JP2015174231A - 水性インクジェット記録用メンテナンス液 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水性インキを使用するインクジェットプリンターにおいて保湿性やメンテナンス性に優れ、長期間使用した場合でも優れた吐出安定性を維持できるインクジェット記録用メンテナンス液を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも沸点が180℃以上の有機溶剤を1種以上含有するインクジェット記録用メンテナンス液において、前記メンテナンス液全体に対して、水の含有量が30重量%以下であることを特徴とするインクジェット記録用メンテナンス液。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性インキを使用するインクジェットプリンターに好適に用いられるインクジェット記録用メンテナンス液、インキセットに関する。
インクジェット印刷は、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、溶剤インキやUVインキによる吸収性の低い基材(PVC、PETなどのプラスチック基材)に対しても印刷が可能な印刷機が実際に市販されてきた。しかし、近年、環境面への対応といった点から水性インキの需要が高まっている。
インクジェット用の水性インキとしては特許文献1、2、3のように印刷対象を普通紙や写真光沢紙のような専用紙としたインキの開発が古くからなされている。一方では近年、インクジェット記録方式の用途拡大が期待されており、屋外広告・看板などに使用されるようなPET、PVCなどの吸収性の低い基材への直接印刷のニーズが高まっている。従来の水性インキは紙へ液滴を吸収させて描画を行うため、吸水性の低い基材へ印刷すると画像が滲んでしまい使用することができなかった。これは吸収性の低い基材に対して水性インキは基材への浸透が起こりづらく液滴同士が融着して滲んでしまうことが原因である。そのため、上記のような吸収性の低い基材に水性インキを印刷するためには、印刷時にヒーターを用いて印刷基材を加熱したり、乾燥エアーを印刷部に吹き付けたりすることで溶媒の揮発を促進させ、インキを乾燥させる必要があった。
また、屋外広告・看板用途として使用する場合、顔料を用いたインキでは、顔料粒子が印刷基材上に染み込まず表面に存在するため、形成した画像上で十分な耐擦過性が得られないという課題を抱えている。そのため、その使用に制限を受けたり、あるいは表面にラミネート加工を施して使用したりするという煩雑さを伴う。
水性顔料インキにより形成した画像の耐擦過性を向上させるために、水性顔料インキ中に水溶性樹脂や水分散性樹脂微粒子などの定着性のバインダー樹脂が添加される。各バインダー樹脂を添加することで、画像の耐擦過性が向上する。しかし、インクジェットヘッドの吐出口(ノズル)近傍に付着したインキが、乾燥し樹脂皮膜を形成・固化することでインキ吐出時に吐出曲りやノズル閉塞を引き起こす。特に、吸収性の低い基材上で水性インキを印刷する場合においては、印刷時にヒーターや乾燥エアー等の乾燥機構により、インキを乾燥させる際に、インクジェットヘッド周囲の温度が上昇し、ノズル近傍のインキが乾燥しやすくなるため、長期印刷時において吐出不良などの不具合が生じやすくなる。このような問題が発生しないように、インクジェットプリンターにはノズル面の洗浄を行うためのクリーニング機構(ゴム製のブレードや布等によりノズル面を拭き取る)やノズル乾燥防止用のキャップなどが通常具備されている。しかし、長期間インクジェットプリンターを使用した際に、ノズル面を拭き取るためのブレードやヘッドキャップなどのインクジェットプリンター部材表面においても同様に付着したインキが乾燥し固化する問題が発生する。そのため、発生したインキの固化物は、ノズル面の拭取り時やインクジェットヘッドをヘッドキャップで蓋をする際に、ノズル面に付着するため、不吐出等の問題を引き起こす。このような事態の処置のために様々な対策が講じられている。
特許文献4、5、6、7のように、従来からインクジェットプリンターのインキ流路内を洗浄するクリーナーやメンテナンスの発明がされており、インキ流路内にメンテナンス液を充填し、長期保管した後の吐出安定性を維持できることが開示されている。しかし、上記発明で用いられているクリーナー、メンテナンス液はいずれも保湿性が不十分なため、インクジェットプリンターを長期間使用した時においては、ヘッドキャップやワイピング(ゴム製のブレードや布で拭き取り)用のブレード上で付着したインキが乾燥固化し、ノズル面へのインキ固化物の付着や、不吐出等の発生に繋がる問題があった。また、上記発明のメンテナンス液を用いて、ノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着したインキの拭き取りが不十分であり、優れた吐出安定性を維持することが難しかった。
