JP2015173948A - 皮膚貼着テープもしくはシート - Google Patents

Abstract

【課題】皮膚面への良好な貼着性と、皮膚面から剥離除去する際の皮膚刺激を低減することができるとともに、透湿性に優れた皮膚貼着用テープもしくはシートを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の皮膚貼着用テープもしくはシートは、基材の少なくとも片面に粘着剤層を積層しており、前記粘着剤層が（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体、アルコキシ基含有エチレン不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン不飽和単量体を含む単量体混合物を共重合してなるアクリル系共重合体と、カルボン酸エステルとを含み、架橋処理が施されている。
【選択図】なし

Description

本発明は医療衛生分野に使用される皮膚貼着用テープもしくはシートに関する。

皮膚貼着用テープもしくはシートに用いられる粘着剤は、一般に皮膚面に対して確実に接着する必要があるので、ある程度皮膚接着力を高めに設定する必要がある。しかしながら、皮膚接着力を高めに設定すると、皮膚面から剥離する際に皮膚刺激が発現する可能性がある。また、長時間にわたって皮膚面に貼着すると皮膚面に痒みを生じさせたり、場合によっては各種皮膚炎を起こすこともある。

また、一般に皮膚面は不規則かつ複雑な構造であるので、該粘着剤は適用する皮膚面に完全に密着しがたいものである。このため、粘着剤を柔らかくすることによって、密着性を向上させることが考えられている。しかしながら、粘着剤を柔らかくすると粘着剤の凝集力が低下するので、皮膚貼着用テープもしくはシートを皮膚面から剥離除去するときに皮膚面に粘着剤が残留する場合があり、糊残りの原因となる。このように、皮膚面に貼付するための粘着剤では、粘着剤層の内部凝集力と皮膚接着力との微妙なバランスが要求される。

さらに、皮膚貼着用テープもしくはシートを皮膚面に貼付する際に、皮膚刺激の要因となる蒸れが生じやすいため、できるだけ透湿性の高いものが要望されている。しかしながら、従来の皮膚貼着用テープもしくはシートの透湿性は、未だ充分なレベルにあるとは言い難いものであった。

特開２００４−０９７７３０

本発明は、前記現状に鑑み、皮膚面への良好な貼着性と、皮膚面から剥離除去する際の皮膚刺激を低減することができるとともに、透湿性に優れた皮膚貼着用テープもしくはシートを提供することを目的とする。

本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、皮膚貼着用テープもしくはシートにおいて、粘着剤層が特定の単量体組成から得られるアクリル系共重合体と、カルボン酸エステルとを含み、架橋処理が施されていることにより、該粘着剤層に柔軟性と凝集性を付与することができるとともに、従来と比較してより高い透湿性を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。

前記知見に基づく本発明は、下記に示す通りである。
（１）基材の少なくとも片面に粘着剤層を積層してなる皮膚貼着用テープもしくはシートであって、該粘着剤層は、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体５〜３８重量％、アルコキシ基含有エチレン不飽和単量体６１〜９０重量％、カルボキシル基含有エチレン不飽和単量体１〜１０重量％を含む単量体混合物を共重合してなるアクリル系共重合体１００重量部と、室温でペースト状もしくは液状のカルボン酸エステル３０〜６０重量部とを含有し、架橋処理が施されていることを特徴とする皮膚貼着用テープもしくはシート。
（２）前記カルボン酸エステルが、飽和脂肪酸のグリセリンエステルである前記（１）に記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。
（３）前記飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、および２−エチルヘキシル酸からなる群より選ばれた少なくとも一種である前記（２）に記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。
（４）前記カルボン酸エステルが、カプリル酸トリグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、および２−エチルヘキサン酸トリグリセリルからなる群より選ばれた少なくとも一種である前記（１）〜（３）のいずれかに記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。

本発明によれば、皮膚面への優れた貼着性を有するとともに、皮膚面から剥離除去する際の皮膚刺激を低減することができる。また、高い透湿性を有し、貼着時の蒸れや痒みなどを抑制することができるので、長期間の貼着に対して有用である。

