以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を伏し、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に従う制御装置の概略構成を説明するための回路図である。
図1を参照して、実施の形態1に従う制御装置1aは、電力変換回路2と、電圧レギュレータ40と、電圧遮断回路50と、マイクロコンピュータ300とを有する。制御装置1aは、図示しない負荷をマイクロコンピュータ300によって制御する。図1に示すように、制御装置1aは、電源基板および制御基板に分けて実装することができる。両基板に分割して実装する場合には、電源基板および制御基板の間での電気的コンタクトは、図示しないコネクタによって確保することができる。
電力変換回路2は、ダイオードブリッジ12と、平滑コンデンサ14,24と、トランジスタ15と、トランス20と、ダイオードD1とを有する。ダイオードブリッジ12は、図示しないコンセント等を経由して、外部電源10と電気的に接続される。外部電源10は、代表的には100VACないし200VACの商用系統電源である。
ダイオードブリッジ12は、外部電源10からの交流電圧を整流する。平滑コンデンサ14は、ダイオードブリッジ12によって整流された電圧を平滑する。この結果、平滑コンデンサ14は、外部電源10による交流電圧の振幅相当の直流電圧(たとえば、140V程度)を保持する。
トランジスタ15は、周期的にオンオフされて、平滑コンデンサ14に保持された直流電圧を、パルス状の交流電圧に変換する。トランジスタ15によって生成された交流電圧は、トランス20の一次側巻線21に印加される。
二次側巻線23には、一次側巻線21および二次側巻線23の巻数比に従って振幅が変換された、一次側巻線21の交流電圧と同一周波数の交流電圧が出力される。トランジスタ15によってスイッチングされた交流電圧をトランス20によって伝達することにより、トランス20を小型化することができる。
二次側巻線23に出力された交流電圧は、ダイオードD1および平滑コンデンサ24によって、電源配線100および接地配線120間の直流電圧Vsに変換される。以下では、直流電圧Vsを電源電圧Vsとも称する。電源電圧Vsは、たとえば、15V程度に制御される。トランジスタ15のオンオフ制御により、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を調整することによって、電源電圧Vsを制御することができる。
電源電圧Vsを供給するための電源配線100は、電圧遮断回路50を経由して、電源配線110と接続される。後述するように、電圧遮断回路50は、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcによって直接制御されて、作動ないし非作動とされる。電圧異常検知回路400は、電源基板および制御基板のいずれに搭載することも可能である。電圧異常検知回路400を制御基板に搭載した場合には、図示しないコネクタを経由して、電源基板上の電圧遮断回路50へ検知信号Fvc伝達することができる。
また、電源基板の二次側巻線23および制御基板の間では、接地配線120(接地電圧GND)は電気的に共通である。一方で、一次側巻線21と接続された回路群の接地配線19(接地電圧GND♯)は、接地配線120と電気的に絶縁されている。
電圧遮断回路50の非作動時(通常時)には、トランジスタ53のオンにより、電源配線100および110は電気的に接続される。これにより、電源配線110によって電源電圧Vsが伝達される。すなわち、電源電圧Vsは、電源配線100,110によって、制御装置1aの素子または回路に電源電圧として供給される。
一方で、電圧遮断回路50の作動時には、トランジスタ53のオフにより、電源配線100および110は電気的に切り離される。このとき、電源配線110に対する電源電圧Vs供給は停止される。
制御基板において、電源配線110は、電流制限抵抗R0を経由して、電圧レギュレータ40の入力(IN)ノードと接続される。電圧レギュレータ40は、入力(IN)ノードの直流電圧を降圧して、出力(OUT)ノードから電源電圧Vccを出力する。電源電圧Vccは、電圧レギュレータ40によって、たとえば5Vに制御される。電圧レギュレータ40の出力(OUT)ノードは、電源配線200と接続される。電源配線200は、電源電圧Vccを、マイクロコンピュータ300を始めとする、制御装置1aの回路ないし素子へ供給する。なお、図示を省略しているが、電源配線110と接地配線120との間および電源配線200と接地配線120との間には平滑コンデンサが配置されている。
このように、電源電圧Vsが「第1の電源電圧」に対応し、電源配線110は「第1の電源配線」に対応する。また、マイクロコンピュータ300に供給される電源電圧Vccは「第2の電源電圧」に対応し、電源配線200は「第2の電源配線」に対応する。また、電圧遮断回路50は「電圧低下回路」の一態様に対応する。
ここで、電源電圧Vccが変動した場合におけるマイクロコンピュータ300による負荷(図示せず)の制御について考える。たとえば、図1の構成において、電圧レギュレータ40の入出力ノード間が短絡すると、マイクロコンピュータ300の電源である電源電圧Vccが上昇してしまう。
一般的に、マイクロコンピュータ300に対しては、電源電圧の動作保障電圧範囲が、スペック値として予め設定されている。したがって、電源電圧Vccが動作保障電圧範囲を外れたときには、マイクロコンピュータ300が動作を停止することによって負荷の動作も停止される。
しかしながら、電源電圧Vccが動作保障電圧範囲外となっても、マイクロコンピュータ300が必ず動作を停止するとは限らない。このような場合には、電源電圧Vccの変動により,マイクロコンピュータ300による負荷の制御に影響を与える虞がある。
