JP2015182387A - 機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造過程においてフィルムに損傷を与えることなく、生産性および品質の高い機能性フィルムの製造方法機能性フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】セパレータに粘着層形成用塗布液を塗布し乾燥させ、粘着層を形成し、前記粘着層と、機能性層を有する支持体の前記機能性層を有する面とを貼り合わせ、機能性積層体を形成する第一の工程と、前記支持体の前記粘着層と反対の面に、ハードコート層を形成する第二の工程と、を有し、前記第二の工程が、ロールトゥロール方式により行われる、機能性フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性フィルムの製造方法に関する。
支持体の表面に、紫外線、可視光もしくは赤外線などの光を反射もしくは吸収する層、またはガスバリア層など、目的とする機能を発現する層(以下、「機能性層」とも称する)を成膜してなる機能性フィルムが、様々な用途に利用されている。
かような機能性フィルムを製造する方法として、高い生産性や生産効率の観点から、長尺な基材を、ロール状に巻回してなる支持体ロールから送り出し、長手方向に搬送しつつ機能性層の成膜などを行い、成膜済みの機能性フィルムをロール状に巻き取る、いわゆるロールトゥロール(Roll to Roll)方式による成膜方法が知られている。
また、機能性フィルムの製造においては、貼着性を付与するための粘着層や製品の傷を防止するためのハードコート層などを施すことも、行われている。
例えば、特許文献1には、支持体の表面にコーティング膜を成膜し、当該支持体の裏面に塗布膜またはラミネートフィルム(ハードコート層に相当するもの)を成膜して巻き取り、その後当該コーティング膜上に無機膜等の機能性層を成膜して巻き取る、機能性フィルムの製造方法が開示されている。
特開2010−234340号公報
しかしながら、特許文献1の製造方法では、製造後機能性フィルムを巻き取りローラーによってロール状に巻き取る際に、機能性層を傷つけてしまい、結果として製造された機能性フィルムの品質が劣化してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、製造過程においてフィルムに損傷を与えることなく、生産性および品質の高い機能性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、セパレータに粘着層形成用塗布液を塗布し乾燥させ、粘着層を形成し、前記粘着層と、機能性層を有する支持体の前記機能性層を有する面とを貼り合わせ、機能性積層体を形成する第一の工程と、前記支持体の前記粘着層と反対の面に、ハードコート層を形成する第二の工程と、を有し、前記第二の工程が、ロールトゥロール方式により行われる、機能性フィルムの製造方法によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、製造過程においてフィルムに損傷を与えることなく、生産性および品質の高い機能性フィルムの製造方法が提供される。
機能性層を形成する際に用いる真空成膜装置の一例を示す概略図である。 粘着層を形成する際に用いる装置の一例を示す概略図である。 ハードコート層を形成する際に用いる装置の一例を示す概略図である。 機能性フィルムの製造方法によって製造される機能性フィルムの層構成を示す概略側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の第一の形態によれば、セパレータに粘着層形成用塗布液を塗布し乾燥させ、粘着層を形成し、前記粘着層と、機能性層を有する支持体の前記機能性層を有する面とを貼り合わせ、機能性積層体を形成する第一の工程と、前記支持体の前記粘着層と反対の面に、ハードコート層を形成する第二の工程と、を有し、前記第二の工程が、ロールトゥロール方式により行われる、機能性フィルムの製造方法が提供される。
本発明は、ハードコート層を形成する工程の前に、セパレータに塗設された粘着層と、機能性層とを貼り合わせることにより、本発明の効果を有効に発現することができる。より具体的に、本発明の構成による上記作用効果を発揮するメカニズムは、以下のように推測されるが、下記に限定されるものではない。
本発明者は、特許文献1の問題点について考察したところ、機能性層としての無機膜が成膜後巻き取り部でロール状に巻き取られるが、一緒に空気を巻き込む。平滑性が低い場合には、生じる隙間から空気が逃げるが、支持体の裏面に成膜された塗布膜またはラミネートフィルムの高い平滑性のために、空気の逃げ道がなくなる。巻き込まれた空気は、巻き取りテンションにフィルムの一部に空気が集まり、その部分におされ痕(パンプス)が発生し、機能性層を変形させ、その結果、機能性フィルムの品質劣化につながるのではないかと考えた。
一方、本実施形態の構成によれば、セパレータに塗設された粘着層を、支持体上に形成された機能性層に貼り合わせ、その後支持体の裏面にハードコート層を形成する。ハードコート層を形成する前に、セパレータおよび粘着層が積層されることにより、フィルムの巻き取り部分に隙間ができ、空気の巻き込みを抑制できる。また、機能性層の上に粘着層を貼り合わせることにより当該機能性層を保護できることが見出された。
また、本発明の製造方法は、以下の利点を有することも考えられる。一般的に、機能性フィルムにおいて、支持体はあくまでサポートのための層であり、経済性の観点も相まって、できるだけ薄く幅広であることが望まれている。しかしながら、かような支持体は、剛性不足になりがちであり、特にロールトゥロール方式の製造装置において支持体の剛性不足が表れやすい。例えば、セパレータに塗設された粘着層を使用しない場合では、ハードコート層を塗設する際に、フィルムの中央部のたわみにより、塗布液が厚く塗れてしまいがちであるため、厚みムラが生じやすい。また、ハードコート層に着色材を入れる場合では、フィルムの幅方向で濃度ムラが生じやすい。このため、厚くついた部分の硬化が不十分になり、ロールに転写し、さらに度機能性フィルムに再転写することで、フィルムの膜面品質を劣化させてしまう問題、または支持体の端部に剛性がないことにより、端部も塗布液の転写や、長尺を巻き取る際に巻きずれが生じ、両端の巻き位置が内側にずれ、最終的にしわが発生してしまうという問題等が考えられる。前記のような問題に対して、本発明に係るセパレータに塗設された粘着層を機能性層面に貼り合わせることによって、機能性層乃至フィルム全体を傷つけたり、変形させたりすることなく、ロールトゥロールの搬送もスムーズに行うことができると考えられる。
以下、本発明の製造方法の各工程について説明する。
<第一の工程>
本工程において、セパレータに粘着層形成用塗布液を塗布し乾燥させ、粘着層を形成し、前記粘着層と、機能性層を有する支持体の前記機能性層を有する面とを貼り合わせ、機能性積層体を形成する。より具体的に、本発明の製造方法に係る第一の工程には、(1−1)支持体上に機能性層を形成する工程、(1−2)セパレータに粘着層を形成する工程、および(1−3)セパレータに塗設された粘着層を、機能性層上に貼り合わせる工程を含む。
(1−1)支持体上に機能性層を形成する工程
本発明において、「支持体上に機能性層を形成する」とは、支持体上に、直接機能性層を形成する形態のみならず、支持体上に他の中間層が設けられ、該中間層上に機能性層を形成する形態も含む。
また、本発明に係る機能性層としては、スパッタリング法やプラズマCVD法など真空成膜法により得られる無機層であってもよく、超多層押し出し法や水系重層塗布法等の塗布法により得られる誘電多層膜であってもよい。
すなわち、本発明に係る機能性層の形成方法としては、特に限定されず、真空成膜法または機能性層形成用塗布液を塗布し製膜する方法(塗布法)などが挙げられる。
〔真空成膜法〕
本発明において、真空成膜法には、特に限定されず、CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなど、公知の真空成膜法が全て利用可能である。また、真空成膜法によって形成される本発明の機能性層としては、例えば、アルミナ膜、シリカ膜、ジルコニア膜、酸化タンタル膜、フッ化マグネシウム膜、酸化チタン膜、銀膜、酸化錫膜、錫をドープした酸化インジウム膜、6ホウ化ランタン、セシウム酸化タングステン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはこれらの混合膜が挙げられるがこれらに限定されない。
また、真空成膜法で製造する機能性層の膜厚は、特に限定されず、例えば1〜500nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましい。
以下では、図1に示す真空成膜装置を用いて、本発明に係る支持体上に機能性層を設ける工程(1−1)の具体的一実施形態を説明する。
図1は、機能性層を形成する際に用いる真空成膜装置の一例を示す概略図である。真空成膜装置10は、いわゆるロールトゥロール方式の装置であり、送り出しローラー12aと、搬送ローラー13a、13b、13c、13dと、真空成膜室16と、巻き取りローラー12bと、を備えている。真空成膜室16内に、真空成膜手段としてのスパッター15、および支持/搬送の役割を有するドラム14が設置されている。なお、送り出しローラー12aから巻き取りローラー12bまでを全て真空状態に設定してもよい(図示せず)。また、真空成膜室16には、必要に応じて高周波電源(図示せず)も設定されうる。