以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。

本発明は、皮膚貼着用テープもしくはシートを構成する粘着剤層が、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体５〜３８重量％、アルコキシ基含有エチレン不飽和単量体６１〜９０重量％、カルボキシル基含有エチレン不飽和単量体１〜１０重量％を含む単量体混合物を共重合してなるアクリル系共重合体１００重量部と、室温でペースト状もしくは液状のカルボン酸エステル３０〜６０重量部とを含有し、架橋処理が施されていることを特徴とする。

本発明におけるアクリル系共重合体を得るために用いる（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、粘着剤層に粘着性、皮膚接着性を付与する成分であり、特にアルキル基の炭素数が６以上、特にアルキル基の炭素数が６〜１８の長鎖アルキルエステルを用いると効果的である。また、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、ゴム系粘着剤と比較して不純物の混入が少なく、皮膚に対する刺激性が比較的少なく、しかも長期間の使用によっても粘着性の低下が起こりにくいという利点も有するものである。

このような（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、（メタ）アクリル酸のブチルエステル、プロピルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ドデシルエステル、ラウリルエステルなどを一種もしくは二種以上併用して用いることができる。なお、これらのアルキルエステル鎖は直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。

前記（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、後述する不飽和単量体と共重合することによって本発明に用いられるアクリル系共重合体を形成する。（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体は、重合される単量体成分中、５〜３８重量％であり、好ましくは１５〜３０重量％の割合で含有される。（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体含有量が５〜３８重量％であることにより、皮膚面への良好な貼着性を得ることができる。

前記（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合するアルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体は、得られる共重合体に水蒸気透過性を付与する成分である。このような不飽和単量体としては、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどの炭素数が１〜４のアルコキシ基を有するアルコキシアルキルアクリレートを用いることが好ましい。また、前記アルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体は、重合される単量体成分中、６１〜９０重量％であり、好ましくは６５〜８０重量％の割合で含有される。アルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体含有量が６１〜９０重量％であることにより、優れた透湿性を得ることができ、皮膚面への貼着時に蒸れや掻痒感などを抑制することができる。

また、本発明では前記アルコキシ基含有不飽和単量体に加えて、さらにカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を共重合することによって、得られる共重合体の凝集力が向上する。しかしながら、該単量体は多量に共重合すると内部凝集力の向上は期待できるが、皮膚刺激性が次第に強くなる。従って、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、重合される単量体成分中、１〜１０重量％であり、好ましくは３〜７重量％の割合で含有される。このようなカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。これらのうち、共重合性や取扱性などの点で好ましいカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸やメタクリル酸が挙げられる。

なお、本発明の粘着剤中に含有させるアクリル系共重合体としては、前記の各単量体の共重合体を用いることができるが、親水性の付与などの各種改質を行うための改質用単量体として、スチレンや酢酸ビニル、Ｎ−ビニル−２−ピロリドンなどの単量体を必要に応じて適宜共重合してもよいものである。

本発明におけるアクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの公知の重合方法により得ることができる。また、過酸化物系化合物やアゾ系化合物などのラジカル重合開始剤を用いて、ラジカル重合を行うことによって得ることができる。

アクリル系共重合体は、ガラス転移温度が２５０°Ｋ以下とすることが好ましい。つまり、ガラス転移温度を２５０°Ｋ以下にすることによって、皮膚貼着用テープもしくはシートを皮膚面へ貼付する際に充分な皮膚接着性を有するものとなる。 また、アクリル系共重合体の重量平均分子量を１００万以下、好ましくは５０〜９０万程度に調整することが好ましい。

アクリル系共重合体のガラス転移温度や重量平均分子量の調整は、アクリル系共重合体の重合条件（単量体種、単量体の配合比、固形分比、反応温度、反応時間など）を適宜コントロールして行うことができる。

