JP2015502541A - 膵臓癌を診断するための装置及び方法 - Google Patents

膵臓癌を診断するための装置及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、被験体における膵臓癌の診断方法、被験体が膵臓癌の治療を必要とするかどうかの特定方法、又は膵臓癌の治療が成功したかどうかの判定方法を企図する。本発明はまた、上記方法を実施するためのツール、例えば診断デバイスに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は被検体において膵臓癌の診断方法、被検体が膵臓癌の治療を必要とするかどうかを確認する方法、又は膵臓癌治療が成功しているかどうかを測定する方法を企図する。本発明はまた、診断装置などの前述の方法を実施するためのツールに関する。
膵臓癌は全固形癌の中で最も予後が悪く、5年生存率が5%未満であるが、発生率は増加の一途をたどっている(Everhart 2009、Gastroenterology 136:1134-11449)。膵臓癌の早期診断、予後の層化及び鑑別診断のために、特異的なバイオマーカー及び新規分子イメージングツールをポイントオブケアで利用するための革新的なツール及び技術の確立が求められていることは広く知られている。早期ステージの腫瘍を適切なタイミングで外科的に切除することが、この悲惨な疾患を治療するために現在唯一の効果的な手段なので、これらの領域の進歩はこの悪性腫瘍の予後を改善するために極めて重要である。
この種類の癌の死亡率は、西欧諸国において、あらゆる種類の癌の中で最高である。早期検出の手段がないために、人々は診断後まもなく死亡してしまう。早期症状はほとんどなく、特徴もない。したがって、PDACは通常、この疾患の悪化したステージで診断される。今までのところ、PDACを検出するために最良の画像技術は、内視鏡超音波検査(EUS)、スパイラル断層撮影(CT)、磁気共鳴胆道膵管撮影(MRCP)又は内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)(Dewitt 2006、Gastroenterol Hepatol.(4):717-25)である。残念ながら、膵臓内の新生物病変を検出するには、これらの技術の分解能は3〜10mmの範囲である。したがって、膵臓の新生物を治癒可能なステージで検出することはできない。CA19-9などの従来の腫瘍マーカーの血清濃度は、膵臓癌患者の部分集団で増加する(Fry 2008、 Langenbecks Arch Surg. (393): 883-90)。しかし、今までの利用可能なマーカーは感度及び腫瘍特異性が不十分である。したがって、非常に小さい、早期ステージのPDAC及びその前駆的病変(PanIN及びIPMN)並びに悪化した腫瘍の予後亜群を検出するために、診断の感度を高める新たなアプローチが緊急に必要とされている。
慢性炎症と悪性腫瘍の形成との間の関連は長年にわたって認識されてきた。膵臓癌では、この関連は最近確認されたばかりで、コンセンサス会議では非侵襲性前駆病変として膵臓の上皮内新生物の新たな分類について意見が一致した(Hruban 2004、Am J Surg Path (28): 977-987)。慢性膵炎は、しばしば進行性で不可逆的な形態学的変化を特徴とする、無菌的炎症の発作が頻発する疾患として定義されており、通常、疼痛及び膵臓の永久的機能障害を引き起こす。人口100000人当たり発生率は8.2人、有病率は27.4人で、任意抽出した生検標本における頻度は0.04%から5%で、慢性膵炎はよくある胃腸管の障害である。様々な病因が慢性膵炎の発症に関わっている。慢性膵炎に罹患している患者では膵臓癌で死亡する危険性が増加することが、1993年に6カ国の臨床センターから募集した慢性膵炎の患者2015人による多施設後ろ向きコホート研究として、AB Lowenfels及び共同研究者によって実施された国際協同研究において示された。この研究によって、慢性膵炎の患者の膵臓癌の累積危険率が10年後には1.8%、20年後には4%であり、標準化罹患比が14.4であることが発見された。最低でも2年間追跡した患者では、膵臓癌になる危険率は一般集団における危険率より16.5倍高かった(Lowenfels 1993、 N Engl J Med (328): 1433-1437)。慢性膵炎と膵臓癌の関連についての研究は、1996年に第7染色体上(7p35)のカチオン性トリプシノーゲン遺伝子の第3エキソンにおける点突然変異が遺伝性膵炎に関連していることが発見されたとき激化し、その後、多数の家系が同定され、報告された。ごく最近では、EUROPAC研究グループが遺伝性膵炎の臨床的及び遺伝的特徴に関する彼らの研究を発表した。European Registry of Hereditary Pancreatitisから得られたデータを使用するマルチレベル比例ハザードモデルでは、このグループは14カ国112家系を発表した(罹患した個体418人)(Howes 2004、Clinical Gastroenterology and Hepatology (2): 252-261)。膵臓癌の累積危険率(95%CI)は症状発症から70年で44.0%(8.0%〜80.0%)で、標準罹患比は67%(50%〜82%)であった。以前の研究ではまた、膵臓癌の推定生涯危険率は40%であることが示されたことがある(Lowenfels 2001、JAMA 286: 169-170、Lowenfels 1997、J Natl Cancer Inst 89: 442-44656)。
膵臓癌では、イメージング研究によって、治癒可能なステージで膵臓の早期悪性腫瘍を検出することはできないが、慢性膵炎のバックグランドでは、EUS、CT又はMRIなどのイメージング研究の感度及び特異性は、コイン投げの信頼性と同程度まで低下する。このため、高リスクコホートにおける膵臓の悪性腫瘍の検出が高度に望まれる。
膵臓に関連した疾患を罹患している患者における代謝変化の報告は少ない。Schraderら(Schrader 2009、Pancreas 38: 416-421)は、膵臓癌及び慢性膵炎の患者が血清アミノ酸レベルに著しい変化を示すことを示唆している。セラミドの中でも、癌細胞の細胞表面上のスフィンゴミエリンは、細胞シグナル伝達に活発に関わっていることが示唆されたことがある。セラミドは、癌細胞においてアポトーシスを誘発することが知られている。スフィンゴミエリンのレベルが低いことは、ゲムシタビン療法に対する応答性が少ないことを示唆している(Modrak 2009、Mol Cancer Res 7:890-896)。
Everhart 2009、Gastroenterology 136:1134-11449 Dewitt 2006、Gastroenterol Hepatol.(4):717-25 Fry 2008、 Langenbecks Arch Surg. (393): 883-90 Hruban 2004、Am J Surg Path (28): 977-987 Lowenfels 1993、 N Engl J Med (328): 1433-1437 Howes 2004、Clinical Gastroenterology and Hepatology (2): 252-261 Lowenfels 2001、JAMA 286: 169-170、Lowenfels 1997、J Natl Cancer Inst 89: 442-44656 Schrader 2009、Pancreas 38: 416-421 Modrak 2009、Mol Cancer Res 7:890-896
5年生存率0.5〜5%という結果から、膵臓癌の予後はヒトの腫瘍全ての中で最も悲惨で、世界中の癌関連死の4番目の主要原因となっている。したがって、社会経済学的衝撃が大きい疾患である。現在、正確な診断を行い、早期腫瘍を適切なタイミングで外科的に切除することが唯一、現実的に患者の予後を改善させる見込みがある。
本発明の根底にある技術的課題は、上記のニーズを満たすための手段及び方法の提供ととらえることができる。この技術的課題は、特許請求の範囲及び本明細書中の以下において特徴付けられる実施形態によって解決される。
したがって、本発明は、被検体において膵臓癌を診断する方法であって、
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被検体のサンプル中において、表2a、2b、3a、3b、4a、又は4bの少なくとも1つのバイオマーカーの量を決定(測定)するステップと、
(b)少なくとも1つのバイオマーカーの該量を参照と比較し、それによって膵臓癌が診断され得るステップとを含む方法に関する。
本発明において記載する方法としては、上述のステップより本質的になる方法又はさらなるステップを含む方法が含まれる。しかしながら、本方法は、好ましい実施形態では、ex vivoで行われる方法、すなわち、人体又は動物体に対して実施されない方法であることを理解されたい。本方法は、好ましくは自動化により支援することができる。
本明細書において用いられる「診断する」という用語は、被験体(被験者)が膵臓癌に罹患しているか否かを評価することを意味する。当業者であればわかるであろうが、そのような評価は、検査される被験体の100%に対して正しいことが好ましいが、通常はそうでない可能性がある。しかしながら、この用語は、統計学的に有意な一部の被験体を正確に評価でき、従って診断できることを必要とする。当業者であれば、労苦もなく、種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、たとえば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、その一部が統計学的に有意であるかどうかを判定することが可能である。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見いだされる。好ましい信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。p値は、好ましくは、0.2、0.1、又は0.05である。
この用語は、膵臓癌又はその症候の個々の診断、並びに患者の継続的なモニタリングを含む。モニタリング、すなわち種々の時点における膵臓癌又はそれに付随する症候の存在又は不在の診断には、膵臓癌に罹患していることが知られている患者のモニタリング、並びに膵臓癌を発症するリスクを有することが知られている被験体のモニタリングが含まれる。さらに、モニタリングは、患者の治療が成功したかどうか、又は少なくとも膵臓癌の症候が特定の治療によって徐々に改善しうるかどうかを判定するためにも用いられる。
本明細書において用いる「膵臓癌」又は「膵癌」は、膵臓細胞に由来する癌に関する。好ましくは、本明細書において用いる膵臓癌は膵臓腺癌である。膵臓癌に伴う症状は、ステッドマン(Stedmen)やPschyremblといった医薬の標準的な教材により周知である。さらに、用語「癌(cancer)」及び「癌腫(carcinoma)」は、一般的には、本明細書中で互換的に用いてもよい。
本明細書において用いられる「バイオマーカー」という用語は、本明細書において記載する疾患又は効果の指標として機能する分子種を意味する。該分子種は、被験体のサンプル中に見いだされる代謝物質自体であってもよい。さらに、バイオマーカーはまた、該代謝物質に由来する分子種であってもよい。そのような場合、実際の代謝物質は、サンプル中で又は測定方法の過程で化学的に修飾されることがあり、その修飾の結果として、化学的に異なる分子種、すなわちアナライトが測定される分子種となる。そのような場合、アナライトは実際の代謝物質を表し、各医学的状態の指標として同じ可能性を有することが理解されよう。
