JP2015518635A - Cnsシールド電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】【解決手段】 シールド電線は、マトリックス材中にカーボンナノ構造(CNS)材料を含むCNSシールド層を含み、CNSシールド層は、モノリシックであり、且つ、誘電層及び導電線の周囲に配置され、誘電層は、CNSシールド層と導電線の間に配置される。押出成形熱可塑性被覆はCNS材料を含み、押出成形熱可塑性被覆は少なくとも1本の電線を保護するように構成される。熱可塑性物品はCNS浸出繊維材料及び可撓性熱可塑性樹脂を含む。【選択図】 図1
Description
(関連出願の提示)
本出願は、2010年4月23日出願の米国特許出願第12/766,812号の一部継続出願であり、これは2009年4月24日出願の米国仮特許出願第61/172,503号及び2009年4月28日出願の米国仮特許出願第61/173,435号の利益を主張し、上記出願は両方とも参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
本出願は、2010年4月23日出願の米国特許出願第12/766,812号の一部継続出願であり、これは2009年4月24日出願の米国仮特許出願第61/172,503号及び2009年4月28日出願の米国仮特許出願第61/173,435号の利益を主張し、上記出願は両方とも参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
本発明は、一般に、電磁(EM)放射を吸収する材料に関する。
電気及び電子回路の性能は、電磁誘導又は外部源から放出される電磁放射による望ましくない妨害から悪影響を受けることがある。このような望ましくない妨害は、電気及び電子回路の効果的な性能を干渉、遮断又は他の方法で低下させることがある。外部電磁障害(EMI)から電気及び電子回路をシールドするハウジング構造が開発されている。EMIシールドは通常、内部密閉空間への電磁界の侵入を制限するようにハウジング構造を構成することによって達成される。ハウジング構造は、導体を使用して製造され、電磁界を阻止するバリアとして作用する「ファラデーケージ」として知られる。特に、及び当技術分野で知られているように、ファラデーケージは導体によって形成された筐体であり、外部電磁障害を阻止するために使用することができる。ハウジング構造が外部電磁力を受けると、導体ハウジング構造内に電流が発生し、この電流が次に外部電磁界の反対でそれを相殺する電磁力を生成する。
同様に、落雷防護システムは導電ハウジングを使用して、導電性ハウジング構造を流れる電流の加熱作用を軽減しながら、落雷電流に低インピーダンス路を提供する。これらの加熱作用の軽減は、落雷による火災の危険を緩和する。
通常、このようなEMIシールドハウジング構造及び/又は落雷防護用途の製造に使用される導体は、銅及びアルミニウムのような導電性が高い金属を含む。しかし、これらの金属は比較的重い。複合材料のようなこれより軽量の材料又は「複合材料」は、炭素などの導電性繊維で作成されているが、通常は絶縁性であり、したがってマトリックス材(例えば樹脂)の存在により、EMIシールド及び落雷防護特性が不良である。このような複合材料は、その所与の特性により望ましいものであるが、良好なEMIシールド及び/又は落雷防護特性を必要とする用途には適切でない。
複合材料のEMIシールド及び落雷防護特性を改善するために、複合材料に金属充填材、金属コーティング、金網、又は他の金属構成要素が組み込まれてきた。しかし、このような組み込みの結果、重量及び複雑性が増した複合材料になった。EMIシールド及び/又は落雷防護用途に使用するのに適切な代替複合材料が望まれている。本発明はこの要求を満たし、関連する利点も提供する。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、少なくともマトリックス材の一部に配置されたカーボンナノチューブ(CNT)浸出繊維材料を含む電磁障害(EMI)シールド用途に使用される複合材料に関する。複合材料は、約0.01MHzから約18GHzの間の周波数範囲で、電磁(EM)放射を吸収する、EM放射を反射する、又はその組み合わせを実行することができる。複合材料のEMシールド能力は、電磁障害(EMI)シールド効果(SE)として測定され、約40デシベル(dB)から約130dBの範囲である。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、前述した複合材料を製造する方法に関し、該方法は、CNT浸出繊維材料をマトリックス材の一部に、マトリックス材内のCNT浸出繊維材料の配向を制御した状態で配置させることと、マトリックス材を硬化することとを含む。CNT浸出繊維材料の制御された配向は、全体的な複合材料構造内でそれに浸出されたCNTの相対的配向を制御する。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、前述した複合材料を含むパネルに関する。パネルは、EMIシールド用途に使用するためにデバイスとインタフェースをとるように構成可能にすることができる。パネルはさらに電気アースを備える。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、マトリックス材中にカーボンナノ構造(CNS)材料を含むCNSシールド層を備えるシールド電線を提供し、CNSシールド層はモノリシックであり、且つ、導電線及び任意選択の誘電層の周囲に配置され、誘電層は、存在する場合、CNSシールド層と導電線の間に配置される。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、CNS材料を含む押出成形熱可塑性被覆を提供し、押出成形熱可塑性被覆は少なくとも1本の電線を保護するように構成される。
幾つかの態様では、本明細書で開示する実施形態は、CNS浸出繊維材料と、ポリエチレンテレフタレート(PET、マイラー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される少なくとも1つを含む可撓性熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性物品を提供する。
本発明は、一部はEMIシールドを提供する複合材料を示す。本明細書で開示するEMIシールド複合材料は、マトリックス材の一部に配置されたカーボンナノチューブ(CNT)浸出繊維材料を有する。CNTは、その高いアスペクト比により望ましい電磁波吸収性を有する。本発明の複合材料中のCNTは、広範囲のEM放射周波数を吸収し、吸収したエネルギーを例えば電気アースに、及び/又は熱として放散することができる。CNTは、機械的作用でEM放射を反射することもできる。さらに、EMIシールド用途では、電磁放射の透過率が最小である限り、吸収と反射の任意の組み合わせが有用である。実際の動作可能なメカニズムに関係なく、また理論に束縛されることなく、本発明の複合材料は、実質的な電磁障害の減少及び/又は防止をもたらすことができる。
本発明のEMIシールド複合材料は、EMIシールド用途に既に使用されている材料のシールド特性を改善することができる。幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維は、導電性複合材料ばかりでなく誘電複合材料のEMIシールドを改善し、その結果、軽量で高強度の複合材料を使用することができる。このような複合材料には、本質的にEMIシールド能力が不良であるために、以前は用途が制限されていたものがある。
本発明のEMIシールド複合材料は、様々なレーダ帯域の可視部、赤外線(IR)部分及び他の部分を含む電磁スペクトルの異なる区間にわたってほぼ黒体である吸収面を提供することができる。黒体様挙動を達成するために、繊維材料上のCNT密度を制御することができる。したがって、例えばCNT浸出繊維材料の屈折率を、空気の屈折率と密接に一致するように調整することができる。フレネルの法則によると、これは反射率を最小化した場合のことである。反射率の最小化はEM吸収を最適化するために有用なことがあるが、本発明の複合材料は、EMIシールド層の透過率を最小化するように設計することもできる。すなわち、吸収は、EMIシールドを提供できる限り有用である。CNT浸出繊維材料によって効果的に吸収されない特定の波長の場合、反射を提供するか、CNT浸出繊維材料によって吸収されない放射を吸収することができる二次構造を提供すると有利である。これに関して、代替吸収特性を提供するために異なるCNT浸出繊維材料の漸進的層形成を提供することが有利なことがある。代替的に、又は多層材料に加えて、これもCNT浸出繊維材料でよい反射材料を組み込むことが有用になることもある。したがって、例えば、本発明の複合材料は、CNT浸出繊維材料を含む複数の吸収及び/又は反射層を有することができる。
繊維材料自体は、EM放射吸収後にエネルギーを散逸するための効果的な透過経路を生成するのに十分なCNT密度を複合材料全体に提供するアレイ状にCNTを構成する骨格である。浸出CNTは、EM放射の吸収を最大化するために繊維材料上及び複合材料全体に均一な長さ、密度、及び制御された配向を有するように調整することができる。
EMシールド性のためにCNTに頼ることにより、複合材料は導電性又は絶縁性である繊維材料及び/又はマトリックスを使用することができる。さらに、EMIシールド複合材料は、それが使用される物品の表面構造の一部として一体化することができる。幾つかの実施形態では、表面ばかりではなく物品全体がEMIシールド体として機能することができる。幾つかの態様では、CNT浸出繊維材料を、EMIシールド用途で使用する既製複合材料のコーティングとして使用することができる。
前述したEMシールド材料用のCNT浸出繊維を生成する製造プロセスについて、以下でさらに説明する。このプロセスは、大規模な連続的処理に合わせて修正可能である。プロセスでは、CNTは、トウ又は粗糸などの巻き取り可能な寸法の炭素、ガラス、セラミック、又は同様の繊維材料上に直接成長する。CNT成長の性質は、長さ約5ミクロンから約500ミクロンの間に調整することができる長さで密集したフォレスト(forest)森林が付着するような性質であり、長さは以下で述べるような様々な要素によって制御される。このフォレストを、CNTが繊維材料の個々の各フィラメントの表面に対して垂直で、したがって放射状に被覆するように配向することができる。幾つかの実施形態では、繊維材料の軸線に平行な配向を提供するように、CNTをさらに処理することができる。得られるCNT浸出繊維材料は、製造したままの状態で巻き付けられるか、EMIシールド用途で使用するEMIシールド複合材料を生産する際に使用される布地商品に織られ得る。
本明細書で使用する「EMIシールド複合材料」という用語は、透過率を最小化しながら、電磁放射の吸収又は反射の任意の組み合わせが可能であるマトリックス材中に配置されたCNT浸出繊維材料を少なくとも有する任意の複合材料を指す。本発明のEMIシールド複合材料は、少なくとも3つの構成要素、すなわち、CNT、繊維材料、及びマトリックス材を有する。これらの構成要素は組織的な階層を生成し、CNTはそれが浸出する繊維材料によって組織化される。CNT浸出繊維材料は、次にこれが配置されるマトリックス材によって組織化される。これは、通常は様々な混和、混合、押し出し及び/又は引き抜き技術によって作製される緩いカーボンナノチューブを使用する複合材料とは対照的である。本発明のEMIシールド複合材料のCNTは、送信源に関連する電磁放射を吸収又は反射することができる。吸収したいかなる電磁放射も、例えば電気信号に変換され、電気アースに導かれ、及び/又は熱に変換され得る。
本明細書で使用する「電磁放射」又は「EM放射」という用語は、約0.01メガヘルツから約300ギガヘルツの範囲の任意のEM周波数を指す。本発明のEMIシールド複合材料は、以下でさらに述べるように、例えば低周波数(LFからUHF)及び高周波数(LからK帯)のレーダ帯域で特に効果的である。
本明細書で使用する「電磁障害」又は「EMI」という用語は、別の発生源からの電磁界(EM界)の近傍にある場合に電子デバイスの動作の妨害を指す。「EMIシールド」は、このような妨害(干渉)に対して保護することができる材料を使用するプロセスである。このような材料は、妨害電磁放射を吸収及び/又は反射することができる。「EMIシールド効果」又は「EMI−SE」、「シールド効果」又は「SE」又はその文法的同等語は、材料が別の発生源のEM界による干渉を減衰する/そこから電子デバイスを保護する能力の標準化した尺度を指す。EMI−SEは、シールド前の妨害電磁信号の強度とシールド後のその強度との差の関数として測定され、通常はメガヘルツ(MHz)、ギガヘルツ(GHz)などのようにヘルツ(Hz)単位で測定された特定の周波数にてデシベル(dB)単位で測定される。
本明細書で使用する「EMシールド容量」という用語は、本発明の複合材料が任意の周波数の電磁放射を吸収又は反射する能力を指す。これは標準化したEMI−SE測定によって測定することができる。
本明細書で使用する「繊維材料」という用語は、基本的構造構成要素として繊維を有する任意の材料を指す。この用語は繊維、フィラメント、ヤーン、トウ、テープ、織物及び不織布、プライ、マット、立体織物構造などを含む。繊維材料は、炭素、ガラス、セラミック、金属、及び有機繊維、例えばアラミド、又は絹、セルロース繊維などのような天然有機繊維を含む任意の有機又は無機材料でよい。
本明細書で使用する「巻き取り可能な寸法」という用語は、長さに限定されない少なくとも1つの寸法を有し、材料をスプール又はマンドレル上で保存できるようにする繊維材料を指す。「巻き取り可能な寸法」の繊維材料は、本明細書に記載するようなCNT浸出にバッチ処理又は連続的処理を使用することを示す少なくとも1つの寸法を有する。「巻き取り可能な寸法」の繊維材料は、ガラス、炭素、セラミック、及び同様の製品として商業的に獲得することができる。商業的に入手可能である巻き取り可能な寸法の例示的炭素繊維材料は、テックス値が800(1テックス=1g/1,000m)又は620ヤード/ポンドのAS4の12k炭素繊維トウ(Grafil Inc.、カリフォルニア州サクラメント)で例示される。特に、商業的な炭素繊維トウは、例えば(重い重量を有するスプール、通常は3k/12Kのトウの場合)5、10、20、50及び100ポンド単位で入手することができるが、これより大きいスプールは特別注文する必要があることがある。本発明のプロセスは、5から20ポンドのスプールで容易に操作することができるが、これより大きいスプールも使用可能である。さらに、例えば100ポンド以上の非常に大きい巻き取り可能な長さを、2つの50ポンドのスプールのように取扱いが容易な寸法に分割する前処理操作を組み込むことができる。
本明細書で使用する「カーボンナノチューブ」(CNT、複数形はCNTs)という用語は、フラーレン族の炭素でできた任意の数の円筒形同素体を指し、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)、及び多層カーボンナノチューブ(MWNT)を含む。CNTは、フラーレン様構造で封止するか、開放端とすることができる。CNTは他の材料を封入するものを含む。本明細書で開示された様々な繊維基材に浸出されたCNTは、ランダムな分布で個別的CNT(individual CNTs)、層共有CNT(shared-wall CNTs)、分岐CNT(branched CNTs)、架橋CNT(crosslinked CNTs)などを含むことができる複雑な形体のアレイで現れる。まとめて、複雑なCNT形態を本明細書では「カーボンナノ構造」又は「CNS」(複数形は「CNSs」)と呼ぶ。CNSsは、その複雑な形態により個別的CNTsのアレイとは別個である。
本明細書で使用する「長さが均一」という用語は、反応器内で成長したCNTの長さを指す。「均一な長さ」とは、約1ミクロンから約500ミクロンの間における様々なCNTの長さの場合、全てのCNTの長さが±約20%以内の許容誤差となるような長さをCNTが有していることを意味する。1〜4ミクロンなどの非常に短い長さでは、この誤差は、全てのCNTの長さの約±20%から最大で約±1ミクロンまでの範囲内、すなわち、CNT全長の約20%よりも若干大きくなる。EMIシールドに適用する際に、CNT長さ(さらに被覆面積密度)は、EM放射の吸収及び/又は反射の変調に使用することができ、目標EM周波数帯における吸収最大値又は反射に合わせて最適化することができる。
本明細書で使用する「分布が均一」とは、炭素繊維材料上のCNTの密度が不変であることをいう。「均一な分布」とは、CNTが、CNTによって被覆される繊維の表面積の割合として定義される被覆率の誤差が±約10%となる場合の炭素繊維材料上の密度を有することを意味する。これは、直径8nmの5層CNTでは、±1500CNT/μm2に相当する。このような形状では、CNTの内部空間を充填可能であると仮定している。
本明細書で使用する「CNT重量%」という用語は、最終複合材料中に存在するCNTの重量又は質量パーセンテージを意味する。このパーセンテージは、複合材料中のCNTの総重量を最終複合構造の総重量で割った比率に100%を掛けた値を表す。「CNT重量%」は、CNTの分布とCNT長さを組み合わせた材料特性である。その結果、「CNT重量%」は、複合材料中のCNTが平均EMI−SEに与える効果を説明するために使用される。例えば、図16に示すように、0〜60dBの平均EMI−SEには<1%のCNT重量%を使用し、60〜80dBの平均EMI−SEには0.5〜2%の間のCNT重量%を使用し、>80dBの平均EMI−SEには>2%のCNT重量%を使用する。
本明細書で使用する「浸出する」という用語は、結合するという意味であり、「浸出」とは結合のプロセスを意味する。このような結合としては、直接の共有結合、イオン結合、π−π相互作用、及び/又はファンデルワールス力が仲介する物理吸着を挙げることができる。例えば幾つかの実施形態では、CNTは炭素繊維材料に直接的に結合される。結合は、例えば、バリアコーティング、及び/又はCNTと炭素繊維材料の間にはさまれて配置された遷移金属ナノ粒子を介した炭素繊維材料へのCNT浸出など、間接的であってもよい。本明細書で開示されたCNT浸出炭素繊維材料では、カーボンナノチューブを前述したように直接的又は間接的に炭素繊維材料に「浸出」させることができる。CNTを炭素繊維材料に「浸出」させる特定の方法を「結合モチーフ」と呼ぶ。
本明細書で使用する「遷移金属」という用語は、周期表のdブロックにある任意の元素又は元素の合金を指す。「遷移金属」という用語は、塩基性遷移金属元素の塩形態(例えば、酸化物、炭化物、窒化物など)も含む。
本明細書で使用する「ナノ粒子」又はNPという用語、又は文法的にそれと同等の用語は、相当球径で約0.1から約100ナノメートルのサイズの粒子を指すが、NPは球形である必要はない。特に遷移金属NPは、炭素繊維材料上でCNTが成長する触媒として働く。