送り出しローラー12aから連続的に長尺な支持体11が送り出され、搬送ローラー13aおよび13bによって真空成膜室16に搬送される。
本発明に用いられる支持体(「基材」とも称する。)としては、特に制限されるものではないが、屈曲性などの観点から樹脂基材であることが好ましく、透明であっても不透明であってもよく、製造する機能性フィルムの用途によって適宜に選択されうる。
樹脂基材としては、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。
樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、一方に延伸された延伸フィルム、または二軸延伸フィルムでもよく、製造する機能性フィルムの用途によって適宜に選択されうる。また、強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
支持体の厚みとしては、10〜300μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。また、支持体は、2枚以上重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
真空成膜室16において、スパッター15を用いて支持体11の表面に本発明に係る機能性層が成膜され、機能性層−支持体の積層体17として得られる。その後、機能性層−支持体の積層体17が搬送ローラー13cおよび13bによって搬送され、巻き取りローラー12bによってロール状に巻き取り、次の工程に供される。
〔塗布法〕
以下、本発明に係る機能性層が塗布法によって形成される場合について説明する。
塗布法によって形成される誘電多層膜は、通常熱により収縮変形しやすい。例えば、形成された誘電多層膜の上に、ハードコート層等の塗布液を塗布し、加熱乾燥を行うことにより、当該誘電多層膜の熱収縮が起き、変形してしまう可能性がある。これに対して、本発明の製造方法に、機能性層として誘電多層膜を適用することができる。ハードコート層を形成する前に、セパレータに塗設された粘着層を誘電多層膜に貼り合わせることにより、後加工での加熱工程においても誘電多層膜が変形しにくく、光の散乱を抑えることができる。このように、本発明の機能性層が誘電多層膜である場合に、本発明効果がより発現しやすい。
本発明において、誘電多層膜は、屈折率の異なる層の積層体であるが、高屈折率層および低屈折率層が交互に積層された積層体であることが好ましい。
「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率層を高屈折率層とし、低い方の屈折率層を低屈折率層とすることを意味する。したがって、「高屈折率層」および「低屈折率層」なる用語は、フィルムを構成する各屈折率層において、隣接する2つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御出来、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、またdは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御出来る。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
したがって、誘電多層膜を有する機能性フィルムは、赤外線遮蔽能、紫外線遮蔽能等の光学反射特性を有する光学反射フィルムであることが好ましい。
誘電多層膜の厚さは、用いられる誘電多層膜および所望の機能が発揮されるように適宜設計されるが、通常、1〜100μm程度である。
本発明において、誘電多層膜は樹脂を含むことが好ましい。また、好適には金属酸化物粒子を含む。誘電多層膜に含まれる樹脂には特に制限はなく、誘電多層膜を形成できる樹脂であれば特に制限されない。誘電多層膜に樹脂を用いることによって、屈曲時や高温高湿時の膜の耐久性が向上する。
誘電多層膜の形成方法については、特に限定されず、誘電多層膜を構成する材料によって適宜好適な方法が用いられうる。
好適な一実施形態は、(1)支持体上に高屈折率層形成用塗布液(以下、単に高屈折率用塗布液とも称する)と低屈折率層形成用塗布液(以下、単に低屈折率用塗布液とも称する)とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成する方法である。以下、本実施形態を実施形態(1)とも称する。
誘電多層膜の樹脂として水溶性高分子を用いた場合には、水系溶媒の水系塗布が可能であるため、(1)の方法を用いることが好ましい。水系溶媒は溶剤系の溶媒に比べて環境負荷が小さいため好ましい。また、このため、誘電多層膜の形成方法の好適な一実施形態は、支持体上に水溶性高分子および溶媒(好ましくは水系溶媒)を含む高屈折率層塗布液と水溶性高分子および溶媒(好ましくは水系溶媒)を含む低屈折率層塗布液とを交互に塗布する工程を含む。以下、高屈折率層塗布液および低屈折率塗布液を単に塗布液とする場合もある。
(塗布液の調製)
塗布液には、樹脂(好適には水溶性高分子)および溶媒(好適には水系溶媒)が含まれ、場合により、金属酸化物粒子、硬化剤、その他の添加剤が含まれうる。金属酸化物粒子については後述する。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液に含まれうる水溶性高分子は、同一であっても、異なるものであってもよい。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩などの合成水溶性高分子;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。
これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100mol%のものが好ましく、80〜99.5mol%のものが特に好ましい。
ここで、重合度(P)とは粘度平均重合度を指し、JIS K6726:1994に準じて測定され、PVAを完全に再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。
増粘多糖類としては、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
塗布液に用いられる溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
硬化剤は水溶性高分子を硬化させるために用いられる。硬化剤としては、水溶性高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限はない。一般的には水溶性高分子と反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性高分子が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性高分子の種類に応じて適宜選択して用いられる。
さらに、その他の添加剤としては、エマルジョン樹脂、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
塗布液に用いられる樹脂、特に水溶性高分子の濃度は、1〜10重量%であることが好ましい。また、場合により用いられる、金属酸化物粒子の濃度は、0.1〜50重量%であることが好ましい。
塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、樹脂、溶媒、および必要に応じて添加される金属酸化物粒子、硬化剤、その他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、樹脂、および必要に応じて用いられる金属酸化物粒子、硬化剤、その他の添加剤の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
スライド塗布法により同時重層塗布を行う際の塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜150mPa・sの範囲が好ましく、10〜100mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の塗布液の40〜45℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。
また、塗布液の15℃における粘度は、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、3,000〜30,000mPa・sがさらに好ましく、10,000〜30,000mPa・sが特に好ましい。
塗布液の塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布でもよいし同時重層塗布でもよいが、生産性が向上することから、同時重層塗布であることが好ましい。
