JP5760567B2 - 水性インクジェット用顔料インキ - Google Patents

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Description

本発明は、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、保存安定性、耐候性に優れる水系インクジェット用イエローインキに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、環境面および印刷物の耐性面等から水性顔料インキが求められている。
水性顔料インキは、顔料が水に不溶であるため、インキ中での顔料分散を保つために分散樹脂を用いて水中での分散安定化を図っている。(特許文献1、 2、 3)。また、インクジェット記録方式の場合、ノズルの乾燥防止を目的として、保湿剤と位置づけられる高沸点の水溶性溶剤が含まれている。
一般的に、水性インキの乾燥機構は、インキが基材へ着弾後、基材への浸透と蒸発に分類されるが、浸透の寄与が非常に大きく、コート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性が高い基材はインキの浸透が遅いため、多色印刷の場合はインキが混色してきれいな画像を形成できない、印刷速度を上げられない等の問題があった。
このため、インキ中に浸透性の高い高沸点の水溶性溶剤を添加することにより乾燥性の向上を図る必要がある。しかしながら、インキ中への浸透性溶剤の添加は、顔料分散状態を安定化させている分散樹脂の溶解状態を変化させ、顔料分散性および保存安定性を著しく低下させる場合があった。
即ち、浸透性の高い溶剤と、それが存在しても顔料分散性を低下させない顔料分散樹脂の組み合わせが望まれていた。
また、顔料の中でもイエロー顔料は他色と比較して耐候性が低いものが多く、インクジェット用水性インキで一般に使用してされているピグメントイエロー74やピグメントイエロー155では屋外等で印刷物を展示すると容易に退色してしまうという問題点がある。耐候性の高いイエロー顔料としてはピグメントイエロー150がインクジェット用溶剤インキ等で使用され実用化されているが、水性インキでは分散安定性の低さからこれまでに例が少ない。
特許文献4にはピグメントイエロー150を界面活性剤により分散させた水性インキの記載があるが、界面活性剤による分散では浸透性の高い溶剤と混合した場合に分散安定性が低下することが予測される。そのため浸透性溶剤の添加ができずコート紙、塩化ビニルシートといった疎水性が高い基材への印刷には実質使用不可能であった。
特許文献5にはピグメントイエロー150を顔料分散樹脂により分散することで安定化させた水性インキの記載がある。これは顔料分散樹脂を使用しているため浸透性の高い溶剤と混合した場合にも分散安定性を保つことができると考えられるが、インキ中に占める溶剤量が多く、基材上での乾燥が非常に遅くなりインキ間での混色が起こるため、疎水性の高い基材上では良質な印刷物を得ることができなかった。
特開昭64-6074号公報 特開昭64-31881号公報 特開平3-210373号公報 特開2003-55590号公報 特開2007-91909号公報
本発明の目的はインクジェット記録用の顔料インキにおいて、一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、保存安定性、耐候性に優れる水系インクジェット用イエローインキを提供することにある。
すなわち、本発明は少なくともピグメントイエロー150、水溶性溶剤、水及び顔料分散樹脂を含有してなるインクジェット用顔料インクにおいて、前記顔料分散樹脂が、下記の単量体A、単量体B及び単量体Cを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)であることを特徴とし、
コポリマー全量中の単量体A、B、Cの合計量の比率は70〜100質量%であり、
前記水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種であるインクジェット用イエローインキに関する。
単量体A:炭素数18〜24のアルキル基の(メタ)アクリレートエステル
単量体B:スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート
単量体C:(メタ)アクリル酸
また、本発明は、前記顔料分散樹脂の酸価が50〜400mgKOH/gであることを特徴とするインクジェット用イエローインキに関する。
また、本発明は、前記単量体Aがベヘニル(メタ)アクリレートであることを特徴とするインクジェット用イエローインキに関する。
また、本発明は、樹脂微粒子を含むことを特徴とするインクジェット用イエローインキに関する。
また、本発明は、前記グリコールエーテル類が(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテルであるインクジェット用イエローインキに関する。
また、本発明は、前記ジオール類が炭素数3〜6のアルカンジオールである上記インクジェット用イエローインキに関する。
さらに、本発明は、前記インクジェット用イエローインキと、少なくともシアン、マゼンタ、ブラックを含む4色以上のインキセット、ならびに当該インクジェット用インキで印刷してなる印刷物に関する。