さらに、本発明にかかるバイオマーカーは、必ずしも1つの分子種に対応するものではない。そうではなく、該バイオマーカーは、ある化合物の立体異性体又は光学異性体を含みうる。さらに、バイオマーカーは、異性体分子の生物学的クラスの異性体の合計を表しうる。前記異性体は、一部の場合には同質の分析学的特性を示し、したがって下記の実施例において用いられた方法を含め種々の分析法では識別できない。しかしながら、該異性体においては少なくとも同一の合算された式のパラメーターが共通し、したがって例えば脂質の場合などには、同じ鎖長及び脂肪酸及び/又はスフィンゴ基部分における同じ二重結合の数を有する。
極性バイオマーカーは、好ましくは、本明細書中の他の箇所で言及される技術により、また以下の実施例1に記載されるとおりに取得することができる。脂質バイオマーカーは本発明に従って取得することができ、好ましくは、本明細書中の他の箇所に記載されるとおりに得ることができ、特に、タンパク質沈降後の、下記の実施例1に記載のように例えばエタノールとジクロロメタンとの混合物による、水性の極性相と有機脂質相へのサンプルの分離により、脂質画分として得ることができる。これらのバイオマーカーは、本明細書中で「脂質画分」により示すことができる。代替的に又は付加的に、複合脂質は、以下の実施例1に記載されるとおり、クロロホルム/メタノールを用いた液/液抽出に続く、順相液体クロマトグラフィー(NPLC)を用いた分画によって得ることができる。これらのバイオマーカーは、具体的な細画分、例えば、「セラミド画分」若しくは「CER」又は「スフィンゴミエリン」若しくは「SM」等によって、示し又は付加的に示すことができる。さらなる詳細は、以下の表中に見出される。
本発明に係る方法においては、表2a、2b、3a、3b、4a、又は4bに示されるバイオマーカーの少なくとも1つの代謝物質が測定される。しかし、より好ましくは、評価の特異度及び/又は感度を強化するためにバイオマーカー群が測定されるだろう。そのような群は、表2a、2b、3a、3b、4a、又は4bに示される該バイオマーカーの、好ましくは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10又は最大全てを含む。
好ましくは、該本発明の方法により決定された少なくとも1つのバイオマーカーは、表2a又は2bに示されるカテゴリー1のバイオマーカーである。より好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーは、表2bに示されるスフィンゴミエリン画分(SM)のスフィンゴゴミエリン及びセラミド画分(CER)のセラミド、すなわち、SM_スフィンゴミエリン(d18:1,C19:0)、SM_スフィンゴミエリン(d18:1,C21:0)、SM_スフィンゴミエリン(d18:2,C22:0)、SM_スフィンゴミエリン(d17:1,C24:1)、SM_スフィンゴミエリ (d18:2,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン(d18:2,C19:0)、SM_スフィンゴミエリン(d18:2,C21:0)、CER_セラミド(d17:1,C22:0)、及びCER_セラミド(d18:2,C22:0)からなる群から選択される。好ましくは、上述のスフィンゴミエリン画分(SM)及び/又はセラミド画分(CER)は、以下に記載した分画方法又は以下の添付の実施例に記載される方法によって得られる。
最も好ましくは、上述のバイオマーカー群は、本発明の方法における少なくとも1つのバイオマーカーとして測定される。より好ましくは、カテゴリー1の該少なくとも1つのバイオマーカーは、健常対照被検体又はそのような被検体群に由来する参照と比較した場合に、被検体において膵臓癌及び付随する肝硬変又は膵炎を診断することができる。より好ましくは、該診断は、以下の表1に記載される有意水準で達成される。カテゴリー1のバイオマーカーは、好ましくは、付随疾患である膵炎及び/又は肝硬変を示す高リスク被検体群において膵臓癌を診断することができる。
好ましくは、本発明の方法において測定される前記少なくとも1つのバイオマーカーは、表3a又は3bに示されるカテゴリー2のバイオマーカーである。より好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーは、以下からなる群から選択される:1-ヒドロキシ-2-アミノ-(シス,トランス)-3,5-オクタデカジエン(スフィンゴ脂質由来)、スフィンゴミエリン (d18:2,C18:0)、グリセロールホスフェート、脂質画分、アラキドン酸 (C20:シス[5,8,11,14]4)、リン酸塩、脂質画分、ミオ-イノシトール-2-ホスフェート、脂質画分(ミオ-イノシトールリン脂質)、コレスタ-2,4,6-トリエン、エリスロ-C16-スフィンゴシン、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C22:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C20:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C24:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C19:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C23:1)、CER_セラミド (d18:2,C18:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C18:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C22:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C16:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C21:0)、CER_セラミド (d18:2,C20:0)、CER_セラミド (d18:1,C22:0)、CER_セラミド (d16:1,C18:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C22:1)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C18:1)、CER_セラミド (d16:1,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C24:1)、CER_セラミド (d18:2,C24:1)、CER_セラミド (d17:1,C24:1)、スフィンゴシン-1-ホスフェート (d18:1)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C24:1)及びCER_セラミド (d16:1,C24:1)。
最も好ましくは、上述のバイオマーカー群は、本発明の方法における少なくとも1つのバイオマーカーとして測定される。より好ましくは、カテゴリー2の該少なくとも1つのバイオマーカーは、健常対照被検体又はこのような被検体群に由来する参照と比較した場合に、被検体において膵臓癌及び付随する膵炎を診断することができる。より好ましくは、該診断は、以下の表1に記載される有意水準で達成される。カテゴリー2のバイオマーカーは、好ましくは、付随的疾患である膵炎を示す被検体のリスク群において膵臓癌を診断することができる。
好ましくは、本発明の方法において測定される少なくとも1つのバイオマーカーは、表4a又は4bに示されるバイオマーカーである。より好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーは、以下からなる群から選択される:スフィンゴミエリン(d18:2,C18:0)、O-アセチルカルニチン、1-ヒドロキシ-2-アミノ-(シス,トランス)-3,5-オクタデカジエン (スフィンゴ脂質由来)、エリスロ-スフィンゴシン、ベヘン酸 (C22:0)、エイコサン酸 (C20:0)、3-O-メチルスフィンゴシン (d18:1)、5-O-メチルスフィンゴシン (d18:1)、3-ヒドロキシイソブチレート、トレオ-スフィンゴシン、ネルボン酸 (C24:シス[15]1)、7-メチルグアノシン、エリスロ-C16-スフィンゴシン、テトラデカノイルカルニチン、サルコシン、フィトスフィンゴシン(t18:0)、総、スフィンゴミエリン (d18:1,C23:0)、5-O-メチルスフィンゴシン (d16:1)、スフィンゴミエリン (d18:2,C16:0)、トリコサン酸 (C23:0)、ヘキサデカノイルカルニチン、スフィンゴミエリン (d18:1,C24:0)、3-ヒドロキシブチレート、オクタデカノイルカルニチン、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C19:0)、
SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C18:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C22:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C20:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C19:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C18:0)、CER_セラミド (d18:2,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C20:0)、CER_セラミド (d18:1,C20:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C22:0)、
SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C18:0)、CER_セラミド (d18:2,C18:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C20:0)、CER_セラミド (d18:1,C18:0)、
SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C21:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C24:2)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C23:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C21:0)、
