JP2016010318A - Hla遺伝子のdnaタイピング方法及びキット - Google Patents

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Abstract

【課題】フェーズ・アンビギュイティに由来する曖昧さを排除した高精度のDNAタイピング方法及びキットを提供する。【解決手段】(1)ヒトゲノム塩基配列におけるHLA−A、HLA−B,HLA−C、HLA−DRB1、HLA−DPB1及びHLA−DQB1の各遺伝子の上流領域及び下流領域に各々特異的にアニールするプライマーセットを準備するステップ;(2)前記プライマーセットを用いて被検試料(DNA)をPCR増幅するステップ;(3)PCR増幅された産物の塩基配列を決定するステップ;及び(4)データベースとのホモロジー検索を実施するステップを含むことを特徴とする、HLAのDNAタイピング方法。【選択図】図4

Description

本発明は、大量並列シークエンサーを用いたHLA遺伝子のDNAタイピングのための方法及びキットに関する。
ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex;MHC)であるヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen;HLA)は、病原体等の外来タンパク質由来ペプチド、および自己タンパク質由来ペプチドをT細胞に提示することにより免疫応答の誘導に深く関わっているが、主なものとして6種類の抗原が知られている。ほぼすべての細胞で発現しているクラスI分子(HLA−A、HLA−B、HLA−C)と、主として免疫系の細胞で発現しているクラスII分子(HLA−DR、HLA−DQ、HLA−DP)である。
HLAクラスI抗原は高度な多型性を示すα鎖と多型性がほとんど無いβ2−ミクログロブリンからなり、HLAクラスII抗原は高度な多型が存在するβ鎖と多型性が少ないα鎖から成る。クラスI分子のα鎖はHLA−A、HLA−B、HLA−Cの各遺伝子にコードされ、クラスII抗原のβ鎖はHLA−DRB1、HLA−DQB1、HLA−DPB1、α鎖はHLA−DRA1、HLA−DQA1、HLA−DPA1遺伝子にコードされている。遺伝子レベルでは、HLAクラスI抗原ではα鎖をコードしている遺伝子のエクソン2とエクソン3が高度な多型性を示し、HLAクラスII抗原ではβ鎖をコードしている遺伝子のエクソン2が高度な多型性を示す。
HLAをコードしている遺伝子領域はヒト第6染色体短腕部6p21.3に位置し、テロメア側からセントロメア側に向けて、クラスI領域(HLA−A、HLA−C、HLA−B等)、クラスIII領域、クラスII領域(HLA−DRA、HLA−DRB1、HLA−DQA1、HLA−DQB1、HLA−DPA1、HLA−DPB1等)の順に並び、多くの遺伝子が非常に高い密度でコードされており、輸血や移植及び様々な疾患との関連性が報告されてきている。クラスIII領域にはHLA遺伝子は存在せず、補体成分や腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF)等の遺伝子が存在している。
HLA−DR抗原のβ鎖をコードするHLA−DRB遺伝子領域には5種類の構造多型が確認されている。DR1型やDR10型では、同一染色体上にHLA−DRB1の他にHLA−DRB6やHLA−DRB9などの偽遺伝子が位置する。DR2型では、同一染色体上にHLA−DRB1の他にHLA−DRB5(DR51)遺伝子やHLA−DRB6やHLA−DRB9などの偽遺伝子が位置する。DR3、DR5およびDR6型では、HLA−DRB1の他に同一染色体上にHLA−DRB3(DR52)遺伝子やHLA-DRB2やHLA−DRB9などの偽遺伝子が位置する。DR4、DR7およびDR9型では、HLA−DRB1の他に同一染色体上にHLA−DRB4(DR53)遺伝子やHLA-DRB7、HLA-DRB8やHLA−DRB9などの偽遺伝子が位置する。これらに対して、DR8型では、同一染色体上にHLA−DRB1以外のHLA−DRB遺伝子は位置しない。
各アリルのエクソンには多型性を示す複数の領域が存在し、ある多型領域の塩基配列(アミノ酸配列)が、複数のアリルに共通であることも多い。すなわち各HLAアリルは複数の多型領域の組み合わせにより規定される。HLAクラスI抗原ではエクソン内の多型領域のみならず、同一の塩基配列をもつエクソン2あるいはエクソン3が、複数のアリルに共通であることもある。
HLAには高度な多型が存在するため対立遺伝子(アリル)の種類が極めて多いことも知られ、それらの表記法も決められている。即ち、血清学的HLA型を判別する第1区域(2桁レベル)、同一の血清学的HLA型内でアミノ酸置換を伴うアリルを判別する第2区域(4桁レベル)、アミノ酸変異を伴わない塩基置換が認められるアリルを判別する第3区域(6桁レベル)、及びHLA分子をコードする遺伝子領域外(イントロン)での塩基置換を伴うアリルを判別する第4区域(8桁レベル)である。
骨髄移植の際には、移植希望者とドナーのHLAタイプが4桁レベルで完全適合すれば移植の成功率が向上し、重度のGVHD頻度が低下すると言われている。逆に、HLA型が4桁レベルで不一致であると拒絶反応が起こる等の不具合を生じる危険性が高くなる。従って、HLAタイピングを正確かつ高精度に実施することが臨床的にも極めて重要である。
HLA遺伝子におけるDNAタイピング法として、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;PCR)に基づくSBT(Sequence Based Typing)法やSSO(Sequence Specific Oligonucleotide)−Luminex法が主流となっている。