塗布順序は特に限定されず、具体的には以下の形態が挙げられる;(1)支持体上に、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成した後、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成し、フィルムを形成する方法;(2)支持体上に、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成した後、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成し、フィルムを形成する方法;(3)支持体上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを交互に逐次重層塗布・乾燥して、高屈折率層、および低屈折率層を含むフィルムを形成する方法;(4)支持体上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率層、および低屈折率層を含むフィルムを形成する方法;などが挙げられる。
低屈折率層が最下層および最表層に位置する層構成とすることにより、最下層の基材への密着性、最上層の粘着層の密着性に優れるという観点から、最下層および最表層が低屈折率層となるように塗布することが好ましい。
塗布液を塗布する際には、塗布液を30℃以上に加温することが好ましい。
また、塗布後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却してもよい(セット)。塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。セットとは、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め各層間および各層内の物質の流動性を低下させる工程のことを意味する。冷風を塗布膜に表面から当てて、塗布膜の表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった状態を、セット完了の状態と定義する。塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が上記の範囲であれば、層中の成分の混合が十分となり、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が十分となる。冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜10℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒であることが好ましい。
乾燥における乾燥温度は特に限定されるものではないが、10℃以上で乾燥することが好ましい。
また、各屈折率層の塗布数は、特に限定されるものではないが、実施形態(1)では、特に金属酸化物粒子を屈折率層が含む形態において、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差を大きくすることができるため、塗布数(高屈折率層および低屈折率層の総層数)を少なくすることができ、誘電多層膜の薄膜化が図れる。実施形態(1)において、塗布数(高屈折率層および低屈折率層の総層数)は、5〜100層であることが好ましく、より好ましくは5〜45層である。
なお、機能性フィルムを光学反射フィルムとして用いる場合には、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で所望の光線に対する反射率を高くすることができるという観点から好ましい。また、実施形態(1)の方法によれば、隣接する層間の屈折率差を大きく設計することができる。屈折率差は0.1以上であることが好ましい。また、上限には特に制限はないが、例えば、1.4以下である。また、光学反射フィルムにおいて高屈折率層および低屈折率層を交互に積層する場合には、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が、上記好適な屈折率差の範囲内にあることが好ましいが、例えば、最表層はフィルムを保護するための層として形成される場合または最下層が基板との接着性改良層として形成される場合などにおいて、最表層や最下層に関しては、上記好適な屈折率差の範囲外の構成であってもよい。
実施形態(1)において、屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
また、(1−1)支持体上に機能性層を形成する工程の他の好適な一実施形態としては、(2)樹脂の同時押し出しにより高屈折率層および低屈折率層の積層体を形成後、該積層体を延伸してフィルムを形成する方法が挙げられる。以下、本実施形態を実施形態(2)とも称する。
上記(2)における同時押出し工程は、米国特許第6049419号に記載の方法を用いることができる。すなわち、高屈折率層材料の樹脂およびその他の添加剤(例えば、金属酸化物粒子)(高屈折率層形成用組成物)ならびに低屈折層材料の樹脂およびその他の添加剤(例えば、金属酸化物粒子)(低屈折率層形成用組成物)を同時押出し法にて高屈折率層および低屈折率層を形成することができる。
一実施形態として、各屈折率層材料を100〜400℃で押出しに適当な粘度になるように溶融させ、必要に応じて各種添加剤を添加し、両方のポリマーを交互に二層になるように押出し機によって押し出すことができる。次に、押し出された積層膜を、冷却ドラムにより冷却固化し、積層体を得る。
その後、この積層体を加熱してから二方向に延伸し、誘電多層膜を得ることができる。
延伸方法としては、前述の冷却ドラムから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群および/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してガラス転移温度(Tg)−50℃からTg+100℃の範囲内に加熱し、フィルム搬送方向(長手方向ともいう)に、一段または多段縦延伸することが好ましい。次に、上記のようにして得られた延伸されたフィルムを、フィルム搬送方向に直交する方向(幅手方向ともいう)に延伸することも好ましい。フィルムを幅手方向に延伸するには、テンター装置を用いることが好ましい。
フィルム搬送方向またはフィルム搬送方向に直交する方向に延伸する場合は、1.5〜5.0倍の倍率で延伸することが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0倍の範囲である。
また、延伸に引き続き熱加工することもできる。熱加工は、Tg−100℃〜Tg+50℃の範囲内で通常0.5〜300秒間搬送しながら行うことが好ましい。
熱加工手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。フィルムの加熱は段階的に高くしていくことが好ましい。
熱加工されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。また冷却は、最終熱加工温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
冷却する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱加工温度をT1、フィルムが最終熱加工温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
実施形態(2)において、屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜300nmであることが好ましい。
また、実施形態(2)において、各屈折率層の塗布数(高屈折率層および低屈折率層の総層数)は、10〜5000層であることが好ましく、より好ましくは20〜2000層である。
実施形態(2)の方法に用いられる樹脂としては、特表2002−509279号公報に記載のポリマーやコポリマー等の樹脂を用いることができる。
上記ポリマーを、米国特許第6049419号に記載のように、ポリマーの溶融押出しおよび延伸により、誘電多層膜を形成することができる。
また、ポリマーとして、特開2010−184493号に記載のポリマーを用いてもよい。具体的には、ポリエステル(以下、ポリエステルAとする)と、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいるポリエステル(以下、ポリエステルBとする)とを、用いることができる。ポリエステルAは、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有するものであれば特に限定されない。また、上記ポリエステルBは、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいる。
上記(2)樹脂の同時押し出しにより高屈折率層および低屈折率層の積層体を形成後、該積層体を延伸して機能性フィルムを形成する方法は特に限定されるものではないが、一般的なポリエチレンテレフタレートフィルムの製膜装置で形成することができる。
この場合、支持体としてたとえばポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合には先ほどの同時押し出し機の最外部にポリエチレンテレフタレートを押し出す口をつけ同時に製膜することで得ることができる。
