外は実施例1と同
様にしてNOの還元反応を行い、その結果を実施例17
として表5に示した。
【0048】
【表5】触媒:酸化ガリウム/酸化アルミニウム複合酸
化物触媒(酸化ガリウム含有量30wt%)
【0049】酸化ガリウムを30wt%含有する酸化ガ
リウム/酸化アルミニウム複合酸化物触媒について、水
蒸気共存下、硫黄酸化物の影響を検討している表5から
明らかなように、本発明の触媒は反応ガス中に100p
pmの硫黄酸化物が存在しても活性が劣化しないことが
わかる。また、低い反応温度領域では硫黄酸化物共存に
よるNO還元活性の向上が認められ、本発明の触媒は、
水蒸気や硫黄酸化物を含む実排ガスに対して、効率的に
NOxを還元除去できる触媒である。
【0050】
【発明の効果】本発明の触媒によれば、酸素が過剰に存
在する酸化雰囲気において、かつ水蒸気や硫黄酸化物が
存在する条件においても、効率的に排ガス中の窒素酸化
物を還元することができる。本発明の触媒は、ディーゼ
ル機関やリーンバーンガソリンエンジンをはじめ、種々
の内燃機関や燃焼器より排出される排ガスに対して適応
できる。本発明の窒素酸化物の接触還元方法によれば、
処理対象ガスに含まれる窒素酸化物を効率よく除去する
ことができ、工業的価値が極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−349938(JP,A) 特開 平7−178338(JP,A) 特開 平7−80300(JP,A) 特開 平7−299361(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 B01D 53/94

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜
    20重量%の酸化アルミニウムからなる複合酸化物によ
    り構成されるものであり、アルミニウムのアルコキシド
    化合物を水及び酸の存在下に加水分解させてアルミニウ
    ムベーマイトとし、次にガリウム化合物を混合し、得ら
    れる混合物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することによ
    り製造するものであることを特徴とする窒素酸化物接触
    還元触媒。
  2. 【請求項2】 5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜
    20重量%の酸化アルミニウムからなる複合酸化物によ
    り構成されるものであり、アルミニウムのアルコキシド
    化合物を有機溶媒に溶解させて、有機溶媒に溶解させた
    ガリウム化合物を混合し、アルミニウム化合物を加水分
    解させ水酸化アルミニウムとし、これらを含む生成物を
    乾燥させ、酸化条件下に焼成することにより製造するも
    のであることを特徴とする窒素酸化物接触還元触媒。
  3. 【請求項3】 5〜80重量%の酸化ガリウムと95〜
    20重量%の酸化アルミニウムからなる複合酸化物によ
    り構成されるものであり、アルミニウム化合物とガリウ
    ム化合物からなる水溶液に沈澱剤を添加し、アルミニウ
    ムの沈澱生成物とガリウムの沈澱生成物を生成させ、得
    られる生成物を乾燥させ、酸化条件下に焼成することに
    より製造するものであることを特徴とする窒素酸化物接
    触還元触媒。
  4. 【請求項4】 窒素酸化物、酸素並びに炭化水素又は含
    酸素有機化合物を含有するガスを請求項1から3記載の
    いずれかの窒素酸化物接触還元触媒と接触させて窒素酸
    化物を還元することを特徴とする窒素酸化物の接触還元
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の窒素酸化物、酸素並びに
    炭化水素又は含酸素有機化合物を含有するガスに水蒸気
    を含有することを特徴とする窒素酸化物の接触還元方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の水蒸気、窒素酸化物、酸
    素並びに炭化水素又は含酸素有機化合物を含有するガス
    にガスに硫黄酸化物を含有することを特徴とする窒素酸
    化物の接触還元方法。
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