本発明により一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水性の高い基材への印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、保存安定性、耐候性に優れる水系インクジェット用イエローインキが提供することが可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット用イエローインキについて説明する。本発明のイエローインキは、炭素数が18〜24のアルキル基の(メタ)アクリレートエステル(単量体A)と、スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート(単量体B)と、(メタ)アクリル酸(単量体C)とを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)を含有してなることを特徴とする。先ず、本発明を特徴づけるコポリマーの形成成分である単量体A、B及びCについて説明し、更に、これらの共重合によって得られるコポリマーについて説明する。
本発明で使用する炭素数が18〜24のアルキル基の(メタ)アクリレートエステル(単量体A)の好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記した中でも、保存安定性の向上をより高度に図るためには、前記単量体Aがベヘニル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
本発明で使用する単量体Bは、スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレートである。本発明で使用するコポリマーは、上記したような単量体A、B及びCを共重合して得られたものであればよいが、これらの単量体に加えて更にスチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート以外の芳香族を有する単量体を共重合させてなるものであってもよい。上記の中でも、保存安定性の向上をより高度に図るためには、スチレンを使用することが好ましい。
また、本発明で使用する単量体Cは、(メタ)アクリル酸である。本発明で使用するコポリマーは、上記したような単量体A、B及びCを共重合して得られたものであればよいが、これらの単量体に加えて更に(メタ)アクリル酸以外の酸性官能基を有する単量体を共重合させてなるものであってもよい。この場合に使用できる酸性官能基を有する単量体としては、下記のような酸性官能基を有するビニル化合物が挙げられる。例えば、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、イタコン酸、イコタン酸ハーフエステル、フマール酸、フマール酸ハーフエステル、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸等を、更に共重合させたものであってもよい。
さらに、単量体A、単量体Bの比率は、単量体A/単量体B=1/9〜9/1であることが好ましく、単量体A/単量体B=1/4〜4/1であることがさらに好ましく、単量体A/単量体B=1/1〜4/1が最も好ましい。単量体Aと単量体Bの比率が1/9より少ないと、コポリマーの疎水性が低くなり、顔料表面に対するコポリマーの付着力が低下し、インキの保存安定性が低下する傾向がある。単量体Aと単量体Bの比率が9/1より多いと、コポリマーの顔料表面との親和性が低くなり、顔料表面に対するコポリマーの付着力が低下し、インキの保存安定性が低下する傾向がある。
さらに、コポリマー全量中の単量体A、Bの合計量の比率は50〜70質量%が好ましく、単量体A、B、Cの合計量の比率は70〜100質量%が好ましい。
本発明のインキの構成成分として用いる上記のような単量体成分を用いて形成されるコポリマーは、重量平均分子量が2000〜30000の範囲であることが好ましく、更には、重量平均分子量が5000〜20000の範囲のものであることが好ましい。また、本発明のインキの構成成分であるコポリマーは、単量体Cとしてアクリル酸を共重合してなるが、コポリマーにおけるアニオン性官能基を有する単量体の構成比率を酸価で表すと下記のようであることが好ましい。即ち、使用するコポリマーの酸価が、50〜400mgKOH/gの範囲であることが好ましく、更には、酸価が80〜300mgKOH/gの範囲であることが好ましい。本発明で使用するコポリマーの酸価が上記した範囲よりも低いとインキの分散安定性が低下し、吐出安定性が悪化する傾向がある。また、本発明で使用するコポリマーの酸価が上記した範囲より高いと、顔料表面に対するコポリマーの付着力が低下し、インキの保存安定性が低下する傾向がある。尚、本発明におけるコポリマーやポリマーの重量平均分子量や酸価は、常法によって測定することができる。
本発明のインキは、含有するコポリマーを形成するためのアクリル酸や、前記した別途導入される酸性官能基を有する単量体をイオン化することで、顔料粒子の分散安定化を図ることができる。このために、インキ全体が中性又はアルカリ性に調整されたものであることが好ましい。但し、アルカリ性が強過ぎると、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、7〜10のpH範囲とするのが好ましい。この際に使用されるpH調整剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したようなコポリマーは、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
