JP2016043744A - 窓ガラス及びその製造方法 - Google Patents

窓ガラス及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016043744A
JP2016043744A JP2014168005A JP2014168005A JP2016043744A JP 2016043744 A JP2016043744 A JP 2016043744A JP 2014168005 A JP2014168005 A JP 2014168005A JP 2014168005 A JP2014168005 A JP 2014168005A JP 2016043744 A JP2016043744 A JP 2016043744A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
window glass
region
film
water
repellent film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014168005A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6377453B2 (ja
Inventor
寺西 豊幸
Toyoyuki Teranishi
豊幸 寺西
佐々木 輝幸
Teruyuki Sasaki
輝幸 佐々木
斉藤 靖弘
Yasuhiro Saito
靖弘 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2014168005A priority Critical patent/JP6377453B2/ja
Publication of JP2016043744A publication Critical patent/JP2016043744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6377453B2 publication Critical patent/JP6377453B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

【課題】窓ガラスの上辺付近に傷が付きにくく、且つ汚れを防止することができ、さらにドアの上部フレームの接触部に傷が付くのを防止することができる、窓ガラス及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る窓ガラスは、自動車のドアにおいて開閉可能で、当該ドアの上部フレームの接触部に上辺が接触される窓ガラスであって、前記上辺から所定の幅の第1領域、及び当該第1領域の下縁と隣接する第2領域を有し、前記所定の幅が前記接触部に接触される幅よりも大きく、一方の面に撥水性膜が成膜されており、他方の面において、前記撥水性膜の一部が、前記一方の面から他方の面の少なくとも前記第1領域の一部に回り込んで成膜されており、前記窓ガラスの他方の面の第2領域に、機能性膜が成膜されている。【選択図】図1

Description

本発明は、窓ガラス及びその製造方法に関する。
近年、自動車に取り付けられる窓ガラスには、紫外線吸収性膜など、種々の機能性膜が成膜されており、窓ガラスとしての付加価値を向上している。しかしながら、開閉可能にドアに取り付けられる窓ガラスについては、全面に亘って機能性膜を成膜すると、上辺付近に傷が付くという問題がある。すなわち、窓ガラスを閉じたとき、その上辺付近は、ドアのフレームの上部に設けられたガラスランなどの接触部に接触されるが、機能性膜が接触部に擦られることで傷が生じ、外観が悪くなるという問題がある。
これに対して、例えば、特許文献1に記載の窓ガラスでは、上辺付近に機能性膜を塗布しない非塗布領域を形成し、その下方に機能性膜を塗布している。そして、非塗布領域の幅を、収納部に収納される幅よりも大きくすることで、機能性膜が塗布されている部分が収納部に収納されないようにして傷が付くことを防止している。
特開2014−111453号公報