CER_セラミド (d18:1,C21:0)、CER_セラミド (d18:2,C22:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C24:1)、CER_セラミド (d16:1,C18:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C22:0)、CER_セラミド (d17:1,C22:0)、CER_セラミド (d18:1,C22:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C22:0)、CER_セラミド (d17:1,C16:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C24:1)、CER_セラミド (d16:1,C20:0)、CER_セラミド (d17:1,C24:1)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C20:0)、CER_セラミド (d18:1,C22:1)、CER_セラミド (d18:2,C16:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C18:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C16:0)、CER_セラミド (d18:2,C24:1)、CER_セラミド (d18:1,C23:1)、CER_セラミド (d18:1,C24:2)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C24:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C16:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C18:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C22:1)、CER_セラミド (d18:1,C24:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C23:0)、CER_セラミド (d18:2,C24:0)、CE_コレステリルエステル C20:4, CER_セラミド (d18:1,C16:0)、CER_セラミド (d16:1,C22:0)、スフィンゴシン-1-ホスフェート (d17:1)、CER_セラミド (d18:2,C23:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:2,C14:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C24:0)、
CER_セラミド (d18:1,C14:0)、SM_スフィンゴミエリン (d17:1,C23:0)、CER_セラミド (d16:1,C16:0)、CER_セラミド (d18:1,C24:0)、
SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C22:0)、CER_セラミド (d16:1,C24:1)、CER_セラミド (d17:1,C24:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C16:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C23:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C21:0)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C24:0)、スフィンガジエニン-1-ホスフェート (d18:2)、CER_セラミド (d18:1,C23:0)、SM_スフィンゴミエリン (d16:1,C24:1)、SM_スフィンゴミエリン (d18:1,C14:0)及びCER_セラミド (d17:1,C23:0)。
最も好ましくは、上述のバイオマーカー群は、本発明の方法における少なくとも1つのバイオマーカーとして測定される。より好ましくは、該上述の少なくとも1つのバイオマーカーは、健常被検体及び/又は膵炎に罹患している被検体及び/又は肝硬変に罹患している被検体(例えば非癌群)を含む被検体群に由来する参照と比較した場合に、被検体において膵臓癌を診断することができる。より好ましくは、該診断は、以下の表1に記載される分析方法で達成される。
好ましくは、上述のバイオマーカー群は、少なくとも2つのセラミドと少なくとも1つのスフィンゴミエリン、3つのセラミドと少なくとも2つのスフィンゴミエリン、4つのセラミドと少なくとも3つのスフィンゴミエリン、5つのセラミドと少なくとも4つのスフィンゴミエリン、又は6つのセラミドと少なくとも5つのスフィンゴミエリンを含む。
本明細書において用いられる代謝物質とは、特定の代謝物質の少なくとも1つの分子から該特定の代謝物質の複数の分子までを指す。さらに、代謝物質の群とは、各代謝物質ごとに少なくとも1分子〜複数分子が存在しうる、複数の化学的に異なる分子を意味することが理解されよう。本発明において、代謝物質は、生物学的材料(生物など)に含まれるものをはじめとするすべてのクラスの有機又は無機の化学化合物を包含する。本発明において、代謝物質は、小分子化合物であることが好ましい。より好ましくは、複数の代謝物質が想定される場合、該複数の代謝物質とは、メタボローム、すなわち、特定の時間に特定の条件下で生物、器官、組織、体液又は細胞に含まれる代謝物質の集合を意味する。
本明細書に記載の具体的なバイオマーカーに加えて、他のバイオマーカーも、好ましくは、本発明の方法において決定されうる。かかるバイオマーカーとしては、ペプチド又はポリペプチドバイオマーカー、又はCA19.9抗原のようなグリコシドが含まれうる。
本明細書において用いられる「サンプル」という用語は、体液、好ましくは、血液、血漿、血清、唾液、若しくは尿、又は生検などにより細胞、組織、若しくは器官、特に心臓から得られるサンプルである。サンプルは、より好ましくは血液、血漿又は血清サンプルであり、最も好ましくは血漿サンプルである。生物学的サンプルは、本明細書中の他の箇所に明記されるような被験体に由来するものでありうる。上述のさまざまなタイプの生物学的サンプルを取得するための技術は、当技術分野で周知である。たとえば、血液サンプルは、血液採取により取得可能であり、一方、組織又は器官のサンプルは、例えば生検などにより取得可能である。
上述のサンプルは、好ましくは、本発明の方法に使用される前に前処理される。以下にさらに詳細に記載されるように、この前処理としては、化合物の放出若しくは分離又は過剰の材料若しくは廃物の除去に必要な処理が挙げられる。好適な技術としては、化合物の遠心分離、抽出、分画、限外濾過、タンパク質沈降とそれに続く濾過及び精製、並びに/又は濃縮が挙げられる。さらに、化合物の分析に好適な形態又は濃度で化合物を提供するために、他の前処理が行われる。たとえば、本発明の方法でガスクロマトグラフィ連結質量分析を使用する場合、該ガスクロマトグラフィを行う前に化合物を誘導体化する必要があろう。好適な所要の前処理は、本発明の方法を実施するために使用される手段に応じて異なり、当業者に周知である。上に記載したように前処理されたサンプルもまた、本発明に従って用いられる「サンプル」という用語に包含される。
本明細書において用いられる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物を意味する。被験体は、より好ましくは霊長類であり、最も好ましくはヒトである。好ましくは、被験体は、膵臓癌に罹患していることが疑われるもの、すなわち該疾患に伴う症候の一部又は全てを既に示しているものである。さらにまた、上記被検体は、好ましくは付加的に膵炎及び/又は肝硬変に罹患し得る、又は罹患していることが疑われるとされるものであってもよい。しかしながら被験体は、好ましくは、上記疾患及び障害以外は見かけ上健康である。前記被験者は、好ましくは、膵臓癌を発症するリスクが増大している(Brand RE et al ,Gut. 2007;56:1460-9)。より好ましくは、リスクの増大したかかる被験者は、膵臓癌を罹患している1以上の親戚を有する、膵臓癌を発症する明確な遺伝的傾向(ポイツ−ジェガース症候群を含むがこれに限定されない)がある、膵炎を罹患している1以上の親戚を有する、及び/又は膵炎を発症する明確な遺伝的傾向がある。
本明細書において用いられる「量の決定(測定)」という用語は、サンプル中の本発明の方法によって測定すべきバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性を測定することを意味する。本発明において特徴的特性とは、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質(生化学的性質を包含する)を特徴付ける特性のことである。そのような性質としては、たとえば、分子量、粘度、密度、電荷、スピン、光学活性、色、蛍光、化学発光、元素組成、化学構造、他の化合物と反応する能力、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(たとえば、レポーター遺伝子の誘導)などが挙げられる。該性質の値は、特徴的特性として機能しうる。また、当技術分野で周知の技術により測定可能である。さらに、特徴的特性は、標準的操作、たとえば、乗算、除算、又は対数計算のような数学的計算により、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質の値から導かれる任意の特性でありうる。最も好ましくは、少なくとも1つの特徴的特性は、該少なくとも1つのバイオマーカー及びその量の測定及び/又は化学的同定を可能にする。従って、特性値はまた、その特性値を導いたバイオマーカーの存在量に関する情報を含むことが好ましい。例えば、バイオマーカーの特性値は、質量スペクトルのピークでありうる。かかるピークは、バイオマーカーの特徴的な情報、すなわちm/z情報、並びにサンプル中のそのバイオマーカーの存在量(すなわちその量)に関する強度値を含む。
上述したように、サンプルに含まれる各バイオマーカーは、好ましくは、本発明に従って定量的又は半定量的に測定可能である。定量的測定では、本明細書において上で参照した特徴的特性(複数可)に関して測定される値に基づいて、バイオマーカーの絶対量若しくは正確な量が測定されるか又はバイオマーカーの相対量が測定されるかのいずれかであろう。バイオマーカーの正確な量を測定できないか又は測定しない場合、相対量を測定しうる。この場合、バイオマーカーの存在量が、該バイオマーカーを第2の量で含む第2のサンプルと対比して増加又は減少しているかどうかを、測定することが可能である。好ましい実施形態において、該バイオマーカーを含む第2のサンプルは、本明細書の他の箇所に記載されるように参照計算値であるべきである。従って、バイオマーカーの定量的分析は、バイオマーカーの半定量的分析と呼ばれることもある分析をも包含する。
さらに、本発明の方法に使用される測定は、好ましくは、上で参照した分析ステップの前に化合物分離ステップを使用することを含む。好ましくは、該化合物分離ステップでは、サンプルに含まれる代謝物質の時間分解分離が得られる。したがって、好ましくは、本発明において使用される分離に好適な技術としては、すべてのクロマトグラフィ分離技術、たとえば、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、薄層クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、又はアフィニティークロマトグラフィが挙げられる。これらの技術は、当技術分野で周知であり、当業者であれば労苦もなく適用可能である。最も好ましくは、LC及び/又はGCが、本発明の方法で想定されるクロマトグラフィ技術である。バイオマーカーのそのような測定に好適なデバイスは、当技術分野で周知である。好ましくは、質量分析、特には、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィ質量分析(LC-MS)、直接注入質量分析若しくはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR-MS)、キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)、高速液体クロマトグラフィ連結質量分析(HPLC-MS)、四重極質量分析、任意の逐次連結質量分析、たとえばMS-MS若しくはMS-MS-MSなど、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)、熱分解質量分析(Py-MS)、イオン移動度質量分析、又は飛行時間質量分析(TOF)が使用される。最も好ましくは、以下に詳細に記載されるようにLC-MS及び/又はGC-MSが使用される。これらの技術については、たとえば、Nissen
