以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、位置推定システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
[1.位置推定システムの構成および機能の概要]
まず、本発明の一実施形態に係る位置推定システムの構成および概要機能について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る位置推定システムの概要構成例を示す模式図である。
図1に示すように、位置推定システム1は、物品5の位置を推定するための位置推定サーバ装置10と、位置推定サーバ装置10に接続した傍受端末装置20と、物品5に取り付けられて移動可能な情報通信端末装置30と、情報通信端末装置30に表示のデータを、アクセスポイント41a等を介して送信する情報表示サーバ装置40と、を備える。
位置推定サーバ装置10と、各傍受端末装置20とは、シリアル通信用のネットワークCを介して接続されている。なお、位置推定サーバ装置10と各傍受端末装置20との通信を、ネットワークCの代わりに、無線通信で行ってもよい。
情報表示サーバ装置40と、各アクセスポイント(アクセスポイント41a、41b、41c、41d・・・)とは、ハブ48を有するLANのようなネットワークを通して接続されている。各アクセスポイント41a、41b、41c、41dと、各情報通信端末装置30とは、近距離無線通信により交信を行う。例えば、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dと各情報通信端末装置30とは、2.4GHz帯域の近距離無線通信により、50m〜100mの範囲の交信を行う。
所定位置に設置された無線機の一例であるアクセスポイント41a等は、基地局であり、送信機能と受信機能とを有する。アクセスポイント41a等は、例えば、工場等の施設(所定の範囲の一例)の天井や壁に設置される。情報通信端末装置30が施設内のどこにあっても通信できるように配置されている。
ここで、一般的に、情報通信端末装置30と情報表示サーバ装置40との通信はアクセスポイント(41a、41b、41c、41d)を介して行い、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dの通信チャネルは電波の干渉を避けるため近傍のアクセスポイントと異なるように設定する。また、情報通信端末装置30はアクセスポイントから離れるほど電波が弱くなり通信に支障をきたすため、アクセスポイントと通信が行える領域(通信可能領域)を一部重ねることで、情報通信端末装置30は通信チャネルの受信強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))が弱い場合に、強いRSSIのアクセスポイントに切り替えることで通信を維持する(ハンドオーバ)。
位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20からの情報に基づき、情報通信端末装置30の位置を推定したり、情報通信端末装置30の個数を求めたりする。位置推定サーバ装置10は、情報通信端末装置30からの情報に基づき、物品5の生産管理を行う。
各傍受端末装置20は、受信機能を有する。傍受端末装置20は、例えば、工場等の施設の天井や壁に設置される。各情報通信端末装置30の位置を特定できるように、施設内に多数配置されている。傍受端末装置20は、情報通信端末装置30がアクセスポイント41a等と交信する際の電波を傍受し、傍受した情報を、ネットワークCを介して、位置推定サーバ装置10に送信する。
情報通信端末装置30は、物品5(対象物の一例)に取り付けられたり、物品5を運ぶ荷台やコンテナ(対象物の一例)に取り付けられたりする。
情報表示サーバ装置40は、アクセスポイント41a等を介して、各情報通信端末装置30に表示するデータ等を送信する。
なお、位置推定サーバ装置10と情報表示サーバ装置40とは、LANのようなネットワーク(図示せず)を通して接続されていてもよい。
[2.各装置の構成および機能]
(2.1 位置推定サーバ装置10の構成および機能)
次に、位置推定サーバ装置10の構成および機能について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、位置推定サーバ装置の概要構成例を示すブロック図である。図3は、傍受端末装置およびアクセスポイントの配置の一例を示す模式図である。
図2に示すように、位置推定サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、入出力インターフェース部15と、システム制御部16と、を備えている。そして、システム制御部16と入出力インターフェース部15とは、システムバス17を介して接続されている。
通信部11は、各傍受端末装置20と、ネットワークCによりバス型に接続し、各傍受端末装置20との受送信を制御するようになっている。位置推定サーバ装置10と、各傍受端末装置20とは、ネットワークCにより通信を行う。
記憶部12には、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されており、オペレーティングシステムおよびプログラム等の各種プログラムや地図情報等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
また、記憶部12には、地図情報データベース12a(以下「地図情報DB12a」とする。)、位置情報データベース12b(以下「位置情報DB12b」とする。)等が構築されている。
地図情報DB12aには、フロアマップデータとして、図3に示すような施設内における傍受端末装置20およびアクセスポイント41a等の配置情報、物品5を作製する装置51、物品5の格納庫52、物品5を加工する装置53等の配置情報、通路の配置情報、部屋の配置情報等が記憶されている。また、各傍受端末装置20、アクセスポイント41a、41b、41c、41d、各装置51、53、各格納庫52には、それぞれ、傍受端末ID、アクセスポイントID、装置ID、格納庫IDが割り当てられている。
