JP2015183185A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、変成シリコーンポリマーを含む硬化性組成物に、桐油またはアマニ油等の乾性油を含有させることにより、硬化物の表面にアルキッド系塗料を塗装したときの乾燥性が改善できることが記載されている。
特許文献2には、乾性油の添加が硬化物におけるクラックや白化の抑制に寄与することが記載されている。
しかしながら、本発明者等の知見によれば、反応性ケイ素基を有する重合体を含む硬化性組成物に乾性油を含有させると、貯蔵中に粘度が上昇してしまう場合がある。
[1] 反応性ケイ素基を導入可能な官能基を有する前駆重合体(A’)に、下式(1)で表される反応性ケイ素基を導入してなる重合体(A)と、乾性油およびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上である化合物(B)を含有し、前記前駆重合体(A’)の平均官能基数が2.0〜3.0、官能基1個当たりの分子量が5,000〜20,000、かつ分子量分布が1.01〜1.50であり、前記官能基の少なくとも一部が水酸基であり、前記化合物(B)が乾性油およびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上であり、前記化合物(B)の含有量が前記重合体(A)の100質量部に対して0.1〜8.0質量部であり、ナトリウム含有量が、前記重合体(A)に対して0超、5.0ppm以下であることを特徴とする硬化性組成物。
−SiX1 2R1・・・(1)
[式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、X1は水酸基又は加水分解性基を示す。2個のX1は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[3] 前記アルキレンオキシド開環重合触媒が、有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体触媒である、[2]の硬化性組成物。
[4] 前記重合体(A)が、前記前駆重合体(A’)の水酸基に、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物を反応させた後、不飽和基を有するハロゲン化合物を反応させて不飽和基を導入し、該不飽和基に前記反応性ケイ素基を有するハイドロシラン化合物を反応させて得られる重合体である、[1]〜[3]のいずれかの硬化性組成物。
本明細書において、官能基が水酸基である場合、官能基1個当たりの分子量は、56,100を水酸基価で除して得られる値である。
本明細書における水酸基価は、JIS K 1557−1に準拠した方法で測定した値である。
本明細書において、官能基が水酸基以外の基である場合、官能基1個当たりの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求められる値である。具体的には、官能基1個当たりの分子量が判明している重合体で検量線を引き、測定対象物を測定することで官能基1個当たりの分子量を算出する。
硬化性組成物30gを白金皿に秤量し、ガスバーナーを用いて燃焼、灰化した後、さらに600℃の電気炉にて完全に灰化させる。得られた灰化残渣を6N塩酸2mlに溶解し、蒸留水を加えて100mlとする。灰化残渣のナトリウム含有量を、原子吸光光度計(島津製作所社製、製品名:AA−6200)を用いて測定する。ナトリウム含有量の定量は、金属標準液で作成した検量線から求める。
重合体(A)は、反応性ケイ素基を導入可能な官能基を有する前駆重合体(A’)に、反応性ケイ素基を導入してなる重合体である。
前駆重合体(A’)において反応性ケイ素基を導入可能な官能基は全主鎖末端に存在する。重合体(A)において反応性ケイ素基は主鎖末端に存在する。重合体(A)の反応性ケイ素基が主鎖末端にあると、硬化物の伸び物性、内部硬化性、表面硬化性が良好となりやすい。
重合体(A)において、前駆重合体(A’)の反応性ケイ素基を導入可能な官能基のうち、反応性ケイ素基を含む基に置換された官能基の割合をシリル化率という。
本明細書における、重合体の「主鎖」とは、2以上の単量体の連結により形成された重合鎖をいう。主鎖末端とは、各主鎖の末端であり、主鎖が直鎖状の重合体における主鎖末端は2つである。重合体の「全主鎖末端」とは、重合体の主鎖末端の全てをいう。
本明細書において、前駆重合体(A’)の平均官能基数は、1分子当たりの「反応性ケイ素基を導入可能な官能基」の平均値である。前駆重合体(A’)の平均官能基数は、1分子当たりの主鎖末端の数の平均と等しい。
本明細書において、重合体(A)の平均官能基数は1分子当たりの主鎖末端の平均を意味し、前駆重合体(A’)の平均官能基数と等しい。
前駆重合体(A’)または重合体(A)が混合物である場合は、混合後における平均値を、前駆重合体(A’)または重合体(A)の平均官能基数とする。
−SiX1 2R1・・・(1)
式(1)において、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示す。R1は、炭素数8以下の炭化水素基が好ましい。具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。メチル基、フェニル基がより好ましく、特にメチル基が好ましい。
加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。該加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。X1としては、特に、炭素数4以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。より具体的には、X1はメトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。
