JP2015233044A - 有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子 - Google Patents

有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子 Download PDF

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充孝 永江
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Abstract

【課題】本発明は、遮光層を有する有機半導体素子の各構成の位置合わせを適切に行うことができる有機半導体素子の製造方法等を提供する。【解決手段】本発明は、基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極、ならびにアライメントマークを有する有機半導体素子用基板を準備し、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成する誘電体層形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成する有機半導体層形成工程と、上記誘電体層が形成された領域以外の領域において、上記有機半導体層を覆うように遮光性樹脂組成物を塗布して、遮光層を形成する遮光層形成工程とを有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、遮光層を有する有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子に関する。
TFTに代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素等の無機半導体材料が用いられてきた。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
一方、半導体材料としては、有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であること、フレキシブルなプラスチック基板上に形成できること、さらに機械的衝撃に対して安定であることという利点を有している。したがって、有機半導体材料を対象として、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用等を想定した研究が活発に行われている。
有機半導体層を有する有機半導体素子においては、有機半導体層への光照射によるオフ電流の増加、有機半導体層の経時劣化を抑制することが求められ、例えば、特許文献1〜2に示すように、有機半導体層上に遮光層を形成する構成が提案されている。
特開2012−138550号公報 特許第4712361号公報
有機半導体素子の各構成の形成方法においては、フォトリソグラフィ法が好適に用いられている。そのため、有機半導体素子の製造過程では、基板上に位置合わせを行うためにアライメントマークが設けられる。
また、有機半導体素子に用いられる遮光層は、有機半導体層への光照射を抑制する観点から、より広範囲に形成されることが好ましい。また、このような遮光層の形成方法においては、遮光性樹脂組成物を基板上の全面に塗布する方法を含んでいることが好ましい。
しかしながら、上記遮光層の形成方法を採用した場合、上記アライメントマークを認識することが困難となり、遮光層の下層に形成される構成に対して遮光層、および遮光層の上層に形成される構成の位置合わせを行うことが困難となるという問題がある。
また、アライメントマーク上に形成された遮光性樹脂組成物の塗膜をワイパー等を用いて除去したり、アライメントマーク上に形成された遮光層をレーザ等で除去することも検討されているが、この場合は、専用の設備が必要となり、製造コストが高くなるという問題がある。
また、アライメントマークを用いずに、露光装置の機械精度により半導体素子を形成する基板とフォトマスク等との位置合わせを行うことも検討されているが、上記基板の寸法安定性に左右されやすく、適切な位置合わせを行うことが困難な場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり遮光層を有する有機半導体素子の各構成の位置合わせを適切に行うことができる有機半導体素子の製造方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上または上記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークとを有する有機半導体素子用基板を準備し、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成する誘電体層形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成する有機半導体層形成工程と、上記誘電体層が形成された領域以外の領域において、上記有機半導体層を覆うように遮光性樹脂組成物を塗布して、遮光層を形成する遮光層形成工程とを有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記誘電体層形成工程を有することにより、上記検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成することができるから、遮光層形成工程において、誘電体層表面に塗布される遮光性樹脂組成物をはじくことができ、誘電体層上に遮光層が形成されないようにすることができる。よって、遮光層を形成した場合も誘電体層の下層に位置するアライメントマークを検出することができ、遮光層を有する有機半導体素子の各構成の位置合わせを適切に行うことができる。
上記発明においては、上記有機半導体層形成工程が、上記ゲート絶縁層、上記ソース電極および上記ドレイン電極を覆うように、上記有機半導体層を形成する有機半導体層全面形成工程と、上記検出領域および上記チャネル領域において、上記有機半導体層上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、上記検出領域以外の領域において、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする真空紫外光照射工程と、を有し、上記誘電体層形成工程が、上記レジスト層形成工程において、上記検出領域における上記レジスト層として、上記誘電体層を形成し、上記チャネル領域における上記レジスト層として、疎水性を有する第2誘電体層を形成する工程であり、上記真空紫外光の照射により、上記第2誘電体層が親水化することが好ましい。有機半導体層を高精細に形成することができ、また、誘電体層形成工程をレジスト層形成工程を兼ねて行なうことができる。また、真空紫外光照射により第2誘電体層を親水化することができるため、チャネル領域における有機半導体層上に形成された第2誘電体層を剥離する工程を行わなくてもよい。よって、より製造工程数を少なくすることができ、製造コストを削減することができるからである。
本発明は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上または上記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークと、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、上記ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層と、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、上記ゲート絶縁層上に形成された誘電体層と、上記誘電体層が形成された領域以外の領域において、上記有機半導体層を覆うように形成された遮光層とを有することを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明によれば、上記検出領域に形成された誘電体層以外の領域に遮光層が形成されているため、有機半導体素子の各構成をアライメントマークを用いて適切な位置合わせを行って形成することができるため、各構成の位置合わせが適切にされた有機半導体素子とすることができる。また、本発明によれば、有機半導体素子を表示装置に用いる場合に、上記アライメントマークを用いて有機半導体素子と、他の部材との位置合わせを適切に行なって配置することができる。
上記発明においては、上記チャネル領域において、上記有機半導体層上に形成された第2誘電体層を有し、上記遮光層が上記第2誘電体層を覆うように形成されていることが好ましい。上述した有機半導体素子の製造方法を用いて有機半導体層を製造することができるため、生産性が良好な有機半導体素子とすることができるからである。
本発明の有機半導体素子の製造方法は、遮光層を有する有機半導体素子の各構成の位置合わせを適切に行うことができるといった作用効果を奏する。
本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略平面図である。 本発明の有機半導体素子の製造方法における誘電体層について説明する説明図である 本発明における有機半導体素子用基板の一例を示す概略平面図である。 本発明の有機半導体素子における配線、端子、有機半導体層および第2誘電体層の一例を示す概略平面図および断面図である。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子について説明する。