なお、傍受端末装置20の設置は、図3に示すように、互いに所定の間隔で設定されている。位置推定の分解能は、傍受端末装置20設置密度に依存し、例えば、傍受端末装置20を1m毎にメッシュ状に設置した場合は、分解能は1mとなる。また、各傍受端末装置20には、例えば図3に示すように、傍受端末ID”02a”、”02b”、・・・、”02x”、”02y”、”02z”が割り当てられている。また、各情報通信端末装置30には、例えば、通信端末ID”03a”、”03b”・・・が割り当てられている。アクセスポイント41a、41b、41c、41dのアクセスポイントIDは、それぞれ、AP−ID”04a”、”04c”、”04c”、”04d”が割り当てられている。
なお、傍受端末装置20の設置は、等間隔である必要は無く、傍受端末装置20の設置場所の施設内における座標が分かっていればよい。
位置情報DB12bには、各情報通信端末装置30の位置履歴として、各情報通信端末装置30の位置情報および時刻が、各情報通信端末装置30の通信端末IDに関連付けられて記憶される。例えば、施設の所定の場所を原点とする座標軸が設定される。
表示部13は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。
操作部14は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。
入出力インターフェース部15は、通信部11等とシステム制御部16との間のインターフェース処理を行うようになっている。
システム制御部16は、CPU(Central Processing Unit)16a、ROM(Read Only Memory)16b、RAM(Random Access Memory)16c等により構成されている。そして、システム制御部16は、傍受端末装置20の傍受情報から各情報通信端末装置30の位置を推定する。
(2.2 傍受端末装置20の構成および機能)
次に、傍受端末装置20の構成および機能について、図4を用いて説明する。
図4は、傍受端末装置20の概要構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、傍受端末装置20は、通信用MCU部21(Micro Control Unit)と、制御用MCU部22と、アンテナ部23(アンテナ部23a、23b、23c、23d)と、を備えている。
通信用MCU部21は、CPUコア、プログラムやデータを記憶するバッファメモリ(各アンテナ手段からの傍受結果を記憶する記憶手段の一例)、タイマー、インターフェース等により構成されている。通信用MCU部21は、位置推定サーバ装置10との通信を制御する。通信用MCU部21は、前記記憶手段に記憶された傍受結果を、前記受信強度に基づき前記情報通信端末装置の位置を推定する位置推定サーバ装置に送信する通信手段の一例である。
制御用MCU部22は、CPUコア、プログラムやデータを記憶するバッファメモリ(各アンテナ手段からの傍受結果を記憶する記憶手段の一例)、タイマー、インターフェース等により構成されている。制御用MCU部22は、アンテナ部23を制御して、アンテナ部23からのデータを取得してデータをバッファメモリに一時記憶したり、アンテナ部23からのデータをまとめて通信用MCU部21に送信したりする。通信用MCU部21と制御用MCU部22とは、シリアル通信((SPI(Serial Peripheral Interface)等)で接続されている。制御用MCU部22は、前記各アンテナ手段からの傍受結果をまとめて前記通信手段に送信するアンテナ制御手段の一例である。
アンテナ部23は、情報通信端末装置30からの電波を傍受するアンテナ手段の一例であり、複数のアンテナ部23a、アンテナ部23b、アンテナ部23c、アンテナ部23dから構成されている。各アンテナ部23a、23b、23c、23dは、それぞれ、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dに対応する周波数の電波を傍受し、情報通信端末装置30が発信した電波に含まれる通信端末ID等の情報を抽出したり、情報通信端末装置30からの電波の受信強度を測定したりする。
アンテナ部23は、アンテナと、データバッファを内蔵したRF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)と、水晶発振子等を有する。
制御用MCU部22とアンテナ部23とは、脱着可能なコネクタ24により脱着可能となっている。コネクタ24を通して電力も供給される。またRF−ICと制御用MCU部22とは、制御線・データ線で接続される。
ここで、アンテナの一例として、例えば、ダイポールアンテナ、ループアンテナ、ノーマルモードヘリカルアンテナ、メアンダラインアンテナ、板状逆Fアンテナ等が挙げられる。
RF−ICは、電波の復調を行ったり、電波の受信強度を測定したりする機能を有する。
ここで、アンテナ部23の数と、傍受端末装置20の周辺に存在するアクセスポイントの通信のチャネル数との関係、通信用MCU部21および制御用MCU部22のようなMCU部の数との関係について説明する。
まず、図3に示すように、各傍受端末装置20が複数(N)個設置されているとする。各傍受端末装置20は、コネクタ24で着脱可能なA個(A≧1)のアンテナ部(23a、23b、・・・)を搭載しているとする。
このとき、傍受端末装置20(N個の傍受端末装置20のうちの番号nとする)のアンテナ部数Anは、他の傍受端末装置20と同数である必要はなく、番号nの傍受端末装置20の周囲に存在するアクセスポイントの通信チャネル数Cnと同数以上(An≧Cn)であることが好ましい。
さらに、各傍受端末装置20は、M個(M≧2)のMCU部を搭載しているとする。例えば、M=2の場合、通信用MCU部21および制御用MCU部22である。n番目の傍受端末装置20において、MCU部の数をMnとする。制御用MCU部22は、1個あたり最大D個(D≧1)のアンテナ部を制御する。アンテナ部の数Dは4個程度が望ましく、n番目の傍受端末装置20においてはD×(Mn−1)≧Anの関係である。
アンテナ部数An<Cnの場合は、全てのチャネルの電波を傍受できないが、傍受端末装置20に近いアクセスポイントで使用している通信のチャネルから設定することが好ましい。これは、傍受端末装置20の近傍に存在する情報通信端末装置30は傍受できる可能性が高くなるためである。
アンテナ部数An>Cnの場合は、同じチャネルに設定したアンテナ部23が複数個存在していてもよく、複数個のアンテナ部23で傍受した受信強度のうち最大値等を使うことで、空間ダイバーシティによる位置推定の精度向上が見込める。
(2.3 情報通信端末装置30の構成および機能)