したがって、電源電圧Vccの異常を検知するための監視機能を設ける必要がある。こにため、制御装置1aは、さらに、電圧異常検知回路400を備える。電圧異常検知回路400は、分圧回路410と、コンパレータ430とを有する。電圧異常検知回路400は、「異常検知回路」に対応する。
分圧回路410は、電源配線110および接地配線120の間に直列接続された抵抗素子RaおよびRbを有する。抵抗素子Ra,Rbの電気抵抗値についてもRa,Rbで表記すると、分圧回路410による分圧比Dk(Vdv/Vs)は、Dk=Ra/(Ra+Rb)で示される。
分圧回路410による分圧電圧Vdv(Vdv=Vs×Dk)は、抵抗素子Rcを経由して、コンパレータ430に入力される。一方、コンパレータ430のもう一方の入力端子は、抵抗素子Rdを経由して、電源配線200と接続される。さらに、コンパレータ430は、電源配線110および接地配線120と接続されて、電源電圧Vsにより動作する。
この結果、コンパレータ430は、分圧電圧Vdvと電源電圧Vccとを比較して、電圧比較結果に基づく検知信号Fvcを出力する。検知信号Fvcは、論理ハイレベル(以下、「Hレベル」とも表記する)または、論理ローレベル(以下、「Lレベル」とも表記する)のいずれかに設定される。検知信号FvcのHレベルは電源電圧Vsであり、Lレベルは接地電圧GNDである。
コンパレータ430は、Vcc>Vdvのときには、検知信号FvcをHレベルに設定する。一方で、Vcc<Vdvのときには、コンパレータ430は、検知信号FvcをLレベルに設定する。たとえば、抵抗素子Ra,Rbの抵抗値に応じて、電源電圧Vccが所定の判定電圧Vt(Vt=Vdv)よりも上昇したときに、検知信号FvcをHレベルに設定する。
このように、電圧異常検知回路400は、電源電圧Vccの異常(以下、単に「Vcc異常」とも称する)を検知すると、検知信号FvcをHレベルに設定する。一方で、Vcc異常が検知されないときには、検知信号FvcはLレベルに維持される。
以下では、図1の電圧異常検知回路400のように、電源電圧Vccが上昇したとき(Vcc>Vt)にVcc異常を検知する構成を例示する。ただし、この例とは反対に、電源電圧Vccが判定電圧よりも低下したときに、検知信号FvcをHレベルに設定するようにしてもよい。あるいは、コンパレータ430を複数個設けることにより、電源電圧Vccが一定範囲から上昇または低下したときに、検知信号FvcをHレベルに設定してVcc異常を検出する構成とすることも可能である。実施の形態1に従う制御装置1aでは、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcは、電圧遮断回路50へ入力される。
次に、電圧遮断回路50の構成および動作を説明する。
電圧遮断回路50は、サイリスタ51と、トランジスタ52,53と、抵抗素子55〜58を有する。
P型のトランジスタ53は、電源配線100および110の間に電気的に接続される。トランジスタ53のゲート(制御電極)は、ノードN2と接続される。抵抗素子58は、電源配線100およびノードN2の間に接続される。
N型のトランジスタ52は、ノードN2およびN3の間に接続される。トランジスタ52のゲート(制御電極)は、ノードN1と接続される。抵抗素子55は、電源配線100およびノードN1の間に接続され、抵抗素子56はノードN1およびN3の間に接続される。抵抗素子57は、接地配線120とノードN3の間に接続される。
サイリスタ51は、ノードN1および接地配線120の間に、ノードN1から接地配線120に向かう順方向として接続される。サイリスタ51のゲートには、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcが入力される。
Vcc異常の非検知時には、検知信号FvcがLレベルに維持されるので、電圧遮断回路50は非作動となる。電圧遮断回路50の非作動時には、サイリスタ51はオフ状態を維持する。このとき、トランジスタ52がオンされるように、抵抗素子55〜57の抵抗値は設計される。さらに、抵抗素子57,58の抵抗値は、トランジスタ52のオン時に、ノードN2(トランジスタ53のゲート)の電圧が、電源電圧Vsからしきい値電圧を超えて低下するように設計される。これにより、トランジスタ52のオンに応じてトランジスタ53がオンすることにより、電源配線100および110の間に電流経路が形成される。これにより、制御基板の電源配線110に対して電源電圧Vsが供給される。
電圧レギュレータ40は、電圧遮断回路50の非作動時には、電源配線110に供給された電源電圧Vsを降圧して、マイクロコンピュータ300の電源電圧Vccを所定の電圧レベル(たとえば、5V程度)に制御することができる。
これに対して、Vcc異常が検知されて検知信号FvcがHレベルに設定されると電圧遮断回路50が作動されて、サイリスタ51はオンする。抵抗素子55の抵抗値は、サイリスタ51のオン時に、ノードN1の電圧がトランジスタ52をオフする電圧となるように設計される。これにより、サイリスタ51がオンするとともにトランジスタ52がオフする。これに応じて、ノードN2は、抵抗素子58を経由して電源配線100(電源電圧Vs)と接続されるので、トランジスタ53はオフされる。
この結果、電圧遮断回路50の作動時、すなわち、Vcc異常の検知時には、サイリスタ51のオンおよびトランジスタ52のオフに応じてトランジスタ53がオフすることにより、電源配線100および110の間の電流経路が遮断される。これにより、制御基板の電源配線110に対する電源電圧Vsの供給が停止される。