次に、コポリマーの製造方法について説明する。
コポリマーは、通常のアクリルの溶液重合により得られる。しかしながら、このとき溶剤に溶解しており、水性媒体中に分散または溶解させるためには、以下の方法がある。
一つ目の方法としては、水と共沸する溶剤中で重合し、その後、水とアミンを加えて中和し、水性化する。さらに、溶剤を水と共沸させ、溶媒は完全に水のみとする。
二つ目の方法としては、最終的にインキに含まれる水溶性溶剤を合成溶媒として重合する。その後、水とアミンを加えて中和し水性化するが、溶剤は取り除くことをせず、そのまま後述のプレミキシング、分散処理を行う。
一つ目の方法の合成溶媒としては、水と共沸するものであれば良いが、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールがあり、さらに好ましくは1-ブタノールがある。
二つ目の方法の合成溶媒としては、最終的にインキに含まれる水性溶媒であれば良いが、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
次に、本発明のインキが何故、印字性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性と保存安定性に優れるかを説明する。
まず印字性に優れる最大の理由は浸透性である。インクジェットインキではノズルを乾燥させるとインキを吐出することできなくなるため、保湿剤つまり高沸点の水溶性溶剤が必須である。しかしながら、高沸点の水溶性溶剤を含有すると、当然、乾燥は遅くなる。インクジェット専用基材に印字する場合なら、それでも十分に優れた印字性を得ることができる可能性があるが、一般の印刷基材である上質紙、コート紙(片面に20g/m2程度塗工した紙)、アート紙(片面に40g/m2程度塗工した紙)や塩化ビニルシートに印字する場合、乾燥が遅く、これが印字したドットとドットがつながり起こる印字ムラの原因になることがある。特に、水や溶剤の吸収が乏しいコート紙、アート紙や塩化ビニルシートの場合は、この傾向が得に顕著である。そこで、基材への浸透性が高い溶剤を使用することで、乾燥性を高めることが重要となる。樹脂の合成溶媒として使用可能なグリコールエーテル類、ジオール類はその性質も合わせ持ち、中でも(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類はその効果が非常に高い。これらは、インクジェットインキによく使用される溶剤であるグリセリンやジエチレングリコールなどに比べ、はるかに基材への浸透性が高い。つまり、これらの溶剤を使用することで、乾燥性が高くなり、印字ムラなどの問題が解消し、印字性が優れたものとなる
しかしながら、これらの溶剤には、顔料の分散性を低下させるという大きな問題がある。理由は定かではないが、これらの溶剤はグリセリンやジエチレングリコールに比べて、疎水性が高く、インキ中の溶媒の疎水性が高くなるために、顔料に吸着している分散樹脂が溶媒へ脱着しやすくなり、分散性が低下するものと考えられる。
特にインキの保存安定性では、これらの溶剤を使用すると、大きく増粘するもしくは分離する傾向にある。
そこで、分散樹脂の疎水性を高めることにより、分散性の低下を抑えることができる。すなわち、上記の浸透性の高い溶剤を使用することにより、水系であるとは言え、インキ中の溶媒の疎水性が高くなり、分散樹脂を溶解しやすくなることで、分散樹脂が顔料から溶媒へ脱着しやすく、分散性が低下するものと考えられる。この際、分散樹脂の疎水性を高めることで、溶媒への溶解性が低くなり、分散樹脂が顔料から溶媒へ脱着しにくくなる。
炭素数が18〜24のアルキル基の(メタ)アクリレートエステル(単量体A)を共重合することで、分散樹脂の疎水性が高くなり、分散性の低下を抑えることができる。また、疎水性が高くなることにより、分散以外の効果として耐薬品性が向上するという効果も得られる。
一方、分散樹脂の顔料への親和性を確保することで、分散樹脂の顔料への吸着を保持することができる。すなわち、分散樹脂の疎水性が高いだけでは、溶媒への脱着は抑えられても、それだけでは不十分であり、顔料への親和性を確保することで、顔料への吸着が保持できると考えられる。スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート(単量体B)を共重合することで、芳香環による顔料への親和性が確保でき、分散性をよりいっそう高めることができる。
分散樹脂に(メタ)アクリル酸を用いるのは、通常の分散樹脂と同様、イオン化した際の電荷反発のためである。顔料に吸着した分散樹脂が、(メタ)アクリル酸をイオン化した状態で有し、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、分散性が保たれるものと考えられる。
これらにより、浸透性の高い溶剤を使用することで、印字性とノズルからの吐出性に優れ、これらの溶剤を使用しても分散性が低下しない分散樹脂を使用することで、保存安定性に優れるインキを得ることができる。