次に、情報通信端末装置30について、図5および図6を用いて説明する。
図5は、情報通信端末装置30の概要構成例を示すブロック図である。図6は、情報通信端末装置30の一例を示す模式図である。
図5に示すように、コンピュータとして機能する情報通信端末装置30は、通信部31と、記憶部32と、表示部33と、操作部34と、入出力インターフェース部35と、システム制御部36とを備えている。また、情報通信端末装置30は、小型電池等の電源(図示せず)を備えている。そして、システム制御部36と入出力インターフェース部35とは、システムバス37を介して接続されている。
通信部31は、アンテナ部31aを有し、アクセスポイント41a等を通して、位置推定サーバ装置10等と通信を制御する。アンテナ部31aは、通信チャネルを切り替えて各アクセスポイント41a、41b、41c、41dに対応する周波数の電波の送受信ができる機能を有する。また、アンテナ部31aは、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dからの電波の受信強度を測定する機能を有する。
アンテナ部31aは、複数の無線機のうち1つの無線機と交信する交信手段の一例である。アンテナ部31aは、前記交信を行っている無線機からの電波の受信強度を測定する電波強度測定手段の一例である。また、アンテナ部31aは、前記変更後の無線機用の周波数で電波を発信する電波発信手段の一例である。
記憶部32は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等からなり、オペレーティングシステム等のプログラム等を記憶する。また、記憶部32には、情報通信端末装置30自体を示す通信端末IDが記憶されている。
表示部33(表示手段の一例)は、例えば、電子ペーパ用の素子等によって構成されている。表示部33は、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、電気泳動方式等の電子ペーパである。なお、表示部33は、EL素子等によって構成されてもよい。
図6に示すように、表示部33には、物品の品名、顧客名、仕様、コード、ロット番号、日付、物品に関する画像等が表示される。
操作部34は、図6に示すように、例えば、操作ボタン等よって構成されている。操作ボタンにより、電源のオン・オフや、次のページ表示、最新の情報の表示等が操作される。
入出力インターフェース部35は、通信部31等とシステム制御部36とのインターフェースである。
システム制御部36は、例えば、CPU36aと、ROM36bと、RAM36cとを有する。システム制御部36は、CPU36aが、ROM36bや、RAM36cや、記憶部32に記憶された各種プログラムを読み出して実行し、受信強度に基づき交信を行う無線機を変更するか否かを判定する。
また、図6に示すように、情報通信端末装置30には、読取機により読み取られるコード30aがある。コード30aは、情報通信端末装置30の通信端末IDに対応する。なお、情報通信端末装置30は、コード30aの代わりに、ICタグを内蔵してもよい。
(2.4 情報表示サーバ装置40の構成および機能)
次に、情報表示サーバ装置40の構成および機能について、図7を用いて説明する。
図7は、情報表示サーバ装置40の概要構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、情報表示サーバ装置40は、通信部41と、記憶部42と、表示部43と、操作部44と、入出力インターフェース部45と、システム制御部46と、を備えている。そして、システム制御部46と入出力インターフェース部45とは、システムバス47を介して接続されている。なお、情報表示サーバ装置40の構成および機能は、位置推定サーバ装置10の構成および機能とほぼ同じであるので、位置推定サーバ装置10の各構成や各機能において、異なるところを中心に説明する。
通信部41は、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dを通して、情報通信端末装置30との通信を制御する。
記憶部42には、表示情報データベース42a(以下「表示情報DB42a」とする。)等が構築されている。
表示情報DB42aには、各情報通信端末装置30に表示させる表示情報が記憶されている。例えば、作業指示情報を示す表示情報として、物品の品名、顧客名、仕様、コード、ロット番号、物品に関する画像等が挙げられる。表示情報DB42aには、通信端末IDに関連付けられて、各情報通信端末装置30の表示情報が記憶されている。さらに、作業指示情報として、製造工程に関する指示、製造に関する情報、運搬先等が挙げられる。表示情報DB42aには、通信端末IDに関連付けられて、各情報通信端末装置30の表示情報が記憶されている。作業指示情報は、製品毎、工程毎等により管理されている。
[3. 各データのデータフォーマット]
次に、各データのデータフォーマットについて図を用いて説明する。
(3.1 情報表示サーバ装置と情報通信端末装置との間のデータのデータフォーマット)
情報表示サーバ装置40と情報通信端末装置30との間のデータのデータフォーマットについて図8および図9を用いて説明する。
図8は、アクセスポイント41a等から送信させるビーコンのデータフォーマットの一例を示す模式図である。図9は、情報通信端末装置30から送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。
図8に示すように、アクセスポイント41a等から情報通信端末装置30に送信される信号は、ビーコンスロットと通信スロットとが交互に繰り返される信号から構成される。
ビーコンスロットは、各情報通信端末装置30用に複数のビーコンパケットから構成される。ビーコンパケットのデータフォーマットは、パケットサイズ、通信端末ID、アクセスポイントID(AP−ID)、ビーコンコマンド、ビーコン番号、フラグ等により構成される。通信端末IDには、”0xFF”、”0xFFFFFFFF”等のブロードキャストID等の特別なIDが割り当てられている。ブロードキャストIDを受信した各情報通信端末装置30は、自体の通信端末IDとは異なったとしても、必ず受信するように設定されている。全ての情報通信端末装置30はビーコンを探すときは、ブロードキャストIDであるか否かを判定し、始めに受信したビーコンでRSSIを測定すればよい。また、データフォーマットには、対象の情報通信端末装置30に電波を送信するアクセスポイント41a等自体のアクセスポイントIDが付される。