サイリスタ51は、一旦オンすると通過電流が0になるまでオン状態を維持する。したがって、検知信号Fvcが一旦Hレベルに設定されると、電源電圧Vsが低下するまでの間、サイリスタ51はオン状態に維持されて、トランジスタ53による電流経路の遮断が維持される。
したがって、電圧異常検知回路400によってVcc異常が検知されると、電圧遮断回路50の作動によって電源配線110への電圧供給が停止される。これにより、電源配線110から電圧レギュレータ40へ入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40から出力される電源電圧Vccが低下する。最終的には、電圧レギュレータ40の出力電圧が0(接地電圧GND)となることにより、電源電圧Vccを0(接地電圧GND)まで低下することができる。すなわち、電圧遮断回路50は、電源電圧Vsの低下を通じて電源電圧Vsを低下させるように動作する。
このように、実施の形態1に従う制御装置1aによれば、電圧異常検知回路400がVcc異常を検知すると、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、検知信号Fvcに応じて電圧遮断回路50を作動させることにより、電源配線110に対する電源配線100からの電源電圧Vsの供給を遮断することができる。この結果、電源配線110の電圧を低下させることにより、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることにより、マイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することができる。
特に、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、電源電圧Vccを低下させる動作を起動することができるので、マイクロコンピュータ300の動作が暴走等によって不安定となっていても、マイクロコンピュータ300の動作を確実に停止させることができる。
[実施の形態2]
以下では、実施の形態1で説明した、電源電圧Vccの異常検知時にマイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させるための電源構成のバリエーションを説明する。
図2は、本実施の形態2に従う制御装置の構成を説明するための概略的な回路図である。
図2を図1と比較して、実施の形態2に従う制御装置1bでは、実施の形態1に従う制御装置1aに対して、電源基板側の構成が異なる。具体的には、トランス20の二次側巻線23において、図1に示した電圧遮断回路50の配置が省略されている。なお、電圧遮断回路50が配置されない構成では、図1における電源配線100および110を区別する必要がない。したがって、以下では、電力変換回路2は、電源配線110に対して電源電圧Vsを供給するものとする。
さらに、制御装置1bでは、電圧遮断回路50に代えて、検知信号Fvcに応じて、電源電圧Vsの低下を通じて電源電圧Vsを低下させるための電圧低下回路70が配置されている。
また、図2では、電力変換回路2について、図1では省略された、トランジスタ15のオンオフを制御するための構成が記載されている。まず、この構成について説明する。
トランス20には、一次側巻線22がさらに設けられている。一次側巻線22には、一次側巻線21および22の巻数比に従って振幅が変換された、一次側巻線21の交流電圧と同一周波数の交流電圧が出力される。一次側巻線21および22の間では、接地配線19(接地電圧GND♯)は共通である。一次側巻線22に出力された交流電圧は、ダイオードD2および平滑コンデンサ62によって、電源配線65および接地配線19間の直流電圧Vdに変換される。直流電圧Vdは、トランジスタ15のオンオフによる電力変換回路2の電力変換動作を制御するための制御IC(integrated Circuit)の電源電圧として用いられる。
制御IC60は、電源電圧Vsを制御するために、トランジスタ15のオンオフを制御するための制御信号を発生する。この制御信号は、トランジスタ15のゲートへ入力される。
たとえば、制御IC60は、電源電圧Vsが目標値(たとえば、15V)よりも低下したときには、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を増加するように、トランジスタ15のオンオフを制御する。反対に、制御IC60は、電源電圧Vsが目標値(たとえば、15V)よりも上昇したときには、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を減少させるように、トランジスタ15のオンオフを制御する。たとえば、トランジスタ15による交流電圧を発生するための周期的なオンオフ制御において、オン期間の幅を増減することによって、交流電圧の実効値を増減することができる。
また、トランジスタ15の通過電流を検出するための電流検出抵抗16が、トランジスタ15および接地配線19の間に接続される。制御IC60は、電流検出抵抗16における電圧降下量に基づいて、トランジスタ15の通過電流を検出することができる。
さらに、制御IC60は、ラッチ端子61を有する。ラッチ端子61に所定以上の電圧が印加されると、制御IC60は、トランジスタ15のスイッチング動作を停止する。すなわち、トランジスタ15がオフに維持される。一旦、ラッチ端子61に所定以上の電圧が印加されると、制御IC60は、ラッチ機能により、電源電圧Vdの低下によってリセットされるまでの間、トランジスタ15をオフに維持する動作を継続するように構成されている。
