以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前側に利用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、金融機関の顧客等の利用者との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部4A(図3)が設けられている。入出金口5は、利用者が入金する紙幣が投入されると共に、利用者へ出金する紙幣が排出される部分である。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部8A(図3)が設けられている。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Mを有しており、この記憶部9Mに種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、その内部に紙幣制御部11、入出金部12、搬送部13、鑑別部14、一時保留部15、紙幣収納庫16、リジェクト庫17、取忘収納庫18及び偽券収納庫19が設けられている。
また紙幣入出金機10が取り扱う紙幣には、記番号が付されている。この記番号は、各紙幣に一意に割り当てられた識別符号であり、複数の文字や記号の組み合わせで構成されている。この記番号は、個別の紙幣を特定する場合等に利用される。
紙幣制御部11は、図3に現金自動預払機1全体を含む紙幣入出金機10のブロック構成を示すように、主制御部9と連携しながら、当該紙幣入出金機10を統括的に制御する。紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11Mを有しており、この記憶部11Mに入金プログラム等の各種プログラムや種々の情報を記憶させている。また記憶部11Mは、紙幣に関する情報を格納する紙幣情報テーブル(詳しくは後述する)も記憶している。
入出金部12(図2)は、上方が開放された箱状の収容器12Aを中心に構成されている。収容器12Aは、利用者へ受け渡すべき紙幣又は利用者から受け渡される紙幣を前後方向に沿って整列した状態で収容する。この収容器12Aの上方には、開閉可能なシャッタ12Bが設けられている。また入出金部12は、収容器12A内に収容されている紙幣を1枚ずつに分離して搬送部13に受け渡す分離部(図示せず)も有している。
搬送部13は、図示しないモータ、ローラ、ベルト及びガイド等により紙幣入出金機10内の各部を結ぶような搬送経路を形成している。この搬送部13は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、紙幣の短辺に沿った方向を進行方向として、この搬送経路に沿って搬送する。
鑑別部14は、内部に光学センサ、イメージセンサや磁気センサ等の各種センサを有している。鑑別部14は、この各種センサから得られた検出結果を基に、紙幣の金種を判別し、また正当な紙幣(いわゆる正券)又は偽造された紙幣(いわゆる偽造券若しくは偽券)の何れであるかを判別し、さらに損傷の程度等を判別する。説明の都合上、以下ではこれらの判別処理の結果をまとめて鑑別結果と呼ぶ。
また鑑別部14は、イメージセンサから得られた画像に対し所定の文字鑑別処理を行うことにより記番号を読み取る。そのうえで鑑別部14は、得られた鑑別結果及び読み取った記番号を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、得られた鑑別結果を基に各紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部15は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。このため一時保留部15は、搬送部13により搬送されてきた順序を維持したまま紙幣を収納し、収納前と逆の順序で紙幣を繰り出す。因みに一時保留部15は、最大で例えば200枚の紙幣を収納することができる。
紙幣収納庫16(16A、16B、16C及び16D)は、内部に多数の紙幣を集積して収納する。この紙幣収納庫16は、例えば入金取引において、鑑別部14の鑑別結果を基に紙幣制御部11によって損傷の程度が小さく再利用可能と判別された紙幣が、金種ごとに振り分けられ搬送部13により搬送されてくると、これを取り込んで収納する。また紙幣収納庫16は、出金取引において、紙幣制御部11の制御に基づき、指示された枚数の紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
この紙幣収納庫16は、内部に紙幣を収納する収納空間を形成しており、当該収納空間内において、紙幣の紙面を上下方向に向けて互いに整然と重ねることにより、集積した状態で収納する。また紙幣収納庫16は、この収納空間の上側に、当該収納空間内へ紙幣を放出して集積させると共に、当該収納空間内に集積されている紙幣を最上面から1枚ずつに分離して繰り出す分離放出部を設けている。
このため紙幣収納庫16は、収納時には搬送部13により搬送されてきた順序を維持したまま下から上へ紙幣を積み上げていき、繰出時には収納時と逆の順序で紙幣を繰り出すことができる。換言すれば、紙幣収納庫16は、搬送部13により搬送されたときの順序を維持したまま収納空間内に紙幣を収納し、これと反対の順序で収納空間内から紙幣を繰り出して搬送部13へ受け渡すことができる。
リジェクト庫17は、鑑別部14において損傷の程度が大きく再利用すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)を収納する。取忘収納庫18は、利用者が入出金部12から取り忘れた紙幣を収納する。偽券収納庫19は、鑑別部14において偽券と判別された紙幣を収納する。
ところで紙幣制御部11は、上述した記憶部11Mに加えて、後述する入金プログラムや出金プログラム等を実行することにより、劣化度合決定部11D及び選別処理部11Sといった複数の機能ブロックが内部に形成される。
劣化度合決定部11Dは、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、各紙幣における損傷や汚れの程度、皺や折目の大きさや量などを総合的に判断することにより、製造された直後の状態(いわゆる新券)からの劣化の度合を表す劣化度合を決定する。
例えば、市場における流通の頻度が小さい紙幣は、損傷や汚れ、皺や折目等が少ないことが多く、劣化度合が低いと決定される。一方、市場における流通の頻度が高い紙幣は、損傷や汚れの程度が大きく、また皺や折目等も増えるため、劣化度合が高いと決定される。因みに劣化度合決定部11Dは、劣化度合を「高」、「中」及び「低」といった3段階に分類して決定する。
選別処理部11Sは、紙幣収納庫16に収納されている紙幣を出金する際に、劣化度合に関して指定された条件を満たす紙幣を選別するようになっている。
また紙幣制御部11の記憶部11Mは、図4に示す紙幣情報テーブルT1を記憶している。この紙幣情報テーブルT1は、紙幣収納庫16に収納している紙幣についての情報を格納する。具体的に紙幣情報テーブルT1には、金種を表す金種欄、記番号を表す記番号欄及び劣化度合を表す劣化度合欄といった複数の欄が設けられている。
このうち金種欄には、鑑別部14において判別された金種を表す金種情報が格納される。記番号欄には、鑑別部14において読み取られた記番号を表す記番号情報が格納される。劣化度合欄には、上述した劣化度合決定部11D(図3)により決定された劣化度合が劣化度合情報として格納される。
このように紙幣制御部11は、紙幣の鑑別結果を基に劣化度合を決定すると共に、読み取った記番号とこの劣化度合とを対応付けて、記憶部11Mの紙幣情報テーブルT1(図4)に格納するようになっている。