なお、ビーコンコマンドの一例として、送受信した電波がビーコンであることを表すコマンド等が挙げられる。また、ブロードキャストIDでなくても、パケットを解析してビーコンコマンドがあれば、情報通信端末装置30は、RSSIの測定等の後の処理を行ってもよい。
図9に示すように、情報通信端末装置30からアクセスポイント41a等に送信されるデータのデータフォーマットは、パケットサイズ、情報通信端末装置30の通信端末ID、通信先のアクセスポイントID、コマンド、データ等から構成させる。例えば、あるアクセスポイント41aから他のアクセスポイント41bに所属するアクセスポイントが切り替わった(ハンドオーバが起こった)場合、コマンドはハンドオーバが起こったことを示すハンドオーバコマンドであり、データはハンドオーバ前のアクセスポイントID等である。また、情報表示サーバ装置40から画面の書き換えの指示を受け、情報通信端末装置30の画面の書き換えが終了した場合の応答コマンドは、画面を書き換えたことを示す画面書換コマンドである。情報表示サーバ装置40から強制的に応答するように指示された場合の応答のコマンドは、強制応答コマンドである。
(3.2 の傍受端末装置と位置推定サーバ装置との間のデータのデータフォーマット)
次に、傍受端末装置20と位置推定サーバ装置10と間のデータのデータフォーマットについて、図10および図11を用いて説明する。
図10は、位置推定サーバ装置10から傍受端末装置20に送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。図11は、傍受端末装置20から位置推定サーバ装置10に送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。
図10に示すように、位置推定サーバ装置10から傍受端末装置20に送信されるデータのデータフォーマットは、通信先の傍受端末装置20の傍受端末IDと、コマンドと、データ等から構成される。傍受端末IDは、図3に示すように、複数ある傍受端末装置20のうち1つを特定するためのIDである。コマンドは、例えば、傍受端末装置20に蓄えられたデータを位置推定サーバ装置10に送信させるコマンド等である。
図11に示すように、傍受端末装置20から位置推定サーバ装置10に送信されるデータのデータフォーマットは、傍受端末装置20自体の傍受端末IDと、コマンドと、傍受結果等のデータ等から構成される。コマンドは、例えば、傍受端末装置20に蓄えられたデータを位置推定サーバ装置10が受信させるコマンド等である。なお、傍受結果のデータについては後述する。
(3.3 傍受端末装置のデータフォーマット)
次に、傍受端末装置20のデータフォーマットについて図12から図15を用いて説明する。
図12は、傍受端末装置20において複数の制御用MCU部がある場合の概要構成例を示すブロック図である。図13は、傍受端末装置20のアンテナ部23から制御用MCU部に送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。図14は、傍受端末装置20の制御用MCU部22から通信用MCU部21に送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。図15は、傍受端末装置20の通信用MCU部21から位置推定サーバ装置10に送信されるデータのデータフォーマットの一例を示す模式図である。
まず、図12に示すように、制御用MCU部22(22a、22b、・・・)が複数あり、各制御用MCU部22a、22b、・・・のそれぞれに、複数のアンテナ部23a、23b、・・・が接続されている場合を設定する。1つの通信用MCU部21に対して、制御用MCU部22a、22b、・・・が接続されているとする。1つの制御用MCU部(22a、22b、・・・)に対して、アンテナ部23a、23b、・・・が接続されているとする。
図13に示すように、傍受端末装置20のアンテナ部23から制御用MCU部22に送信されるデータのデータフォーマットは、傍受した情報通信端末装置30の通信端末IDと、情報通信端末装置30と通信中のアクセスポイント41a等のアクセスポイントID(傍受した通信チャネル)と、傍受した信号に含まれる通信のコマンドと、傍受した信号の電波の受信強度等のデータ等から構成される。
なお、傍受できたアンテナ部のみがデータを制御用MCU部22に送信するようにしてもよい。
図14に示すように、傍受端末装置20の制御用MCU部22から通信用MCU部21に送信されるデータのデータフォーマットは、各アンテナ部23a、23b、・・・からの傍受結果と、傍受結果数のデータから構成される。傍受結果は、傍受したアンテナ部23のアンテナ番号と、アンテナ部から送信されたデータに含まれる通信端末IDと、傍受した通信チャネルを示すアクセスポイントIDと、傍受した通信のコマンドと、受信強度とから構成される。さらに、傍受時刻(例えば、制御用MCU部22がアンテナ部(23a)からデータを取得した時刻)が、この傍受結果に付け加えられる。なお、傍受時刻は、時間自体ではなくて、同期用の番号(例えば、100ms毎にカウントアップする数字)でもよい。
なお、傍受結果の数は、所定の時刻において、傍受できたアンテナ部の数である。傍受できたとは、各アンテナ部23a、23b、・・・からデータを取得できた場合でもよい。また、傍受結果の数がゼロの場合、制御用MCU部22は、通信用MCU部21にデータを送信しなくてもよいし、傍受結果の数がゼロであることを示すデータを送信してもよい。
図15に示すように、傍受端末装置20の通信用MCU部21から位置推定サーバ装置10に送信されるデータのデータフォーマットは、傍受端末装置20自体を示す傍受端末IDと、傍受結果を受信するように指令するためのコマンドと、各制御用MCU部22a、22b、・・・から集めた傍受結果と、チェックサム等から構成される。各制御用MCU部22a、22b、・・・から集めた傍受結果は、傍受結果数の総数として、傍受結果を送信してきた制御用MCU部の数と、各制御用MCU部22a、22b、・・・からの制御用MCU傍受結果とから構成される。制御用MCU傍受結果は、各制御用MCU部22a、22b、・・・のいずれかを示す制御用MCU番号と、傍受結果数と、各アンテナ部23a、23b、・・・からの傍受結果とから構成される。
なお、位置推定サーバ装置10からの傍受結果の収集コマンドを受信したとき、送信できる傍受結果がない場合は、データを送信しなくてもよいし、傍受結果の総数がゼロであることを示すデータを送信してもよい。