A.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子の製造方法は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上または上記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークとを有する有機半導体素子用基板を準備し、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成する誘電体層形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成する有機半導体層形成工程と、上記誘電体層が形成された領域以外の領域において、上記有機半導体層を覆うように遮光性樹脂組成物を塗布して、遮光層を形成する遮光層形成工程とを有することを特徴とする製造方法である。
以下の説明において、「有機半導体トランジスタ」とは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有するものを指す。また、本発明において製造される有機半導体素子は、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極および有機半導体層の順に積層されて形成されることから、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有するものである。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法について図を用いて説明する。
図1(a)〜(f)は本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す工程図である。本発明の有機半導体素子の製造方法においては、図1(a)に示すように、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、基板1上に形成されたアライメントマーク3と、ゲート電極2およびアライメントマーク3を覆うように形成されたゲート絶縁層4と、ゲート絶縁層4上に形成されたソース電極5およびドレイン電極6を有する有機半導体素子用基板100’を準備する。なお、図示はしないが、アライメントマークがゲート絶縁層上に形成された有機半導体素子用基板を用いてもよい。
次に、図1(b)に示すように、ゲート絶縁層4、ソース電極5およびドレイン電極6を覆うように有機半導体層7を形成する。次に、図1(c)に示すように、アライメントマーク3と平面視上重なる検出領域Aにおいて、レジスト層として疎水性を有する誘電体層8を、有機半導体層7上に形成し、ソース電極5およびドレイン電極6の間のチャネル領域において、レジスト層として疎水性を有する第2誘電体層9を、有機半導体層7上に形成する(誘電体層形成工程)。次に、メタルマスクM等を介して検出領域A以外の領域において、第2誘電体層9および有機半導体層7に真空紫外光Lを照射することにより、図1(d)に示すように、第2誘電体層9が形成されていない部位の有機半導体層7をエッチングする。また、第2誘電体層9を親水化する(有機半導体層形成工程)。
次に、図1(e)、(f)に示すように、パターニングされた有機半導体層7および第2誘電体層9を覆うように、誘電体層8が形成された領域以外の領域に遮光性樹脂組成物10’を塗布して遮光層10を形成する(遮光層形成工程)。本発明においては、必要に応じて、遮光性樹脂組成物10’の塗膜を露光および現像することにより、コンタクトホール20を有する遮光層10を形成してもよい。以上の工程を行うことにより、図1(f)に示す有機半導体素子100を製造することができる。また、本発明においては、図示はしないが、遮光層形成工程後に、誘電体層表面に真空紫外光等を照射して親水化する工程を有していてもよい。また、図2に示すように遮光層10上にパッシベーション層11を形成する工程を有していてもよく、パッシベーション層11上にコンタクトホール20を通じてドレイン電極6と接続された外部入出力電極12を形成する工程を有していてもよい。
図2は、本発明により製造される有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、有機半導体素子100は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、基板1上に形成されたアライメントマーク3と、ゲート電極2およびアライメントマーク3を覆うように形成されたゲート絶縁層4と、ゲート絶縁層4上に形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6の間のチャネル領域ならびにアライメントマークと平面視上重なる検出領域Aにおいて、ゲート絶縁層4上に形成された有機半導体層7と、検出領域Aにおいて有機半導体層7上に形成された誘電体層8と、チャネル領域において有機半導体層7上に形成された第2誘電体層9と、有機半導体層7および第2誘電体層9を覆うように、誘電体層8が形成された領域以外の領域に形成された遮光層10とを有することを特徴とするものである。また、有機半導体素子100は、遮光層10上に形成されたパッシベーション層11および上記パッシベーション層11上に形成されコンタクトホール20を通じてドレイン電極6と接続された外部入出力電極12を有していてもよい。
図3(a)、(b)は本発明により製造される有機半導体素子の一例を示す概略平面図である。図3(a)において、基板、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線以外の構成は省略されている。図3(b)において、基板および有機半導体層以外の構成は省略されている。また、図3(a)、(b)において、コンタクトホールを通じてドレイン電極に接続される画素電極等の外部入出力電極12が形成される領域を破線で示している。図3(a)、(b)に示すように、有機半導体素子においては、基板1上に、金属材料を含むソース電極5、ドレイン電極6およびデータ配線13が形成され、ソース電極5、ドレイン電極6およびデータ配線13を覆うように有機半導体層7が形成されていてもよい。有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域と、コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域以外のソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域とに配置されていてもよい。
本発明によれば、上記誘電体層形成工程を有することにより、上記検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成することができるから、遮光層形成工程において、誘電体層表面に塗布される遮光性樹脂組成物を弾くことができ、誘電体層上に遮光層が形成されないようにすることができる。よって、遮光層を形成した場合も誘電体層の下層に位置するアライメントマークを検出することができ、遮光層を有する有機半導体素子の各構成の位置合わせを適切に行うことができる。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法の各工程について説明する。
1.誘電体層形成工程
本発明における誘電体層形成工程は、基板と、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース電極およびドレイン電極と、アライメントマークとを有する有機半導体素子用基板を準備し、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成する工程である。
(1)有機半導体素子用基板
本工程に用いられる有機半導体素子用基板は、基板と、ゲート電極と、アライメントマークと、ゲート絶縁層と、ソース電極およびドレイン電極とを有するものである。
(a)ゲート電極
ゲート電極は、基板上に形成されるものである。
ゲート電極に用いられる導電性材料としては、例えば、Ag、Au、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Mo−Ta合金等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料を挙げることができる。ゲート電極は、後述するアライメントマークと一括して形成されることが好ましいことから、ゲート電極の材料としては金属材料であることが好ましい。
ゲート電極の厚みとしては、電極として機能する程度の厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.03μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明により製造される有機半導体素子の各構成の厚みは、一般的な測定方法によって得られる厚みをいう。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の顕微鏡観察像を用いた方法等を挙げることができる。なお、厚みとして、対象となる構成の複数箇所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