しかしながら、上記窓ガラスは、接触部に接触する上辺には傷は付かないものの、汚れが生じやすいという問題がある。例えば、自動車の洗車を行う場合には、窓ガラスを閉じるため、車外に露出している部分の洗浄は可能であるが、収納部に収納されている上辺付近は洗浄することができない。そのため、窓ガラスの上辺付近のみ、別途汚れの拭き取りなどを行う必要があり、メンテナンスが面倒であるという新たな問題が生じる。そして、窓ガラスの上辺付近に汚れが生じると、これと擦れる接触部に傷が生じるおそれがある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、窓ガラスの上辺付近に傷が付きにくく、且つ汚れを防止することができ、さらにドアの上部フレームの接触部に傷が付くのを防止することができる、窓ガラス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る窓ガラスは、自動車のドアにおいて開閉可能で、当該ドアの上部フレームの接触部に上辺が接触される窓ガラスであって、前記上辺から所定の幅の第1領域、及び当該第1領域の下縁と隣接する第2領域を有し、前記所定の幅が前記接触部に接触される幅よりも大きく、一方の面に撥水性膜が成膜されており、他方の面において、前記撥水性膜の一部が、前記一方の面から他方の面の少なくとも前記第1領域の一部に回り込んで成膜されており、前記窓ガラスの他方の面の第2領域に、機能性膜が成膜されている。
上記窓ガラスにおいて、前記ドアの上部フレームは、前記上辺が収納され、前記接触部を内蔵する収納部を備えており、前記所定の幅は、前記収納部に収納される幅よりも小さくすることができる。
上記各窓ガラスにおいて、前記撥水性膜は、スプレーコート法により成膜することができる。
上記各窓ガラスにおいて、前記機能性膜は、機能性膜用液をフローコート法により塗布することで成膜することができる。
上記各窓ガラスは、前記他方の面が凹状に湾曲し、車内側に配置することができる。
本発明に係る窓ガラスの製造方法は、自動車のドアにおいて開閉可能で、当該ドアの上部フレームの接触部に上辺が接触される窓ガラスを製造する方法であって、上辺から所定の幅の第1領域、及び当該第1領域の下縁と隣接する第2領域を有し、前記所定の幅が前記接触部に接触される幅よりも大きい、窓ガラスを準備するステップと、前記窓ガラスの他方の面の第2領域に、機能性膜を成膜するステップと、前記窓ガラスの一方の面に撥水性膜を成膜するとともに、当該撥水性膜の一部を、当該窓ガラス板の他方の面における少なくとも前記第1領域の一部に回り込ませて成膜するステップと、を備えている。
本発明によれば、窓ガラスの上辺付近に傷が付きにくく、且つ汚れを防止することができ、さらにドアの上部フレームの接触部に傷が付くのを防止することができる
本発明に係る窓ガラスの一実施形態の正面図である。 合わせガラスの断面図である。 ドアの正面図である。 図3のA−A線断面図である。 塗布装置の概略図である。 フローコート法を説明する図である。 スプレーコート法を説明する図である。 実施例における試験方法を示す概略図である。
以下、本発明に係る窓ガラスの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る窓ガラスは、自動車のドアにおいて開閉可能な窓ガラスであり、ドアの上部フレームに上辺が収納される窓ガラスである。そして、この窓ガラスは、車外側の面に撥水性膜が成膜され、車内側の面に機能性膜が成膜されたガラス板により構成されている。但し、撥水性膜は、車内側の面の一部にも成膜されている。以下、この窓ガラスについて、詳細に説明する。
<1.ガラス板>
図1に示すように、この窓ガラスを構成するガラス板は、上下方向に延びる一対の側辺1,2、両側辺1,2の上端部同士を連結する上辺3、及び両側辺1,2の下端部同士を連結する下辺4を、周縁とする矩形状に形成されている。ここでは、図1の右側に配置された側辺を第1側辺1、左側に配置される側辺を第2側辺2と称することとする。本実施形態に係る窓ガラスは、第1側辺1が第2側辺2よりも長くなっており、第2側辺2が自動車の前方側に配置される。そして、上辺3は、第1側辺1から第2側辺2に向かって下方に傾斜している。
この窓ガラスは、種々の構成が可能であり、例えば、複数のガラス板を有する合わせガラスで構成したり、あるいは一枚のガラス板により構成することもできる。合わせガラスを用いる場合には、例えば、図2に示すように、構成することができる。図2は合わせガラスの断面図である。
同図に示すように、この合わせガラスは、外側ガラス板11及び内側ガラス板12を備え、これらガラス板11、12の間に樹脂製の中間膜13が配置されている。外側ガラス板11及び内側ガラス板12は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラスで形成することもできる。但し、これらのガラス板は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。一方、中間膜13は、一層で形成されてよいし、複数の層で形成することもできる。複数の層で形成する場合には、例えば、剛性の低い樹脂層を、剛性の高い樹脂層で挟む構造とすることができる。