前駆重合体(A’)の平均官能基数は2.0〜3.0である。すなわち重合体(A)の平均官能基数は2.0〜3.0である。重合体(A)の平均官能基数が2.0である場合は、重合体(A)の主鎖が直鎖状である。重合体(A)の平均官能基数が2.0以上であると、硬化物における良好な強度が得られやすい。
一方、重合体(A)の平均官能基数が3.0以下であると、硬化物における良好な柔軟性が得られやすい。
前駆重合体(A’)の分子量の上記の範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び物性や柔軟性が良好となりやすい。上記範囲の上限以下であると、硬化性組成物が低粘度となりやすく、良好な作業性を得るうえで好ましい。前駆重合体(A’)の官能基1個当たりの分子量は7,000〜18,500が好ましく、7,500〜17,000がより好ましい。
前駆重合体(A’)の分子量分布が上記の範囲内であると、硬化物の柔軟性が良好となりやすく、硬化性組成物が低粘度となりやすい。数平均分子量が同じである場合、分子量分布が狭い方が、低粘度となる。その理由は分子量分布が広い場合には高分子量体が多く存在するため、高粘度の要因となるためである。または、柔軟性が同等である場合には、分子量分布が狭い方が伸び物性が良好となる。その理由は、分子量分布が1.50を超えると、低分子量の重合体成分が多くなるため、架橋点間距離が短くなり、伸びにくくなるためと考えられる。よって、分子量分布は狭い方が好ましく、1.01〜1.40がより好ましく、1.01〜1.30がさらに好ましい。前駆重合体(A’)の分子量分布(Mw/Mn)は触媒種類や重合条件(温度、攪拌条件、圧力等)により制御できる。
不飽和基とは、不飽和性の二重結合を含む1価基である。不飽和基の具体例としては、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、メタリル基などの炭素数6以下のアルケニル基が好ましく、アリル基(−CH2−CH=CH2)、メタリル基がより好ましい。
前駆重合体(A’)の官能基の少なくとも一部は水酸基であり、全部が水酸基であることが好ましい。
(I)前駆重合体(A’)と、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物とを反応させて、末端の水酸基を−ONaに変換し、これと不飽和基を有するハロゲン化合物とを反応させて末端に不飽和基を導入する方法。この方法ではハロゲン化ナトリウムが副生する。
(II)前駆重合体(A’)が、末端官能基として不飽和基1つと水酸基1つを有する場合には、前駆重合体(A’)と、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物とを反応させて、末端の水酸基を−ONaに変換した後、多価ハロゲン化合物を用いて2量化もしくは多量化することによって、全末端が不飽和基である重合体を得る方法。この方法でもハロゲン化ナトリウムが副生する。
ハロゲンとしては塩素または臭素が好ましい。不飽和基を有するハロゲン化合物としては、アルケニルハライドが好ましく、アリルクロライド、メタリルクロライド等のアルケニルクロライドがより好ましい。多価ハロゲン化合物としては、炭素数1〜2のジクロロ炭化水素、炭素数1〜2のトリクロロ炭化水素等が挙げられる。
例えば、方法(I)において、ナトリウムアルコキシドおよびアリルクロライドを用いた場合には塩化ナトリウム(NaCl)が副生する。
例えば、副生したハロゲン化ナトリウムを含む反応生成物に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、ハロゲン化ナトリウムの結晶を含む粗液を得(晶析工程)、該粗液を固液分離することによりハロゲン化ナトリウムの結晶を除去することができる。
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤として一般に知られているものを用いることができる。特に分子中にオキシエチレン基(−O−C2H4−)を5質量%以上有する化合物が好ましい。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪族アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪族アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪族カルボン酸エステル、ソルビタンモノまたはポリ脂肪族エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、オキシエチレンまたはポリオキシエチレン脂肪族アミン、脂肪酸ジアルカノールアミド、グリセロールモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤の分子量は1,000〜10,000が好ましく、4,000〜6,000がより好ましい。界面活性剤中のオキシエチレン基の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
界面活性剤の使用量は、不飽和基が導入された重合体100質量部に対して0.01〜5質量部の割合が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
[1]不飽和基に、下式(2)で表されるハイドロシラン化合物を触媒の存在下で反応させる方法。ただし、式(2)中のX1、R1は上式(1)と同じである。
HSiX1 2R1・・・(2)
[2]不飽和基と下式(3)で表されるケイ素化合物のメルカプト基とを反応させる方法。
W1R2−SiX1 2R1 …(3)
式(3)中のX1、R1は上式(1)と同じである。R2は2価の有機基であり、W1はメルカプト基である。
重合体(A)に該当する重合体を2種以上混合して用いる場合、混合した後の混合物におけるシリル化率が上記の範囲内であればよく、混合する前の重合体(A)の一部としてシリル化率が70%未満のものを用いてもよい。
前駆重合体(A’)および重合体(A)の主鎖が、少なくともアルキレンオキシド単量体単位の連鎖、すなわちポリオキシアルキレン鎖を有することが好ましい。