[4.位置推定システム1の動作]
次に、本発明の1実施形態に係る位置推定システム1の動作について図16から図17を用いて説明する。
(4.1 各傍受端末装置の設置のための設定の動作例)
図16を用いて位置推定サーバ装置における各傍受端末装置の設置のための設定の動作例について説明する。
図16は、位置推定サーバ装置10における各傍受端末装置20の設置のための設定の動作例を示すフローチャートである。
まず、傍受端末装置20を工場等の施設内に設置する位置の決定前に、図3のようにアクセスポイント41a、41b、41c、41d、・・・等が設置された状態で、サイトサーベイとして、位置推定エリア全体の電波の通信チャネルを調査する。
傍受端末装置20の設置位置の仮決めと、傍受端末装置20の仮設置を行い、図16に示すように位置推定システム1は、傍受端末装置の設置の確認を受け付ける(ステップS1)。
次に、位置推定システム1は、傍受端末装置20の各チャネルの受信強度を測定する(ステップS2)。仮設置後に、位置推定システム1の傍受端末装置20を動作させて、傍受端末装置20の各アンテナ部23a、23b、23c、23dが、位置推定をしたいポイントで想定した通信チャネルを受信できるか、その時のRSSI値は適切か否かを測定し、位置推定サーバ装置10に測定データを送信する。
次に、位置推定システム1は、適切な受信強度であるか否かを判定する(ステップS3)。位置推定サーバ装置10は、傍受端末装置20の電波が弱過ぎるか否か、または、電波が強過ぎるか否かを傍受端末装置20のアンテナ部23a、23b、23c、23d毎に判定する。
適切な受信強度でない場合(ステップS3;NO)、例えば、傍受端末装置20のアンテナ部23a、23b、23c、23dのすべてのチャネルにおいて、適切な受信強度でない場合、傍受端末装置20の設置位置等が調整され、ステップS1の処理に戻る。
適切な受信強度である場合(ステップS3;YES)、位置推定システム1は、傍受端末装置20の設置位置の入力を受け付ける(ステップS4)。調整後の設置位置を確定とし、傍受端末装置20の傍受端末IDと共に位置座標が位置推定サーバ装置10に入力され、傍受端末装置20の配置情報が地図情報DB12aに記憶される。
次に、位置推定システム1は、傍受端末装置20の傍受チャネルを設定する(ステップS5)。位置推定サーバ装置10は、傍受端末装置20の各アンテナ部23a、23b、23c、23dに対応するチャネルのうち、所定値以下の受信強度のチャネルを取り除いた残りのチャネルを傍受チャネルとして設定したり、受信強度が上位のチャネル等を傍受チャネルとして設定したりする。
例えば、傍受端末装置20が設置された位置から遠いアクセスポイントの場合、受信強度が所定値以下となり、このような遠くて電波が受信しにくいアクセスポイントのチャネルに対応するアンテナ部を予め外しておいて、残りのアンテナ部を傍受チャネルとして設定する。また、上位2つの受信強度のアンテナ部(例えば、アンテナ部23a、23b)を傍受チャネルとして残し、残りのアンテナ部(アンテナ部23c、23d)は、コネクタ24により取り除いておいてもよい。
(4.2 情報通信端末装置の動作例)
次に、情報通信端末装置30の動作例について図17を用いて説明する。
図17は、情報通信端末装置30の動作例を示すフローチャートである。
まず、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dは、それぞれの周波数で、図8に示すようなビーコンを含む信号の電波を発信しているとする
図17に示すように、情報通信端末装置30は、通信チャネルを切り替えて、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dからのビーコンを受信する(ステップS10)。具体的には、情報通信端末装置30のアンテナ部31aは、通信チャネルを切り替えて各アクセスポイント41a、41b、41c、41dの対応する周波数のビーコンの電波を受信する。そして、情報通信端末装置30のアンテナ部31aは、ブロードキャストIDを含むビーコンの信号を取り出す。なお、例えば、情報通信端末装置30の電源が入り、プログラムが起動した後、この処理が行われる。この場合、まだ情報通信端末装置30が所属するアクセスポイントは決まっていない。
次に、情報通信端末装置30は、受信したビーコンの受信強度が最大の通信チャネルを確定する(ステップS11)。具体的には、情報通信端末装置30のシステム制御部36は、通信チャネルを切り替え、ビーコンを受信した際、各ビーコンの受信強度を測定する。そして、システム制御部36は、受信強度が最大の通信チャネルを求め、最大の通信チャネルを確定する。そして、システム制御部36は、求めた受信強度が最大の通信チャネルに対応するアクセスポイントのアクセスポイントIDを、ビーコンから取得する。
次に、情報通信端末装置30は、確定した通信チャネルのアクセスポイントに所属するための電波を送信する(ステップS12)。具体的には、情報通信端末装置30のシステム制御部36は、確定した通信チャネルに対応するアクセスポイントのアクセスポイントIDを含む、図9に示すようなデータフォーマットで、の電波を送信する。
次に、情報通信端末装置30は、所属しているアクセスポイントからの受信強度が閾値以上か否かを判定する(ステップS13)。具体的には、システム制御部36は、所属しているアクセスポイントに対応する通信チャネルで受信して受信強度を、ビーコンを取得したタイミングで測定する。このように、報通信端末装置30は、交信を行っている無線機からの電波の受信強度を測定する電波強度測定手段の一例として機能する。
そして、システム制御部36は、受信強度が所定の値以上であるか否かを判定する。すなわち、図3に示すように、情報通信端末装置30が移動して、所属するアクセスポイントが変更したか否かを判定するために、この処理が行われる。このように、情報通信端末装置30は、受信強度に基づき、交信を行う無線機を変更するか否かを判定する判定手段の一例として機能する。
受信強度が閾値以上の場合(ステップS13;YES)、情報通信端末装置30は、情報通信端末装置30は、終了か否かを判定する(ステップS14)。例えば、情報通信端末装置30は、電源がオフになっているか否かを判定する。ここで、受信強度が閾値以上の場合は、所属するアクセスポイントが変わらないとする場合である。受信強度が閾値以上でない場合は、所属するアクセスポイントが変わったとする場合である。