[1−2.入金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の入金処理について説明する。例えば現金自動預払機1は、利用者と取引処理を行い得る状態、いわゆる運用状態にあるとき、操作表示部6(図1)に所定のメニュー画面(図示せず)を表示した状態で利用者から各種取引処理を開始する操作指示を待ち受けている。
現金自動預払機1の主制御部9は、利用者から入金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し入金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部11は、記憶部11Mから所定の入金プログラムを読み出して実行することにより、図5に示す入金処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。
ステップSP1において紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開いて収容器12A内へ紙幣を投入させる。入出金部12は、利用者により収容器12Aに紙幣が投入された上で、操作表示部6を介して取込開始の操作指示を受け付けると、シャッタ12Bを閉塞して次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において紙幣制御部11は、入出金部12の分離部(図示せず)により収容器12A内から1枚の紙幣を分離して搬送部13に受け渡させ、当該搬送部13により紙幣を鑑別部14へ搬送させて、次のステップSP3へ移る。ステップSP3において紙幣制御部11は、鑑別部14により紙幣を鑑別させると共に記番号を読み取らせ、得られた鑑別結果及び記番号を当該鑑別部14から取得して、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において紙幣制御部11は、劣化度合決定部11D(図3)により、得られた鑑別結果を基に紙幣の劣化度合を決定し、さらに紙幣の搬送先を決定して次のステップSP5へ移る。このとき紙幣制御部11は、取得した記番号と対応付けて、決定した劣化度合及び搬送先等を記憶部11Mに一時的に記憶させておく。
因みに紙幣の搬送先は、紙幣と認められなかったもの(いわゆる入金リジェクト紙幣)であれば入出金部12となり、偽券であれば偽券収納庫19となり、正券であり再利用可能であれば金種に応じて紙幣収納庫16A〜16Dとなり、正券であり再利用不可能であればリジェクト庫17となる。
ステップSP5において紙幣制御部11は、鑑別部14を通過した紙幣をそれぞれ搬送先に応じて搬送し、次のステップSP6へ移る。具体的に紙幣制御部11は、決定した搬送先が入出金部12である紙幣、すなわち入金リジェクト紙幣を入出金部12へ搬送して利用者に返却し、決定した搬送先がそれ以外である紙幣を一時保留部15へ搬送して収納させる。
ステップSP6において紙幣制御部11は、ステップSP1において入出金部12に投入された全ての紙幣を装置内部へ取り込んだか否か、すなわち入出金部12内に紙幣が残っていないか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、紙幣制御部11は、再度ステップSP2へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、収容器12A内の残りの紙幣を順次搬送して鑑別させ、記番号等を取得して紙幣情報テーブルT1に記憶させていく。
一方、ステップSP6において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP7へ移り、入金された全紙幣の金種及び枚数を集計することにより入金額を算出し、操作表示部6(図1)に所定の確認画面を表示して次のステップSP8へ移る。このとき確認画面には、算出された入金額が表示されると共に、利用者に対し、入金取引を継続するか否かを指示させる継続ボタンが表示される。因みに紙幣制御部11は、入金リジェクト紙幣が発生したことにより入出金部12へ搬送していた場合、シャッタ12Bを開放して当該入金リジェクト紙幣を利用者に返却する。
ステップSP8において紙幣制御部11は、利用者から入金取引を継続する指示を受け付けたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは一時保留部15に収納している全ての紙幣を、それぞれの搬送先へ搬送して収納するべきであることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において紙幣制御部11は、記憶部11Mに一時的に記憶している情報を参照した上で、一時保留部15に収納している全ての紙幣を、それぞれの搬送先、すなわち紙幣収納庫16A〜16D、リジェクト庫17又は偽券収納庫19へ搬送させ、次のステップSP10へ移る。
ステップSP10において紙幣制御部11は、ステップSP9により紙幣収納庫16に収納した全ての紙幣について、その金種、記番号及び劣化度合を互いに対応付けて記憶部11Mの紙幣情報テーブルT1(図4)に記憶させる。その後紙幣制御部11は、次のステップSP12へ移り、入金処理手順RT1を終了する。
これにより紙幣情報テーブルT1には、利用者から入金され紙幣収納庫16に収納された紙幣について、記番号と対応付けて劣化度合がそれぞれ格納される。
一方、ステップSP8において否定結果が得られた場合、紙幣制御部11は次のステップSP11へ移り、一時保留部15に収納している全ての紙幣を入出金部12へ搬送してからシャッタ12Bを開放して利用者に返却する。その後紙幣制御部11は、次のステップSP12へ移り、入金処理手順RT1を終了する。
このように紙幣制御部11は、入金された紙幣のうち紙幣収納庫16に格納されたものについて、それぞれの記番号を読み取ると共に劣化度合を決定し、これらを対応付けて紙幣情報テーブルT1に記憶させるようになっている。
[1−3.出金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機1の主制御部9は、上述した入金処理の場合と同様にメニュー画面(図示せず)を表示した状態で、利用者から出金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し出金処理の開始を指示する。
因みに現金自動預払機1は、このとき利用者にキャッシュカードをカード入出口4(図1)へ挿入させ、その磁気情報をカード処理部4A(図3)において読み取ると共に、当該利用者にテンキー7(図1)を介して暗証番号を入力させることにより、出金対象となる口座の特定及び本人の確認を行う。
[1−3−1.出金処理手順]
紙幣制御部11は、記憶部11Mから所定の出金プログラムを読み出して実行することにより、図6に示す出金処理手順RT2を開始してステップSP21へ移る。ステップSP21において紙幣制御部11は、図7に示す取引種類選択画面D1を操作表示部6(図1)に表示させ、次のステップSP22へ移る。
取引種類選択画面D1は、いわゆるGUI(Graphical User Interface)となっており、利用者に操作を促すメッセージM1と、利用者に処理を選択させる4種類のボタンB1〜B4とが表示されている。
ボタンB1は、「綺麗な紙幣を指定して出金」と表示されており、出金時に「綺麗な紙幣」、すなわち劣化度合の小さい紙幣を指定して出金取引を行うことを意味する。ボタンB2は、「通常の取引」と表示されており、出金時に特に劣化度合について指定せず、金額のみを指定して出金取引を行うことを意味する。
ボタンB3は、「前の画面に戻る」と表示されており、直前の画面を表示した処理状態に戻ることを意味する。ボタンB4は、「取引を中止する」と表示されており、出金取引を中止すること、すなわち出金処理手順RT2を終了することを意味する。
ステップSP22において紙幣制御部11は、劣化度合を指定する旨の指示を受け付けたか否か、具体的には取引種類選択画面D1(図7)においてボタンB1が押下操作されたか否かを表している。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP23へ移る。