重合体(A)がポリオキシアルキレン鎖を有すると温度依存性が小さい、硬化物の柔軟性が良好となりやすい、価格面で優れる等の利点がある。
開始剤における、反応性を有する官能基とは、活性水素を有する基であり、好ましくは水酸基である。開始剤の平均官能基数と、前駆重合体(A’)の平均官能基数と、重合体(A)の平均官能基数とは同じである。
前駆重合体(A’)としては、ポリオキシアルキレン鎖を有し、全主鎖末端が水酸基である、直鎖状または分岐状の水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
具体的には、アルキレンオキシド開環重合触媒の存在下で、水酸基を2個有する開始剤および水酸基を3個有する開始剤の一方または両方に、アルキレンオキシドを開環付加させて得られる、水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
[開始剤]
水酸基を2個有する化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。これらのうちでプロピレングリコール、ジプロピレングリコールがより好ましい。
水酸基を3個有する開始剤の具体例としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。これらのうちで特にグリセリンが好ましい。
また、これらの、水酸基を2個または3個有する化合物にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基1個当たりの分子量が80〜10,000の、ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオールを開始剤として用いるのも好ましい。開始剤は1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
[アルキレンオキシド]
前駆重合体(A’)または開始剤の合成に用いられるアルキレンオキシドは、炭素数が2〜20であることが好ましく、具体的にはプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エチレンオキシド等が挙げられる。プロピレンオキシドが特に好ましい。アルキレンオキシドは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。ポリオキシアルキレン鎖が2種以上のオキシアルキレン単量体単位からなる場合、該単量体単位の並び方は、ブロック状でもよくランダム状でもよい。
[アルキレンオキシド開環重合触媒]
アルキレンオキシド開環重合触媒としては、アルカリ金属触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン等が挙げられる。特に前駆重合体(A’)および重合体(A)の分子量分布が小さくなりやすい点で複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。
複合金属シアン化物錯体は、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体が好ましい。
有機配位子は、エーテル系配位子またはアルコール系配位子が好ましい。エーテル系配位子の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。アルコール系配位子の具体例としては、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルが挙げられる。
特に有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。
複合金属シアン化物錯体としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、乾性油およびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上である化合物(B)を含有する。化合物(B)は空気中の酸素により重合を起こす不飽和基(酸化硬化型不飽和基)を有する化合物である。硬化性組成物に化合物(B)を含有させると、硬化物表面のべたつき(タック)が抑制される。
乾性油の例としては、亜麻仁油、桐油、大豆油、アサ実油、イサノ油、ウルシ核油、エゴマ油、オイチシカ油、カヤ油、クルミ油、ケシ油、サクランボ種子油、ザクロ種子油、サフラワー油、タバコ種子油、トウハゼ核油、ゴム種子油、ヒマワリ種子油、ブドウ核油、ホウセンカ種子油、ミツバ種子油等が挙げられる。
乾性油の誘導体の例としては、乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油と官能性ポリオキシアルキレンとの反応生成物;乾性油とイソシアネート化合物との反応生成物(ウレタン化油);乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂;等が挙げられる。
乾性油として、良好な乾燥性(硬化性)が得られ易い点で、亜麻仁油、桐油、またはケシ油が好ましい。特に桐油は、ケシ油に比べて乾燥性(硬化性)が速いため、表面のタック低減効果に優れ、汚染防止効果が高く、亜麻仁油に比べて黄変しにくいために好ましい。また桐油は、比較的低価格で入手しやすい点でも好ましい。
化合物(B)の含有量の下限値は0.1質量部以上であり、0.2質量部以上が好ましく、0.4質量部以上がより好ましい。0.1質量部以上であると硬化物表面のべたつき(タック)抑制効果が良好に得られやすい。
本発明の硬化性組成物は、重合体(A)の他に、公知の反応性ケイ素基を有する他の重合体を含んでもよい。他の重合体はナトリウムを含有してもよいが、含有しないことが好ましい。
硬化性組成物に含まれる反応性ケイ素基を有する重合体の合計のうち、重合体(A)が占める割合は、本発明による効果が大きい点で50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記の重合体(A)、化合物(B)、他の重合体の他に、硬化性組成物において公知の成分を含むことができる。具体的には硬化触媒、助触媒、充填材、可塑剤、チキソ性付与剤、安定剤、接着性付与剤、モジュラス調整剤等の添加剤が挙げられる。これらの添加剤成分はナトリウムを含有してもよいが、含有しないことが好ましい。