次いで、塗布液が樹脂に加えて金属酸化物粒子を含有する形態について説明する。金属酸化物粒子を誘電多層膜に含有させることにより、各屈折率層間の屈折率差を大きくでき、積層数が低減され、薄膜とすることができる。また、応力緩和が働き膜物性(屈曲時および高温高湿時の屈曲性)を向上する等の利点がある。
金属酸化物粒子は、誘電多層膜を構成するいずれかの膜に含有させればよいが、好適な形態は、各層が金属酸化物粒子を含む形態である。
すなわち、本発明の好適な一実施形態として、誘電多層膜は、第1のバインダー樹脂および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、第2のバインダー樹脂および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層とが積層されてなる積層体である。
ここで用いられる第1の樹脂および第2の樹脂は、上記において説明したいずれかの樹脂を適宜選択して用いることができる。
(第1および第2の金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができる。
第1および第2の金属酸化物粒子は平均粒径が100nm以下であることが好ましい。用いる金属酸化物粒子の平均粒径が100nm以下であることで、光散乱を抑制し、また各屈折率層の膜厚制御の際の精度を向上させることができる。ここで、平均粒径は、一次平均粒径を指す。金属酸化物粒子の平均粒径は、金属酸化物粒子が被覆処理されている場合(例えば、シリカ付着酸化チタン等)、金属酸化物粒子の平均粒径とは母体(シリカ付着酸化チタンの場合は、処理前の酸化チタン)の平均粒径を指すものとする。
(第1の金属酸化物粒子)
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)等の粒子および複合粒子の中で、屈折率が1.6を満たすものが挙げられる。
第1の金属酸化物粒子は、1種単独であってもよいし、2種以上併用してもよい。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、第1の金属酸化物粒子は、チタン、ジルコニア等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子であることが好ましく、ルチル型(正方晶形)酸化チタン微粒子であることがより好ましい。ここで、高屈折率金属酸化物微粒子は、体積平均粒径が100nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましい。本明細書でいう体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、第1の金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。
高屈折率層における第1の金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層の固形分100重量%に対して、15〜90重量%であることが好ましく、20〜85重量%であることがより好ましく、30〜85重量%であることが機能性向上の観点から、さらに好ましい。
(第2の金属酸化物粒子)
低屈折率層に含まれる第2の金属酸化物粒子としては、シリカ(二酸化ケイ素)を用いることが好ましく、具体的な例として合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましい。
一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜40nmであるのがさらに好ましく、3〜20nmであるのが特に好ましく、4〜10nmであるのがもっとも好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものである。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業株式会社から販売されているスノーテックス(登録商標)シリーズ(スノーテックス(登録商標)OS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
また、第2の金属酸化物粒子として、中空粒子を用いることもできる。中空微粒子の平均粒子空孔径は、3〜70nmであるのが好ましい。なお、中空粒子の平均粒子空孔径とは、中空粒子の内径の平均値である。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形または実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、空孔径は、外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
低屈折率層における第2の金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100重量%に対して、20〜90重量%であることが好ましく、30〜85重量%であることがより好ましく、40〜70重量%であることがさらに好ましい。20重量%以上であると、所望の屈折率が得られ90重量%以下であると塗布性が良好となり好ましい。
本発明において、誘電多層膜を構成する各層の積層数は、所望の機能が発揮されるように適宜設定され、また、上記実施形態(1)または(2)に方法によっても異なる。
(1−2)セパレータに粘着層を形成する工程
セパレータに塗設された粘着層は、セパレータに粘着層塗布液を塗布することによって得られる。粘着層塗布液のセパレータへの塗布方法は特に限定されるものではなく、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等によりハードコート層用塗布液を、基材上に塗布し製膜する方法が挙げられる。また、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどの連続塗布装置でも塗布・製膜することが可能である。
以下、図面を用いて(1−2)セパレータに粘着層を形成する工程の具体的一実施形態を説明する。
図2は、粘着層を形成する際に用いる装置の一例を示す概略図である。図2に示す粘着層形成装置20は、いわゆるロールトゥロール方式の装置であり、送り出しローラー22aと、搬送ローラー23a、23b、23c、23d、23eと、粘着層形成用塗布液塗布装置24と、加熱乾燥部25と、ニップロール23f、23gと、送り出しローラー22cと、巻き取りローラー22bと、を備えている。
送り出しローラー22aからセパレータ21が送り出される。
セパレータとしては、特に限定されるものではないが、基材および剥離剤層(離型層)を有することが好ましい。剥離剤層には、任意の適切な樹脂を用いることができる。例えば、シリコン樹脂(有機珪素系高分子化合物)、弗素系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はこれら樹脂と適宜の他の樹脂(アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂等)との混合物を適用することができる。
上記剥離剤層は、上記剥離調整剤以外の任意の他の添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤等が挙げられる。
セパレータの基材としては、任意の適切な基材を用いることができる。
セパレータとしては、市販品を用いてもよく、具体的には東山フィルム社製のクリーンセパHYシリーズ(より具体的には、HY−S30、HY−S15、HY−TS11、HY−TS15)等を好適に用いることができる。
セパレータ21は、搬送ローラー23aを経て、粘着層形成用塗布液塗布装置24より粘着層形成用塗布液(以下、単に粘着層塗布液とも称する)が塗布される。粘着層塗布液には、粘着剤、必要により、溶媒、その他の添加剤が含まれる。
粘着層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリーコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤などを例示することができる。中でも、水貼りする際に、粘着力が弱く位置調整しやすく、位置調整後すぐに粘着力が発現することから、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤は、溶剤系およびエマルジョン系どちらでもよいが、粘着力等を高め易いことから、溶剤系粘着剤が好ましく、その中でも溶液重合で得られたものが好ましい。このような溶剤系アクリル系粘着剤を溶液重合で製造する場合の原料としては、例えば、骨格となる主モノマーとして、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート等のアクリル酸エステル、凝集力を向上させるためのコモノマーとして、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等、さらに架橋を促進し、安定した粘着力を付与させるために官能基含有モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、ポリマー溶液には架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、エポキシ化合物、または金属キレート化合物などが挙げられる。