本発明における粘着剤層は、前記アクリル系共重合体に、さらに室温でペースト状もしくは液状のカルボン酸エステルを必須成分として含有させたものである。前記アクリル系共重合体と共に粘着剤層中に含有させるカルボン酸エステルは、室温（２５℃）でペースト状もしくは液状を呈するものであり、粘着剤の低変形領域でのモジュラスを低下させ、皮膚面に対する良好な接着性を保ち、かつ剥離時に角質損傷が少なく、痛みも小さいという特性を付与するものである。なお、室温下で固形状のものでは、アクリル系共重合体と混合した場合、均一に分散や相溶しにくくなり、粘着特性にバラツキを生じる恐れがあるので好ましくない。

このようなカルボン酸エステルとしては、アクリル系共重合体に対して親和性や相溶性を示すものであって、具体的には、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、２−エチルヘキサン酸デシル、２−エチルヘキサン酸イソセチル、２−エチルヘキサン酸ステアリル、コハク酸ジオクチルなどの一価アルコールを用いたカルボン酸エステル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ２−エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリ２−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパンなどの二価以上の多価アルコールを用いたカルボン酸エステルを用いることができる。

これらのカルボン酸エステルのうち、酸化劣化が少ないものとして、脂肪酸中に不飽和結合を有さない飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルを用いることが、品質の安定性の点から好ましいものである。前記飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、２−エチルヘキサン酸などが好適に挙げられる。特に、カプリル酸トリグセリル、カプリン酸トリグリセリル、２−エチルヘキサン酸トリグリセリンエステルなどを用いることが好適である。

前記カルボン酸エステルは、その一種もしくは二種以上を併用してアクリル系共重合体と共に配合して粘着剤層を形成する成分である。粘着剤層中におけるカルボン酸エステルの含有量は、アクリル系共重合体１００重量部に対して３０〜６０重量部、好ましくは３５〜５５重量部の範囲に調整する。カルボン酸エステルの配合量が３０重量部未満だと、皮膚面に本発明の皮膚貼着用テープもしくはシートの粘着剤層を貼着した場合、皮膚面からの発汗を充分に粘着剤層が吸収できず、皮膚接着性の低下を招く恐れがある。また、カルボン酸エステルの配合量が６０重量部を超えると、粘着剤層が可塑化されすぎて皮膚接着力が大きく低下する場合がある。

本発明の皮膚貼着用テープもしくはシートにおける粘着剤層にはアクリル系共重合体およびカルボン酸エステルを必須成分として含有させるが、本発明の目的を逸脱しない範囲で、必要に応じて自体公知の可塑剤や軟化剤、充填剤、粘着付与剤、抗菌剤、殺菌剤などの各種添加剤を適宜配合してもよい。

本発明においては、架橋未処理のアクリル系共重合体に架橋処理を施すことが特徴である。このように、アクリル系共重合体に架橋処理を施すことにより、粘着剤層の凝集力向上と、良好な皮膚接着力を発現することができる。

この架橋処理としてはγ線照射、電子線照射などの物理的処理によるものの他、有機過酸化物、イソシアネート化合物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート化合物、エポキシ系化合物、一級アミノ基含有化合物などによる化学的架橋処理が挙げられる。化学的架橋処理の具体例としては、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、トリレンジイソシアネート、ヘキサモチレンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのエポキシ系化合物、アルミニウムトリス（アセチルアセトネート）、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどの金属キレート化合物が挙げられる。これらのうち、架橋反応性や取扱容易性の点から、イソシアネート化合物、金属アルコラート、金属キレート化合物を用いることが好ましい。このような架橋処理を行うことにより、粘着剤層の柔軟性と凝集力のバランスを好適に調整することができるとともに、粘着剤層成分を確実に保持することができるので、粘着剤層成分のしみ出しや糊残りを抑制することができる。

粘着剤層の厚みは、１０〜６０μｍ程度とすることが好ましい。厚みが１０μｍに満たない場合には、皮膚に貼付する際に充分な皮膚接着性を発揮できない場合があり、また、６０μｍを超えた厚みでは、粘着シート全体として充分な水蒸気透過性を得ることができず、長期間の貼付で皮膚刺激性を発現する場合がある。