本発明のインクにおいて、上記で説明したコポリマーは、インクの全質量に対して、0.1〜8質量%の範囲で含有させるのが好ましい。また、顔料とコポリマーの比率は顔料/コポリマー=20/1〜1/1が好ましく、より好ましくは10/1〜2/1の範囲である。
本発明のイエローインキではピグメントイエロー150を使用することで高い耐候性を実現している。一般的な印刷に使用される黄色顔料はアゾ顔料が多く、これは紫外線等により容易に分解され、印刷物の退色が起こる。しかし、ピグメントイエロー150は金属錯体顔料であり、顔料の分解が起こりにくいため極めて高い耐候性を保持している。
本発明のインキを形成する場合に好適な水性媒体は、水及び水溶性溶剤の混合溶媒であるが、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水と混合して使用される水溶性溶剤としては、グリコールエーテル類、ジオール類が良く、中でも(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオールが効果的である。前述したように、これらの溶剤は基材への浸透が非常に速い。コート紙、アート紙や塩化ビニルシートといった溶媒の吸収性の低い基材に対しても、浸透が速い。そのため、印字の際の乾燥が速く、正確な印字を実現することができる。また、沸点が高いため、保湿剤としての働きは十分である。
グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
グリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテル等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテルの中でも、両末端のアルキル基の炭素数の合計が2〜8のものを使用することが好ましく、炭素数4〜6のものがさらに好ましい。この範囲であれば濡れ、浸透により高い効果を発揮することが可能である。また、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテルの何れを使用しても濡れ、浸透には十分な効果を得ることができるが、インキ吸収の少ないポリ塩化ピニルシートのような難(非)吸収性基材に印刷を行う場合にはグリコールジアルキルエーテルをより好適に用いることができる。グリコールジアルキルエーテルは浸透性が非常に高く、難(非)吸収性基材に対しても浸透することでニジミ等が生じにくくなるため、良質な印刷物を得ることが可能となる。グリコールジアルキルエーテル系溶剤の中でも特にジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテルを用いるのが好ましい。
ジオール類の具体例としては、1, 2-プロパンジオール、1, 3-プロパンジオール、1, 2-ブタンジオール、1, 3-ブタンジオール、1, 2-ペンタンジオール、1, 5-ペンタンジオール、1, 2-ヘキサンジオール、1, 6-ヘキサンジオール、2-メチル-2, 4-ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも1, 2-プロパンジオール、1, 2-ブタンジオール、1, 2-ペンタンジオール、1, 2-ヘキサンジオールといった1, 2-アルキレンジオールを使用するのが好ましい。
これらの溶剤は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。特に(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテルとジオール類を併用することで高い濡れ、浸透性を発揮しつつ、高い保存安定性を保つことが可能となる。さらに印刷する基材の種類によっては、その溶解性の向上を目的に、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルオキサゾリジノン、N-エチルオキサゾリジノンなどの水溶性の含窒素複素環化合物を添加することもできる。
上 記したような水溶性有機溶剤のインキ中における含有量は、好適にはインキの全質量の10〜60質量%の範囲であり、より好ましくは10〜50質量%の範囲である。10質量%よりも少ないとインキが乾燥し吐出性に悪影響が出る可能性や、インキの基材への濡れ性が不十分となり画像形成に支障が出る場合がある。60重量%よりも多いと粘度が高くなり吐出性に影響がでる可能性があり、また、乾燥も遅くなり印刷画像滲みの原因となりうる。また、水の含有量としては、インキの全質量の10〜80質量%、更に好ましくは、30〜70質量%の範囲である。
さらに、本発明のインキは、水性の樹脂微粒子を含有することができる。水性の樹脂微粒子を含有することで、粘度はあまり上昇させずに、印字した塗膜の耐性を向上させることができる。これにより、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性などが向上する。水溶性の樹脂を添加しても、ある程度耐性の向上は期待できるが、粘度が上昇してしまう傾向にある。インクジェットインキの場合、ノズルからインキを吐出できる粘度にはある範囲があり、あまり粘度が高いとインクを吐出することができなくなることがあるため、粘度の上昇を抑えることは重要である。