ステップSP23において紙幣制御部11は、サブルーチンとして、後述する選別条件決定処理を行うことにより、利用者の指示を基に、出金する紙幣の金種及び劣化度合ごとの枚数(以下これを選別枚数と呼ぶ)を指定した選別条件を決定し、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において紙幣制御部11は、サブルーチンとして、後述する選別出金処理を行うことにより、選別条件を満たす紙幣を選別して出金し、次のステップSP26へ移って出金処理手順RT2を終了する。
一方、ステップSP22において否定結果が得られると、このことは利用者が劣化度合を指定せずに出金額のみを指定する意思を有しており、取引種類選択画面D1(図7)においてボタンB2が押下操作されたことを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP25へ移る。
ステップSP25において紙幣制御部11は、サブルーチンとして、後述する通常出金処理を行うことにより、紙幣を劣化度合に応じて選別すること無く、利用者に指示された出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金し、次のステップSP26へ移って出金処理手順RT2を終了する。
このように紙幣制御部11は、出金処理において、金額のみを指定して出金する通常出金処理の他に、利用者の指示を基に決定した選別条件を満たす紙幣を選別して出金する選別出金処理を行うようになっている。
[1−3−2.選別条件決定処理]
次に、選別条件決定処理について説明する。紙幣制御部11は、出金処理手順RT2(図6)のステップSP23において、図8に示す選別条件決定処理手順RT3をサブルーチンとして開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31において紙幣制御部11は、図9に示す簡易指定画面D2を操作表示部6(図1)に表示させ、次のステップSP32へ移る。
簡易指定画面D2は、取引種類選択画面D1と同様にGUIとなっており、利用者に劣化度合の指定方法を選択させる4種類のボタンB11〜B14と、利用者に処理を選択させる2種類のボタンB15及びB16とが表示されている。
省入力操作子としてのボタンB11〜B13は、それぞれ「新札1万円出金」、「新札5万円出金」及び「新札10万円出金」と表示されており、それぞれ劣化度合の小さい紙幣を1万円分、5万円分又は10万円分、すなわち1万円札を1枚、5枚又は10枚出金することを意味する。これを換言すれば、これらのボタンB11〜B13は、出金処理における紙幣の劣化度合や金額等の詳細な指定操作を省略させ、これらを簡易に指定させる役割を果たす。以下では、このボタンB11〜B13の何れかが利用者に押下操作されることを、「選別条件を簡易指定する」とも表現する。
因みにボタンB11〜B13に割り当てられた1万円、5万円及び10万円といった金額は、日本における風習として、祝儀等として贈られることが多い金額である。これらの祝儀等において贈られる紙幣は、できるだけ劣化度合が小さいものが好まれる。
ボタンB14は、「枚数を指定して出金」と表示されており、劣化程度や金種毎に利用者に枚数を詳細に指定させて出金することを意味している。またボタンB15及びB16は、それぞれボタンB3及びB4(図7)と同様の機能を有する。
ステップSP32において紙幣制御部11は、簡易指定されたか否か、すなわちボタンB11〜B13の何れかが利用者に押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは簡易指定画面(図9)においてボタンB11〜B13のいずれかが押下操作されたこと、すなわち簡易指定されたことを表す。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP33へ移る。
ステップSP33において紙幣制御部11は、押下操作されたボタンB11〜B13に応じて劣化度合及び金種毎の枚数を決定し、次のステップSP36へ移る。例えば紙幣制御部11は、ボタンB12が押下操作された場合、希望枚数として、劣化度合が低い「10000円」の紙幣を5枚とする。
一方、ステップSP32において否定結果が得られると、このことはボタンB14が押下操作されており、利用者が劣化程度や金種毎に紙幣の枚数を詳細に指定する意思を有することを意味する。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP34へ移る。
ステップSP34において紙幣制御部11は、図10に示す詳細指定画面D3を操作表示部6(図1)に表示させる。詳細指定画面D3は、概ね上半分に出金可能枚数テーブルT21が表示され、中程にメッセージM21が表示され、概ね下半分に枚数入力テーブルT22が表示され、下端近傍にボタンB21及びB22が表示されている。
出金可能枚数テーブルT21は、左端に縦方向に沿って「10000円」、「5000円」及び「1000円」といった紙幣の金種が項目名として表示され、上端に横方向に沿って「かなり綺麗」、「少し使用感あり」及び「使用に問題なし」といった紙幣の状態、すなわち劣化度合が項目名として表示される。因みにこれらの各項目は、紙幣情報テーブルT1(図4)に格納されている各紙幣の劣化度合を表す「低」、「中」及び「高」とそれぞれ対応するものである。
この出金可能枚数テーブルT21の格子状に配置された各欄には、紙幣の金種及び劣化度合ごとに、紙幣収納庫16に首脳されている紙幣の枚数、すなわち出金可能な紙幣の枚数がそれぞれ表示される。因みに各紙幣の枚数は、紙幣情報テーブルT1(図4)に格納された情報を集計することにより算出される。ただし出金可能な枚数は、入出金部12(図2)に収容可能な最大の枚数である200枚が上限となっている。
メッセージM21には、枚数入力テーブルT22の各欄に枚数を入力する旨の指示が表示される。枚数入力テーブルT22は、出金可能枚数テーブルT11と同様、左端に縦方向に沿って紙幣の金額が項目名として表示され、上端に横方向に沿って劣化度合が項目名として表示される。この枚数入力テーブルT22における格子状の各欄には、金種及び劣化度合ごとに、利用者が出金を希望する紙幣の枚数がそれぞれ入力される。
ボタンB22は、「OK」の文字が表示されており、枚数入力テーブルT22に対する入力内容を確定して処理を先へ進めることを意味する。紙幣制御部11は、利用者により枚数入力テーブルT22の各欄にそれぞれ所望する紙幣の枚数が入力された上でボタンB22が押下操作されると、次のステップSP35へ移る。因みにボタンB21は、ボタンB4(図7)と同様の機能を有する。
ステップSP35において紙幣制御部11は、利用者により枚数入力テーブルT22(図10)の各欄に入力された、金種毎及び劣化度合毎の枚数(すなわち選別枚数)をまとめて選別条件として決定し、次のステップSP36へ移る。
ステップSP36において紙幣制御部11は、紙幣情報テーブルT1(図4)を参照することにより、金種及び劣化度合毎に、紙幣収納庫16に収納している紙幣の枚数と決定された選別枚数とを比較し、次のステップSP37へ移る。
ステップSP37において紙幣制御部11は、全ての金種及び劣化度合について、選別枚数の紙幣を出金可能であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは利用者に指定された選別条件を満たす紙幣が紙幣収納庫16に収納されておらず、出金できないことを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP38へ移る。
ステップSP38において紙幣制御部11は、図11に示す条件変更確認画面D4を操作表示部6(図1)に表示させ、次のステップSP39へ移る。この条件変更確認画面D4には、上端近傍にメッセージM31が表示され、中央に枚数提示テーブルT31が表示され、下端近傍にボタンB31、B32及びB33が表示される。