トランジスタ15がオフ状態に維持されると、一次側巻線21には、平滑コンデンサ14によって保持された直流電圧が印可される。これにより、一次側巻線22および二次側巻線23には、電圧が生じなくなる。したがって、電力変換回路2による電力変換が停止されて、電源電圧Vsの生成が停止される。
電圧低下回路70は、電圧遮断回路50と同様に、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく作動する。電圧低下回路70は、トランジスタ71と、抵抗素子72と、フォトカプラ75とを有する。フォトカプラ75は、電流通流時に発光するフォトダイオード75aと、フォトダイオード75aの発光に応じてオンするフォトトランジスタ75bとを有する。
抵抗素子72、フォトダイオード75aおよびトランジスタ71は、電源配線110および接地配線120の間に直列に接続されている。トランジスタ71のベース(制御電極)には、検知信号Fvcが入力される。フォトトランジスタ75bは、電源配線65およびラッチ端子61の間に接続される。
検知信号FvcがLレベルのとき(Vcc正常時)には、トランジスタ71がオフされるので、フォトダイオード75aには電流が流れないため、フォトトランジスタ75bはオフ状態に維持される。このため、ラッチ端子61は、電源配線65から電気的に切り離されるので、ラッチ機能はオンされない。したがって、トランジスタ15は、電源電圧Vsを目標値に制御するようにオンオフを制御される。
これに対して、Vcc異常が検知されて、検知信号FvcがHレベルに設定されると、電圧低下回路70が作動する。電圧低下回路70の作動時には、トランジスタ71がオンされることにより、フォトダイオード75aに電流が流れる。このため、フォトダイオード75aの発光に応じて、フォトトランジスタ75bがオンする。ラッチ端子61は、電源配線65と電気的に接続されることによって、所定以上の電圧を印可される。
これにより、制御IC60のラッチ機能がオンされて、トランジスタ15をオフ状態に維持する動作、すなわち、電力変換回路2での電力変換を停止する動作が継続的に実行される。この結果、電力変換回路2による電源電圧Vsの生成が停止されることにより、電源配線110から電圧レギュレータ40へ入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40から出力される電源電圧Vccが低下する。最終的には、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
このように、実施の形態2に従う制御装置1bにおいては、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて電圧低下回路70を作動させて、制御IC60のラッチ機能により、電源配線110に対する電力変換回路2からの電源電圧Vsの供給を停止することができる。この結果、実施の形態1と同様に、検知信号Fvcに応じて電源配線110の電圧を低下させることにより、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。すなわち、マイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することができる。
なお、実施の形態2に従う制御装置1bでは、電圧遮断回路50(図1)よりも構成素子数の少ない電圧低下回路70の配置によって、実施の形態1に従う制御装置1aと同様に、Vcc異常の検知時にマイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することができるので、装置の小型化の点で有利である。
[実施の形態3]
図3は、本発明の実施の形態3に従う制御装置の概略構成を説明するための回路図である。
図3および図2を参照して、実施の形態3に従う制御装置1cは、実施の形態2に従う制御装置1bと比較して、電圧低下回路70に代えて電圧低下回路90を含む。また、電力変換回路2について、図7では記載を省略した、トランジスタ15のオンオフによって電源電圧Vsを制御するための詳細な構成が記載されている。具体的には、制御IC60の制御入力端子63に接続されたVs検出回路80が示されている。
Vs検出回路80は、シャントレギュレータ82と、抵抗素子83,84と、フォトカプラ85とを有する。フォトカプラ85は、電流通流時に発光するフォトダイオード85aと、フォトダイオード85aの発光に応じてオンするフォトトランジスタ85bとを有する。
抵抗素子83および84は、電源配線110および接地配線120の間に直列に接続される。抵抗素子83および84による電源電圧Vsの分圧電圧が、シャントレギュレータ82のリファレンス(R)端子に入力される。フォトダイオード85aは、電源配線110および接地配線120の間に、シャントレギュレータ82と直列に接続される。
制御IC60側において、フォトカプラ85のフォトトランジスタ85bは、電源配線65および接地配線19の間に、抵抗素子64と直列に接続される。抵抗素子64は、制御IC60の制御入力端子63と接地配線19の間に接続される。制御IC60は、制御入力端子63の電圧に基づいて、フォトトランジスタ85bのオン/オフを検出することができる。
Vs検出回路80において、電源配線110の電圧(電源電圧Vs)が基準よりも上昇すると、シャントレギュレータ82によって、カソード(K)端子およびアノード(A)端子間に電流が生じる。これに応じて、フォトダイオード85aが発光することにより、フォトトランジスタ85bがオンする。
一方で、電源配線110の電圧(電源電圧Vs)が基準よりも低下すると、シャントレギュレータ82のカソード(K)端子およびアノード(A)端子間に電流は生じない。したがって、フォトダイオード85aは発光せず、フォトトランジスタ85bはオンされる。このように、Vs検出回路80の動作によって、制御入力端子63には、Vs上昇時にはHレベル電圧(Vd)が入力される一方で、Vs低下時にはLレベル電圧(GND♯)が入力される。このように、Vs検出回路80は、電源電圧Vsのフィードバック信号を制御IC60へ入力する機能を有する。