このような添加剤成分を含む硬化性組成物を調製する方法は特に制限されず、硬化性組成物の製造途中または製造後の適当な時期に、添加剤成分を一度に、または何回かに分けて添加すればよい。
硬化触媒は、反応性ケイ素基の加水分解反応を触媒する化合物であれば特に限定されず、金属(錫、ビスマス等)と有機酸との塩(オクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等);有機金属錯体等が好ましい。有機酸塩は、オクチル酸第一錫、トリス(2−エチルヘキサン酸)ビスマス等が好ましい。
硬化触媒の使用量は、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して、0.01〜15.0質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
硬化触媒と助触媒を併用してもよい。助触媒は、アミン、カルボン酸、またはリン酸が好ましく、硬化性組成物の速硬化性と硬化物の機械物性との観点から、アミンが特に好ましい。
アミンは、特に限定されず、第1級アミンが好ましい。アミンの具体例としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N、N−ジメチルオクチルアミン等の脂肪族モノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン;芳香族アミン;アルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するアミンが挙げられる。助触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。なかでも、2価スズ化合物と第1級アミン化合物の併用が好ましく、オクチル酸第一錫とラウリルアミンの併用がより好ましい。
助触媒は、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して、0.01〜15質量部を用いるのが好ましく、0.1〜5質量部を用いるのが特に好ましい。
充填剤としては、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、表面を脂肪酸や樹脂酸系有機物で表面処理した膠質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;フュームドシリカ;沈降性シリカ;表面シリコーン処理シリカ微粉体;無水ケイ酸;含水ケイ酸;カーボンブラック;炭酸マグネシウム;ケイソウ土;焼成クレー;クレー;タルク;酸化チタン;ベントナイト;酸化第二鉄;酸化亜鉛;活性亜鉛華;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等の無機質の中空体;フェノール樹脂バルーン、エポキシ樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、サランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系樹脂バルーン、ポリアクリロニトリルバルーン等の有機樹脂中空体;樹脂ビーズ、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤が挙げられる。
これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。充填剤の使用量は、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して1〜1000質量部が好ましく、50〜250質量部がより好ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−エチルヘキシル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン;イソパラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを反応させてなるポリエステル等のポリエステル系可塑剤;ポリオキシアルキレンポリオール等のポリエーテル;ポリオキシプロピレングリコールの水酸基をアルキルエーテルで封止したようなポリエーテル誘導体;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマーが挙げられる。
また、パラフィン系炭化水素も可塑剤として用いることができ、硬化物の表面ベタツキ(タック)の改善に有効である。好ましくは炭素数6以上、より好ましくは炭素数8〜18のパラフィン系炭化水素が顕著な効果が得られやすい点で好ましい。
可塑剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。可塑剤の使用量は、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して0.1〜150質量部が好ましく、10〜120質量部がより好ましい。
チキソ性付与剤の添加により硬化性組成物の垂れ性が改善される。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ、有機酸処理炭酸カルシウム等が挙げられる。
チキソ性付与剤は、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して0.5〜10質量部添加することが好ましい。
安定剤(老化防止剤)としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられ、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の化合物が使用可能である。特に、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤のうち2以上を組み合わせて使用することが好ましい。このような使用方法により、それぞれの特徴を生かして全体として老化防止効果を向上させることができる。