受信強度が閾値以上でない場合(ステップS13;NO)、次の所属先のアクセスポイントを見つけて、交信を行うアクセスポイントを変更するため、情報通信端末装置30は、ステップS10の処理に戻り、通信チャネルを切り替えて、各アクセスポイント41a、41b、41c、41dからのビーコンを受信する(ステップS10)。そして、情報通信端末装置30は、受信したビーコンの受信強度が最大の通信チャネルを確定し(ステップS11)、変更後のアクセスポイントを確定する。このように、情報通信端末装置30は、判定結果に従い、交信を行う無線機を変更する無線機変更手段の一例として機能する。
なお、受信強度が最大の通信チャネルの受信強度が、ステップS13と同様の閾値以下である場合、所属するアクセスポイントがない、または、受信強度が閾値以上でないと判定される前の所属を維持するとする。この場合、情報通信端末装置30は、受信強度が閾値以上になるまでステップS10の処理を繰り返す。
そして、情報通信端末装置30は、ハンドオーバ通知として、確定した通信チャネルのアクセスポイントに所属するための電波を送信する(ステップS12)。
終了の場合(ステップS14;YES)、情報通信端末装置30は、処理を終了する。終了でない場合(ステップS14;NO)、情報通信端末装置30は、ステップS13の処理に戻り、所属しているアクセスポイントとの交信を続け、受信強度に基づき、所属しているアクセスポイントが変わっているか否かを判定する。このように、情報通信端末装置30は、複数の無線機のうち1つの無線機と交信する交信手段の一例として機能する。
(4.3 位置推定システムの動作例)
次に、位置推定システムの動作例について、図18を用いて説明する。
図18は、位置推定システム1の動作例を示すフローチャートである。
図18に示すように、位置推定システム1は、傍受開始を指示する(ステップS20)。具体的には、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20に傍受開始を指示する。例えば、図10に示すように、位置推定サーバ装置10は、傍受端末装置20毎の傍受端末IDと、傍受開始コマンドとを含むデータフォーマットの信号を、ネットワークCを介して送信する。
次に、位置推定システム1は、各アンテナ部における通信を傍受する(ステップS21)。具体的には、傍受開始コマンドを受け取った傍受端末装置20が、各アンテナ部23a、23b、23c、23dが、情報通信端末装置30とアクセスポイント41a等との信号を傍受する。
例えば、図3に示すように、装置51において、情報表示端末装置30が取り付けられた物品5の作製が終了した後、次の指示を受けるために情報表示端末装置30の操作ボタン(操作部34)が押されて、情報表示端末装置30が、図9に示すようなデータフォーマットを有する電波を発信する。装置51においては、情報表示端末装置30は、最寄りのアクセスポイント41dに所属している。
次に、位置推定システム1は、各アンテナ部における受信強度を測定する(ステップS22)。具体的には、各アンテナ部23a、23b、23c、23dは傍受した電波の受信強度を測定する。
次に、位置推定システム1は、各アンテナ部における傍受信号を解析する(ステップS23)。そして、各アンテナ部23a、23b、23c、23dは、受信した電波を復調して解析することにより、傍受した信号から通信端末IDと、アクセスポイントIDと、コマンドと、データとを抽出する。各アンテナ部23a、23b、23c、23dは、解析結果と電波の受信強度とを、図13に示すような傍受データとして、制御用MCU部22に送信する。
次に、位置推定システム1は、各アンテナ部から傍受結果を収集する(ステップS24)。具体的には、制御用MCU部22は、各アンテナ部23a、23b、23c、23dは、図13に示すような傍受データを収集する。そして、制御用MCU部22は、各アンテナ部23a、23b、23c、23dのアンテナ番号と、傍受時刻とを付加した図14に示すような傍受結果を、通信用MCU部21に送信する。
次に、位置推定システム1は、傍受結果を記憶する(ステップS25)。具体的には、通信用MCU部21は、制御用MCU部22から受信した傍受結果を記憶する。なお、通信用MCU部21は、傍受時刻も記憶する。
次に、位置推定システム1は、所定時間か否かを判定する(ステップS26)。具体的には、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20から傍受結果を収集するために、例えば、前回の収集時間から所定時間経過したか否かを判定する。
所定時間経過した場合(ステップS26;YES)、位置推定システム1は、傍受結果を要求する(ステップS27)。具体的には、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20に、図10に示すようなデータフォーマットのデータを送信して、傍受端末装置20に蓄えられた傍受結果を位置推定サーバ装置10に送信させるように要求する。なお、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20に対して、巡回して傍受結果の送信を要求していく。
所定時間経過していない場合(ステップS26;NO)、位置推定サーバ装置10は、所定時間が経過するまで、傍受結果の要求の処理のため待機する。
次に、位置推定システム1は、傍受結果要求か否かを判定する(ステップS28)。具体的には、傍受端末装置20の通信用MCU部21が、傍受結果の要求があるか否かを判定する。
傍受結果要求がない場合(ステップS28;NO)、傍受端末装置20は、ステップS21の処理に戻る。
そして、物品5が、装置51から格納庫52に搬送されている場合、情報通信端末装置30は、図17に示すような動作を行い、最寄りのアクセスポイント41が変更されたか否かを判定する。すなわち、移動中、情報通信端末装置30は、ステップS13のように、所属しているアクセスポイントに対応する通信チャネルで受信して受信強度を、ビーコンを取得したタイミングで測定し、受信強度が所定の値以上であるか否かを判定する。アクセスポイントが、アクセスポイント41dからアクセスポイント41cに変わったとき、すなわち、所属しているアクセスポイント41dからの受信強度が閾値以上でない場合、情報通信端末装置30は、ステップS12のように、ハンドオーバの信号の電波を発信する。