また、特許文献8には水に不溶または難溶性の有機溶剤を用いることにより、インキの溶解性や再分散性を向上させ、インキの洗浄性とノズル面をワイピングした後の吐出安定性に優れたメンテナンス液が開示されている。しかし、メンテナンス液の保湿性が不十分なため、長期間インクジェットプリンターを使用した際に、ヘッドキャップやワイピング用のブレード上に付着したインキが乾燥固化し、ノズル面へのインキの固化物の付着や、吐出安定性を損なう問題があった。
特開2001−072905号公報 特開2003−012583号公報 特許第3994734号公報 特公平06−008437号公報 特公平08−030200号公報 特許第5258535号公報 特許第5400260号公報 特開2010−137458号公報
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、水性インキを使用するインクジェットプリンターにおいて保湿性やメンテナンス性に優れ、長期間使用した場合でも優れた吐出安定性を維持できる水性インクジェット記録用メンテナンス液を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
即ち、本発明は、沸点が180℃以上の有機溶剤を1種以上含有する水性インクジェット記録用メンテナンス液において、前記メンテナンス液全体に対して、水の含有量が30重量%以下であることを特徴とする水性インクジェット記録用メンテナンス液に関する。
また、本発明は、前記メンテナンス液の25℃における粘度が70mPa・s以下であり、前記メンテナンス液の25℃における表面張力が50mN/m以下であることを特徴とする上記水性インクジェット記録用メンテナンス液に関する。
また、本発明は、沸点が180℃以上の前記有機溶剤が、溶解性パラメーター値(δ)が21以上である有機溶剤を少なくとも1種以上含有することを上記水性インクジェット記録用メンテナンス液に関する。
また、本発明は、沸点が180℃以上の前記有機溶剤の含有量がメンテナンス液全体に対して、50重量%以上であることを特徴とする上記水性インクジェット記録用メンテナンス液に関する。
さらに、本発明は、少なくとも顔料、顔料分散樹脂、有機溶剤、バインダー樹脂、および、水を含有する少なくとも1種以上の水性インクジェットインキ組成物と、上記水性インクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インキセットに関する。
本発明における「メンテナンス」とは、インクジェットプリンターの使用中または/および未使用中にインクジェットプリンターに具備されているヘッドキャップやワイピング用のブレードをメンテナンス液により浸漬洗浄し、長期間保管することと、ノズル面などに付着したインキをワイピング(メンテナンス液を浸したゴム製のブレード、布や紙類での拭き取り)することで洗浄し安定的に吐出させることが含まれる。
本発明によれば、水性インキを使用するインクジェットプリンターにおいて保湿性やメンテナンス性に優れ、長期間使用した場合でも優れた吐出安定性を維持できる水性インクジェット記録用メンテナンス液を提供することが可能となる。
次に、本発明について詳細に説明する。
メンテナンス液:
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、少なくとも沸点が180℃以上の有機溶剤を1種以上含有し、水の含有量がメンテナンス液全体に対して30重量%以下であることを特徴とする。このメンテナンス液は、バインダー樹脂を含有する水性顔料インキを使用するインクジェットプリンターにおいて優れたメンテナンス性を有し、長期間使用した場合でも優れた吐出安定性を維持することができる。
インクジェットプリンターを長期間使用した際に、優れた吐出安定性を維持するためには、ノズル面に付着したインキをワイピングにより拭き取り、さらに、ワイピング用のブレードやヘッドキャップ等のインクジェットプリンターの部材に付着したインキが乾燥固化しないように防止する必要がある。ノズル面で付着したインキの拭き取り性を向上させ、インクジェットプリンター部材に付着したインキの乾燥固化を防止させるため、本発明者らが鋭意検討した結果、少なくとも沸点が180℃以上の有機溶剤を1種以上含有し、水の含有量が30重量%以下であるメンテナンス液を用いることで、ノズル面に付着したインキを十分拭き取り、乾燥固化を防止できることが明らかとなり本発明に至った。
本発明のメンテナンス液が、ノズル面に付着したインキを十分に拭き取り、乾燥固化を防止できる理由は定かではないが、次のようなことが考えられる。水を多量に含むメンテナンス液を用いてノズル面を拭き取る場合、水のノズル面に対する濡れ性が悪いため、ノズル面に付着したインキを十分に拭き取ることができないことが考えられる。また、水性顔料インキを使用した場合、ノズル面に付着したインキを、水を多量に含有したメンテナンス液を用いて拭き取ると、顔料がメンテナンス液中に拡散してしまい、拭き残りが発生しやすくなる。一方、本発明のメンテナンス液は、水の含有量が好適な範囲であるため、ノズル面に対して最適な濡れ性を有することから付着したインキを十分に拭き取ることが可能である。