架橋剤の含有量は特に限定されるものではないが、モノマー全体に対して、0.5〜15重量%であることが好ましい。
準備された粘着層塗布液は、塗布液塗布装置24によってセパレータ上に塗布される。塗布液塗布装置24としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどが挙げられる。
粘着層塗布液が塗布されたセパレータは、次いで、搬送ローラー23b、23cを経て、加熱乾燥部25に搬送される。加熱乾燥部25では、塗布液中の溶媒を乾燥させる。乾燥手段としては特に限定されず、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。なお、図2においては、乾燥部25に乾燥装置が4つ記載されているが、かように複数の乾燥装置を用いて乾燥を行う形態に限られず、1つの乾燥装置のみで乾燥してもよい。この際の乾燥温度としては、用いられる溶媒を除去できる温度で適宜設定されるが、通常70〜120℃である。また、該加熱により、粘着層塗布液中に架橋剤が含まれている場合には、架橋反応が進行する。
形成される粘着層の膜厚は、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、5〜20μmが特に好ましい。1μm以上であれば粘着性が向上する傾向にあり、十分な粘着力が得られる。
(1−3)セパレータに塗設された粘着層を、機能性層上に貼り合わせる工程
上記のように、セパレータに塗設された粘着層は、次いで、搬送ローラー23d、23eを経て、送り出しローラー22cによって搬送された、(1−2)の工程までに形成された機能性層−支持体の積層体27と貼り合わされる。この際、積層体27は、粘着剤層と、機能性層とが貼り合わされるように、搬送される。図2の装置では、ニップロール23fおよび23gにより、圧接により連続的に粘着層および機能性層を貼り合わせている。
その後、巻き取りローラー22bにより、セパレータ−粘着層−機能性層−支持体の積層体26(機能性積層体とも称する)が巻き取られる。
また、上記では機能性層上に直接粘着層を貼り合わせる形態を記載したが、かような形態に限定されず、中間層を形成した機能性層を用いてもよい。すなわち、本明細書において、「粘着層を機能性層上に貼り合わせる」とは、機能性層上に直接粘着層を貼り合わせる形態のみならず、機能性層上に他の中間層が設けられ、該中間層と粘着層とを貼り合わせる形態も含む。ただし、かような中間層の形成において、機能性層が加熱工程に暴露される工程を含まないことが好ましい。
<第二の工程>
本工程において、上記第一工程で形成された機能性積層体における、支持体の粘着層と反対の面に、ハードコート層が形成される。
本発明において、ハードコート層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、ワイヤーバーによるコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等によりハードコート層形成用塗布液(以下、単にハードコート層塗布液とも称する)を、粘着層が形成された面と反対側の支持体上に塗布し製膜する方法(塗布法)が挙げられ、また、蒸着などの乾式製膜法でも形成することができる。製造コストが安く、フィルムの大面積化が図りやすく、また、支持体が耐熱性素材に限定されないなどの利点があるため、塗布法によりハードコート層を形成することが好ましい。
以下、図面を用いて第二の工程の具体的一実施形態を説明する。
図3は、ハードコート層を形成する際に用いる装置の一例を示す概略図であり、ロールトゥロール方式の装置である。ハードコート層形成装置30は、送り出しローラー32aと、搬送ローラー33a、33b、33c、33d、33eと、ハードコート層形成用塗布液塗布装置34と、加熱乾燥部35と、搬送ローラー36と、紫外線照射装置37と、巻き取りローラー32bとを備えている。
送り出しローラー32aから、上記第一の工程で形成された機能性積層体31が送りだされる。この際、機能性積層体31の支持体の粘着層と反対の面を上に向け、搬送ローラー33aを経て、ハードコート層形成用塗布液塗布装置34により、ハードコート層塗布液が塗布される。
ハードコート層塗布液には、ハードコート層を形成するための硬化樹脂材料、溶媒、場合により、光重合開始剤、無機ナノ微粒子、界面活性剤、その他添加剤が含まれる。
硬化樹脂材料としては、熱硬化樹脂や活性エネルギー線硬化樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。かような硬化樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、硬化樹脂は市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線ハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂が好ましい。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、ビームセット(登録商標)575、577(荒川化学工業株式会社製)、紫光UV−7600B(日本合成化学株式会社製)などを挙げることができる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることにより形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、サートマーSR295、SR399(サートマー社製)などを挙げることができる。
また、紫外線硬化型樹脂と組み合わせて(または単独で)、重合性シリコーン化合物を用いてもよい。該重合性シリコーン化合物は、上記紫外線硬化型樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。
重合性シリコーン化合物は、分子内にシロキサン結合による主骨格(シリコーン骨格)と重合性基を有する化合物である。
重合性基は、上記紫外線硬化型樹脂と重合可能な基であり、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性の二重結合を有する基が挙げられる。好ましくは(メタ)アクリロイル基である。したがって、好ましい重合性シリコーン化合物は、シリコーン(メタ)アクリレートまたはシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、併せてシリコーン(メタ)アクリレートという。)であることが好ましい。
また、重合性シリコーン化合物は、上述の紫外線硬化型樹脂との相溶性を向上させるという点から、分子内に紫外線硬化性樹脂との相溶性を向上する部位を含有する有機変性重合性シリコーン化合物であることが好ましい。このような有機変性重合性シリコーン化合物としては、例えば、ウレタン変性、アミノ変性、アルキル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性またはポリエーテル変性した重合性シリコーン化合物が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、DAROCUR−TPO(BASFジャパン株式会社製)、ダロキュア(登録商標)−1173(メルク株式会社製)、エザキュア−KIP150、TZT(DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。これら光重合開始剤の使用量は、樹脂の重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
熱硬化性樹脂としては、ポリシロキサン系ハードコートが挙げられる。
ポリシロキサン系ハードコートは、一般式RmSi(OR’)nで示されるものが出発原料である。RおよびR’は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、mおよびnは、m+n=4の関係を満たす整数である。出発原料中のメトキシ基、エトキシ基などの加水分解性基が水酸基に置換した状態のものが、一般的にポリオルガノシロキサン系ハードコートといわれている。これを基板上に塗布し、加熱硬化させることで、脱水縮合反応が促進し、硬化・架橋することで、ハードコートが製膜される。
ポリオルガノシロキサン系ハードコートとしては、市販品を用いることもでき、サーコートシリーズ(動研製)、SR2441(東レ・ダウコーニング社)、KF−86(信越シリコーン社)、Perma‐New(登録商標)6000(California Hardcoating Company)などを利用することができる。
なお、ポリシロキサン系ハードコートの場合、塗布後、溶剤を乾燥させた後、該ハードコートの硬化・架橋を促進するため、50℃以上、150℃以下の温度で30分〜数日間の熱処理を必要とする。塗布基材の耐熱性やロールにした時の基材の安定性を考慮して、40℃以上80℃以下で2日間以上処理することが好ましい。
ハードコート層塗布液中の硬化性樹脂(上記重合性シリコーン化合物を含む)の配合量は、ハードコート層の合計100重量%(固形分換算)に対して、40〜90重量%であることが好ましく、50〜85重量%であることがより好ましい。
