JP2016030767A - ポリオレフィン組成物およびポリオレフィン延伸フィルム、延伸多層フィルム、並びに延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が、(a)と(b)の合計量を100質量%として、0.5質量%以上、50質量%未満であるポリオレフィン組成物である。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(B)
(c)ブロッキング防止剤
【選択図】なし
Description
しかしながら、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは食品包装用等、広く利用されているが、その平滑性がゆえに耐ブロッキング性が著しく劣る欠点を有している。
このような問題点を解決するために従来から多くの検討がなされ、フィルムの表面に微小な凹凸性を付与し、フィルム同士の密着を抑制するために、無機系の微粒子を添加する方法、(例えば、特許文献1を参照)、有機系の微粒子を添加する方法(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。
しかし、上記方法では、微粒子を配合したポリプロピレンをフィルム状に延伸する際に、微粒子の周りのポリプロピレンが引き伸ばされる結果、微粒子の周辺に空孔(以下「ボイド」ともいう)が発生し、フィルムの透明性が悪化してしまう欠点があった。
すなわち本発明は、以下の発明を提供する。
[1] 下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が、(a)と(b)の合計量を100質量%として、0.5質量%以上、50質量%未満であるポリオレフィン組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(B)
(c)ブロッキング防止剤
[2] 前記オレフィン系重合体(B)の含有量が、(a)成分と(b)成分の合計量を100質量%として、50質量%以上である、上記[1]に記載のポリオレフィン組成物。
[3] 前記オレフィン系重合体(A)の50モル%以上がプロピレンモノマーで構成されるプロピレン系重合体(A’)である、上記[1]又は[2]に記載のポリオレフィン組成物。
[4] 前記オレフィン系重合体(A)が(i)〜(ii)を満たすプロピレン系重合体(A’)である請求項3に記載のポリオレフィン組成物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
[5] 前記オレフィン系重合体(A)が下記(2)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、上記[4]に記載のポリオレフィン組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
[6] 前記オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物。
[7] 前記オレフィン系重合体(A)が下記(1)または(2)のいずれかを満たすプロピレン系重合体(A’)である、上記[1]〜[3]、[6]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
[8] 更に前記オレフィン系重合体(A)が下記(3)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、上記[7]に記載のポリオレフィン組成物。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
[9] 更に前記オレフィン系重合体(A)が下記(4)及び(5)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、上記[7]又は[8]に記載のポリオレフィン組成物。
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦2.0
[10] 上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物を一軸又は二軸方向へ配向させて成る、延伸フィルム。
[11] 二層以上からなる多層フィルムであって、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物を少なくとも一層含み、一軸又は二軸方向へ配向させて成る、延伸多層フィルム。
[12] 前記延伸多層フィルムの最外層の少なくとも一層が、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物からなる、上記[11]に記載の延伸多層フィルム。
[13] 上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のポリオレフィン組成物からなる層を一層以上含むシートを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸フィルムの製造方法。
また、本発明のポリオレフィン組成物を延伸して得られる延伸フィルム及びその製造方法は、従来よりも、ブロッキング防止剤の脱落が抑制され、かつ、ポリオレフィン組成物の延伸時におけるボイドの形成が抑制されるので、得られる延伸性フィルムのブロッキング効果は高く、かつ、透明性に優れる。さらに、脱落したブロッキング防止剤がフィルム巻取りロールに堆積して汚れとなり、それが原因でフィルム表面を傷つけることを抑制し、また、フィルム巻取りロールに堆積したブロッキング剤がフィルム表面に付着して表面を汚すことも抑制する。
また、本発明のポリオレフィン組成物を最外層に用いる延伸多層フィルムも、ブロッキング防止剤の脱落を抑制し、かつ、最外層のフィルムの透明性に優れる。
本発明のポリオレフィン組成物は、下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が、(a)と(b)の合計量を100質量%として、0.5質量%以上、50質量%未満であるポリオレフィン組成物である。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(B)
(c)ブロッキング防止剤
なお、本発明の「ポリオレフィン組成物」は、例えば、延伸フィルム用のポリオレフィン組成物として好適に用いられる。