, 1995, Journal of Chromatography A, 703:37-57、米国特許第4,540,884号、又は米国特許第5,397,894号(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。質量分析技術の他の選択肢として又はそれに追加して、次の技術を化合物測定に使用可能である:核磁気共鳴(NMR)、磁気共鳴イメージング(MRI)、フーリエ変換赤外分析(FT-IR)、紫外(UV)分光、屈折率(RI)、蛍光検出、放射化学的検出、電気化学的検出、光散乱(LS)、分散ラマン分光、又はフレームイオン化検出(FID)。これらの技術は、当業者に周知であり、労苦もなく適用可能である。本発明の方法は、好ましくは、自動化により支援されるものとする。たとえば、サンプルの処理又は前処理をロボット工学により自動化することが可能である。データの処理及び比較は、好ましくは、好適なコンピュータプログラム及びデータベースにより支援される。上で本明細書に記載したような自動化を行えば、本発明の方法をハイスループット方式で使用することが可能である。
さらに、少なくとも1つのバイオマーカーはまた、特異的な化学的アッセイ又は生物学的アッセイにより測定可能である。該アッセイは、サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーを特異的に検出できるような手段を含むものとする。好ましくは、該手段は、バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能であるか、又は他の化合物と反応する能力若しくは生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(たとえば、レポーター遺伝子の誘導)に基づいてバイオマーカーを特異的に同定可能である。バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能な手段は、好ましくは、化学構造(たとえば、レセプター若しくは酵素)と特異的に相互作用する抗体又は他のタンパク質である。たとえば、特異的抗体は、当技術分野で周知の方法によりバイオマーカーを抗原として用いて取得可能である。本明細書中で参照される抗体は、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方、さらにはそれらのフラグメント、たとえば、抗原又はハプテンに結合可能なFv、Fab、及びF(ab)2フラグメントを包含する。本発明はまた、所望の抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列とヒトアクセプター抗体の配列とが組み合わされたヒト化ハイブリッド抗体を包含する。さらに、一本鎖抗体も包含される。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を含むであろうが、ドナー抗体の他の構造上及び/又は機能上適合するアミノ酸残基をも含みうる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法により調製可能である。バイオマーカーを特異的に認識可能な好適なタンパク質は、好ましくは、該バイオマーカーの代謝変換に関与する酵素である。該酵素は、バイオマーカーを基質として使用可能であるか又は基質をバイオマーカーに変換可能である。さ
らに、該抗体は、バイオマーカーを特異的に認識するオリゴペプチドを生成する基礎として使用可能である。これらのオリゴペプチドは、たとえば、該バイオマーカーに対する酵素の結合ドメイン又は結合ポケットを含むものとする。好適な抗体及び/又は酵素に基づくアッセイは、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫検査、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、又は固相免疫検査でありうる。さらに、他の化合物と反応する能力に基づいて、すなわち、特異的な化学反応により、バイオマーカーを測定することも可能である。さらに、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力に基づいて、サンプル中のバイオマーカーを測定することが可能である。生物学的応答は、サンプルに含まれるバイオマーカーの存在及び/又は量を示す読取り値として検出されるものとする。生物学的応答は、たとえば、遺伝子発現の誘導又は細胞若しくは生物の表現型応答でありうる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、定量的方法、例えばサンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定もまた可能とする方法である。
上に記載のように、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、好ましくは、質量分析(MS)を含む。本明細書において用いられる質量分析には、本発明に従って測定しようとする化合物、すなわちバイオマーカーに対応する分子量(すなわち質量)又は質量変数の測定を可能にする全ての技術が含まれる。本明細書において用いられる質量分析は、好ましくは、GC-MS、LC-MS、直接注入質量分析、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析、逐次連結質量分析、例えばMS-MS若しくはMS-MS-MS、ICP-MS、Py-MS、TOF、又は上記技術を用いた併用手法に関する。これらの技術を適用する方法は当業者に周知である。さらに、好適なデバイスは市販されている。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析はLC-MS及び/又はGC-MS、すなわち、前のクロマトグラフィー分離ステップと動作可能に連結された質量分析に関する。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析には四重極MSが含まれる。最も好ましくは、四重極MSは以下のように実施する:(a)質量分析器の最初の分析四重極におけるイオン化により生じるイオンの質量/電荷指数(m/z)の選択、(b)衝突ガスで満たされ、衝突室として機能する、さらに次の四重極に加速電圧を印加することによる、ステップ(a)で選択されたイオンのフラグメンテーション、(c)さらに次の四重極における、ステップ(b)のフラグメンテーションプロセスにより生じるイオンの質量/電荷指数の選択であって、それにより上記方法のステップ(a)〜(c)は、イオン化プロセスの結果として物質の混合物中に存在する全てのイオンの質量/電荷指数の分析を少なくとも1回行い、それにより四重極が衝突ガスで満たされるが、加速電圧は分析中には印加されない。本発明において用いるべき最も好ましい質量分析についての詳細はWO 03/073464号に見出すことができる。
より好ましくは、質量分析は、液体クロマトグラフィ(LC)MS及び/又はガスクロマトグラフィ(GC)MSである。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィとは、液相又は超臨界相における化合物(すなわち代謝物質)の分離を可能にする全ての技術を意味する。液体クロマトグラフィは、移動相中の化合物が固定相を通過することを特徴とする。化合物が異なる速度で固定相を通過する場合には、これらは、個々の化合物の各々がその特異的な保持時間(すなわち、化合物がシステムを通過するのに必要な時間)を有するため、所定時間で分離される。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィにはHPLCも含まれる。液体クロマトグラフィ用の装置は市販されており、例えばAgilent Technologies, USAから入手可能である。本発明において使用されるガスクロマトグラフィは、原理として、液体クロマトグラフィと同等に動作する。しかし、液体移動相中の化合物(すなわち代謝物質)を固定相を通過させるのではなく、化合物は気体容積中に存在する。化合物は、固定相として固体支持体材料を含むカラム、又は固定相として機能する若しくはそれでコーティングされた壁を通過する。同様に、各化合物は、カラムを通過するのに要する特異的な時間を有する。さらにガスクロマトグラフィの場合には、 好ましくは、ガスクロマトグラフィの前に化合物を誘導体化することが想定される。誘導体化の好適な技術は当技術分野で周知である。好ましくは、本発明において誘導体化は、好ましくは極性化合物のメトキシ化(methoxymation)及びトリメチルシリル化、並びに、好ましくは非極性(すなわち親油性)化合物のメチル基転移、メトキシ化(methoxymation)及びトリメチルシリル化に関する。
「参照」という用語は、本明細書において記載する医学的症状、すなわち疾患の有無、疾患の状態又は効果に相関付けることのできる、各バイオマーカーの特徴的特性の値を意味する。好ましくは、参照は、検査被検体のサンプルに見いだされる、閾値と本質的に同じ又はそれより高い値が医学的状態の存在の指標となり、一方、低い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値(例えば、量又は量の比)である。また好ましくは、参照は、検査被検体のサンプル中に見いだされる、閾値と同じ又はそれより低い値が医学的状態の存在の指標となり、一方、高い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値であってもよいことが理解されよう。
上述の本発明の方法において、参照は、好ましくは、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体又は被験体群由来のサンプルから得られる参照である。このような場合、試験サンプル中に見いだされる少なくとも1つのバイオマーカーの本質的に同じ値は、疾患の存在の指標となる。
さらに、参照は、同様に好ましくは、膵臓癌に罹患していないことが知られている被験体又は被験体群、好ましくは見かけ上健康な被験体から得られる。このような場合、試験サンプル中に見いだされる少なくとも1つのバイオマーカーの、参照と比較して変化した値は、疾患の存在の指標となる。同じことは、変更すべき箇所は変更して、最も好ましくは、個体集団(調査対象の被験体を含む)の少なくとも1つのバイオマーカーの相対値又は変化度の値の平均値又は中央値である計算された参照にも当てはまる。該個体集団の少なくとも1つのバイオマーカーの相対値又は変化度は、本明細書中の他の箇所に特定されるように測定することができる。好適な参照値、好ましくは平均値又は中央値の計算方法は、当技術分野で周知である。上で参照した被験体集団は、複数の被験体、好ましくは、少なくとも5、10、50、100、1,000、又は10,000の被験体を含むものとする。本発明の方法により診断される被験体と該複数の被験体の被験体とは、同一種であることが理解されよう。
