JP2015173755A - 穿刺部材 - Google Patents

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Nao Yokoi
奈央 横井
政克 川浦
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政克 川浦
侑右 高橋
Yusuke Takahashi
侑右 高橋
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Abstract

【課題】生体組織支持用留置物を生体内に埋設する手技を安全に行うことのできる穿刺部材を提供する。【解決手段】穿刺部材3は、針体39と、針体39の基端側に位置し、針体39に離脱可能に連結されたスタイレット321と、スタイレット321と並んで設けられたプッシャーシャフト33とを有する軸部300と、スタイレット321の先端部に設けられ、プッシャーシャフト33をスライド可能に保持するとともに、スタイレット321とプッシャーシャフト33との相対的位置関係を規制する先端チップ34とを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、穿刺部材に関するものである。
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれる帯状の生体組織支持用留置物を用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣の間を剥離し、穿刺針等を用いて、その剥離した部位と外部とを閉鎖孔を介し連通させる。そして、このような状態で、スリングを体内に留置する。
しかしながら、膣を切開してしまうと、その切開により生じた傷口からスリングが膣内に露出してしまう虞や、前記傷口から感染してしまう等の合併症が生じる虞がある。また、膣を切開するので、侵襲が大きく、患者への負担が大きいという欠点がある。また、術者による手技の最中に尿道等を損傷する虞があり、また、術者自身も指先を損傷する虞がある。
特開2010−99499号公報
本発明の目的は、生体組織支持用留置物を生体内に埋設する手技を安全に行うことのできる穿刺部材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。また、下記(12)〜(42)であることが好ましい。
(1) 針体と、
前記針体の基端側に位置し、前記針体に離脱可能に連結された第1の軸部と、前記第1の軸部と並んで設けられた第2の軸部と、を有する軸部と、
前記第1の軸部の先端部に設けられ、前記第2の軸部をスライド可能に保持するとともに、前記第1の軸部と前記第2の軸部との相対的位置関係を規制する連結部と、を有することを特徴とする穿刺部材。
(2) 前記連結部は、該連結部の近傍において前記第1の軸部と前記第2の軸部の離間距離を所定距離以内に維持する上記(1)に記載の穿刺部材。
(3) 前記連結部は、前記第2の軸部の延在方向に離間して設けられた少なくとも一対の挿通孔を有し、前記一対の挿通孔に前記第2の軸部が挿通され、
前記一対の挿通孔の間にて前記第1の軸部と前記第2の軸部の離間距離が前記所定距離以内に維持されている上記(2)に記載の穿刺部材。
(4) 前記連結部は、初期状態から前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動し、前記軸部が延長された延長状態となった後に、前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して先端側へ相対移動するのを規制する上記(3)に記載の穿刺部材。
(5) 前記連結部は、前記延長状態となった後に、前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動するのを許容し、
前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動することで、前記連結部が前記第2の軸部から離脱する上記(4)に記載の穿刺部材。
(6) 前記連結部および前記第2の軸部の一方に設けられ、前記第2の軸部の基端側を向く当接面と、他方に設けられ、前記当接面に前記基端側から当接する当接部とを有し、前記延長状態において前記当接面と前記当接部とが当接または対向する上記(4)または(5)に記載の穿刺部材。
(7) 前記連結部に当接部が設けられ、
前記第2の軸部に前記当接面が設けられている上記(6)に記載の穿刺部材。
(8) 前記当接部は、前記一対の挿通孔の間に位置している上記(7)に記載の穿刺部材。
(9) 前記連結部は、扁平形状を有する部分を有している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の穿刺部材。
(10) 前記軸部が挿入される管状の医療用チューブを有し、
前記医療用チューブは、短軸および長軸を有する偏平の横断面形状をなし、
前記第1の軸部および前記第2の軸部は、前記医療用チューブ内にて前記医療用チューブの長軸方向に沿って並設されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の穿刺部材。
(11) 前記医療用チューブの先端部に前記針体が接続されている上記(10)に記載の穿刺部材。
(12) 生体を穿刺する針体と、
前記針体の基端側に位置し、前記針体と共に生体内へ挿入される第1の軸部を有する軸部と、
前記第1の軸部の先端部に設けられ、前記第1の軸部と前記針体とを離脱可能に連結する連結部と、を有することを特徴とする穿刺部材。
(13) 前記針体が前記生体内に位置している状態で前記第1の軸部が基端側へ移動すると、前記第1の軸部と連結した状態を維持したまま前記針体が前記第1の軸部と共に基端側へ移動する上記(12)に記載の穿刺部材。
(14) 前記第1の軸部の基端側への移動を許容しつつ、前記針体の基端側への移動を規制する規制部を有し、
前記規制部によって前記針体の基端側への移動が規制された状態で、前記第1の軸部が基端側へ移動すると前記針体と前記第1の軸部とが離脱する上記(12)または(13)に記載の穿刺部材。
(15) 前記針体および前記連結部の一方に突起が設けられ、他方に前記突起と連結する連結孔が設けられ、
前記突起を前記連結孔に挿入することで、前記第1の軸部と前記針体とが連結される上記(12)ないし(14)のいずれかに記載の穿刺部材。
(16) 前記突起は、弾性変形によって自然状態に対して縮幅可能な弾性変形部を有し、
前記連結孔は、前記自然状態での弾性変形部よりも小さい幅の導入部と、前記導入部の奥側に位置し、前記導入部よりも大きい幅の拡幅部と、を有し、
前記拡幅部内に前記弾性変形部が位置することで、前記第1の軸部と前記針体とが連結する上記(15)に記載の穿刺部材。
(17) 連結部は、扁平形状を有する部分を有している上記(16)に記載の穿刺部材。
(18) 前記軸部は、前記第1の軸部と、前記第1の軸部に対してスライド可能な第2の軸部とを有し、前記第1の軸部と前記第2の軸部とがスライドすることで延長可能となっている上記(12)ないし(17)のいずれかに記載の穿刺部材。
(19) 前記軸部が挿入された管状の医療用チューブを有し、
前記医療用チューブの先端部に前記針体が接続されている上記(12)ないし(18)のいずれかに記載の穿刺部材。
(20) 前記医療用チューブは、外管と、前記外管内に配置され、前記外管に対してスライド可能な内管とを有し、前記外管と前記内管とがスライドすることで延長可能となっており、
前記内管の先端部に前記針体が接続されている上記(19)に記載の穿刺部材。
(21) 針体と、
前記針体の基端側に位置し、前記針体に離脱可能に連結された第1の軸部と、前記第1の軸部にスライド可能に連結された第2の軸部と、を有する軸部と、
前記第1の軸部の基端側への移動を許容しつつ、前記第2の軸部の基端側への移動を規制する規制状態とする規制部と、
前記軸部を支持する支持部と、を有することを特徴とする穿刺装置。
(22) 前記規制部は、初期状態では前記支持部に対して移動可能であり、前記支持部に固定されることで前記規制状態となる上記(21)に記載の穿刺装置。
(23) 前記初期状態から前記第1の軸部および前記第2の軸部が共に先端側へ移動すると、前記規制部が前記支持部に固定される上記(22)に記載の穿刺装置。
(24) 前記規制部は、前記第1の軸部にスライド可能に連結されている上記(23)に記載の穿刺装置。
(25) 前記第1の軸部の基端部に連結され、前記第1の軸部の基端側からの前記規制部の離脱を規制する連結部を有し、
前記規制部は、前記連結部に押圧されることで、前記第1の軸部と共に先端側へ移動する上記(24)に記載の穿刺装置。
(26) 前記規制部および前記支持部の一方に設けられた雄型係合部と、他方に設けられた雌型係合部とを有し、
前記雄型係合部と前記雌型係合部とが係合することで、前記規制部が前記支持部に固定される上記(21)ないし(25)のいずれかに記載の穿刺装置。
(27) 前記軸部が挿入される管状の医療用チューブを有している上記(21)ないし(26)のいずれかに記載の穿刺装置。
(28) 前記規制部は、前記医療用チューブの基端側に位置し、前記規制状態で前記医療用チューブの基端部と当接する上記(27)に記載の穿刺装置。
(29) 前記医療用チューブは、外管と、前記外管内に配置され、前記外管に対してスライド可能な内管とを有し、前記外管と前記内管とがスライドすることで延長可能となっている上記(27)または(28)に記載の穿刺装置。
(30) 管状の医療用チューブと、
前記医療用チューブの先端部に接続された針体と、を有し、
前記針体は、拡幅部を有し、
前記拡幅部の幅は、前記医療用チューブの先端部の幅よりも大きいことを特徴とする穿刺部材。
(31) 前記針体は、前記漸減部の基端側に、前記医療用チューブの先端部と当接する当接面を有している上記(30)に記載の穿刺部材。
(32) 前記医療用チューブは、外管と、前記外管内に配置され、前記外管に対してスライド可能な内管と、を有し、前記外管と前記内管の少なくとも一方に前記当接面を有している上記(31)に記載の穿刺部材。
(33) 前記医療用チューブは、前記外管と前記内管とがスライドすることで延長可能となっている上記(32)に記載の穿刺部材。
(34) 前記外管の先端部は、前記医療用チューブの内側へ向けて傾斜している上記(32)または(33)に記載の穿刺部材。
(35) 前記拡幅部の幅は、前記外管の先端部の幅よりも大きく、
前記外管の先端部の幅は、前記内管の先端部の幅よりも大きい上記(32)ないし(34)のいずれかに記載の穿刺部材。
(36) 前記針体は、前記拡幅部を有する針部と、前記針部の基端側に位置する基端部と、を有し、前記基端部が前記医療用チューブに挿入されている上記(30)ないし(35)のいずれかに記載の穿刺部材。
(37) 前記拡幅部は、生体組織を剥離可能である上記(30)ないし(36)のいずれかに記載の穿刺部材。
(38) 前記針体は、先端と基端の間に、その先端側および基端側よりも幅が大きい前記拡幅部を有している上記(30)ないし(37)のいずれかに記載の穿刺部材。
(39) 前記針体は、前記拡幅部よりも基端側に位置し、幅が先端側へ向けて漸増する幅漸増部を有している上記(30)ないし(38)のいずれかに記載の穿刺部材。