本明細書で使用する「サイジング剤」、「繊維サイジング剤」、又は単に「サイジング」という用語はまとめて、繊維の一体性を保護する、複合材料中の繊維とマトリックス材との間の界面相互作用を強化する、及び/又は繊維の特定の物理的性質を変更及び/又は強化するコーティングとして、炭素及びガラス繊維(又は保護コーティングを必要とするかもしれない任意の他の繊維)の製造に使用する材料を指す。幾つかの実施形態では、繊維材料に浸出したCNTがサイジングされた繊維として挙動する。すなわち、CNTは、CNTがサイジング材料として挙動するように繊維にある程度の保護を提供する。
本明細書で使用する「マトリックス材」という用語は、サイジングされたCNT浸出炭素繊維材料をランダムな配向などの特定の配向性で組織化する機能を果たすバルク材を指す。CNT浸出繊維材料の物理的及び/又は化学的性質のある部分をマトリックス材に付与することにより、マトリックス材にとってCNT浸出繊維材料の存在は有益となる。EMIシールドの用途では、マトリックス材は、繊維材料との組み合わせで、CNTをマトリックスのみと単純に混合して得られるものより良好なCNT密度及びCNT配向の制御を提供する。CNT浸出繊維材料の密度及び「パッキング」は、吸収した電磁放射をさらに効率的に散逸する、又は効果的な反射を提供する手段を提供することにより、EMIシールドの有効性を改善する透過経路を提供することができる。
本明細書で使用する「材料滞留時間」という用語は、巻き取り可能な寸法の繊維材料に沿った各ポイントが、本明細書で説明するCNT浸出プロセス中にCNT成長状態にさらされる時間量を指す。この定義は、複数のCNT成長チャンバーを使用する場合の滞留時間を含む。
本明細書で使用する「ラインスピード」という用語は、本明細書で説明するCNT浸出プロセスにより、巻き取り可能な寸法の繊維材料を供給できる速度を指し、ラインスピードは、CNTチャンバー長を材料滞留時間で除して算出される速度である。
幾つかの実施形態では、本発明は、マトリックス材の少なくとも一部に配置された(CNT)浸出繊維材料を含むEMIシールド複合材料を提供する。複合材料は、約0.01MHzから約18GHzの間の周波数範囲でEM放射を吸収又は反射することができる。EMIシールド容量は、電磁障害(EMI)シールド効果(SE)として測定することができ、約40デシベル(dB)から約130dBの間の範囲とすることができる。例えば、図17では、HF、VHF及びUHF帯の場合、CNT重量%が増加すると、EMI−SEが、40dBという低い値から複合材料中のほぼ20%というCNT重量%で70dBという高い値まで改善される。図17によると、LF帯のEMI−SEは通常、CNT重量%の増加から有意の影響を受けず、75dB程度で一定したままである。図18に関して、L帯EMI−SEも、CNTの存在下で比較的一定であり、約60dBのEMI−SEを一貫して提供する。S帯及びC帯はほぼ同一の応答を有する、というのは、EMI−SEが、1重量%CNTの70dBから20重量%CNTの90dBという高い値までの範囲になり得るからである。最後に、X帯及びK帯のEMI−SEは同様の応答を示し、わずか1重量%CNTでは60dBのEMI−SEになり、20重量%CNTまで高くなると120dBと130dBの間のEMI−SEになる。これらのシールド材料は単なる例示である。例えば複数層のCNT浸出繊維材料を使用すると、さらなるシールド効果を達成することができ、CNT浸出繊維材料の吸収又は反射特性を変更する組み合わせを通して、シールド効果を調整するようにCNTの密度、長さ、及び配向を変更できることが当業者には認識される。
SEはEM放射の周波数の関数であることも、当業者に認識される。したがって、2GHzにおけるSEは18GHzにおけるSEと異なることがある。EMIシールドの用途では、EM放射を吸収又は反射することが望ましいことも、当業者には認識される。対照的に、例えばステルス用途における特徴制御(signature control)のためのレーダ吸収では、EM放射を吸収及び/又は透過する材料を製造することが望ましい。機械論的見地から、EMIシールド及びレーダ吸収用途は両方とも、CNT浸出繊維材料の存在によって提供される任意の吸収特性の恩恵を受ける。吸収されない放射の透過率又は反射率は、例えばバルクマトリックスの固有特性のような他のパラメータによって決定することができる。幾つかの実施形態では、繊維材料上のCNTの担持量を最大にすることにより、EMIシールド用途に特に有用である反射性金属のように挙動する複合材料を提供することができる。
EMIシールド複合材料は、トウ、粗糸、織物などのような繊維材料の「連続的」又は「巻き取り可能な」長さにCNTを浸出することによって通常構築されるCNT浸出繊維材料を含む。SE、したがってEM放射吸収力は、例えばCNT長さ、CNTの密度、及びCNTの配向に応じて変化することができる。CNT浸出繊維材料を作成するプロセスによって、吸収及び/又は反射能力が明瞭に画定されたEMIシールド複合材料を構築することができる。繊維材料上のCNT長さ及び配向は、以下で述べるCNT成長プロセスで制御される。成長プロセスによる繊維の周囲のCNTの配向は、繊維の軸の周囲に一般的に半径方向に成長するCNTを提供する。繊維に浸出したCNTの成長後の再配向は、機械的又は化学的手段によって、又は電界を使用することによって達成することができる。幾つかのこのような実施形態では、CNTは繊維の軸線に沿って位置するように再配向することができる。次に、複合材料中のCNTの相対的配向は、CNT浸出繊維を配向する複合材料製造プロセスによって制御される。
本発明のEMIシールド複合材料は、1つ又は複数のEM放射周波数帯を吸収及び/又は反射するように構築することができる。幾つかの実施形態では、異なるEM放射周波数帯の吸収及び/又は反射を最大化するために、単一の巻き取り可能な長さの様々な区間に沿って異なるCNT長さ及びCNTの配向を有する単一の巻き取り可能な長さのCNT浸出繊維を提供することができる。あるいは、同じ効果のために、異なるCNT長さ及び/又は配向の複数の巻き取り可能な長さの繊維材料を複合材料中に配置することができる。いずれの戦略でも、複合材料中に異なるEM放射の吸収及び/又は反射特性を有する層を提供する。CNTの複数の配向によって、EMIシールド複合材料が、複数のEM放射源から複合材料に異なる入射角で衝突する電磁放射を吸収及び/又は反射することもできる。
CNT浸出繊維材料の特定の1つの区間が、EM放射の単一の波長でも、EM吸収性及びEM反射性の両方を呈することができることが、当業者には認識される。したがって、所与のCNT浸出繊維材料のEMシールド効果は、EM放射を吸収及び反射する複合能力を表し、単に吸収材料又は反射材料である必要はない。多層構造の状況では、様々な層を主に反射性であるように設計することができ、他の層は主に吸収性であるように設計することができる。
複合材料構造中へのCNTのパッキングは、吸収したEM放射のエネルギーが散逸する透過経路を提供することができる。理論に束縛されることなく、これは図7〜図9に例示されているように、CNTとCNTとの点接触又はCNTとCNTとの嵌合の結果とすることができる。幾つかの実施形態では、CNTに吸収されるいずれのEMエネルギーも、電気信号に変換することができ、この電気信号はコンピュータシステムに統合されて、パネルなどのEMIシールド複合材料を組み込んだ物品の配向を調整し、例えばEM放射伝播源に応答してEM放射の吸収を最大化し、又は検出用途では反射したEM信号におけるEM放射の吸収を最大化することができる。同様に、EM放射を反射する能力をCNT密度及び配向と結びつけることもできる。例えば、約1%を超える値など、高いCNT密度では、CNTは、一部はEM放射を反射する金属として挙動することができる。
幾つかの実施形態では、EMIシールド複合材料はステルス用途に使用する物品又は構造全体の一体部品として提供される。このような実施形態では、EMIシールド特性は、反射メカニズムを最小化しつつ、主に吸収メカニズムによってもたらすことができる。幾つかのこのような実施形態では、CNT浸出繊維材料上のCNTの密度を調整して、空気に近い屈折率の材料を提供し、反射を最小化して、EM放射の吸収を最大化することができる。
EMIシールドCNT浸出繊維材料は、全体的な複合材料構造の一部で提供することができる。例えば、複合材料構造は、CNT浸出繊維材料を組み込んでEM放射を吸収及び/又は反射する表面「表皮」を有することができる。他の実施形態では、既に存在する別の複合材料又は他の物品の表面上に、コーティングとしてEMIシールド複合材料を適用することができる。幾つかの態様では、コーティングは従来のコーティングで生じるような剥離などの防止に役立つ長い繊維材料を使用する。さらに、コーティングとして使用された場合、オーバーコートを使用してEMIシールド複合材料をさらに保護することができる。また、コーティングとして使用された場合、CNT浸出繊維複合材料のマトリックスは、全体構造のバルクマトリックスと非常に近い、又は同一となり、コーティングと構造の間に優れた結合を提供することができる。
浸出したCNTの複数の区間が実質的に均一の長さであるEMIシールド複合材料のCNT浸出繊維材料が提供される。このことは、大きい断面積にわたって確実な吸収性を有する全体的複合材料製品を提供する。CNT浸出繊維材料を生産するために本明細書に記載する連続的プロセスでは、CNT成長チャンバー内の繊維材料の滞留時間を調節して、CNTの成長、及び最終的にCNT長さを制御することができる。このことは、成長したCNTの特定の性質を制御する手段を提供する。CNT長さは、炭素原料及びキャリアガス流量及び反応温度の調節を通しても制御することができる。CNTの性質の追加的制御は、例えばCNTの準備に使用する触媒のサイズを制御することによって獲得することができる。例えば、1nmの遷移金属ナノ粒子触媒を使用して、特定のSWNTを提供することができる。主にMWNTを準備するには、これより大きい触媒を使用することができる。
また、使用されるCNT成長プロセスは、予備形成したCNTを溶剤溶液中に懸濁又は分散させ、手で繊維材料に適用するプロセスで発生することがあるCNTの束化及び/又は凝集を回避しながら、繊維材料上にCNTが均一に分布したCNT浸出繊維材料を提供するのに有用である。このような凝集したCNTは、繊維材料への付着が弱い傾向があり、特徴的なCNTの性質は、表出することがあっても弱い表出である。幾つかの実施形態では、被覆率として表現される、すなわち、被覆される繊維の表面積である最大分布密度は、5層で直径約8nmのCNTを仮定すると約55%という高さになることがある。この被覆率は、CNT内部の空間を「充填可能な」空間と見なすことによって計算される。表面上の触媒分散を変化させる、さらにガスの組成及びプロセス速度を制御することによって、様々な分布/密度値を達成することができる。通常、所与のパラメータのセットでは、繊維表面全体で約10%以内の被覆率を達成することができる。機械的性質を改善するには、密度を高くし、CNTを短くすることが有用であるが、EMIシールド及びレーダの吸収を含め、熱及び電気的性質を改善するには、CNTを長くし、密度を低下させることが有用であり、ただしそれでも密度を高くすることが好ましい。密度の低下は、長めのCNTが成長した場合にもたらされることがある。これは、温度上昇及び成長速度の高速化の結果であることがあり、触媒粒子の収率低下を引き起こす。
繊維材料に浸出するのに有用なCNTには、単層CNT、二層CNT、多層CNT、及びその混合物が含まれる。使用されるCNTの正確な量は、EMIシールド複合材料の最終用途に依存する。CNTは、EMIシールド及びレーダ吸収に加えて、伝熱性及び/又は導電性用途に使用することができる。幾つかの実施形態では、浸出カーボンナノチューブは単層ナノチューブである。幾つかの実施形態では、浸出カーボンナノチューブは多層ナノチューブである。幾つかの実施形態では、浸出カーボンナノチューブは単層ナノチューブと多層ナノチューブの組み合わせである。単層ナノチューブと多層ナノチューブの特徴的性質には、繊維の幾つかの最終使用において、一方又は他方のタイプのナノチューブの合成を規定する幾つかの違いがある。例えば、多層ナノチューブが金属性である一方、単層ナノチューブを半導体又は金属性とすることができる。したがって、吸収されるEM放射を、例えばコンピュータシステムに組入れ可能な電気信号に変換する場合、CNTのタイプの制御することが望ましいことがある。
CNTは、機械的強度、低い程度から中程度の電気抵抗、高い伝熱性などの特徴的性質をCNT浸出繊維材料に与える。例えば、幾つかの実施形態では、カーボンナノチューブ浸出繊維材料の電気抵抗は、親の繊維材料のみの電気抵抗より低くすることができる。さらに一般的には、得られるCNT浸出繊維がこれらの性質を表出する程度は、カーボンナノチューブによる炭素繊維の被覆の程度及び密度の関数とすることができる。これらの性質は、これが組み込まれる全体的EMIシールド複合材料に移行することもできる。直径8nmの5層MWNTを仮定すると、任意の量の繊維表面積、すなわち、繊維の0〜55%を被覆することができる(この場合も、この計算はCNTの内部空間が充填可能であるとみなしている)。この数字は、CNTの直径が小さいほど低くなり、CNTの直径が大きいほど高くなる。55%の表面積被覆率は、約15,000CNT/μm2に相当する。さらに、CNTの性質は、CNTの長さに依存する形で炭素繊維材料に付与することができる。浸出CNTには約1ミクロンから約500ミクロンに及ぶ様々な長さのものがあり、それは1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロン、35ミクロン、40ミクロン、45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、300ミクロン、350ミクロン、400ミクロン、450ミクロン、500ミクロン、及びその間の全ての値を含む。また、CNTは約1ミクロン未満の長さでもよく、これは例えば約0.5ミクロンを含む。CNTは500ミクロンを超えてもよく、例えば510ミクロン、520ミクロン、550ミクロン、600ミクロン、700ミクロン及びその間の全ての値を含む。EMIシールド用途によっては、CNTを長さ約100nmから約25ミクロンの間で変更することができる。純粋にEMIシールドする用途では、CNTは長さ約100nmから約500μmの間で変更することができる。本発明のEMシールド複合材料は、約1ミクロンから約10ミクロンの長さを有するCNTを組み込むことができる。このようなCNT長さは、剪断強度を向上させる用途でも有用なことがある。CNTは、約5から約70ミクロンの長さを有することもできる。このようなCNT長さは、CNTを繊維方向に位置合わせした場合、引っ張り強度が上がった用途に有用なことがある。CNTは約10ミクロンから約100ミクロンの長さを有することもできる。このようなCNT長さは、電気的性質/熱的性質、さらに機械的性質の向上に有用なことがある。CNT浸出に使用するプロセスは、約100ミクロンから約500ミクロンの長さを有するCNTも提供することができ、これもレーダ吸収及びEMIシールドを含む電気的性質及び熱的性質の向上にとって有利なことがある。したがって、CNT浸出繊維材料は多機能であり、全体的EMIシールド複合材料の多くの他の性質を向上させることができる。したがって、幾つかの実施形態では、巻き取り可能な長さのCNT浸出繊維材料を含む複合材料は、目的とする様々な性質に対応するためにCNT長さが異なる様々な均一の領域を有することができる。例えば、剪断強度の性質を向上させるためにCNT長さが均一に短い方のCNT浸出炭素繊維材料の第一部分と、EMIシールド効果及び/又はレーダ吸収の性質を向上させるためにCNT長さが均一に長い方の同じ巻き取り可能な材料の第二部分とを有することが望ましいことがある。例えばCNT浸出繊維材料において、上述したようにEMIシールド複合材料の少なくとも一部に短い方のCNTを提供することにより、機械的強化を達成することができる。複合材料は、EM放射をシールドするためにEMIシールド複合材料の表面に長い方のCNTを、機械的強化のために表面の下に配置された短い方のCNTを有する表皮の形態を取ることができる。CNT長さの制御は、炭素原料及び不活性ガスの流量を調節することと、ラインスピード及び成長温度の変更とを組み合わせることによって容易に達成される。これで、同じ巻き取り可能な長さの繊維材料の異なる区間でCNT長さを変更することができる、又は異なるスプールを使用し、異なるスプールを複合材料構造の適切な部分に組み込むことができる。
本発明のEMIシールド複合材料は、CNT浸出繊維材料とともに複合材料を形成するマトリックス材を含む。このようなマトリックス材としては、例えば、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド、及びビスマレイミドを挙げることができる。本発明で有用なマトリックス材は、既知のマトリックス材のいずれか(Mel M. Schwartz, Composites Handbook(第2版、1992年)を参照)を含むことができる。マトリックス材は、さらに一般的には、熱硬化性と熱可塑性との両方の樹脂(ポリマー)、金属、セラミック、セメント、及びその任意の組合せを含むことができる。
マトリックス材として有用な熱硬化性樹脂は、フタル/マレイン型ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール類、シアン酸塩、ビスマレイミド、及び末端封止されたナディックポリイミド(例えばPMR−15)を含む。熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアリレート、及び液晶ポリエステルが挙げられる。
マトリックス材として有用な金属は、アルミニウム6061、アルミニウム2024、及び713アルミニウム・ブレーズなどのアルミニウムの合金を含む。マトリックス材として有用なセラミックとしては、リチウムアルミノケイ酸塩などの炭素セラミック、アルミナ及びムライトなどの酸化物、窒化ケイ素などの窒化物、及び炭化ケイ素などの炭化物が挙げられる。マトリックス材として有用なセメントとしては、炭化物ベースのサーメット(炭化タングステン、炭化クロミウム、及び炭化チタン)、耐火セメント(タングステントリア及び炭酸バリウムニッケル)、クロミウム−アルミナ、及びニッケル−マグネシア鉄−炭化ジルコニウムが挙げられる。前述したマトリックス材のいずれも、単独又は組み合わせて使用することができる。セラミック及び金属のマトリックス複合材料は、高温用途に使用される電子ボックスのようにEMIシールド特性を使用するスラスト(突き)ベクトル制御表面又は他の高温用途に使用することができる。