特徴的特性の値、定量的測定の場合は強度値が本質的に同一であれば、試験サンプルの少なくとも1つのバイオマーカーの値と参照値とは本質的に同一である。本質的に同一とは、2つの値の差が、好ましくは、有意ではないことを意味し、強度の値が参照値に基づいて少なくとも1〜99パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、40〜60パーセンタイルの範囲内、好ましくは参照値に基づいて50、60、70、80、90、若しくは95パーセンタイルであることを特徴とする。2つの量が本質的に同じであるかどうかを決定するための統計学的検定は当技術分野で周知であり、また本明細書の他の箇所において記載されている。
一方、2つの値について観察される差は統計学的に有意な差である。相対値又は絶対値の差は、好ましくは、参照値に基づいて、45〜55パーセンタイル、40〜60パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、1〜99パーセンタイルの区間から有意に外側にある。中央値又は変化度の好ましい相対的変化は、添付の表並びに実施例に記載されている。以下の表において、バイオマーカーの好ましい相対的変化は、「変化の方向」の欄において、増加については「上方」として、減少については「下方」として示されている。好ましい変化度の値は、「推定倍率変化」の欄に示される。上述の相対的変化又は変化度についての好ましい参照は、以下の表にも示されている。これらの変化は、好ましくは、以下の各表中に示される参照と比較して観察されると理解されるだろう。
好ましくは、参照、すなわち少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性の値又はその比は、データベースのような好適なデータ記憶媒体中に記憶されて、従って、将来の評価にも利用可能となる。
「比較」という用語は、バイオマーカーの測定値が、参照と本質的に同一であるか、又は参照と差がある(異なっている)かを判定することを指す。好ましくは、バイオマーカーの値は、観察される差が本明細書の他の箇所で記載する統計学的手法により決定することができる、統計学的に有意である場合に、参照と差がある(異なる)とみなされる。差が統計学的に有意ではない場合には、バイオマーカーの値及び参照は本質的に同一である。上に記載した比較に基づいて、被験体は、疾患に罹患しているか又は罹患していないと評価することができる。
本明細書中で参照される具体的バイオマーカーについて、相対的な量又は比の変化(すなわち、中央値の比として示される変化)の好ましい値は以下の表に記載されている。膵臓癌に罹患している被験者並びに見かけ上健康な対照(血液ドナー)又は非癌群(血液ドナー、慢性膵炎及び肝硬変)のそれぞれにおいて見出される代謝物質の比及び以下の表2a、2b、3a、3b、4a、又は4bに示される計算されたt値に基づいて、表2a、2b、3a、3b、4a、又は4bの所定のバイオマーカーの増加又は減少が膵臓癌の存在を示すか否か導出することができる。あるバイオマーカーの負のt-値は、低下が膵臓癌の存在を示し、正のt-値は当該バイオマーカーの増大が膵臓癌の存在を示す。前記の場合における参照は、膵臓癌を罹患していないことが知られている被験者又は被験者集団から導かれるか、本明細書の他の箇所において定義される計算された参照であることが理解されるだろう。
比較は、好ましくは、自動化により支援される。たとえば、2つの異なるデータセット(たとえば、特徴的特性(複数可)の値を含むデータセット)を比較するためのアルゴリズムを含む好適なコンピュータプログラムを使用することが可能である。そのようなコンピュータプログラム及びアルゴリズムは、当技術分野で周知である。上に述べたとおりであるが、手動で比較を行うことも可能である。
有利なことに、本発明の基礎となる研究において、前述した具体的バイオマーカーの量は、膵臓癌の指標であることが見いだされた。従って、原則として、サンプル中の前記バイオマーカーの少なくとも1つを用いて、被験体が膵臓癌に罹患しているかどうかを評価することができる。これは、特に、疾患の効率的な診断、並びに膵臓癌の前臨床及び臨床管理の改善、並びに患者の効率的なモニタリングに役立つ。さらに、本発明の基礎となる知見はまた、以下に詳しく記載するように、膵臓癌に対するさらに効果的な薬物療法又は他の介入処置の開発も促進する。
上記の用語の定義及び説明は、特に断らない限り、本発明の下記の実施形態についても変更すべき箇所は変更して、同様に適用される。
本発明はさらに、被検体において膵臓癌を診断する方法であって、以下のステップ:
(a) 膵臓癌に罹患していることが疑われる被検体のサンプルにおいて、少なくとも1つのセラミドの量又は総セラミドの量を測定するステップ;及び
(b) 少なくとも1つのバイオマーカーの前記量を参照と比較し、これにより膵臓癌を診断するステップ
を含む上記方法を企図する。
好ましくは、該少なくとも1つのセラミドは、セラミド(d18:1, C24:1)ではない。
上述の方法中のサンプルは、好ましくは、脂質分画によって前処理されている。
本発明の文脈において使用される脂質分画は、好ましくは、以下の添付の実施例に記載される方法を指す。特に、脂質分画は、クロロホルム/メタノールを用いた液/液抽出によって血漿から総脂質を抽出することによって達成することができる。これにより得られた脂質抽出物は、続いて、順相液体クロマトグラフィー(NPLC)により、Christie (Journal of Lipid Research (26), 1985, 507-512)に記載される11種類の様々な脂質群に分画される。これらの画分は、コレステロールエステル(CE)、遊離ステロール(FS)、スフィンゴミエリン(SM)、及びセラミド(CER)についてそれぞれ特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)及び大気圧化学イオン化(APCI)を用いて、LC-MS/MSにより分析された。スフィンゴシン及びスフィンゴシン-1-ホスフェート(SP)は、Schmidt Hらにより、Prostaglandins & other Lipid Mediators 81(2006), 162-170に記載される特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いたLC-MS/MSにより分析された。この画分は、TMSH (トリメチルスルホニウムヒドロキシド)による誘導体化の後にGC-MSによってさらに分析され、クラス分類された脂質のアシル部分に対応する脂肪酸メチルエステル(FAME)が得られた。C14〜C24のFAMEの濃度は、各画分中で測定される。
本発明の上述の方法については、少なくとも1つのセラミドの量又は総セラミド量のいずれかがバイオマーカーとして使用される。好ましくは、少なくとも1つのスフィンゴミエリンの量また総スフィンゴミエリンの量が測定される。
本発明はさらに、被検体において膵臓癌を診断する方法であって、以下のステップ:
(a) 膵臓癌に罹患していることが疑われる被検体のサンプルにおいて、表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31又は32の少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;及び
(b) 少なくとも1つのバイオマーカーの該量を参照と比較し、これにより膵臓癌を診断するステップ
を含む、上記方法を企図する。
好ましくは、上述の方法に適用される該サンプルは表6、7又は8の血漿サンプル及び少なくとも1つの代謝物質である。また好ましくは、上述の方法中の該サンプルは血清サンプルでもあり、少なくとも1つの代謝物質は、表9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の代謝物質でもある。さらに、好ましくは、前記サンプルは血清サンプル又は血漿サンプルであり、少なくとも1つの代謝物質は、表21、22、23、24、25又は26、27、28、29、30、31若しくは32の代謝物質である。
好ましくは、参照は、見かけ上健常な被検体又は被検体群(例えば血液ドナー)に由来する。より好ましくは、このような場合における少なくとも1つのバイオマーカーは、表9、10、11、21、22又は23のバイオマーカーである。最も好ましくは、該少なくとも1つのバイオマーカーが表10又は22のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの増加は膵臓癌を示し、他方、該バイオマーカーが表11又は23のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの減少は膵臓癌を示す。
好ましくは、参照は、膵臓癌の症状を示すが、膵臓癌には罹患していない被検体又は被検体群に由来する。このような重要な対照被検体は、好ましくは、膵炎及び/又は肝硬変に罹患している。より好ましくは、このような場合における少なくとも1つのバイオマーカーは、表12、13、14、24、25又は26のバイオマーカーである。最も好ましくは、該少なくとも1つのバイオマーカーが表13又は25のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの増加は膵臓癌を示し、他方、該バイオマーカーが表14又は26のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの減少は膵臓癌を示す。従って、表12、13、14、24、25又は26の少なくとも1つのバイオマーカーを測定する場合、本発明の方法は、被検体において、膵臓癌と重要な対照の疾患(すなわち膵炎及び/又は肝硬変)とを区別するために用いることができる。
好ましくは、参照は、膵炎に罹患している被検体又は被検体群に由来する。より好ましくは、このような場合における少なくとも1つのバイオマーカーは、表6、7、8、15、16、17、27、28又は29のバイオマーカーである。最も好ましくは、該少なくとも1つのバイオマーカーが表7、16又は28のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの増加は膵臓癌を示し、他方、該バイオマーカーが表8、17又は29のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの減少は膵臓癌を示す。従って、表6、7、8、15、16、17、27、28又は29の少なくとも1つのバイオマーカーを測定する場合、本発明の方法は、被検体において膵臓癌と膵炎とを区別するために用いることができる。
好ましくは、参照は、肝硬変に罹患している被検体又は被検体群に由来する。より好ましくは、このような場合における少なくとも1つのバイオマーカーは、表18、19、20、30、31又は32のバイオマーカーである。最も好ましくは、該少なくとも1つのバイオマーカーが表19又は31のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの増加は膵臓癌を示し、他方、該バイオマーカーが表20又は32のバイオマーカーである場合、少なくとも1つのバイオマーカーの減少は膵臓癌を示す。従って、表18、19、20、30、31又は32の少なくとも1つのバイオマーカーを測定する場合、本発明の方法は、被検体において、膵臓癌と肝硬変とを区別するために用いることができる。
また本発明はさらに、本発明の方法のステップ及び、膵臓癌が診断された場合、被検体に健康管理測定を推奨する及び/又は適用するさらなるステップを含む、健康管理の方法にも関する。
本明細書において用いられる健康管理は、個々の被検体のニーズに従って、好適な健康管理測定の被検体への適用を管理することを指す。健康管理は、入院患者及び/又は外来患者の管理の必要性を推定するために重要である。