メッセージM31には、金種及び劣化度合毎の選別枚数のうち何れかが、紙幣収納庫16に収納されている紙幣の枚数を超えており、枚数提示テーブルT31に示すように枚数を変更する(低減させる)必要がある旨と、その確認を依頼する旨が表示される。
枚数提示テーブルT31は、出金可能枚数テーブルT21(図10)等と同様、左端に縦方向に沿って紙幣の金額が項目名として表示され、上端に横方向に沿って劣化度合が項目名として表示される。この枚数提示テーブルT31の各欄には、金種及び劣化度合毎に、紙幣収納庫16に収納されている紙幣の枚数に応じて選別枚数から適宜変更された枚数がそれぞれ提示される。
ボタンB33は、「OK」の文字が表示されており、枚数提示テーブルT31により提示された金種及び劣化度合毎の枚数を了承して出金処理を進めることを意味する。ボタンB32は、「枚数選択画面に戻る」の文字が表示されており、詳細指定画面D3(図10)において枚数を入力する処理に戻ることを意味する。因みにボタンB31は、ボタンB4(図7)と同様の機能を有する。
ステップSP39において紙幣制御部11は、枚数提示テーブルT31により提示された金種及び劣化度合毎の枚数となるように選別条件を変更することが了承されたか否か、すなわちボタンB33が押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはボタンB32が押下操作されることにより、利用者が金種及び劣化度合毎の枚数を再度指定する意思を有していることを表している。このとき紙幣制御部11は、再度ステップSP34へ戻る。
一方、ステップSP39において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP40へ移り、枚数提示テーブルT31により提示された金種及び劣化度合毎の枚数を新たな選別枚数として更新し、次のステップSP41へ移って選別条件決定処理手順RT3を終了する。
一方、ステップSP37において肯定結果が得られると、このことは選別条件を満たすような金種及び劣化度合の紙幣を出金できることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP41へ移って選別条件決定処理手順RT3を終了する。
このように紙幣制御部11は、選別条件決定処理手順RT3において、利用者に簡易指定させ、又は金種及び劣化度合毎に詳細な枚数を指定させることにより、出金する紙幣の金種及び劣化度合毎の枚数を詳細に指定した選別条件を決定する。
[1−3−3.選別出金処理]
次に、選別出金処理について説明する。紙幣制御部11は、出金処理手順RT2(図6)のステップSP24において、図12に示す選別出金処理手順RT4をサブルーチンとして開始し、ステップSP51へ移る。
ステップSP51において紙幣制御部11は、紙幣収納庫16から1枚の紙幣を繰り出し、鑑別部14へ搬送して鑑別させ、次のステップSP52へ移る。因みに紙幣収納庫16は、このとき内部の収納空間内において最上面に重ねられた1枚の紙幣を分離放出部により分離して繰り出す。以下、この紙幣を対象紙幣と呼ぶ。
ステップSP52において紙幣制御部11は、鑑別部14により対象紙幣から読み取られた記番号を取得し、次のステップSP53へ移る。以下、このとき取得した記番号を対象記番号と呼ぶ。
ステップSP53において紙幣制御部11は、選別処理部11S(図3)により、記憶部11Mに記憶している紙幣情報テーブルT1を参照し、対象記番号及び金種と対応付けられた劣化度合を読み出して、次のステップSP54へ移る。
ステップSP54において紙幣制御部11は、選別処理部11Sにより、対象紙幣が出金対象であるか否か、すなわち対象紙幣について鑑別された金種及び読み出した劣化度合の組み合わせが、選別条件において指定されている金種及び劣化度合の組み合わせと合致するか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは当該紙幣を出金すべきでは無く、当該紙幣に代わる他の紙幣を出金するべきであることを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP55へ移る。ステップSP55において紙幣制御部11は、選別処理部11Sにより、搬送部13を制御して対象紙幣を一時保留部15へ搬送し、その後ステップSP51へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP54において肯定結果が得られると、紙幣制御部11は次のステップSP56へ移る。ステップSP56において紙幣制御部11は、選別処理部11Sにより、搬送部13を制御して対象紙幣を入出金部12へ搬送し、次のステップSP57へ移る。
このとき選別処理部11Sは、選別条件のうち対象紙幣の金種及び劣化度合と対応する選別枚数を「1」だけ削減する。これにより選別条件は、当初決定された選別枚数から入出金部12へ搬送済の枚数が除外され、当該入出金部12へ搬送すべき残りの紙幣の枚数を表すことになる。
ステップSP57において紙幣制御部11は、選別処理部11Sにより、入出金部12へ搬送した紙幣が全ての金種及び劣化度合において選別枚数に達したか否か、すなわち当該入出金部12へ搬送すべき残りの紙幣の枚数が「0」であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このとき紙幣制御部11は、ステップSP51へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、残りの出金対象とすべき紙幣を選別して入出金部12へ搬送させる。
一方、ステップSP57において肯定結果が得られると、このことは金種及び劣化度合毎に設定された選別枚数の紙幣を過不足無く入出金部12へ搬送したこと、すなわち選別条件を満たす紙幣が当該入出金部12へ搬送されたことを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP58へ移る。
ステップSP58において紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開放させて収容器12A内の紙幣を利用者に取り出させ、次のステップSP59へ移る。
ステップSP59において紙幣制御部11は、選別処理部11Sにより、一時保留部15に収納している紙幣、すなわち紙幣収納庫16に収納されていた紙幣のうち出金対象では無かったものを、搬送部13により再び紙幣収納庫16へ搬送し、次のステップSP60へ移る。
ステップSP60において紙幣制御部11は、紙幣情報テーブルT1に記憶している紙幣情報のうち、出金対象として出金した紙幣に関する情報を削除することにより、当該紙幣情報テーブルT1を更新し、次のステップSP61へ移って選別出金処理手順RT4を終了する。
このように紙幣制御部11は、出金処理において、紙幣収納庫16から繰り出した各紙幣の劣化度合を紙幣情報テーブルT1から読み出して選別条件と比較することにより、当該選別条件を満たす紙幣のみを選別して出金する。
[1−3−4.通常出金処理]
次に、通常出金処理について説明する。紙幣制御部11は、出金処理手順RT2(図6)のステップSP25において、図13に示す通常出金処理手順RT5をサブルーチンとして開始し、ステップSP71へ移る。
ステップSP71において紙幣制御部11は、所定の出金額入力画面を操作表示部6(図1)に表示させることにより、利用者に出金額を入力させ、次のステップSP72へ移る。ステップSP72において紙幣制御部11は、入力された出金額を基に、出金する紙幣の金種及び枚数を決定し、次のステップSP73へ移る。このとき紙幣制御部11は、劣化度合については特に考慮しない。