幾つかの実施形態では、EMIシールド複合材料はさらに、複数の遷移金属ナノ粒子を含むことができる。これらの遷移金属ナノ粒子は、幾つかの実施形態ではCNT成長手順からの潜触媒として存在することができる。理論に束縛されることなく、CNT形成触媒として働く遷移金属NPは、CNT成長のシード構造を形成することによってCNT成長に触媒作用を及ぼすことができる。CNT形成触媒は、繊維材料の基部に残り、任意選択のバリアコーティングが存在する場合は、それによってロックされ(バリアコーティングの存在は、使用する繊維材料のタイプに依存し、通常は例えば炭素繊維及び金属繊維に使用される)、繊維材料の表面に浸出することができる。このような場合、遷移金属ナノ粒子触媒によって最初に形成されたシード構造は、当技術分野で往々にして観察されるように、触媒がCNT成長の先端に沿って移動できるようにせずに、シードによる連続的な無触媒CNT成長にとって十分である。このような場合、NPはCNTが繊維材料に付着するポイントとして働く。バリアコーティングの存在は、CNT浸出のさらなる間接的結合モチーフにつながることがある。例えば、CNT形成触媒は、上述したようにバリアコーティング内にロックされることがあるが、繊維材料と表面接触状態ではない。このような場合、CNT形成触媒と繊維材料の間にバリアコーティングが配置された積み重なった構造になる。いずれの場合も、形成されたCNTを繊維材料に浸出させる。幾つかの実施形態では、一部のバリアコーティングによって、CNT成長触媒が成長中のナノチューブの先端に従うことができる。このような場合、この結果として、CNTが繊維材料に、又は任意選択でバリアコーティングに直接結合することができる。カーボンナノチューブと繊維材料の間に形成された実際の結合モチーフの性質に関係なく、浸出したCNTは頑強であり、これによってCNT浸出繊維材料がカーボンナノチューブの性質及び/又は特性を呈することができる。
バリアコーティングがない状態で、潜在的CNT成長粒子は、カーボンナノチューブの基部、ナノチューブの先端、その間の何処か、及びその混合に現れることができる。この場合も、繊維材料に対するCNTの浸出は直接的、又は介在する遷移金属ナノ粒子を介して間接的となり得る。幾つかの実施形態では、潜在的CNT成長触媒は鉄ナノ粒子を含む。これらは、例えばゼロ価鉄、鉄(II)、鉄(III)、及びその混合物など、様々な酸化状態とすることができる。CNT成長による潜在的鉄系ナノ粒子の存在は、全体的複合材料のEMIシールド性をさらに補助することができる。
幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維は、鉄、フェライト、又は鉄系ナノ粒子溶液を成長後に通過することができる。CNTは、大量の鉄ナノ粒子を吸収することができ、このことでEMIシールドをさらに補助することができる。したがって、この追加的処理ステップは、EM放射吸収を改善するために補足的鉄ナノ粒子を提供する。
本発明のEMシールド複合材料は、レーダ周波数帯のスペクトル全体を含む広いスペクトルにわたってEM放射を吸収及び/又は反射することができる。幾つかの実施形態では、複合材料は高周波レーダを吸収及び/又は反射することができる。高周波(HF)レーダ帯域は、約3から約30MHz(10〜100m)の範囲の周波数を有する。このレーダ帯域は、沿岸レーダ及び超水平線レーダ(OTH)のレーダ用途に有用である。幾つかの実施形態では、複合材料はP帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。これは、約300MHz未満のレーダ周波数を含む。幾つかの実施形態では、複合材料は超短波帯域(VHF)のレーダを吸収及び/又は反射することができる。VHFレーダ帯域は、約30から約330MHzの範囲の周波数を有する。VHF帯域は、地表貫通用途を含む非常に長距離の用途に有用である。幾つかの実施形態では、複合材料は極超短波(UHF)帯域のレーダを吸収することができる。UHF帯域は、約300から約1000MHzの範囲の周波数を含む。UHF帯域の用途には、弾道ミサイル早期警戒システム、地表貫通及び森林貫通用途などの非常に長距離の用途が含まれる。幾つかの実施形態では、複合材料は長(L)帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。L帯域は約1から約2GHzの範囲の周波数を含む。L帯域は、例えば航空交通及び監視などの長距離用途に有用なことがある。幾つかの実施形態では、複合材料は短(S)帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。S帯域は約2から約4GHzの範囲の周波数を含む。S帯域は、飛行場航空交通管制、長距離気象及び船用レーダなどの用途に有用なことがある。幾つかの実施形態では、複合材料は、約4から約8GHzの範囲の周波数を有するC帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。C帯域は、衛星のトランスポンダーに、及び気象用途に使用されてきた。幾つかの実施形態では、複合材料は約8から約12GHzの範囲の周波数を有するX帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。X帯域は、ミサイル誘導、船用レーダ、気象、中分解能マッピング及び地上監視などの用途に有用である。幾つかの実施形態では、複合材料は約12から約18GHzの間の周波数を含むK帯域のレーダを吸収及び/又は反射することができる。K帯域は、気象学者が雲を検出するために使用することができ、警察官がK帯域レーダガンを使用して高速走行の自動車運転手を検出するために使用することができる。幾つかの実施形態では、複合材料は約24から約40GHzの間の周波数を含むKa帯域のレーダを吸収及び/又は反射する。Ka帯域は、交通信号灯のカメラを作動させるために使用するような写真レーダに使用することができる。
幾つかの実施形態では、複合材料は広義に約40から約300GHzの間であるミリメートル(mm)帯域のレーダを吸収及び/又は反射する。mm帯域には、軍事用通信に使用される約40から約60GHzの間のQ帯域、大気中の酸素によって強力に吸収される約50から約75GHzの間のV帯域、約60から約90GHzの間のE帯域、実験用自立走行式車両、高分解能気象観測、及び撮像用の視覚センサーに使用される約75から約110GHzの間のW帯域、及び壁貫通レーダ及び撮像システムに使用する約1.6から約10.5GHzの間のUWB帯域が含まれる。
幾つかの実施形態では、複合材料はK帯域では約90dBから約110dBの間にSEを有する。幾つかの実施形態では、複合材料はX帯域では約90dBから約100dBの間にSEを有する。幾つかの実施形態では、複合材料はC帯域では約80dBから約90dBの間にSEを有する。幾つかの実施形態では、複合材料はS帯域では約70dBから約80dBの間にSEを有する。幾つかの実施形態では、複合材料はL帯域では約50dBと約60dBの間にSEを有する。図15〜図18は、本発明によりEMIシールド用途のために構築される例示的パネルのEMIシールド結果を示す。例えば、パネル220(図15)は、約0.1MHzから18GHzの間の範囲で試験された。
上述したように、シールド効果(SE)は、本発明のEMIシールド複合材料のEM放射吸収及び/又は反射能力を評価する1つの手段である。SEは、EM吸収及び/又は反射材料による電磁界の減衰程度を測定する。SEは、シールド前の電磁信号の強度とシールド後の強度との差である。減衰/SEは、吸収/反射材料が存在する状態と存在しない状態との間で電磁界強度の比率に対応するデシベル(dB)で測定される。信号の強度、すなわち、振幅は通常、距離とともに指数関数的に減少し、デシベルの範囲は対数目盛に従う。したがって、50dBの減衰レーティングは、40dBの場合の10倍のシールド強度を示す。概して、約10から約30dBの間のシールド範囲は、低レベルのシールドを提供する。60dBと90dBの間のシールドは高レベルのシールドと見なされ、90dBから120dBは「例外的」と見なされる。
EMIシールドの減衰レベルの判定は、特定のシールド用途に依存することがあるが、シールド強度を試験する一般的技術には、オープンフィールド試験、同軸ケーブル試験(coaxial transmission line test)、シールドボックス試験、及びシールド室試験が含まれる。オープンフィールド試験は、電子デバイスの通常の使用条件を可能な限り近い状態でシミュレートするように設計される。アンテナは、試験機器以外に金属性材料がない区域内で、デバイスから様々な距離に配置される。これは通常、放射電磁界強度及び伝導性放出の自由空間測定を可能にするオープンサイトで実行される。結果は、生成されるEMIのレベルを検出する雑音レベルメーターによって記録される。オープンフィールド試験は通常、仕上げ加工した電子製品に使用される。
同軸ケーブル試験は、平面波界電磁波放射を測定して、平面材料のシールド効果を求める方法であり、一般的に比較試験に使用される。基準試験デバイスは、専門の保持ユニット内に位置決めされ、複数の周波数でそれが受ける電圧が記録される。次に、第一対象を負荷デバイスと置換し、これは同じ一連の試験を経験する。基準デバイスと負荷デバイスとの比較で、シールド材料がある状態及びない状態で受けるパワーの比率が決定される。
シールドボックス試験は、切り取り部分がある密封箱を使用する。伝導性コーティングを施したシールドユニットを箱の開口部上に配置し、伝達されたエミッション及び受けたエミッションを測定する。箱の内側及び外側の両方からの電磁信号を記録して比較し、信号間の比率がシールド効果を表す。
状況によっては、区域内の周囲雑音の量を低下させることが困難なことがある。このような状況では、シールド室試験を使用することができる。この試験は通常、少なくとも2つのシールド室があり、その間に壁があって、センサーがそれを貫通することができる。試験デバイス及び試験機器を一方の室内に、センサアレイを他方の室内に配置する。外部信号によって引き起こされるエラーを測定する可能性を低下させるために、シールド用鉛を含めることができる。シールド室試験は、デバイスの感受性を評価するのに適切である。
幾つかの実施形態では、シールド効果を評価する試験法は、IEEE−STD−299で規定され、修正したオープンリファレンス技術を使用する標準化された方法でよい。試験は、仕切りがあるチャンバー内で実行され、一方側はEM送信源を提供し、仕切られたチャンバーの他方部分は受信機器を提供する。
幾つかの実施形態では、複合材料は、EM放射シールド複合材料の約1重量%から約7重量%の範囲で存在するCNTを含む。幾つかの実施形態では、CNT担持量は、重量でEMIシールド複合材料の約1%から約20%の間とすることができる。幾つかの実施形態では、EMIシールド複合材料中のCNT担持量は、重量でEMIシールド複合材料の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、及び20%、及びこれらの値の間の任意の分数とすることができる。EMIシールド複合材料中のCNT担持量は、1%未満でもよく、例えば約0.1%から約1%の間を含む。EMIシールド複合材料のCNT担持量は、20%を超えてもよく、例えば25%、30%、40%など、で最大約50%、及びその間の全ての値を含む。
幾つかの実施形態では、EMIシールド複合材料はカーボンナノチューブ(CNT)浸出炭素繊維材料を含む。CNT浸出炭素繊維材料は、巻き取り可能な寸法の炭素繊維材料、炭素繊維材料の周囲に等角的に配置されたバリアコーティング、及び炭素繊維材料に浸出されたカーボンナノチューブ(CNT)を含むことができる。炭素繊維材料へのCNTの浸出は、炭素繊維材料に個々のCNTが直接結合する、又は遷移金属NP、バリアコーティング、又はその両方を介して間接的に結合する結合モチーフを含むことができる。
本発明のCNT浸出炭素繊維材料は、バリアコーティングを含むことができる。バリアコーティングは、例えばアルコキシシラン、メチルシロキサン、アルモキサン、アルミナナノ粒子、塗布ガラス及びガラスナノ粒子を含むことができる。CNT形成触媒は、未硬化バリアコーティング材料に添加し、次にともに炭素繊維材料に適用することができる。他の実施形態では、CNT形成触媒を付着させる前にバリアコーティング材料を炭素繊維材料に添加することができる。バリアコーティング材料は、その後のCVD成長のために、CNT形成触媒を炭素原料に曝露できるほど十分に薄い厚さとすることができる。幾つかの実施形態では、厚さはCNT形成触媒の有効径未満又は有効径にほぼ等しい。幾つかの実施形態では、バリアコーティングの厚さは約10nmから約100nmの間の範囲である。バリアコーティングは10nm未満とすることもでき1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm及びその間の任意の値を含む。
理論に束縛されることなく、バリアコーティングは炭素繊維材料とCNTの間の中間層として働くことができ、炭素繊維材料へのCNTの機械的浸出を提供することができる。このような機械的浸出はなお、炭素繊維材料がCNTの性質を炭素繊維材料に与えながらCNTを組織化するプラットホームとして働く、頑強なシステムを提供する。さらに、バリアコーティングを含めることの利点は、CNTの成長促進に使用される温度における炭素繊維材料の加熱による水分及び/又は何らかの熱損傷に曝露することによる化学的損傷から炭素繊維材料を直ちに保護することである。
炭素繊維材料上でCNTを成長させる場合、反応チャンバー内に存在し得る高温及び/又は任意の残留酸素及び/又は水分が、炭素繊維材料を損傷することがある。さらに、炭素繊維材料自体がCNT形成触媒自体との反応によって損傷することがある。すなわち、炭素繊維材料がCNT合成に使用する反応温度にて触媒に対して炭素原料として挙動することがある。このような余分な炭素は、炭素原料ガスの制御された導入を妨害することがあり、炭素を過剰担持することによって触媒を毒する働きをすることもある。本発明に使用するバリアコーティングは、炭素繊維材料上のCNTの合成を促進するように設計される。理論に束縛されることなく、コーティングは熱劣化に対する熱バリアを提供することができる、及び/又は炭素繊維材料が高温の環境に暴露することを防止する物理的バリアとすることができる。代替的又は追加的に、これは、CNT形成触媒と炭素繊維材料の間の表面積接触を最小化することができる、及び/又はCNT成長温度にて炭素繊維材料がCNT形成触媒に暴露することを緩和することができる。
繊維の生成に使用する前駆体に基づき分類される3タイプの炭素繊維があり、そのいずれも本明細書に使用することができる。すなわち、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)及びピッチである。セルロース材料であるレーヨン前駆体からの炭素繊維は、約20%と比較的低い炭素含有率を有し、繊維は強度及び剛性が低い傾向がある。ポリアクリロニトリル(PAN)前駆体は、炭素含有率が約55%の炭素繊維を提供する。PAN前駆体に基づく炭素繊維は通常、表面欠陥が最少であるので、他の炭素繊維前駆体に基づく炭素繊維より高い引っ張り強度を有する。
石油系アスファルト、コールタール、及びポリ塩化ビニルに基づくピッチ前駆体も、炭素繊維の生産に使用することができる。ピッチは相対的に費用が低く炭素収率は高いが、所与のバッチに不均一性の問題があることがある。
幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維材料はガラス繊維材料を含む。CNT浸出ガラス繊維材料は、上述したようなバリアコーティングを組み込む必要はないが、任意選択で使用することができる。ガラス繊維材料に使用するガラスのタイプは、例えばEガラス、Aガラス、E−CRガラス、Cガラス、Dガラス、Rガラス、及びSガラスなど、任意のタイプでよい。Eガラスは重量でアルカリ酸化物が1%未満のアルミノホウケイ酸ガラスを含み、主にガラス強化プラスチックに使用される。Aガラスは酸化ホウ素がほとんど又は全くないアルカリ石灰ガラスを含む。E−CRガラスは重量でアルカリ酸化物が1%未満のアルミノ石灰ケイ酸を含み、高い耐酸性を有する。Cガラスは酸化ホウ素含有率が高いアルカリ石灰ガラスを含み、例えばガラス短繊維に使用される。Dガラスはホウケイ酸ガラスを含み、高い比誘電率を有する。RガラスはMgO及びCaOがないアルミノケイ酸ガラスを含み、高い機械的強度を有する。Sガラスは、CaOはないがMgO含有率が高いアルミノケイ酸ガラスを含み、高い引っ張り強度を有する。これらのガラスタイプの1つ又は複数を処理して上述したガラス繊維材料にすることができる。特定の実施形態では、ガラスはEガラスである。他の実施形態では、ガラスはSガラスである。
幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維材料がガラスのようなセラミック繊維材料を含む場合、バリアコーティングの使用は、セラミック繊維材料の使用時の任意選択である。セラミック遷移材料に使用するセラミックのタイプは、例えばアルミナ及びジルコニアなどの酸化物、炭化ホウ素、炭化ケイ素、及び炭化タングステンなどの炭化物、及び窒化ホウ素及び窒化ケイ素などの窒化物を含む任意のタイプでよい。他のセラミック繊維材料には、例えばホウ化物及びケイ化物が含まれる。セラミック繊維は、玄武岩繊維材料も含むことができる。セラミック繊維材料は、他の繊維タイプとの複合材料として生じることがある。また、例えばガラス繊維を組み込んだ織物様セラミック繊維材料も一般的である。
幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維材料は金属繊維材料を含むが、さらに別の実施形態では、CNT浸出繊維材料は有機繊維材料を含む。EMIシールド用途には任意の繊維材料を使用することができ、厳密な繊維材料の選択は、全体的構造の最終用途に依存し得ることが、当業者には認識される。例えば、高温用途の関連で使用されるEMIシールドに、セラミック繊維材料を使用することができる。
CNT浸出繊維材料は、フィラメント、ヤーン、トウ、テープ、繊維編組、織布、不織繊維マット、繊維プライ、及び他の3D織物構造体に基づく繊維材料を含むことができる。フィラメントは、約1ミクロンから約100ミクロンの間のサイズ範囲の直径を有するアスペクト比が高い繊維を含む。繊維トウは一般的に、密に結合したフィラメントの束であり、通常は一緒に撚り合わされてヤーンとなる。
ヤーンは、撚ったフィラメントを密に結合した束を含む。ヤーン中の各フィラメントの直径は比較的均一である。ヤーンは、1000リニアメートルのグラム単位の重量として表される「テックス」、又は10,000ヤードのポンド単位の重量として表されるデニールで記述される様々な重量を有し、典型的なテックス範囲は通常約200テックスから約2000テックスであるが、この値は使用される正確な繊維材料に依存する。