本明細書中で使用される用語「健康管理測定」は、従って、その疾患の管理の文脈において、被検体に適用される任意の測定を指す。健康管理測定は、好ましくは、それらの推奨及び、測定のモニタリング及び/又は頻度のモニタリングへのそれらの適用を包含する。さらに、健康管理測定は、入院(すなわち病院への入院)又は外来ケア若しくはサポートへのそれらの推奨及びそれらの適用を含む。また健康管理測定は、疾患状況の改善を目的とした生活習慣推奨及びそれらの適用並びに治療的手段(例えば、本明細書中の他の箇所で詳細に言及される治療の推奨及び/又は適用)も含む。
本発明はまた、被験者が膵臓癌の治療又は療法の変更を必要としているか決定する方法であって、本発明の方法の工程、及び診断がなされたら膵臓癌の治療を必要とする被験体を同定するさらなる工程を含む方法に関する。
本明細書において用いる「膵臓癌の治療を必要とする」との句は、被験体における疾患が、膵臓癌又はそれと関連する症状を改善又は処置するために治療的介入が必要又は有益である状態にあることを意味する。したがって本発明の根底をなす研究による知見は、被験者における膵臓癌診断を可能とするのみならず、膵臓癌療法により処置されるべき、又は膵臓癌療法が調節を必要とする被験体を同定することを可能とする。被験体が一度同定されると、本発明の方法は、膵臓癌の治療について助言をするステップをさらに含みうる。
本発明にしたがって用いられる膵臓癌の治療法は、好ましくは、外科手術、放射線療法又は薬剤療法を含む。好ましくは外科手術に基づく治療法としては、膵臓又はその一部の切除、例えば膵頭十二指腸切除術、尾部膵切除術、部分的又は完全膵切除術、苦痛緩和的橋渡し手当が挙げられる。薬剤に基づく治療法は、好ましくは抗腫瘍特性を有する1以上の薬剤の投与を含み、そのような薬剤としては、限定するものではないが、白金誘導体、フルオロピリミジン、ピリミジンアナログ、ゲムシタビン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、アントラサイクリン類、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、標的化抗体及びチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。
本発明はさらに、本発明の方法の工程、及び膵臓癌がないと診断される場合には治療が成功したかを決定するさらなる工程を含む、被験体における膵臓癌に対する治療が成功しているか決定する方法に関する。
膵臓癌又は少なくともその一部の症状が、未処置の被験体と比較して治療される又は改善されると、膵臓癌治療は成功したと理解される。さらに、疾患進行が阻止される又は未処置の被験体と比較して少なくとも遅延されると、本明細書において治療は成功したといえる。
本発明はまた、被検体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイス又はシステムであって、
a)表2a、2b、3a、3b、4a若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又は表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカーの検出器を含む該被検体の該サンプルのための分析ユニットであり、該検出器が該サンプル中の該少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定を可能にする、該分析ユニットと、
該分析ユニットと操作可能に連結した、
(b)データ処理ユニット及びデータベースを含む評価ユニットであり、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関連して上記で特定された参照、またより好ましくは膵臓癌に罹患していることが知られている被検体又は被検体群に由来する参照を含み、該データ処理ユニットが、好ましくは本発明の方法に関連して上記で特定されるとおりに、該分析ユニットによって測定された該少なくとも1つのバイオマーカーの量と該保存された参照の比較を実施するため、及び診断を確立させ得る基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニットとを含む前記デバイス又はシステムにも関する。
本明細書において用いるデバイスは、少なくとも前述のユニットを含むべきである。該デバイスのユニットは、互いに機能的に連結されている。どのように手段を機能的に連結するかは、デバイスに含まれるユニットの種類による。例えば検出器によりバイオマーカーの自動的な定性的又は定量的決定が可能である場合、かかる自動的可動分析ユニットにより取得されたデータは、評価ユニットにおける評価を促進するために、例えばコンピュータプログラムにより処理されうる。好ましくは、ユニットはかかるケース内の単一デバイスに含まれる。前記デバイスはしたがって、バイオマーカーのための分析ユニットと、評価のための結果的に得られるデータを処理するため、及び出力情報を集めるためのコンピュータ又はデータ処理デバイスを含みうる。好ましいデバイスは特化した臨床医の特定の知識なしに適用可能なものであり、例えばサンプルの充填を必要とするに過ぎない電子デバイスである。デバイスの出力情報は、好ましくは、膵臓癌の存在又は不在について結論付けることを可能にする数値であり、したがって診断の補助となる。より好ましくは、出力情報は前述の数値に基づく予備的診断又は診断の支援であり、すなわち被験体が膵臓癌を罹患しているか否かを示す分類詞である。かかる予備的診断は、専門知識データベースシステムを追加することにより本発明のデバイスにおいて提供することができる、さらなる情報の評価を必要としうる。
本発明のデバイスに従って保存された参照として使用される好ましい参照は、膵臓癌に罹患していることが知られている被検体又は被検体群に由来する分析対象の少なくとも1つのバイオマーカーの量又はそれから得られる値である。このような場合、実体的に組み込まれたアルゴリズムは、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーについて測定された量を参照と比較し、ここで同一の又は実質的に同一の量又は値は、被検体における膵臓癌の存在を示すものである。
別法として、本発明のデバイスに従って保存された参照として使用される別の好ましい参照は、膵臓癌に罹患していないことが知られている被検体又は被検体群に由来する、分析対象の少なくとも1つのバイオマーカーの量又はそれから得られる値である。このような場合、実体的に組み込まれたアルゴリズムは、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーについて測定された量を参照と比較し、ここで参照と異なる量又は値は、被検体における膵臓癌の存在を示すものである。好ましい差は、以下の表中の個々のバイオマーカーの相対的変化又は変化度として示される差である。
また本発明のデバイスのユニットは、好ましくは,互いに動作可能に連結された、いくつかのデバイスを含むシステムに組み込まれていてもよい。本発明のシステムに使用されるユニットに応じて、該手段間のデータ伝送を可能にする手段、たとえば、ガラスファイバーケーブル及びハイスループットデータ伝送用の他のケーブルを用いて各手段を他の手段に接続することにより、該手段を機能的に連結することが可能である。それにもかかわらず、本発明では、たとえばLAN(無線LAN、W-LAN)を介する手段間の無線データ転送も想定される。好ましいシステムは、バイオマーカーを測定する手段を含む。本明細書において用いられるバイオマーカーの測定手段とは、バイオマーカーの分離手段(たとえばクロマトグラフィデバイス)、及び代謝物質の測定手段(たとえば質量分析デバイス)を含むものである。好適なデバイスについては、上に詳細に記載されている。本発明のシステムに使用される好ましい化合物分離手段としては、クロマトグラフィデバイス、より好ましくは液体クロマトグラフィ用、HPLC用、及び/又はガスクロマトグラフィ用のデバイスが挙げられる。好ましい化合物測定デバイスは、質量分析デバイス、より好ましくはGC-MS、LC-MS、直接注入質量分析器、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析器、逐次連結質量分析器(たとえばMS-MS若しくはMS-MS-MS)、ICP-MS、Py-MS又はTOFを含む。好ましくは、分離手段と測定手段とを互いに連結させる。最も好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されるように、LC-MS及び/又はGC-MSを本発明のシステムに使用する。さらに、バイオマーカーの測定手段から得られた結果の比較手段及び/又は分析手段も含まれるものとする。結果の比較手段及び/又は分析手段は、少なくとも1つのデータベース、及び結果を比較するために実装されたコンピュータプログラムを含みうる。また、上述のシステム及びデバイスの好ましい実施形態については、以下に詳細に記載する。
さらに本発明は、上に記載の医学的状態又は効果の指標(すなわち、被験体における膵臓癌の診断、被験体が膵臓癌の治療を必要とするか否かの特定、又は膵臓癌の治療が成功したか否かの判定)となる少なくとも1つのバイオマーカーの特性値を含むデータ集合に関する。
「データ集合」という用語は、物理的及び/又は論理的に一まとめにしうるデータの集合を意味する。したがって、データ集合は、単一のデータ記憶媒体又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデータ記憶媒体に組込み可能である。好ましくは、データ集合は、データベースを利用して実装される。したがって、本明細書において用いられるデータベースとは、好適な記憶媒体上のデータ集合を包含するものである。さらにデータベースは、好ましくは、データベース管理システムをも含む。データベース管理システムは、好ましくは、ネットワーク型、階層型、又はオブジェクト指向型のデータベース管理システムである。そのうえさらに、データベースは、連邦データベース又は統合データベースでありうる。より好ましくは、データベースは、分散型(連邦)システムとして、たとえばクライアントサーバシステムとして実装されるであろう。より好ましくは、データベースは、検索アルゴリズムにより試験データセットをデータ集合に含まれるデータセットと比較できるように構築可能である。具体的には、そのようなアルゴリズムを用いて、上に記載した医学的状態又は効果の指標となる類似又は同一のデータセットが得られるように、データベースを検索することが可能である(たとえば、クエリー検索)。したがって、データ集合で同一又は類似のデータセットを同定できれば、試験データセットは、該医学的状態又は効果と関連付けられるであろう。その結果として、データ集合から得られた情報を、例えば上述した本発明の方法のための参照として用いることが可能である。より好ましくは、データ集合は、上で記載した群のいずれかに含まれるすべてのバイオマーカーの特性値を含む。
上記を考慮して、本発明は、上述のデータ集合を含むデータ記憶媒体を包含する。
本明細書において用いられる「データ記憶媒体」という用語は、単一の物理的要素に基づくデータ記憶媒体、たとえば、CD、CD-ROM、ハードディスク、光記憶媒体、又はディスケットを包含する。さらに、この用語は、好ましくはクエリー検索に好適な方式で、上述のデータ集合を提供するように互いに動作可能に連結された物理的に分離された要素よりなるデータ記憶媒体をも包含する。
本発明はまた、
(a)サンプルの少なくとも1つのバイオマーカーの特性値を比較するための手段と、それと動作可能に連結された
(b)上に記載したようなデータ記憶媒体
とを含むシステムに関する。