また、ここで用いるガラス板は、平坦状であってもよいし、湾曲していてもよい。但し、湾曲している場合には、車内側の面が凹状に形成される。
<2.塗布領域>
上述したように、本実施形態に係る窓ガラスにおいては、車外側の面には全面に亘って撥水性膜を成膜される。但し、レギュレータが取り付けられる下端部付近は、常時、ドアのフレームに隠れるため、この部分には撥水性膜を成膜しないようにすることもできる。
また、図1に示すように、窓ガラスの車内側の面は、上辺3に沿う第1領域101と、第1領域101と隣接し、これよりも下方に位置する第2領域102とに分けられている。第1領域101の幅、つまり窓ガラスの上辺3からの距離dは、後述するドアの上部フレームの収納部に収納される領域であり、例えば、2〜50mmとすることが好ましく、5〜30mmとすることがさらに好ましい。
そして、第1領域101には、上述した撥水性膜が車外側の面から回り込んで成膜される。但し、この撥水性膜は第1領域101の全体に塗布される必要はなく、少なくとも窓ガラスの上辺3に沿うように成膜されていればよい。ここで、「少なくとも窓ガラスの上辺3に沿うように成膜される」とは、本発明の課題である摺動性や防汚性の観点から、窓ガラスの車外側の面と車内側の面を跨ぐエッジ部分だけ成膜されていてもよく、また、エッジ部分から車内側の面にかけて、例えば、2〜3mm程度の部分の一部に成膜されることも含む。一方、第2領域102には、機能性膜が成膜されている。機能性膜も第2領域102の全面に成膜される必要はないが、例えば、窓ガラスの下辺4付近や両側辺1,2付近に成膜しないようにしてもよい。なお、車外側の面から回り込む撥水性膜は、第1領域101のみならず、窓ガラスの両側辺1、2や、下辺から,車内側の面に回り込んでもよい。
<3.撥水性膜>
撥水性膜は、ガラス板の車外側の面に成膜されている。撥水性膜の組成は、特には限定されないが、例えば、特許第3982426号公報に記載のコーティング液を用いて成膜することができる。具体的には、撥水性官能基としてのフロオロアルキル基、および加水分解可能な基を含有するオルガノシランを用いることができる。
また、このような撥水性膜の成膜方法も特には限定されず、ディッピング法、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、スプレー法、スプレーコート法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法あるいはハケ塗り法(ラビング法)などを採用することができ、さらに、これらを適宜組み合わせることもできる。
撥水性膜の膜厚は、例えば、0.1〜500nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましい。
<4.機能性膜>
機能性膜は、ガラス板に機能を付与するための機能性材料の添加された膜である。機能性膜としては、例えば、紫外線吸収膜、赤外線(IR)吸収膜、防曇膜、撥水性膜、防汚膜、低反射膜、電磁遮蔽膜、または着色膜などを用いることができる。
機能性膜の成膜方法は、特には限定されず、撥水性膜の成膜方法と同様に、も特には限定されず、ディッピング法、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、スプレー法、スプレーコート法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法あるいはハケ塗り法(ラビング法)などを採用することができ、さらに、これらを適宜組み合わせることもできる。
機能性膜の膜厚は、膜の種類によって異なるが、例えば、紫外線吸収性膜を機能性膜とする場合には、例えば、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。
<5.ドア>
続いて、上記窓ガラスが取り付けられるドアについて説明する。本実施形態に係るドアは、車体にヒンジを介して開閉自在に取り付けられるドア本体51と、このドア本体51の車内側に取り付けられる化粧カバー(図示省略)、このドア本体51の上部に連結される窓枠部(上部フレーム)52とを、備えている。
窓枠部52は、ドア本体51の両側から上方に延びる一対の側枠521,522と、両側枠521,522の上端部同士を連結しほぼ水平に延びる上枠523とで構成されている。そして、両側枠521の内側には、窓ガラスが嵌まるガイド溝(図示省略)が形成されている。これらガイド溝の下端には、ドア本体51の内部空間に延びるランチャンネル(図示省略)がそれぞれ連結されており、これらランチャンネルはガイド溝とともに窓ガラスの昇降をガイドするようになっている。