トウは撚っていないフィラメントを緩やかに結合した束を含む。ヤーンと同様に、トウ中のフィラメントの直径は一般的に均一である。トウも様々な重量を有し、テックス範囲は通常200テックスと2000テックスの間である。これはトウ中の千本単位のフィラメント数で特徴付けられることが多く、例えば12Kのトウ、24Kのトウ、48Kのトウなどである。この場合も、これらの値は使用される繊維材料のタイプに応じて変化する。
テープは、織物として組み立てることができる材料であるか、扁平な不織トウを表すことができる。テープは様々な幅にさせることができ、一般的にリボンに類似した両面構造である。本発明のプロセスは、テープの片側又は両側のCNT浸出に適合する。CNT浸出テープは、平坦な基材表面上の「カーペット」又は「フォレスト(forest)」に類似していることがある。この場合も、本発明のプロセスは、テープのスプールを機能化(官能化)するために連続モードで実行することができる。
繊維編組は、密に詰まった炭素繊維のロープ様構造体を表す。このような構造体は、例えばヤーンから組み立てることができる。編組構造体は中空部分を含むことができる、又は編組構造体は別の芯材料の周囲に組み立てることができる。
幾つかの実施形態では、幾つかの主要繊維材料構造を組織化して織物又はシート様構造にすることができる。これには、上述したテープに加えて、例えば織物、不織繊維マット及び繊維プライが含まれる。このようなより高次の構造は、親繊維に既にCNTが浸出している状態で、親トウ、親ヤーン、親フィラメントなどから組み立てることができる。あるいは、このような構造は、本明細書に記載するCNT浸出プロセスの基材として役立たせることができる。
図1〜図6は、本明細書に記載するプロセスによって作製した炭素繊維材料上に作製したCNTのTEM及びSEM画像を示す。これらの材料を作製する手順は、以下及び実施例I〜IIIでさらに詳述されている。これらの図及び手順は、炭素繊維材料のプロセスを例示しているが、これらのプロセスから大幅に逸脱することなく、以上で列挙したような他の繊維材料を使用できることが、当業者には認識される。図1及び図2は、連続プロセスでAS4炭素繊維上に作製した、それぞれ多層及び2層カーボンナノチューブのTEM画像を示す。図3は、CNT形成ナノ粒子触媒を炭素繊維材料の表面に機械的に浸出させた後に、バリアコーティング内から成長したCNTの走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。図4は、炭素繊維材料上において目標長さ約40ミクロンの20%以内まで成長したCNTの長さ分布の一貫性を実証するSEM画像を示す。図5は、バリアコーティングがCNTの成長に与える効果を実証するSEM画像を示す。高密度で良好に配列されたCNTは、バリアコーティングが適用された場所で成長し、バリアコーティングがない場所ではCNTが成長していない。図6は、繊維全体のCNT密度の均一性が約10%以内であることを実証する炭素繊維上のCNTの低倍率SEMを示す。
次に図7を参照すると、本発明の幾つかの実施形態による複合材料100の断面図が概略的に図示されている。複合材料100は、例えば電気部品のハウジングパネルなどの所望のEM放射シールド特性を有するEMIシールド構造の製造に適切である。複合材料100は、マトリックス140内に存在することがあるトウ又は粗糸などの複数の繊維又はフィラメント110を含む。繊維110にカーボンナノチューブ120を浸出させる。例示的実施形態では、繊維110はガラス(例えばEガラス、Sガラス、Dガラス)繊維でよい。別の実施形態では、繊維110は炭素(グラファイト)繊維でよい。ポリアミド(芳香族ポリアミド、アラミド)(例えばケブラー29及びケブラー49)、金属繊維(例えば鋼、アルミニウム、モリブデン、タンタル、チタン、銅、及びタングステン)、一炭化タングステン、セラミック繊維、金属セラミック繊維(例えばケイ酸アルミニウム)、セルロース繊維、ポリエステル、クォーツ、及び炭化ケイ素などの他の繊維も使用することができる。炭素繊維に関して本明細書に記載するCNT合成プロセスは、任意の繊維タイプのCNT合成に使用することができる。幾つかの実施形態では、金属繊維は、触媒粒子と合金などの金属繊維との間の望ましくない化学反応を防止するために、触媒粒子を適用する前に適切なバリアコーティングでコーティングすることができる。したがって、金属繊維材料を使用する場合、プロセスは、炭素繊維材料に使用されるプロセスと並列にすることができる。同様に、感熱性アラミド繊維も、CNT成長中に使用される典型的な温度から繊維材料を保護するバリアコーティングを使用することができる。
例示的実施形態では、カーボンナノチューブ120は一般的に繊維110の外面から垂直に成長し、それによって個々の各繊維110に半径方向の被覆を提供することができる。カーボンナノチューブ120は、繊維110上のその場で成長することができる。例えば、ガラス繊維110は、約500℃から750℃の所与の温度に維持された成長チャンバーを通して供給することができる。次に、炭素を含有するフィードガスを成長チャンバーに導入することができ、ここで触媒ナノ粒子の存在下で炭素遊離基が解離し、ガラス繊維上でカーボンナノチューブの形成を開始する。
1つの構成では、複合材料100を生成するために、CNT浸出繊維110を樹脂槽に送出する。別の構成でもCNT浸出繊維110から織物を織ることができ、その後に織物を樹脂槽に送出する。樹脂槽は、CNT浸出繊維110及びマトリックス140を含む複合材料100を生成する任意の樹脂を含むことができる。1つの構成では、マトリックス140はエポキシ樹脂マトリックスの形態をとることができる。別の構成では、マトリックス140は、汎用ポリエステル(オルトフタル酸系ポリエステルなど)、改良したポリエステル(イソフタル酸ポリエステルなど)、フェノール樹脂、ビスマレイミド(BMI)樹脂、ポリウレタン、及びビニルエステルのうち1つとすることができる。マトリックス140は、航空宇宙及び/又は軍事用途のように高い動作温度での性能を必要とする用途に有用な非樹脂マトリックス(例えばセラミックマトリックス)の形態もとることができる。マトリックス140は金属マトリックスの形態もとれることが理解される。
CNT浸出繊維110又はそれで織った織物に樹脂マトリックスを含浸する真空補助樹脂浸出法及び樹脂押し出し法などの、既知の複合材料製造法を適用することができる。例えば、CNT浸出繊維110又はその織物を型に敷き、樹脂をその中に浸出することができる。別の構成では、CNT浸出繊維110又はその織物を型に敷くことができ、次にそれを除去し、それを通して樹脂を引く。別の構成では、CNT浸出繊維110を巻きによって「0/90」の配向に織ることができる。これは、例えばCNT浸出繊維110の第1層又はパネルを垂直方向などの第1方向に巻き、次にCNT浸出繊維110の第2層又はパネルを第1方向に対して約90°である水平方向などの第2方向に巻くことによって遂行することができる。このような「0/90」配向は、複合材料100に追加の構造的強度を与えることができる。
カーボンナノチューブ120が浸出した繊維110を熱硬化性プラスチックマトリックス(例えばエポキシ樹脂マトリックス)140に組み込み、複合材料100を形成することができる。繊維をマトリックスに組み込む方法は当技術分野で周知である。1つの構成では、高圧硬化法を使用してCNT浸出繊維110をマトリックス140に組み込むことができる。複合材料のCNT担持は、所与の複合材料中のカーボンナノチューブの重量百分率を表す。CNTベースの複合材料を生産するために当技術分野で知られているプロセスは、ばらばらのカーボンナノチューブを発生期複合材料の樹脂/マトリックスと直接混合する(すなわち、巻き取り可能な長さの繊維に結合しない)ことを含む。このようなプロセスの結果として生じる複合材料は、抑制する粘度などのファクターが増加するので、完成した複合材料中のカーボンナノチューブの重量パーセントを最大で約5重量パーセントに制限することができる。他方で、複合材料100は、本明細書で上述したように25重量%を超えるCNT担持量を有することができる。CNT浸出繊維110を使用して、60重量パーセントものCNT担持量を有する複合材料が実証されている。材料のEMシールド特性は、その導電性に依存する。複合材料100の全体的導電性は、一部は複合材料100のCNT担持量の関数である。したがって、複合材料100のシールド効果は、一部は複合材料100のCNT担持量の関数である。
CNT浸出繊維を自身に組み込んだ上述の複合材料100は、無数のEMIシールド用途のためにレーダシールド特性などの電磁放射を有する構成要素の作製に適している。複合材料100は、赤外線(約700nmから約15センチメートル)、可視(約400nmから約700nm)及び紫外線(約10nmから約400nm)放射などのレーダスペクトルの電磁放射を効果的に吸収及び/又は反射することが実証されている。
例えばその重量及び強度特性に望ましい複合材構造は、EMIシールドが比較的不良であるために、電子デバイスの構成要素を作製するのに適切でないことがある。例えば、一部の繊維複合材料は一般的にEM放射を透過し、したがってEMIシールド特性が比較的不良である。例えばガラス繊維複合材料はEM放射の広いスペクトルにわたって一般的に透過性である。これは誘電性でもあり、導電性及び伝熱性が不良である。CNTをガラス繊維複合材料に組み込むと、得られる複合材料のEM放射吸収性を効果的に向上させる。炭素繊維複合材料は、特定の周波数範囲で良好なEM放射の反射を提供することにより、改善されたEMIシールドから恩恵を受けることがある。炭素繊維材料上のCNTの組み込みは、EM放射の少なくとも一部の吸収又は改善された反射を追加的に提供することにより、炭素繊維複合材料のEMIシールドを強化することができる。吸収の場合、エネルギーはその後、例えば電気アースに移送される。したがって、CNT浸出繊維110を有する複合材料100は、複合材料に関連する低い重量対強度比などの望ましい特性を保持しながら、EMIシールド特性を向上させる。EM放射シールドにおける複合材料の効果は、図16〜図18に例示されるように、複合材料中のカーボンナノチューブの重量百分率を調整することによって調節することができる。
次に図8を参照すると、CNT浸出繊維材料200の断面図が概略的に図示されている。繊維材料200は任意選択でマトリックスを含むことができる。マトリックス材の存在に関係なく、CNT浸出繊維材料200を、以前に作製した複合材料の表面に適用し、複合材料のEMシールド特性を大幅に向上させることができる。幾つかの実施形態では、既製複合材料はそれ自体で不良のEMIシールドを呈することができる。しかし、その表面に配置されたCNT浸出繊維材料は、良好なEMIシールドを提供するのに十分な程度のEMシールド能力を与えることができる。CNT浸出繊維材料200は、既製複合材料の周囲に巻き付けるか織ることができる。幾つかの実施形態では、マトリックス材が、複合材料に配置する前にCNT浸出繊維材料200に以前に存在しなかった場合、配置した後に追加することができる。さらに、このように追加したマトリックス材は、強力な結合を促進するために既製材料と同じマトリックスであるか、同様の特性とすることができる。
CNT浸出繊維材料200は、トウ又は粗糸など、繊維材料210中に複数の繊維を含む。カーボンナノチューブ120が繊維材料210に浸出される。接近して位置決めされたカーボンナノチューブ120のグループ間のファンデルワールス力が、CNT120間の相互作用を十分に増加させることができる。幾つかの実施形態では、この結果、カーボンナノチューブ120のCNT「嵌合」がもたらされ、これはフィラメント間結合又は接着を提供することができる。例示的実施形態では、カーボンナノチューブ120の嵌合は、CNT浸出繊維材料200を統合するために繊維材料210に圧力を適用することによってさらに誘発することができる。フィラメント間結合は、樹脂マトリックスが存在しない状態で繊維トウ、テープ、及び織物の形成を向上させることができる。このフィラメント間結合は、従来の繊維トウ複合材料に使用されるようなフィラメント樹脂結合に対して、剪断強度及び引っ張り強度を増大させることもできる。このようなCNT浸出繊維トウから形成される複合材料繊維材料は、層間剪断強度、引っ張り強度、及び軸外れ強度の上昇とともに良好なEMIシールド特性を呈する。
幾つかの実施形態では、CNTはEMシールド特性を改善するために個別に十分嵌合する必要はない。例えば、CNT間の単純な点接触によって透過経路を形成することができる。このような実施形態では、CNTのまとまりが「緩くなる」と、提供できる電気経路、又は特定の終端点がない閉ループ経路が少なくなるか、疎らになる。これは、EM吸収特性に有利である個別の電気経路を提供することができる。というのは、全体的構造内にEM放射を捕捉するために使用される材料に様々なレベルの誘電率を提供するからである。
1つの構成では、CNT浸出繊維材料200は、ガラス繊維複合材料パネル又は炭素繊維複合材料パネルなどの従来の複合材料の表面にコーティングとして適用され、良好なEMIシールド特性をこのような従来の複合材料に与えることができる。1つの構成では、CNT浸出繊維材料200を複合材料構造の周囲に巻き付け、複合材料構造のEMIシールド特性を向上させることができる。樹脂マトリックスなどのマトリックスのコーティングを、複合材料の表面に適用したCNT浸出繊維材料200の1つ又は複数の層、又はそれで織った織物に適用し、CNT浸出複合繊維200を外部環境から保護することができる。複数層のCNT浸出繊維材料を配置して複数のCNTの配向、長さ及び密度を提供し、EM放射吸収特性を変化させ、様々な周波数帯域でEM放射を吸収し、様々な角度から全体的構造に衝突する源からのEM放射を吸収することができる。
次に図9を参照すると、浸出CNTが複合材料350の頂面355に配置された繊維材料210のコーティング層が概略的に図示されている。複合材料350は、例えば従来の複合材料のガラス又はガラス強化プラスチックの形態をとることができる。別の構成では、複合材料350は、炭素繊維複合材料構造又は炭素繊維強化プラスチック構造の形態をとることができる。複合材料350は、それ自体で良好なレーダ吸収又はEMIシールド特性を必要とする用途に使用するには一般的に適切ではない。しかし、自身上に浸出したCNTを有する繊維材料210のコーティング又は層230を複合材料350の表面355に適用することにより、組み合わせ(すなわち、複合材料350とCNT浸出繊維の組み合わせ)は、大幅に強化されたレーダ吸収又はEMIシールド特性を呈する。例示的実施形態では、繊維210は、樹脂マトリックスなどのマトリックスでカーボンナノチューブ220を浸出させた繊維トウとすることができる。さらに別の例示的実施形態では、繊維210を織って織物を形成することができ、これを複合材料350の頂面355に適用することができる。
幾つかの実施形態では、CNT浸出繊維材料200を織って織物を形成することができる。1つの構成では、繊維のコーティングは、単層のCNT浸出繊維の約20ナノメートル(nm)から多層のCNT浸出繊維の約12.5mmまでの範囲の厚さを有することができる。図示の実施形態は単純さを期して単層の繊維を示しているが、複合材料350上のコーティングを形成するために多層の繊維を使用できることが理解される。
CNT浸出繊維材料200を使用することの利点は、重量対強度比及び他の望ましい機械的及び構造的特性などの複合材料の利点を維持しながら、EMIシールド特性が不良な従来の複合材料と組み合わせて、このようなコーティングを使用できることである。
CNT浸出繊維材料200の層又はコーティングを、複合材料構造の表面上に配置し、複合材料構造のEMIシールド特性を向上させることができる。従来の複合材料に適用されるCNT浸出繊維材料200の層又はコーティングをこのように使用すると、複雑な処理をする必要なく、製造に従来の複合材料を使用することが促進される。
次に図10を参照すると、例示的実施形態によるコーティングシステム400が図示されている。システム400は、上流の繊維源からCNT浸出繊維110を受ける。例示的実施形態では、CNT浸出繊維を、カーボンナノチューブ120が繊維材料上に浸出される成長チャンバーから直接的にコーティングシステム400に導くことができる。CNT浸出繊維110は、槽410に含まれる化学的溶液420内に浸漬され、CNT浸出繊維110はさらに処理される。CNT浸出繊維110は、2つの案内ローラ440、450によって案内される。槽ローラ430は、CNT浸出繊維110を溶液420に浸漬させる。例示的実施形態では、溶液420は鉄系ナノ粒子溶液である。1つの構成では、溶液420は体積で200のヘキサン溶液に対して1の鉄系溶液を含む。CNT浸出繊維110上のカーボンナノチューブ120は、鉄ナノ粒子を吸収し、それによりCNT浸出繊維110及びそこから作製される任意の複合材料のレーダ吸収又はEMIシールド特性をさらに向上させる。CNT浸出繊維110から作製した広帯域織物は、同様に処理して鉄系ナノ粒子を組み込めることが理解される。
幾つかの実施形態では、EM放射シールド複合材料は、制御された方法で繊維材料に浸出させたCNTを有することができる。例えば、CNTは繊維材料の個々の繊維要素の周囲に半径方向に密に現れて成長することができる。他の実施形態では、CNTは成長後にさらに処理され、繊維の軸に沿って直接位置合わせすることができる。これは、機械的又は化学的技術を通して、又は例えば電界を適用することによって達成することができる。
CNTは繊維の軸に対して画定された配向を有することができるので、これでCNTはそこから作成される全体的複合材料構造内で制御された配向を有することができる。これは、上述した巻き及び/又は織りプロセスのいずれかで、又は硬化などのために樹脂マトリックス中のCNT浸出繊維材料の配向を制御することによって達成することができる。
したがって、幾つかの実施形態では、本発明はこれらのEMIシールド複合材料を製造する方法であって、1)マトリックス材内のCNT浸出繊維材料の配向を制御した状態で、マトリックス材の一部にCNT浸出繊維材料を配置することと、2)マトリックス材を硬化することと、を含み、CNT浸出繊維材料の制御された配向が自身上に浸出したCNTの相対的配向を制御する方法を提供する。複合材料製造プロセスは、フィラメントの湿式及び乾式巻き、繊維の配置、手積み成形、さらに樹脂浸出を含むが、それに限定されない。これらのプロセスは、EMI−SEを向上させるためにパネル、部品、構成要素及び/又は構造の作製に使用することができる。