ゲート電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノ粒子を塗布および焼結する方法等によって基板全面に導電層を形成した後、パターニングする方法や、基板上に直接パターン状のゲート電極を形成する方法を挙げることができる。導電層のパターニング方法としては、通常、リソグラフィ法が用いられ、中でもフォトリソグラフィ法が好適に用いられる。一方、パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法や、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
(b)アライメントマーク
アライメントマークは、基板上またはゲート絶縁層上に形成されるものであり、有機半導体素子の構成をパターニングする際の位置合わせに用いられるものである。
アライメントマークの材料としては、露光装置等の有機半導体素子の製造過程において用いられる装置により検出可能なものであれば特に限定されない。アライメントマークの材料としては、例えば、金属材料、遮光性樹脂材料等を挙げることができる。本発明においては、なかでもアライメントマークの材料としては、ゲート電極と同一の材料またはソース電極およびドレイン電極と同一の材料であることが好ましい。ゲート電極またはソース電極およびドレイン電極とアライメントマークとを一括して形成することができるため、有機半導体素子の製造工程数を少なくすることができ、製造コストを減らすことができるからである。本発明においては、特にアライメントマークの材料としては、ゲート電極と同一の材料を用いることが好ましい。ゲート電極上に形成される各構成の形成の際に用いることが可能なアライメントマークを形成することができるからである。
なお、遮光性樹脂材料については、後述する遮光層に用いられるものと同様とすることができる。
アライメントマークの形状としては、一般的なものを用いることができ、アライメントマークは、通常、パターン状に形成される。
アライメントマークの形状としては、一般的なアライメントマークの形状を採用することができ、例えば十字形状、×(バツ)印形状、田の字形状、井の字形状や、円形状、四角形状、三角形状等のドット形状、二重丸形状、二重四角形状、中抜きの四角形状等の任意の形状とすることができる。
アライメントマークの大きさ、および形成位置については、有機半導体素子の用途に応じて適宜選択される。
アライメントマークの形成方法としては、例えば、上述したゲート電極と一括して形成することが好ましい。
また、遮光性樹脂材料を用いる場合は、フォトリソグラフィ法や印刷法を用いることができる。
(c)ゲート絶縁層
ゲート絶縁層は、上記ゲート電極を覆うように形成されるものである。また、ゲート絶縁層は、ゲート電極とソース電極およびドレイン電極とを絶縁する機能を有するものである。
ゲート絶縁層を構成する材料としては、所望の絶縁性を有する絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の有機材料や、SiO、SiN、Al等の無機材料を挙げることができる。絶縁性材料は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
ゲート絶縁層の厚みとしては、所望の絶縁性を示すことができれば特に限定されず、本発明により製造される有機半導体素子の用途、ゲート絶縁層の材料等に応じて適宜選択することができる。
ゲート絶縁層の形成方法としては、例えば、絶縁性材料として有機材料を用いる場合には、有機材料を溶媒に溶解させたゲート絶縁層形成用塗工液を調製し、これをゲート電極を覆うように塗布する方法を挙げることができる。また、絶縁性材料として無機材料を用いる場合は、例えば、CVD法等を挙げることができる。
(d)ソース電極およびドレイン電極
ソース電極およびドレイン電極は、上記ゲート絶縁層上に形成されるものである。
ソース電極およびドレイン電極は、ソース電極およびドレイン電極の間に所望のチャネル領域を有するように基板上に形成されるものである。
上記ソース電極および上記ドレイン電極に用いられる材料としては、所望の導電性を有する導電性材料であれば特に限定されるものではない。このような導電性材料としては、例えば、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Cu、Mo−Ta合金等の金属材料、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の透明導電性無機材料、および、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)等の導電性を有する有機材料を挙げることができる。なお、ソース電極およびドレイン電極は、1種類の導電性材料からなるものであってもよく、2種類以上の導電性材料からなるものであってもよい。
ソース電極およびドレイン電極の厚みとしては、電極として機能する程度の厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.03μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、ソース電極の厚みおよびドレイン電極の厚みは同一であってもよく異なっていてもよい。
ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域の大きさは、本発明により製造される有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。チャネル領域の幅としては、チャネル領域内に有機半導体層を形成可能な程度であれば特に限定されないが、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜50μmの範囲内、さらに5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
ソース電極およびドレイン電極の形成方法としては、例えば、蒸着法等を用いて基板全面に上記金属材料を含む金属層を形成した後、エッチングする方法や、金属マスクを用いて上記金属材料をパターン状に蒸着する方法、印刷法等を挙げることができる。また、リフトオフ法を用いることもできる。金属層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができ、具体的には、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。
(e)基板
基板は、上述した各層を支持するものである。
基板としては所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本発明により製造される有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板、および、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板を挙げることができる。プラスチック樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)およびポリエーテルイミド(PEI)等を挙げることができる。
また、基板は単一層からなるものであってもよく、または、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。複数の層が積層された構成を有する基板としては、例えば、上記プラスチック樹脂からなる基板上に、硬化性樹脂を含む平坦化層が形成されたものを挙げることができる。プラスチック樹脂からなる基板上に硬化性樹脂組成物を塗布して平坦化層を形成することにより、プラスチック樹脂基板に凹凸があっても表面を平坦化することができ、ソース電極およびドレイン電極等の断線などの欠陥を未然に防ぐことができる。
また、この場合、さらにバリア層を積層してもよい。シリコン酸化物などの絶縁性のバリア層であれば、基板表面及び上記平坦化層の下が好ましく、金属系バリア層であれば、上記平坦化層の下が好ましい。これにより、バリア層に傷が入ることがなくバリア性が維持できる。
基板の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、中でも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。なお、基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みの総和を意味する。
(f)その他の構成
本発明における有機半導体素子用基板は、上述の構成を有していれば特に限定されず、他の構成を適宜選択して追加することができる。
(i)データ配線
有機半導体素子用基板は、ゲート絶縁層上に形成され、ソース電極と接続されたデータ配線を有していてもよい。
データ配線に含まれる導電性材料は、ソース電極およびドレイン電極に含まれる導電性材料と同じであってもよく異なっていてもよいが、通常はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線は同時に形成されることから、データ配線、ソース電極およびドレイン電極に含まれる導電性材料は同一である。
データ配線の厚みおよび形成方法は、ソース電極およびドレイン電極の厚みならびに形成方法と同様とすることができる。中でも、同一の導電性材料を用いてソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を同時に形成することが好ましい。