また、窓枠部52において、窓ガラスと側枠521,522、上枠523との隙間には、雨などの進入を防いだり、防音のためのガラスランが取り付けられる。
ここで、窓枠部52の上枠に配置されるガラスランの一例について、図4を参照しつつ説明する。図4(a)は、図3のA−A線断面図である。同図に示すように、このガラスラン7は、上枠523に嵌め込まれる長尺状の基部71を備えており、この基部71の下端面には、閉じられた窓ガラスの上辺3が当接する。そして、この基部71には窓ガラスを挟むように、車内側の端部から下方に延びる板状の内側部72、車外側の端部から下方に延びる板状の外側部73と、が連結されている。これら基部71、内側部72、及び外側部73により、窓ガラスの上辺3が収容される収納部が形成され、外部からは見えないようになる。また、内側部72の上下方向の長さは、外側部73よりも長く形成されている。ここで、内側部72により構成される収納部の幅D1は、第1領域の幅dよりも大きくなっている。なお、収納部による窓ガラスが収容される幅D1とは、外側部73及び内側部72のうち、長い方による幅とする。また、図4(b)に示すように、窓枠部53の上枠523の一部が、ガラスラン7よりも下方に延びて窓ガラスを外部から見えないようにする場合には、上枠523のこの部分を含めて本発明の収納部に相当する。この場合、幅D1は、上枠523の下端までとなる。
さらに、内側部72の下端部には、窓ガラス側に向かって上方に延びる内側当接部721が連結されており、外側部73の下端部にも、同様に、窓ガラスに向かって上方に延びる外側当接部731が連結されている。内側当接部721及び外側当接部731の上端付近は、窓ガラスの車内側の面及び車外側の面に当接しており、窓ガラスが上下動することで、各面は内側当接部721及び外側当接部731により擦られるようになっている。そして、内側当接部721及び外側当接部731が窓ガラスに当接する部分は、収納部の内部に位置しており、窓ガラスが上昇して閉じられるときに、上辺3が収納部に入った後、内側当接部721及び外側当接部731に当接する。ここで、内側当接部721により擦られる窓ガラスの幅D2は、第1領域の幅dよりも小さくなっている。なお、上記内側当接部721及び外側当接部731が、本発明の接触部に相当する。また、擦られる窓ガラスの幅D2とは、外側当接部731及び内側当接部721のうち、長い方による幅とする。
なお、ガラスラン7は、上述した基部71、内側部72、外側部73、内側当接部721、及び外側当接部731が、ゴムなどの弾性材料によって一体的に形成されている。
<6.成膜方法の例>
本実施形態に係る窓ガラスにおいては、まず、車内側の面の第2領域102に機能性膜が成膜された後、車外側の面に撥水性膜が塗布される。そして、この撥水性膜は、一部が車内側の面に回り込み、第1領域101などに成膜される。以下、機能性膜及び撥水性膜の成膜方法の例を説明する。
<6.1 機能性膜液の成膜方法の例>
以下、機能性膜の成膜方法の一例として、フローコート法を用いた成膜方法について説明する。まず、機能性膜用塗布液(以下、機能液という)を塗布するための塗布装置について図5を参照しつつ説明する。図5は、塗布装置の概略を示す側面図である。
図5(a)に示すように、この塗布装置6は、機能液を射出する射出部61と、この射出部61を支持しながら移動させるロボットアーム62と、窓ガラスGに送風する送風ユニット(図示省略)と、を備えている。
射出部61は、窓ガラスGの方向を向くノズル611と、このノズル611を支持する基部612とを備えており、この基部612には機能液を供給するゴムなどで形成されたチューブ部材64が連結されている。チューブ部材64は、機能液を送り出すポンプ(図示省略)等から配送される機能液を射出部61に供給する。そして、基部612を介してノズル611とチューブ部材64とは連通しており、チューブ部材64により供給される機能液は、ノズル611から射出される。
ロボットアーム62は、射出部61を支持し、上下左右前後へと三次元的に移動させることができる。また、送風ユニットは、例えば、1又は複数のファンで構成され、機能液が射出された部分に送風するためのユニットである。
次に、上記塗布装置6による機能液の塗布方法について説明する。まず、機能液を塗布する対象となる窓ガラスGを、例えば、立てられた状態で載置し、機能液の塗布を行う車内側の面をノズル611に向けて配置する。このとき、窓ガラスGの車外側の面は、鉛直方向から角度Dだけ傾くようにしておく。そして、ノズル611から噴射される機能液が図6に示すような軌跡をたどるように塗布される。なお、窓ガラスGが湾曲している場合には、図5(b)に示すように、窓ガラスGの上下方向の長さLの中心点Xにおける接線Eと、鉛直方向に延びる線Kとのなす角度を上述した角度Dとする。なお、角度Dは、−30〜15度であることが好ましい。また、本発明者は、角度Dが0度より小さいと、機能液の流れが良くなるため、第1領域101と機能液が塗布された第2領域102との境界線を、直線状にすることができるため、見栄え良く成膜できることを見出した。この観点から、窓ガラスが湾曲している場合には、図5(b)に示す角度Dは、−15〜0度であることがさらに好ましい。