幾つかの実施形態では、本発明は本発明のEMIシールド複合材料を含むパネルを提供する。パネルは、幾つかの実施形態では、EMシールドに使用するために電子デバイスとインタフェースをとるように構成可能にすることができる。CNT浸出繊維材料を有するパネルは、複合材料内で配向が制御されたCNTを有する。パネルは、EMIシールドを最大化するために連続的EM放射透過源の入射衝突角についてその角度を調節するメカニズムを備えることができる。例えば、吸収されるEM放射エネルギーがあれば全て電気信号に変換することができ、それはコンピュータシステムに統合されて、EMIシールドを最大化するためにパネルの配向を変更する。幾つかの実施形態では、EMシールド材料は、検出器用途でEM放射を吸収するためにも使用することができ、ここでは反射したEM放射信号を効率的に捕捉する必要がある。
以上で簡単に述べたように、本発明は連続的CNT浸出プロセスを使用して、CNT浸出繊維材料を生成する。プロセスは、(a)カーボンナノチューブ形成触媒を巻き取り可能な寸法の繊維材料の表面に配置することと、(b)カーボンナノチューブを炭素繊維材料上に直接合成し、それによってカーボンナノチューブ浸出繊維材料を形成することとを含む。使用されている繊維材料のタイプに応じて、追加のステップを使用することができる。例えば、炭素繊維材料を使用する場合、バリアコーティングを組み込むステップをプロセスに追加することができる。
長さ9フィートのシステムでは、プロセスのラインスピードは約1.5フィート/分から約108フィート/分の範囲とすることができる。本明細書で説明するプロセスによって達成されるラインスピードは、商業的に適量のCNT浸出繊維材料を短い生産時間で形成可能にする。例えば36フィート/分のラインスピードでは、独立した5つのトウ(20ポンド/トウ)を同時に処理するように設計されたシステムにおいて、1日に生産されるCNT浸出繊維(繊維上に浸出するCNTが5重量%超)の量は100ポンドを上回る。システムは、成長ゾーンを繰り返すことによって、一度に、又はより高速に大量のトウを生産するように構成され得る。さらに、CNTの作製工程の中には、当該技術分野で知られているように、連続モードの運転を阻む極低速なものがある。例えば、当技術分野で知られている典型的なプロセスにおいて、CNT形成触媒の還元ステップは、実行するのに1〜12時間かかることがある。CNTの成長自体も時間がかかることがあり、例えばCNTの成長に数十分が必要で、本発明で実現される迅速なラインスピードを使用できなくする。本明細書で説明するプロセスは、このような律速工程を解消する。
本発明のCNT浸出炭素繊維材料形成プロセスは、事前に形成されたカーボンナノチューブの懸濁液を繊維材料に適用しようとする場合に生じるCNTの絡み合いを回避できる。すなわち、事前に形成されたCNTは炭素繊維材料に融合しないため、CNTが束になって絡みやすくなる。その結果、炭素繊維材料への付着が弱いCNTの均一分布性は不良となる。しかし、本発明のプロセスは、必要に応じて、成長密度を低下させることによって、炭素繊維材料の表面上に高均一に絡み合ったCNTマットを提供できる。低密度で成長したCNTは、最初に炭素繊維材料に浸出する。そのような実施形態では、繊維は垂直方向の配列を生じさせるほどには高密度で成長せず、その結果、炭素繊維材料表面上に絡み合ったマットが生じる。対照的に、事前に形成されたCNTを手作業で塗布する場合、炭素繊維材料上のCNTマットの分布及び密度を確実に均一にすることはできない。
図11は、本発明の例示的実施形態によりCNT浸出炭素繊維材料を生産するプロセス700の流れ図を示す。炭素繊維材料上のCNT浸出を例示するこのプロセスのわずかな変形は、例えばガラス又はセラミック繊維などの他のCNT浸出繊維材料を提供するように変更できることが、当業者には認識される。条件のこのような変更には、例えばガラス及びセラミックでは任意選択であるバリアコーティングを適用するステップを除くことも含む。
プロセス700は、少なくとも以下の工程を含む。
701:炭素繊維材料を機能化すること。
702:機能化した炭素繊維材料にバリアコーティング及びCNT形成触媒を適用すること。
704:カーボンナノチューブの合成に十分な温度まで炭素繊維材料を加熱すること。
706:触媒を含む炭素繊維材料上においてCVDを介したCNT成長を促進すること。
工程701では、炭素繊維材料を機能化して、繊維の表面湿潤を促進し、バリアコーティングの付着性を向上させる。
カーボンナノチューブを炭素繊維材料に浸出させるために、例えば、カーボンナノチューブは、バリアコーティングで等角的にコーティングされた炭素繊維材料上で合成される。一実施形態では、これは、工程702のように、最初に炭素繊維材料をバリアコーティングで等角的にコーティングし、次にバリアコーティング上にナノチューブ形成触媒を配置することにより達成される。幾つかの実施形態では、バリアコーティングを、触媒の付着前に部分的に硬化させることができる。これにより、CNT形成触媒と炭素繊維材料との表面接触が可能となるなど、触媒を受け入れてバリアコーティングに埋め込み可能な表面を提供することができる。このような実施形態では、バリアコーティングは触媒を埋め込んだ後に十分に硬化可能である。幾つかの実施形態では、バリアコーティングは、CNT形成触媒の付着と同時に炭素繊維材料に等角的にコーティングされる。CNT形成触媒及びバリアコーティングが適切に配置されると、バリアコーティングを十分硬化させることができる。
幾つかの実施形態では、バリアコーティングは触媒の付着前に十分硬化可能である。このような実施形態では、十分硬化したバリアコーティングを施した炭素繊維材料をプラズマで処理して、触媒を受け入れる表面を作製することができる。例えば、硬化したバリアコーティングを有するプラズマ処理済み炭素繊維材料は、CNT形成触媒の付着が可能な粗面化した表面を提供することができる。したがって、バリアコーティングの表面を「粗面化する」プラズマプロセスは、触媒の付着を容易にする。粗さは通常、ナノメートルのスケールである。プラズマ処理プロセスで、深さ及び直径が数ナノメートル単位のクレータ又は窪みが形成される。このような表面改質は、限定するものではないが、アルゴン、ヘリウム、酸素、窒素、及び水素など、種々異なる1以上のあらゆるガスをプラズマに使用して達成される。幾つかの実施形態では、プラズマによる粗面化は、炭素繊維材料自体にも直接実行される。これにより、炭素繊維材料へのバリアコーティングの付着が容易になる。
以下で、及び図11に関してさらに説明するように、触媒は、遷移金属ナノ粒子を備えるCNT形成触媒を含む溶液として作製される。合成されたナノチューブの直径は、前述のように、金属粒子のサイズに関連する。幾つかの実施形態では、CNT形成遷移金属ナノ粒子触媒の市販分散液が入手可能であり、希釈せずに使用されるが、他の実施形態では触媒の市販分散体を希釈する。このように溶液を希釈するか否かは、前述のように、成長させるCNTの所望の密度及び長さに基づいて決定することができる。
図11の例示的実施形態を参照すると、化学蒸着(CVD)プロセスに基づくカーボンナノチューブ合成が図示され、これは高温で実行される。具体的な温度は、触媒の選択に依存するが、通常は、約500℃から約1000℃の範囲である。したがって、工程704は、バリアコーティングを施した炭素繊維材料を前述した範囲の温度まで加熱して、カーボンナノチューブの合成を支援することを含む。
次に、工程706では、触媒を含む炭素繊維材料上でCVDにより促進されるナノチューブ成長が行われる。CVDプロセスは、例えばアセチレン、エチレン、及び/又はエタノールなどの炭素含有原料ガスにより行われる。CNT合成プロセスは、主要なキャリアガスとして、一般に、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム)を使用する。炭素原料は、混合物全体の約0%から約15%の範囲で供給される。CVD成長のための略不活性環境は、成長チャンバーから水分及び酸素を除去して準備される。
CNT合成プロセスでは、CNTは、CNT形成遷移金属ナノ粒子触媒の位置で成長する。強プラズマ励起電界の存在を任意に用いて、ナノチューブの成長に影響を与えることができる。すなわち、成長は電界方向に従う傾向がある。プラズマスプレー及び電界の配置を適切に調節することにより、垂直配列の(すなわち、炭素繊維材料に対して垂直な)CNTを合成できる。一定の条件下では、プラズマがない場合であっても、密集したナノチューブは成長方向を垂直に維持し、その結果、カーペット又は森林に似た高密度アレイのCNTとなる。バリアコーティングの存在もCNT成長の方向性に影響を及ぼすことができる。
炭素繊維材料上に触媒を配置する工程は、溶液のスプレー若しくは浸漬コーティングにより、又は、例えば、プラズマプロセスを介した気相蒸着により可能である。手法の選択は、バリアコーティングの適用モードに合わせることができる。したがって、幾つかの実施形態では、溶媒に触媒を含んだ溶液を形成した後、その溶液で、バリアコーティングを施した炭素繊維材料をスプレー若しくは浸漬コーティングすることにより、又はスプレーと浸漬コーティングとの組合せにより、触媒が適用される。単独で、あるいは組み合わせて用いられるいずれか一方の手法は、1回、2回、3回、4回、あるいは何回でも使用され、これにより、CNT形成触媒で十分均一にコーティングされた炭素繊維材料を提供することができる。例えば浸漬コーティングを使用した場合、炭素繊維材料を、第1の浸漬槽において、第1の滞留時間だけ第1の浸漬槽内に置くことができる。第2の浸漬槽を使用する場合は、炭素繊維材料を、第2の滞留時間だけ第2の浸漬槽内に置くことができる。例えば、炭素繊維材料は、浸漬構成及びラインスピードに応じて約3秒〜約90秒間、CNT形成触媒の溶液にさらされる。スプレー又は浸漬コーティングのプロセスを使用すると、炭素繊維材料は、表面被覆率で約5%未満から約80%もの触媒の表面密度を備えて処理され、そのCNT形成触媒ナノ粒子は殆ど単分子層となる。幾つかの実施形態では、炭素繊維材料上にCNT形成触媒をコーティングするプロセスは、単分子層だけを生産するはずである。例えば、積み重なったCNT形成触媒上にCNTが成長すると、炭素繊維材料へのCNT浸出の程度を損なうことがある。他の実施形態では、遷移金属触媒は、蒸着技術、電界析出技術、及び当業者に既知の他のプロセス(例えば、遷移金属触媒を、有機金属、金属塩又は気相輸送を促進する他の組成物としてのプラズマ原料ガスへ添加することなど)を使用して、炭素繊維材料上に付着し得る。
本発明のプロセスは連続的となるように設計されるので、一連の槽で巻き取り可能な炭素繊維材料に浸漬コーティングを施すことが可能である(この場合、浸漬コーティング槽は空間的に分離されている)。発生期の炭素繊維材料を新たに生成する連続プロセスでは、CNT形成触媒の浸漬コーティング又はスプレーは、バリアコーティングを炭素繊維材料に適用して、硬化又は部分硬化した後の第1段階となり得る。バリアコーティング及びCNT形成触媒の適用は、新たに形成される炭素繊維材料のために、サイジングの適用に代えて行われる。他の実施形態では、CNT形成触媒は、バリアコーティング後に、他のサイジング剤の存在下で、新たに形成された炭素繊維に適用される。CNT形成触媒及び他のサイジング剤のこのような同時適用によっても、炭素繊維材料のバリアコーティングと表面接触するCNT形成触媒を供給し、これにより、CNTの浸出を確実にすることができる。
使用する触媒溶液は遷移金属ナノ粒子でよく、これは前述したように任意のdブロック遷移金属でよい。また、ナノ粒子には、元素形態又は塩形態のdブロック金属の合金及び非合金混合物、並びにその混合物が含まれる。このような塩形態としては、限定するものではないが、酸化物、炭化物、及び窒化物が挙げられる。限定しない例示的な遷移金属NPとしては、Ni、Fe、Co、Mo、Cu、Pt、Au及びAg及びその塩、並びに、その混合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、このようなCNT形成触媒は、バリアコーティングの付着と同時に、CNT形成触媒を炭素繊維材料に直接適用する又は浸出させることによって、炭素繊維材料に付着する。これらの遷移金属触媒の多くは、例えばFerrotec Corporation(ニューハンプシャー州ベッドフォード)などの様々な供給業者から市販されており容易に入手可能である。
CNT形成触媒を炭素繊維材料に適用するために使用する触媒溶液は、CNT形成触媒を全体にわたって均一に分散可能にするいかなる共通溶媒でもよい。このような溶媒としては、限定するものではないが、水、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、トルエン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサン、又はCNT形成触媒ナノ粒子の適切な分散系を形成するために極性が制御された他のいかなる溶媒も含まれる。CNT形成触媒の濃度は、触媒対溶媒で、約1:1から1:10000の範囲とすることができる。このような濃度は、バリアコーティングとCNT形成触媒を同時に適用する場合にも使用することができる。
幾つかの実施形態では、CNT形成触媒の付着後、カーボンナノチューブを合成するために、炭素繊維材料は、約500℃と1000℃の間の温度に加熱される。これらの温度への加熱は、CNT成長のための炭素原料を導入する前に、又はそれと略同時に行われる。
幾つかの実施形態では、本発明は、炭素繊維材料からサイジング剤を除去することと、炭素繊維材料にバリアコーティングを等角的に適用することと、CNT形成触媒を炭素繊維材料に適用することと、炭素繊維材料を少なくとも500℃に加熱することと、炭素繊維材料上でカーボンナノチューブを合成することと、を含むプロセスを提供することができる。幾つかの実施形態では、CNT浸出プロセスの工程は、炭素繊維材料からサイジングを除去することと、バリアコーティングを炭素繊維材料に適用することと、CNT形成触媒を炭素繊維に適用することと、繊維をCNT合成温度まで加熱することと、触媒を含む炭素繊維材料をCVDで促進されたCNT成長させることとを含む。したがって、市販の炭素繊維材料を使用する場合、CNT浸出炭素繊維材料を構成するためのプロセスは、バリアコーティング及び触媒を炭素繊維材料上に配置する前に、炭素繊維材料からサイジングを除去する個別の工程を含むことができる。
カーボンナノチューブを合成する工程は、参照により本明細書に組み込まれる同時係属の米国特許出願US2004/0245088号に開示されているものなど、カーボンナノチューブを形成する多くの手法を含むことができる。本発明の繊維上で成長するCNTは、限定するものではないが、マイクロキャビティ、熱又はプラズマ促進CVD法、レーザアブレーション、アーク放電、及び高圧一酸化炭素(HiPCO)など、当該技術分野において既知の手法により得られる。CVD中は特に、バリアコーティングを施され、その上にCNT形成触媒が配置された炭素繊維材料を直接使用することができる。幾つかの実施形態では、CNT合成の前に従来のサイジング剤を全て除去することができる。幾つかの実施形態では、アセチレンガスをイオン化して、CNT合成のための低温炭素プラズマジェットを生じさせる。プラズマは、触媒を担持する炭素繊維材料に向かって配向される。このように、幾つかの実施形態では、炭素繊維材料上のCNT合成は、(a)炭素プラズマを形成すること、及び(b)炭素繊維材料上に配置された触媒の方向に炭素プラズマを配向することを含む。成長したCNTの直径は、前述のように、CNT形成触媒のサイズにより決定される。幾つかの実施形態では、サイジングした繊維基材を約550℃〜約800℃に加熱して、これによりCNTの合成を容易にする。CNTの成長を開始するために、アルゴン、ヘリウム、又は窒素などのプロセスガスと、アセチレン、エチレン、エタノール又はメタンなどの炭素含有ガスと、の2つのガスが反応器に流される。CNTはCNT形成触媒の位置で成長する。
幾つかの実施形態では、CVD成長はプラズマで促進される。プラズマは、成長プロセス中に電界を与えることによって生成される。この条件下で成長するCNTは、電界方向に従う。したがって、反応器の配置を調節することにより、垂直に配列されたカーボンナノチューブを円筒形繊維の周囲に半径方向に成長させることができる。幾つかの実施形態では、繊維の周囲から半径方向に成長させるためにプラズマは必要とされない。テープ、マット、布地、プライなどのように明確な面を有する炭素繊維材料の場合は、触媒を片面又は両面に配置させることができ、それに応じてCNTも片面又は両面で成長することができる。
前述したように、CNT合成は、巻き取り可能な炭素繊維材料を機能化する連続プロセスを提供するのに十分な速度で行われる。以下に例示されるように、このような連続的な合成は、多くの装置構成により容易となる。
幾つかの実施形態では、CNT浸出炭素繊維材料は「全プラズマ」プロセスで構成される。全プラズマプロセスは、前述のように、炭素繊維材料をプラズマで粗面化することから始まり、これにより、繊維表面の湿潤特性を向上させて、より等角的なバリアコーティングを提供するとともに、機械的連動を介してコーティングの付着、及びアルゴン又はヘリウム系プラズマ内で酸素、窒素、水素などの特定の反応ガス種を使用することによる炭素繊維材料の機能化を用いた化学的付着を向上させることができる。
バリアコーティングを施した炭素繊維材料は、更なる多数のプラズマ介在工程を通過して、最終的なCNT浸出製品を形成する。幾つかの実施形態では、全プラズマプロセスは、バリアコーティングが硬化した後の第2の表面改質を含むことができる。これは、炭素繊維材料上のバリアコーティング表面を「粗面化」して、触媒の付着を容易にするプラズマプロセスである。前述したように、表面改質としては、限定するものではないが、アルゴン、ヘリウム、酸素、アンモニア、水素、及び窒素などの種々異なる1以上のガスからなるプラズマを用いて実現可能である。
表面改質後に、バリアコーティングを施した炭素繊維材料は触媒の適用へと進む。これは、CNT形成触媒を繊維上に付着させるプラズマプロセスである。CNT形成触媒は、通常、前述したような遷移金属である。遷移金属触媒は、強磁性流体、有機金属、金属塩、又は気相輸送を促進する他の組成物の形態の前駆体として、プラズマ原料ガスに添加され得る。触媒は周囲環境内で室温にて適用可能であり、真空雰囲気も不活性雰囲気のいずれも必要ではない。幾つかの実施形態では、触媒を適用する前に、炭素繊維材料は冷却される。
全プラズマプロセスを継続すると、カーボンナノチューブの合成がCNT成長反応器内で起こる。これは、プラズマ促進化学蒸着を使用することによって達成することができ、炭素プラズマが触媒を含む繊維にスプレーされる。カーボンナノチューブの成長は高温(通常は触媒に応じて約500から1000℃の範囲)で起こるので、触媒を含む繊維は炭素プラズマにさらされる前に加熱される。浸出プロセスのために、炭素繊維材料は、軟化するまで任意に加熱されてよい。加熱後、炭素繊維材料は炭素プラズマを受ける準備が整う。炭素プラズマは、例えばアセチレン、エチレン、エタノールなどの炭素含有ガスを、ガスのイオン化が可能な電界に通すことにより生成される。この低温炭素プラズマは、スプレーノズルを介して炭素繊維材料へと配向される。炭素繊維材料は、プラズマを受けるために、スプレーノズルから約1センチメートル以内など、スプレーノズルにごく近接していてもよい。幾つかの実施形態では、プラズマスプレーにて炭素繊維材料の上にヒータが配置され、炭素繊維材料を高温に維持する。