特に、ポリオレフィン組成物の均一延伸性が大幅に改善される観点から、ポリオレフィン組成物における非晶成分の割合を増大させるためには、上記融解吸熱量(ΔH−D)と分子量分布(Mw/Mn)を有するオレフィン系重合体(A)の含有量が、前記オレフィン系重合体(A)とオレフィン系重合体(B)との合計含有量に対して、0.5質量%以上、50質量%未満であり、好ましくは0.5質量%以上、30質量%未満、より好ましくは0.5質量%以上、15質量%未満、更に好ましくは1質量%以上、10質量%未満である。
特に、フィルムの力学特性及び光学特性に影響を与えることなく、延伸性が大幅に改善される観点から、オレフィン系重合体(A)が、上記融解吸熱量(ΔH−D)と分子量分布(Mw/Mn)を有しかつ後述する特性を有する場合(特に、プロピレン系重合体(A’)である場合)であって、このオレフィン系重合体(A)の含有量が、上記の範囲の含有量であることが好ましい。
また、上記融解吸熱量(ΔH−D)を有しかつ後述する特性を有するオレフィン系重合体(A)(特に、プロピレン系重合体(A’))は、従来技術である、エチレンや1−ブテンなどのコモノマーを用いたプロピレン−αオレフィン共重合体に比べて結晶化速度が遅いという特徴を有している。これは、上記プロピレン−αオレフィン共重合体の立体規則性が高く、結晶化に必要な3/1らせんを形成する速度がコモノマーを用いない高立体規則性のプロピレン重合体と同等なのに対して、上記融解吸熱量(ΔH−D)を有しかつ後述する特性を有するオレフィン系重合体(A)は、立体規則性の乱れが分子鎖に適度に存在しているため、結晶化に必要な3/1らせんを形成する速度がコモノマーを用いない高立体規則性のプロピレン重合体に比べて著しく遅くなることに由来している。結晶化速度が遅い材料を主成分であるポリプロピレン系樹脂組成物に添加した場合、樹脂組成物全体の結晶化速度が遅くなり、樹脂組成物全体の結晶化速度が遅くなると、球晶の成長速度が遅くなり、成長する球晶サイズが小さくなり、延伸時の球晶破壊応力が小さくなるため、均一かつ容易な延伸が実現できると推測される。
例えば、ブロッキング防止剤がポリオレフィン組成物中で分散不良を起こすと、分散不良の部分がフィルム延伸後のフィルム表面で大きく盛り上がり、フィルム全体の耐ブロッキング性が悪化する。さらに、フィルム表面で大きく盛り上がった部分のブロッキング防止剤を覆っている樹脂の薄皮が剥がれると、多量のブロッキング防止剤がフィルムから脱落することになり、脱落したブロッキング防止剤がフィルム巻取りロールに堆積すること起因する汚れで、フィルム表面に傷をつけたり、また、フィルム巻取りロールに堆積したブロッキング剤がフィルム表面に付着して表面を汚すなど、フィルムの品質低下を起こすと推察される。さらに、フィルムの品質の低下により、コンバーターを用いた印刷工程などへも悪影響を及ぼすおそれがある。すなわち、本発明のポリオレフィン組成物に上記オレフィン系重合体(A)を配合することは、フィルムからのブロッキング防止剤の脱落を抑制する効果だけでなく、ポリオレフィン組成物中へのブロッキング防止剤の分散性を向上させることにも寄与していると推測する。
本発明のオレフィン系重合体(A)は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。なお、本発明において、単に「オレフィン系重合体」という場合には、オレフィン系共重合体も含まれる。
また、本発明のポリオレフィン組成物において、主成分であるオレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である場合、主成分のプロピレン系重合体(B’)との相溶性の観点から、プロピレン系重合体(A’)は、炭素数が2のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が2のオレフィン(すなわち、エチレンモノマー)の構成単位が、0モル%を超え、20モル%以下が好ましく、0モル%を超え、18モル%以下が好ましく、0モル%を超え、15モル%以下がより好ましく、0モル%を超え、13モル%以下が更に好ましい。また、炭素数が3のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が3のオレフィン(すなわち、プロピレンモノマー)の構成単位が、50モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、75モル%以上が更に好まし、80モル%以上が更に好ましい。また、炭素数が4以上のαオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が4以上のαオレフィン含有量が、0モル%を超え、30モル%以下が好ましく、0モル%を超え、27モル%以下が特に好ましく、更に好ましくは0モル%を超え、20モル%以下が更に好ましい。また、本発明のポリオレフィン組成物において、主成分であるオレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である場合、主成分のプロピレン系重合体(B’)との相溶性の観点などから、本発明のオレフィン系重合体(A)は、最も好ましくはプロピレン単独重合体である。 なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の融解吸熱量(ΔH−D)は、0〜80J/gである。オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gの場合、本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物の主成分であるオレフィン系重合体(B)(特に、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である場合)に対して、結晶化度を低減させる。それにより、ラメラ−ラメラ間のタイ分子数が低減する。延伸時にタイ分子数が少ないと初期の高次構造が均一に変形するため、結果として、均一延伸性が向上する。このような観点から、0〜80J/g、好ましくは10〜70J/g、より好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは30〜50J/gである。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の分子量分布(Mw/Mn)は、高強度の観点から、好ましくは3.0未満である。分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であれば、延伸性やフィルム物性(たとえば、力学特性、光学特性)に悪影響を及ぼす低分子量成分が抑制され、後述する本発明のポリプロピレン延伸フィルムのフィルム物性の低下が抑制される。オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5〜2.5である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦2.0
メソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。
オレフィン系重合体(A)がプロピレン単独重合体である場合、そのメソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の取り扱い性及びポリオレフィン系重合体(B)へ少量添加した際の延伸性の改良効果の観点から、好ましくは20〜60モル%、より好ましくは30〜55モル%、更に好ましくは40〜50モル%である。メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上であると、本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物の主成分である、オレフィン系重合体(B)の剛性を低下させず、延伸性を改良することができ、60モル%以下であると、主成分であるオレフィン系重合体(B)と共晶化せず、主成分であるオレフィン系重合体(B)の非晶部分に相溶することで延伸性を改良できる。
オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の融点(Tm−D)は、強度や成形性の観点から高い方が好ましい。好ましくは0〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃、より更に好ましくは60〜80℃である。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点(Tm−D)とする。融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。[rrrr]/(1−[mmmm])のこの値が大きくなると既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、成形後のポリプロピレン延伸フィルムのべたつきの原因となる。なお、上記における[rrrr]及び[mmmm]の単位は、モル%である。
オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)における[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、特に好ましくは0.01〜0.04である。
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、ポリプロピレンの立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどポリプロピレンのランダム性が増加する。
オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5モル%を超える。オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)の[rmrm]が2.5モル%を超えることにより、ランダム性が増し、本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物の主成分であるオレフィン系重合体(B)(特に、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である場合)と共晶化し難くなり、その結果、ポリオレフィン組成物の耐熱性や剛性の低下が抑制される。このような観点から、オレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.6モル%以上、より好ましくは2.7モル%以上である。その上限は、通常、好ましくは10モル%程度であり、より好ましくは7モル%、更に好ましくは5モル%、特に好ましくは4モル%である。
トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される[mm]×[rr]/[mr]2の値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなり、本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物の主成分であるオレフィン系重合体(B)(特に、オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である場合)と共晶化が起こらず、主成分であるオレフィン系重合体(B)(特に、プロピレン系重合体(B’))に対して効率的に延伸性を改良することができる。本発明のオレフィン系重合体(A)及びプロピレン系重合体(A’)は、上式の値が通常2以下、好ましくは1.8〜0.5、さらに好ましくは1.5〜0.5の範囲である。なお、上記における[mm]及び[rr]の単位は、モル%である。
具体的に例示すれば、
(i)一般式(I)
で表される遷移金属化合物、及び(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒が挙げられる。
本発明のオレフィン系重合体(B)は、本発明のポリオレフィン組成物の主成分であって、後述する本発明のポリオレフィン延伸フィルムの基材樹脂である。本実施の形態のオレフィン系重合体(B)は、 示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(B)であれば特に限定されず、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体、重合体を構成モノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体などが挙げられるが、剛性や透明性の観点から優れたフィルム物性が得られる、プロピレン系重合体が好ましい。
プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(B’)であることが好ましい。更に、ポリオレフィン延伸フィルムの物性(たとえば、力学物性、光学物性)の観点から、本発明のオレフィン系重合体(B)は、特に好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体もしくは、プロピレン単独重合体である。なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