まず、ロボットアーム62を駆動し、射出部61のノズル611を、機能液が噴射されたときに、塗布開始領域Raに機能液が当たる位置まで移動させる。そして、ノズル611から塗布開始領域Raへ機能液を噴射されると、ノズル611を上方へ移動させる。これにより、機能液は第1側辺1に沿って塗布される。そして、塗布位置が第2領域102の上端である領域Rbに到達すると、ノズル611を、第2領域102の上縁L(第1領域と第2領域の境界)に沿って移動させる。このとき、上縁Lに沿って射出された機能液は下方に流れ落ち、これによって、第2領域102に機能液が塗布される。そのため、機能液を直接射出しない部分にも機能液を行き巡らせることができ、窓ガラスGに機能液を塗布するのに用いる機能液の量を低減することができる。
そして、ノズル611が、第2側辺2にある領域Rcに到達すると、ノズル611を下方へ移動し、第2側辺2に沿って機能液を塗布する。こうして、機能液の塗布位置が第2側辺2の下端付近である領域Rdに到達すると、ノズル611からの機能液の射出を停止する。なお、このような機能液の塗布を行っているときには、送風ユニットにより、ガラス面に空気を吹き付け、これにより、ガラス面に形成された機能膜を乾燥させる。こうして、窓ガラスにおける車内側の面の第2領域102に機能性膜が塗布される。
<6.2 撥水性膜の成膜方法の例>
次に、撥水性膜の性膜方法の一例として、スプレーコート法について説明する。
このスプレーコート法を用いた撥水性膜の成膜は、次のような成膜室で行われる。図7に示すように、成膜室9の天井部には、撥水性膜用液が噴霧されるスプレー装置91が配置されており、このスプレー装置91によって噴霧された撥水性膜用液が,成膜室9内に充満した状態とされる。また、この成膜室9の一方の側面から内部を通過して他方の側面へと延びるローラコンベア93が設けられており、窓ガラスGはこのローラコンベア93により搬送される。さらに、このローラコンベア93の下方には噴霧された撥水性膜用液を貯める容器94が配置されている。
そして、成膜を行うには、まず、窓ガラスGの車外側の面を上方に向けた状態で、ローラコンベア93によって、成膜室9を所定時間をかけて通過する。これにより、窓ガラスGの車外側の面に撥水性膜用液Sが塗布される。このとき、車外側の面に塗布された撥水性膜用液Sは、車内側の面、つまり下側を向く面に回り込み、この面の周縁に成膜される。したがって、車内側の面の第1領域101や、その他の周縁部分に撥水性膜が成膜される。
車内側の面に撥水性膜用液を回り込ませ、少なくとも第1領域の一部に撥水性膜を成膜するには、スプレー装置91から噴霧される撥水性膜溶液の量、成膜室9を通過させる時間などを適宜、調整する。こうして、車外側の面には撥水性膜が成膜され、車内側の面の第2領域102に機能性膜、少なくとも第1領域101の一部に撥水性膜が成膜された窓ガラスが完成する。
なお、撥水性膜用液Sが車外側の面から車内側の面に回り込むのは、次の理由からである。まず、一般的に成膜室9は狭いため(例えば、一辺が3m以内の部屋)、噴霧された撥水性膜用液Sは成膜室9内で十分に充満していること、また、窓ガラスGの車内側の面(下面)はローラコンベア93に常に支持されており、噴霧された撥水性膜用液Sがローラコンベア93を伝って窓ガラスGの車内側の面に付着すること、さらに、噴霧された撥水性膜用液Sはローラコンベア9の下方に配置された容器94に貯められるため、これが気化することによって車内側の面に撥水性膜用液が付着することによる。
<7 特徴>
以上のように、本実施形態によれば、車内側の少なくとも第1領域101及び車外側の面に撥水性膜が成膜されているため、窓ガラスの撥水性能を向上することができる。特に、撥水性膜は水などをはじくため、窓ガラス上の液滴の接触角が大きくなる。これにより、防汚性を向上することができる。そのため、窓ガラスの上辺付近に撥水性膜が成膜されていると、防汚性が向上するため、ガラスラン7に収納されたとしても汚れにくいという利点がある。さらに、上辺付近がガラスランの当接部721、731と接触したときに、滑りやすくなるため、ガラスラン7が窓ガラスに擦れにくくなり、傷が付くのを防止することができる。また、車内側の面の第1領域101には、機能性膜が成膜されておらず、且つ第1領域101の幅dを当接部721,731に当接する部分の幅D2よりも大きくしているため、機能性膜が当接部721,731に接触して傷付くのを防止することができる。