制御IC60は、制御入力端子63にLレベル電圧が入力されると、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を増加するように、トランジスタ15のオンオフを制御する。一方で、制御入力端子63にHレベル電圧が入力されると、トランジスタ15のオンオフは、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を低下するように制御される。このようにして、制御IC60は、トランジスタ15のオンオフ制御によって、電源電圧Vsをフィードバック制御することができる。すなわち、電力変換回路2は、Vs検出回路80からのフィードバック信号に基づいて、電源電圧Vsを制御する。
なお、Vs検出回路80を用いた制御IC60による電源電圧Vsのフィードバック制御は、Vcc異常検知時の制御動作と直接的に関係がないため、実施の形態1,2では説明を省略したが、他の実施の形態に従う制御装置においても、同様の構成が具備されているものとする。
電圧異常検知回路400は、図1および図2の構成と比較して、コンパレータ430からの検知信号Fvcを保持するためのラッチ回路440をさらに有する。ラッチ回路440は、検知信号FvcがLレベルからHレベルに変化したときに、検知信号FvcをHレベルに維持するように構成される。ラッチ回路440による保持動作は、電源電圧Vsが低下するまでの間継続される。
電圧低下回路90は、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて作動する。電圧低下回路90は、N型のトランジスタ92と、抵抗素子94とを有する。トランジスタ92は、シャントレギュレータ82のカソード(K)端子およびアノード(A)端子の間に接続される。
トランジスタ92のゲート(制御電極)には、ラッチ回路440を通過した検知信号Fvcが入力される。抵抗素子94は、トランジスタ92のゲート(制御電極)を接地電圧GNDにプルダウンする。
電源電圧Vccの正常時(Vcc異常非発生時)には、検知信号FvcがLレベルに設定されるので、トランジスタ92はオフされる。したがって、Vs検出回路80は、上述した、電源電圧Vsを目標値に制御するためのフィードバック信号を生成するように動作する。
これに対して、Vcc異常発生時には、検知信号FvcがHレベルに設定されるので、トランジスタ92がオンされる。これにより、シャントレギュレータ82のカソード(K)端子およびアノード(A)端子が短絡されるので、フォトダイオード85aには電流が流れ続ける。
したがって、フォトトランジスタ85bも継続的にオンされるため、制御IC60の制御入力端子63に対して、Vs検出回路80からのフィードバック信号としては、電源電圧Vsの上昇を示すHレベル電圧が継続的に入力される。この結果、トランジスタ15は、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を制御上の最小値に維持するように制御される。このとき、電源電圧Vsは、たとえば、通常時の15Vに対して、2〜3V程度まで低下する。
これにより、電源配線110から電圧レギュレータ40へ入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40から出力される電源電圧Vccが低下する。この結果、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
このように、実施の形態3に従う制御装置1cにおいては、ラッチ回路440を通過した検知信号Fvcに応じて電圧低下回路90を作動させて、Vs検出回路80から制御IC60へのフィードバック信号を変換することによって、電力変換回路2によって供給される電源電圧Vsを制御上の最小レベルまで低下することができる。この結果、実施の形態1と同様に、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。すなわち、マイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することができる。
[実施の形態3の変形例]
図4は、本発明の実施の形態3の変形例に従う制御装置の概略構成を説明するための回路図である。
図4および図3を参照して、実施の形態3の変形例に従う制御装置1dでは、実施の形態3に従う制御装置1cと比較して、電圧低下回路90(図3)に代えて、電圧低下回路90♯が配置される。制御装置1dのその他の部分の構成は、図3に示した制御装置1cと同様である。すなわち、制御装置1eにおいても、電圧異常検知回路400はラッチ回路440を有するように構成される。
電圧低下回路90♯は、電圧低下回路90と同様に、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて作動する。電圧低下回路90♯は、N型のトランジスタ92と、抵抗素子94とを有する。トランジスタ92は、シャントレギュレータ82のリファレンス(R)端子およびアノード(A)端子の間に接続される。抵抗素子94は、電圧低下回路90(図3)と同様に、トランジスタ92のゲート(制御電極)を接地電圧GNDにプルダウンする。
電圧低下回路90♯は、Vcc異常発生時に検知信号FvcがHレベルに設定されると、トランジスタ92のオンにより、シャントレギュレータ82のリファレンス(R)端子およびアノード(A)端子を短絡する。これにより、シャントレギュレータ82は、リファレンス(R)端子の入力電圧が低下したことを検知するので、カソード(K)端子およびアノード(A)端子間には電流が発生されない。