下記に具体的な例を示すが、本願で使用するブロッキング防止剤に組成や形状などの制限はない。
ブロッキング防止剤としては、例えば、無機系である微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレイ、微粉末金属、微粉末炭酸カルシウム、微粉末ガラス、有機系であるポリスチレン、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂、架橋アクリル樹脂、メタクリル樹脂、架橋メタクリル樹脂、シリコン樹脂、架橋シリコン樹脂の微粒子状の樹脂、もしくは液状のシリコン樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、もしくはフィルムの構成樹脂と非相溶の樹脂などを挙げることができる。これらの内では、微粉末シリカおよび微粉末状樹脂が好ましい。また、形状としては、球状のものが耐ブロッキング性改良効果に優れているので好ましい。
ブロッキング剤の平均粒径は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは0.8〜10μmである。上記範囲内であることで、十分なアンチブロッキング性と滑り性を両立させることができ、かつ、延伸フィルムに大きなボイドが発生することなく、透明性及び光沢性に優れた延伸フィルムが得られる。
ブロッキング剤の平均粒径は、例えば水中にブロッキング剤を界面活性剤と共存させ、超音波分散機を使用して十分に分散させた後、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、測定することが可能である。ここで、平均粒子径は個数分布より算出される値を用いた。
本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、核剤、石油樹脂、水添石油樹脂、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、エラストマーなどを配合することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、イオウ系、ラクトーン系、有機ホスファイト系、有機ホスフォナイト系の酸化防止剤、あるいはこれらを数種類組み合わせた酸化防止剤等を使用することができる。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれら飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることができる。これらの内でも、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。スリップ剤は、ポリオレフィン組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、エステル系、軟質塩ビ系、ウレタン系、アミド系、ブタジエン・イソプレン系のエラストマー、あるいはこれらを数種類組み合わせたエラストマーを用いることができる。これらの中でもスチレン系、オレフィン系、ブタジエン・イソプレン系が好ましい。エラストマーはポリオレフィン組成物100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明の延伸フィルムは本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物を成形して得られる延伸フィルムである。ポリオレフィン延伸フィルムとしてはポリエチレン延伸フィルム、ポリプロピレン延伸フィルム、ポリブテン延伸フィルムなどの種類が挙げられるが、優れたフィルム物性を有することからポリプロピレン延伸フィルムが好ましい。
なお、ポリオレフィン延伸フィルムの種類は、ポリオレフィン延伸フィルムの基材樹脂であって延伸フィルム用ポリオレフィン組成物の主成分でもあるオレフィン系重合体(B)の種類によって決定される。
本発明の延伸フィルムの厚みに特に制限はないが、通常2〜200μm、好ましくは7〜80μmである。
本発明の延伸多層フィルムは、本発明のポリオレフィン組成物からなる層を少なくとも一層有するものであり、これら多層を一軸又は二軸方向へ配向させて成る延伸多層フィルムであり、ブロッキング防止性の観点から延伸多層フィルムの最外層の少なくとも一層が本発明のポリオレフィン組成物からなることが好ましい。また、この時の最外層は、ヒートシール層として機能してもよい。
最外層が、ヒートシール層である場合、上述したオレフィン系重合体(B)が好ましく、例えば、オレフィン系重合体(B)がプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体またはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であることがより好ましく、ヒートシール層としての役割も有しさらにブロッキング防止のためのスキン層としての役割を有することもある。
また、本発明の延伸多層フィルムは、用途に応じて、最外層の他の層として、適宜樹脂組成物を選択して用いることができ、例えば、ポリオレフィン樹脂組成物の他に、ガスバリア性をもつ樹脂(エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、剛性をもつ樹脂(ナイロンなど)が挙げられる。
また、本発明の延伸多層フィルムの厚みに特に制限はないが、通常2〜200μm、好ましくは7〜80μmである。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、本発明のポリオレフィン組成物からなる層を一層以上含むシートまたはフィルムを再加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して延伸フィルムを得る製造方法である。
以下に、本発明のポリオレフィン延伸フィルムの一般的な製法として、一例を説明する。なお、本発明では、以下の製法に限るものではない。
本発明の延伸フィルム用ポリオレフィン組成物を溶融押出ししてT型のダイスからカーテン状に垂らし、直後にこの溶融膜を冷却ロールによって固化させ一次フィルムを得る。続いて、後続の延伸装置により延伸を行う。