また、メンテナンス液中への顔料の拡散を抑制し、メンテナンス液の拭き残りによるインキ付着を低減することができる。また、好適な範囲の沸点を有する有機溶剤を含有しているため、拭き取り時に有機溶剤がインキを膨潤させ、拭き取り性を向上させることが可能となる。さらに、メンテナンス液の保湿性が高いため、インクジェットプリンターに具備されているヘッドキャップやワイピング用のブレードに対するメンテナンス性にも優れ、インキが付着しても乾燥固化を防止することができる。そのため、インキの乾燥固化物の発生を抑制できるため、ノズル面の拭取り時やインクジェットヘッドをヘッドキャップで蓋をする際に、ノズル面へのインキの乾燥固化物の付着を防止することが可能となり、長期間使用しても優れた吐出安定性を維持することが可能となる。
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液について説明する。
本発明で使用する有機溶剤としては、保湿性と優れたメンテナンス性を確保するという観点から、少なくとも沸点が180℃以上であることが好ましい。
沸点が180℃以上である有機溶剤であればどのような溶剤でも単独、もしくは複数使用可能である。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、(#200)、ポリエチレングリコール(#400) 、ポリエチレングリコール(#600)、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチル−β−メトキシジプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−エトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等が挙げられる。
メンテナンス液中にインキが混合希釈された際に、有機溶剤の種類によっては顔料の分散安定性を低下させ顔料凝集物が発生することがしばしば起こる。インキの混合希釈時に顔料凝集物が発生するとノズル近傍に凝集物が付着し、ノズルからの安定したインキの吐出を阻害する可能性があるため、メンテナンス液はインキと混合希釈された際に顔料の分散安定性を維持できるものであることが望ましい。
本発明者らはメンテナンス液中にインキが混合希釈された際の分散安定性を維持させるため、有機溶剤の溶解性に着目し鋭意検討した結果、Hansenの方法によって計算された溶解性パラメーター値(δ)が好適な範囲を有する有機溶剤を使用することによって混合希釈時の安定性を向上させることが可能であることを見出した。
メンテナンス液中にインキが混合希釈された際の顔料凝集を抑制し安定した吐出性を確保するという観点から、上記の沸点が180℃以上の有機溶剤としては、Hansenの方法によって計算された溶解性パラメーター値(δ)が21以上30以下である有機溶剤を少なくとも1種以上含有することが好ましい。上記の沸点が180℃以上の有機溶剤の溶解性パラメーター値(δ)が21未満の場合、メンテナンス液中にインキが混合希釈された際に、顔料の分散安定性が低下し、顔料凝集物がノズル面に付着し吐出安定性を損なう可能性がある。
本発明でいう溶解パラメーターとは、溶解性の指標として一般に用いられ分子の凝集エネルギーから導かれる値である。Hansenの方法は、株式会社情報機構発行の『溶解性パラメーター適用事例集〜メカニズムと溶解性の評価・計算例等を踏まえて〜』68ページを参考とし、各々の有機溶剤の構造に基づき溶解性パラメーター値(δ)を算出した。
沸点が180℃以上であり溶解性パラメーター値(δ)が21以上30以下である有機溶剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、(#200)、ポリエチレングリコール(#400 、ポリエチレングリコール(#600)、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチル−β−メトキシジプロピオンアミドが挙げられる。
本発明で用いられる上記の沸点が180℃以上の有機溶剤のメンテナンス液中における含有量としては30重量%以上であることが好ましく、十分な保湿性を有し長期間インクジェットプリンターを使用した際にも、優れたメンテナンス性を確保するという観点から50重量%以上がより好ましく、70重量%以上であることが最も好ましい。
また、本発明の効果が小さくならない程度の好適な含有量の範囲内であれば、上記以外の有機溶剤を単独もしくは複数併用することができる。
上記以外の有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ1−ブタノール等が挙げられる。