このため、フォトダイオード85aに電流が流れない状態が維持されるので、フォトトランジスタ85bも継続的にオフされる。この結果、制御IC60の制御入力端子63には、Vs検出回路80からのフィードバック信号として、電源電圧Vsの低下を示すLレベル電圧が継続的に入力される。この結果、トランジスタ15は、一次側巻線21に入力される交流電圧の実効値を上昇するように制御され続ける。
通常、制御IC60には、電力変換回路2内の素子の過電流や過高温の発生を検知して、電力変換回路2の動作を自動的に停止する安全機能が具備されている。したがって、実施の形態3の変形例3に従う制御装置1dでは、Vcc異常発生時に検知信号FvcがHレベルに設定されると、電源電圧Vsを上昇させるための制御動作が強制的に継続されることにより、電力変換回路2内で過電流や過高温が発生することになる。これにより、制御IC60による既存の安全機能を作動させることによって、電力変換回路2による電力変換が停止される。
この結果、電力変換回路2による電源電圧Vsの生成が停止されることにより、電圧レギュレータ40への入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40が出力する電源電圧Vccは低下する。最終的には、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
このように、実施の形態3に変形例に従う制御装置1dにおいても、実施の形態3に従う制御装置1cと同様に、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて電圧低下回路90♯を作動させることにより、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
[実施の形態4]
実施の形態4では、昇圧回路が設けられた構成を有する制御装置における、Vcc異常検知時に電源電圧Vccを低下させるための電源構成について説明する。
図5は、本発明の実施の形態4に従う制御装置の回路構成図である。
図5を参照して、実施の形態4に従う制御装置1eは、昇圧回路500を含む。昇圧回路500は、高圧負荷600に対して、外部電源10の交流電圧の振幅相当の直流電圧よりも高い直流電圧Vdcを供給できるように構成されている。たとえば、外部電源10の交流電圧振幅が140V程度である場合に、昇圧回路500がVdc=280V程度の直流電圧を発生することにより、高圧負荷600の動作電源が供給される。
実施の形態4に従う制御装置1eでは、外部電源10と、実施の形態1〜3と同様の構成を有する電力変換回路2との間に昇圧回路500が配置される。したがって、電力変換回路2には、ダイオードブリッジ12の出力電圧ではなく、昇圧回路500から出力された直流電圧Vdcが入力される。電力変換回路2は、実施の形態1〜3と同様に、昇圧回路500が出力する直流電圧VdcをDC/AC変換(トランジスタ15)およびAC/DC変換(ダイオードD1および平滑コンデンサ24)することによって電源電圧Vsを供給する。電源電圧Vsを、マイクロコンピュータ300に供給される電源電圧Vccに変換するための構成は、実施の形態1〜3およびそれらの変形例と同様である。
次に、昇圧回路500の構成および動作について説明する。
昇圧回路500は、電源配線501と、平滑コンデンサ502と、リアクトル506と、ダイオード508と、トランジスタ510と、電流検出抵抗512と、平滑コンデンサ515と、制御IC550とを有する。制御IC550の動作電源は、制御IC60と共通に、電源配線65から供給される。
電源配線501は、ダイオードブリッジ12によって整流された交流電圧を受ける。平滑コンデンサ502は、電源配線401および接地配線19の間に接続される。すなわち平滑コンデンサ502は、外部電源10の交流電圧の振幅相当の直流電圧(たとえば、約140V)を保持する。
リアクトル506およびダイオード508は、電源配線501および520の間に直列に接続される。トランジスタ510は、リアクトル506およびダイオード508の接続ノードと接地配線19との間に、電流検出抵抗512と直列に接続される。電流検出抵抗512は、制御IC550の入力端子と接地配線19の間に接続される。制御IC550は、当該入力端子の電圧、すなわち、電流検出抵抗512の電圧降下量に基づいて、トランジスタ510の通過電流を検出することができる。
トランジスタ510のオン期間およびオフ期間を周期的に設けることによって、いわゆる昇圧チョッパ回路の機能が実現されて、電源配線501の電圧よりも高い直流電圧を電源配線520に発生することができる。
昇圧チョッパ回路では、トランジスタ510を周期的にオンオフ(スイッチング)するとともに、スイッチング周期に対するオン期間の時間比(デューティ比)を制御することによって、電源配線520に出力される直流電圧Vdcを制御することができる。また、昇圧回路500では、リアクトル506の電流波形を、ダイオードブリッジ12からの出力電圧(全波整流電圧)と同一周波数かつ同一位相の電流に制御することによって、力率を高めることができる。この場合には、全波整流波形の電流波高値の制御によって、直流電圧Vdcを制御することができる。このように、昇圧回路500は、昇圧機能のオン時には、制御IC550によるトランジスタ510のオンオフ制御により、昇圧された直流電圧Vdcを目標電圧(たとえば、280V)に制御する。