押出により得られた一次フィルムを更に一軸延伸又は二軸延伸等により延伸して、延伸成形された延伸フィルムを得ることもできる。延伸方法は、押出したフィルムを連続して、テンター方式による逐次二軸延伸や同時二軸延伸、インフレーション方式による同時二軸延伸が挙げられる。また、バッチ式の二軸延伸装置を使用してもよい。押出延伸倍率は延伸フィルムの用途に応じて適宜決定することができるが、機械方向(MD)及び/又は機械方向に対して垂直方向(TD)について、それぞれ2〜12倍に一軸延伸又は二軸延伸することが好ましい。
テンター法では、この一次フィルムを延伸に適した温度に再加熱され、遅(前)ロールと速(後)ロール間で機械方向(MD)に延伸される。次いで、テンター部に入り、フィルムの両端を保持したまま加熱され、機械方向に対して垂直方向(TD)に延伸される。最後にこのフィルムを熱処理することでフィルム物性を安定化させ巻き取り機によって巻き上げる。また、上記に示したような機械方向(MD)及び垂直方向(TD)の延伸を同時に行う二軸同時テンター式延伸方式を用いても、本発明の延伸フィルムを得ることが可能である。
攪拌機付き、内容積0.25m3のステンレス製反応器に、n−ヘプタンを26L/hr、トリイソブチルアルミニウムを7.7mmol/hr、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートと(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドと、トリイソブチルアルミニウムとプロピレンとを質量比1:2:20で、事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で6μmol/hrで連続供給した。
反応器内の全圧を1.0MPa・Gに保つようプロピレンと水素を連続供給し、重合温度を適宜調整し所望の分子量を有する重合溶液を得た。
得られた重合溶液に、酸化防止剤をその含有割合が1000質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、プロピレン系重合体(A’−1)を得た。
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量ΔH−Dとして求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を得た。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
以下に示す装置および条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
フィルムの製膜は、Bruckner製の連続成形パイロットラインにて実施した。製膜条件は下記の通りである。
Bruckner製の連続成形パイロット機(押出機スクリュー系:120mmφ、テンターのライン速度:48.6m/min、Tダイ幅:280mm、チルロール直径:1500mmφ)によって溶融樹脂を押出しながら、チルロールで冷却して単層フィルムを作製した。このとき、チルロール温度は20℃で原反冷却用水槽温度は20℃であった。作製された単層フィルムは、続いて予熱ロールで予熱された後に延伸温度:108℃及び延伸倍率:5.0倍の条件で機械方向に延伸(MD、縦延伸)され、さらにフィルム両端をチャックで固定された状態でテンターを通り、延伸温度:166℃、延伸倍率:8.5倍、弛緩率:5%及び熱固定温度:166℃の条件で機械方向に対して垂直方向(TD、横延伸)に延伸され、二軸延伸フィルムを作製した。
200mm×15mmの短冊状の試験片を用い引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAG−I)で引張速度300mm/minで引張り、弾性率、破断強度、破断伸度を求めた。
(i)弾性率
引張試験機を用いた垂直方向(TD、横方向)の引張時における弾性率を測定した。測定の条件は、200mm×15mmの短冊状の試験片を用いて、引張試験機でチャック間距離150mm、引張速度300mm/minで引張り、伸度(ひずみ)を横軸とし、応力を縦軸とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、降伏点前の関係線の傾きを『弾性率』として求めた。弾性率は値が高いほど、フィルムの剛性が優れる。
(ii) 破断強度
上記二次元座標軸上に関係線(曲線)において、試験片が破断する前に試験片に表れる最大の引張応力を『破断強度』として、求めた。
(iii)破断伸度
破断伸度(%)=100×(L−L0)/L0
(式中、L0:試験前の試験片の長さ、L:破断時の試験片の長さ)
(i)透明性測定
JIS K7105およびJIS K7136に準拠して、日本電色工業社製ISOヘイズメーター(NDH2000)を用いて測定した。なお、ヘイズ値が小さいほど透明性が高くなる。
ヘイズ(%)=Td/Tt×100
(式中、Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率)
(ii)光沢(グロス)の測定
JIS K7105およびJIS Z8741に準拠して、日本電色工業株式会社製の光沢計「VG2000」を用いて測定した。なお、60度鏡面光沢を測定した。また、グロス値が高いほど光沢性が高くなる。
(iii)狭角拡散透過率(LSI)測定
視覚透明度試験機(「LSI試験機」ともいう、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。LSIは全光線透過光量に対する散乱角0.4°以上1.2°以下の散乱光量の比率を示すものであり、目視ではフィルムの透視感に対応する。このLSIは、光の散乱角が比較的小さなものについての評価手法であって、この場合、光の散乱単位は、10μm以上の大きさのものに対応する。従って、フィルム中の光散乱因子の中では、ブロッキング防止剤が原因で発生するボイド(空孔)由来の光散乱にほぼ相当する。LSIは、肉眼で観察した透視感とかなり良く対応することから透視感の尺度として用いた。なお、LSI値が小さいほどフィルムの透視感(クリア感/すっきり感)が高くなる。
狭角拡散透過率(%)=Ts/T0×100
(式中、Ts:散乱角0.4°以上1.2°以下の散乱光量、T0:全光線透過光量)