(ii)外部接続端子および検査用端子
有機半導体素子用基板は、例えば後述する図5に示すように基板1上の表示部51の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53が形成されていてもよい。
本発明においては、後述する真空紫外光照射工程において、外部接続端子や検査用端子の一部を覆うように有機半導体層をパターニングすることができる。
外部接続端子や検査用端子に用いられる材料としては、所望の導電性が得られれば特に限定されるものではなく、上述したゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いられる材料の中から選択して用いることができる。また、外部接続端子や検査端子に用いられる材料としては、Al、Ag、Cuまたはそれらの合金を好適に用いることができる。
外部接続端子や検査用端子の形状、間隔、数等は一般的な有機半導体素子と同様とすることができ、適宜設定される。
(iii)その他の構成
本発明における有機半導体素子用基板は、上述したデータ配線、外部接続端子および検査用端子の他にも必要に応じて任意の構成を適宜選択して追加することができる。
(2)誘電体層形成工程
本工程においては、検出領域において、後述する遮光層形成工程の前に行うことができれば特に限定されず、後述する有機半導体層形成工程の前に行なってもよく、有機半導体層形成工程と同時に行ってもよく、有機半導体層形成工程後に行なってもよい。なかでも、本工程は、有機半導体層形成工程と同時に行うことが好ましい。より具体的には、本工程が、後述するレジスト層形成工程を兼ねることが好ましい。本発明の有機半導体素子の製造方法における工程数を少なくすることができるからである。
誘電体層の形成方法については、検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成することができる方法であれば特に限定されず、例えばフォトリソグラフィ法を挙げることができる。フォトリソグラフィ法を用いた誘電体層の形成方法については後述する「2.有機半導体層形成工程」の項で説明する。
(3)誘電体層
本工程により形成される誘電体層は、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、ゲート絶縁層上に形成されるものである。また、誘電体層は疎水性を有するものである。
上記誘電体層としては、上記検出領域においてゲート絶縁層上に形成されていれば特に限定されず、ゲート絶縁層上に直接形成されていてもよく、ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層上に形成されていてもよい。本発明においては、なかでも、誘電体層が有機半導体層上に形成されていることが好ましい。後述する有機半導体層形成工程におけるレジスト層形成工程において誘電体層を形成することができるため、有機半導体素子の製造工程数を少なくすることができ、製造コストを削減することができるからである。
誘電体層の形成位置としては、上記検出領域に形成されていれば特に限定されない。例えば、図4(a)に示すように検出領域Aのみに誘電体層8が形成されていてもよく、図4(b)〜(d)に示すように、検出領域Aを含む領域に所定の形状で誘電体層が形成されていてもよい。この場合、例えば、図4(b)に示すように検出領域Aを含む領域にライン状に誘電体層が形成されていてもよく、図4(c)に示すように、検出領域Aを含む領域に島状に誘電体層が形成されていてもよい。また、有機半導体素子用基板が、多面付けの有機半導体素子に用いられるものである場合は、図4(d)に示すように、検出領域Aを含む領域において、各有機半導体素子が形成される領域Tを囲むように誘電体層8が形成されていてもよい。
図4(a)〜(d)は本発明の有機半導体素子の製造方法における誘電体層について説明する説明図である。また、図4(a)〜(d)においては、説明の容易のため、基板、アライメントマークおよび誘電体層以外の構成については、省略して示している。
誘電体層の特性、厚みおよび形成方法については、後述する「2.有機半導体層形成工程 (2)レジスト層形成工程 (b)レジスト層および形成方法」の項で説明する内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.有機半導体層形成工程
本発明における有機半導体層形成工程は、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成する工程である。
本工程に用いられる有機半導体層の形成方法としては、上記チャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成することができれば特に限定されず、例えば、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法等を挙げることができる。なかでも、有機半導体層の形成方法としては、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法を用いることが好ましい。有機半導体層を高精細にパターニングすることができるからである。
また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする方法としては、メタルマスク等を用いてチャネル領域以外の領域において、有機半導体層に真空紫外光を照射して、有機半導体層をエッチングしてもよい。また、チャネル領域において、レジスト層を有機半導体層上に形成し、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングしてもよい。本発明においては、なかでも、レジスト層を形成する方法を用いることが好ましい。上記チャネル領域において、レジスト層を形成すると同時に、上記検出領域においてもレジスト層を形成することができるため、上述した誘電体層形成工程を同時に行うことができ、製造工程数を少なくして製造コストを削減することができるからである。
より具体的には、本工程が、上記ゲート絶縁層、上記ソース電極および上記ドレイン電極を覆うように、上記有機半導体層を形成する有機半導体層全面形成工程と、上記検出領域および上記チャネル領域において、上記有機半導体層上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、上記検出領域以外の領域において、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする真空紫外光照射工程と、を有し、上記誘電体層形成工程が、上記レジスト層形成工程において、上記検出領域における上記レジスト層として、上記誘電体層を形成し、上記チャネル領域における上記レジスト層として、疎水性を有する第2誘電体層を形成する工程であり、上記真空紫外光の照射により、上記第2誘電体層が親水化することが好ましい。有機半導体層を高精細に形成することができ、また、誘電体層形成工程をレジスト層形成工程を兼ねて行なうことができる。また、真空紫外光照射により第2誘電体層を親水化することができるため、チャネル領域における有機半導体層上に形成された第2誘電体層を剥離する工程を行わなくてもよい。よって、より製造工程数を少なくすることができ、製造コストを削減することができるからである。
以下、有機半導体層形成工程における各工程について説明する。
(1)有機半導体層全面形成工程
有機半導体層全面形成工程は、上記ゲート絶縁層、上記ソース電極および上記ドレイン電極を覆うように、上記有機半導体層を形成する工程である。
有機半導体層に用いられる有機半導体材料としては、所望の半導体特性を備える有機半導体層を得ることができれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。有機半導体材料は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。
有機半導体層の厚みは、所望の半導体特性が得られる程度であればよく、上記有機半導体材料の種類等に応じて適宜選択される。具体的に、有機半導体層の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に5nm〜300nmの範囲内、さらに20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。有機半導体層の厚みが厚すぎると、本発明により製造される有機半導体素子において、電流オフ時においても回り込み電流によってドレイン電流が生じ、これに起因してオフ電流が大きくなる場合があるからである。一方、有機半導体層の厚みが薄すぎると、有機半導体材料の種類によっては有機半導体層の半導体特性が不足する可能性があるからである。
有機半導体層の形成方法としては、例えば、有機半導体材料が溶媒に可溶である場合は、有機半導体材料を溶媒に溶解して有機半導体層形成用塗工液を調製した後、これを基板上の塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等を挙げることができる。一方、有機半導体材料が溶媒に不溶である場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスが挙げられる。
(2)レジスト層形成工程