(40) 前記針体は、短軸および長軸を有する偏平の横断面形状を有している上記(30)ないし(39)のいずれかに記載の穿刺部材。
(41) 前記針体の横断面形状は、前記長軸の中心部が膨らんだ紡錘形状である上記(40)に記載の穿刺部材。
(42) 前記医療用チューブに挿入された長尺な軸部を有し、
前記軸部と前記針体とが離脱可能に接続されている上記(30)ないし(41)のいずれかに記載の穿刺部材。
本発明によれば、第1の軸部と第2の軸部とをスライドさせることで、軸部を延長することができる。また、規制部によって軸部を延長した状態を維持することができる。そのため、穿刺部材を、生体を穿刺するのに十分な長さとすることができ、生体組織支持用留置物を生体内に埋設する手技をスムーズにかつ安全に行うことができる。
インプラントの一例を示す斜視図である。 好適な実施形態に係る穿刺装置を示す斜視図である。 図2に示す穿刺装置の側面図である。 図2に示す穿刺装置が有する穿刺部材の平面図(断面図)である。 図4の部分拡大図である。 図4に示す穿刺部材が有するシースの図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)中のA−A線断面図である。 図4中のC−C線断面図である。 図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。 図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。 図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。 図2に示す穿刺装置が備えるフレームの固定部の平面図である。 図2に示す穿刺装置が有する挿入具の側面図である。 穿刺部材と閉鎖孔(骨盤)との位置関係を示す図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。 図12に示す膣挿入具が有する先端部の上面図である。 (a)が膣壁の形状の一例を示す断面図、(b)が(a)に示す膣内に膣挿入部を挿入した状態を示す断面図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。 図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。
以下、本発明の穿刺部材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、インプラントの一例を示す斜視図である。図2は、好適な実施形態に係る穿刺装置を示す斜視図である。図3は、図2に示す穿刺装置の側面図である。図4は、図2に示す穿刺装置が有する穿刺部材の平面図(断面図)である。図5は、図4の部分拡大図である。図6は、図4に示す穿刺部材が有するシースの図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)中のA−A線断面図である。図7は、図4中のC−C線断面図である。図8は、図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。図9は、図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。図10は、図4に示す穿刺部材の動作を説明する平面図(断面図)である。図11は、図2に示す穿刺装置が備えるフレームの固定部の平面図である。図12は、図2に示す穿刺装置が有する挿入具の側面図である。図13は、穿刺部材と閉鎖孔(骨盤)との位置関係を示す図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。図14は、図12に示す膣挿入具が有する先端部の上面図である。図15は、(a)が膣壁の形状の一例を示す断面図、(b)が(a)に示す膣内に膣挿入部を挿入した状態を示す断面図である。図16ないし図25は、それぞれ、図2に示す穿刺装置の操作手順を説明するための図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図3中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」とも言う。また、図2、図3および図4は、それぞれ、まだ使用されていない状態(手技を始めるときの状態)を示し、以下では、説明の便宜上、この状態を「初期状態」とも言う。また、説明の便宜上、図2および図3に示す穿刺装置が患者に装着された状態を「装着状態」とも言う。
1.インプラント
まず、穿刺装置によって生体内に埋設されるインプラント(生体組織支持用留置物)9の一例について説明する。
図1に示すインプラント9は、女性の尿失禁の治療のための生体内に埋設可能な器具である。具体的には、インプラント9は、尿道を支持する器具、例えば、尿道が膣壁側に移動しようとしたときに、その尿道を膣壁から離間する方向への移動を規制するように支持する器具である。このようなインプラント9としては、例えば、可撓性を有する長尺物を用いることができる。
図1に示すように、インプラント9は、インプラント本体91と、インプラント本体91の片端に連結された帯(連結部)92とを有している。なお、帯92に替えて、例えば、ガイドワイヤ、紐、糸等を用いてもよい。インプラント本体91は、網状をなし、その全体形状は、帯状である。インプラント本体91は、例えば、線状体を交差させて網状に編んだもの、すなわち、網状の編組体で構成することができる。線状体としては、例えば、その横断面形状が円形のものや、横断面形状が扁平形状のもの、すなわち帯状のもの等が挙げられる。
インプラント本体91、帯92および包材90の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等のような生体適合性を有する各種樹脂材料、繊維等を用いることができる。
このような構成のインプラント9は、未使用状態で滅菌された包材90に収容されている。これにより、インプラント9の汚染を防止することができる。
以上、インプラント9について説明したが、インプラント9としては、同様の効果を発揮することができれば、前記網状のものに限定されない。
2.穿刺装置
図2および図3に示す穿刺装置1は、前述したインプラント9を生体内に埋設するのに用いる装置である。
図2および図3に示すように、穿刺装置1は、フレーム2と、挿入具6と、穿刺部材3とを備えており、フレーム2に穿刺部材3と、挿入具6とが支持されている。また、挿入具6は、尿道挿入具4と、膣挿入具5とを有している。
以下、これら各部について順に説明する。
≪穿刺部材≫
穿刺部材3は、生体を穿刺する部材である。図4に示すように、穿刺部材3は、操作部材31と、操作部材31に装着される長尺なシース(医療用チューブ)30と、シース30の先端側に設けられた針体39と、シース30の基端側に設けられたスライドロック部(規制部)38と、を有している。以下、シース30、針体39、操作部材31およびスライドロック部38について順番に説明する。
−シース−
図4ないし図6に示すように、シース30は、円弧状に湾曲した湾曲形状をなしている。また、シース30は、管状であり、シース30の内側は、操作部材31(後述するスタイレット321およびプッシャーシャフト33)を挿入する空間およびインプラント9を挿入する空間として機能する。
図4に示すように、シース30は、外管301と、外管301内に挿入されている内管302とを有し、内管302が外管301に対してスライド可能となっている。そのため、内管302は、外管301内に退避した初期状態から、外管301の先端側開口から突出することができる。これにより、延長可能なシース30が得られる。また、内管302は、外管301の先端側開口から離脱可能となっている。これにより、シース30を外管301と内管302とに分割することができ、生体内に配置したシース30を生体から取り除き易くなる。なお、外管301に対する内管302の摺動性を高めるために、内管302の外表面に低摩擦処理を施してもよい。また、内管302は、外管301の先端側へスライド可能であれば、基端側へスライドできなくてもよい。すなわち、シース30は、初期状態から延長することができれば、延長した状態から収縮することができなくてもよい。
また、図4に示すように、外管301の基端部には、体表面Hに当接する当接部301bが設けられている。当接部301bは、外管301から突出して設けられた突出片で構成されている。この当接部301bは、穿刺部材3(シース30)を生体に穿刺したときに体表面Hに当接し、それ以上の外管301の生体内への挿入を阻止するストッパーとして機能する。これにより、外管301の基端側開口が生体内に埋没して、隠れてしまうのを防止することができる。
また、図5に示すように、外管301の先端部301aは、内側(中心軸側)へ向けて傾斜する傾斜面となっており、先端側に向けて縮径(縮幅)するテーパー状をなしている。そして、外管301の先端部301aは、内管302の外周との間に実質的に隙間が形成されないように、内管302の外周と密接している。これにより、穿刺部材3を生体へ穿刺する際に、生体組織が外管301と内管302の間に侵入し難くなるため、外管301に対する内管302の摺動性の低下が抑制され、内管302を外管301に対してスムーズにスライドさせることができる。
また、次のような効果もある。穿刺部材3を生体へ穿刺すると、針体39に図5中矢印方向の応力F1が加わり、この応力F1の大きさや外管301の硬さ等によっては、外管301の先端部301aが変形する場合がある。本実施形態のように、予め外管301の先端部301aを内側に傾斜させておけば、応力F1を受けた際、さらに内側へ撓むように変形する。これに対して、先端部301aがストレート状になっていると、応力F1を受けた際、内側へ撓むように変形する場合もあるが、外側へ拡径するように変形する場合もある。外側へ変形してしまうと、外管301の先端部301aが針体39より外側にはみ出してしまい、はみ出した部分が生体組織に引っ掛かる場合がある。はみ出した部分が生体組織に引っ掛かってしまうと、穿刺部材3の穿刺抵抗が増大して、スムーズな穿刺が阻害されるおそれがある。したがって、本実施形態のように、先端部301aをテーパー状とすることが好ましい。
このようなシース30の中心角は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、針体39が、患者の一方の鼠蹊部から体内に入り、一方の閉鎖孔、尿道と膣の間、他方の閉鎖孔を順に通過して、他方の鼠蹊部から体外に突出することができるように設定される。具体的には、中心角は、図6(a)や図21に示すような、内管302を外管301から突出させた延長状態において、150°〜270°程度であることが好ましく、170°〜250°程度であることがより好ましく、190°〜230°程度であることがさらに好ましい。
また、図6(b)に示すように、シース30は、短軸J31および長軸J32を有する扁平な横断面形状を有している。このように、シース30の断面を扁平形状とすることで、シース30内でインプラント本体91の幅方向をシース30の幅方向に揃えることができ、インプラント本体91を所望の姿勢に制御することができる。なお、シース30の扁平形状としては、特に限定されず、例えば、楕円形、断面凸レンズ形状、角部が丸みを帯びたひし形、角部が丸みを帯びた長方形(平ら形状)、中央部が両端部よりも拡大した(拡径した)紡錘形等とすることができる。