傍受端末装置20は、ステップS21において、ハンドオーバの信号の電波を傍受して、ステップS25において、ハンドオーバのコマンドと、受信強度等を記憶する。
また、物品5が格納庫52に格納されて、情報表示サーバ装置40から、強制的に応答するようにコマンドを、情報通信端末装置30が受信した場合、情報通信端末装置30は電波を発信する。
なお、情報通信端末装置30に内蔵されたタイマーにより、所定の時間に情報通信端末装置30は電波を発信してもよい。
傍受端末装置20は、ステップS21において、この電波を傍受して、ステップS25において、受信強度等を記憶する。
また、物品5が格納庫52から装置53に移動された場合、アクセスポイントがアクセスポイント41cからアクセスポイント41bに変わり、ステップS21において、ハンドオーバの信号の電波を傍受して、ステップS25において、ハンドオーバのコマンドと、受信強度等を記憶する。
傍受結果要求がある場合(ステップS28;YES)、傍受端末装置20は、傍受結果を送信する(ステップS29)。具体的には、傍受端末装置20の通信用MCU部21が、図15に示すようなデータフォーマットのデータを、傍受結果として位置推定サーバ装置10に送信する。位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20から傍受結果を収集する。
次に、位置推定システム1は、位置を推定する(ステップS30)。具体的には、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20から傍受結果に基づき、通信端末ID毎に、各傍受端末装置20から傍受結果の受信強度を求める。そして、位置推定サーバ装置10は、通信端末ID毎に、最大の受信強度を有する傍受端末装置20の傍受端末IDを求める。位置推定サーバ装置10は、求めた傍受端末ID、コマンド、および、傍受時刻等に基づき、地図情報DBを参照して、該当する通信端末IDを有する情報通信端末装置30の位置を求める。
次に、位置推定システム1は、傍受終了か否かを判定する(ステップS31)。例えば、位置推定サーバ装置10は、傍受終了の入力がされているか否かを判定する。
傍受終了でない場合(ステップS31;NO)、位置推定サーバ装置10は、ステップS26の処理に戻る。
傍受終了の場合(ステップS31;YES)、位置推定システム1は、傍受終了を指示する(ステップS32)。具体的には、位置推定サーバ装置10は、傍受端末装置20に、傍受終了の指示の信号を送信する。
次に、位置推定システム1は、傍受終了か否かを判定する(ステップS33)。傍受終了の指示を位置推定サーバ装置10から受信していない場合(ステップS33;NO)、傍受端末装置20は、ステップS21の処理に戻る。傍受終了の指示を位置推定サーバ装置10から受信している場合(ステップS33;YES)、傍受端末装置20は、処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、物品5に取り付けられて移動可能な情報通信端末装置30と、所定位置に設置された複数のアクセスポイント41a、41b、41c、41dと、が交信し、情報通信端末装置30からの電波を傍受するアンテナ部23a、23b、23c、23dを複数個備え、アンテナ部23a、23b、23c、23dが電波の受信強度を測定し、アンテナ部23a、23b、23c、23dが脱着可能であることにより、傍受端末装置20は、複数個のアンテナ部23a、23b、23c、23dが端末の周囲にあるアクセスポイント41a、41b、41c、41dで使用している複数のチャネルに予め切り替えられているため、周囲に飛び交う電波をチャネル毎に同時に傍受できる。そのため、時分割によるアンテナ部のチャネル切替による傍受不能期間はなく、情報通信端末装置30が発信する電波を傍受し損ねるといった状況は大幅に低減される。そのため、低消費電力仕様やアクセスポイントへの同時接続数が多い情報通信端末装置30のように電波を極力発信しないよう設計された端末においても、傍受できる可能性が高くなる。
また、4個のアンテナ部23a、23b、23c、23dで周囲の全チャネルの通信傍受を網羅できているため、傍受端末装置20はチャネルを切り替えることなく傍受できる。そのため、情報通信端末装置30はハンドオーバを気にする必要はない。
アンテナ部23a、23b、23c、23dが脱着可能であるので、傍受端末装置20が設置された位置から遠いアクセスポイント(例えば、41c、41d)に対応するチャネルのアンテナ部23c、23dを予め外しておくことができ、傍受端末装置20の周囲の電波状況に合わせてアンテナ部の数を増減させることもできるため、傍受端末装置20のコストを柔軟に設定できる。すなわち、また、傍受端末装置20によってはチャネルの全てが通信可能領域とは限らないため、不要なアンテナ部は取り外すことができるので、コストの削減ができる。
また、情報通信端末装置30において交信している無線機の一例のアクセスポイントが変わった場合において(例えば、アクセスポイント41dからアクセスポイント41cに変わった場合)、情報通信端末装置30が発信する当該アクセスポイント41c用の周波数の電波を、アンテナ部(例えば、アンテナ部23c)が受信するとき、消費電力を抑えるために電波を極力発信しないよう設計された情報通信端末装置30からの電波を傍受することができ、情報通信端末装置30の位置の推定のための情報を取得することができる。
また、各アンテナ部23a、23b、23c、23dからの傍受結果を記憶手段の一例であるバッファメモリに記憶し、バッファメモリに記憶された傍受結果を、情報通信端末装置30の位置を受信強度に基づき推定する位置推定サーバ装置10に送信する場合、傍受端末装置20と位置推定サーバ装置10間の通信をまとめることで、ネットワークCにおけるトラフィックの抑制ができる。さらに、多数の傍受端末装置20を設置することができ、位置推定の精度を向上させることができる。
また、各アンテナ部23a、23b、23c、23dからの傍受結果をまとめて通信用MCU部21に送信する制御用MCU部22を更に備えた場合、傍受端末装置20において通信と制御とで機能分割されていて、傍受端末装置20を安価なMCUにより実現できる。また、制御用MCU部22で2個以上のアンテナ部23を制御する場合、その分MCU数が削減できる。また、MCUにワンチップマイコンを使用すれば、傍受端末装置20のファームウェアアップデートに外付のFlashメモリ等の大容量不揮発性メモリは必要なく、通信用MCU部21内のメモリ領域にファームウェアを蓄えることができるため、部品点数の削減ができる。