本発明のメンテナンス液中に含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水のメンテナンス液中における含有量としては、十分な保湿性を有し、ノズル面に付着したインキの拭取り性を向上させるという観点からメンテナンス液全体に対して30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることが特に好ましい。最も好ましくは有機溶剤のみのメンテナンス液であることである。水の含有量が30重量%を超えるとメンテナンス液の保湿性が低下し、インクジェットプリンターを長期間使用した際に、メンテナンス液が揮発し、ワイピング用のブレードやヘッドキャップに付着したインキをメンテナンス液で浸漬させ洗浄することが困難となる。また、メンテナンス液を用いてノズル面に付着したインキを拭き取る際に、メンテナンス液中に顔料が拡散し、拭き残りが発生しやすくなる。
本発明で用いられるメンテナンス液は、ノズル面に付着したインキを十分に拭き取り、長期間インクジェットプリンターを使用しても吐出安定性を維持させるという観点から、メンテナンス液の25℃におけるE型粘度計による粘度が1mPa・s以上70mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは1mPa・s以上60mPa・s以下である。25℃におけるメンテナンス液の粘度が70mPa・sを超えるとノズル面にメンテナンス液の拭き残りが発生しやすく、ノズル近傍に残存したメンテナンス液によりインキの吐出安定性を損なう可能性がある。
また、本発明で用いられるメンテナンス液は、ノズル面に付着したインキの拭取り性を向上させるという観点から25℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。表面張力が50mN/mを超えるとノズル面に付着したインキの拭取り性が低下する可能性がある。
さらに、本発明のメンテナンス液は、上述の成分の他に、必要に応じて洗浄性やインキとの混合安定性を損なわない程度に他の水溶性有機溶剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、表面調整剤、pH調整剤等を適宜に添加することができる。これらの添加量の例としては、メンテナンス液の全量に対して、0.05〜10重量%の範囲である。
水性インクジェットインキ組成物:
本発明のメンテナンス液は、少なくとも1種以上の水性インクジェットインキ組成物と共に、インクジェット記録用インキセットして使用できる。
本発明の水性インクジェットインキ組成物は、少なくとも顔料、顔料分散樹脂、水、有機溶剤、バインダー樹脂を含有する。以下、当該インキ組成物について説明する。インキ組成物からなる水性インクジェットインキをインキという場合がある。
本発明に使用される顔料は、従来既知のものが使用できる。
本発明で使用することができるブラックの顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10重量%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、
No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、デグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
本発明で使用することができるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、55、74、81、83、109、113、120、128、150、151、155、183等が挙げられる。
本発明で使用することができるマゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red5、7、12、22、23、31、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、112、122;キナクリドン固溶体、146、147、150、238、269、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
本発明で使用することができるシアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
本発明で使用することができる顔料としては、上記以外の色の顔料、及び自己分散型顔料等も使用することができる。これらの顔料は、各色インキにおいて、1種または2種以上を併用して使用することができる。
本発明では上述した顔料に限定されるものではなく、その他の顔料を使用してオレンジ、グリーン、ホワイト等の特色や顔料を含まないクリアを組み合わせたインキセットとして使用することができる。
本発明で使用することができる顔料の含有量としては、インキ組成物中で0.1〜20重量%の範囲である。
上記顔料を使用する場合に長期間のインキの安定性を維持するためにも、インキ媒体中に分散して使用することが好ましく、より安定なインキとするためにも顔料分散樹脂を使用して顔料を分散させることが好ましい。
本発明のインキ組成物に含まれる顔料分散樹脂としては、従来既知のものが使用できるが、一般に、(メタ)アクリル酸共重合物が使用される。これは、顔料表面に吸着した(メタ)アクリル酸共重合物がイオン化した際の電荷反発により、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、安定した顔料分散状態を保つことができるためと考えられる。