ハードコート層塗布液に、含まれる溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
ハードコート層塗布液中の溶媒の配合量は、上記硬化樹脂を溶解、分散できる量において適宜設定されるが、塗布液100重量部に対して、20〜80重量部程度である。
ハードコート層塗布液は、ハードコート層に赤外遮蔽機能を持たせる、機械的強度を向上させるなどの目的で、無機ナノ微粒子を配合してもよい。ここでナノ微粒子とは、平均(一次)粒径が1000nm以下の粒子を指し、平均粒径が1〜500nmの範囲にあるものがより好ましく、1〜100nmの範囲にあるものがさらに好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡などの観察手段を用いて観察される粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち最大の距離を意味する。また、本明細書でいう(一次)平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、あるいは電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その平均を求めた値である。無機粒子がナノ微粒子であることで、ハードコート層の可視光線の透過性が確保される。このような無機ナノ微粒子としては、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化セシウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンまたは酸化セリウム、および他の金属でドープされたこれらの化合物、ならびにこれらの混合物が挙げられる。他にもCd/Se、GaN、Y、Au、Ag、Cuナノ粒子も利用可能である。
上記他の金属でドープされた化合物とは、化合物中に他の金属が混合されている状態、または化合物と他の金属(酸化物)とが結合している状態の双方を指す。他の金属でドープされた化合物としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)または酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛(インジウム亜鉛複合酸化物:IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ガリウム亜鉛複合酸化物:GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(アルミニウム亜鉛複合酸化物:AZO)、セシウム酸化タングステン(タングステンセシウム複合酸化物)、ほう化ランタンなどが挙げられる。
好適な無機ナノ微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セシウム、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウムスズ(ITO)、セシウム酸化タングステンなどが挙げられる。
無機ナノ微粒子のハードコート層塗布液中の配合量は、固形分全体に対して、30〜80重量%であることが好ましい。
ハードコート層塗布液には、界面活性剤を添加して、レベリング性、撥水性、滑り性等を付与することができる。界面活性剤の種類として、特に制限はなく、アクリル系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。特にレベリング性、撥水性、滑り性という観点で、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素系界面活性剤の例としては、例えば、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)Fシリーズ(F−430、F−477、F−552〜F−559、F−561、F−562等)、DIC株式会社製のメガファック(登録商標)RSシリーズ(RS−76−E等)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標)シリーズ、OMNOVA SOLUTIONS社製のPOLYFOXシリーズ、株式会社T&K TOKAのZXシリーズ、ダイキン工業株式会社製のオプツールシリーズ、ネオス社製のフタージェント(登録商標)シリーズ(602A、650A等)等の市販品を使用することができる。
界面活性剤のハードコート層塗布液中の配合量は、固形分全体に対して、0.001〜0.5重量%であることが好ましい。
その他添加剤としては、ホウ素化ランタン、ニッケル錯体系化合物、イモニウム系、フタロシアニン系、アルミニウム系化合物などの赤外線吸収剤、染料、顔料などが挙げられる。
ハードコート塗布液の製造方法は特に限定されず、溶媒に各成分を添加し、適宜混合することによって得られる。添加順序、添加方法は特に限定されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
準備されたハードコート層塗布液は、塗布液塗布装置34によって、機能性積層体31の支持体の粘着層と反対の面上に塗布される。塗布液塗布装置34としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーターなどが挙げられる。
ハードコート層塗布液が塗布された機能性積層体31は、搬送ローラー33b、33cを経て、加熱乾燥部35(以下、単に乾燥部とも称する)に搬送される。乾燥部では、塗布液中の溶媒を乾燥させる。乾燥手段としては特に限定されず、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられる。なお、図3においては、加熱乾燥部35に乾燥装置が4つ記載されているが、かように複数の乾燥装置を用いて乾燥を行う形態に限られず、1つの乾燥装置のみで乾燥してもよい。この際の乾燥温度としては、用いられる溶媒を除去できる温度で適宜設定されるが、通常70〜120℃である。
ハードコート層の乾燥膜厚は、0.1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。0.1μm以上であればハードコート性が向上する傾向にあり、20μm以下であればハードコート層のカールが小さく、耐屈曲性が維持される傾向にある。
ハードコート層塗布液が塗布された機能性積層体31は、搬送ローラー33dを経て、紫外線照射装置37による紫外線照射のため搬送される。紫外線照射装置37では、紫外線硬化樹脂が照射された紫外線により硬化する。紫外線照射装置としては、例えば、高圧UVランプ、メタルハライドランプなどの紫外線ランプを用いることができる。図3においては、紫外線照射装置を図示したが、用いられる硬化樹脂によって、加熱装置など他の硬化用装置が用いられる。ポリシロキサン系ハードコート材料の場合、塗布後、溶剤を乾燥させた後、該ハードコート材料の硬化・架橋を促進するため、50〜150℃の温度範囲内で30分〜数日間の熱処理を行うことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合、活性エネルギー線の照射波長、照度、光量によってその反応性が変わるため、使用する樹脂によって最適な条件を選択する必要がある。例えば、活性エネルギー線として紫外線ランプを用いる場合、その照度は50〜1500mW/cmが好ましく、照射エネルギー量は50〜1500mJ/cmが好ましい。
上記紫外線照射処理により、機能性積層体31上にハードコート層が形成され、セパレータ−粘着層−機能性層−支持体−ハードコート層の積層体である機能性フィルム38として、搬送ローラー33eを経て、巻取りローラー32bによって巻き取られる。
なお、上記では支持体の粘着層と反対の面上に直接ハードコート層を形成する形態を記載したが、かような形態に限定されず、粘着層の反対の面に、プライマー層などの中間層を形成した支持体を用いてもよい。
また本発明において、各層および支持体、セパレータの間には中間層が存在していてもよい。該中間層としては、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)などが挙げられる。
以上のように、本発明の製造方法によって製造された機能性フィルムの概念図の一例として、図4に示される。すなわち、本発明の機能性フィルム50は、セパレータ54、粘着層53、機能性層52、支持体51、ハードコート層55の順に積層されてなる構造を有する。本発明の製造方法によって製造された機能性フィルムの用途としては、機能性層の種類によって適宜に利用できる。例えば、紫外線、可視光もしくは赤外線などの光を反射もしくは吸収する機能を有するフィルムであってもよく、または有機ELディスプレイや液晶ディスプレイのような表示装置などのデバイスを保護する機能を有するフィルムであってもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 機能性フィルム1の製造
(1)機能性積層体を形成する第一の工程
(1−1)支持体上に機能性層を形成する工程
図1の真空成膜装置を用いて、幅1750mm、厚さ35μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)支持体上に、膜厚60nmのアルミナ膜を機能性層として成膜した。
(1−2)セパレータに粘着層を形成する工程