また、シース30の内部空間の幅(長軸J32方向の長さ)は、インプラント本体91の幅とほぼ同じに設計されている。これにより、インプラント9とシース30との摩擦抵抗が低くなり、インプラント9に不要な力が掛からず、インプラント本体91を十分に展開した状態でシース30内に配置することができる。ただし、シース30の内部空間の幅は、インプラント本体91の幅よりも短くてもよい。この場合は、シース30の幅を抑えられるため、より低侵襲な穿刺部材3となる。
なお、以下では、説明の便宜上、図6(b)に示すように、長軸J32方向の内側(中心に対して近位な側)に位置する端部を「内周部A1」とも言い、長軸J32方向の外側(中心に対して遠位な側)に位置する端部を「外周部A2」とも言い、図中上側に向く面を「表面A3」とも言い、下側に向く面を「裏面A4」とも言う。
図6(b)に示すように、シース30の円弧の中心点とシース30の長手方向に対する横断面形状の中心点の両方を含む面(シース30の中心軸を含む面)を平面f9とし、この平面f9と中央部S4での短軸J31とのなす角を傾斜角θ1としたとき、傾斜角θ1は、鋭角であるのが好ましい。傾斜角θ1を鋭角とすることで、後述するように、インプラント本体91を尿道とほぼ平行に配置することができる。そのため、尿道をより効果的に支持することができる。
傾斜角θ1としては、鋭角であれば特に限定されないが、例えば、20°〜60°程度であるのが好ましく、30°〜45°であるのがより好ましく、35°〜40°程度であるのがさらに好ましい。これにより、上述の効果がより一層向上する。なお、傾斜角θ1の上記数値範囲は、少なくとも中央部S4にて満足しているのが好ましく、シース30の延在方向のほぼ全域で満足しているのがより好ましい。ここで、「中央部S4」とは、図6(a)に示すような延長状態のシース30を生体内に配置した状態において、少なくとも、尿道と膣との間に位置する部位を含む領域を言う。
このようなシース30の構成は、次のように言い換えることもできる。すなわち、図6(b)に示すように、シース30は、円弧の中心軸J5に対して長軸J32が傾斜するように形成されており、中心軸J5と長軸J32の延長線J32’が交点Pを有するように構成されているとも言える。この場合、中心軸J5に対する延長線J32’の傾斜角θ5が傾斜角θ1と等しくなる。また、別の言い方をすれば、図6(b)に示すように、シース30は、中心軸J5(軸J1)方向から見た平面視にて、その内周縁に位置し最少曲率半径r1を有する内周部A1と、外周縁に位置し最大曲率半径r2を有する外周部A2とを備え、内周部A1と外周部A2とが中心軸J5方向にずれて位置するように構成されているとも言える。
また、シース30は、光透過性を有しており、外部から内部が視認可能になっているのが好ましい。これにより、例えば、シース30の内部に挿入された部材の状態等を外部から簡単に確認することができる。
また、シース30(外管301および内管302)の構成材料としては、特に限定されないが、体内に挿入された状態で形状や内部空間を維持できるような硬質材料が好ましい。このような硬質材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレン等の各種樹脂材料やステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料等を用いることができる。なお、シース30の構成として、硬質材料以外の材料を採用する場合は、例えば、壁を補強部材で補強することでも達成される。例えば、高強度の編組体をシース30内に埋め込むことにより、体内に挿入された状態で形状や内部空間を維持することができる。また、補強部材の他の例としては、シース30に螺旋状物を埋め込むことによりインプラント9が摺動可能な程度に内部空間を保持しつつ、さらに可撓性を備えることが可能となる。
−針体−
図5に示すように、針体39は、先端が先細りした針部391と、針部391の基端側に設けられた基端部392と、針部391と基端部392との境界部に設けられた当接面393とを有している。そして、基端部392をシース30の内管302の先端部に嵌入することで、針体39は、シース30の先端部に離脱可能に接続されている。このように、基端部392を内管302に嵌入することで、適度な力で針体39とシース30とを接続することができる。
針体39がシース30に接続された状態では、当接面393にシース30の先端部が当接している。このように、針体39に当接面393を設け、当接面393にシース30の先端部が当接するまで針体39を内管302に嵌入することで、針体39を内管302に適切に接続することができる。また、当接面393にシース30の先端部を当接させておくことで、前述した応力F1が加わった際の針体39とシース30との位置ずれを防止することができる。なお、当接面393は、針体39の軸に略直交する面で構成されていることが好ましい。
また、針部391は、シース30と同様に、長軸および短軸を有する扁平な横断面形状となっている。また、図5に示すように、針部391は、その長軸J42および短軸J41がシース30の長軸J32および短軸J31と略一致するように配置されている。このように、針部391を扁平形状とすることで、生体への穿刺抵抗が低減され、穿刺部材3の生体への穿刺をよりスムーズに行うことができる。なお、針部391の扁平形状としては、特に限定されず、シース30と同様に、例えば、楕円形、断面凸レンズ形状、角部が丸みを帯びたひし形、角部が丸みを帯びた長方形、中央部が両端部よりも拡大した紡錘形等とすることができる。
また、針部391は、その延在方向(軸方向)の途中に最も外径(幅)の大きい、すなわち、その先端側および基端側の部分よりも外径の大きい拡径部(拡幅部)391aを有している。具体的に説明すると、針部391は、基端側に配置され、先端側へ向けて外径(幅)が漸増する外径漸増部(幅漸増部)391bと、外径漸増部391bの先端側に配置され、先端側へ向けて外径(幅)が漸減する外径漸減部(幅漸減部)391cと、これらの間に位置する拡径部391aと、を有している。拡径部391aは、穿刺部材3を生体に穿刺した際に、生体組織を剥離する剥離部としても機能する。これにより、穿刺部材3の生体への穿刺をよりスムーズに行うことができる。
また、図5に示すように、拡径部391aの外径は、シース30の先端部の外径よりも大きくなっている。すなわち、拡径部391aの長軸J42の幅は、シース30の先端部の長軸J32の幅よりも大きく、拡径部391aの短軸J41の幅は、シース30の先端部の短軸J31の幅よりも大きい。これにより、穿刺部材3の穿刺をスムーズに行うことができる。具体的に説明すると、穿刺部材3では、針体39が生体を穿刺し、当該穿刺によって形成された穿刺孔内を当該穿刺孔よりも小さいシース30の先端部が通過していくため、シース30の先端部が穿刺孔の壁部に引っ掛かり難い。したがって、穿刺部材3の穿刺孔内での摺動性を高めることができ、穿刺部材3の生体への穿刺をスムーズに行うことができる。特に、シース30の先端部が当接面393に接触し、針体39の先端側から見たときにシース30の先端部が当接面393の後側に隠れているため、シース30の先端部が穿刺孔の壁部により引っ掛かり難くなっている。このように、本実施形態では、生体を穿刺し、生体組織を剥離するのは針体39であって、シース30は、生体を穿刺する機能も生体組織を剥離する機能も実質的に有していない。
なお、後述する手技でも説明するが、穿刺部材3の生体への穿刺は、途中までは外管301内に内管302を退避させた状態で行い、途中からは外管301から内管302を突出させながら行う。したがって、前述した「先端部の外径」とは、前記途中までは、外管301の先端部301aの外径を言い、前記途中からは、内管302の先端部の外径を言う。そのため、より詳しく説明すれば、拡径部391aの外径が外管301の先端部の外径よりも大きく、外管301の先端部の外径が内管302の先端部の外径よりも大きくなっていると言える。
ここで、本実施形態では、内管302の先端部を外管301内に退避させるために、内管302の先端部の外径が外管301の内径と等しいか若干小さくなっているが、例えば、シース30を、初期状態で内管302の先端部が外管301から突出している構成とした場合には、内管302の先端部を拡径して、その外径を外管301の先端部の外径よりも大きくしてもよい。
また、針体39は、外径漸増部391bを有しているため、次のような効果を発揮することができる。例えば、穿刺部材3の穿刺途中で、穿刺ルートがずれてしまった場合などは、穿刺孔内で穿刺部材3を後退させる必要がある。この場合に、外径漸増部391bが形成されていないと、針部391の基端が「かえし」のようになり、穿刺孔の壁部に引っ掛かり、穿刺部材3をスムーズに後退させることができなくなるおそれがある。これに対して、針部391に外径漸増部391bを設けておくと、上述したような引っ掛かりが低減され、穿刺部材3をスムーズに後退させることができる。
このような針体39の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述したシース30と同様の材料を用いることができる。また、針体39は、中実であってもよいし、中空であってもよい。
−操作部材−
操作部材31は、シース30を操作する部材である。図4に示すように、操作部材31は、本体32と、プッシャーシャフト(第2の軸部)33とを有している。また、本体32は、スタイレット(第1の軸部)321と、軸部323と、スタイレット321および軸部323を連結する連結部322とを有している。このような操作部材31では、スタイレット321とプッシャーシャフト33とで軸部300を構成し、この軸部300は、延長可能となっている。
スタイレット321は、プッシャーシャフト33と共にシース30に挿入され、シース30を内側から補強する補強部としても機能する。このようなスタイレット321は、シース30の形状に対応して略円弧状(湾曲形状)となっている。なお、スタイレット321の中心角や曲率半径は、シース30の中心角や曲率半径に合わせて設定されている。また、軸部323は、スタイレット321の中心Oと交わり、スタイレット321を含む平面f1と直交する軸J1上に延在している(図3参照)。また、連結部322は、スタイレット321の基端部と軸部323の先端部とを連結している。連結部322は、途中でほぼ直角に屈曲したほぼL字状をなしている。
このような構成の本体32は、シース30よりも剛性が高くなるように構成されている。本体32の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料等を用いることができる。なお、本実施形態では、スタイレット321、軸部323および連結部322が共にほぼ同じ太さとなっているが、本体32の剛性を十分に高め、本体32の撓み等を抑制するために、例えば、連結部322および軸部323をスタイレット321よりも太くしてもよい。
また、図3に示すように、軸部323の基端部にはハンドル(操作部)324が固定されている。そして、このハンドル324を回転操作することで、操作部材31を軸J1まわりに回転操作することができる。これにより、穿刺装置1をスムーズに操作することができる。なお、ハンドル324を省略してもよく、その場合は、例えば、連結部322を把持して操作部材31を回転操作してもよい。なお、以下では、スタイレット321を先端側へ回転移動させるときのハンドル324の回転を「順回転」とも言い、基端側へ回転移動させるときのハンドル324の回転を「逆回転」とも言う。