顔料分散樹脂の重量平均分子量は5000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量5000以下では分散安定性が低下する場合があり、重量平均分子量100000以上では吐出に影響が出る場合がある。より好ましくは重量平均分子量10000〜50000であり、更に好ましくは重量平均分子量15000〜30000である。
顔料と顔料分散樹脂の重量比率は1/1〜100/1であることが好ましい。顔料分散樹脂の重量比率が1/1よりも大きいとインクの粘度が高くなる傾向が見られる。また、100/1よりも小さいと分散性が低下し、安定性が低下する場合がある。顔料と顔料分散樹脂の重量比率としてより好ましくは2/1〜50/1、更に好ましくは2/1〜20/1である。
本発明のインキ組成物、印字物の塗膜耐性を高めるためにバインダー樹脂を用いることができる。バインダー樹脂としては水分散性樹脂微粒子を使用することが好ましい。水性インクのバインダー樹脂としては大別して水溶性樹脂と樹脂微粒子が知られているが、一般に樹脂微粒子は水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現することができる。また、樹脂微粒子はインキの粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をインキ中に配合することができることから、塗膜耐性を高めるのに適していると言える。樹脂微粒子の種類としてはアクリル系、ウレタン系、スチレンブタジエン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系等が挙げられる。
水分散性樹脂微粒子のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで耐擦過性、耐薬品性等の耐性を向上させることが可能であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは75〜90℃の範囲である。
上述したように、水分散性脂微粒子は成膜性に優れる反面、インキが乾燥しやすくなり、ノズル面で固化しやすい。一度成膜してしまうと再溶解しないため、ノズル面に付着したインキは成膜する前に拭き取る必要がある。本発明のメンテナンス液はノズル面に付着したインキの拭取り性に優れるため、水分散樹脂微粒子をバインダー樹脂として使用した場合でも、ノズル面に付着したインキを十分拭き取り、ノズル面でのインキの乾燥固化を抑制することが可能である。
本発明のインキに含まれる有機溶剤としては、従来既知のものが使用できる。
本発明で使用することができる有機溶剤としては、グリコールエーテル類、ジオール類が良く、中でも(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオールが好ましい。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、等が挙げられる。
ジオール類の具体例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
上記有機溶剤の中でも吸収性の低い基材上で滲みを低減し、優れた印刷品質を得るという観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールを使用することが好ましい。
これらの溶剤は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。
さらに印刷する基材の種類によっては、その溶解性の向上を目的に、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、N,N−ジメチル−β−メトキシジプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−エトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドなどの含窒素化合物を添加することもできる。
本発明で使用することができる有機溶剤の含有量は、一般的には、インキ組成物の全量の3〜60重量%の範囲であり、好ましくは3〜50重量%の範囲である。
本発明のインキ組成物に含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水の含有量としては、インキ組成物の全量の10〜90重量%、さらに好ましくは、10〜80重量%の範囲である。
本発明のインキ組成物は、表面張力を調整し吸収性の低い基材上の濡れ性を確保する目的で界面活性剤を使用することができる。界面活性剤としては、アセチレン系、シリコン系、アクリル系、フッ素系などが挙げられる。
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキ組成物の全重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%が好適である。