一方で、昇圧機能オフ時には、トランジスタ510がオフに維持されるので、直流電圧Vdcは、平滑コンデンサ502に保持された直流電圧と同等となる。すなわち、昇圧機能オフには、電源電圧Vdcは、昇圧機能オン時よりも低下する。
昇圧回路500における昇圧機能のオンオフは、マイクロコンピュータ300からの昇圧停止信号Sbsによって制御される。昇圧停止信号Sbsは、フォトカプラ560を経由して制御IC550に伝達される。フォトカプラ560は、フォトダイオード560aおよびフォトトランジスタ560bを有する。フォトダイオード560aは、電源配線110および接地配線120の間に、N型のトランジスタ570と直列に接続される。トランジスタ570のベース(制御電極)には、マイクロコンピュータ300からの昇圧停止信号Sbsが入力される。
マイクロコンピュータ300は、昇圧回路500の昇圧機能をオフする際に昇圧停止信号SbsをHレベルに設定する。たとえば、制御装置1eが搭載された機器の待機動作時(スタンバイモード)において、昇圧停止信号SbsはHレベルに設定される。通常時には、昇圧停止信号Sbsは、Lレベルに設定される。
昇圧停止信号SbsのLレベル時には、トランジスタ570がオフされるため、フォトダイオード560aには電流が流れず、フォトトランジスタ560bはオフされる。これにより、制御IC550の入力端子552の電圧は、接地電圧GND♯から上昇する。これに応じて、制御IC550は、昇圧回路500の昇圧機能をオンする。
一方で、昇圧停止信号SbsがHレベルに設定されると、トランジスタ570がオンされることにより、フォトダイオード560aに電流が流れるのに応じて、フォトトランジスタ560bがオンする。これにより、制御IC550の入力端子552には、接地配線19によって、接地電圧GND♯が入力される。これに応じて、制御IC550は、昇圧回路500の昇圧機能をオフする。
さらに、制御装置1eには、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて作動する電圧低下回路91が設けられる。電圧低下回路91は、電源配線110および接地配線120の間に、トランジスタ570に対して並列に接続されたN型のトランジスタ580を有する。トランジスタ580のベース(制御電極)には、検知信号Fvcが入力される。なお、制御装置1eにおいても、電圧異常検知回路400はラッチ回路440を有するように構成される。
電圧異常検知回路400がVcc異常を検知すると、検知信号FvcをHレベルに設定することにより、トランジスタ580がオンする。すなわち、電圧低下回路91の作動時には、昇圧停止信号SbsをHレベルに設定したときと同様に、制御IC550の入力端子552には、接地配線19によって接地電圧GND♯が入力される。これにより、Vcc異常検知時には、昇圧回路500の昇圧機能をオフすることができる。
昇圧回路500の昇圧機能がオフされて、電力変換回路2の入力電圧に相当する直流電圧Vdcが低下すると、同一電力を供給するために要する電流値が増加するため、トランジスタ15を流れる電流Icが増大する。たとえば、電源電圧Vdcが280Vから140Vに低下すると、Icは約2倍に増加する。
これにより、電力変換回路2の制御IC60が、トランジスタ15を通過する電流Icの過電流を検知して、電力変換動作を停止する。この結果、電力変換回路2による電源電圧Vsの生成が停止されることにより、電源配線110から電圧レギュレータ40へ入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40から出力される電源電圧Vccが低下する。最終的には、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
なお、スタンバイ動作時に昇圧停止信号SbsがHレベルに設定される際には、制御装置1eでの消費電力が小さい。このため、電源電圧Vdcが低下しても、電流Icが過電流検知レベルまで上昇することはなく、電力変換回路2による電力変換動作は継続される。
このように、実施の形態4に従う制御装置1eでは、昇圧回路を具備する構成において、Vcc異常検知時には、電圧異常検知回路400からの検知信号Fvcに応じて昇圧回路500の昇圧機能を停止させることにより、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
なお、図6では、昇圧停止信号Sbsに応じてオンするトランジスタ570とは別個に、検知信号Fvcに応じてオンするトランジスタ580を配置する構成を例示したが、昇圧停止信号Sbsおよび検知信号Fvcの論理和(OR)信号をトランジスタ570のベース(制御電極)に入力する回路構成とすれば、トランジスタ580の配置を省略することも可能である。このように、実施の形態4に従う制御装置1eでは、昇圧回路を具備する構成において、追加される回路素子を抑制した上で、Vcc異常検知時にマイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで電源電圧Vccを低下させることができる。
[実施の形態5]
実施の形態5では、ヒューズ素子を用いて電源電圧Vccを確実に低下させる回路構成について説明する。
図6は、本発明の実施の形態5に従う制御装置の主要部の構成を説明するための回路図である。図6には、トランス20の二次側巻線23に接続される、電源配線110よりも後段側の構成が示される。なお、実施の形態5に従う制御装置において、電源配線110に対して電源電圧Vsを供給するための構成は任意である。たとえば、図1〜図5と同様の電力変換回路2(または、電力変換器2および昇圧回路500)によって、電源電圧Vsを供給することができる。