また、図4および図5に示すように、スタイレット321の先端部には先端チップ(連結部)34が設けられている。先端チップ34は、主に、針体39とスタイレット321とを離脱可能に接続する第1の機能と、スタイレット321とプッシャーシャフト33とをスライド可能に連結する第2の機能と、スタイレット321とプッシャーシャフト33との相対的位置関係を規制する第3の機能と、を有している。
まず、第1の機能について説明する。図5に示すように、先端チップ34は、スタイレット321が接続されている本体部341を有し、この本体部341の先端部には突起35が設けられている。一方、針体39の基端部392には端面に開放する連結孔394が設けられている。そして、突起35を連結孔394に挿入し、これらを連結することで、針体39とスタイレット321とを先端チップ34を介して離脱可能に連結することができる。このように、針体39とスタイレット321とを連結することで、針体39を介してスタイレット321とシース30とが連結されるため、スタイレット321に対するシース30の変位、具体的にはスタイレット321に対するシース30の回転や幅方向へのずれ等を抑制することができる。そのため、生体への穿刺部材3の穿刺をより円滑に行うこともできる。
突起35の先端部には、弾性変形によって自然状態に対して縮径(縮幅)可能な弾性変形部351が設けられている。弾性変形部351は、離間配置された2つの弾性片352、353と、弾性片352、353の間に設けられた隙間354とを有している。このような弾性変形部351は、弾性片352、353が内側(隙間354)に向けて弾性変形することで自然状態に対して縮径する。このような構成とすることで、弾性変形部351の構成が簡単となる。特に、本実施形態では、弾性片352、353の先端を自由端としているため、弾性片352、353が弾性変形し易くなっている。
また、弾性片352、353には外側へ向けて突出する突出部352a、353aが設けられており、自然状態において、弾性変形部351の外径がそれよりも基端側の部分の外径よりも大きくなっている。突出部352a、353aは、基端側が突起35の中心軸側に傾斜する傾斜面となるように略半球状となっている。
一方、連結孔394は、自然状態での弾性変形部351の外径(幅)よりも小さい導入部394aと、導入部394aよりも奥側に位置し、自然状態での弾性変形部351の外径(幅)よりも大きい拡径部(拡幅部)394bとを有している。そして、突起35と連結孔394とが連結されている状態では、図5に示すように、弾性変形部351が拡径部394b内に位置している。この状態では、弾性変形部351が拡径部394bと導入部394aの境界部に引っ掛かり、突起35と連結孔394との連結状態が維持される。そして、図5に示す連結状態のときに、所定の力以上で先端チップ34が基端側へ引っ張られると、弾性変形部351が縮径することで、連結が解除され、針体39から突起35が離脱する。
ここで、前述したように、穿刺部材3の穿刺途中で穿刺ルートがずれてしまった場合などは、穿刺部材3を後退させて正しい穿刺ルートに修正する必要がある。穿刺部材3の後退は、ハンドル324を逆回転させて行われるため、スタイレット321を退避させることで、スタイレット321に連結されている針体39およびシース30も一体的に退避させることになる。そのため、突起35と連結孔394との連結強度は、スタイレット321を後退させてもスタイレット321と針体39との連結状態が維持されるように設計されている。すなわち、シース30の表面にかかる生体組織の摺動摩擦に対して、突起35と連結孔394との連結強度が高くなっているため、穿刺部材3を引き戻した際に針体39からスタイレット321が外れないようになっている。これにより、後退時に針体39からスタイレット321が離脱してしまうことを防止することができる。
なお、図5に示す連結状態では、弾性変形部351は、自然状態となっているのが好ましい。穿刺装置1は、初期状態のときに図5に示す連結状態となっているため、連結状態となっている時間(例えば、製造されてから使用されるまでの時間)が長い。したがって、連結状態にて弾性片352、353を自然状態とすることで、弾性片352、353が弾性変形している時間を大幅に短くすることができ、弾性片352、353の形状変化(癖付き)や弾性の低下を防止することができる。その結果、連結状態を解除するのに必要な力の過度な低下を防止でき、スタイレット321からの針体39の意図しない離脱を効果的に防止することができる。
以上、突起35および連結孔394について説明した。なお、本実施形態では、先端チップ34に突起35を設け、針体39に連結孔394を設けているが、突起35および連結孔394の配置は、これに限定されず、例えば、先端チップ34に連結孔394を設け、針体39に突起35を設けてもよい。ただし、先端チップ34は、シース30内に配置できるように薄く形成されるため、シース30のサイズ等によっては、連結孔394を形成するスペースを確保するのが困難な場合がある。そのため、配置の自由度の観点からすると、本実施形態のように、先端チップ34に突起35を設け、針体39に連結孔394を設けることが好ましい。
次に、第2の機能について説明する。図5に示すように、先端チップ34の本体部341には、プッシャーシャフト33をスライド可能に保持し、プッシャーシャフト33を案内する保持部36が設けられている。
まず、プッシャーシャフト33について説明する。図4および図5に示すように、プッシャーシャフト33は、スタイレット321の外周側にスタイレット321と離間して並んで配置されており、スタイレット321の円弧に倣って略円弧状に湾曲している。すなわち、プッシャーシャフト33は、スタイレット321よりも大きな曲率半径を有し、スタイレット321と同心的に配置されている。なお、プッシャーシャフト33の中心角は、特に限定されないが、スタイレット321と同程度とすることができる。なお、プッシャーシャフト33は、スタイレット321の内周側に配置されていてもよい。
また、図7に示すように、スタイレット321とプッシャーシャフト33は、シース30の長軸J32(幅方向)に沿って並設されている。これにより、シース30の内部空間を効率的に使用することができるため、例えば、スタイレット321およびプッシャーシャフト33をなるべく太くすることができ、操作部材31の剛性をより高めることができる。また、スタイレット321およびプッシャーシャフト33によって、シース30を内側から効果的に補強することができるため、シース30の不本意な変形を低減することができる。なお、シース30を装着した状態では、スタイレット321がシース30のほぼ中央に配置され、プッシャーシャフト33がシース30の外周側に配置されている。ここで、シース30の外周部は、中央部よりも厚みが薄いため、それに合わせて、プッシャーシャフト33の径をスタイレット321の径よりも小さくすることが好ましい。これにより、シース30を装着した状態でのシース30の不本意な変形をより効果的に防止することができる。
また、図5に示すように、プッシャーシャフト33の先端部は、針体39に固定されている。後述するように、手技の途中で、プッシャーシャフト33によって針体39を押し出してシース30を延長する工程(図10、図21参照)があるが、プッシャーシャフト33を針体39に固定することで、プッシャーシャフト33の押圧力を針体39に効率的に伝達することができ、針体39を効率的に押し出すことができる。そのため、手技をスムーズに行うことができる。
このような構成のプッシャーシャフト33は、シース30よりも剛性が高くなるように構成されている。プッシャーシャフト33の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した本体32と同様の材料を用いることができる。
以上のようなプッシャーシャフト33を保持する保持部36は、図5に示すように、スタイレット321の外周側へ突出する一対のガイド部361、362を有している。これらガイド部361、362は、スタイレット321の延在方向に離間して配置されている。また、ガイド部361、362の先端部には挿通孔361a、362aが形成されており、これら挿通孔361a、362aにプッシャーシャフト33がスライド可能に挿通されている。これにより、プッシャーシャフト33が先端チップ34に保持され、スタイレット321に対してスライド可能となる。
特に、本実施形態のように、プッシャーシャフト33のスライド方向に離間した2つのガイド部361、362によってプッシャーシャフト33を保持することで、図5中の矢印Zで示すようなプッシャーシャフト33の軸まわりの回転を防止している。前述したように、プッシャーシャフト33は、円弧状に湾曲しているため、プッシャーシャフト33がスタイレット321に対して回転してしまうと、プッシャーシャフト33を意図した方向に向けてスライドさせることができなくなる。なお、プッシャーシャフト33の回転をより効果的に防止するために、例えば、プッシャーシャフト33の断面形状を円以外の楕円形、四角形、三角形等とし、挿通孔361a、362aをプッシャーシャフト33の断面形状に合わせた形状としてもよい。また、本実施形態ではシース30によっても、プッシャーシャフト33の前記回転が抑制されている。
また、2つのガイド部361、362によってプッシャーシャフト33を保持することで、ガイド部361、362(挿通孔361a、362a)の間において、先端チップ34とプッシャーシャフト33との離間距離D1をほぼ一定(所定距離以内)に維持することができる。そのため、後述する当接部37の機能(第3の機能)をより確実に発揮させることができる。なお、ガイド部361、362の間で離間距離D1を一定に保つ観点から言えば、ガイド部361、362の離間距離は、プッシャーシャフト33の剛性等によっても異なるが、0.5cm〜2.0cm程度であることが好ましい。
次に、第3の機能について説明する。図5に示すように、先端チップ34には、プッシャーシャフト33との相対的な位置関係を規制するための弾性変形可能な当接部37が設けられている。当接部37は、ガイド部361、362の間からプッシャーシャフト33の先端側(針体39側)へ向けて斜めに突出している。
一方、プッシャーシャフト33の先端部には逃げ部としての凹部331が設けられており、基端部には係合部としての凹部332が設けられている。また、図5に示す初期状態では、当接部37の先端部は、凹部331内に位置している。この状態では、当接部37は、弾性変形しておらず、自然状態となっている。このように、初期状態での当接部37の弾性変形を防止することで、当接部37が弾性変形している時間を大幅に短くすることができ、当接部37の形状変化(癖付き)や弾性の低下を防止することができる。その結果、当接部37の機能をより確実に発揮することができる。