上記したような成分からなる本発明のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。まず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性有機溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインキとする。
本発明のインキの調製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、少なくとも顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散樹脂の吸着を促進することができるため、好ましい。
顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、有機溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。
本発明のインキ組成物は、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
本発明のインキジェットインキ組成物を使用しインクジェットプリンターにて印刷を行う場合には印刷媒体を40〜80℃に加温しながら印刷を行うことが好ましい。加温しながら印刷することで、インキ液滴が印刷媒体へ着弾した後、直ちに乾燥するため滲みが生じにくく、高い品質の印刷物を得ることが可能となる。さらに、印刷時に乾燥エアーを印刷部に吹き付けながら印刷を行うことにより、溶媒の揮発を促進させ、液滴の滲みが少ないより鮮明な優れた印刷品質を得ることが可能となる。
本発明のインキ組成物をインクジェット印刷する印刷媒体は公知のものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、インクジェット専用紙などの紙媒体や、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルムなどのプラスチック媒体である。これらは印刷媒体の表面が滑らかであっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。また、これらの印刷媒体の2種以上を互いに張り合わせたものでも良い。更に印字面の反対側に剥離粘着層等を設けても良く、又印字後、印字面に粘着層等を設けても良い。

以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は、「重量部」を、「%」は、「重量%」を、それぞれ表す。
(メンテナンス液の製造)
表2、表3に示す原料を混合し、十分に均一になるまで攪拌した後、1μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行い実施例1〜36、比較例1〜6のメンテナンス液を得た。
(顔料分散樹脂の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレングリコールモノメチルエーテル93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、顔料分散樹脂1の溶液を得た。顔料分散樹脂1の重量平均分子量は約16000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、顔料分散樹脂1の不揮発分20%の水性化溶液を得た。
(水分散性樹脂微粒子の製造)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート10部、メチルメタクリレート57部、スチレン30部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で不揮発分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。得られた樹脂微粒子水分散体を水分散性樹脂微粒子1とした。水分散性樹脂微粒子1の計算上のガラス転移点温度は80℃である。
(顔料分散液の製造)
[シアン顔料分散液の製造]
顔料としてPigment Blue 15:3を20部、顔料分散樹脂1の水溶液を42.9部、水37.1部をマヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーで予備分散した後、分散メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、シアン顔料分散液を得た。このシアン顔料分散液を顔料分散液Aとした。
[マゼンタ顔料分散液の製造]
顔料としてPigment Red 122を20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、マゼンタ顔料分散液を得た。このマゼンタ顔料分散液を顔料分散液Bとした。
[イエロー顔料分散液の製造]