具体的には、3級および2級のヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、ならびにホスファイト系酸化防止剤から選ばれる2種以上を組み合わせることが特に効果的である。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、または光安定剤として市販されている製品を適宜用いることができる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤の使用量は、それぞれ、反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対してそれぞれ0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満では老化防止効果が充分に発現せず、10質量部を越える場合は経済的に不利である。
接着性の改善のため接着性付与剤を使用してもよい。接着性付与剤の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、アミノ基を有するシラン、エポキシ基を有するシラン、カルボキシル基を有するシラン等の有機シランカップリング剤;イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)プロピルトリメトキシチタネート、3−メルカプトプロピルトリメトキチタネート等の有機金属カップリング剤;エポキシ樹脂が挙げられる。
硬化性組成物に前記有機シランカップリング剤を添加する場合、その添加量は反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましい。
硬化性組成物に前記エポキシ樹脂を添加する場合、その添加量は反応性ケイ素基を有する重合体の合計100質量部に対して100質量部以下が好ましく、10〜80質量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、少なくとも重合体(A)および化合物(B)を含む。
重合体(A)および化合物(B)を含む主剤と、硬化触媒、充填材、水等の成分を含む硬化剤組成物を別々に調製しておき、使用時にこれらを混合する2成分型の硬化性組成物としてもよい。2成分型の場合、主剤と硬化剤を混合する際に、トナー等の着色剤を添加して混合してもよい。
または重合体(A)、化合物(B)、および必要に応じた配合成分の全部を予め配合して密封保存し、使用時には空気中の湿気により硬化させる1成分型の硬化性組成物としてもよい。
硬化性組成物には不純物としてナトリウムが含まれており、その含有量は重合体(A)に対して0超、5.0ppm以下である。
ナトリウムは重合体(A)に由来するものでもよく、重合体(A)または化合物(B)以外の成分に由来するものでもよい。
その理由は以下のように考えられる。ナトリウムまたはナトリウム含有化合物を用いて不飽和基を導入する工程が終了した時点で、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物の未反応物が残存していると、この後の精製工程で添加される水と該未反応物とが反応し、水酸化ナトリウムが生成する。すなわち精製後の重合体(A)には水酸化ナトリウムが含まれると考えられる。
一方、化合物(B)である乾性油はエステル化合物であるため、その一部が加水分解されて生成した酸を含んでいる。このため重合体(A)に乾性油が添加されると、乾性油中の酸と、重合体(A)中の水酸化ナトリウムとが反応し、これらの反応生成物が触媒として作用するため重合体(A)の加水分解反応が進みやすくなり、その結果、貯蔵中の増粘が生じると考えられる。
重合体(A)に対するナトリウム含有量は4.0ppm以下が好ましく、2.5ppm以下がより好ましい。硬化性組成物中のナトリウム含有量の下限値は0超である。
特に、重合体(A)に対して、化合物(B)の含有量が5.0質量部以下であり、かつナトリウム含有量が4.0ppm以下であることが好ましく、化合物(B)の含有量が5.0質量部以下であり、かつナトリウム含有量が2.5ppm以下であることがより好ましい。
硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量は、不飽和基を導入する工程で用いる、不飽和基を有するハロゲン化物の添加量によって制御することができる。
不飽和基を有するハロゲン化物の添加量が、例えば、前駆重合体(A’)の水酸基から変換された−ONa基に対するモル比(モル当量)が、1.15モル当量以上であることが好ましく、1.25モル当量以上がより好ましい。
以下の参考製造例1〜2において、塩化亜鉛水溶液としては塩化亜鉛10gを15mLの水に溶解したものを、ヘキサシアノコバルト酸カリウム水溶液としてはヘキサシアノコバルト酸カリウム4gを80mLの水に溶解したものを、使用した。
塩化亜鉛10gを15mLの水に溶解した塩化亜鉛水溶液に、カリウムヘキサシアノコバルテート水溶液を40℃で30分間かけて滴下した。滴下後、t−ブチルアルコール80mLおよび水80mLを添加し、60℃で1時間撹拌、熟成した。熟成後、錯体を濾別した。
得られた錯体にt−ブチルアルコールの40mLおよび水80mLを添加して30分攪拌、洗浄後濾別した。さらに、t−ブチルアルコール100mLを添加し30分撹拌後濾別した。50℃で質量が一定になるまで減圧乾燥した後、粉砕を行い、配位子がt−ブチルアルコールである複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒)を得た。
参考製造例1と同じ塩化亜鉛水溶液中に、ヘキサシアノコバルト酸カリウム4gを80mLの水に溶解したヘキサシアノコバルト酸カリウム水溶液を40℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、グライム80mLおよび水80mLを添加し、60℃で1時間撹拌後、錯体を濾別した。