<8 変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
上記実施形態では、撥水性膜用液を主として、窓ガラスの車内側の第1領域101に回り込ませて成膜しているが、車内側の面全体に撥水性膜用液を成膜することもできる。この場合、スプレー装置91から噴霧される撥水性膜溶液の量、成膜室9を通過させる時間などを調整し、例えば、これらの少なくとも1つを通常よりも適宜、長くすればよい。
上記実施形態では、機能性膜用液を成膜するためのフローコート法において、ノズル611を移動させながら、機能性膜用液を塗布しているが、ノズル611を固定し、窓ガラスを移動させながら、機能性膜用液を塗布することもできる。すなわち、ノズル611を窓ガラスに対して相対的に移動させながら、機能性膜用液を上述した経路に沿って塗布できればよい。
例えば、上記実施形態では、自動車の前部座席側のドアに取り付けられる窓ガラスについて説明したが、後部座席側のドアに取り付けられる窓ガラスであってもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
ここでは、窓ガラスに撥水性膜を成膜した場合の動摩擦係数を測定し、撥水性膜における摺動性について検討した。具体的には、一般的なガラスランと同じ材料からなる摺動部材を窓ガラス上で摺動させ、動摩擦係数を測定した。
1.窓ガラス
平坦なクリアガラス板からなる窓ガラスを準備した。そして、実施例として、この窓ガラスに、図7に示す方法で車外側の面から撥水性膜用液を噴霧し、車内側の面に撥水性膜用液を回り込ませて成膜した。比較例として、撥水性膜を成膜していない窓ガラスを準備した。撥水性膜用液は、上述した特許第3982426号公報の実施例1に記載のコーティング液を用いた。
2.試験方法
(1) 実施例及び比較例を平坦な面に配置した。
(2) 一般的なガラスランを切断し、平坦な40×10mmの大きさに成形したものを摺動部材とした。そして、この摺動部材の上面に治具を固定し、治具の上面に錘を配置し、摺動部材の下面を実施例及び比較例に係る窓ガラス上に配置した。このとき、摺動部材、治具、及び錘の合計荷重F1は、7.252Nであった。
(3) 図8に示すように、一端部がロードセルに接続されたケーブルを治具に接続し、このケーブルを速度500mm/minで水平方向に引っ張った。そして、摺動部材が20mm移動した地点から、120mm移動するまでの範囲での最大荷重F2及び平均荷重F3をロードセルにより測定し、最大荷重F2での動摩擦係数μ1、及び平均荷重F3での動摩擦係数μ2を算出した。そして、この作業を3回繰り返した。なお、μ1=F2/F1、μ2=F3/F1とした。
(4) 実施例においては、車内側に回り込んで撥水性膜が成膜された周縁部付近の領域、及び車外側の面について、上記測定を行った。比較例については、撥水性膜用液が成膜されていない面について、上記測定を行った。
3.結果
結果は、以下の通りである。表1は、最大荷重により動摩擦係数μ1を算出した結果であり、表2は、平均荷重により動摩擦係数μ2を算出した結果である。
上記結果の通り、最大荷重及び平均荷重による動摩擦係数μ1、μ2は、実施例の車内側の面について、比較例よりも小さく、実施例に係る車外側の面と大差はなかった。したがって、撥水性膜用液を車外側の面から回り込ませて成膜した場合でも、通常の塗布方法と大差なく、動摩擦係数が低下させることができ、ガラスランとの接触部との摩擦を低減することができる。その結果、窓ガラス及びガラスランの双方に傷が付くのを防止できることが分かった。また、実施例について、車内側の面の撥水性膜が成膜された領域に水を滴下したとき、その接触角が大きくなることも確認された。よって、防汚性も向上していることが分かった。
3 :上辺
101 :第1領域
102 :第2領域
G :窓ガラス

Claims (6)

  1. 自動車のドアにおいて開閉可能で、当該ドアの上部フレームの接触部に上辺が接触される窓ガラスであって、
    前記上辺から所定の幅の第1領域、及び当該第1領域の下縁と隣接する第2領域を有し、前記所定の幅が前記接触部に接触される幅よりも大きく、
    一方の面に撥水性膜が成膜されており、
    他方の面において、前記撥水性膜の一部が、前記一方の面から他方の面の少なくとも前記第1領域の一部に回り込んで成膜されており、
    前記窓ガラスの他方の面の第2領域に、機能性膜が成膜されている、窓ガラス。