顔料としてPigment Yellow 120を20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、イエロー顔料分散液を得た。このイエロー顔料分散液を顔料分散液Cとした。
[ブラック顔料分散液の製造]
顔料としてカーボンブラックを20部に変えた以外は、シアン顔料分散液と同様の方法で、ブラック顔料分散液を得た。このブラック顔料分散液を顔料分散液Dとした。
(インキの製造)
[シアンインキの製造]
顔料分散体Aを20部、水分散性樹脂微粒子1の水分散体を15部、1,2−ブタンジオールを20部、2−ピロリドンを5部、サーフィノール440(AirProductsandChemicals Inc.製)を1部、水を39部混合し、1μmのメンブランフィルターでろ過することで、インキ1を得た。
[マゼンタインキの製造]
顔料分散体Bを20部、水分散性樹脂微粒子1の水分散体を15部、1,2−ブタンジオールを20部、2−ピロリドンを5部、サーフィノール440(AirProductsandChemicals Inc.製)を1部、水を39部混合し、1μmのメンブランフィルターでろ過することで、インキ2を得た。
[イエローインキの製造]
顔料分散体Cを20部、水分散性樹脂微粒子1の水分散体を15部、1,2−ブタンジオールを20部、2−ピロリドンを5部、サーフィノール440(AirProductsandChemicals Inc.製)を1部、水を39部混合し、1μmのメンブランフィルターでろ過することで、インキ3を得た。
[ブラックインキの製造]
顔料分散体Dを20部、水分散性樹脂微粒子1の水分散体を15部、1,2−ブタンジオールを20部、2−ピロリドンを5部、サーフィノール440(AirProductsandChemicals Inc.製)を1部、水を39部混合し、1μmのメンブランフィルターでろ過することで、インキ4を得た。
(有機溶剤)
実施例、比較例で使用する有機溶剤の物性については表1に示す。
Figure 2015174231
作製したメンテナンス液の評価方法について下記に示す。
(評価1:メンテナンス液の粘度の評価)
実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液の25℃における粘度(η)をE型粘度計(東機産業社製TVE−20L)を用いて測定した。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
0:1mPa・s<η≦10mPa・s
1:10mPa・s<η≦20mPa・s
2:20mPa・s<η≦30mPa・s
3:30mPa・s<η≦40mPa・s
4:40mPa・s<η≦50mPa・s
5:50mPa・s<η≦60mPa・s
6:60mPa・s<η≦70mPa・s
7:70mPa・s<η
(評価2:メンテナンス液の表面張力の評価)
実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液の25℃における表面張力値(σ)をCBVP−Z(協和界面科学製)を用いて測定した。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
2:20mN/m<σ≦30mN/m
3:30mN/m<σ≦40mN/m
4:40mN/m<σ≦50mN/m
5:50mN/m<σ
(評価3:メンテナンス液の保湿性の評価)
実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液をφ45mm、高さ13.5mmのメンタム缶に5g入れ、メンテナンス液の入ったメンタム缶を50℃のホットプレート上で4時間静置させた後のメンテナンス液の重量変化を測定した。重量変化(Δ)は下記一般式(1)に基づいて算出した。
一般式(1)
Δ(%)=(乾燥前のメンテナンス液の重量 − 50℃4時間乾燥させた後のメンテナンス液の重量)/乾燥前のメンテナンス液の重量
評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
◎:Δ≦5%
〇:5%<Δ≦15%
△:15%<Δ≦35%
×:35%<Δ
(評価4:プリンター部材に対するメンテナンス性の評価)
インクジェットプリンターにインキ1〜4を充填し、25℃の環境下においてPVCをプラテンヒーターにより50℃に加温しながら印字率100%のベタ印刷を1時間行った。印刷後に、プリンター部材としてヘッドキャップ、ワイピング用のゴム製ブレードを実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液中に25℃の環境下で1週間浸した後の上記プリンター部材の表面上におけるインキの付着状態について目視評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
◎:インキの乾燥固化物の付着が全く見られないもの
○:インキの乾燥固化物の付着がほとんど見られないもの
△:インキの乾燥固化物がプリンター部材表面の一部に付着しているもの
×:インキの乾燥固化物がプリンター部材の全面に付着しているもの