得られた錯体にグライム80mLおよび水80mLを添加して30分攪拌後濾別し、さらにグライム100mLおよび水10mLを添加して撹拌後濾別した。80℃で4時間乾燥後、粉砕して、配位子がグライムである複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体触媒)を得た。
(製造例1:水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)の製造)
3官能の開始剤として、グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(官能基1個当たりの分子量3,000。以下、開始剤Aという。)を用いた。
2官能の開始剤として、プロピレングリコールにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレンジオール(官能基1個当たりの分子量2,000。以下、開始剤Bという。)を用いた。
まず、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.08g)の存在下、開始剤A(131g)、開始剤B(44g)の混合液に、プロピレンオキシド(1425g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、全主鎖末端に官能基(水酸基)を有し、1分子あたりの平均官能基数が2.75である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)を得た。該(A’1)の、GPCで測定したMnは27,000、Mw/Mnは1.20であった。水酸基価から換算した官能基1個当たりの分子量は8,200であった。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体触媒(0.32g)の存在下、開始剤A(182g)に、プロピレンオキシド(1418g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、全主鎖末端に官能基(水酸基)を有し、1分子あたりの平均官能基数が3.0である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’2)を得た。該(A’2)の、GPCで測定したMnは26,000、Mw/Mnは1.41であった。水酸基価から換算した官能基1個当たりの分子量は7,300であった。
製造例2において、開始剤A(235g)に、プロピレンオキシド(1365g)に変更したほかは製造例2と同様にして、ポリオキシプロピレン鎖を有し、全主鎖末端に官能基(水酸基)を有し、1分子あたりの平均官能基数が3.0個である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’3)を得た。該(A’3)の、GPCで測定したMnは20,000、Mw/Mnは1.39であった。水酸基価から換算した官能基1個当たりの分子量は5,700であった。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.08g)の存在下、開始剤A(156g)に、プロピレンオキシド(1444g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、全主鎖末端に水酸基を有し、1分子あたりの平均官能基数が3.0である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’4)を得た。該(A’4)の、GPCで測定したMnは34,000、Mw/Mnは1.15であった。水酸基価から換算した官能基1個当たりの分子量は9,300であった。
製造例4において、開始剤A(128g)に、プロピレンオキシド(1472g)に変更したほかは製造例4と同様にして、ポリオキシプロピレン鎖を有し、全主鎖末端に官能基(水酸基)を有し、1分子あたりの平均官能基数が3.0である水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’5)を得た。該(A’5)の、GPCで測定したMnは41,000、Mw/Mnは1.18であった。水酸基価から換算した官能基1個当たりの分子量は11,300であった。
上記で得られた水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)〜(A’5)をそれぞれ用いて、反応性ケイ素基が導入された重合体(A)を製造し、これに桐油を添加して硬化性組成物(X)を製造した。主な製造条件および評価結果を表1〜3に示す。
例1〜8、14〜19、26〜30は実施例、例9〜13、20〜25、31〜35は比較例である。
まず、水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)〜(A’5)に、窒素雰囲気下でナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加し130℃で反応させた。ナトリウムメトキシドの添加量は、水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)〜(A’5)の水酸基量に対するモル比で1.05(1.05モル当量)とした。この反応により水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体の全主鎖末端の水酸基が−ONa基に変換され、メタノールが副生する。
次いで、減圧下でメタノールを留去した後に、塩化アリルを添加し、110℃で反応させた。塩化アリルの添加量は水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体(A’1)〜(A’5)の水酸基から変換された−ONa基に対するモル比(モル当量)が、表1〜3に示す値となるように設定した。この反応により末端の−ONa基が−O−CH2CH=CH2基に変換され、NaClが副生する。