また、後述するように、穿刺装置1を用いた手技の途中で、スタイレット321をプッシャーシャフト33に対して基端側へスライドさせて、軸部300を延長する工程がある(図9参照)。このように、軸部300を延長した状態では、当接部37の先端部が凹部332内に位置する。凹部332の先端側の面は、プッシャーシャフト33の中心軸に略直交し、プッシャーシャフト33の基端側を向く当接面332aとなっており、延長状態では当接面332aと当接部37の先端面371とが対向または接触している。そのため、延長状態では、スタイレット321のプッシャーシャフト33に対する先端側への移動が規制される。したがって、スタイレット321を先端側へ移動させると、スタイレット321と共にプッシャーシャフト33が一体的に(相対的位置関係を保ちつつ)先端側へ移動することとなる。
特に、前述したように、先端チップ34とプッシャーシャフト33との間の離間距離D1が一定に維持されている領域(ガイド部361、262の間)に当接部37が設けられているため、当接部37の先端面371と当接面332aとがより確実に当接し、上記の機能をより確実に発揮することができる。そのため、穿刺装置1の誤作動等を防止することができる。
一方で、凹部332の基端側の面は、傾斜面332bとなっている。そのため、延長状態から、さらに、スタイレット321をプッシャーシャフト33に対して基端側にスライドさせることができ、これにより、プッシャーシャフト33を先端チップ34から離脱させることができる。このように、プッシャーシャフト33を先端チップ34から離脱可能とすることで、生体からの穿刺部材3の除去を簡単に行うことができる。
なお、本実施形態では、先端チップ34に当接部37を設け、プッシャーシャフト33に凹部332を設けているが、当接部37および凹部332の配置は、これに限定されず、例えば、先端チップ34に凹部332を設け、プッシャーシャフト33に当接部37を設けてもよい。ただし、プッシャーシャフト33に当接部37を設ける場合には、プッシャーシャフト33をスライドさせる際に当接部37がガイド部362と接触しないような設計としなければならず、設計が複雑化するおそれがある。そのため、簡単な設計の観点からすると、本実施形態のように、先端チップ34に当接部37を設け、プッシャーシャフト33に凹部332を設けることが好ましい。
以上、説明したような先端チップ34では、本体部341の延在方向の少なくとも一部に、扁平形状を有している部分が含まれており、この扁平形状を有する部分がシース30の回転を防止するように機能していることが好ましい。これにより、シース30の意図しない変位や変形を防止でき、穿刺部材3の生体への穿刺をよりスムーズに行うことができる。
−スライドロック部38−
スライドロック部38は、軸部300の延長を行うのに用いられる。図4に示すように、スライドロック部38は、スタイレット321にスライド可能に保持されている。具体的には、スライドロック部38は、挿通孔389を有しており、この挿通孔389にスタイレット321が挿通されている。また、スライドロック部38は、連結部322と当接することで、スタイレット321の基端側からの離脱が防止されている。このような構成では、初期状態からハンドル324を順回転させると、連結部322によってスライドロック部38が押圧され、スライドロック部38がスタイレット321、プッシャーシャフト33およびシース30と共に先端側へ移動する。
また、スライドロック部38は、シース30およびプッシャーシャフト33の基端側に位置し、少なくとも、シース30の基端と接触している。これにより、穿刺時のシース30の基端側へのずれを防止し、針体39からのシース30の離脱を防止することができる。なお、スライドロック部38は、シース30の基端と接触していなくてもよく、離間していてもよい。ただし、この場合の離間距離は、針体39の基端部392の長さ(内管302への挿入深さ)よりも短いことが好ましい。これによっても、針体39からのシース30の離脱を防止することができる。
図4に示す初期状態から、ハンドル324を順回転させて、スライドロック部38を軸部300およびシース30と共に先端側へ移動させると、図8に示すように、スライドロック部38がフレーム2に固定される。なお、スライドロック部38のフレーム2への固定は、スライドロック部38に設けられた突起(雄型係合部)381と、フレーム2の案内部22に設けられた係合孔(雌型係合部)229との係合により行われる。突起381の先端部は、2つの弾性片382、383に分割されており、この弾性片382、383には爪部382a、383aが設けられている。そして、突起381が係合孔229に挿入され、爪部382a、383aが係合孔229を通過して、その端面229aに係合することでスライドロック部38がフレーム2に固定される。このような構成によれば、簡単な構成で、スライドロック部38をフレーム2に固定することができる。特に、本実施形態では、係合孔229の突起381が挿入される側の端部をテーパー状とし、開口を広げることで、突起381をスムーズに挿入することができるようになっている。
また、図8に示すように、端面229aは、フレーム2の外部に臨んだ面であり、スライドロック部38がフレーム2に固定された状態では、爪部382a、383aがフレーム2の外部に露出する。そのため、術者は、スライドロック部38がフレーム2に固定されたことを視認することができる。したがって、穿刺装置1の誤動作を効果的に防止することができる。さらに、爪部382a、383aがフレーム2の外部に露出するため、術者が爪部382a、383aを摘まんで内側へ押し込むことで、固定状態を解除することができる。そのため、穿刺装置1の操作性が向上する。なお、突起381と係合孔229の配置は、本実施形態に限定されず、本実施形態とは反対に、スライドロック部38に係合孔229を設け、フレーム2に突起381を設けてもよい。
スライドロック部38がフレーム2に固定された規制状態(図8の状態)では、連結部322がスライドロック部38に当接することで、スタイレット321のそれ以上の先端側への移動が規制される。一方で、ハンドル324を逆回転させれば、スタイレット321をスライドロック部38に対してスライドさせながら、基端側へ移動させることができる。しかしながら、シース30は、基端部がスライドロック部38に当接するため、基端側への移動が規制される。また、シース30に連結している針体39と、針体39を介してシース30に連結しているプッシャーシャフト33とも、基端側への移動が規制される。そのため、規制状態とした後にハンドル324を逆回転させると、図9に示すように、スタイレット321のみが基端側へ移動し、針体39からスタイレット321が離脱する。
このように、規制状態からスタイレット321のみを基端側へ移動させることで、スタイレット321の先端側からプッシャーシャフト33が突出し、軸部300が延長された延長状態となる。また、前述したように、延長状態では、図8に示すように、先端チップ34の当接部37がプッシャーシャフト33の凹部332内に位置している。この状態では、スタイレット321のプッシャーシャフト33に対する先端側へのスライドが規制されるため、延長状態とした後は、延長状態を維持したまま、すなわち、スタイレット321とプッシャーシャフト33の相対的位置関係を維持したまま、軸部300を先端側へ移動させることができる。そのため、再び、ハンドル324を順回転させると、図10に示すように、軸部300が延長状態を保ちつつ先端側へ移動し、それとともに針体39が先端側へ移動する。また、このとき、針体39に連結している内管302も針体39と共に先端側へ移動し、これにより、内管302が外管301から突出してシース30が延長される。
このようなスライドロック部38を設けることで、軸部300を簡単に延長することができ、さらに、その後の動作によってシース30を簡単に延長することができる。そのため、穿刺装置1による手技をスムーズにかつ正確に行うことができる。特に、本実施形態では、初期状態からスタイレット321を先端側へ移動させれば自動的にスライドロック部38がフレーム2に固定されるので、穿刺装置1の操作が簡単となる。また、本実施形態のように、初期状態からスタイレット321を先端側へ移動させた後に、スライドロック部38がフレーム2に固定されるので、スタイレット321の基端側に、スタイレット321を移動させるための空間が十分に確保される。そのため、規制状態から延長状態とする際のスタイレット321の基端側への移動をスムーズにかつ確実に行うことができる。
≪フレーム≫
フレーム2は、穿刺部材3を回動自在に保持し、また、挿入具6を着脱自在に固定する。このようなフレーム2は、穿刺部材3が生体組織を穿刺する際に、針体39の穿刺経路を定める機能を有している。具体的には、フレーム2は、穿刺部材3が生体組織を穿刺したとき、針体39が尿道挿入具4と膣挿入具5との間をこれらに衝突せずに通過するように、穿刺部材3、尿道挿入具4および膣挿入具5の位置関係を定めている。
図2および図3に示すように、フレーム2は、穿刺部材3の軸部323を軸受する軸受部21と、穿刺部材3を案内する案内部22と、軸受部21と案内部22とを連結する連結部23と、挿入具6を固定する固定部24とを有している。
軸受部21は、穿刺装置1の基端側に位置し、軸J1に対してほぼ直交する方向に延在している。軸受部21の軸J1上には、貫通孔211が形成されており、この貫通孔211に軸部323が回動自在に挿入されている。これにより、フレーム2に穿刺部材3が軸J1まわりに回動可能な状態で支持される。なお、この軸受部21の後方に、ハンドル324が配置されている。
案内部22は、穿刺装置1の先端側に位置し、軸受部21と対向配置されている。図4に示すように、案内部22は、穿刺部材3をガイドする円弧状のガイド溝221を有しており、このガイド溝221内にシース30が配置されている。また、ガイド溝221の先端部に、前述した係合孔229が設けられている。ガイド溝221の先端側の開口221aは、針体39を外部へ突出させるための開口であり、基端側の開口221bは、外部へ突出させて戻ってきた針体39と案内部22との接触を防止するための開口である。基端側の開口221bは、案内部22の外側面および上面に大きく開放し、これにより、戻ってきた針体39を視認し易くなっており、また、戻ってきた針体39と案内部22との接触を効果的に防止している。さらに、戻ってきた針体39を容易に把持することもできる。
また、初期状態で、針体39がガイド溝221の先端側の開口221aから突出した状態となっている。これにより、針体39の位置を視認することができるので、針体39の位置決めを簡単に行うことができる。
連結部23は、軸受部21と案内部22とを連結している。また、連結部23は、軸J1とほぼ平行に延在する棒状をなしている。連結部23は、把持部としても機能する。術者は、例えば、一方の手で連結部23を把持し、他方の手でハンドル324を操作することで、穿刺装置1を安定した状態で使用することができる。
固定部24は、軸J1を介して連結部23と対向配置されている。図11に示すように、固定部24は、挿入具6の後述する支持部40、50を嵌め込む凹部243と、雄ネジ244とを有している。このような固定部24では、支持部40、50を凹部243へ嵌め込み、さらに、雄ネジ244を支持部40に締め込むことで、挿入具6を固定部24に固定することができる。
≪挿入具≫
図12に示すように、挿入具6は、尿道挿入具4と、膣挿入具5とを有している。
−尿道挿入具−