本発明では水性の樹脂微粒子を定着樹脂として使用することで印刷物の耐性を高めることが可能である。水性インキの定着樹脂としては大別して水溶性樹脂と樹脂微粒子が知られているが、一般に樹脂微粒子は水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現することができる。また、樹脂微粒子はインキ粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をインキ中に配合することができることから、インクジェットインキの耐性を高めるのに適していると言える。樹脂微粒子の種類としてはアクリル系、ウレタン系、スチレンブタジエン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系等が挙げられる。
水性の樹脂微粒子のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで耐擦性、耐薬品性等の耐性を向上させることが可能であり、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の範囲である。50℃よりも低い場合には十分な耐性が得られず、実用にて印刷物から印刷が剥がれる場合がある。また、120℃よりも高い場合には塗膜が非常に硬くなり、印刷物を折り曲げた際に印刷面にワレ、ヒビが生じる場合がある。
上記したような水性の樹脂微粒子のインキ中における含有量は、固形分でインキの全質量の2〜30質量%の範囲であり、より好ましくは3〜20質量%の範囲である。
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全質量に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%が好適である。
本発明では上述したイエローインキの他に少なくともシアン、マゼンタ、ブラックのインキを組み合わせた4色以上のインキセットとしても利用することができる。イエローインキ以外のインキについては特に組成を限定するものではないが、顔料以外はイエローインキと同様の組成とすることが望ましい。同様の組成にすることで印刷時の乾燥速度や基材上での濡れ広がりを全色均一にし、印刷品質を向上させることができる。
イエロー以外の色の顔料を例示するとシアンの顔料としては、例えば、C. I. Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、 C. I. Vat Blue 4、6等が挙げられる。また、マゼンタ顔料としてはC. I. Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、120、122、147、149、150、168、177、178、179、202、206、207、209、238、242、254、255、269、C. I. Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
ブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40nm、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10質量%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGA330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex160IQ、Nipex170IQ、Nipex75、Printex85、Printex95、Printex90、Printex35、PrintexU(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
上述の中でもカラー顔料についてはシアン顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3、15:4、マゼンタ顔料としC. I. Pigment Red 120、202、C. I. Pigment Violet 19を用いるのが好ましい。これらを使用することで極めて高い耐候性、広い色域を実現できる。
本発明では上述した顔料の限定されるものではなく、その他の顔料を使用してオレンジ、グリーン、ホワイト等の特色も組み合わせたインキセットとして使用することができる。
上記したような成分からなる本発明のインキの作製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、コポリマーと、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインキとする。
尚、本発明で使用するコポリマーを、インキ中に良好に溶解させるためには、顔料分散液を作製する際に塩基を添加することが好ましい。このような形態とすれば、インキの分散安定性を向上させることができる。この際に使用する塩基類としては、下記のものが挙げられる。例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミンや、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基を好ましく使用できる。