メタクリル酸2−エチルヘキシル78重量部、アクリル酸ブチル12重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル7重量部およびアクリル酸3重量部をトルエン中に溶解し(固形分濃度:33重量%)、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(モノマーに対して5重量%)を用いて、83℃で240分間のラジカル重合をさせることにより、固形分濃度33重量%(重量平均分子量55万)のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液100重量部中に、チタンキレート(オルガチックスTC−401:マツモトファインケミカル(株))0.5重量部とUV吸収剤(Tinuvin477、チバガイギ社製)3重量部を添加し、粘着層形成用塗布液を調製した。
図2の塗布装置を用いて、上記で調製した粘着層形成用塗布液を、セパレータ(HY−S30:東山フィルム社製)に乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、加熱乾燥部25において、温風乾燥により85℃で乾燥させて、セパレータ上に粘着層を形成させた。
(1−3)セパレータに塗設された粘着層を、機能性層上に貼り合わせる工程
図2に示す搬送ローラー22cより、上記(1−1)の工程で得られたアルミナ膜付のPETフィルムを搬送し、上記(1−2)の工程で得られたセパレータに塗設された粘着層と当該アルミナ膜を有する面とが貼り合わさるように、ニップロールにて圧接して貼り合わせ、機能性積層体1を形成した。なお、搬送速度を40m/minに設定した。
(2)ハードコート層を形成する第二の工程
メチルエチルケトン55重量部とジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマーSR399R、サートマージャパン社製)20重量部、および光重合開始剤(イルガキュアー651、チバスペシャリティケミカルズ社製)5重量部を混合させ、ハードコート層形成用塗布液1を調製した。
図3の装置を用いて、上記で得られた機能性積層体1の粘着層を有する面とは反対の面の支持体上に、ハードコート層形成用塗布液1を塗設した。この際、加熱乾燥部35において、乾燥膜厚が4μmになるように温風乾燥により85℃で乾燥させた。次いで、紫外線照射装置37において、高圧水銀灯を用い、照度100mW/cm、に設定し、紫外線照射(UV露光とも称する)を行い、ハードコート層を形成した。なお、図3のハードコート層形成装置30において、搬送速度を35m/minに設定した。
<評価>
図3の装置において、ハードコート層形成用塗布液1を、塗布乾燥し、UV露光した後、巻き取りローラー32bにて巻き取ったところ、約10,000m問題なく、形成された機能性フィルム1を巻き取ることができた。このようにフィルムが損傷されることなく、生産性の高い機能性フィルムが製造できた。
比較例1
機能性フィルム1の製造において、上記(1−1)の工程の後に(1−2)および(1−3)の工程を行わず、上記(1−1)の工程で得られたアルミ膜付のPETフィルムのアルミナ膜を有する面とは反対の面の支持体上に、ハードコート層形成用塗布液1を乾燥膜厚が4μmになるように塗工したところ、フィルム端部がカールして、端部のハードコート層形成用塗布液の塗布面が搬送ローラーと接触して、ローラーに転写してしまった。その後、当該ハードコート層形成用塗布液1を塗工し続け、転写したハードコート層形成用塗布液が再度フィルムに転写してフィルムを汚してしまった。また、ハードコート層形成用塗布液1を、機能性フィルム1の製造における第二の工程と同様な条件で、塗布乾燥し、UV露光した後のフィルムをロールとして2,000mを巻き取ったところで、フィルム中央部にしわが発生してこれ以上きれいにロールとして巻き取ることができなくなった。このように、機能性層を形成した後に、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、ハードコート層を塗設すると、搬送ローラーに転写された塗布液が、再びフィルムに逆転写し、フィルムを汚してしまう問題と共に、形成された機能性フィルムを巻き取った際にしわが発生してしまう問題があることが分かった。
比較例2
図3の装置を用いて、幅1750mm、厚さ35μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)支持体上に、ハードコート層形成用塗布液1を、機能性フィルム1の製造における第二の工程と同様な条件で、UV硬化後の乾燥膜厚が、4μmとなるように塗設した。
その後、図1の装置を用いて、ハードコート層を有する面と反対の面に、上記(1−1)の工程と同様にして膜厚60nmのアルミナ膜を製膜し、ロールとして巻き取った。しかし、1,000m塗布、巻き取ったところで、中央部にしわが入り、アルミ膜に割れが生じた。またフィルムロールをほどき、フィルムの状態を観察すると、巻き芯部にパンプス(ロールを巻く際に同伴したエアーが、点状に集まり、フィルムを押し上げ、凸状の故障となる)が生じその部分のアルミナ膜が割れてしまった。このように、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、ハードコート層を形成した後に、機能性層としてのアルミ膜を形成すると、フィルムの中央部に生じたしわにより、機能性層が割れてしまう問題があることが分かった。
実施例2 機能性フィルム2の製造
(1)機能性積層体を形成する第一の工程
グリコール成分としてエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノール(重量比7:3)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(ジカルボン酸成分:グリコール成分=1:1(モル比))を用いたポリアルキレンテレフタレート、ならびに、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(重量比7:3)、グリコール成分としてエチレングリコール(ジカルボン酸成分:グリコール成分=1:1(モル比))を用いたPENのコポリマーを、320℃に溶融し、200層の重層押し出しダイスから、ポリアルキレンテレフタレートから形成される層を、片面側1640nmからもう片面側が2460nmにキャスティングドラム上でなるように傾斜をかけ押し出し、PENのコポリマーから形成される層を片面側1230nmからもう片面側が1840mmキャスティングドラム上でなるように傾斜をかけ、これらを交互に押し出す際に最外層にキャスティングドラム上で350μmになるようにポリエチレンテエフタレートを同時に、キャスティングドラム上に押しだした。このようにして押出されたフィルムを縦約3.3倍、横約3.3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、波長1000nmに反射波長の中心がある反射フィルム1(厚さ:72μm)を作製した。
実施例1の(1−2)の工程および(1−3)の工程と同様に行い、上記で得られた反射フィルム1の上面に、セパレータ付の粘着層を貼り合わせ、機能性積層体2を形成した。
(2)ハードコート層を形成する第二の工程
赤外線吸収剤としてのCs0.33WO(セシウム酸化タングステン、住友金属鉱山社製YMF−02A)30重量部、紫外線硬化型樹脂としての、紫光UV−7600B(日本合成化学株式会社製、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂)30重量部およびビームセット(登録商標)575(荒川化学工業株式会社製、ウレタンアクリレート)10重量部、および溶媒としてのメチルイソブチルケトン29.2重量部を混合させた。さらに、フッ素系界面活性剤(フタージェント650A、株式会社ネオス製)を0.1重量部、および光重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン株式会社製)0.7重量部を添加し、30分間攪拌させ、ハードコート層用塗布液2を調製した。
図3の装置を用いて、上記の機能性積層体2を有する支持体の粘着層と反対の面に、ハードコート層形成用塗布液2を塗設した。この際、加熱乾燥部35において、乾燥膜厚が4μmになるように温風乾燥により84℃で乾燥させた。次いで、紫外線照射装置37において、高圧水銀灯にて、照度250mW/cm、照射エネルギー量が100mJ/cmに設定し、UV露光を行い、ハードコート層を形成した。
<評価>
ハードコート層形成用塗布液2を、塗布乾燥し、UV露光した後、巻き取りローラー32bにて巻き取ったところ、約10,000m問題なく、形成された機能性フィルム2を巻き取ることができた。
また、当該機能性フィルム2は、可視光領域に色を持つために、幅方向10点の可視光透過率を測定したところ、10点の平均に対して、最大値と最小値の値は±0.5%以下であった。なお、本実施例における可視光透過率は、JIS−S3107(1998)に従って、日立社製のUV−3600を用いて測定し得られたものである。
このようにフィルムが損傷されることなく、生産性および品質の高い機能性フィルムが製造できた。
比較例3