対象物(物品5)に取り付けられて移動可能な情報通信端末装置30と、所定位置に設置された複数の無線機(41a、41b、41c、41d)と、が交信し、当該情報通信端末装置30が発信する電波を傍受するアンテナ部23を複数個有し、アンテナ部23が電波の受信強度を測定し、アンテナ部23が脱着可能である複数の傍受端末装置20と、各傍受端末装置20からの受信強度に基づき、情報通信端末装置30の位置を推定する位置推定サーバ装置と、を備えたことにより、極力発信しないよう設計された情報通信端末装置30の位置を推定することができる。また、位置推定システム1は、情報通信端末装置30と情報表示サーバ装置40との通信システムに影響を与えることなくスタンドアロンで動作ができる。また、加えて傍受端末装置20も周囲の電波状況に合わせてアンテナ部の数を柔軟に変更ができるため、位置推定システム1が容易に導入できる。
また、生産管理システムを例にすれば、位置推定システム1が仕掛品に取り付けられた指示書となる情報通信端末装置30の位置を推定することで、自動的に工程全体を把握することができ、特急品や特注品のようなものが舞い込んでも工程の調整やフォローが容易にできる。
また、複数のアクセスポイント(41a、41b、41c、41d)のうち1つのアクセスポイントと交信し、交信を行っている所属のアクセスポイントからの電波の受信強度を測定し、受信強度に基づき、交信を行うアクセスポイントを変更するか否かを判定し、判定結果に従い、交信を行う無線機を変更し、変更後のアクセスポイント用の周波数で電波を発信する場合、情報通信端末装置30の消費電力を抑えることができる。
[5.変形例]
(5.1 傍受端末装置の変形例)
次に、傍受端末装置の変形例について図19および図20を用いて説明する。
図19は、本発明の実施形態に係る傍受端末装置の概要構成の第1変形例を示すブロック図である。図20は、本発明の実施形態に係る傍受端末装置の概要構成の第2変形例を示すブロック図である。
図19に示すように、傍受端末装置20Aは、通信用MCU部21と、各制御用MCU部22a、22b、・・・とコネクタ24により脱着可能になっていてもよい。制御用MCU部には、チャネルの数に応じた数のアンテナ部23a、23b、・・・が、コネクタ24により脱着可能なようになっている。
また、図20に示すように、傍受端末装置20Bは、通信用MCU部21と、各制御用MCU部22a、22b、・・・とは脱着可能でなく、アンテナ部23a、23b、・・・のみ脱着可能なようになってもよい。
なお、受信強度はマルチパスフェージングの影響で変動するため、情報通信端末装置30の直上の傍受端末装置20が最大値とならない場合もある。マルチパスフェージングの影響を低減させ精度を上げたい場合は、傍受端末装置20に搭載しているアンテナ部の数を増加するとよい。例えばアンテナ部23a、23b、・・・を8個に増加し、アンテナ部を2個ずつのペアで同一のチャネルに設定すると、同時に傍受したRSSIのうち最大値となるRSSIを選択すれば、空間ダイバーシティの効果により精度向上を図ることできる。
(5.2 位置推定の変形例)
次に、位置推定の変形例について図21から図24を用いて説明する。
図21から図23は、位置推定のためのデータの一例を示す模式図である。図24は、傍受端末装置の配置情報の一例を示す模式図である。
位置推定サーバ装置10は、情報通信端末装置30の位置を推定する際、傍受端末IDの他に、傍受した電波のコマンドや傍受時刻の情報も使用して、位置の精度を高めてもよい。
例えば、まず、位置推定システム1は、ステップS27からS30において、各傍受端末装置20から、傍受結果を受信して収集し、図21に示すように、記憶部12のデータベースに記憶して行く。例えば、図21に示すように、傍受結果を送信してきた傍受端末装置20の傍受端末IDに関連付けて、傍受結果が記憶されて行く。
次に、位置推定サーバ装置10は、各傍受端末装置20から収集した傍受結果のうち、例えば、図22に示すように、位置を推定する通信端末ID(03a)の傍受結果のデータを抽出する。
次に、位置推定サーバ装置10は、抽出した傍受結果のデータのうち、最新の傍受時刻を特定する。例えば、位置推定サーバ装置10は、傍受時刻”2014/5/13 10:58:29”を特定する。
次に、位置推定サーバ装置10は、最新の傍受結果と同一時間帯のコマンドを抽出する。例えば、図23に示すように、位置推定サーバ装置10は、最新の時刻より、一定時刻前(例えば10秒前)で、かつ、同じコマンド(例:ハンドオーバ)のデータを抽出する。なお、位置推定サーバ装置10は、さらに精度を高めるために、同じAP−IDであるデータを抽出してもよい。
次に、位置推定サーバ装置10は、抽出したデータのうち、RSSIが最大値となる傍受端末IDを取得する。例えば、図23に示すように、位置推定サーバ装置10は、RSSIが最大値(例:-68.8)となる傍受端末ID(02i)を取得する。
次に、位置推定サーバ装置10は、取得した傍受端末IDから、該当する傍受端末装置20の位置を取得する。例えば、図24に示すように、位置推定サーバ装置10は、地図情報DB12aを参照して、傍受端末装置20の配置情報から、傍受端末ID(02i)に対応する座標(x=4, y=2)を取得する。位置推定サーバ装置10は、通信端末ID03aの情報通信端末装置30の位置を、座標(x=4, y=2)と推定する。なお、地図IDは、各部屋、各フロアー等を特定するためのIDである。
これらのように、位置の推定において、傍受端末IDの他に、傍受した電波のコマンドや傍受時刻の情報も使用して、同じ電波の受信強度を比較するようにして、位置の精度を高めることができる。また、同じAP−IDであるデータを抽出した場合、同じ電波の受信強度を比較するようにして、さらに位置の精度を高めることができる。
また、最新の時刻より、一定時刻前(例えば、10秒前)のデータを抽出しているので、最新の傍受情報で位置の推定ができる。なお、最新の傍受時刻が現時刻より一定時間(例えば、1時間)以上前だと、現在地が変わっている可能性があるため、位置推定サーバ装置10は、情報表示サーバ装置40を介して、強制応答コマンドを情報通信端末装置30に送信し、電波を発信させるようにしてもよい。
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。