次に、減圧下で未反応の塩化アリルを除去して、全主鎖末端にアリル基を有するアリル基末端ポリオキシアルキレン重合体(副生塩であるNaCl含む)を得た。
次に、反応器内のアリル基末端ポリオキシアルキレン重合体(副生塩であるNaCl含む)100質量部に対して、界面活性剤としてポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー1質量部、および水3質量部を加え、窒素雰囲気下、液温60℃で撹拌混合することにより、重合体から副生塩を水で抽出した。
次いで、反応器内に窒素を流しながら、80℃に加温して5時間保持することによって水分を蒸発させてNaClの結晶を析出させた(晶析)後、濾過し、得られた濾液を減圧脱気して、精製されたアリル基末端ポリオキシアルキレン重合体を得た。
次に、精製されたアリル基末端ポリオキシアルキレン重合体に、塩化白金酸六水和物の存在下で、ジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。この後、減圧下で未反応のジメトキシメチルシランを除去して、主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(反応性ケイ素基を有する重合体(A))を得た。
ジメトキシメチルシランの添加量は、全主鎖末端のアリル基に対するモル%(シリル化率)が表1〜3に示す値となるように設定した。
下記の方法で硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量を測定した。ナトリウム含有量は、硬化性組成物(X)中の重合体(A)に対する質量基準の濃度(単位:ppm)で表す。結果を表1〜3に示す。
まず試料として硬化性組成物(X)30gを白金皿に秤量し、ガスバーナーを用いて燃焼、灰化した後、さらに600℃の電気炉にて完全に灰化させた。得られた灰化残渣を6N塩酸2mlに溶解し、蒸留水を加えて100mlとした。灰化残渣のナトリウム含有量は、原子吸光光度計(島津製作所社製、製品名:AA−6200)を用いて測定した。ナトリウム含有量の定量は、金属標準液で作成した検量線から求めた。
重合体(A)と化合物(B)(桐油)を混合して硬化性組成物(X)を調製した直後に、硬化性組成物(X)の粘度を下記の粘度測定方法(1)で測定し、貯蔵前粘度(1)(単位・Pa・s)とした。
調製直後の硬化性組成物(X)25mlをガラス管に入れ、ガラス管内を窒素置換した後、90℃に温度保持しつつ7日間静置して貯蔵した。7日間の貯蔵後の粘度を下記の粘度測定方法(1)で測定し、貯蔵後粘度(1)(単位・Pa・s)とした。
下記式(10)により増粘率(1)(粘度増加率。単位:%)を求めた。
式(10):増粘率(1)=(貯蔵後粘度(1)−貯蔵前粘度(1))/貯蔵前粘度(1)×100
[粘度測定方法(1)]
試料を1mL採取し、E型粘度計(東機産業社製、製品名:RE80型)を用いて、測定温度25℃、ローターNo.4の条件で粘度を測定した。校正用標準液としては、JS14000(製品名、日本グリース社製)を使用した。
一方、硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量が5.0ppmを超える例9〜11、例20〜22、例31〜35は、化合物(B)(桐油)の添加量が8質量部以下であるにもかかわらず、硬化性組成物(X)の増粘率が高く、貯蔵安定性が悪かった。
例12、23、24は、硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量が5.0ppm以下と少ないが、化合物(B)(桐油)の添加量が10質量部と多いため、硬化性組成物(X)の増粘率が充分に小さくならなかった。
例13、25は、硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量が10ppmを超えて多いが、化合物(B)(桐油)を含有しないため、硬化性組成物(X)を貯蔵してもほとんど増粘しなかった。
すなわち、表1〜3に示されるように、塩化アリルの添加量が水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体の水酸基から変換された−ONa基に対し1.05モル当量と少ないと、硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量は重合体(A)に対して10ppm以上となった。
該塩化アリルの添加量が1.15モル当量以上であると、該ナトリウム含有量が5.0ppm以下、好ましくは4.5ppm以下となり、塩化アリルの添加量が1.25モル当量以上であると、該ナトリウム含有量が2.4ppm以下となった。
表4に示すように、例1、6、11、13の硬化性組成物(X)に、さらに添加剤成分を加えて硬化性組成物(Y)とした。例36、37は実施例であり、例38、39は比較例である。
すなわち、重合体(A)に化合物(B)(桐油)を添加すると同時に、表4に示す添加剤を添加し、これらを混合して硬化性組成物(Y)を得た。
硬化性組成物(Y)について下記の貯蔵安定性試験を行った。結果を表4に示す。
また硬化性組成物(Y)を2成分型硬化性組成物の主剤組成物として用い、別途調製した硬化剤組成物と混合して硬化させ、硬化物の表面のべたつき(タック)を下記の方法で評価した。結果を表4に示す。
なお表4に示す添加剤ナトリウムは含まれていないため、重合体(A)を基準とする、硬化性組成物(Y)中の桐油の含有量およびナトリウム含有量は、硬化性組成物(X)中における含有量とそれぞれ同じである。
[充填剤]
白艶化CCR(製品名):膠質炭酸カルシウム、白石工業社製。
ホワイトンSB(製品名):重質炭酸カルシウム、白石カルシウム工業社製、平均粒径1.78μm。
酸化チタン R820(製品名):石原産業社製。
バルーン 80GCA(製品名):有機バルーン、松本油脂社製。
[可塑剤]
PMLS4012(製品名):高分子量ポリオール、旭硝子社製、水酸基1個当たりの分子量5,000(PMLS4012は分子中に水酸基を2個有する)。