レジスト層形成工程は、上記検出領域および上記チャネル領域において、上記有機半導体層上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程である。また、レジスト層形成工程は、誘電体層形成工程を兼ねる工程であり、上記検出領域における上記レジスト層として、上記誘電体層を形成し、上記チャネル領域における上記レジスト層として、疎水性を有する第2誘電体層を形成する工程である。
(a)第2誘電体層
本工程により形成される第2誘電体層は、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域の有機半導体層上に形成されるものである。
第2誘電体層は、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光に対するマスクとして用いられる。そのため、第2誘電体層のパターン形状は、後述するエッチング後の有機半導体層のパターン形状と同一になる。
なお、「第2誘電体層が、エッチング後の有機半導体層のパターン形状と同一形状であると」は、平面視上の第2誘電体層の形状が、エッチング後の有機半導体層のパターン形状と同一形状であることをいう。
第2誘電体層の特性、厚みおよび形成方法については、後述する「(3)レジスト層および形成方法」の項で説明する内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(b)レジスト層および形成方法
本工程においては、上記誘電体層および第2誘電体層は、レジスト層として形成される。
誘電体層と第2誘電体層とに用いられるレジスト層としては、同一であってもよく、異なっていてもよいが、通常、同一のレジスト層が用いられる。
以下、レジスト層について説明する。
レジスト層は、疎水性を有するものである。
「レジスト層が疎水性を有する」とは、レジスト層表面の水接触角が90°以上であることをいう。本発明においては、レジスト層表面の水接触角が90°〜180°の範囲内であることが好ましく、94°〜180°の範囲内であることがより好ましく、120°〜180°の範囲内であることが特に好ましい。
なお、水接触角は、乾燥状態(23℃−65%RH)下で、水平に設置したレジスト層上に、マイクロシリンジから水(純水)を2μl滴下して水の液滴を形成し、30秒静置後に測定を行うことで得ることができる。また、水接触角とは、レジスト層表面と水の液滴とが接触する点における水の液滴表面に対する接線とレジスト層表面とがなす角であり、水の液滴を含む側の角度をいう。例えば、水接触角は、全自動接触角計(協和界面化学(株)CA−Z型)を用いて測定することができる。
また、第2誘電体層は、真空紫外光の照射により親水化されることから、上記レジスト層は、通常、真空紫外光の照射により、その表面の水接触角が低下するものが用いられる。
また、第2誘電体層は、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする際に、真空紫外光に対するマスクとして用いられることから、レジスト層は、通常、真空紫外光の遮蔽性を有する。レジスト層の真空紫外光の遮蔽性としては、照射される真空紫外光の波長に応じて適宜決定すればよい。具体的には、レジスト層の真空紫外光の透過率が10%以下であることが好ましく、特に3%以下、さらには1%以下であることが好ましい。
また、レジスト層は、真空紫外光を用いた有機半導体層のエッチング時に酸素を遮蔽するものであることが好ましい。ソース電極、ドレイン電極等が金属材料を含む場合、真空紫外光による酸化を好適に抑制することができるからである。レジスト層の酸素の遮蔽性としては、具体的には、レジスト層の酸素透過率が、温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day/atm以下であることが好ましい。ここで、酸素透過率は、モダンコントロール(株)製の酸素ガス透過率測定装置OX−TRAN 2/20を用いて測定した値である。
レジスト層に用いられる材料としては、上述した疎水性および照射される真空紫外光に対して所定の遮蔽性を有するレジスト層が得られるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、オレフィン樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の有機材料を挙げることができる。
レジスト層の厚みとしては、真空紫外光に対して所定の遮蔽性が得られる程度であれば特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内、さらには0.3μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
レジスト層の形成方法としては、所定の領域の有機半導体層上にレジスト層を形成することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィ法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法等の印刷法を挙げることができる。
(3)真空紫外光照射工程
真空紫外光照射工程は、上記検出領域以外の領域において、上記レジスト層および上記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、上記レジスト層が形成されていない部位の上記有機半導体層をエッチングする工程である。また、真空紫外光照射工程は、上記第2誘電体層を親水化する工程である。
(a)真空紫外光および照射方法等
上記検出領域以外の領域に真空紫外光を照射する方法としては、上記検出領域を含む遮光部位を有するマスクを介して、上記検出領域以外の領域に真空紫外光を照射して、第2誘電体層が形成された有機半導体層上に真空紫外光を照射する方法を挙げることができる。
マスクとしては、例えば、メタルマスク、フォトマスク、フィルムマスク等の公知のマスクを用いることができる。
本工程においては、上記真空紫外光が照射された領域において、上記第2誘電体層が形成されていない部位の有機半導体層をエッチングし、上記第2誘電体層を親水化する。
ここで、「真空紫外光」とは、波長が10nm〜200nmの範囲内である紫外線をいう。本発明に用いられる真空紫外光としては、有機半導体層を所望の時間内に除去できる波長を有していれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に応じて適切な波長の真空紫外光を用いればよい。中でも、真空紫外光の波長は126nm〜193nmの範囲内、さらに172nmであることが好ましい。このような波長範囲の真空紫外光を用いることにより、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類に関わらず、有機半導体層を短時間でパターニングすることが可能になるからである。
真空紫外光の照射に用いられる光源としては、例えば、エキシマランプ、低圧水銀ランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、真空紫外光の照射量としては、有機半導体層をエッチングできる範囲内であれば特に限定されるものではなく、有機半導体層を構成する有機半導体材料の種類や、真空紫外光の波長等によって適宜調整すればよい。
真空紫外光の照射方法としては、第2誘電体層および有機半導体層に均一な照射量で真空紫外光を照射できる方法であれば特に限定されない。このような照射方法としては、例えば、上記マスクを介して第2誘電体層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法、および、光源または第2誘電体層および有機半導体層が形成された基板の少なくとも一方を移動させながら、第2誘電体層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法を挙げることができる。この場合、マスクは、通常、上記基板とともに移動させる。
中でも、後者の方法を用いることが好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、真空紫外光は指向性のない分散光であるため、第2誘電体層および有機半導体層の全面を同時に照射する方法では、例えば、大面積の第2誘電体層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合に、中央部と端部とで真空紫外光の照射量に差が生じてしまう可能性がある。しかしながら、第2誘電体層および有機半導体層の全面を順次に照射する方法によれば、たとえ大面積の第2誘電体層および有機半導体層に真空紫外光を照射する場合であっても、全面に対して均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
また、上記の順次に照射する方法の中でも、第2誘電体層および有機半導体層が形成された基板を固定し、光源を移動させながら照射する方法を用いることが好ましい。このような方法によれば、大面積の第2誘電体層および有機半導体層に均一に真空紫外光を照射することが容易になるからである。
真空紫外光の光源は、1つであってもよく、複数を用いてもよい。また、複数個の光源を用いる場合において、真空紫外光の照射方法として光源を移動させながら照射する方法を用いる場合は、複数個の光源を同時に移動させてもよく、個別に移動させてもよい。
(b)親水化された第2誘電体層
第2誘電体層は、真空紫外光が照射されることにより親水化する。「親水化」とは、真空紫外光照射前の第2誘電体層の水接触角よりも真空紫外光照射後の第2誘電体層の水接触角の方が低くなることをいう。