尿道挿入具4は、その途中まで尿道内に挿入される長尺状の尿道挿入部41と、尿道挿入部41を支持する支持部40とを有している。尿道挿入部41および支持部40の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料、各種樹脂材料を用いることができる。
また、尿道挿入部41(支持部40より先端側の部分)の長さとしては特に限定されず、患者の尿道の長さおよび膀胱の形状等によって適宜設定されるが、一般的な女性の尿道の長さが30mm〜50mm程度であるため、それに合わせて50mm〜100mm程度とするのが好ましい。
尿道挿入部41は、真っ直ぐな管状をなしている。このような尿道挿入部41の先端部には、伸展性を有し、拡張/収縮自在な拡張体であるバルーン42と、尿排出部47とが設けられている。
バルーン42は、尿道挿入部41を尿道に挿入したときに、膀胱内に位置するように配置されている。また、バルーン42は、尿道挿入部41内を通ってその基端部に設けられたバルーンポート43に接続されている。バルーンポート43にはシリンジ等のバルーン拡張器具を接続することができ、バルーン拡張器具からバルーン42に作動流体(生理食塩水等のような液体、気体等)を供給するとバルーン42が拡張し、反対に、バルーン拡張器具によってバルーン42から作動流体を抜き取るとバルーン42が収縮する。なお、図11では、バルーン42が収縮した状態を二点鎖線で示し、バルーン42が拡張した状態を実線で示している。
尿排出部47は、尿道挿入部41を尿道に挿入した状態で、膀胱内の尿を排出するために用いられる。この尿排出部47には尿排出部47の内外を連通する尿排孔471が設けられている。また、尿排孔471は、尿道挿入部41内を通ってその基端部に設けられた尿排出ポート48に接続されている。そのため、尿排孔471から導入した尿を尿排出ポート48から排出することができる。
これらバルーン42および尿排出部47は、例えば、ダブルルーメンによって構成することができる。
また、尿道挿入部41の途中には、尿道挿入部41の尿道への挿入深さを確認するためのマーカー46が設けられている。マーカー46は、例えば、尿道挿入部41を尿道内に挿入し、バルーン42が膀胱内に位置するときに尿道口に位置するように配置されている。これにより、簡単に、尿道挿入部41の尿道への挿入深さを確認することができる。なお、マーカー46としては、外部から視認できれば良く、例えば、着色部、凹凸部等により構成することができる。また、マーカー46に替えて、尿道挿入部41の先端からの距離が記された目盛を設けてもよい。
また、尿道挿入部41の途中(マーカー46より先端側)には複数の吸引孔44が形成されている。複数の吸引孔44は、尿道挿入部41の周方向の全域にわたって配置されている。各吸引孔44は、尿道挿入部41内を通って支持部40に設けられた吸引ポート45に接続されている。吸引ポート45にはポンプ等の吸引装置を接続することができ、尿道挿入部41を尿道に挿入した状態で吸引装置を作動させると、吸引孔44に尿道壁を吸着固定することができる。特に、本実施形態のように、複数の吸引孔44を尿道挿入部41の周方向の全域にわたって設けることで、尿道挿入部41に尿道壁の広い範囲を吸着・固定することができる。なお、吸引孔44の数は、特に限定されず、例えば、1つであってもよい。また、吸引孔44の配置は、特に限定されず、例えば、尿道挿入部41の周方向の一部にのみ形成されていてもよい。
なお、尿道挿入部41に尿道壁を吸着・固定した状態で、尿道挿入部41を体内側(尿道挿入部41の先端側)へ押し込むと、これとともに尿道および膀胱が体内側へ押し込まれ、膀胱を針体39の穿刺経路と重ならない位置にずらすことができる。そのため、針体39の穿刺経路をより大きく確保することができ、穿刺部材3の穿刺を正確かつ安全に行うことができる。
次に、尿道挿入部41と穿刺部材3との傾きについて説明する。図3に示すように、穿刺部材3の軸J1は、尿道挿入部41の軸J2との間の離間距離が先端側に向かって増大するように、軸J2に対して傾斜している。軸J1の軸J2に対する傾斜角θ3、言い換えると、軸J2に直交する平面f2に対する平面f9(平面f1)の傾斜角θ2としては、特に限定されないが、20°〜60°程度であるの好ましく、30°〜45°程度であるのがより好ましく、35°〜40°程度であるのがさらに好ましい。これにより、穿刺部材3の穿刺を容易に行うことができ、また、穿刺部材3による穿刺距離をより短くすることができる。
具体的に説明すると、傾斜角θ2を上記範囲内とすることで、図13(a)に示すように、針体39が骨盤1100の閉鎖孔1101、1102を平面的に広く捉えることができ、針体39の穿刺スペースを広く確保することができる。すなわち、患者を所定の***(砕石位)にした状態で、閉鎖孔1101、1102に対して針体39を比較的垂直方向に穿刺することができる。そのため、針体39の穿刺を容易に行うことができる。
このように、閉鎖孔1101、1102に対して針体39を垂直方向に穿刺することで、針体39が生体の浅い部分を通過するため、針体39が閉鎖孔1101、1102の間をより短い距離で通過する。そのため、図13(b)に示すように、針体39を閉鎖孔1101、1102の恥骨結合1200寄り、好ましくは、セーフティゾーンS5を通過させることができる。セーフティゾーンS5は、損傷を避けたい神経や血管が少ない部位であるため、セーフティゾーンS5を通過させることで、針体39を安全に穿刺することができる。そのため、穿刺装置1を用いた手技が、より低侵襲となり、患者の負担を小さく抑えることができる。
このように、傾斜角θ2を上記範囲とすることで、患者への針体39の穿刺をより適切に行うことができる。また、上述の角度にて穿刺することにより、尿道の長さ方向における中位部を指す中部尿道と膣の間の組織を目標にし易くなる。中部尿道と膣の間は、インプラント9を埋設して尿失禁の治療を行う部位として適した位置であるため、中部尿道と膣の間の組織を目標とすることで、より効果的な治療を行うことができる。
なお、傾斜角θ2が上記下限値未満の場合または上記上限値を超える場合は、患者の個体差、手技中の姿勢等によっては、針体39が閉鎖孔1101、1102を平面的に広く捉えることができなかったり、針体39の穿刺経路を十分に短くすることができなかったりする場合がある。
以上、尿道挿入具4の構成について説明した。このような尿道挿入具4では、尿道挿入部41は、支持部40に対してスライドできないようになっていてもよく、支持部40に対してスライド可能となっていてもよい。スライド可能となっている場合は、例えば、支持部40に設けたネジ(図示せず)を緩めれば、尿道挿入部41が支持部40に対してスライド可能な状態となり、ネジを締め込めば、尿道挿入部41が支持部40に固定された状態となる構成としてもよい。この構成によれば、尿道挿入部41の長さを調節することができるため、より使い勝手のよい尿道挿入具4となる。なお、このことは、後述する膣挿入具5についても同様である。
また、穿刺装置1では、傾斜角θ2が一定となるように尿道挿入具4がフレーム2に固定されているが、これに限定されず、傾斜角θ2が可変となっていてもよい。これにより、患者の個体差や手技中の姿勢に合わせて傾斜角θ2を調節することができるため、より使い勝手のよい穿刺装置1となる。
−膣挿入具−
図12に示すように、膣挿入具5は、途中まで膣内に挿入される長尺状の膣挿入部51と、膣挿入部51を支持する支持部50とを有している。また、膣挿入部51は、先端側に位置する先端部52と、先端部52の基端部に接続された軸部53とを有し、軸部53が支持部50に支持されている。また、支持部50には雄ネジ501が設けられ、この雄ネジ501を支持部40の雌ネジ(図示せず)に締め込むことにより、膣挿入具5を尿道挿入具4に固定することができる。
膣挿入部51および支持部50の構成材料としては、特に限定されず、例えば、尿道挿入具4(尿道挿入部41および支持部40)と同様に、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料、各種樹脂材料を用いることができる。
先端部52は、膣内に挿入される部位であり、図14に示すように、全体的にほぼ一定な幅を有しており、その先端部が丸みを帯びている。また、先端部52は、その厚さ方向に潰れた扁平形状をなしている。先端部52の長さL2としては特に限定されないが、20mm〜100mm程度であるのが好ましく、30mm〜60mm程度であるのがより好ましい。また、先端部52の幅W1としては、特に限定されないが、10mm〜50mm程度であるのが好ましく、20mm〜40mm程度であるのがより好ましい。このような長さ(L2)×幅(W1)とすることにより、先端部52が一般的な膣に適した形状および大きさとなる。そのため、装着状態における穿刺装置1の安定性が増すとともに、患者への負担が低減される。
また、図12に示すように、先端部52は、先端に向かう程、尿道挿入部41から離間するように、上面(尿道挿入部41側の面)52aが尿道挿入部41に対して傾斜している。これにより、傾斜していない場合と比較して、尿道挿入部41と先端部52との位置関係を実際の尿道と膣の位置関係に近づけることができる。そのため、装着状態にて、穿刺装置1がより安定して患者に保持されるとともに、患者への負担が軽減される。
上面52aの尿道挿入部41に対する傾斜角θ3(図3参照)としては特に限定されないが、例えば、0°〜45°程度であるのが好ましく、0°〜30°程度であるのがより好ましい。これにより、上記効果をより顕著に発揮することができる。これに対して、傾斜角θ3が上記下限値未満の場合や上記上限値を超えた場合は、患者の個体差、手技中の姿勢等によっては、装着状態にて膣や尿道が不自然に変形し、穿刺装置1が安定して保持されない場合がある。
このような先端部52の上面52aには吸引部523が設けられている。吸引部523は、上面52aに開口する有底の凹部524と、凹部524の底面に設けられた複数の吸引孔525と、凹部524の内部を複数の領域に区画する格子状のリブ526とを有している。また、複数の吸引孔525は、それぞれ、先端部52の基端部に設けられた吸引ポート54に接続されている。また、吸引ポート54は、装着状態において生体外に位置するように設けられている。
リブ526は、凹部524の底面から立設しており、先端部52の長さ方向に延びる複数の壁部と、幅方向に延びる複数の壁部とを有している。そして、これらの交差部に重なるようにして、複数の吸引孔525が配置されている。吸引孔525をこのように配置することで、膣壁を吸着する際に、凹部524に食い込んだ膣壁で吸引孔525が膣壁で塞がれてしまうことを防止することができる。そのため、膣壁の吸着をより確実に行うことができる。なお、リブ526の高さとしては、特に限定されず、例えば、凹部524と同じ高さであってもよいし、凹部524よりも高くてもよいし、凹部524よりも低くてもよい。
吸引ポート54にはポンプ等の吸引装置を接続することができ、先端部52を膣内に挿入した状態で吸引装置を作動させると、先端部52に膣前壁が吸着・固定される。膣前壁を先端部52に吸着・固定させた状態で、膣挿入部51を体内側(膣挿入部51の先端側)へ押し込むと、これとともに膣を押し込むことができる。そのため、膣の配置や形状を整えることができ、針体39の穿刺経路を十分に確保することができる。その結果、穿刺部材3の穿刺を正確かつ安全に行うことができる。