これら従来のDNAタイピング法は、多数のサンプルを迅速にタイピングできるという長所はあるが、多型領域やクラスI遺伝子の場合はエクソンの染色体上のシス・トランスの位置関係を正確に決めることができないこともあるため、フェーズ・アンビギュイティ(phase ambiguity)が生じ、高精度なHLAタイピングが難しい場合があった。
また、従来の方法は、各遺伝子のエクソン領域を中心とするPCRを用いたDNAタイピング法であるため、イントロン領域やプロモーター領域における塩基置換を見逃してしまい、その結果、遺伝子構造は他の発現HLA遺伝子と変わらないが、発現が抑制されるヌル(null)アリルの検出を見逃す可能性があった。
特開平11−216000号公報
Lind C.等、Human Immunology、第71巻、1033−1042頁(2010年)
本発明は、フェーズ・アンビギュイティに由来する曖昧さを排除した高精度のDNAタイピング方法及びキットを提供することを課題とする。
本発明者らは、クラスIのHLA分子であるHLA−A、HLA−B及びHLA−CならびにクラスIIのHLA分子であるHLA−DRB1、HLA−DQB1及びHLA−DPB1の6座について、それらのHLA遺伝子を特異的に増幅しうるPCRプライマーを新たに設計し、好適なPCR条件を設定して、大量並列シークエンシング技術を駆使するという新しい着想に基づき、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のステップを含むHLAのDNAタイピング方法を提供する。
(1)ヒトゲノム塩基配列におけるHLA−A、HLA−B,HLA−C、HLA−DRB1、HLA−DPB1及びHLA−DQB1の各遺伝子の上流領域及び下流領域に各々特異的にアニールするプライマーセット(配列番号1〜12)を準備するステップ;
(2)前記プライマーセットを用いて被検試料(DNA)をPCR増幅するステップ;
(3)PCR増幅された産物の塩基配列を決定するステップ;及び
(4)データベースとのホモロジー検索を実施するステップ。
本発明の方法は1分子からのHLA遺伝子の6座位のDNAタイピングに必要な全塩基配列が得られるので、シス・トランスの位置関係が不明なフェーズ・アンビギュイティが排除された究極のDNAタイピング法である。これにより、移植の際の移植希望者とドナー候補との間における高精度なHLAの一致が実現される。
HLA遺伝子のプロモーター領域、エクソン領域、イントロン領域など周辺領域を含む遺伝子全塩基配列が決定されるので、全く発現していない、あるいは発現が抑制されているnullアリルや新規アリルの検出が可能となる。
(a)HLAクラスI遺伝子構造と分子構造との関連性を示す図である。(b)HLAクラスI遺伝子のプロモーター領域の構造を示す図である。猪子英俊、笹月健彦、十字猛夫 監修、「移植・輸血検査学」、講談社サイエンティフィック、2004年、第35頁から引用した。 (a)HLAクラスII遺伝子構造と分子構造との関連性を示す図である。(b)HLAクラスII遺伝子のプロモーター領域の構造を示す図である。猪子英俊、笹月健彦、十字猛夫 監修、「移植・輸血検査学」、講談社サイエンティフィック、2004年、第46頁〜第47頁から引用した。 HLA−DR遺伝子領域を示す図である。猪子英俊、笹月健彦、十字猛夫 監修、「移植・輸血検査学」、講談社サイエンティフィック、2004年、第48頁から引用した。 実施例で増幅したPCR産物の増幅状況を示すアガロースゲル電気泳動像を示す図である。
以下、本発明のDNAタイピング方法をステップ毎に詳細に説明する。
(1)プライマーセット準備ステップ
本発明のDNAタイピング方法においては、まず、ヒトゲノム塩基配列におけるHLA−A、HLA−B,HLA−C、HLA−DRB1、HLA−DPB1及びHLA−DQB1の各遺伝子の上流領域及び下流領域に各々特異的にアニールするプライマーセット(配列番号1〜12)を準備する。
HLA遺伝子が存在する領域を含むヒト第6染色体(6p21.3)のゲノム塩基配列は既に解明されており、その遺伝子構造及び発現産物(HLA分子)の構造との関連も知られている(図1と図2参照)。
即ち、古典的HLAクラスI分子と言われるHLA−A、HLA−B及びHLA−Cの遺伝子は7個又は8個のエクソンを含んでおり(図1(a))、エクソン1の外側には2種類のエンハンサーやプロモーター領域があって発現が調節されている(図1(b))。
さらに、エクソン2、3及び4において多型領域が多数存在することも知られているため、従来のDNAタイピング方法では、特にエクソン2及び3に基づいて作成されたプライマーを用いたPCRが行なわれ、それに伴って前述したようにフェーズ・アンビギュイティの問題が生じていた。
また、古典的HLAクラスII分子と言われるHLA−DR、HLA−DQ及びHLA−DPはα鎖とβ鎖から構成され、それぞれの遺伝子は5個又は6個のエクソンを含んでおり(図2(a))、エクソン1の外側にはプロモーター領域があって発現が調節されている(図2(b))。
さらに、エクソン2及び3において多型領域が多数存在することも知られているため、従来のDNAタイピング方法では、特にエクソン2に基づいて作成されたプライマーを用いたPCRが行なわれ、それに伴って前述したようにフェーズ・アンビギュイティの問題が生じていた。
本発明では、古典的クラスI分子(HLA−A,HLA−B,HLA−C)ならびに古典的クラスII分子のHLA−DRB1、HLA−DPB1及びHLA−DQB1の遺伝子領域の全て(エクソンのみならず、イントロン、5’側と3’側の非翻訳領域、プロモーター領域も含む)をPCR増幅できるプライマーセットを調製し、それを用いてPCR増幅したPCR産物を後述する次世代シークエンシングに供するので、フェーズ・アンビギュイティ等の不確実さを排除でき、nullアリルの有無も正確に検知することができる。
具体的には、下記表1に掲げるPCRプライマーセットを調製する。