  2. 前記ドアの上部フレームは、前記上辺が収納され、前記接触部を内蔵する収納部を備えており、
    前記所定の幅は、前記収納部に収納される幅よりも小さい、請求項1に記載の窓ガラス。
  3. 前記撥水性膜は、スプレーコート法により成膜されている、請求項1または2に記載の窓ガラス。
  4. 前記機能性膜は、機能性膜用液をフローコート法により塗布することで成膜されている、請求項1から3のいずれかに記載の窓ガラス。
  5. 前記他方の面が凹状に湾曲しており、車内側に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の窓ガラス。
  6. 自動車のドアにおいて開閉可能で、当該ドアの上部フレームの接触部に上辺が接触する窓ガラスを製造する方法であって、
    上辺から所定の幅の第1領域、及び当該第1領域の下縁と隣接する第2領域を有し、前記所定の幅が前記接触部に接触する幅よりも大きい、窓ガラスを準備するステップと、
    前記窓ガラスの他方の面の第2領域に、機能性膜を成膜するステップと、
    前記窓ガラスの一方の面に撥水性膜を成膜するとともに、当該撥水性膜の一部を、当該窓ガラス板の他方の面における少なくとも前記第1領域に回り込ませて成膜するステップと、
    を備えている窓ガラスの製造方法。
JP2014168005A 2014-08-20 2014-08-20 窓ガラス及びその製造方法 Active JP6377453B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168005A JP6377453B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 窓ガラス及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014168005A JP6377453B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 窓ガラス及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016043744A true JP2016043744A (ja) 2016-04-04
JP6377453B2 JP6377453B2 (ja) 2018-08-22

Family

ID=55634728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014168005A Active JP6377453B2 (ja) 2014-08-20 2014-08-20 窓ガラス及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6377453B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001149845A (ja) * 1999-12-01 2001-06-05 Nippon Technical System Kk 紫外線カット用コーティング液材及びそのコーティング装置並びにコーティング方法
JP2007137748A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Asahi Glass Co Ltd 塗布膜付きガラス板及びその製造方法
JP2007176771A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Nippon Sheet Glass Co Ltd 車両用窓ガラス及びその製造方法
JP2011256060A (ja) * 2010-06-07 2011-12-22 Asahi Glass Co Ltd 被膜付き自動車用窓ガラスの製造方法
JP2013129576A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Asahi Glass Co Ltd 塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法
JP2014111453A (ja) * 2014-03-04 2014-06-19 Asahi Glass Co Ltd 被膜付き自動車用窓ガラス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001149845A (ja) * 1999-12-01 2001-06-05 Nippon Technical System Kk 紫外線カット用コーティング液材及びそのコーティング装置並びにコーティング方法