本明細書において用いられる「システム」という用語は、互いに動作可能に連結された異なる手段に関する。該手段は、単一のデバイスに組み込みうるか、又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデバイスでありうる。バイオマーカーの特性値を比較するための手段は、好ましくは、上で述べたような比較用のアルゴリズムに基づいて動作する。データ記憶媒体は、好ましくは、それぞれの記憶データセットが上で記載した医学的状態又は効果の指標となる上述のデータ集合又はデータベースを含む。したがって、本発明のシステムを用いれば、データ記憶媒体に記憶されたデータ集合に試験データセットが含まれるかどうかを同定することが可能である。その結果として、本発明の方法は、本発明のシステムにより実施することができる。
システムの好ましい実施形態では、サンプルのバイオマーカーの特性値を測定する手段が含まれる。「バイオマーカーの特性値を測定する手段」という用語は、好ましくは、代謝物質を測定するための上述のデバイス、たとえば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスを意味する。
さらに本発明は、上に記載した群のいずれかから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段を含む診断用手段に関する。
「診断用手段」という用語は、好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に明記されるような診断用デバイス、システム、又は生物学的アッセイ若しくは化学的アッセイを意味する。
「少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段」という表現は、バイオマーカーを特異的に認識可能なデバイス又は検出剤を意味する。好適なデバイスは、分光測定デバイス、例えば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスでありうる。好適な検出剤は、バイオマーカーを特異的に検出する化合物でありうる。本明細書において用いられる検出とは、二工程プロセスであってもよい。すなわち、最初に、化合物を検出被検体のバイオマーカーに特異的に結合させ、続いて、検出可能なシグナル、たとえば、蛍光シグナル、化学発光シグナル、放射性シグナルなどを発生させることが可能である。検出可能なシグナルを発生させるために、さらなる化合物が必要になることもある。こうした化合物はすべて、「少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段」という用語に包含される。バイオマーカーに特異的に結合する化合物は、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されており、好ましくは、酵素、抗体、アプタマー、リガンド、レセプター、又はバイオマーカーに特異的に結合する他の生物学的分子若しくは化学物質などである。
さらに本発明は、上に記載した群のいずれかから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを含む診断用組成物に関する。
上述した群のいずれかから選択される少なくとも1つのバイオマーカーは、バイオマーカー、すなわち本明細書の他の箇所に記載したように被験体の医学的状態又は効果についての指標分子として機能するだろう。従って、バイオマーカー分子自体は、診断用組成物として、好ましくは本明細書において記載する手段によって可視化又は検出する際の診断用組成物として機能しうる。従って、本発明に従ってバイオマーカーの存在を示す診断用組成物はまた、物理的にはバイオマーカー、例えば抗体の複合体を含んでもよく、検出被検体のバイオマーカーは診断用組成物として機能する。そのため、診断用組成物はさらに、本明細書の他の箇所に記載される代謝物質の検出用手段を含んでもよい。あるいは、検出手段、例えばMS又はNMRに基づく技術を使用する場合には、リスク状態の指標として機能する分子種は、検査被検体の試験サンプルに含まれる少なくとも1つのバイオマーカーでありうる。従って、本発明に関して記載する少なくとも1つのバイオマーカーは、バイオマーカーとしてその同定のために、それ自体が診断用組成物として機能しうる。
一般に、本発明は、膵臓癌診断のための、表2a、2b、3a、3b、4a、若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又はそれらの検出剤、あるいは表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカー又はそれらの検出剤の、被験体のサンプルにおける使用を企図する。
好ましくは、表12、13、14、24、25又は26の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と重要な対照の疾患、すなわち膵炎及び/又は肝硬変とを区別するために使用することができる。好ましくは、表6、7、8、15、16、17、27、28又は29の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と膵炎とを区別するために使用することができる。好ましくは、表18、19、20、30、31又は32の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と肝硬変とを区別するために使用することができる。
さらに、本発明はまた、被検体のサンプルに基づいて膵臓癌を診断するための診断組成物又は医薬組成物の製造のための、表2a、2b、3a、3b、4a、若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又はその検出剤或いは表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカー又はその検出剤の使用にも関する。
好ましくは、表12、13、14、24、25又は26の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と、重要な対照の疾患(すなわち膵炎及び/又は肝硬変)とを区別するために使用することができる。好ましくは、表6、7、8、15、16、17、27、28又は29の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と膵炎とを区別するために使用することができる。好ましくは、表18、19、20、30、31又は32の少なくとも1つのバイオマーカーは、被検体において、膵臓癌と肝硬変とを区別するために使用することができる。
膵臓癌を診断するための診断組成物及び/又は医薬組成物を、少なくとも1つのバイオマーカー又はその検出剤に基づいてどのように製造し得るのかは、当業者に周知である。例えば、なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する抗体又はアプタマーを製造することができる。同様に、バイオマーカー自体、例えばGCMSによって分析される場合、そのような組成物として(例えば、複合体中で又は修飾形態若しくは誘導体化形態で)使用することができる。
本明細書において引用したすべての参照文献は、その開示内容全般に関して又は上に示した具体的な開示内容に関して、本明細書に参照として組み込むものとする。
以下の実施例により、本発明を説明するが、該実施例によって本発明の範囲を制限又は限定する意図はない。
(実施例)
以下の実施例により、本発明を説明するが、該実施例によって本発明の範囲を制限又は限定する意図はない。
サンプル調製及びMS分析
本研究は、80人の膵臓腺癌の患者、80人のアルコール誘導性肝硬変を有する患者、及び80人の慢性膵炎に罹患している患者並びに80人の健常ボランティア(血液ドナー)を含んでいた。患者及び健常ボランティアは、年齢、性別及びBMIについて一致していた。全ての患者及び健常ボランティアについて、血液サンプルを収集した。遠心分離によって血漿を調製し、サンプルは、測定を実施するまで-80℃で保存した。
血漿サンプルの分析は、2つのカテゴリーに分類されるバイオマーカー候補を明らかにした。血漿サンプルの分析を、以下のとおりに実施した:
ヒト血漿サンプルを調製し、以下に記載されるとおりに、LC-MS/MS及びGC-MS又はSPE-LC-MS/MS(ホルモン)分析に供した:
タンパク質を血漿から沈降により分離した。水と、エタノール及びジクロロメタンの混合物とを加えた後、残留サンプルを水性の極相(極性画分)及び有機の親油性相(脂質画分)へと分画した。
脂質抽出物のトランスメタノリシスのために、140μlのクロロホルム、37μlの塩酸(37重量%HCl水溶液)、320μlのメタノール及び20μlのトルエンの混合物を、蒸発させた抽出物に加えた。その容器を密封し、100℃にて振とうしながら2時間加熱した。次いで溶液を蒸発乾固させた。残留物を完全に乾燥した。
カルボニル基のメトキシム化を、密封した容器中でメトキシアミン塩酸塩(ピリジン中の20mg/ml、100μl、1.5時間、60℃にて)との反応によって行った。奇数炭素数の直鎖脂肪酸の溶液20μl(3/7(v/v)ピリジン/トルエン中の、7〜25個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.3mg/mLと27、29及び31個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.6mg/mLの溶液)を時間標準として加えた。最後に、100μlのN-メチル-N-(トリメチルシリル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(MSTFA)による誘導体化を60℃にて30分間、密封した容器中で再び行った。GC中への注入前の最終体積は220μlであった。
極性相については、次の手順で誘導体化を実施した。カルボニル基のメトキシム化を、密封した容器中でメトキシアミン塩酸塩(ピリジン中の20mg/ml、50μl、1.5時間、60℃にて)との反応によって行った。奇数炭素数の直鎖脂肪酸の溶液10μl(3/7(v/v)ピリジン/トルエン中の、7〜25個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.3mg/mLと27、29及び31個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.6mg/mLの溶液)を時間標準として加えた。最後に、50μlのN-メチル-N-(トリメチルシリル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(MSTFA)による誘導体化を60℃にて30分間、密封した容器中で再び行った。GC中への注入前の最終体積は110μlであった。
GC-MSシステムはAgilent 5973 MSDと連結したAgilent 6890 GCから成る。自動サンプラーはCTCからのCompiPal又はGCPalである。
分析については、通常の市販キャピラリー分離カラム(30m x 0.25mm x 0.25μm)を使用し、このカラムは分析サンプル材料と相分離ステップからの画分に応じて0%〜35%の芳香族部分を含有する異なるポリ-メチル-シロキサン固定相を備えた(例えば: DB-1ms、HP-5ms、DB-XLB、DB-35ms、Agilent Technologies)。1μLまでの最終体積を分割せずに注入し、オーブン温度プログラムを70℃にてスタートし、十分なクロマトグラフィ分離と各アナライトピークの走査数を達成するために、サンプル材料と相分離ステップからの画分に応じて異なる昇温速度で340℃にて終了した。さらにRTL(Retention Time Locking(保持時間ロッキング)、Agilent Technologies)を分析に使用し、通常のGC-MS標準条件、例えば名目上1〜1.7ml/分の定常流、及び移動相ガスとしてヘリウム、イオン化を70eVの電子衝突で行い、m/z範囲15〜600内で2.5〜3走査/秒の走査速度及び標準チューン条件により走査した。