親水化された第2誘電体層表面の水接触角としては、特に限定されないが、例えば、70°以下、なかでも0°〜40°の範囲内、特に0°〜20°の範囲内であることが好ましい。親水化された第2誘電体層表面の水接触角が大きすぎると、遮光性樹脂組成物を選択的に塗布することが困難となる可能性があるからである。
なお、第2誘電体層の水接触角の測定方法については、上述したレジスト層の水接触角の測定方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(c)エッチング後の有機半導体層
本工程によりエッチングされた有機半導体層について説明する。
上記有機半導体層の形成位置としては、ソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に形成されていれば特に限定されず、一般的な有機半導体素子における有機半導体層の形成位置と同様とすることができる。
また、本発明において、ソース電極およびドレイン電極が金属材料である場合は、有機半導体層がソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に形成され、かつ有機半導体層がソース電極およびドレイン電極を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。上述した真空紫外光によるソース電極およびドレイン電極の酸化を抑制することができるからである。
また、有機半導体素子用基板が、ソース電極と接続して形成されたデータ配線を有する場合は、有機半導体層がソース電極およびドレイン電極の間のチャネル領域に形成され、かつ有機半導体層がソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成されていることが好ましい。真空紫外光によるデータ電極の配線についても抑制することが可能となるからである。
また、図2に示すようにコンタクトホールが形成されている場合には、有機半導体層がチャネル領域に形成され、かつコンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域以外のソース電極、ドレイン電極およびデータ配線が形成されている電極領域に形成されていればよい。
ここで、「コンタクトホールが形成されているコンタクトホール領域」とは、有機半導体素子の構成の中で、ドレイン電極に通じる孔が形成されている領域をいう。
なお、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合、コンタクトホール領域ではドレイン電極の一部が酸素と接触したり真空紫外光が照射されたりするため、ドレイン電極の一部の酸化が懸念される。
ここで、有機半導体層のエッチングに用いる程度の真空紫外光の強度では、仮に電極および配線が暴露されたとしても、電極および配線の酸化の進行は緩やかである。ただし、真空紫外光の照射ムラや電極および配線の厚みムラ等の影響で電極および配線の酸化を完全にゼロにすることはできない。そのため、線幅の細い電極および配線では酸化が問題となる。これに対し、コンタクトホール領域の幅はソース電極やデータ配線の線幅と比較して広いため、コンタクトホール領域の全域が酸化される可能性は非常に低い。また、データ配線が酸化した場合はライン欠陥となり、表示品質に多大な影響を与えるが、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化した場合は点欠陥が発生するのみであり、表示品質に与える影響は少ない。したがって、コンタクトホール領域におけるドレイン電極の一部が酸化してしまったとしても特に問題にはならないと考える。
また、有機半導体層はソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を覆うように形成されていればよい。この場合、有機半導体層がソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面を覆い、かつソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の側面が露出するように形成されていてもよい。また、有機半導体層がソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。中でも、有機半導体層がソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の上面および側面を覆うように形成されていることが好ましい。ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線の酸化を効果的に抑制することができるからである。
また、図5に示すように、有機半導体素子用基板100’において、基板1上の表示部51の周囲にFPC接続部等の外部接続端子52や検査用端子53等の端子が形成されている場合には、図示しないが端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されていてもよい。具体的には図6(a)、(b)に示すように、基板1上に端子55および配線56が形成されている場合、有機半導体層7および第2誘電体層9が配線56を覆うように形成されているとともに、端子55の一部を覆うように形成されていてもよい。なお、図6(b)は図6(a)のA−A線断面図である。この場合、有機半導体層および第2誘電体層によって端子の一部と第2誘電体層上に形成されるパッシベーション層との密着性を高めることができる。また、真空紫外光を用いて有機半導体層をエッチングする場合には、従来のレーザーアブレーション法とは異なり、有機半導体層の下に位置する端子を除去することなく、有機半導体層のみを除去することができる。そのため、端子の一部を覆うように有機半導体層を形成することができる。この場合、中でも、外部接続端子および検査用端子の一部を覆うように形成されていることが好ましい。
なお、図5は本発明における有機半導体素子用基板の一例を示す概略平面図であり、図6(a)、(b)は本発明により製造される有機半導体素子における配線、端子、有機半導体層および第2誘電体層の一例を示す概略平面図および断面図である。
端子の一部を覆うように有機半導体層が形成されている場合、有機半導体層の形成位置としては、有機半導体層が端子の一部が露出するように形成されていればよいが、中でも、図5(a)、(b)に例示するように、有機半導体層7および第2誘電体層9が端子55の四方の端部を覆うように形成されていることが好ましい。パッシベーション層との密着性を確保することができるからである。また、検査用端子等の端子と配線との境界では線幅が細くなるため酸化防止が重要であり、この部分に有機半導体層が形成されていることが好ましいのである。
また、基板上にデータ配線の他にも配線が形成されている場合には、配線を覆うように有機半導体層が形成されていることが好ましい。
さらに、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極間のチャネル領域、ソース電極、ドレイン電極、データ配線の他にも、スキャン配線や、上記の端子および配線の境界等のように線幅が細く酸化されやすい部分に形成されていることが好ましい。特に、線幅が20μm以下である電極や配線上、およびそれらの電極や配線に接続された端子との境界に有機半導体層が形成されていることが好ましい。
また、有機半導体層は、ゲート絶縁層上の検出領域にもパターン状に形成される。上記有機半導体層の平面視上の形状としては、誘電体層と同一の形状であってもよく、真空紫外光照射の際に用いられたマスクのパターンと同一の形状であってもよい。
3.遮光層工程
本発明における遮光層形成工程は、パターニングされた上記有機半導体層を覆うように、上記誘電体層が形成された領域以外の領域に遮光性樹脂組成物を塗布して遮光層を形成する工程である。また、本工程においては、パターニングされた有機半導体層上に親水化された第2誘電体層が形成されている場合は、第2誘電体層および有機半導体層を覆うように、遮光性樹脂組成物が塗布して遮光層を形成する。
(1)遮光性樹脂組成物
遮光性樹脂組成物は、遮光性材料と、バインダー樹脂とを含むものである。
遮光層に用いられる遮光性材料としては、有機半導体層が吸収する波長であって、オフ電流の増加や有機半導体層の劣化の原因となる波長の光を遮蔽することができるものであれば特に限定されるものではない。このような遮光性材料としては、例えば光を吸収する材料を挙げることができ、具体的には有機半導体層が吸収する波長にもよるが、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄等の金属酸化物、硫化ビスマス等の金属硫化物、フタロシアニンブラック、ニグロシン、アニリンブラック、ペリレンブラック等の黒色有機顔料、赤、緑、青等の有彩色有機顔料の混合物等を挙げることができる。また、光を散乱する材料を用いることもでき、具体的には酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸バリウム等の無機物の微粒子、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の有機物の微粒子、あるいは、これらの2種以上の混合系の微粒子を挙げることができる。
また、バインダー樹脂としては、上記遮光性材料を分散することができれば特に限定されず、一般的な樹脂材料を用いることができる。上記バインダー樹脂としては、感光性樹脂材料を好適に用いることができる。