顔料インキの作製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、少なくともコポリマーと水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、コポリマーは水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。特に分散処理においては、先述したようにコポリマーの合成溶媒とした水溶性溶剤と水の混合溶媒に、コポリマーが溶解もしくは分散している場合の方が、分散処理過程で安定な分散体を得ることができる場合がある。
本発明のインキは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
(製造例1)分散樹脂1の合成
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレングリコールモノメチルエーテル93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ベヘニルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV-601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V-601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、分散樹脂1の溶液を得た。分散樹脂1の重量平均分子量は約16000であった。さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、分散樹脂1の不揮発分20%の水性化溶液を得た。
(製造例2)分散樹脂2の合成
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ベヘニルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV-601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V-601和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、分散樹脂2の溶液を得た。分散樹脂2の重量平均分子量は約16000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し水性化した後、90℃以上に加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去した。内温が100℃に達すると、これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、分散樹脂2の不揮発分20%の溶剤を含まない水性化溶液を得た。
(製造例3〜15、比較製造例1〜7)
表1に記載した原料と仕込み量、反応温度を用いた以外は製造例1と同様にして合成を行い、分散樹脂3〜15、比較分散樹脂1〜7の溶液を得た。さらに、中和率100%になるようにジメチルアミノエタノールを添加し、製造例1と同様にして水性化し、分散樹脂3〜15、比較分散樹脂1〜7の水性化溶液を得た。
(定着樹脂製造例)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH-10(第一工業製薬製)0.2部とを仕込み、別途、2-エチルヘキシルアクリレート10部、メチルメタクリレート57部、スチレン30部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH-10(第一工業製薬製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。得られた樹脂微粒子水分散体を定着樹脂1とした。定着樹脂1の計算上のガラス転移点温度は80℃である。
(実施例1)分散体の製造及びインキの製造
顔料としてPigment Yellow 150を20部、分散樹脂1を20部、水60部をディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散体を得た。このとき、顔料と分散樹脂の不揮発分の比率は、顔料/分散樹脂(不揮発分) = 5/1となっている。
さらに、顔料分散体を20部、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを35部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5部、水40部を混合し、インキを作製した。
(実施例2〜18、比較例1〜16)
表2に記載した分散樹脂、顔料、溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして分散体の作製、インキの作製、評価を行った。
(実施例16〜31)
表2に記載した分散樹脂を用いて実施例1と同様にして分散体の作成を行い、顔料分散体20部、表2記載の溶剤、定着樹脂20部を混合しインキを作成した。
(保存安定性評価)
作成したインキの粘度をE型粘度計(東機産業社製TVE-20L)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。このインキを70℃の恒温機に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化を評価した。評価基準は下記のとおりであり、A、 B、 C評価が実用可能領域である。