ここで、図12に示すように、吸引部523が形成されている領域S2は、吸引孔44が形成されている領域S1と対向している。そして、穿刺装置1は、これら領域S1、S2の間を針体39が通過するように構成されている。領域S1では尿道壁が尿道挿入部41に吸着され、領域S2では膣壁が先端部52に吸着されているため、領域S1、S2の間では尿道壁と膣壁とがより広く且つより確実に離間している。このような領域に針体39を通過させることで、針体39をより安全に穿刺することができる。
なお、図14に示すように、領域S2は、上面52aの幅方向のほぼ全域にわたっているのが好ましい。領域S2の幅W2としては、特に限定されないが、9〜49mm程度であるのが好ましく、19〜39mm程度であるのがより好ましい。これにより、各患者の膣壁の形状にあまり影響を受けずに、膣壁をより確実に先端部52に吸着させることができる。
特に、患者によっては、図15(a)に示すように、膣前壁の中央部1401が膣内へ垂れ下がり、その両側に窪んだ部分(「ボタンホール」とも呼ばれる部位)1402が存在した膣1400を有している場合がある。このような場合でも、図15(b)に示すように、中央部1401のみならず、窪んだ部分1402もより確実に吸着することができる。このように、窪んだ部分1402を先端部52により確実に吸着することで、窪んだ部分1402を尿道1300から遠ざけることができ、窪んだ部分1402に針体39が穿刺されてしまうことを効果的に防止することができる。
また、先端部52には、針体39の穿刺経路を確認することのできるマーカー57が設けられている。マーカー57は、その上方を針体39が通過するように設けられているため、マーカー57の位置を確認することで、針体39の穿刺経路を容易に確認でき、穿刺装置1の操作性および安全性が向上する。マーカー57は、少なくとも、先端部52の下面に設けられていることが好ましい。下面は、挿入状態にて、膣口側を向き、膣口を介して術者が視認できる面であるため、下面にマーカー57を設けることで、より確実に、針体39の穿刺経路を確認することができる。マーカー57としては、外部から視認できれば良く、例えば、着色部、凹凸部等により構成することができる。
以上のような先端部52と尿道挿入部41との離間距離D2(図3参照)としては、特に限定されないが、一般的な女性における尿道口と膣口との離間距離に対応させて、5〜40mm程度であるのが好ましい。
軸部53は、尿道挿入部41とほぼ平行に延在する細い棒状をなしている。軸部53の長さ(先端部52と支持部50の離間距離)としては、特に限定されないが、例えば、100mm以下程度であるのが好ましく、20〜50mm程度であるのがより好ましい。これにより、軸部53を適切な長さとすることができ、穿刺装置1の操作性が向上する。仮に、軸部53の長さが上記上限値を超えると、フレーム2の構成等によっては、穿刺装置1の重心が患者から大きく離れてしまい、装着状態での穿刺装置1の安定性が低下する場合がある。
3.穿刺装置1の使用方法
次に、穿刺装置1の使用方法、すなわち、穿刺装置1を用いてインプラント9を生体内に埋設する方法について説明する。
まず、患者を手術台上で砕石位とし、図16(a)に示すように、挿入具6を患者に装着する。
具体的には、まず、尿道挿入具4の尿道挿入部41を尿道1300内に挿入し、バルーン42を膀胱1310内に配置する。これにより、尿道1300は、尿道挿入部41により所定形状(直線状)に矯正される。次に、バルーン42を拡張させるとともに、必要に応じて尿排孔471を介して膀胱1310内から尿を排出する。一方で、膣挿入具5の先端部52を膣1400内に挿入する。そして、マーカー57を用いて針体39の穿刺経路を確認しながら位置決めした後、支持部50を支持部40に固定する。これにより、患者への挿入具6の装着が完了する。
次に、吸引ポート45、54に吸引装置を接続し、吸引装置を作動させ、尿道壁を吸引孔44に吸着・固定すると共に、膣壁を吸引部523に吸着・固定する。ここで、例えば、尿道壁が吸引孔44にきちんと吸着されれば、吸引孔44が尿道壁によって塞がれるため、吸引ポート45からの吸引が停止または弱まる。同様に、膣壁が吸引部523にきちんと吸着されれば、吸引ポート54からの吸引が停止または弱まる。そのため、術者は、吸引ポート45、54からの吸引具合(例えば、吸引により発生する音の大小)から、尿道壁および膣壁が尿道挿入部41および膣挿入部51にきちんと吸着されているか否かを確認することができる。
なお、挿入具6は、機械的に吸着状態を確認する確認機構を有していてもよい。確認機構としては、吸着状態を確認することができれば、特に限定されないが、例えば、吸引ポート45、54からの流量を測定する流量測定部(負圧計)と、この流量測定部からの測定結果に基づいて吸着がきちんと行われているか否かを判断する判断部とを有する構成とすることができる。
次に、必要に応じて、液性剥離を行う。具体的には、図16(b)に示すように、尿道挿入部41と膣挿入部51との間(尿道口と膣口の間)から注射器2000の穿刺針を膣前壁に穿刺し、尿道1300と膣1400との間(領域S1、S2の間)の生体組織へ生理食塩水、局所麻酔薬等の液体を注入する。これにより、領域S1、S2の間の生体組織が膨張し、それによって、尿道壁が尿道挿入部41に押し付けられるとともに、膣前壁が先端部52へ押し付けられる。
ここで、上述の液性剥離を行っている最中も吸引ポート45、54からの吸引を継続するのが好ましい。液性剥離によって尿道壁が吸引孔44に押し付けられると、尿道壁が吸引孔44により一層密着し、吸引ポート45からの吸引が停止または弱まる。同様に、膣壁が吸引部523に押し付けられると、膣壁が吸引部523により一層密着し、吸引ポート54からの吸引が停止または弱まる。したがって、術者は、吸引ポート45、54からの吸引具合から、きちんと液性剥離が行われたか否かを確認することができる。
上述のような液性剥離を行い、尿道壁と膣壁とを十分に離間させた後、図17に示すように、挿入具6にフレーム2を固定する。これにより、穿刺装置1が患者に装着された装着状態となる。次に、穿刺装置1を体内側へ押し込む。前述したように、尿道挿入部41には尿道壁が吸着されており、膣挿入部51には膣壁が吸着されているため、穿刺装置1を体内へ押し込むと、それと共に尿道1300および膣1400が押し込まれ、これらの間の組織が延ばされる。そのため、当該組織のたるみが減るとともに、尿道1300および膣1400の形状が整えられ、当該組織への針体39の穿刺が容易となる。また、前述したように膀胱1310を奥側へ押し込むことができるので、針体39の穿刺をより安全に行うことができる。この状態では、骨盤1100と穿刺装置1との位置関係が、図18に示すような状態となる。
次に、穿刺装置1を体内側へ押し込んだ状態で、穿刺部材3の穿刺経路が骨盤の左右の閉鎖孔1101、1102のセーフティゾーンS5を通過するように穿刺装置1を位置決めし、この状態を維持しつつ、ハンドル324を順回転させて、図19に示すように、前述した規制状態とする。この際、針体39は、右側の鼠蹊部またはその近傍の部位の体表面Hを穿刺して体内に入り、例えば、閉鎖孔1101、尿道1300と膣1400との間、閉鎖孔1102を順に通過して、閉鎖孔1102を超えたあたりまで移動した状態となる。また、シース30の外管301に設けられた当接部301bが体表面Hに当接し、それ以上の生体内へ挿入が規制された状態となる。ただし、この状態での針体39の位置は、特に限定されず、例えば、尿道1300と膣1400との間に到達していなくてもよい。
このように、本工程の穿刺(第1穿刺工程)で、針体39を、閉鎖孔1102を通過したあたりまで進めることで、穿刺部材3の剛性が高い状態(外管301内に内管302が退避しシース30が短い状態)で生体内のより長い距離を穿刺することができるので、より正確にかつスムーズに穿刺を行うことができる。ただし、第1穿刺工程を終えた時点での針体39の位置は、これに限定されず、例えば、尿道1300と膣1400との間を通過して、閉鎖孔1102の手前まで移動した状態となってもよい。
次に、ハンドル324を逆回転させ、図20に示すように、軸部300を延長状態とする。次に、再びハンドル324を順回転させ、図21に示すように、軸部300を先端側へ移動させる。これにより、プッシャーシャフト33によって針体39が押圧され、針体39がプッシャーシャフト33とともに先端側へ移動する。また、針体39と連結している内管302が、針体39に引っ張られるようにして外管301から突出し、これにより、シース30が延長される(第2穿刺工程)。
そして、この移動により、針体39は、左側の鼠蹊部またはその近傍の部位の体表面Hから体外に突出する。この際、前述したように、穿刺部材3を骨盤の左右の閉鎖孔1101、1102に対して略垂直に穿刺することにより、インプラント9の留置に適した位置に通路を形成することができる。この状態では、骨盤1100と穿刺装置1との位置関係が、図22に示す状態となる。
次に、シース30を生体内に配置したまま、シース30から軸部300および針体39を抜去するとともにフレーム2を挿入具6から取り外す。これにより、図23(a)に示すように、先端側開口および基端側開口が共に生体外に露出した状態でシース30が生体内に配置された状態となる。なお、この手順としては、特に限定されず、例えば、初めに、ハンドル324を逆回転させてスタイレット321をシース30の基端側開口から抜去し、次に、挿入具6からフレーム2を取り外し、最後に、内管302から針体39をプッシャーシャフト33と共に取り除くようにしてもよい。また、初めに、内管302から針体39をプッシャーシャフト33と共に取り除き、次に、ハンドル324を逆回転させてスタイレット321をシース30の基端側開口から抜去し、最後に、挿入具6からフレーム2を取り外すようにしてもよい。いずれの手順も、スタイレット321とプッシャーシャフト33とが離脱可能となっていることで実現されるものである。したがって、スタイレット321とプッシャーシャフト33とを離脱可能とすることで、手技をよりスムーズに行うことができる。
次に、必要に応じて、シース30の位置を整える。具体的には、シース30の左右の突出長さを揃えて、シース30の中央部S4を尿道1300と膣1400との間に位置させる。この状態では、図23(b)に示すように、シース30の中央部S4は、その幅方向(長軸J32方向)Wが尿道1300とほぼ平行に配置されている。すなわち、尿道挿入部41が挿入されて矯正された尿道1300とシース30の中央部S4の幅方向Wとが実質的に平行となっている。
次に、インプラント9を包材90から取り出しつつシース30内に挿入し、図24(a)に示すように、インプラント本体91をシース30の基端側開口および先端側開口から突出させた状態とする。このように、シース30内に配設する直前まで、インプラント9を包材90に収容することで、インプラント9の汚染を防止することができる。なお、前述したように、シース30が扁平形状なしているため、この扁平形状にインプラント本体91の姿勢が倣う。すなわち、インプラント本体91は、図24(b)に示すように、その幅方向がシース30の幅方向と一致するように、シース30内に配置される。尿道1300との関係からは、インプラント本体91は、矯正された尿道1300と平行に配置されている。