(評価5:インクジェットヘッドノズル面のインキの拭取り性の評価)
インクジェットヘッドのノズル面をワイピング(ゴム製のブレードでの拭き取り)できる機構を搭載したインクジェットプリンターにインキ1〜4を充填し、25℃の環境下においてPVCをプラテンヒーターにより50℃に加温しながら印字率100%のベタ印刷を1時間実施した。印刷後のインクジェットヘッドのノズル面を実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液中に浸したゴム製のブレードでワイピングし、インキの拭取り性について目視評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
◎:インキが十分に拭き取れ、ノズル面にインキ付着が見られないもの
○:インキが拭き取れ、ノズル面にインキ付着がほとんど見られないもの
△:インキがわずかに拭き取れず、ノズル面にわずかにインキ付着が見られるもの
×:インキが十分に拭き取れず、ノズル面に明らかにインキの付着が見られるもの
(評価6:吐出安定性の評価)
上記のインクジェットプリンターにインキ1〜4を充填し、25℃の環境下においてPVCをプラテンヒーターにより50℃に加温しながら印字率100%、印字幅1mのベタ印刷を実施し、印字長1m毎にインクジェットヘッドのノズル面を、実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液中に浸したゴム製のブレードでワイピングした。その後にノズルチェックパターンを印刷してノズル抜け本数をカウントし、その本数で評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
◎:印字長10mでノズル抜けなし
○:印字長4〜9mでノズル抜けなし
△:印字長1〜3mでノズル抜けなし
×:印字長1mでノズル抜け本数が全ノズルに対して5%以上10%未満である
××:印字長1mでノズル抜け本数が全ノズルに対して10%以上である
(評価7:メンテナンス液に対するインキの希釈安定性)
実施例1〜36、比較例1〜6で得られたメンテナンス液50mlにインキ1〜4を別々に50μlずつ添加・混合した後、混合物を70℃の恒温槽に保存し、凝集物の発生の有無を目視で評価した。評価基準は以下のとおりとした。
<評価基準>
◎:70℃で2週間保存した後に凝集物の発生は見られない
〇:70℃で1週間保存した後に凝集物の発生は見られない
△:70℃で1週間保存した後にわずかに凝集物の発生が見られる
上記の評価結果は、実施例1〜36については表2に示す。また、比較例1〜6については表3に示す。


Figure 2015174231
Figure 2015174231
Figure 2015174231
表2に示す通り、本発明のメンテナンス液とそれを用いたインキセットは、いずれも優れた保湿性とメンテナンス性を示している。
一方、本発明の範囲外である比較例においては全ての評価項目を満足し、実用可能な品質のメンテナンス液とすることができないことが示されている。水の含有量が本発明の範囲外である比較例1、2においては保湿性が十分でなく、優れたメンテナンス性や吐出安定性が得られていない。沸点が本発明の範囲外である有機溶剤を使用した比較例3、4、5においても同様に、保湿性が不十分なため、ヘッドキャップ上でのメンテナンス性が損なわれ、吐出安定性も確保できていない。有機溶剤を含まない比較例6においては、優れたメンテナンス性が得られていない。

Claims (5)

  1. 沸点が180℃以上の有機溶剤を1種以上含有する水性インクジェット記録用メンテナンス液において、前記メンテナンス液全体に対して、水の含有量が30重量%以下であることを特徴とする水性インクジェット記録用メンテナンス液。
  2. 前記メンテナンス液の25℃における粘度が70mPa・s以下であり、前記メンテナンス液の25℃における表面張力が50mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載の水性インクジェット記録用メンテナンス液。
  3. 沸点が180℃以上の前記有機溶剤が、溶解性パラメーター値(δ)が21以上である有機溶剤を少なくとも1種以上含有することを特徴とする請求項1または2記載の水性インクジェット記録用メンテナンス液。
  4. 沸点が180℃以上の前記有機溶剤の含有量がメンテナンス液全体に対して、50重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性インクジェット記録用メンテナンス液。
  5. 少なくとも顔料、顔料分散樹脂、有機溶剤、バインダー樹脂、および、水を含有する少なくとも1種以上の水性インクジェットインキ組成物と、請求項1〜4のいずれか記載の水性インクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インキセット。
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