HPLC-MSシステムはAPI 4000質量分析計(Applied Biosystem/MDS SCIEX、Toronto、Canada)と連結したAgilent 1100 LCシステム(Agilent Technologies、Waldbronn、Germany)から構成された。HPLC分析は、C18固定相(例えば:GROM ODS 7 pH、Thermo Betasil C18)を備えた市販の逆相分離カラムで実施した。10μLまでの最終サンプル体積の蒸発させかつ再構成した極性及び親油性相を注入し、分離はメタノール/水/ギ酸又はアセトニトリル/水/ギ酸勾配を用いて200μL/分の流量にて勾配溶出により実施した。
質量分析は、エレクトロスプレーイオン化により非極性画分についてはポジティブモードでそして極性画分についてはネガティブモード又はポジティブモードで、多重反応モニタリング(MRM)モード及び100〜1000amuのフルスキャンを用いて行った。
ステロイド及びそれらの代謝物質は、オンラインSPE-LC-MS (固相抽出)-LC-MSによって測定した。ステロイド及び関連代謝物質については、定量化は安定な同位体標識された標準を用いて達成され、絶対濃度が計算された。
血漿サンプル中の複合脂質の分析:
クロロホルム/メタノールを使用した液/液抽出によって、血漿から全脂質を抽出した。
脂質抽出物はその後、Christie (Journal of Lipid Research (26)、1985、507-512)にしたがって、順相液体クロマトグラフィー(NPLC)によって11種類の様々な脂質群に分画した。
これらの画分は、コレステロールエステル(CE)、遊離ステロール(FS)、スフィンゴミエリン(SM)、及びセラミド(CER)についてそれぞれ特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)及び大気圧化学イオン化(APCI)を用いて、LC-MS/MSにより分析した。スフィンゴシン及びスフィンゴシン-1-ホスフェート(SP)は、Schmidt Hらにより、Prostaglandins & other Lipid Mediators 81(2006), 162-170に記載される特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いたLC-MS/MSにより分析した。
以下の表中の代謝物は、その名称中に各略語を含むこれらの画分の1つに由来する。
脂質の種類、モノアシルグリセリド(MAG)、トリアシルグリセリド(TAG)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リソホスファチジルコリン(LPC)、ジアシルグリセロール(DAG)、遊離脂肪酸(FFA)は、GC-MSによって測定した。
画分は、TMSH(トリメチルスルホニウムヒドロキシド)で誘導化し、種類別にした脂質のアシル部分に対応する脂肪酸メチルエステル(FAME)を生成した後、GC-MSによって分析する。C14からC24までのFAMEの濃度は、各画分中で測定する。
以下の表中の代謝物質は、その名称の前に下線で分離された各略語を含むこれらの画分の1つに由来する。
データ分析及び統計的評価
血漿サンプルは、各サンプルの一定分量から作製したプールサンプル(いわゆる「プール」)を用いて、分析順序をランダム化したデザインで分析した。生のピークデータは、方法によるばらつき(いわゆる、比)を考慮して、分析順序毎のプールの中央値に対して正規化した。比は、データの正常な分布に近づけるためにlog10変換した。統計学的分析は、以下の固定効果:疾患、肥満度指数(BMI)、年齢、性別及び保存時間(保存)を用いて簡単な線型モデル(ANOVA)によって行った。
疾患 + BMI + 年齢 + 性別 + 保存
ANOVA因子の「年齢」、「BMI」及び「保存」は数値因子として設定され、因子「性別」は、参照「男性」に設定され、因子「疾患」は参照として健常ボランティア(血液ドナー)に設定され、又は別のANOVAモデルにおいて、参照として非癌群(血液ドナー、慢性膵炎及び肝硬変)に設定された。
ANOVAモデルの結果から、膵臓癌のバイオマーカーを同定するために三つの異なるアプローチを適用した。これらの異なるアプローチによって、表1で説明される異なるバイオマーカーカテゴリーが生じ、同定されたバイオマーカーは以下の表2a、2b、3a、3b、4a及び4bに挙げられる。
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脂肪酸および複合脂質の分析に由来する脂質分析画分(= 脂質の種類)の略語方式は上記のとおりである:
例えばC24:1は、炭素骨格中炭素原子24個及び2重結合1個を有する脂肪酸を表す。
上記の略語方式は、一般的に、本出願中の全ての表および本出願の明細書中の各代謝物質への言及に当てはまる。
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血清代謝物質の分析
上述の実施例1に記載される患者から血清サンプルを得た。サンプルを前処理し、実施例1に記載されるとおりにMSによって分析し、基本的には上記の実施例1及び2に記載されるとおりに統計的に評価した。
血清サンプル中の代謝物質バイオマーカーについて見出される推定倍率変化、t値及びp値は、本質的に、表2a、2b、3a、3b、4a又は4bのいずれか1つに記載されるとおりであり、従って、推定倍率変化、変化の方向(すなわち上方調節又は下方調節)及び有意値は、基本的には別のサンプル種に関して確認することができた。
実施例4:さらなる血漿サンプルの分析及び評価
2つめのセンター(second centre)取得されたさらなる血漿サンプルを、80人の膵臓腺癌患者及び80人の慢性膵炎に罹患している患者から収集した。患者は、年齢、性別及びBMIについて一致していた。血漿を調製し、実施例1に記載されるとおりにMSによって分析し、表5に記載されるとおりに統計的に評価した。脂質の種類の略語は、表2bに記載されている。
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Claims (16)

  1. 被検体において膵臓癌を診断する方法であって、
    (a)膵臓癌に罹患している疑いのある被検体のサンプルにおいて、表2a、2b、3a、3b、4a若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又は表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカーの量を決定するステップと、
    (b)前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記量を参照と比較し、それによって膵臓癌が診断されることとなるステップとを含む方法。
  2. 前記参照が、膵臓癌に罹患していないことが知られている被検体若しくは被検体群のサンプルに由来するか、又は計算された参照である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記参照が、膵臓癌に罹患していることが知られている被検体又は被検体群のサンプルに由来する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つのバイオマーカーが、カテゴリー1又はカテゴリー2のバイオマーカーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記被検体が、基礎的な膵臓疾患として膵炎を示す、請求項4に記載の方法。
  6. 前記参照が、膵炎に罹患している被検体又は被検体群に由来し、且つ前記少なくとも1つのバイオマーカーが、表6、7、8、15、16、17、27、28又は29からのものである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記参照が、肝硬変に罹患している被検体又は被検体群に由来し、且つ前記少なくとも1つのバイオマーカーが、表18、19、20、30、31又は32からのものである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記参照が、膵炎及び/又は肝硬変に罹患している被検体又は被検体群に由来し、且つ前記少なくとも1つのバイオマーカーが、表12、13、14、24、25又は26からのものである、請求項1に記載の方法。
  9. 被検体が膵臓癌治療を必要とするかどうかを同定するための方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法のステップと、前記被検体が膵臓癌に罹患していると診断される場合、膵臓癌治療を必要とする被検体を同定するさらなるステップとを含む方法。
  10. 被検体において膵臓癌に対する治療が成功するかどうかを決定する方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法のステップと、膵臓癌と診断されない場合、治療が成功するかどうかを決定するさらなるステップとを含む方法。
  11. 前記膵臓癌治療が、手術、放射線治療又は薬物療法を含む、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記サンプルが、血漿、血液又は血清サンプルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記被検体がヒトである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記膵臓癌が膵臓腺癌である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 被検体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスであって、
    a)表2a、2b、3a、3b、4a若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又は表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカーの検出器を含む該被検体の該サンプルのための分析ユニットであり、該検出器が該サンプル中の該少なくとも1つのバイオマーカーの量の決定を可能にする、該分析ユニットと、
    該分析ユニットと操作可能に連結した、
    (b)データ処理ユニット及びデータベースを含む評価ユニットであり、該データベースが保存された参照を含み、該データ処理ユニットが、該分析ユニットによって決定された該少なくとも1つのバイオマーカーの量と該保存された参照の比較を実施するため、及び診断を確立させ得る基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニットとを含むデバイス。
  16. 膵臓癌を診断するための、膵臓癌に罹患している疑いのある被検体のサンプルにおける表2a、2b、3a、3b、4a若しくは4bの少なくとも1つのバイオマーカー又はその検出剤或いは表6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31若しくは32の少なくとも1つのバイオマーカー又はその検出剤の使用。
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