JP2007137748A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Asahi Glass Co Ltd 塗布膜付きガラス板及びその製造方法
JP2007176771A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Nippon Sheet Glass Co Ltd 車両用窓ガラス及びその製造方法
JP2011256060A (ja) * 2010-06-07 2011-12-22 Asahi Glass Co Ltd 被膜付き自動車用窓ガラスの製造方法
JP2013129576A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Asahi Glass Co Ltd 塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法
JP2014111453A (ja) * 2014-03-04 2014-06-19 Asahi Glass Co Ltd 被膜付き自動車用窓ガラス

Also Published As

Publication number Publication date
JP6377453B2 (ja) 2018-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5733197B2 (ja) 塗膜付き自動車用窓ガラスおよびその製造方法
JP5494254B2 (ja) 被膜付き自動車用窓ガラスの製造方法
EP2598585B1 (en) Process for preparing articles having anti-fog layer by layer coating and coated articles having enhanced anti-fog and durability properties
JP5393810B2 (ja) 取付フレームの選択部分に導電性層を付着させる方法
JP6574882B2 (ja) 自動車のフロントドア用窓ガラス及びフロントドア構造
JP2010285574A (ja) 撥水膜被覆物品、建築用窓ガラス及び車両用窓ガラス
JP6420642B2 (ja) ガラス板及びガラス板の製造方法
JP5867529B2 (ja) 被膜付き自動車用窓ガラス
JP6377453B2 (ja) 窓ガラス及びその製造方法
EP3059617A1 (en) Optical product and spectacle plastic lens
US20150159022A1 (en) Composition For Surface Treatment, Method Of Preparing A Surface-Treated Article, And Surface-Treated Article
JP5983853B2 (ja) 被膜付き自動車用窓ガラス
WO2017086438A1 (ja) ガラス物品
CN110398852A (zh) 带遮光层的透明板和车载用内饰构件及显示装置
JP6377469B2 (ja) 窓ガラス及び機能性膜用液の塗布方法
US20070217014A1 (en) Antireflection film, process of producing the same, and polarizing plate and display device including the same
EP3181646A1 (en) Electronic device having anti-fingerprint coating layer
EP3283446B1 (en) Coated glazing
JP5867643B2 (ja) 被膜付き自動車用窓ガラス
JP7354305B2 (ja) 高放射率および低放射率のコーティング層を有する実質的に透明な基板
JP2005070647A (ja) 光学物品及びその製造装置
KR200481865Y1 (ko) 샤워부스용 슬라이딩 도어
JP5369644B2 (ja) 低屈折率コーティング剤及び反射防止フィルム
JPWO2013084997A1 (ja) 光学部品の製造方法
KR102210809B1 (ko) 건식 도금 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180725

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6377453

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250