連続的なカーボンナノチューブ合成の別の構成は、炭素繊維材料上でカーボンナノチューブを直接合成し、成長させる専用の矩形反応器を含む。反応器は、カーボンナノチューブを担持する繊維を生産するための連続的なインラインプロセス用に設計され得る。幾つかの実施形態では、CNTは、化学蒸着(「CVD」)により、大気圧、かつ、約550℃から約800℃の範囲の高温で、マルチゾーン反応器内で成長する。合成が大気圧で生じるということは、繊維上でCNTを合成するための連続的な処理ラインに反応器を組み込むことを容易にする1つの要素である。このようなゾーン反応器を使用する連続的なインライン処理に合致する別の利点は、CNTの成長が秒単位で生じることであり、当技術分野で典型的な他の手法及び装置構成における分単位(又はもっと長い)とは対照的である。
様々な実施形態によるCNT合成反応器は、以下の特徴を含む。
矩形に構成された合成反応器:
当技術分野で既知の標準的なCNT合成反応器は横断面が円形である。これには、例えば、歴史的理由(ラボラトリでは円筒状の反応器が使用されることが多い)と利便性(流体力学は円筒状反応器にモデル化すると容易になり、また、加熱器システムは円管(石英など)に容易に対応する)、並びに、製造の容易性など、幾つかの理由がある。
本発明は、従来の円筒形状を変えて、矩形断面を有するCNT合成反応器を提供する。変更の理由は以下の通りである:
1.反応器により処理できる多くの炭素繊維材料は、例えば、平坦なテープ又はシート状の形態のように比較的平面的であるので、円形横断面では反応器の体積の利用が不十分である。この不十分な利用は、円筒状のCNT合成反応器にとって、例えば、以下のa)ないしc)に挙げるような幾つかの欠点となる。
a)十分なシステムパージの維持。反応器の体積が増加すると、同レベルのガスパージを維持するためにガス流量を増加させる必要がある。これは、開放環境におけるCNTの大量生産には不十分なシステムとなる。
b)炭素原料ガス流量の増加。前記a)のように、不活性ガス流量を相対的に増加させるには、炭素原料ガス流量を増加させる必要がある。12Kの炭素繊維トウの体積が、矩形横断面を有する合成反応器の全体積に対して2000分の1であることを考慮されたい。同等の円筒状成長反応器(すなわち、矩形横断面の反応器と同じ平坦化された炭素繊維材料を収容できるだけの幅を有する円筒状の反応器)では、炭素繊維材料の体積はチャンバー体積の17,500分の1になる。CVDなどのガス付着プロセスは、通常、圧力及び温度のみに支配されるが、体積は付着の効率に顕著な影響を及ぼす。矩形反応器の場合でも、なお過剰な体積がある。この過剰な体積は、無用の反応を助長するが、それでも円筒状反応器では、その体積が約8倍もある。このように競合する反応が生じる可能性が高まるので、所望の反応が生じるには、円筒形反応器のチャンバーでは一層遅くなってしまう。このようなCNT成長の速度低下は、連続プロセスの進行にとって問題となる。矩形反応器構成の1つの利点は、矩形チャンバーの低い高さを用いて反応器の容積を減少させ、これにより体積比を向上させて、反応をさらに効率化できることである。本発明の幾つかの実施形態には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積に対して僅か約3000倍にしかすぎないものがある。他の幾つかの実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積の約4000倍にしかすぎないものもある。さらに他の幾つかの実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積は、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積に対して約10,000倍未満のものがある。また、円筒状反応器を使用した場合、矩形横断面を有する反応器と比較すると、同じ流量割合を提供するためには、より大量の炭素原料ガスが必要であることに留意されたい。当然のことながら、他の幾つかの実施形態の中には、矩形ではないが、これに類似し、かつ、円形横断面を有する反応器に対して、反応器の体積を同様に低減する多角形状で表される横断面を有する合成反応器がある。
c)問題となる温度分布。比較的小径の反応器を使用する場合、チャンバー中心からその壁面までの温度勾配はごく僅かである。しかし、工業規模の生産に使用されるなど、サイズの増加とともに、温度勾配が増大する。このような温度勾配は、炭素繊維材料基材毎に製品品質がばらつく(すなわち、製品品質が半径方向の位置に応じて変化する)原因となる。この問題は、矩形横断面を有する反応器を使用した場合に殆ど回避される。特に、平面的な基材を使用する場合、基材のサイズが大きくなったときに、反応器の高さを一定に維持することができる。反応器の頂部と底部との間の温度勾配は基本的に無視することができ、その結果、熱的な問題及びそれによる製品品質のばらつきが回避される。
2.ガス導入。当技術分野では、通常、管状炉を使用するので、典型的なCNT合成反応器は、ガスを一端に導入し、それを反応器に通して他端から引き出している。本明細書で開示する幾つかの実施形態では、ガスが、反応器の両側面又は反応器の頂面及び底面のいずれかを通して対照的に、反応器の中心、又は対象とする成長ゾーン内に導入される。これにより、流入する原料ガスが、CNTの成長が最も活発であるシステムの最高温度部分に連続的に補給されるので、全体的なCNTの成長速度が向上する。このような一定のガス補給は、矩形のCNT反応器が示す成長速度向上の重要な側面である。
当技術分野で既知の標準的なCNT合成反応器は横断面が円形である。これには、例えば、歴史的理由(ラボラトリでは円筒状の反応器が使用されることが多い)と利便性(流体力学は円筒状反応器にモデル化すると容易になり、また、加熱器システムは円管(石英など)に容易に対応する)、並びに、製造の容易性など、幾つかの理由がある。
本発明は、従来の円筒形状を変えて、矩形断面を有するCNT合成反応器を提供する。変更の理由は以下の通りである:
1.反応器により処理できる多くの炭素繊維材料は、例えば、平坦なテープ又はシート状の形態のように比較的平面的であるので、円形横断面では反応器の体積の利用が不十分である。この不十分な利用は、円筒状のCNT合成反応器にとって、例えば、以下のa)ないしc)に挙げるような幾つかの欠点となる。
a)十分なシステムパージの維持。反応器の体積が増加すると、同レベルのガスパージを維持するためにガス流量を増加させる必要がある。これは、開放環境におけるCNTの大量生産には不十分なシステムとなる。
b)炭素原料ガス流量の増加。前記a)のように、不活性ガス流量を相対的に増加させるには、炭素原料ガス流量を増加させる必要がある。12Kの炭素繊維トウの体積が、矩形横断面を有する合成反応器の全体積に対して2000分の1であることを考慮されたい。同等の円筒状成長反応器(すなわち、矩形横断面の反応器と同じ平坦化された炭素繊維材料を収容できるだけの幅を有する円筒状の反応器)では、炭素繊維材料の体積はチャンバー体積の17,500分の1になる。CVDなどのガス付着プロセスは、通常、圧力及び温度のみに支配されるが、体積は付着の効率に顕著な影響を及ぼす。矩形反応器の場合でも、なお過剰な体積がある。この過剰な体積は、無用の反応を助長するが、それでも円筒状反応器では、その体積が約8倍もある。このように競合する反応が生じる可能性が高まるので、所望の反応が生じるには、円筒形反応器のチャンバーでは一層遅くなってしまう。このようなCNT成長の速度低下は、連続プロセスの進行にとって問題となる。矩形反応器構成の1つの利点は、矩形チャンバーの低い高さを用いて反応器の容積を減少させ、これにより体積比を向上させて、反応をさらに効率化できることである。本発明の幾つかの実施形態には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積に対して僅か約3000倍にしかすぎないものがある。他の幾つかの実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積が、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積の約4000倍にしかすぎないものもある。さらに他の幾つかの実施形態の中には、矩形合成反応器の全体積は、合成反応器を通過している炭素繊維材料の全体積に対して約10,000倍未満のものがある。また、円筒状反応器を使用した場合、矩形横断面を有する反応器と比較すると、同じ流量割合を提供するためには、より大量の炭素原料ガスが必要であることに留意されたい。当然のことながら、他の幾つかの実施形態の中には、矩形ではないが、これに類似し、かつ、円形横断面を有する反応器に対して、反応器の体積を同様に低減する多角形状で表される横断面を有する合成反応器がある。
c)問題となる温度分布。比較的小径の反応器を使用する場合、チャンバー中心からその壁面までの温度勾配はごく僅かである。しかし、工業規模の生産に使用されるなど、サイズの増加とともに、温度勾配が増大する。このような温度勾配は、炭素繊維材料基材毎に製品品質がばらつく(すなわち、製品品質が半径方向の位置に応じて変化する)原因となる。この問題は、矩形横断面を有する反応器を使用した場合に殆ど回避される。特に、平面的な基材を使用する場合、基材のサイズが大きくなったときに、反応器の高さを一定に維持することができる。反応器の頂部と底部との間の温度勾配は基本的に無視することができ、その結果、熱的な問題及びそれによる製品品質のばらつきが回避される。
2.ガス導入。当技術分野では、通常、管状炉を使用するので、典型的なCNT合成反応器は、ガスを一端に導入し、それを反応器に通して他端から引き出している。本明細書で開示する幾つかの実施形態では、ガスが、反応器の両側面又は反応器の頂面及び底面のいずれかを通して対照的に、反応器の中心、又は対象とする成長ゾーン内に導入される。これにより、流入する原料ガスが、CNTの成長が最も活発であるシステムの最高温度部分に連続的に補給されるので、全体的なCNTの成長速度が向上する。このような一定のガス補給は、矩形のCNT反応器が示す成長速度向上の重要な側面である。
ゾーン分け:
比較的低温のパージゾーンを提供するチャンバーは、矩形合成反応器の両端から延びる。出願人は、仮に高温ガスが外部環境(すなわち、反応器の外部)と接触すると、炭素繊維材料の劣化が増大することを究明した。低温のパージゾーンは、内部システムと外部環境との間の緩衝となる。当技術分野で既知の典型的なCNT合成反応器の構成は、通常、基材を慎重に(及び緩やかに)冷却することが求められる。本発明の矩形CNT成長反応器の出口における低温のパージゾーンは、連続的なインライン処理に必要とされるような短期間での冷却を実現する。
比較的低温のパージゾーンを提供するチャンバーは、矩形合成反応器の両端から延びる。出願人は、仮に高温ガスが外部環境(すなわち、反応器の外部)と接触すると、炭素繊維材料の劣化が増大することを究明した。低温のパージゾーンは、内部システムと外部環境との間の緩衝となる。当技術分野で既知の典型的なCNT合成反応器の構成は、通常、基材を慎重に(及び緩やかに)冷却することが求められる。本発明の矩形CNT成長反応器の出口における低温のパージゾーンは、連続的なインライン処理に必要とされるような短期間での冷却を実現する。
非接触、ホットウォール型、金属製反応器:
幾つかの実施形態では、金属、特にステンレス鋼で作成されたホットウォール型反応器を使用する。これは、金属、特にステンレス鋼が炭素の付着を受けやすい(すなわち、煤及び副生成物が形成されやすい)ために、常識に反するようにも考えられる。したがって、大部分のCNT反応器構成は石英反応器を使用する。その方が炭素の付着が少なく、石英の方が洗浄しやすく、石英が試料の観察を容易にするからである。しかし、出願人は、ステンレス鋼における煤及び炭素の付着が増加した結果、より着実、より高速、より効率的、かつ、より安定的なCNT成長がもたらされること、を見つけた。理論に拘束されることなく、大気圧運転と連動して、反応器内で起こるCVDプロセスでは拡散が制限されることが示されている。すなわち、触媒に「過度に供給される」、つまり、過量の炭素が、(反応器が不完全真空下で運転している場合よりも)その相対的に高い分圧により、反応器システム内で使用可能である。その結果、開放システム、特に清浄な開放システムでは、過量の炭素が触媒粒子に付着して、CNTの合成能力を低下させる。幾つかの実施形態では、反応器に「汚れが付いて」いる、すなわち、金属反応器壁に煤が付着している場合に、矩形反応器を意図的に運転する。炭素が反応器壁上の単分子層に付着すると、炭素は、自身上に容易に付着することになる。使用可能な炭素の中には、このメカニズムにより「回収される」ものがあるので、遊離基の形態で残っている炭素原料が、触媒を被毒させない速度で触媒と反応する。既存のシステムは「清浄に」運転されるが、連続処理のために開放状態であれば、成長速度が低下して、はるかに低い収率でしかCNTを生産できない。
幾つかの実施形態では、金属、特にステンレス鋼で作成されたホットウォール型反応器を使用する。これは、金属、特にステンレス鋼が炭素の付着を受けやすい(すなわち、煤及び副生成物が形成されやすい)ために、常識に反するようにも考えられる。したがって、大部分のCNT反応器構成は石英反応器を使用する。その方が炭素の付着が少なく、石英の方が洗浄しやすく、石英が試料の観察を容易にするからである。しかし、出願人は、ステンレス鋼における煤及び炭素の付着が増加した結果、より着実、より高速、より効率的、かつ、より安定的なCNT成長がもたらされること、を見つけた。理論に拘束されることなく、大気圧運転と連動して、反応器内で起こるCVDプロセスでは拡散が制限されることが示されている。すなわち、触媒に「過度に供給される」、つまり、過量の炭素が、(反応器が不完全真空下で運転している場合よりも)その相対的に高い分圧により、反応器システム内で使用可能である。その結果、開放システム、特に清浄な開放システムでは、過量の炭素が触媒粒子に付着して、CNTの合成能力を低下させる。幾つかの実施形態では、反応器に「汚れが付いて」いる、すなわち、金属反応器壁に煤が付着している場合に、矩形反応器を意図的に運転する。炭素が反応器壁上の単分子層に付着すると、炭素は、自身上に容易に付着することになる。使用可能な炭素の中には、このメカニズムにより「回収される」ものがあるので、遊離基の形態で残っている炭素原料が、触媒を被毒させない速度で触媒と反応する。既存のシステムは「清浄に」運転されるが、連続処理のために開放状態であれば、成長速度が低下して、はるかに低い収率でしかCNTを生産できない。
CNT合成を、前述のように「汚れが付いて」いる状態で実施するのは概して有益であるが、それにもかかわらず、ガスマニホールド及びガス入口などの装置の特定部分は、煤が閉塞状態を引き起こした場合にCNTの成長プロセスに悪影響を及ぼすことがある。この問題に対処するために、CNT成長反応チャンバーのこのような部分を、例えば、シリカ、アルミナ、又はMgOなどの煤抑制コーティングで保護することができる。実際には、装置のこのような部分は、これらの煤抑制コーティングで浸漬コーティングが施される。これらのコーティングには、INVAR(登録商標)などの金属を使用することができる。何故なら、INVARは同様のCTE(熱膨張率)を有し、より高温におけるコーティングの適切な付着を確実に行い、重要なゾーンにおける煤の大量蓄積を防止するからである。
触媒還元及びCNT合成の組合せ:
本明細書で開示するCNT合成反応器では、触媒還元及びCNT成長のいずれもが反応器内で生じる。このことが重要であるのは、還元工程が個別の工程として実施されると、連続プロセスで使用するのに十分タイムリーに行えなくなるからである。当技術分野で既知の典型的なプロセスでは、還元工程の実施には、通常、1〜12時間かかる。本発明によれば、両工程は1つの反応器内で起こるが、これは、少なくとも1つには、炭素原料ガスを導入するのが、円筒状反応器を使用する当技術分野で典型的な反応器の端部ではなく、中心部であることに起因する。還元プロセスは、繊維が加熱ゾーンに入ると生じる。この時点までに、ガスには、触媒と反応して(水素とラジカルの相互作用を介した)酸化還元を引き起こす前に、壁と反応して冷却するまでの時間がある。還元が生じるのはこの遷移領域である。システムの最高温度の等温ゾーンにて、CNTが成長し、最速の成長速度は反応器の中心付近にあるガス入口の近傍で生じる。
本明細書で開示するCNT合成反応器では、触媒還元及びCNT成長のいずれもが反応器内で生じる。このことが重要であるのは、還元工程が個別の工程として実施されると、連続プロセスで使用するのに十分タイムリーに行えなくなるからである。当技術分野で既知の典型的なプロセスでは、還元工程の実施には、通常、1〜12時間かかる。本発明によれば、両工程は1つの反応器内で起こるが、これは、少なくとも1つには、炭素原料ガスを導入するのが、円筒状反応器を使用する当技術分野で典型的な反応器の端部ではなく、中心部であることに起因する。還元プロセスは、繊維が加熱ゾーンに入ると生じる。この時点までに、ガスには、触媒と反応して(水素とラジカルの相互作用を介した)酸化還元を引き起こす前に、壁と反応して冷却するまでの時間がある。還元が生じるのはこの遷移領域である。システムの最高温度の等温ゾーンにて、CNTが成長し、最速の成長速度は反応器の中心付近にあるガス入口の近傍で生じる。
幾つかの実施形態では、例えば、炭素トウなど、緩くまとまった炭素繊維材料を使用する場合、連続プロセスは、トウのストランド及び/又はフィラメントを展開する工程を含むことができる。したがって、トウがスプールから繰り出されるときに、例えば、真空ベースの開繊システムを使用して開繊される。サイジングされて比較的堅い炭素繊維材料を使用する場合、トウを「軟化」して繊維の開繊を容易にするために、更なる加熱を使用できる。個々のフィラメントを含んで構成される開繊繊維は、フィラメントの全表面積をさらせるように十分分離して開繊され、こうして後続の処理工程でトウがさらに効率的に反応できるようにする。このような開繊は、3kのトウ全体を約4インチから約6インチに近づけることができる。開繊した炭素トウは、前述のようにプラズマシステムで構成される表面処理工程を通過することができる。バリアコーティングを適用して粗面化した後、開繊繊維は、次に、CNT形成触媒の浸漬槽を通過することができる。その結果、触媒粒子が表面上で半径方向に分布した炭素トウの繊維になる。触媒を含んだトウの繊維は、その後、前述のように、例えば、矩形チャンバーなどの適切なCNT成長チャンバーに入り、ここで大気圧CVD又はPE−CVDプロセスを通る流れを使用して、毎秒数ミクロンもの高い速度でCNTを合成する。トウの繊維は、こうして半径方向に配列されたCNTを備えて、CNT成長反応器を出る。