表1における配列番号1及び2は、MHCクラスIα鎖であるHLA−A遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−A遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号1は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から第29,910,189番目から第29,910,212番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号2は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第29,913,562番目から第29,913,586番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約3,398塩基(bp)である。
表1における配列番号3及び4は、MHCクラスIα鎖であるHLA−B遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−B遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号3は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から31,321,366 番目から第31,321,392番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号4は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第31,325,632番目から第31,325,661番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約4,296塩基(bp)である
表1における配列番号5及び6は、MHCクラスIα鎖であるHLA−C遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−C遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号5は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から第31,235,959番目から第31,235,982番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号6は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第31,240,373番目から第31,240,398番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約4,440塩基(bp)である。
表1における配列番号7及び8は、MHCクラスIIβ鎖であるHLA−DRB1遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−DRB1遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号7は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から第32,546,220番目から第32,546,247番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号8は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第32,558,090番目から第32,558,118番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約11,899塩基(bp)である。
表1における配列番号9と10は、MHCクラスIIβ鎖であるHLA−DPB1遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−DPB1遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号9は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から第33,042,795番目から第33,042,823番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号10は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第33,056,373番目から第33,056,399番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約13,605塩基(bp)である。
表1における配列番号11と12は、はMHCクラスIIβ鎖であるHLA−DQB1遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーセットである。これらのプライマーセットは、ヒトゲノム塩基配列(リファレンス配列:hg19)において、HLA−DQB1遺伝子の全領域(プロモーター、エクソン及びイントロンを含む)を上流側及び下流側から挟み込む位置に存在する塩基配列である。
配列番号11は、ヒトゲノム塩基配列のHLA領域におけるテロメア側から第32,627,718番目から第32,627,743番目に相当する塩基配列を持つフォワード・プライマーである。
配列番号12は、ヒトゲノム塩基配列列のHLA領域におけるテロメア側から第32,634,812番目から第32,634,835番目に相当する塩基に相補的な塩基配列を持つリバース・プライマーである。
これらのプライマーセットを用いて得られるPCR産物の予測される長さは約7,118塩基(bp)である。