バインダー樹脂としては、具体的には、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。
遮光性樹脂組成物は、上記の遮光性材料およびバインダー樹脂を溶解もしくは分散可能な溶媒をさらに含んでいてもよい。溶媒としては、一般的なものを用いることができる。本発明においては、溶媒としては、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)を好適に用いることができる。
(2)遮光層の形成方法
本工程に用いられる遮光性樹脂組成物の塗布方法としては、ゲート電極が形成されたゲート絶縁層上に所定の厚みで塗膜を形成することができる方法であれば特に限定されないが、上記ゲート絶縁層上の全域に塗布可能な方法であることが好ましい。ゲート絶縁層表面の濡れ性の差を利用して遮光性樹脂組成物を検出領域以外の領域に好適に塗布することができるからである。具体的な塗布方法としては、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等を挙げることができる。
本工程においては、感光性樹脂を含む遮光性樹脂組成物を用い、上述した塗膜の形成後に、露光および現像して遮光層をパターニングして形成してもよい。本工程においては、上記塗膜を形成した場合もアライメントマークを検出可能であることから、基板上に形成された各構成と遮光層との位置合わせを適切に行なうことができるからである。遮光層をパターニングして形成する場合は、例えば、後述するコンタクトホールを有する遮光層を形成することができる。
遮光性樹脂組成物の表面張力、粘度等については、ゲート絶縁層表面の濡れ性の差、塗布方法に応じて適宜調整される。
また、遮光性樹脂組成物は、通常、絶縁性を有する。
(3)遮光層
本工程により形成される遮光層は、ゲート絶縁層上の検出領域以外の領域に形成される。上記遮光層は、通常、上述したゲート電極用導電層が形成された領域に形成されるものである。
遮光層の厚みとしては、所定の遮光性を有することができれば特に限定されず、本発明により製造される有機半導体素子の用途に応じて適宜選択することができる。遮光層の厚みとしては、例えば、0.3μm〜3μmの範囲内、なかでも0.6μm〜2μmの範囲内、特に0.9μm〜1.2μmの範囲内であることが好ましい。
遮光層の厚みが薄すぎる場合は、有機半導体層への光照射を十分に抑制することが困難となる可能性があるからであり、遮光層の厚みが厚すぎる場合は、遮光性樹脂組成物を親水領域に選択的に塗布することが困難となる可能性があるからである。
遮光層は後述する外部入出力電極とドレイン電極とを電気的に接続させるコンタクトホールを有していてもよい。遮光層に形成されるコンタクトホールの位置については、ドレイン電極とゲート電極とを電気的に接続させることができる位置であればよく、本発明により製造される有機半導体素子の用途に応じて適宜決定することができる。
4.その他の工程
本発明の有機半導体素子用基板の製造方法は、上述した各工程を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
(1)パッシベーション層形成工程
本発明においては、図2に示すように、遮光層10を覆うようにパッシベーション層11を形成してもよい。パッシベーション層は、空気中に存在する水分や酸素の作用により有機半導体層が劣化するのを防止するために設けられるものである。パッシベーション層が形成されていることにより、有機半導体層の劣化を防止することが可能になることから、経時的な劣化の少ない高性能な有機半導体素子とすることができる。
また、本発明における遮光層は絶縁性が不十分である場合がある。そのため、例えば、外部入出力電極として表示装置に用いられる画素電極を例に説明すると、画素電極と隣接する画素電極や配線との間にリーク電流が発生し、画素電極電位が保持できない場合がある。また、上記遮光層は誘電率が大きい場合があり、画素電極と配線間の寄生容量が大きくなり、配線からのノイズにより画素電極電位が変動する場合がある。また、上記遮光層は遮光性粒子を含有しているため、表面に凹凸を有している場合があり、遮光層表面に金属層を形成した場合、金属層のエッチング残渣が残りやすくなるなどの場合がある。このような場合に、パッシベーション層を形成することにより、絶縁性、寄生容量の低下及び表面平坦性が確保できる。
また、パッシベーション層には、上述した遮光層およびパッシベーション層を貫通するようにコンタクトホールが形成されていてもよい。
パッシベーション層を構成する材料としては、空気中の水分や酸素を透過しにくく、有機半導体層の劣化を所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂やフッ素系樹脂等を挙げることができる。
パッシベーション層の厚みは、パッシベーション層を構成する材料等に応じて適宜調整されるものであるが、例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
パッシベーション層の形成方法としては、所望の有機半導体層の劣化防止機能を有するパッシベーション層を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、一般的な有機半導体素子のパッシベーション層を形成する際に用いられる方法と同様とすることができる。
また、パッシベーション層を形成する前に、有機半導体素子の遮光層側の表面を親水化する親水化処理を行なってもよい。誘電体層上にパッシベーション層を形成しやすくなるからである。親水化処理としては、例えば、真空紫外光を照射する方法等を挙げることができる。
(2)外部入出力電極形成工程
本発明においては、図2に示すように、遮光層10上にコンタクトホール20を通じてドレイン電極6に接続された外部入出力電極12を形成する工程を有していてもよい。なお、図2に示すように、遮光層10上に形成されたパッシベーション層11上に外部入出力電極12を形成してもよい。
外部入出力電極としては、一般的な有機半導体素子に用いられるものと同様とすること
ができる。例えば、本発明の有機半導体素子を表示装置の駆動に用いる場合は、画素電極を挙げることができる。また、本発明の有機半導体素子を圧力センサーや温度センサーに用いる場合は、入力電極を挙げることができる。
外部入出力電極に用いられる導電性材料としては、Al、Ti、Cr、Cu等の金属材料、ITO、IZO等の金属酸化物材料、カーボンペーストや銀ペースト等の導電性ペースト材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料が挙げられる。
また、外部入出力電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができる。
5.有機半導体素子
本発明により製造される有機半導体素子は、上述した各構成を有するものである。また、本発明の有機半導体素子は、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機半導体トランジスタを有するものである。
有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いる表示装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このような表示装置としては例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。また、有機半導体素子は、温度センサーや圧力センサー等に用いることもできる。
B.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子は、基板と、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記基板上または上記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークと、上記ソース電極および上記ドレイン電極の間のチャネル領域において、上記ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層と、上記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、上記ゲート絶縁層上に形成された誘電体層と、上記誘電体層が形成された領域以外の領域において、上記有機半導体層を覆うように形成された遮光層とを有することを特徴とするものである。
本発明の有機半導体素子について図を用いて説明する。図2および図3(a)、(b)、図5は本発明の有機半導体素子の一例および他の例を示す概略断面図および概略平面図である。なお、図2および図3(a)、(b)および図5の詳細については、上述した「A.有機半導体素子」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、上記検出領域に形成された誘電体層以外の領域に遮光層が形成されていることから、有機半導体素子の各構成をアライメントマークを用いて適切な位置合わせを行って形成することができるため、各構成の位置合わせが適切にされた有機半導体素子とすることができる。また、本発明によれば、有機半導体素子を表示装置に用いる場合に、上記アライメントマークを用いて有機半導体素子と、他の部材との位置合わせを適切に行なって配置することができる。