偏光顕微鏡を用いて表面のブロッキング防止剤の形態観察を実施した。ブロッキング防止剤がフィルムの耐ブロッキング性を発現するためには、表面に十分な凹凸が形成される必要がある。観察によって、十分に耐ブロッキング性の発現が期待できる箇所(X)とブロッキング防止剤に覆いかぶさっている樹脂の薄皮が剥がれてしまっている箇所(Y)とブロッキング防止剤が脱落してしまった後の箇所(Z)の3つについて統計学的に十分な量のカウントを行い、それらの割合を求めた。(Y)の割合が薄皮の破れの頻度を表し、(Z)の割合がブロッキング防止剤の脱落の頻度を表す。
静摩擦係数測定試験機(東洋精機工業(株)製、摩擦測定機AN型)を用い、23℃で相対湿度50%の条件下で、ASTM-D1894に準じて測定した。
MD方向10cm×TD方向10cmのフィルムのチルロール面どうしを重ね合わせ、50℃の恒温槽に200g/cm2の荷重下で3日間保持する(100℃品についても、
恒温槽以外は同条件)。その後、23℃、相対湿度50%の室内にて24時間以上状態を調節した後、引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAG−I)を用い、引張速度200mm/minで剥離させたときの剥離強度を測定し、剥離強度を試験片幅で割った値をブロッキング係数とし、耐ブロッキング性を評価した。ここで、ブロッキング係数が小さいほど、耐ブロッキング性に優れる。
なお、ここでは、上記MD方向とは、機械方向を意味し、上記TD方向とは、機械方向に対して垂直方向を意味する。
以下に示すように延伸フィルムを作製し、それぞれについて上記測定方法によって物性を評価した。
製造例1のプロピレン系重合体(A’−1)5質量%とプロピレン系重合体(B)(PP、Lyondellbasell社製、Moplen HP525J、融点(Tm−D):163℃、引張弾性率:1500MPa、立体規則性[mmmm]:91%、融解熱量(ΔH−D):84J/g)93質量%とブロッキング防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、Polybatch ABPP05)2質量%からなる樹脂組成物のドライブレンド物について、上述したBruckner製の連続成形パイロットラインにて製膜した。製膜されたフィルムの光学特性・力学特性・表面特性について、上述の測定方法に基づき測定して評価した。結果を表2に示す。
プロピレン系重合体(B)(PP、Lyondellbasell社製、Moplen HP525J、融点:163℃、引張弾性率:1500MPa、立体規則性[mmmm]:91%、融解熱量(ΔH−D):84J/g)98質量%とブロッキング防止剤マスターバッチ(A.Schulman社製、Polybatch ABPP05)2質量%からなる樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で製膜し、フィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (13)
- 下記(a)〜(c)成分を含むポリオレフィン組成物であって、オレフィン系重合体(A)の含有量が、(a)と(b)の合計量を100質量%として、0.5質量%以上、50質量%未満であるポリオレフィン組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)により測定される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(B)
(c)ブロッキング防止剤 - 前記オレフィン系重合体(B)の含有量が、(a)成分と(b)成分の合計量を100質量%として、50質量%以上である、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
- 前記オレフィン系重合体(A)の50モル%以上がプロピレンモノマーで構成されるプロピレン系重合体(A’)である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン組成物。
- 前記オレフィン系重合体(A)が(i)〜(ii)を満たすプロピレン系重合体(A’)である請求項3に記載のポリオレフィン組成物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。 - 前記オレフィン系重合体(A)が下記(2)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、請求項4に記載のポリオレフィン組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。 - 前記オレフィン系重合体(B)がプロピレン系重合体(B’)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物。
- 前記オレフィン系重合体(A)が下記(1)または(2)のいずれかを満たすプロピレン系重合体(A’)である、請求項1〜3、6のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。 - 更に前記オレフィン系重合体(A)が下記(3)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、請求項7に記載のポリオレフィン組成物。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1 - 更に前記オレフィン系重合体(A)が下記(4)及び(5)を満たすプロピレン系重合体(A’)である、請求項7又は8に記載のポリオレフィン組成物。
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦2.0 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物を一軸又は二軸方向へ配向させて成る、延伸フィルム。
- 二層以上からなる多層フィルムであって、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物を少なくとも一層含み、一軸又は二軸方向へ配向させて成る、延伸多層フィルム。
- 前記延伸多層フィルムの最外層の少なくとも一層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物からなる、請求項11に記載の延伸多層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物からなる層を一層以上含むシートを加熱して、一軸又は二軸方向へ、同時又は逐次延伸して得る、延伸フィルムの製造方法。
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