これらのプライマーは、当該分野で通常用いられている手法により調製することができる。また、表1に記載したプライマーセットは最も好ましい例を示したものであり、本発明の方法においては、HLAの各遺伝子全領域を上流側及び下流側から挟み込む位置にアニール可能なフォワード(Forward)プライマーとリバース(Reverse)プライマーとのセットであれば、配列番号1〜12に示した塩基配列に、1から数個の塩基の置換、挿入又は欠損を有するものを同様に使用することができる。
(2)PCR増幅ステップ
本発明の方法では、前記ステップ(1)で準備したプライマーセットを用い、被検試料(DNA)をPCR増幅する。
PCR増幅反応は、通常のプロトコールに従って実施される。具体的には次の通りである。
1.被検試料の形態に応じて、当該試料からDNAを抽出する。
2.抽出したDNAを定量し、適宜プライマー濃度を設定して反応液を調製する。
3.反応条件を設定してPCR反応を実施する。
例:熱変性ステップ(通常は92〜97℃)
アニーリングステップ(通常は55〜72℃)
伸長ステップ(通常は65〜80℃)
4.得られたPCR産物を精製し、次の塩基配列決定ステップに供する。
(3)塩基配列決定ステップ。
次に、前記ステップ(2)で生成されたPCR産物(増幅DNA)の塩基配列を決定する。このステップは、いわゆる次世代シークエンス(あるいは超高速シークエンス)と呼ばれている手法を用いて実施するのが好ましい。次世代シークエンスに関しては、例えば、「実験医学」第27巻、第1号、2009年(羊土社)等を参照されたい。
例えば、イルミナ(illumina)社のNextra(TM)DNAサンプル調製キットでDNAライブラリーを作製し、ゲノムシークエンサーMiSeqシステム(イルミナ社)を用いて配列決定する方法などが挙げられる。
この方法では、トランスポソームを解するDNAの断片化とアダプター結合が同時に行われるので、ライブラリーの調製が約90分以内という短時間で実施できる。得られたサンプルのシークエンシングには、好ましくはペアエンド解析が用いられる。
(4)DNAタイピングステップ
次いで、前記ステップ(3)で得られた塩基配列を、既知のHLA対立遺伝子の塩基配列データベースのデータと比較することにより、被検試料に含まれていたDNAのアリル型(8桁まで)が決定される。
本発明の方法は、前記表1に記載したプライマーセットを代表例とする。HLAクラスI及びHLAクラスIIの各遺伝子全領域を挟み込む位置にプライマーを設定し、各遺伝子のほぼ全領域に渡って増幅したDNAの配列決定をすることに特徴を有し、それによってフェーズ・アンビギュイティ(不確実さ)を排除し、nullアリルに関する情報を得ることもできる。
すなわち本発明は、配列番号1〜12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーを含むHLA遺伝子タイピング用キットも提供する。
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[実験方法]
1.既に抽出されているゲノムDNAを鋳型として、各HLA遺伝子特異的プライマーセット(表1参照)を用いてPCR反応を行った。具体的な手順は次の通りである。
(1)PCR増幅はPrime STAR GXLポリメラーゼ(TaKaRa)を用い、以下の組成で実施した。
(2)これを94度で2分間の保温後、続いて98度で10秒間、68度で10分間の2ステップを1工程として、この工程を30回繰り返した。なお、このPCR増幅にはGeneAmp PCR System 9700 (Applied Biosystems)を用いた。PCR後に、アガロースゲル電気泳動によりPCR産物の増幅状況を確認した。その泳動像を図4に示した。
2.PCR産物の塩基配列を決定した。具体的には次の通り行った。
得られたPCR増幅産物をNextera DNA Sample Preparation Kit (illumina)を用いてDNAライブラリーを調整、MiSeq(illumina)により150bpペアエンドでシーケンスするという流れである。
Nextera DNA Sample Preparation KitはNextera transposomeを用いることでタグメンテーションと呼ばれるDNA切断とタグ配列の挿入を同時に行うことにより反応時間を含め90分と短時間でDNAライブラリーを調整することが可能である。また、2種類のIndexを用いることで最大96種類(Index1:8種類+Index2:12種類)のサンプルを同時に解析することができるという特徴を持つ。また、他の次世代シーケンサーのDNAライブラリー調整と異なり、開始DNA量必要量がわずか50ngというのも特徴の一つである。
さらに、調整したDNAライブラリーのインサートサイズが200bp〜1kb以上と非常に幅が広いことも、本手法での特徴とメリットとなっている。単一なPCRに由来する良質なシークエンス情報を得た後、データ解析によりHLAタイピングを行うが、このデータ解析が本法の最も独創的な点である。まず得られたシークエンスリードを各PCR増幅領域のリファレンス配列にBWAおよび Samtools によってマッピングし、ディプロタイプとしての解析結果を得て、PicardおよびGenome Analysis TKによりリファレンス配列と異なる塩基を検出する。検出された一塩基置換(SNV)および挿入欠失(Indel)のうち、SNVのみをシークエンスリードのペア情報を元に相を分類し、この相を分けられたハプロタイプのSNVを元に2つのHLA遺伝子配列を作成する。
この相の特定は1つのペアエンドのシークエンスリードによって2つ以上のSNVをつなぐ必要があり、2つ以上のSNV間の距離は様々であるが、HLA遺伝子が非常に多様性に富んでいるという特徴とNextera DNA Sample Preparation Kitで調整したDNAライブラリーのインサートサイズが200bp〜1kb以上と非常に幅が広いことが様々な距離の2つ以上のSNVの相の特定を可能としている。