ステップSP73において紙幣制御部11は、搬送部13を制御することにより、決定された金種及び枚数の紙幣を紙幣収納庫16から順次繰り出し、鑑別部14を経由して入出金部12の収容器12A内へ収容させ、次のステップSP74へ移る。このとき紙幣制御部11は、鑑別部14により鑑別された金種及び読み取られた記番号を記憶部11Mに一時的に記憶させておく。
ステップSP74において紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開放して利用者に紙幣を取り出させ、次のステップSP75へ移る。
ステップSP75において紙幣制御部11は、ステップSP60(図12)と同様、読み取った記番号を基に、紙幣情報テーブルT1に記憶している紙幣情報のうち、出金対象として出金した紙幣に関する情報を削除することにより、当該紙幣情報テーブルを更新する。その後紙幣制御部11は、次のステップSP76へ移って通常出金処理手順RT5を終了する。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、取引種類選択画面D1(図7)において利用者によりボタンB1が押下操作されると、その操作に応じて金種及び劣化度合毎に選別枚数を指定した選別条件を決定し、当該選別条件に従って紙幣を選別した上で出金する。
このため紙幣入出金機10は、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金できるので、従来のように劣化度合を指定できなかった場合と比較して、利用者に改めて金融機関の窓口等において紙幣の交換等の手続を行わせる必要が無い。
また紙幣入出金機10は、詳細指定画面D3(図10)において、金種及び劣化度合をそれぞれ縦方向及び横方向の項目とした表形式の枚数入力テーブルT22を用いて、利用者に枚数を入力させる。このため紙幣入出金機10は、金種及び劣化度合という2種類の異なる要素の組み合わせを直感的に視認することができ、所望する金種及び劣化度合の枚数を容易に指定させることができる。
さらに紙幣入出金機10は、紙幣収納庫16に収納している各紙幣について、金種や劣化度合でなる紙幣情報を紙幣情報テーブルT1(図4)に記憶させ、詳細指定画面D3(図10)において、枚数入力テーブルT22の上側に、出金可能枚数テーブルT21を用いて金種及び劣化度合毎に出金可能な紙幣の枚数を表示する。
これにより紙幣入出金機10は、利用者に対し、過大な枚数を指定させて後に変更させる、といった無駄な操作を行わせること無く、当初から出金可能な枚数を参酌しながら希望する枚数を入力させることができる。また紙幣入出金機10は、枚数入力テーブルT22と対応する表形式で出金可能枚数テーブルT21を表示するため、金種及び劣化度合の組み合わせ毎に、出金可能な枚数と見比べながら枚数を入力させることができる。
また紙幣入出金機10は、入金処理において、入金された紙幣から読み取った記番号と対応付けて、鑑別した金種及び決定した劣化度合を対応付けて紙幣情報テーブルT1(図4)に記憶させていく。このため紙幣入出金機10は、改めて劣化度合を決定する処理を行うこと無く、入金された紙幣に対して一般的に行われる鑑別処理の結果として得られる鑑別結果を利用し、紙幣情報として紙幣情報テーブルT1に記憶しておくことで、選別出金処理を行う際にこの紙幣情報を有効に利用できる。
これに加えて紙幣入出金機10は、選別条件決定処理手順RT3(図8)の初期段階で簡易指定画面D2(図9)を表示することで、利用者に金種及び劣化度合毎に詳細に枚数を指定させることの他に、簡易指定を選択させ得るようにした。このため紙幣入出金機10は、選別条件のうち祝儀等で指定される頻度が高いものを、極めて簡単な操作で決定させることができる。
さらに紙幣入出金機10は、出金取引の開始直後に取引種類選択画面D1(図7)を表示し、選択出金処理又は通常出金処理の何れかを利用者に選択させるようにした。これにより紙幣入出金機10は、単純に出金を希望する利用者に対しては、比較的簡単な操作により所望する金額の紙幣を素早く出金する一方、選別条件を指定した紙幣の出金を所望する利用者に対しては、金種及び劣化度合毎に選別枚数を指定した選別条件を決定させた上で、これに従った紙幣を選別して出金できる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、紙幣収納庫16に収納する各紙幣の金種、記番号及び劣化度合を紙幣情報として紙幣情報テーブルT1に記憶させておく。紙幣入出金機10は、出金処理において、まず利用者の操作指示に基づき、出金すべき紙幣の金種及び劣化度合毎に選別枚数を指定した選別条件を決定する。次に紙幣入出金機10は、紙幣収納庫16から繰り出した紙幣の記番号を鑑別部14によって読み取り、紙幣情報テーブルT1から当該記番号と対応付けられた劣化度合を読み出し、選別条件を満たす紙幣のみを選別して出金する。これにより紙幣入出金機10は、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金できる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部111を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部111(図3)は、紙幣制御部11と比較して、劣化度合決定部11Dを有する点において同様である一方、記憶部11M及び選別処理部11Sとそれぞれ対応する記憶部111M及び選別処理部111Sを有する点において相違する。
記憶部111Mは、図4と対応する図14に示すように、第1の実施の形態における紙幣情報テーブルT1に代えて、紙幣情報テーブルT2を記憶している。この紙幣情報テーブルT2は、紙幣情報テーブルT1の記番号欄に代えて順序欄が設けられている。この順序欄には、紙幣収納庫16に収納された順序、すなわち紙幣収納庫16内部の収納空間に集積された状態において最下面から数えた場合の順序が、順序情報として格納される。因みに記憶部111Mには、4個の紙幣収納庫16(16A〜16D)とそれぞれ対応する4個の紙幣情報テーブルT2(T2A〜T2D)が記憶されている。
選別処理部111Sは、第1の実施の形態における記番号では無く、紙幣収納庫16に収納されている順序、すなわち出金処理において繰り出される順序を利用して、紙幣情報テーブルT2の紙幣情報と実際の紙幣とを対応付けながら、各紙幣を選別するようになっている。また選別処理部111Sは、各紙幣収納庫16に収納されている紙幣の枚数、すなわち収納されている紙幣のうち最上面に位置している紙幣の、最下面の紙幣から数えた場合の順序を、それぞれ認識している。
紙幣入出金機110において入金処理を行う場合、紙幣制御部111は、基本的には第1の実施の形態と同様に入金処理手順RT1(図5)を実行する。ただし紙幣制御部111は、ステップSP3において鑑別部14から記番号を取得せず、ステップSP4において劣化度合を決定した際に、対象紙幣を後に紙幣収納庫16に収納する場合の当該紙幣収納庫16内における対象紙幣の順序と劣化度合とを対応付けて記憶部111Mに一時的に記憶させる。
また紙幣制御部111は、ステップSP10において、紙幣収納庫16に収納した全ての紙幣について、当該紙幣収納庫16内における順序、金種及び劣化度合を互いに対応付けて記憶部111Mの紙幣情報テーブルT2(図14)に記憶させる。
さらに紙幣入出金機110において出金処理を行う場合、紙幣制御部111は、基本的には第1の実施の形態と同様に出金処理手順RT2(図6)を実行し、そのサブルーチンとして選別条件決定処理手順RT3(図8)、選別出金処理手順RT4(図12)及び通常出金処理手順RT5(図13)をそれぞれ実行する。
ただし紙幣制御部111は、選別出金処理手順RT4(図12)のステップSP52において、選別処理部111S(図3)により、紙幣収納庫16内における紙幣の順序を確認する。また紙幣制御部111は、ステップSP53において、選別処理部111S(図3)により、記憶部111Mに記憶している紙幣情報テーブルT2を参照し、対象紙幣の紙幣収納庫16内における順序と対応付けられた金種及び劣化度合を読み出す。