本発明に用いられる基材としては、貼着時における柔軟性を損なうことなく、機械的強度を有するものであれば、特に限定されるものではなく、種々の材料からなる種々の構造のものを用いることができる。構造に関しては、織布、不織布、編布、紙などの繊維の集合体類、および多孔性フィルム、透気性フィルムなどのフィルム類などのシート状物が例示される。これらのうち、貼着部位の曲面になじみ易い適度の伸縮性を有するものが特に好ましい。基材としては、シート状物単層でもよいし、シート状物の積層体であってもよい。材質に関しては、ポリエーテルウレタンやポリエステルウレタンなどのポリウレタン系ポリマー、ポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのアミド系ポリマー、ポリアクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン／酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステルなどのポリエステル系ポリマーなどが挙げられる。また、これらの基材は皮膚面への貼付時に蒸れや白化などを生じないようにするために、不織布などの布帛や、水蒸気透過性を有する材質のポリマーから選択することが好ましく、例えばウレタン系やアミド系のシート状物を用いることが好適である。

基材には、貼付中の蒸れや痒みの防止の点から孔を形成させてもよい。基材に形成する孔は、金属ロール、穿孔機、レーザー照射などの公知の多孔化技術を施すことによって簡単に得ることができる。また、本発明の皮膚貼着テープもしくはシートにおいて、基材に孔を形成させる方法としては、基材自体に孔を形成させた後粘着剤層を積層してもよいし、基材に粘着剤層を積層した後、孔を形成させてもよい。なお、基材に粘着剤層を積層した後、孔を形成させた場合は、基材と粘着剤層とを貫通する孔が形成される。

基材の厚みは、材質、用途などによって適宜、決定することが好ましいが、通常、フィルムを基材とする場合には、３〜３０μｍが好ましく、５〜２０μｍがさらに好ましい。また、織布や不織布などの布帛や紙などを基材とする場合には、絶対厚みを測定することが困難な場合もあるので、坪量は１０〜１００ｇ／ｍ^２が好ましく、２０〜６０ｇ／ｍ^２がより好ましい。

本発明の皮膚貼着用テープもしくはシートには、通常、粘着剤層の露出表面には、表面にシリコーン処理などの剥離処理を施した剥離シートを仮着しておくことが一般的である。

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。

（実施例１）
アクリル酸イソノニル３０部、アクリル酸２−メトキシエチル６５部、アクリル酸５部からなる単量体混合物を、トルエン１００部に均一に溶解混合し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル０．２部を添加して共重合反応を行った。

得られたアクリル系共重合体１００部に対して、カプリル酸トリグリセリル６０部、架橋剤としての三官能性イソシアネート化合物（商品名コロネートＨＬ、日本ポリウレタン社製）０．１３部をトルエン中にて配合して均一な粘着剤溶液を作製した。

次に、この溶液を剥離処理した剥離シートの剥離処理面に、乾燥後の厚みが１５μｍとなるように塗布し、１２０℃で３分間乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、作製した粘着剤層をポリエーテル系ポリウレタンフィルム（厚み１５μｍ）の片面に転写して貼り合わせ、６０℃で７２時間熟成し、本発明の皮膚貼着テープを得た。

（実施例２）
実施例１において、カプリル酸トリグリセリルを４５部とした以外は、実施例１と同様にして本発明の皮膚貼着テープを得た。

（実施例３）
実施例１において、カプリル酸トリグリセリルを３０部とした以外は、実施例１と同様にして本発明の皮膚貼着テープを得た。

（比較例１）
実施例１において、カプリル酸トリグリセリルを添加しなかった以外は、実施例１と同様にして皮膚貼着テープを得た。

（比較例２）
実施例１において、アクリル系共重合体を、アクリル酸イソノニル６５部、アクリル酸２−メトキシエチル３０部、アクリル酸５部からなる単量体混合物を、トルエン４０部に均一に溶解混合して共重合反応を行って得られた共重合体とした以外は、実施例１と同様にして皮膚貼着テープを得た。