次いで、この2つのハプロタイプのHLA遺伝子配列にシークエンスリードを再度マッピングすることで相に分けられたSNVの確認とIndelの相を決定する。1度目のマッピング結果で検出されるIndelは偽陽性を含んでいるが2度目のマッピングではSNVのない塩基配列にマッピングするため確実にIndelを決定することが可能である。2度目のマッピングで得られた2つのコンセンサス配列が2つのHLA遺伝子のシークエンスであり、これをIMGT/HLAデータベースに検索することでHLAアレルが新規か既知か、既知であればHLAアレル番号を得ることができる。
[結果]
HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DRB1、HLA−DPB1及びHLA-DQB1において、それぞれ特異的に増幅するPCRプライマーを設計し、前記の条件下でのPCRによって得られた産物のアガロースゲル電気泳動から、各HLA遺伝子におけるPCR産物ともに、目的の分子量の位置に単一の増幅産物が得られた(図4)。
表2に、採用した幾つかのサンプルについて、本願発明の方法で決定したHLAアリル型(実施例)及び従来のSSO法を用いて決定したHLAアリル型を示す。
SSO法では4桁レベルまでしか特定されなかったのに対し、本発明の方法(実施例)では6桁又は8桁レベルまで詳細にアリル型を決定することができた。よって本発明の方法は、フェーズ・アンビギュイティのない8桁レベルのHLAタイピングを可能とするとともに、nullアリルの原因となるプロモーターやイントロン内の塩基置換や挿入・欠失を効率よく検出するための優れたツールであると考えられる。

Claims (13)

  1. (1)ヒトゲノム塩基配列におけるHLA−A、HLA−B、HLA−C,HLA−DRB1、HLA−DPB1、HLA−DQB1の各遺伝子の上流領域及び下流領域に各々特異的にアニールする、配列番号1〜12に示す塩基配列を持つオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを準備するステップ;
    (2)前記プライマーセットを用いて被検試料(DNA)をPCR増幅するステップ;
    (3)PCR増幅された産物の塩基配列を決定するステップ;及び
    (4)任意に、データベースとのホモロジー検索を実施するステップを含むことを特徴とする、HLAのDNAタイピング方法。
  2. 前記遺伝子がHLA−A遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:1及び2の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遺伝子がHLA−B遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:3及び4の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記遺伝子がHLA−C遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:5及び6の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記遺伝子がHLA−DRB1遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:7及び8の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記遺伝子がHLA−DPB1遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:9及び10の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記遺伝子がHLA−DQB1遺伝子であり、前記プライマーセットが配列番号:11及び12の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  8. 配列番号:1及び2の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−A遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
  9. 配列番号:3及び4の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−B遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
  10. 配列番号:5及び6の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−C遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
  11. 配列番号:7及び8の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−DRB1遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
  12. 配列番号:9及び10の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−DPB1遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
  13. 配列番号:11及び12の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、HLA−DQB1遺伝子のDNAタイピング用プライマーセット。
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