また紙幣制御部111は、ステップSP60において、出金した紙幣及び一時保留部15から紙幣収納庫16へ戻された紙幣について、紙幣情報テーブルT2に記憶している紙幣情報を更新する。
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、記番号に代えて紙幣収納庫16内における集積された順序と紙幣の劣化度合等とを対応付けて紙幣情報テーブルT2に記憶させておく。
紙幣入出金機110は、利用者から選別出金処理を行う指示、すなわち選別条件を指定して紙幣の出金処理を行う操作指示を受け付けた場合、紙幣収納庫16内に収納されていたときの各紙幣の集積順序を基に、紙幣情報テーブルT2から劣化情報及び金種を読み出す。これにより紙幣入出金機110は、第1の実施の形態と同様、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金することができる。
特に紙幣入出金機110は、紙幣収納庫16内における収納の順序と対応付けて紙幣情報を紙幣情報テーブルT2に記憶させるため、入金処理及び出金処理の何れにおいても、鑑別部14により記番号を正常に読み取れたか否かに拘わらず、紙幣情報を記憶させ、また読み出して利用することができる。
その他の点においても、第2の実施の形態による紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、紙幣収納庫16に収納する各紙幣の順序、金種及び劣化度合を紙幣情報として紙幣情報テーブルT2に記憶させておく。紙幣入出金機110は、出金処理において、利用者の操作指示に基づき、出金すべき紙幣の金種及び劣化度合毎に選別枚数が指定された選別条件が決定されると、紙幣収納庫16内において紙幣が集積されていた順序を基に、紙幣情報テーブルT2から当該順序と対応付けられた劣化度合を読み出し、選別条件を満たす紙幣のみを選別して出金する。これにより紙幣入出金機110は、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金することができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部211を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部211(図3)は、紙幣制御部11と比較して、劣化度合決定部11Dを有する点において同様である一方、記憶部11M及び選別処理部11Sとそれぞれ対応する記憶部211M及び選別処理部211Sを有する点において相違する。
記憶部211Mは、図4と対応する図15に示すように、第1の実施の形態における紙幣情報テーブルT1に代えて、紙幣収納庫情報テーブルT3を記憶している。この紙幣収納庫情報テーブルT3は、紙幣収納庫16A〜16Dそれぞれに関する情報が格納されている。具体的に紙幣収納庫情報テーブルT3には、紙幣収納庫を表す紙幣収納庫欄、金種を表す金種欄、劣化度合を表す劣化度合欄、及び収納枚数を表す収納枚数欄がそれぞれ設けられている。
すなわちこの第3の実施の形態では、紙幣収納庫16それぞれに紙幣の劣化度合が割り当てられており、紙幣毎の劣化度合は記憶されず、その代わりに各紙幣収納庫16における収納枚数がそれぞれ記憶される。
因みにこの第3の実施の形態においては、紙幣入出金機210により、紙幣の金種として「10000円」及び「1000円」の2種類の紙幣を取り扱うものとし、また紙幣の劣化度合を「高」及び「低」の2段階に分類するものとする。
選別処理部211Sは、第1及び第2の実施の形態のように、紙幣収納庫16から繰り出したそれぞれの紙幣のうち出金すべきものを選別するのでは無く、出金すべき紙幣のみを紙幣収納庫16から繰り出すようになっている。
紙幣入出金機210において入金処理を行う場合、紙幣制御部211は、基本的には第1の実施の形態と同様に入金処理手順RT1(図5)を実行する。ただし紙幣制御部211は、ステップSP3において鑑別部14から記番号を取得せず、ステップSP4において劣化度合を決定した際に、紙幣収納庫情報テーブルT3(図15)を参照することにより、決定した劣化度合及び対象紙幣の金種と対応する紙幣収納庫16(16A〜16D)を搬送先として決定する。また紙幣制御部211は、ステップSP10において、紙幣収納庫情報テーブルT3の収納枚数欄を更新する。
さらに紙幣入出金機210において出金処理を行う場合、紙幣制御部211は、第1の実施の形態と同様に出金処理手順RT2(図6)を実行し、ステップSP23及びSP25において、それぞれサブルーチンとして選別条件決定処理手順RT3(図8)及び通常出金処理手順RT5(図13)を実行する。
その一方で紙幣制御部211は、ステップSP24において、第1の実施の形態とは異なる選別出金処理を行うようになっている。具体的に紙幣制御部211は、選別出金処理手順RT4(図12)に代えて、図16に示す選別出金処理手順RT6をサブルーチンとして開始し、ステップSP81へ移る。
ステップSP81において紙幣制御部211は、選別処理部211Sにより、紙幣収納庫情報テーブルT3(図15)を参照し、紙幣の金種及び劣化度合毎に決定された選別枚数と対応付けられた紙幣収納庫16から、1枚の紙幣を繰り出して鑑別部14へ搬送して鑑別させ、次のステップSP82へ移る。このとき紙幣制御部211は、鑑別部14から得られる鑑別結果を基に、金種に誤りが無いことや重送のような搬送上の障害が発生していないことを確認する。
ステップSP82において紙幣制御部211は、紙幣を入出金部12へ搬送し、次のステップSP83へ移る。このとき選別処理部211Sは、選別枚数のうち対象紙幣の金種及び劣化度合と対応する枚数を「1」だけ削減する。これにより選別枚数は、当初決定された枚数から入出金部12へ搬送済の枚数が除外され、当該入出金部12へ搬送すべき残りの紙幣の枚数を表すことになる。
ステップSP83において紙幣制御部211は、選別処理部211Sにより、入出金部12へ搬送した紙幣が選別枚数に達したか否か、すなわち当該入出金部12へ搬送すべき残りの紙幣の枚数が「0」であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このとき紙幣制御部211は、ステップSP81及びSP82を繰り返すことにより、残りの紙幣を入出金部12へ搬送させる。
一方、ステップSP83において肯定結果が得られると、このことは金種及び劣化度合毎に設定された選別枚数の紙幣を過不足無く入出金部12へ搬送したことを表している。このとき紙幣制御部211は、次のステップSP84へ移る。ステップSP84において紙幣制御部211は、入出金部12のシャッタ12Bを開放させて収容器12A内の紙幣を利用者に取り出させ、次のステップSP85へ移る。
ステップSP85において紙幣制御部211は、紙幣収納庫情報テーブルT3に記憶している収納枚数を、出金した紙幣の枚数分だけ削減することにより更新し、次のステップSP86へ移って選別出金処理手順RT6を終了する。
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、紙幣収納庫16毎に金種及び劣化度合を割り当て、その収納枚数と共に紙幣収納庫情報テーブルT3に記憶させておく。
紙幣入出金機210は、利用者から選別出金処理を行う指示、すなわち劣化度合を指定して紙幣の出金処理を行う操作指示を受け付けた場合、出金すべき紙幣の金種及び劣化度合に応じた紙幣収納庫16(16A〜16D)から、それぞれ選別枚数の紙幣を繰り出して出金する。これにより紙幣入出金機210は、第1の実施の形態と同様、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金することができる。