A : 四週間保存後の粘度変化率が±10%未満
B : 二週間保存後の粘度変化率が±10%未満
C : 一週間保存後の粘度変化率が±10%未満
D : 一週間保存後の粘度変化率が±10〜20%
E : 一週間保存後の粘度変化率が±20%以上
(印刷物作成)
上記で調製したインクジェット用イエローインキを、25℃環境下でセイコーアイ・インフォテック社製ソルベントインクインクジェットプリンタColor Painter 64SPlusに充填し、基材を50℃に加温しながら画像を印刷した。基材にインキを塗布後、80℃、3分で加熱乾燥を行い、評価用印字物を得た。この印刷物を用いて耐候性評価、印刷品質の確認、耐性試験を行った。
(吐出性)
上記プリンタにて1m×1mのベタ印字を行い、印字前後でノズルチェックパターンを印字してノズル抜け本数をカウントし、その本数で評価を行った。
○:ノズル抜け無し
△:ノズル抜け1〜10本
×:ノズル抜け11本以上
(耐候性)
印刷基材としてPVCを使用して印刷を行ったサンプルを、スーパーキセノンウェザーメータSX75(スガ試験機製)を用いて放射照度160W、bp53℃、50%RH、照射+降雨サイクルモード(1サイクル120分、内18分降雨)の条件にて600時間耐候性試験を行い、試験前後での濃度変化を評価した。濃度はX-Rite製528分光濃度計を用い測定を行った。
○ : OD値低下率10%未満
× : OD値低下率10%以上
(印刷品質)
下記の基材に対して印刷したサンプルをルーペで観察し、ドットのつながりや色のムラなどを評価した。印刷品質が非常に良好なものは◎、良好なものは○、ある程度良好なものは△、良好でないものは×とした。
コート紙 : 王子製紙製OKトップコート+
PVC : メタマーク製MD-5
(耐性試験)
印刷基材としてPVCを使用して印刷を行ったサンプルを綿棒にエタノールを染み込ませたものでラビングし、耐性試験を行った。インキが剥がれ、下地が見えたラビング回数が51回以上のものは○、20〜50回のものは△、20回未満のものは×とした。
実施例では請求項の範囲内の顔料、分散樹脂、溶剤を使用することにより、高い保存安定性、吐出性、耐候性、印字品質、耐性を得ることが出来ている。実施例16〜30では定着樹脂として樹脂微粒子を使用することにより、さらに高い耐性を達成している。実施例21〜26では溶剤組成を調整することによりPVC上でも高い印刷品質を実現している。
一方、比較例1〜7では分散樹脂が請求項の範囲外であるため、インキの安定性を保てなく、吐出性も悪い。比較例8〜13ではピグメントイエロー150を使用していないため、耐候性が低い。比較例14〜16では溶剤組成が請求項の範囲外であるため印刷品質が低下している。このように本発明の範囲外では全ての評価項目を満足し、実用に耐えうる品質のインキとすることができないことが示されている。
Figure 0005760567
Figure 0005760567

Claims (8)

  1. 少なくともピグメントイエロー150、水溶性溶剤、水及び顔料分散樹脂を含有してなるインクジェット用顔料イエローインキにおいて、前記顔料分散樹脂が、下記の単量体A、単量体B及び単量体Cを共重合組成に含むコポリマー(共重合体)であることを特徴とし、
    コポリマー全量中の単量体A、B、Cの合計量の比率は70〜100質量%であり、
    前記水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするインクジェット用イエローインキ。
    単量体A:炭素数18〜24のアルキル基の(メタ)アクリレートエステル
    単量体B:スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート
    単量体C:(メタ)アクリル酸
  2. 前記顔料分散樹脂の酸価が50〜400mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用イエローインキ。
  3. 前記単量体Aがベヘニル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット用イエローインキ。
  4. 樹脂微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のインクジェット用イエローインキ。
  5. 前記グリコールエーテル類が(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテルである請求項1〜4いずれか記載のインクジェット用イエローインキ。
  6. 前記ジオール類が炭素数3〜6のアルカンジオールである請求項1〜5いずれか記載のインクジェット用イエローインキ。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のインクジェット用イエローインキと、少なくともシアン、マゼンタ、ブラックを含む4色以上のインキセット。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のインクジェット用インキ、もしくはインキセットを用いて印刷してなる印刷物。
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