幾つかの実施形態では、CNT浸出炭素繊維材料はさらに別の処理プロセスを通過することができ、これは、幾つかの実施形態では、CNTの機能化(官能化)に使用されるプラズマプロセスである。CNTの追加の機能化は、特定の樹脂に対する付着を促進するために用いられる。したがって、幾つかの実施形態では、本発明は機能化したCNTを有するCNT浸出炭素繊維材料を提供する。
巻き取り可能な炭素繊維材料の連続処理の一部として、CNT浸出炭素繊維材料はさらにサイジング浸漬槽を通過して、これにより最終製品に有益となり得る任意のサイジング剤を更に適用することができる。最終的に、湿式巻きが求められる場合、CNT浸出炭素繊維材料は樹脂槽を通過して、これをマンドレル又はスプールに巻き付けることができる。その結果得られる炭素繊維材料/樹脂の組合せは、CNTを炭素繊維材料上に固着し、これにより、取り扱い及び複合材料製造をさらに容易にすることが可能となる。幾つかの実施形態では、CNT浸出を用いて、フィラメントの巻きを改良する。したがって、例えば、炭素トウなどの炭素繊維材料上に形成されたCNTが樹脂槽を通過して、これにより樹脂を含浸させたCNT浸出炭素トウを生成する。樹脂含浸後、炭素トウは、送出ヘッドによって回転するマンドレルの表面に位置決めされる。そして、トウは、既知の方法により正確な幾何学的パターンでマンドレルに巻き付けられる。
前述の巻きプロセスは、パイプ、チューブ、又は雄型を介して特徴的に生産されるような他の形態を提供する。しかし、本明細書で開示する巻きプロセスから作られる形態は、従来のフィラメント巻きプロセスで生産されるものとは異なる。特に本明細書で開示するプロセスでは、その形態は、CNT浸出トウを含む複合材料から作られる。したがって、このような形態にとって、CNT浸出トウによって提供される強度向上などは有益となるであろう。
幾つかの実施形態では、巻き取り可能な炭素繊維材料上にCNTを浸出させるための連続プロセスは、約0.5フィート/分から約36フィート/分のラインスピードを達成できる。この実施形態において、CNT成長チャンバーが長さ3フィートであり、750℃の成長温度で稼動する場合、例えば、約1ミクロンから約10ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約6フィート/分から約36フィート/分のラインスピードでプロセスが行われる。また、例えば、約10ミクロンから約100ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約1フィート/分から約6フィート/分のラインスピードでプロセスを行うこともできる。例えば、約100ミクロンから約2000ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約0.5フィート/分から約1フィート/分のラインスピードでプロセスが行われる。CNTの長さは、ラインスピード及び成長温度のみに関係しているだけでなく、炭素原料及び不活性キャリアガスの両方の流量もCNTの長さに影響を与える。例えば、高速のラインスピード(6フィート/分から36フィート/分)で、不活性ガス中の炭素原料が1%未満からなる流量では、約1ミクロンから約5ミクロンの長さを有するCNTとなる。高速のラインスピード(6フィート/分から36フィート/分)で、不活性ガス中の炭素原料が1%を超える流量では、約5ミクロンから約10ミクロンの長さを有するCNTとなる。
幾つかの実施形態では、複数の炭素繊維材料が同時にプロセスに通される。例えば、テープ、トウ、フィラメント、ストランドなどが複数で並行してプロセスに通される。したがって、炭素繊維材料の既製スプールは、いくつでも並行してプロセスに通され、プロセスの最後で再び巻き取られる。並行して通すことが可能な炭素繊維材料のスプール数は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は、最大でCNT成長反応器チャンバーの幅に収まるいかなる数も含まれる。さらに、複数の炭素繊維材料にプロセスされる場合、回収スプール数は、プロセス開始時のスプール数より少なくすることができる。このような実施形態では、ストランド、トウなどは、このような炭素繊維材料を組み合わせて、織物などのより高次の炭素繊維材料にする他のプロセスに送られてもよい。また、連続プロセスは、例えば、CNT浸出短繊維マットの形成を容易にする後処理チョッパを組み込むこともできる。
繊維材料にCNTを浸出させる本発明のプロセスは、均一なCNT長さの制御を可能にし、連続プロセスでは巻き取り可能な繊維材料をCNTで高速にて機能化できるようにすることができる。5秒から300秒の材料滞留時間で、長さ3フィートのシステムの連続プロセスにおけるラインスピードは、約0.5フィート/分から約36フィート/分の間のいずれかの範囲、及びそれより大きい値とすることができる。選択されるラインスピードは、以下でさらに説明するような様々なパラメータによって決定される。
幾つかの実施形態では、約5秒から約30秒の材料滞留時間は、約1ミクロンから約10ミクロンの長さを有するCNTを生産することができる。幾つかの実施形態では、約30秒から約180秒の材料滞留時間は、約10ミクロンから約100ミクロンの間の長さを有するCNTを生産することができる。さらに別の実施形態では、約180秒から約300秒の材料滞留時間は、約100ミクロンから約500ミクロンの間の長さを有するCNTを生産することができる。当業者であれば、これらの範囲がおおよそのものであり、CNTの長さは、反応温度、キャリア及び炭素原料の濃度及び流量によっても調節可能であることを認識できる。
幾つかの実施形態では、本発明はマトリックス材中にカーボンナノ構造(CNS)材料を含むCNSシールド層を備えるシールド電線を提供し、CNSシールド層は、モノリシックであり、且つ、誘電層及び導電線の周囲に配置され、誘電層はCNSシールド層と導電線の間に配置される。幾つかの実施形態では、当技術分野でEMIシールドとして一般的に使用される金属箔及び/又は編組を置換するものとして、CNSシールド層が提供される。
同軸ケーブルに見られるような典型的な編組シールドは、比較的低い周波数範囲でEMIシールドを提供する際に効果的であるが、周波数が上昇するにつれ効果が低下する。効果の低下は、少なくとも一部は、編組シールドを通ってRFエネルギーが漏れ得る織物中のギャップに起因する。織物に残されたギャップは、通常、オプティカル(optical)被覆率のパーセンテージで表される。編組が良質であるほど、オプティカル被覆率が向上する。
より高い周波数における効果の低下を緩和するために、最高級のケーブル、典型的には金属箔又はアルミニウム処理マイラーを編組シールドの補足物として使用する。箔材料のテープは通常、ほぼ100%のオプティカル被覆率を提供するために使用される。テープを捻り、その結果、被覆率が100%未満のシームになる。箔層は、図21に示すようなモノリシックであるか、図22に示すように個々の電線対を被覆してもよい。これらの材料を使用すると、ケーブル製造の複雑さ及び費用が増大する。
CNS材料をPTFE、PVC及びマイラーのようなポリマーに入れることにより、ケーブル被覆又は容易に適用される内層に一体であるEMIシールドを作成して、製造を簡素化すると共に費用を削減することが可能である。CNSを含む熱可塑性樹脂を使用することにより、高周波シールドのために完全に箔及び金属処理したテープを使用する代わりとすることができる。他の利点の中には、金属箔の代わりにすることで、ケーブルの軽量化に役立てることもある。幾つかの実施形態では、絶縁性外側被覆に薄い内層を追加し、ケーブルの新しいクラスを提供することにより、箔の使用を完全になくし、CNSを含む熱可塑性樹脂を既存の押出成形の外側被覆に使用することができる。幾つかの実施形態では、本開示は2用途のケーブル被覆を製造する方法を提供する。例えば、CNSを水遮断性熱可塑性樹脂に追加することにより、ワイヤケーブルはEMIシールド性及び耐水性の両方にすることができる。
次に図19を参照すると、1つの例示的実施形態によるシールド電線1900が図示されている。シールド電線1900は任意選択の誘電層1920及び導電線1930の周囲に配置されたカーボンナノ構造(CNS)シールド層1910を含む。図20は、図19のCNSシールド層1910に類似した構成である金属箔2010を有する典型的な同軸ケーブル2000を示す。本明細書で開示する実施形態により、同軸ケーブル2000の金属箔2010は図19のようにCNSシールド層1910と交換することができる。さらに、置換したCNSシールド層1910の位置は、図20で金属箔2010が見える位置に限定する必要がない。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は編組2020の周囲に配置された別個の層とすることができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は、外側被覆2030の内面上の層として一体化することができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は外側被覆2030とすることができる。すなわち、外側被覆は、本明細書で開示されるCNS材料とともに直接押出成形することができる。さらに別の実施形態では、複数のCNSシールド層を使用してもよい。例えば幾つかの実施形態では、外側被覆2030及び交換した金属箔2010は両方ともCNSシールド層を含むことができる。さらに別の実施形態では、編組2020もCNSを含むことができる。
図19は単に1本の導電線1930を図示しているが、CNSシールド層1910は任意の数の電線を包囲できることが当業者には認識される。例えば図21に示すように、電線束2100は金属箔2110を含むことができ、金属箔は図19のようにCNSシールド層1910と交換される。この場合も、図21のCNSシールド層の位置は、金属箔2110が示されている位置に限定する必要がない。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は編組2120の周囲に配置された別個の層とすることができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は外側被覆2130の内面上の層として一体化することができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は外側被覆2130とすることができる。すなわち、外側被覆は、本明細書で開示されるCNS材料とともに直接押出成形することができる。さらに別の実施形態では、複数のCNSシールド層を使用してもよい。例えば幾つかの実施形態では、外側被覆2130及び交換した金属箔2110は両方ともCNSシールド層を含むことができる。さらに別の実施形態では、編組2120もCNSを含むことができる。
さらなる例では、図22はそれぞれが金属箔2210にくるまれたペア線を有するケーブル2200を示す。金属箔2210は、本明細書の上記で開示された実施形態と一致するCNSシールド層と交換することができる。したがって、図22のCNSシールド層の位置は、金属箔2210が示された位置に限定する必要がない。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は編組2220の周囲に配置された別個の層とすることができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は外側被覆2230の内面上の層として一体化することができる。幾つかの実施形態では、CNSシールド層は外側被覆2230とすることができる。すなわち、外側被覆は、本明細書で開示されるCNS材料とともに直接押出成形することができる。さらに別の実施形態では、複数のCNSシールド層を使用してもよい。例えば幾つかの実施形態では、外側被覆2230及び交換した金属箔2210は両方ともCNSシールド層を含むことができる。さらに別の実施形態では、編組2220もCNSを含むことができる。幾つかの実施形態では、本発明は、撚線対の周囲に配置されたCNS浸出層を含むケーブルシステムを提供する。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示されたシールド電線はさらに図20〜図22に示すような編組シールドを含むことができる。幾つかのこのような実施形態では、編組シールドをCNSシールド層の周囲に配置することができる。他の実施形態では、編組シールドをCNSシールド層と誘電層の間に配置することができる。さらに別の実施形態では、編組シールドはさらに第2CNS材料を含む。幾つかの実施形態では、CNSシールド層を編組シールドと交換することができる。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示されるシールド電線はCNS浸出繊維材料を含むCNS材料を使用することができる。幾つかのこのような実施形態では、CNS浸出繊維材料はガラス又は炭素繊維を含む。幾つかの実施形態では、CNS浸出繊維材料は短繊維(chopped fiber)を含む。他の実施形態では、CNS浸出繊維材料は連続繊維を含む。さらに別の実施形態では、採収したCNSを合成して熱可塑性樹脂にし、CNSシールド層を形成することができる。このような実施形態では、CNSをばらばらのCNTとは別個であると見なし、本明細書で上述した複雑な形態を特徴とする。さらに、幾つかの実施形態では、本明細書で使用するCNSは、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、又はその混合物を含むことができる。CNS構造は様々な形態のCNSの要素を含むが、これは、共有する層、架橋、分岐、及びその組み合わせなどの複雑な形態によって個々のCNTのアレイとは別個である。
本明細書で開示されるCNSシールド層のCNSは、機械的用途と導電性及び伝熱性用途との両方で本明細書で開示される実施形態と矛盾しない多くの長さにすることができる。したがって、CNSは約1ミクロンから約500ミクロンの範囲の長さで変更することができ、例えば1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロン、35ミクロン、40ミクロン、45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、300ミクロン、350ミクロン、400ミクロン、450ミクロン、500ミクロン、及びその間の全ての値が含まれる。CNTは長さが例えば0.5ミクロンなど、約1ミクロン未満でもよい。CNTは500ミクロンを超えてもよく、例えば510ミクロン、520ミクロン、550ミクロン、600ミクロン、700ミクロン、及びその間にある全ての値及びその分数が含まれる。
幾つかの実施形態では、CNSシールド層に使用されるCNSは機能化(官能化)することができる。幾つかのこのような実施形態では、機能化は、CNS構造をそれが組み込まれる熱可塑性樹脂に共有結合させる手段として役立つことができる。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示されるシールド電線は、本明細書で開示されるような熱可塑性又は熱硬化性樹脂を含むマトリックス材を使用することができる。幾つかの実施形態では、マトリックス材はポリオレフィンとすることができる。幾つかの実施形態では、マトリックス材はポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ネオプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、熱可塑性CPE、低スモークゼロハロゲン、プレナム、熱可塑性エラストマー、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フルオロポリマー樹脂FEP/PFA、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、ナイロン、シリコーン、ゴム、ポリウレタン、気泡ポリオレフィン、フッ化炭化水素、エチレンプロピレンゴム、架橋ポリエチレン(XLPE)絶縁体、又はその組み合わせとすることができる。幾つかのこのような組み合わせでは、マトリックス材は例えば同時押出成形することができる。幾つかの実施形態では、当業者に理解されるように、前述した材料のいずれも所望の程度まで架橋することもできる。このような架橋の程度は、目的とする性質に基づいて選択することができる。非限定的な例により、マトリックス材は可撓性で変形可能にできれば有利である。幾つかの実施形態では、樹脂は溶融加工するが、任意の標準的な加工技術を使用することができる。
幾つかの実施形態では、マトリックス材は熱又はUV照射で収縮可能である熱可塑性樹脂を含む。幾つかの実施形態では、収縮可能な熱可塑性樹脂は冷間収縮可能である。収縮可能な熱可塑性樹脂は、例えばPTFEなどのフッ素樹脂、バイトン(Viton)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、シリコーンゴム、PVC、及び他のポリオレフィン材料をベースにすることができる。幾つかの実施形態では、収縮可能な材料はエラストマーをベースにすることができる。幾つかのこのような実施形態では、エラストマーは天然ポリイソプレン、すなわち、シス−1,4−ポリイソプレン天然ゴム(NR)及びトランス−1,4−ポリイソプレングッタペルカ、合成ポリイソプレン(イソプレンゴム(Isoprene Rubber)のIR)、ポリブタジエン(BR−ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム(CR)、ポリクロロプレン、ネオプレン、ベイプレン、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンの共重合体IRR)、ハロゲン化ブチルゴム(クロロブチルゴム:CIIR;ブロモブチルゴム:BIIR)、スチレン−ブタジエンゴム(スチレンとブタジエンの共重合体、SBR)、ブナNゴムとも呼ばれるニトリルゴム(ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)サーバン及びゼトポール、EPM(エチレンプロピレンゴム、エチレンとプロピレンの共重合体)及びEPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンとプロピレンとジエン成分の三元重合体)エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、フルオロエラストマー(FM及びFEPM)、バイトン、テクノフロン(Tecnoflon)、フルオレル(Fluorel)、アフラス(Aflas)及びダイ−エル(Dai-El)、過フルオロエラストマー(FFKM)、テクノフロン(Tecnoflon)PFR、カルレッツ(Kalrez)、ケムラッツ(Chemraz)、パーラスト(Perlast)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、(Hypalon)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、レジリン、エラスチン及び多硫化ゴムから選択することができる。