図6を参照して、実施の形態5に従う制御装置では、ヒューズ素子FSが、電源配線110に介挿接続される。すなわち、電力変換回路2によって電源配線110に出力された電源電圧Vsは、ヒューズ素子FSを経由して、電圧レギュレータ40の入力(N)ノードに供給される。
さらに、実施の形態5に従う制御装置には、ヒューズ素子FSを溶断するための通電回路350が配置される。通電回路350は、抵抗素子Rf0〜Rf2と、npn型トランジスタQf1とを有する。
抵抗素子Rf1,Rf2は、電源配線200および接地配線120に直列に接続されて、電源電圧Vccの分圧回路を構成する。抵抗素子Rf0およびトランジスタQf1は、電源配線110および接地配線120の間に、ヒューズ素子FSに対して直列に接続される。
トランジスタQf1は、npnトランジスタにより構成される。トランジスタQf1のベース(制御電極)には、抵抗素子Rf1およびRf2による電源電圧Vccの分圧電圧が入力される。したがって、電源電圧Vccの上昇に応じて、トランジスタQf1がオンする。
トランジスタQf1がオンすると、電源配線110からヒューズ素子FSを経由して、接地配線120に至る通電経路が形成される。抵抗素子Rf0の電気抵抗は、当該通電経路の電流量がヒューズ素子FSを溶断するのに十分なレベルとなるように設計される。
したがって、図6に示された通電回路350によれば、電源電圧Vccが所定電圧よりも上昇したときに、Vcc異常を検知してヒューズ素子FSを溶断することができる。この所定電圧は、抵抗素子Rf1,Rf2による分圧比によって調整できる。このように、通電回路350は、「電圧異常検知回路」および「電圧低下回路」の機能を併せ持つように構成されている。
実施の形態5における制御装置では、電源電圧Vccが所定電圧よりも上昇したときに、通電回路350が、Vcc異常を検知してヒューズ素子FSを溶断する。これにより、電源電圧Vsの供給が遮断されることによって電源配線110から電圧レギュレータ40へ入力電圧が低下するので、電圧レギュレータ40が出力する電源電圧Vccは低下する。最終的には、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで、電源電圧Vccを低下させることができる。特に、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、ヒューズ素子の溶断によってVcc異常検知時にマイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することができる。
[実施の形態5の変形例]
図7は、本発明の実施の形態5の変形例に従う制御装置の主要部の構成を示す回路図である。
図7を図6と比較して、実施の形態5の変形例では、電源電圧Vccが低下したときにヒューズ素子FSを溶断するための構成について説明する。
実施の形態5の変形例では、図6に示した構成と比較して、通電回路350に代えて通電回路350♯が設けられる。ヒューズ素子FSは、図6の構成と同様に、電源配線110に介挿接続されている。
通電回路350♯は、トランジスタQf1,Qf2と、抵抗素子Rf1〜Rf6とを有する。抵抗素子Rf0およびnpn型トランジスタQf1は、図5の構成と同様に、電源配線110および接地配線120の間にヒューズ素子FSと直列に接続される。
抵抗素子Rf1およびRf2は、電源配線200および接地配線120に直列に接続されて、電源電圧Vccの分圧電圧をノードNbに出力する。この分圧電圧は、抵抗素子Rf5を経由して、pnp型トランジスタQf2のベース(制御電極)に入力される。
抵抗素子Rf3およびRf4は、電源配線110および接地配線120に直列に接続されて、電源電圧Vccを分圧した基準電圧VsをノードNaに出力する。トランジスタQf2は、pnp型トランジスタで構成されて、ノードNaおよび抵抗素子Raの間に接続される。
pnp型トランジスタQf2は、基準電圧Vsに対して、電源電圧Vccの分圧電圧が低下するとオンする。pnp型トランジスタQf2のオンに応じてnpn型トランジスタQf1がオンすることにより、ヒューズ素子FSを溶断するための通電経路が形成される。
したがって、通電回路350♯は、電源電圧Vccが所定電圧よりも低下したときに、ヒューズ素子FSを溶断することができる。この所定電圧は、抵抗素子Rf1,Rf2による分圧比および基準電圧Vsによって調整できる。このように、通電回路350♯についても、「電圧異常検知回路」および「電圧低下回路」の機能を併せ持つように構成されている。
実施の形態5の変形例における制御装置では、電源電圧Vccが所定電圧よりも低下したときに、通電回路350♯が、Vcc異常を検知してヒューズ素子FSを溶断する。これにより、マイクロコンピュータ300による処理を伴うことなく、Vcc異常(低下)時に、マイクロコンピュータ300が動作不可となる電圧領域まで、電源電圧Vccを確実に低下させることができる。
なお、通電回路350および350♯を、ヒューズ素子FSに対して並列に接続する構成とすれば、電源電圧Vccの上昇および低下の両方に対応してVcc異常を検知して、ヒューズ素子FSの溶断によってマイクロコンピュータ300の動作を確実に停止することが可能となる。
なお、本実施の形態1〜4において、Vcc異常を検知するための構成は、例示した電圧異常検知回路400の構成に限定されるものではなく、電源電圧Vccの異常(上昇および/または低下)を検知可能であれば、任意の構成を適用することができる。
また、本実施の形態の形態に従う制御装置は、複数の電源電圧が用いられる制御装置であれば、制御装置によって制御される負荷を特に限定することなく、電源電圧異常に対応してマイクロコンピュータを確実に停止させるための電源構成を適用することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。