各実施例および比較例にて得られた皮膚貼着テープについて、以下の試験を行い、その結果を表１に示した。

（皮膚粘着力）
ボランティア４人の前腕部に、幅２０ｍｍ×長さ６０ｍｍの矩形状に裁断した粘着シートを１ｋｇのローラーで１往復して圧着貼着した。この状態で、室温で６時間経過した後、１８０度方向に、速度３００ｍｍ／分の引き剥がし速度で粘着シートを剥離し、その際の剥離力を測定した。ボランティア５人の剥離力の平均値をとり、これを皮膚粘着力の値として算出した。

（剥離時の皮膚刺激（痛み））
前記の皮膚粘着力において、粘着シートを剥離する際の皮膚刺激（痛み）の程度を、皮膚刺激が無いものを５、皮膚刺激が著しいものを１として、５段階で評価し、ボランティア４人の平均値を算出した。評価点が小さいほど皮膚刺激（痛み）が著しいことを示している。

（透湿度試験）
１０ｍｌの蒸留水を内径４０ｍｍ、高さ４０ｍｍのガラス製容器（秤量びん）に入れ、直径５０ｍｍの円形に裁断した皮膚貼着テープを、粘着剤層を下向きにして容器の口に貼り付け、固定した。皮膚貼着テープを固定した容器全体の重量（Ｗ１）を測定した後、これを４０℃、相対湿度３０％Ｒ．Ｈ．の恒温恒湿機中に入れ、２４時間放置後の重量（Ｗ２）を測定した。透湿度を、以下の式に基づいて算出した。なお、各実施例および比較例にて得られた皮膚貼着テープにつき、同様の試験を３回行い、その平均値を算出した。
透湿度(ｇ／ｍ^２・２４ｈ)＝（Ｗ１−Ｗ２）／（０．０２×０．０２×π）

本発明における皮膚貼着テープもしくはシート全体としての透湿度は、２５００ｇ／ｍ^２ ・２４ｈ以上が好ましい。人の皮膚面に貼付した場合、個人差や貼付部位によっても異なるが、２５００ｇ／ｍ^２ ・２４ｈ以上の透湿度を有することにより、発汗量が多い部位などに貼付したとしても、充分な透湿性を発揮することができ、皮膚面の蒸れや白化などを抑制することができる。

表１の結果から明らかなように、実施例品は透湿度が高い水準にあり皮膚面の蒸れや白化を低減する効果を有するとともに、剥離時の粘着力と皮膚刺激（痛み）が抑えられ、良好な剥離性を有するものであった。一方、比較例品はいずれも剥離時の粘着力が高く、皮膚刺激（痛み）が生じる可能性のあるものであった。また、比較例２品は透湿度が若干低い水準にあり、夏場の蒸し暑い時期に貼付したり発汗量が多い部位などに貼付した場合には、皮膚面の蒸れや白化などが生じるおそれのあるものであった。

Claims (4)

1. 基材の少なくとも片面に粘着剤層を積層してなる皮膚貼着用テープもしくはシートであって、該粘着剤層は、（メタ）アクリル酸アルキルエステル単量体５〜３８重量％、アルコキシ基含有エチレン不飽和単量体６１〜９０重量％、カルボキシル基含有エチレン不飽和単量体１〜１０重量％を含む単量体混合物を共重合してなるアクリル系共重合体１００重量部と、室温でペースト状もしくは液状のカルボン酸エステル３０〜６０重量部とを含有し、架橋処理が施されていることを特徴とする皮膚貼着用テープもしくはシート。
2. 前記カルボン酸エステルが、飽和脂肪酸のグリセリンエステルである請求項１に記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。
3. 前記飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、および２−エチルヘキシル酸からなる群より選ばれた少なくとも一種である請求項２に記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。
4. 前記カルボン酸エステルが、カプリル酸トリグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、および２−エチルヘキサン酸トリグリセリルからなる群より選ばれた少なくとも一種である請求項１〜３のいずれか１項に記載の皮膚貼着用テープもしくはシート。