サンソサイザーEPS(製品名):新日本理化社製、4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−エチルヘキシル。
[チキソ性付与剤]
ディスパロン#305(製品名):水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製。
[安定剤]
(酸化防止剤)IRGANOX 1135(製品名):ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製。
(紫外線吸収剤)TINUVIN 326:(製品名):ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製。
[接着性付与剤]
KBM−403(製品名):3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製。
下記(a)硬化触媒・助触媒混合物の4質量部、(b)可塑剤の6質量部、(c)充填材の15質量部、および(d)充填材の5質量部を混合して硬化剤組成物を調製した。
(a)硬化触媒・助触媒混合物:硬化触媒としてのオクチル酸第一錫(吉富製薬社製、商品名:スタノクト)と、助触媒としてのラウリルアミン(n−ドデシルアミン、試薬)とを質量比(硬化触媒:助触媒)6:1で混合した混合物。
(b)可塑剤:ジイソノニルフタレート、新日本理化社製、製品名:サンソサイザーDINP。
(c)充填材:ホワイトンSB(製品名)、重質炭酸カルシウム、白石カルシウム工業社製、平均粒径1.78μm。
(d)充填材:グロマックスLL(製品名):焼成カオリン、竹原化学工業社製。
硬化性組成物(Y)を調製した直後に、硬化性組成物(Y)の粘度を下記の粘度測定方法(2)で測定し、貯蔵前粘度(2)(単位・Pa・s)とした。
調製直後の硬化性組成物(Y)100mlをプラスチック容器に入れ、プラスチック容器内を窒素置換した後、70℃に温度保持しつつ7日間静置して貯蔵した。7日間の貯蔵後の粘度を下記の粘度測定方法(2)で測定し、貯蔵後粘度(2)(単位・Pa・s)とした。
下記式(20)により増粘率(2)(粘度増加率。単位:%)を求めた。
式(20):増粘率(2)=(貯蔵後粘度(2)−貯蔵前粘度(2))/貯蔵前粘度(2)×100
[粘度測定方法(2)]
試料を20mL採取し、B型粘度計(東機産業社製、製品名:TV−25型)を用いて、測定温度23℃、ローターNo.7、回転数10rpmの条件で粘度を測定した。
硬化性組成物(Y)(主剤組成物)中の重合体(A)100質量部に対して、硬化剤組成物10質量部を混合した直後に、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの上に、およそ縦150mm、横50mm、厚さ5mmの形状に施工した。これを、23℃、湿度50%で8時間養生して硬化させた。得られた硬化物のタック(表面のべたつき)の度合を指触で評価した。
指触し硬化物表面にべたつきを感じない場合をべたつきが「小さい」と評価し、べたつきを感じる場合をべたつきが「大きい」と評価した。
なお、
例37は、硬化性組成物(Y)中のナトリウム含有量が1.6ppmであり、化合物(B)(桐油)の添加量が6.6質量部の例である。硬化性組成物(X)にさらに添加剤を加えた硬化性組成物(Y)においても増粘率は低くて貯蔵安定性に優れており、硬化物表面のべたつきは良好に抑えられていた。
例39は、硬化性組成物(X)中のナトリウム含有量が10.0ppmであるが、桐油が添加されていない例である。硬化性組成物(Y)において、増粘率は低くて貯蔵安定性は良好であったが、桐油を含有しないため硬化物表面のべたつきが大きかった。
Claims (4)
- 反応性ケイ素基を導入可能な官能基を有する前駆重合体(A’)に、下式(1)で表される反応性ケイ素基を導入してなる重合体(A)と、乾性油およびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上である化合物(B)を含有し、
前記前駆重合体(A’)の平均官能基数が2.0〜3.0、官能基1個当たりの分子量が5,000〜20,000、かつ分子量分布が1.01〜1.50であり、前記官能基の少なくとも一部が水酸基であり、
前記化合物(B)の含有量が前記重合体(A)の100質量部に対して0.1〜8.0質量部であり、
ナトリウム含有量が、前記重合体(A)に対して0超、5.0ppm以下であることを特徴とする硬化性組成物。
−SiX1 2R1・・・(1)
[式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、X1は水酸基又は加水分解性基を示す。2個のX1は互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記前駆重合体(A’)が、アルキレンオキシド開環重合触媒の存在下で、水酸基を2個有する開始剤および水酸基を3個有する開始剤の一方または両方に、アルキレンオキシドを開環付加させて得られる、水酸基含有ポリオキシアルキレン重合体である、請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記アルキレンオキシド開環重合触媒が、有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体触媒である、請求項2に記載の硬化性組成物。
- 前記重合体(A)が、前記前駆重合体(A’)の水酸基に、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物を反応させた後、不飽和基を有するハロゲン化合物を反応させて不飽和基を導入し、該不飽和基に前記反応性ケイ素基を有するハイドロシラン化合物を反応させて得られる重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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