特に紙幣入出金機210は、紙幣収納庫16毎に金種及び劣化度合を割り当てているため、出金対象の紙幣のみを紙幣収納庫16から繰り出すことができる。このため紙幣入出金機210は、第1及び第2の実施の形態のように、繰り出した紙幣が出金対象でなかった場合に一時保留部15へ搬送する、といった処理を行う必要が無く、より短い時間で出金処理を完了することができる。
その他の点においても、第3の実施の形態による紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、紙幣収納庫16毎に金種及び劣化度合を割り当て、その収納枚数と共に紙幣収納庫情報テーブルT3に記憶させておく。紙幣入出金機210は、出金処理において、利用者の操作指示に基づき、出金すべき紙幣の金種及び劣化度合毎に選別枚数が決定されると、紙幣収納庫情報テーブルT3においてその金種及び劣化度合と対応付けられている紙幣収納庫16から、紙幣を選別枚数だけ出金する。これにより紙幣入出金機210は、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金することができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機310(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部311を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部311(図3)は、紙幣制御部11と比較して、劣化度合決定部11Dを有する点において同様である一方、記憶部11M及び選別処理部11Sとそれぞれ対応する記憶部311M及び選別処理部311Sを有する点において相違する。
記憶部311Mは、第1の実施の形態と異なり、紙幣情報テーブルT1のように個別の紙幣に関する情報を記憶していない。
選別処理部311Sは、出金処理において、紙幣収納庫16から繰り出した紙幣それぞれについて金種や劣化度合を判別した上で、選別条件を満たす紙幣のみを選別するようになっている。
紙幣入出金機310において入金処理を行う場合、紙幣制御部211は、基本的には第1の実施の形態と同様に入金処理手順RT1(図5)を実行する。ただし紙幣制御部211は、ステップSP3において鑑別部14から記番号を取得せず、ステップSP4において劣化度合を決定すること無く、搬送先のみを決定する。また紙幣制御部311は、ステップSP10を省略し、個別の紙幣に関する情報を何ら記憶しない。
さらに紙幣入出金機310において出金処理を行う場合、紙幣制御部311は、第1の実施の形態と同様に出金処理手順RT2(図6)を実行し、ステップSP25においてサブルーチンとして通常出金処理手順RT5(図13)を実行する。その一方で紙幣制御部311は、ステップSP23及びSP24において、第1の実施の形態とは異なる選別条件決定処理及び選別出金処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部311は、出金処理手順RT2(図6)のステップSP23において、選別条件決定処理手順RT3(図8)に代えて、図17に示す選別条件決定処理手順RT7をサブルーチンとして開始し、ステップSP91へ移る。
紙幣制御部311は、ステップSP91〜SP95において、選別条件決定処理手順RT3(図8)のステップSP31〜SP35とそれぞれ同様の処理を行い、ステップSP96へ移って選別条件決定処理手順RT7を終了する。すなわち紙幣制御部311は、紙幣収納庫16に収納している紙幣について、その金種及び劣化度合毎の出金可能な枚数を把握していないため、決定された選別条件を出金可能な紙幣の枚数と比較しない。
また紙幣制御部311は、ステップSP94において、詳細指定画面D3(図10)に代えて、図18に示す詳細指定画面D5を操作表示部6(図1)に表示させる。この詳細指定画面D5は、詳細指定画面D3から出金可能枚数テーブルT21が省略されており、枚数入力テーブルT22、ボタンB21及びB22とそれぞれ対応する枚数入力テーブルT41、ボタンB41及びB42がそれぞれ配置されている。
さらに紙幣制御部311は、出金処理手順RT2(図6)のステップSP24において、選別出金処理手順RT4(図12)に代えて、図19に示す選別出金処理手順RT8をサブルーチンとして開始し、ステップSP101へ移る。
ステップSP101において紙幣制御部311は、紙幣収納庫16から1枚の紙幣(以下これを対象紙幣と呼ぶ)を繰り出し、鑑別部14へ搬送して鑑別させ、さらに当該鑑別部14からその鑑別結果を取得して、次のステップSP102へ移る。ステップSP102において紙幣制御部311は、劣化度合決定部11Dにより、対象紙幣の鑑別結果を基に劣化度合を決定し、次のステップSP103へ移る。
ステップSP103において紙幣制御部311は、選別処理部311S(図3)により、対象紙幣が出金対象であるか否か、すなわち対象紙幣について鑑別された金種及び決定された劣化度合の組み合わせが、選別条件において指定されている金種及び劣化度合の組み合わせと合致するか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは当該紙幣を出金すべきでは無く、当該紙幣に代わる他の紙幣を出金するべきであることを表している。このとき紙幣制御部311は、次のステップSP104へ移る。ステップSP104において紙幣制御部311は、選別処理部311Sにより、搬送部13を制御して対象紙幣を一時保留部15へ搬送し、その後ステップSP101へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP54において肯定結果が得られると、紙幣制御部311は次のステップSP105へ移る。紙幣制御部311は、ステップSP105、SP106、SP107及びSP108において、選別出金処理手順RT4(図12)のステップSP56、SP57、SP58及びSP59と同様の処理をそれぞれ行い、次のステップSP109へ移って選別出金処理手順RT8を終了する。
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、入金処理において各紙幣の劣化度合を決定せず、また紙幣情報も記憶せず、出金処理において紙幣収納庫16から繰り出された紙幣それぞれの劣化度合をその都度決定し、選別条件を満たすもののみを選別して出金する。
このため紙幣入出金機310は、例えば保守作業等により行われた装填作業により紙幣収納庫16内に紙幣が装填され、当該紙幣について劣化度合が不明であったとしても、出金処理において各紙幣の劣化度合をその都度決定することで、選別条件を満たす紙幣のみを選別して出金することができる。これにより紙幣入出金機310は、第1の実施の形態と同様、利用者に改めて金融機関の窓口等において紙幣の両替や交換等の手続を行わせる必要が無い。
その他の点においても、第3の実施の形態による紙幣入出金機310は、紙幣情報テーブルT1に関する部分を除き、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、出金処理において、利用者の操作指示に基づき、出金すべき紙幣の金種及び劣化度合毎に選別枚数が決定されると、紙幣収納庫16から繰り出した紙幣それぞれの劣化度合を決定しながら、選別条件を満たすもののみを選別して出金する。これにより紙幣入出金機310は、利用者が所望する劣化度合の紙幣を直接出金することができる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、紙幣情報テーブルT1に記番号情報を格納し、第2の実施の形態においては紙幣情報テーブルT2に順序情報を格納することで、紙幣から読み取った記番号又は収納されている順序を基に、各紙幣収納テーブルに格納した劣化度合と実際の紙幣とを対応付ける場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、紙幣を個別に特定するための種々の情報を利用することにより、紙幣情報テーブルに格納した劣化度合と実際の紙幣とを対応付けるようにしても良い。さらには、例えば第1の実施の形態における記番号情報及び第2の実施の形態における順序情報の双方を紙幣情報テーブルに格納しても良い。これにより、例えば通常時に順序情報のみを参照することで検索処理の負荷を軽減する一方、重送や連鎖のような紙幣の搬送異常が発生した場合に記番号情報を参照することで、劣化度合を精度良く読み出すことが可能となる。