上記発明においては、上記チャネル領域において、上記有機半導体層上に形成された第2誘電体層を有し、上記遮光層が上記第2誘電体層を覆うように形成されていることが好ましい。上述した有機半導体素子の製造方法を用いて有機半導体層を製造することができるため、生産性が良好な有機半導体素子とすることができるからである。
なお、本発明における各構成、および任意の構成については、上述した「A.有機半導体素子の製造方法」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
基板として、ガラス基板を準備した。
Alを厚み200nmで基板上にスパッタ蒸着した。続いて、Alスパッタ膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。エッチング処理を施して、レジスト層が形成されていない部位のAlスパッタ膜をエッチングした後、レジスト層を除去した。これにより、アライメントマーク、ゲート電極および配線などを形成した。
次に、アライメントマーク等が形成された上記基板上に、紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートしてゲート絶縁層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、ゲート絶縁層のパターニングを行った。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、厚み1μmのゲート絶縁層を形成した。
検出領域をメタルマスクで隠して、上記基板上の全面に金を厚み40nmで真空蒸着した。次に、金膜上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布してレジスト層を形成し、フォトマスクを用いた露光および現像工程を経て、レジスト層をパターニングした。次いで、エッチング処理を施して、上記レジスト層が形成されていない部位の金膜をエッチングした後、上記レジスト層を除去した。これにより、ソース電極、ドレイン電極およびデータ配線を形成した。
次に、チオフェン系ポリマーをキシレンに固形分濃度1wt%にて溶解させた有機半導体のキシレン溶液を準備した。アライメントマーク等が形成された基板表面にスピンコートにて上記キシレン溶液を塗布し、厚み50nmの有機半導体層を上記基板の全面に形成した。
次いで、紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートして塗膜を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、誘電体層及び第2誘電体層のパターニングを行った。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、厚み1μmの誘電体層及び第2誘電体層を形成した。
次いで、検出領域をメタルマスクで覆った状態で、大気下で、波長172nm、照度3mW/cmの真空紫外線を60秒間照射し、レジスト層で覆われている部位以外の有機半導体層をエッチング除去し、有機半導体層のパターニングを行った。この時、第1誘電体表面の水接触角は約100°、その他の表面は20°以下であった。
紫外線感光性樹脂と、遮光材料としてチタンブラックと、主溶媒としてPGMEAを含む遮光性樹脂組成物を準備した。
ソース電極、ドレイン電極、データ配線、誘電体層及び第2誘電体層が形成されたゲート絶縁層上に、上記遮光性樹脂組成物をスピンコートにより塗布した。この際、表面濡れ性の違いにより検出領域の誘電体層上には遮光性樹脂組成物は形成されなかった。そのため、アライメントマークが認識できた。次に、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、遮光層のパターニングを行った。この際、ドレイン電極上に45μm×45μmのコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、厚み1μmの遮光層を形成した。
次に、遮光層上に紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートしてパッシベーション層を形成し、フォトマスクを介した露光およびアルカリ現像工程を行い、パッシベーション層のパターニングを行った。この際、上記遮光層のコンタクトホール内部に30μm×30μmのコンタクトホールが形成されるようにパターニングした。次いで、150℃のオーブンにて加熱硬化させ、厚み4μmのパッシベーション層を形成した。
次に、パッシベーション層上にAlをスパッタ蒸着して通常のフォトリソグラフィでパターニングした。この工程にて、外部入出力電極が形成された。
以上の手順により有機半導体素子を作製した。
[比較例]
有機半導体層に真空紫外線を照射する際に、誘電体層をメタルマスクなどで隠さなかった。結果、誘電体層表面もその他の表面と同じく、水接触角が20°以下になり、遮光性樹脂組成物が基板上の全面に塗布されて、遮光性樹脂組成物の塗膜の露光時にアライメントマークが認識できなかった。
1 … 基板
2 … ゲート電極
3 … アライメントマーク
4 … ゲート絶縁層
5 … ソース電極
6 … ドレイン電極
7 … 有機半導体層
8 … 誘電体層
9 … 第2誘電体層
10’ … 遮光性樹脂組成物
10 … 遮光層
100’ … 有機半導体素子用基板
100 … 有機半導体素子
M … メタルマスク
A … 検出領域

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記基板上または前記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークと
    を有する有機半導体素子用基板を準備し、
    前記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、疎水性を有する誘電体層を、ゲート絶縁層上に形成する誘電体層形成工程と、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極の間のチャネル領域において、有機半導体層を、ゲート絶縁層上に形成する有機半導体層形成工程と、
    前記誘電体層が形成された領域以外の領域において、前記有機半導体層を覆うように遮光性樹脂組成物を塗布して、遮光層を形成する遮光層形成工程と
    を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
  2. 前記有機半導体層形成工程が、前記ゲート絶縁層、前記ソース電極および前記ドレイン電極を覆うように、前記有機半導体層を形成する有機半導体層全面形成工程と、前記検出領域および前記チャネル領域において、前記有機半導体層上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記検出領域以外の領域において、前記レジスト層および前記有機半導体層に真空紫外光を照射することにより、前記レジスト層が形成されていない部位の前記有機半導体層をエッチングする真空紫外光照射工程と、を有し、
    前記誘電体層形成工程が、前記レジスト層形成工程において、前記検出領域における前記レジスト層として、前記誘電体層を形成し、前記チャネル領域における前記レジスト層として、疎水性を有する第2誘電体層を形成する工程であり、
    前記真空紫外光の照射により、前記第2誘電体層が親水化することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体素子の製造方法。
  3. 基板と、
    前記基板上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記基板上または前記ゲート絶縁層上に形成されたアライメントマークと、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極の間のチャネル領域において、前記ゲート絶縁層上に形成された有機半導体層と、
    前記アライメントマークと平面視上重なる検出領域において、前記ゲート絶縁層上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層が形成された領域以外の領域において、前記有機半導体層を覆うように形成された遮光層と
    を有することを特徴とする有機半導体素子。
  4. 前記チャネル領域において、前記有機半導体層上に形成された第2誘電体層を有し、前記遮光層が前記第2誘電体層を覆うように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の有機半導体素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107966865A (zh) * 2017-12-18 2018-04-27 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 阵列基板的制作方法、阵列基板及显示面板
CN108919582A (zh) * 2018-08-07 2018-11-30 深圳市华星光电技术有限公司 黑色矩阵的制作方法及boa基板
WO2019163529A1 (ja) * 2018-02-23 2019-08-29 株式会社ニコン 半導体素子の製造方法、電子デバイスの製造方法、半導体素子、および、電子デバイス

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