機能性フィルム2の製造において、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、反射フィルム1を有する面とは反対の面の支持体上に、ハードコート層形成用塗布液2を塗布乾燥し、UV露光した後、フィルムをロールとして巻き取ったところ、3,000m塗布巻き取った時点で巻きずれが生じたので、塗布を中止した。また、巻きずれ部分を観察するとすり傷が生じていた。このように、機能性層を形成した後に、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、ハードコート層を塗設すると、形成された機能性フィルムを巻き取った際にしわが発生し、フィルムに損傷を与えてしまった問題があることが分かった。
さらに、フィルムの幅方向の可視光透過率を10点測定したところ、10点の平均に対して、中央部の可視光透過率が3%高くなっていた。これは、ハードコート層が均一に塗布できず、塗布ムラによりフィルムの可視光透過率が不均一になったためで、機能性フィルムの品質に問題があることが分かった。
実施例3 機能性フィルム3の製造
(1)機能性積層体を形成する第一の工程
(低屈折率層形成用塗布液L1の調製)
コロイダルシリカ(スノーテックスOS、日産化学工業製、固形分20重量%)22.5重量部に、純水32.5重量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油製)の1重量%水溶液1重量部を添加後、5重量%アルカリ処理ゼラチン(平均分子量130,000)水溶液の280重量部を45℃に加熱し、攪拌しながら純水240重量部を添加して10分間攪拌して、低屈折率層形成用塗布液L1を調製した。
(シリカ付着二酸化チタンゾルの調製)
15.0重量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学社製)0.5重量部に純水2重量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学社製)をSiO濃度が2.0重量%となるように純水で希釈したもの)1.3重量部を徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が、20重量%のSiOを表面に付着させた二酸化チタンゾル(以下シリカ付着二酸化チタンゾル)を得た。
(高屈折率層形成用塗布液H1の調製)
前記シリカ付着二酸化チタンゾル(固形分20.0重量%)45重量部に、ポリオキシアルキレン系分散剤(マリアリムAKM−0531、日油社製)の5重量%水溶液10重量部、3重量%ホウ酸水溶液10重量部、2重量%クエン酸水溶液10重量部を順に添加した後、45℃に加熱し、攪拌しながら、ポリビニルアルコール(JC−25、重合度2500、鹸化度99.5mol%、日本酢ビ・ポバール社製)の5重量%水溶液20重量部、界面活性剤(ラピゾールA30、日油社製)の1重量%水溶液1重量部を添加し、純水4重量部を加えて高屈折率層形成用塗布液H1を調製した。
(光学反射フィルム試料)
26層重層塗布可能なスライドビード塗布装置を用い、低屈折率層形成用塗布液L1、高屈折率層形成用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、最下層と最上層がL1、それ以外はH1とL1とが交互になるように(すなわちL1/H1/L1/H1/・・・/H1/L1)低屈折率層形成用塗布液および高屈折率層形成用塗布液を供給し、乾燥時の膜厚が最下層は300nm、最下層以外の低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層150nmになるように計25層の同時重層塗布を行った。
塗布直後80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、25層からなる誘電多層膜を機能性層として形成した。
図2の装置を用いて、実施例1の(1−2)工程および(1−3)工程と同様にして、上記で得られた誘電多層膜面に、セパレータ付の粘着層を貼り合わせ、機能性積層体3を形成した。
(2)ハードコート層を形成する第二の工程
赤外線吸収剤としてのATO(アンチモンドープ酸化スズ、ANP社製、SR35M、平均粒径:15nm)30重量部、紫外線硬化性樹脂としての紫外線硬化型ハードコート剤(KRM8495、ダイセル・オルネクス社製)30重量部およびビームセット(登録商標)575(荒川化学工業株式会社製、ウレタンアクリレート)10重量部、および溶媒としてのメチルイソブチルケトン29.2重量部を添加した。さらに、フッ素系界面活性剤(フタージェント650A、株式会社ネオス製)を0.1重量部、および光重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン株式会社製)0.7重量部を添加し、30分間攪拌させ、ハードコート層用塗布液3を調製した。
図3の装置を用いて、上記の機能性積層体3を有する支持体の粘着層と反対の面に、ハードコート液を塗設した。この際、加熱乾燥部35において、乾燥膜厚が4μmになるように温風乾燥により90℃で乾燥させた。次いで、紫外線照射装置37において、高圧水銀灯にて、照度250mW/cm、照射エネルギー量が100mJ/cmに設定し、UV露光を行い、ハードコート層を形成した。
<評価>
ハードコート層形成用塗布液3を、塗布乾燥し、UV露光した後、巻き取りローラー32bにて巻き取ったところ、約10,000m問題なく、形成された機能性フィルム3を巻き取ることができた。
また、得られた機能性フィルム3を切り出し、ガラス上に順次3枚重ねて貼合し、ガラス面側からレーザポインターで光をあて、フィルム表面に出て来る光を黒紙に当て、光の形状を確認したところ、フィルムがない状態で当てた時と大きな差がなかった。これは、屈折率の異なる誘電多層膜が変形していないことを表しており、すなわち、フィルムが損傷されることなく、生産性および品質の高い機能性フィルムが製造できた。
比較例4
機能性フィルム3の製造において、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、誘電多層膜を有する面とは反対の面の支持体上に、ハードコート層形成用塗布液を塗布乾燥し、UV露光した後、フィルムをロールとして巻き取ったところ、約1,500mの時点で、巻きじわが発生し、解消できなかった。このように、機能性層を形成した後に、セパレータに塗設された粘着層を使用せず、ハードコート層を塗設すると、形成された機能性フィルムを巻き取った際にしわが発生し、フィルムに損傷を与えてしまった問題があることが分かった。
また、きれいに巻けていた1,200m時点でのフィルムを切り出し、ハードコート層を有する面の反対側からレーザポインターで光をあて、フィルム表面に出て来る光を黒紙に当て、光の形状を確認したところ、にじみが見られ、また、フィルムを動かすと、散乱した光の点がちらついて見えた。これは、製造過程において乾燥熱により誘電多層膜が収縮変形したことを示し、フィルムに凹凸ができて、光を散乱してしまうことが考えられ、すなわち、製造された機能性フィルムの品質に問題があることが分かった。
10 真空成膜装置、
11 支持体、
12a 送り出しローラー、
12b 巻き取りローラー、
13a、13b、13c、13d 搬送ローラー、
14 ドラム、
15 スパッター、
16 真空成膜室、
17 機能性層−支持体の積層体、
20 粘着層形成装置、
21 セパレータ、
22a、22c 送り出しローラー、
22b 巻き取りローラー、
23a、23b、23c、23d、23e 搬送ローラー、
23f、23g ニップロール、
24 粘着層形成用塗布液塗布装置、
25 加熱乾燥部、
26 セパレータ−粘着層−機能性層−支持体の積層体(機能性積層体)、
27 機能性層−支持体の積層体、
30 ハードコート層形成装置、
31 機能性積層体、
32a 送り出しローラー、
32b 巻き取りローラー、
33a、33b、33c、33d、33e、36 搬送ローラー、
34 ハードコート層形成用塗布液塗布装置、
35 加熱乾燥部、
37 紫外線照射装置、
38 セパレータ−粘着層−機能性層−支持体−ハードコート層の積層体(機能性フィルム)、
50 機能性フィルム、
51 支持体、
52 機能性層、
53 粘着層、
54 セパレータ、
55 ハードコート層。

Claims (3)

  1. セパレータに粘着層形成用塗布液を塗布し乾燥させ、粘着層を形成し、前記粘着層と、機能性層を有する支持体の前記機能性層を有する面とを貼り合わせ、機能性積層体を形成する第一の工程と、
    前記支持体の前記粘着層と反対の面に、ハードコート層を形成する第二の工程と、
    を有し、
    前記第二の工程が、ロールトゥロール方式により行われる、機能性フィルムの製造方法。
  2. 前記機能性層が、誘電多層膜である、請求項1に記載の機能性フィルムの製造方法。
  3. 前記誘電多層膜は、第1のバインダー樹脂および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、第2のバインダー樹脂および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層とが積層されてなる積層体である、請求項1または2に記載の機能性フィルムの製造方法。
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