幾つかのこのような実施形態では、マトリックス材はポリエチレンテレフタレート(PET、マイラー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択されるポリマーを含む。当業者には、本明細書で開示される様々なケーブル用途に使用するのに適切なものとして他の樹脂も認識される。幾つかの実施形態では、本明細書で開示されるシールド電線は、マトリックス材中に水遮断性材料を含むCNSシールド層を使用することができる。幾つかのこのような実施形態では、マトリックス材自体が水遮断性であるか、水遮断添加剤をマトリックス材に含めることができる。1つのこのような例示的水遮断材料はポリラテックスである。他の水遮断添加剤が当業者には明白であり、様々なポリマー及びホモポリマー、ポリエステル、チキソトロープP−90−ゲル、MPシリコーン、プロピレンサーマフィル、非晶質ポリアルファオレフィン共重合体、ナイロン、ブチル緩衝剤、ポリイソブチレン、ビチューメン、及び他の合成樹脂、合成ポリマー、及び高度精製鉱物油を任意の組み合わせを含む。
幾つかの実施形態では、本発明はCNS材料を含む押出成形熱可塑性被覆を提供し、押出成形熱可塑性被覆は少なくとも1本の電線を保護するように構成される。本発明の押出成形熱可塑性被覆は、EMIシールド、又は二元機能耐水性及びEMIシールドなど、本明細書に記載する電線保護用途に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書で開示される押出成形熱可塑性被覆は、基材から採収されたCNS材料を用いてもよく、この基材上でCNS材料が作製される。他の実施形態CNSを短繊維上に浸出する。幾つかのこのような実施形態では、短繊維はガラス又は炭素を含む。幾つかの実施形態では、本明細書で開示される押出成形熱可塑性被覆はさらに水遮断添加剤を含む。幾つかの実施形態では、押出成形熱可塑性被覆は、単独の電線、電線束、誘電性コーティングを含む電線束などに適切なサイズとすることができる。
幾つかの実施形態では、押出成形熱可塑性被覆は、電線以外の物品にEMIシールドを提供するように構成された形状で提供することができる。したがって、幾つかの実施形態では、本発明は、CNS浸出繊維材料と、ポリエチレンテレフタレート(PET、マイラー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される少なくとも1つを含む可撓性の熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性物品を提供する。これらの熱可塑性樹脂は可撓性が高いので、シールド電線以外の物品は、コンピュータ構成要素など、容易に入手可能である。本発明の物品は、衣類又は可撓性機械的継手などの品物に含めることもできる。幾つかの実施形態では、このような熱可塑性物品はさらに水遮断添加剤を含むことができ、この場合もCNSを含む熱可塑性樹脂に2つの役割を提供する。
実施例I
本実施例は、連続プロセスで炭素繊維材料にCNTを浸出させて、これにより、EMIシールド特性の向上を図る方法を示す。
本実施例は、連続プロセスで炭素繊維材料にCNTを浸出させて、これにより、EMIシールド特性の向上を図る方法を示す。
本実施例では、繊維上におけるCNTの担持量を最大にすることが目的となる。テックス値が800の34−700の12k炭素繊維トウ(Grafil Inc.、カリフォルニア州サクラメント)を炭素繊維基材として実施する。この炭素繊維トウの個々のフィラメントは、約7μmの直径を有する。
図12は、本発明の例示的実施形態によりCNT浸出繊維を生産するシステム800を示す。システム800には、炭素繊維材料繰り出し及びテンショナーステーション805、サイジング除去及び繊維開繊ステーション810、プラズマ処理ステーション815、バリアコーティング適用ステーション820、空気乾燥ステーション825、触媒適用ステーション830、溶媒フラッシュオフステーション835、CNT浸出ステーション840、繊維バンドラーステーション845、及び炭素繊維材料巻き取りボビン850が、図示のように相互に関連して含まれる。
繰り出し及びテンショナーステーション805は、繰り出しボビン806及びテンショナー807を含む。繰り出しボビンは、炭素繊維材料860をプロセスへと送出し、繊維はテンショナー807により張力を加えられる。本実施例では、炭素繊維は2フィート/分のラインスピードで処理される。
繊維材料860は、サイジング除去ヒータ865及び繊維開繊器870を含むサイジング除去及び繊維開繊ステーション810に送出される。このステーションで、繊維860にある全ての「サイジング」が除去される。通常、除去はサイジングを繊維から焼き払って遂行する。それには、様々な加熱手段のいずれも使用することができ、これは例えば赤外線ヒータ、マッフル炉、及び他の非接触型加熱プロセスを含む。サイジング除去は、化学的に遂行することもできる。繊維開繊器は、繊維の個々の要素を分離する。繊維の開繊には、例えば、平坦で直径が均一なバーの上下で、又は、可変直径のバーの上下で、又は半径方向に延在する溝を有するバー及び混練ローラ上、振動バー上などで繊維を引き出すなど、様々な技術及び装置を使用することができる。繊維の開繊は、より多くの繊維表面積をさらすことにより、例えば、プラズマの適用、バリアコーティングの適用、触媒の適用など、下流工程の効果を高める。
繊維開繊器870全体に複数のサイジング除去ヒータ865を配置することができ、これによって繊維のサイジング除去と開繊を徐々に同時に実行することができる。繰り出し及びテンショナーステーション805及びサイジング除去及び繊維開繊ステーション810は、繊維産業で日常的に使用され、当業者はその設計及び使用法に通じている。
サイジングを焼き払うために必要な温度及び時間は、(1)サイジング材料、及び(2)炭素繊維材料860の販売元/アイデンティティに応じて変化する。炭素材料上の従来のサイジングは、約650℃で除去することができる。この温度では、サイジングの完全な焼き払いを確実に行うのに15分程度かかることがある。この燃焼温度より上まで温度を上昇させると、燃焼時間を短縮することができる。熱重量分析を使用して、特定の商品のサイジングの最低燃焼温度を割り出す。
サイジング除去に必要な時間調整に応じて、サイジング除去ヒータは必ずしもCNT浸出プロセスに完全に含めるとは限らず、むしろ除去は別個に(例えば並列などで)実行することができる。この方法において、サイジングがない炭素繊維材料製品は、繊維除去ヒータを含まないCNT浸出繊維生産ラインで使用するために集積されてスプールに巻かれている。次に、サイジングがない繊維を、繰り出し及びテンショナーステーション805内でスプールに巻く。この生産ラインは、サイジング除去を含むラインより高速で動作することができる。
サイジングされていない繊維880は、プラズマ処理ステーション815に送出される。本実施例では、大気圧プラズマ処理を、開繊した炭素繊維材料より1mmの距離から「下流」方式で使用する。ガス原料は100%ヘリウムで構成される。
プラズマで強化された繊維885は、バリアコーティングステーション820に送出される。例示的な本実施例では、浸漬コーティングの構成にシロキサン系バリアコーティング溶液を使用する。溶液は、体積で40倍の希釈率によりイソプロピルアルコール中に希釈した「Accuglass T-11 Spin-On Glass」(Honeywell International Inc.、ニュージャージー州モリスタウン)である。炭素繊維材料上において得られるバリアコーティングの厚さは約40nmである。バリアコーティングは、周囲環境内で室温にて適用することができる。
バリアコーティングを施した炭素繊維890は、ナノ規模のバリアコーティングを部分的に硬化させるために、空気乾燥ステーション825に送出される。空気乾燥ステーションは、開繊した炭素繊維全体に加熱した空気流を送る。使用する温度は、約100℃〜約500℃の範囲とすることができる。
空気乾燥後、バリアコーティングを施した炭素繊維890は触媒適用ステーション830に送出される。本実施例では、浸漬コーティングの構成に酸化鉄ベースのCNT形成触媒溶液を使用する。溶液は、体積で200倍の希釈率によりヘキサン中に希釈した「EFH−1」(Ferrotec Corporation、ニューハンプシャー州ベッドフォード)である。単層の触媒コーティングが炭素繊維材料上で得られる。希釈前の「EFH−1」は、3〜15体積%の範囲のナノ粒子濃度を有する。酸化鉄ナノ粒子はFe2O3及びFe3O4の組成であり、直径が約8nmである。
触媒を含む炭素繊維材料895は、溶媒フラッシュオフステーション835に送出される。溶媒フラッシュオフステーションは、開繊した炭素繊維全体に空気流を送る。本実施例では、触媒を含む炭素繊維材料上に残った全てのヘキサンをフラッシュオフするために、室温の空気を使用することができる。
溶媒フラッシュオフの後、触媒を含む繊維895は、最終的にCNT浸出ステーション840へと進む。本実施例では、12インチの成長ゾーンを有する矩形反応器を使用して、大気圧でのCVD成長を利用する。全ガス流の97.6%は不活性ガス(窒素)であり、他の2.4%は炭素原料(アセチレン)である。成長ゾーンは750℃に保持される。前述の矩形反応器の場合、750℃は、成長速度を考えられる最速のものにする比較的高い成長温度である。
CNTの浸出後、CNT浸出繊維897は、繊維バンドラーステーション845で再び束化される。この工程は、ステーション810で行われた開繊工程を事実上逆転することで、繊維の個々のストランドを再結合する。
束化したCNT浸出繊維897を、保存のために巻き取り繊維ボビン850に巻き付ける。CNT浸出繊維897に、長さ約60μmのCNTを装填し、これでEMIシールド性能が向上した複合材料に使用する準備が整う。
繊維リボン850上のCNT浸出繊維897を巻き直してパネルにし、エポキシ樹脂を浸出する。次に、浸出した複合材料構造を、100psiの圧力、250°Fを超える温度のオートクレーブ内にて、選択されたエポキシ樹脂システムに必要な特定のプロフィールで、硬化させる。得られるCNT浸出複合材料パネルは、図14のパネル#132で表されるように、2〜18GHzで83dBの平均EMI−SEを呈する。
前述の工程には、環境隔離のために、不活性雰囲気又は真空中で行われるものがあることに注目されたい。例えば、炭素繊維材料からサイジングを焼き払っている場合、繊維を環境隔離して、これによりガス放出を阻止するとともに、水分による損傷を防止することができる。便宜上、システム800において、環境隔離は、生産ラインの初めにおける炭素繊維材料の繰り出し及び張力付与、及び、生産ラインの終端における繊維取り込みは除いて、全ての工程に提供される。
実施例II
この例は、EMIシールド特性の向上を必要とする用途の連続プロセスで、発生期のガラス繊維材料にCNTを浸出することができる方法を示す。
この例は、EMIシールド特性の向上を必要とする用途の連続プロセスで、発生期のガラス繊維材料にCNTを浸出することができる方法を示す。
図13は、本発明の例示的実施形態によりCNT浸出繊維を生産するシステム900を示す。システム900は、図示のように相互関係を有するガラス繊維材料繰り出し及びテンショナーシステム902、CNT浸出システム912、及び繊維ワインダー924を含む。
繰り出し及び張力調整システム902は、繰り出しボビン904及びテンショナー906を含む。繰り出しボビンは繊維スプールを保持して、ガラス繊維材料901を毎分1フィートのラインスピードでプロセスに送出し、繊維の張力はテンショナー906によって1〜5ポンド以内に維持される。繰り出し及び張力調整ステーション902は、繊維産業で日常的に使用されており、当業者にはその設計及び使用法がよく知られている。
張力調整された繊維905は、CNT浸出システム912に送出される。ステーション912は、触媒適用システム914及びマイクロキャビティCVD系CNT浸出ステーション925を含む。
この例示的実施例では、触媒溶液は、張力調整した繊維930を浸漬槽935に通すなど、浸漬プロセスによって適用される。この実施例では、強磁性流体ナノ粒子溶液が1に対してヘキサン200の体積比で構成される触媒溶液を使用する。ILSSの向上を目的とするCNT浸出繊維のプロセスラインスピードで、繊維は浸漬槽に30秒間留まる。触媒は、真空も不活性雰囲気も必要とせずに、周囲環境の室温で適用することができる。
次に、触媒を含むガラス繊維907は、成長前低温不活性ガスパージゾーン、CNT成長ゾーン、及び成長後ガスパージゾーンで構成されるCNT浸出ステーション925へと進められる。上述したようなCNT成長ゾーンからの放出ガスを冷却するために、室温窒素ガスを成長前パージゾーンに導入する。繊維の酸化を防止するために、放出ガスを急速窒素パージによって350℃より低い温度まで冷却する。繊維はCNT成長ゾーンに入り、ここでは、98%質量流量の不活性ガス(窒素)と、ガスマニホールドによって中心に導入される原料ガス(アセチレン)を含有する2%質量流量の炭素との混合物が、高温で加熱される。この実施例では、システムの長さは2.5フィートであり、CNT成長ゾーン内の温度は750℃である。この実施例では、触媒を含む繊維はCNT成長環境に60秒間曝露され、その結果、長さ60ミクロンで体積百分率2.5%のCNTがガラス繊維表面に浸出する。CNT浸出ガラス繊維は最終的に成長後パージゾーンを通過し、ここでは、350℃で放出ガスだけでなく繊維も冷却して、繊維表面及びCNTの酸化を防止する。
CNT浸出繊維909が繊維ワインダー924上に回収され、これでEMIシールド能力の向上を必要とする様々な用途のいずれでも使用する準備が整う。
CNT浸出繊維909は、エポキシ樹脂を使用してフレームに湿式巻きされる。フレームは、得られるパネルに対して0°及び90°の配向で、繊維を配列するために使用される。繊維をパネルに巻き付ける時に、複合材料を、200psiの圧力、250°Fを超える温度の加熱したキャビティプレス内にて、使用するエポキシ樹脂システムに特有の温度プロフィールで硬化する。得られるパネルは、図15のパネル#220で示すように、複合材料中に6.5%を超えるCNT重量%を有し、2〜18GHzで92dBの向上した平均EMI−SEを生成する。
上述した実施形態は本発明の例示にすぎず、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態の多くの変形を考案することができる。例えば、本明細書では本発明の例示的実施形態を徹底的に説明し、理解するために、多数の明確な詳細が提供されている。しかし、本発明はこれらの詳細の1つ又は複数を使用せず、又は他のプロセス、材料、構成要素などで実践できることが、当業者には認識される。
さらに、場合によっては、例示的実施形態の態様が曖昧になることを回避するために、周知の構造、材料、又は工程は詳細に図示又は説明していない。図に示されている様々な実施形態は例示的であり、必ずしも忠実な縮尺で描かれていないことが理解される。明細書を通して「1つの実施形態」又は「ある実施形態」又は「幾つかの実施形態」と言及した場合、それは実施形態に関連して述べた特定の形体、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態に含まれるものではない、という意味である。その結果、明細書を通して様々な箇所で「1つの実施形態では」、「ある実施形態では」又は「幾つかの実施形態では」というフレーズが現れ、これは必ずしも全てが同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の形体、構造、材料、又は特性を1つ又は複数の実施形態で任意の適切な方法で組み合わせることができる。したがって、このような変形は請求の範囲及びその同等物の範囲に含まれるものとする。
Claims (20)
- マトリックス材中にカーボンナノ構造(CNS)材料を含むCNSシールド層を含むシールド電線であって、前記CNSシールド層は、モノリシックであり、且つ、導電線及び任意選択の誘電層の周囲に配置され、前記誘電層は、存在する場合、前記CNSシールド層と前記導電線の間に配置されるシールド電線。
- 編組シールドをさらに含む、請求項1に記載のシールド電線。
- 前記編組シールドが、前記CNSシールド層の周囲に配置される、請求項2に記載のシールド電線。
- 前記編組シールドが、前記CNSシールド層と前記誘電層の間に配置される、請求項2に記載のシールド電線。
- 前記編組シールドが、第2のCNS材料をさらに含む、請求項2に記載のシールド電線。
- 前記CNS材料が、CNS浸出繊維材料を含む、請求項1に記載のシールド電線。
- 前記CNS浸出繊維材料が、ガラス又は炭素繊維を含む、請求項6に記載のシールド電線。
- 前記CNS浸出繊維材料が、短繊維を含む、請求項6に記載のシールド電線。
- 前記CNS浸出繊維材料が、連続繊維を含む、請求項6に記載のシールド電線。
- 前記マトリックス材が、熱可塑性又は熱硬化性樹脂を含む、請求項1に記載のシールド電線。
- 前記マトリックス材が、ポリエチレンテレフタレート(PET、マイラー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載のシールド電線。
- 前記シールド電線が、同軸ケーブルとして構成される、請求項1に記載のシールド電線。
- 前記CNSシールド層が、水遮断材料をさらに含む、請求項1に記載のシールド電線。
- CNS材料を含む押出成形熱可塑性被覆であって、少なくとも1本の電線を保護するように構成された、押出成形熱可塑性被覆。
- 前記CNS材料は、基材から採取され、この基材上に作製される、請求項14に記載の押出成形熱可塑性被覆。
- 前記CNS材料が、短繊維上に浸出される、請求項14に記載の押出成形熱可塑性被覆。
- 前記短繊維が、ガラス又は炭素を含む、請求項16に記載の押出成形熱可塑性被覆。
- 水遮断添加剤をさらに含む、請求項14に記載の押出成形熱可塑性被覆。
- CNS浸出繊維材料と、ポリエチレンテレフタレート(PET、マイラー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される少なくとも1つを含む可撓性熱可塑性樹脂とを含む、熱可塑性物品。
- 水遮断添加剤をさらに含む、請求項19に記載の熱可塑性物品。
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