次に、尿道挿入部41による尿道壁の吸着と膣挿入部51による膣壁の吸着を停止する。これにより、尿道1300と膣1400の位置や形状が元の自然状態に戻る。次に、内管302を先端側へ向けて生体から引き抜くとともに、外管301を基端側へ向けて生体から引き抜く。この際、内管302と外管301を反対方向にほぼ同時に移動させ、内管302および外管301をそれぞれその形状に沿うように円弧状に移動させる。これにより、シース30が生体からスムーズに取り除かれる。
内管302および外管301を前述のようにして生体から取り除いていくと、シース30により押し広げられていた周囲の組織が元の位置に戻り、インプラント本体91の中央部から両端部に向けて徐々に組織がインプラント本体91に接触していく。前述のように、内管302および外管301をその形状に沿った方向に移動させていることと、シース30がインプラント本体91を低摺動で移動可能な内部空間を備えることにより、インプラント本体91に不要な引張力が掛からずそのままの状態で留置することができる。これにより、インプラント本体91のテンションの調節が不要になる。以上によって、図25(a)に示すように、インプラント本体91が生体に埋設された状態となる。なお、インプラント9が生体に埋設された状態では、インプラント本体91は、図25(b)に示すように、尿道1300と膣1400の間の領域にて、尿道1300とほぼ平行に配置される。そのため、インプラント本体91によって、尿道1300をより広域で支持することができる。
このように、シース30を分割して生体から取り除くことによって、シース30の生体からの抜去を容易に行うことができる。また、抜去中の外管301および内管302が尿道1300と膣1400の間の領域でのインプラント本体91の姿勢にほとんど影響を及ぼさないため、インプラント本体91を所望の姿勢で埋設することができる。また、尿道挿入部41が尿道1300に挿入された状態で外管301および内管302を生体内から抜去するため、生体内に留置するインプラント本体91により、過度のテンションが尿道1300にかかることを防ぐことができる。
次に、挿入具6を生体から抜去する。すなわち、尿道挿入部41を尿道1300から抜去し、膣挿入部51を膣1400から抜去する。尿道挿入具4を抜去した後、尿道1300は、自然状態の形状に戻るが、インプラント本体91が生体組織に埋め込まれているため、自然状態の尿道1300とインプラント本体91とが平行な状態を維持することができる。
その後、インプラント本体91の不要な部分を切除し、手技を終了する。
以上説明したように、穿刺装置1によれば、シース30を延長することができるため、シース30の中心角(長さ)を十分に大きくすることができ、シース30の両端部を患者の体型によらず体表面Hから確実に露出させることができる。そして、この露出した両端部(両端開口)からインプラント本体91を容易かつ確実に挿入することができる。
また、初期状態では、シース30が収縮した状態となっているため、シース30のほぼ全域をガイド溝221に収容することができる。これに対して、例えば、本実施形態のように延長することができず、初めから延長状態の場合と同じ中心角(長さ)のシース30を用いた場合には、シース30がガイド溝221内に収まりきらない。そのため、シース30の基端部がガイド溝221から突出し、生体にぶつかってしまう等の問題が生じ、穿刺装置1の操作性が悪化する。
また、インプラント9を留置する際、穿刺部材3の穿刺等の低侵襲の手技のみで対応することができ、侵襲の大きい切開等を行わなくてよいので、患者の負担が少なく、また、患者の安全性も高い。また、インプラント本体91を尿道1300と平行に埋設することができるため、尿道1300をより広域で支持することができる。また、針体39により尿道1300および膣1400を避けて生体を穿刺することができ、針体39が尿道1300、膣1400を穿刺してしまうことを防止することができ、安全である。また、従来の膣を切開する場合のようにその切開により生じた傷口からインプラント9が膣内に露出してしまうことや、前記傷口から感染してしまう等の合併症が生じることを防止することができ、非常に安全であり、確実にインプラント9を埋設することができる。
以上、本発明の穿刺部材を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、穿刺装置を女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いる装置に適用した場合について説明したが、穿刺装置の用途は、それに限定されるものではない。
例えば、本発明は、骨盤底筋群の弱体化にともなう、***障害(尿意切迫感、頻尿、尿失禁、便失禁、尿閉、排尿困難など)、骨盤臓器脱、膀胱膣婁、尿道膣婁、骨盤痛などを含む骨盤底疾患が適用対象に含まれる。骨盤臓器脱には、膀胱瘤、小腸瘤、直腸瘤、子宮脱、などの疾患が含まれる。あるいは、脱している膣壁部位によって分類される呼び方である前方膣壁脱、後方膣壁脱、膣断端脱、膣円蓋部脱、などの疾患が含まれる。
また、過可動組織には、膀胱、膣、子宮、腸などが含まれる。微可動組織には、骨、筋肉、筋膜、靭帯などが含まれる。特に骨盤底疾患においては、閉鎖筋膜、尾骨筋膜、基靭帯、仙骨子宮靭帯、仙棘(せんきょく)靭帯、などが含まれる。
骨盤底疾患における、過可動組織を微可動組織に連結する手技には、恥骨後式スリング手術、経閉鎖孔スリング手術(transobturator sling surgery, transobturator tape; TOT)、経膣メッシュ手術(Tension-free Vaginal Mesh; TVM)、仙骨子宮靭帯を利用した挙上術(Uterosacral Ligament Suspension; USLS)、仙棘靭帯を利用した固定術(Sacrospinous Ligament Fixation; SSLF)、腸骨尾骨筋膜を利用した固定術、尾骨筋膜を利用した固定術、などが含まれる。
1 穿刺装置
2 フレーム
21 軸受部
211 貫通孔
22 案内部
221 ガイド溝
221a 開口
221b 開口
229 係合孔
229a 端面
23 連結部
24 固定部
243 凹部
244 雄ネジ
3 穿刺部材
30 シース
300 軸部
301 外管
301a 先端部
301b 当接部
302 内管
31 操作部材
32 本体
321 スタイレット
322 連結部
323 軸部
324 ハンドル
33 プッシャーシャフト
331 凹部
332 凹部
332a 当接面
332b 傾斜面
34 先端チップ
341 本体部
35 突起
351 弾性変形部
352 弾性片
352a 突出部
353 弾性片
353a 突出部
354 隙間
36 保持部
361 ガイド部
361a 挿通孔
362 ガイド部
362a 挿通孔
37 当接部
371 先端面
38 スライドロック部
381 突起
382 弾性片
382a 爪部
383 弾性片
383a 爪部
389 挿通孔
39 針体
391 針部
391a 拡径部
391b 外径漸増部
391c 外径漸減部
392 基端部
393 当接面
394 連結孔
394a 導入部
394b 拡径部
4 尿道挿入具
40 支持部
41 尿道挿入部
42 バルーン
43 バルーンポート
44 吸引孔
45 吸引ポート
46 マーカー
47 尿排出部
471 尿排孔
48 尿排出ポート
5 膣挿入具
50 支持部
501 雄ネジ
51 膣挿入部
52 先端部
52a 上面
523 吸引部
524 凹部
525 吸引孔
526 リブ
53 軸部
54 吸引ポート
57 マーカー
6 挿入具
9 インプラント
90 包材
91 インプラント本体
92 帯
1100 骨盤
1101 閉鎖孔
1102 閉鎖孔
1200 恥骨結合
1300 尿道
1310 膀胱
1400 膣
1401 中央部
1402 部分
2000 注射器
A1 内周部
A2 外周部
A3 表面
A4 裏面
D1 離間距離
D2 離間距離
F1 応力
H 体表面
J1 軸
J3 軸
J31 短軸
J32 長軸
J32’ 延長線
J41 短軸
J42 長軸
J5 中心軸
L2 長さ
O 中心
P 交点
S1 領域
S2 領域
S4 中央部
S5 セーフティゾーン
f1 平面
f2 平面
f9 平面
r1 最少曲率半径
r2 最大曲率半径
W 幅
W1 幅
W2 幅
θ1 傾斜角
θ2 傾斜角
θ3 傾斜角
θ5 傾斜角

Claims (11)

  1. 針体と、
    前記針体の基端側に位置し、前記針体に離脱可能に連結された第1の軸部と、前記第1の軸部と並んで設けられた第2の軸部と、を有する軸部と、
    前記第1の軸部の先端部に設けられ、前記第2の軸部をスライド可能に保持するとともに、前記第1の軸部と前記第2の軸部との相対的位置関係を規制する連結部と、を有することを特徴とする穿刺部材。
  2. 前記連結部は、該連結部の近傍において前記第1の軸部と前記第2の軸部の離間距離を所定距離以内に維持する請求項1に記載の穿刺部材。
  3. 前記連結部は、前記第2の軸部の延在方向に離間して設けられた少なくとも一対の挿通孔を有し、前記一対の挿通孔に前記第2の軸部が挿通され、
    前記一対の挿通孔の間にて前記第1の軸部と前記第2の軸部の離間距離が前記所定距離以内に維持されている請求項2に記載の穿刺部材。
  4. 前記連結部は、初期状態から前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動し、前記軸部が延長された延長状態となった後に、前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して先端側へ相対移動するのを規制する請求項3に記載の穿刺部材。
  5. 前記連結部は、前記延長状態となった後に、前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動するのを許容し、
    前記第1の軸部が前記第2の軸部に対して基端側へ相対移動することで、前記連結部が前記第2の軸部から離脱する請求項4に記載の穿刺部材。
  6. 前記連結部および前記第2の軸部の一方に設けられ、前記第2の軸部の基端側を向く当接面と、他方に設けられ、前記当接面に前記基端側から当接する当接部とを有し、前記延長状態において前記当接面と前記当接部とが当接または対向する請求項4または5に記載の穿刺部材。
  7. 前記連結部に当接部が設けられ、
    前記第2の軸部に前記当接面が設けられている請求項6に記載の穿刺部材。
  8. 前記当接部は、前記一対の挿通孔の間に位置している請求項7に記載の穿刺部材。
  9. 前記連結部は、扁平形状を有する部分を有している請求項1ないし8のいずれか1項に記載の穿刺部材。
  10. 前記軸部が挿入される管状の医療用チューブを有し、
    前記医療用チューブは、短軸および長軸を有する偏平の横断面形状をなし、
    前記第1の軸部および前記第2の軸部は、前記医療用チューブ内にて前記医療用チューブの長軸方向に沿って並設されている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の穿刺部材。
  11. 前記医療用チューブの先端部に前記針体が接続されている請求項10に記載の穿刺部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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