また上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10において行う入金処理において紙幣の劣化度合を決定し、読み取った記番号と対応付けて紙幣情報テーブルT1に格納する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば外部の紙幣処理装置において紙幣を鑑別して得られた鑑別結果を基に劣化度合を決定し、また当該紙幣から記番号を読み取るようにしても良い。紙幣入出金機10は、この紙幣処理装置から劣化度合及び記番号を表す情報を取得して紙幣情報テーブルT1に格納しておくことで、第1の実施の形態と同様の選別出金処理を行うことができる。
或いは、例えば紙幣入出金機10における入金処理においては紙幣の劣化度合を決定すること無く紙幣収納庫16に収納し、営業時間の終了後に行われる精査処理等において、紙幣収納庫16内の紙幣を鑑別部14により順次鑑別する際に、劣化度合を決定して紙幣情報テーブルT1に記憶させるようにしても良い。これにより、入金処理における処理負荷を軽減して入金取引を短時間で完了することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、各紙幣収納庫16に収納した全ての紙幣に関する紙幣情報を1個の紙幣情報テーブルT1に格納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金種毎や紙幣収納庫16毎に複数の紙幣情報テーブルT1を用意し、それぞれに対応する紙幣情報を分散して格納しても良い。この場合、対象紙幣の金種や繰り出した紙幣収納庫16に応じて選択した紙幣情報テーブルから記番号を検索して紙幣情報を読み出せば良いため、検索処理の処理負荷を軽減することができる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、紙幣入出金機110において行う入金処理において紙幣の劣化度合を決定し、これを紙幣収納庫16における集積の順序と対応付けて紙幣情報テーブルT2に格納する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫16が紙幣入出金機110に対し装脱可能に構成されると共に、当該紙幣収納庫16に紙幣を装填する紙幣装填装置を利用しても良い。すなわち、この紙幣装填装置において、紙幣収納庫16に装填する紙幣をそれぞれ鑑別して劣化度合を決定し、その装填順序と対応付けて劣化度合を紙幣情報テーブルT2に記憶させておけば良い。紙幣入出金機110は、この紙幣収納庫16が装填される場合、紙幣装填装置から紙幣情報テーブルT2を取得して記憶部111Mに記憶させておくことで、第2の実施の形態と同様の選別出金処理を行うことができる。
さらに上述した第3の実施の形態においては、各紙幣収納庫16に金種及び劣化度合をそれぞれ割り当て、紙幣入出金機210において行う入金処理において紙幣の劣化度合を決定し、その劣化度合毎及び金種に対応する紙幣収納庫16に紙幣を収納する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上述した場合と同様、紙幣収納庫16が紙幣入出金機210に対し装脱可能に構成されると共に、当該紙幣収納庫16に紙幣を装填する紙幣装填装置を利用しても良い。すなわち、この紙幣装填装置において、紙幣収納庫16ごとに金種及び劣化度合を割り当てておき、装填する紙幣をそれぞれ鑑別して劣化度合を決定し、対応する紙幣収納庫16に収納させれば良い。紙幣入出金機210は、この紙幣収納庫16が装填される場合、割り当てられた金種及び劣化度合を紙幣収納庫情報テーブルT3に記憶させることで、第3の実施の形態と同様の選別出金処理を行うことができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、選別条件決定処理において詳細指定画面D3(図10)に表示する出金可能枚数テーブルT21に、紙幣収納庫16に収納している紙幣の金種及び劣化度合毎の枚数のみに基づいた枚数を表示する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば利用者が出金しようとしている口座の残高に応じた枚数を表示しても良く、さらには残高が大きい利用者に対して劣化度合の低い紙幣の出金可能枚数を増加させる等、他の種々の条件に応じて変化させた枚数を表示しても良い。或いは、例えば第4の実施の形態による詳細指定画面D5と同様、出金可能枚数テーブルT21を省略しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、選別条件決定処理において、簡易指定画面D2(図9)を表示することにより、利用者に選別条件を簡易指定させる機会を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば簡易指定画面D2(図9)の表示を省略し、利用者に対し、詳細指定画面D3(図10)により金種毎及び劣化度合毎の選別枚数を詳細に入力させて選別条件を決定させるようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金処理の開始直後に取引種類選択画面D1(図7)を表示することにより、利用者に選別出金処理又は通常出金処理の何れを行うかを選択させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば出金処理の開始直後に無条件に選別出金処理を開始し、利用者に必ず選別条件を決定させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣の劣化度合を3段階に分類する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、第3の実施の形態と同様の2段階に分類しても良く、或いは4段階以上に分類しても良い。また、金種毎に異なる分類数としても良く、さらには一部の金種について劣化度合を分類しないようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、記憶部11Mに紙幣情報テーブルT1を記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば現金自動預払機1における主制御部9の記憶部9Mや、通信回線等を介して接続された外部の情報処理装置等、種々の箇所に紙幣情報テーブルT1を記憶させても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者との間で媒体としての紙幣を取引する現金自動預払機1に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口に設置され紙幣の入金処理や出金処理を行う装置(いわゆるテラーマシン)、釣銭機や自動販売機、さらには各種金券や証券等の種々の媒体を利用者との間で取引する種々の装置に本発明を適用しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、収納部としての紙幣収納庫16と、受付部としての操作表示部6と、搬送部としての搬送部13と、排出部としての入出金部12と、選別処理部としての選別処理部11Sと、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収納部と、受付部と、搬送部と、排出部と、選別処理部と、制御部とによって媒体取引装置を構成しても良い。