JP2015155541A - シロキサンポリマー架橋硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主鎖にカゴ状シルセスキオキサン骨格とケイ素数4〜30の直鎖状シロキサン骨格を交互に有する重量平均分子量2,000〜10,000,000の末端シラノール基含有ケイ素ポリマーと、式(1)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(1)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーから選ばれる一以上から得られる、ガラス転移点が30℃以下、かつ線膨張率が10ppm以下である、シロキサンポリマー架橋硬化物。R3−Si(R4)3(1)(R3はC1〜20のアルキル又はC6〜30のアリール;R4は各々独立に加水分解性能基)
【選択図】なし
Description
そこで、架橋性ケイ素化合物を反応させて架橋性組成物とし、シロキサンポリマーで形成されるシロキサンポリマー架橋硬化物を形成し、成形体の耐熱性を上げる検討がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1,2では本願明細書の式(1)で表されるケイ素化合物を用いたポリマーが開示されている。しかしながら、前記ポリマーに関しては、シルセスキオキサン骨格間のシロキサン鎖を短くして、耐熱性に優れる硬いフィルムを得るという目的で開発されたため、mが3以下のポリマーしか合成されておらず、ポリマーのガラス転移点や線膨張係数については、検討されていない。一方、本発明はこれとは逆の目的で開発されており、シロキサン鎖を長くし、フレキシブルな部分を持たせつつ、架橋硬化物の線膨張率が非常に低いという、相反する特性を両立させたことに特徴がある。
[1] 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とから得られる、シロキサンポリマー架橋硬化物。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。)
[2] mが、4〜12の整数である、[1]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[3] mが、4である、[1]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[4] 式(2)で表される架橋性ケイ素化合物が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン又はメチルトリアセトキシシランであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[5] R0がフェニルであり、R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル又はフェニルであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。[6] R0がフェニルであり、R1及びR2がメチルであることを特徴とする[5]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物からなる光学材料。
[8] 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とを反応させる工程を含む、シロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。)
[9] 式(3)で表されるシルセスキオキサンと、式(4’)で表される化合物とを反応させて式(6)の化合物を得た後、前記式(6)の化合物と式(4'')で表される化合物とをさらに反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)、(4')、(6)、(4'')中、R0、R1及びR2は式(1)におけるR0、R1及びR2と同様に定義される基であり、Xはハロゲンであり、mは4〜30の整数であり、lは0〜14の整数であり、lはmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0である。)
[10] 式(3)で表されるシルセスキオキサンを、式(5)で表される化合物と反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)中、R0、R1は式(1)におけるR0、R1と同様に定義される基である。)
(式(5)中、R2は式(1)におけるR2と同様に定義される基であり、hは3〜6の整数である。)
[11] 式(3)で表されるシルセスキオキサンと、式(4’)で表される化合物とを反応させて式(6)の化合物を得た後、式(6)の化合物と式(5)で表される化合物とをさらに反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)、(4')、(5)、(6)中、R0、R1及びR2は式(1)におけるR0、R1及びR2と同様に定義される基であり、Xはハロゲンであり、mは4〜30の整数であり、lは0〜12の整数であり、lはmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0であり、hは3〜6の整数である。)
通常知られているケイ素系の重合体からなる材料と比較すると、常温域の線膨張係数が1/100以下のレベルである。したがって、金属や樹脂材料との接着界面の応力集中が低く、封止材や接着フィルムといった光学材料に非常に有用である。
が好ましい。光学特性等の諸特性を得る観点、及び合成の容易性の観点から、R0はフェニルであり、R1及びR2はメチルであることが特に好ましい。
ここで、lは独立して0〜14でmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0である。このうちlは0〜3の整数であることが好ましい。
ロメタンスルホン酸、活性白土、スルホン酸系イオン交換樹脂がより好ましい。
式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、及び炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。また、炭素数1〜15のアシルとしては、アセチルが例示できる。また、炭素数1〜15のアルコキシルとしては、メトキシ、エトキシが例示できる。また、炭素数1〜15のオキシムとしては、エチルメチルオキシムが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノとしては、シクロヘキシルアミノが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミドとしては、N−メチルアセトアミドが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシとしては、ジエチルアミノキシが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基としては、1−メチルビニルアルコール残基が例示できる。
ケイ素化合物と架橋性ケイ素化合物又はそのオリゴマーとの反応は、必要に応じて、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、例えば、酢酸、塩酸等の酸触媒、及び有機錫系触媒が挙げられる。触媒の種類及び使用量は、架橋性官能基の種類に応じて決めることができ、例えば架橋性の官能基がエトキシである場合では、例えば触媒にはラウリン酸ジブチル錫が、架橋性ケイ素化合物100重量部に対して0.01〜5重量部で使用される。
また、本発明のシロキサンポリマー架橋硬化物は、ガラス転移点が常温30℃以下、かつ線膨張率が10ppm以下である、という特性から、このような幅広い用途への利用が期待される。
<測定条件>
カラム:Shodex KF−806M 300×8.0mm
移動相:THF
流速:1.0ml/min
温度:35℃
検出器:UV(256nm)
分子量標準サンプル:分子量既知のポリスチレン
熱特性はTG−DTA(熱重量−示差熱分析)によって評価した。TG−DTA測定の条件を以下に示す。
<測定条件>
測定装置:示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000 TG/DTA6300(セイコーインスツル株式会社製)
パン:Pt
標準試料:酸化アルミニウム(10mg)
サンプル質量:約10mg
温度プログラム:25〜800℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素
1Lフラスコに、サンプリング管、撹拌シール、温度計保護管、滴下ロートを取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、THF 500mL、トリエチルアミン6.30g(62.3mmol)をフラスコ内に入れ、これに攪拌しながら式(10)で表される化合物30.20g(25.3mmol)を入れた。フラスコを冷却し、これにジメチルジクロロシラン7.83g(60.7mmol)を内温が5℃を超えないように滴下した。滴下終了後、冷却下で2時間攪拌し、その後、室温(25℃)にて攪拌を行った。一夜室温にて攪拌後、純水を加えて反応を停止した。純水を加えて攪拌後、下層を抜き出した。この水洗操作を6回行った。
上層を抜き出し、エバポレーターにより濃縮して白色ペースト状の粗生成物を得た。これにヘキサンを加えて攪拌を30分間行い、不溶分をろ別回収し、50℃で、減圧乾燥を行い、無色の粉末22.8gを得た。1H−NMR及びGPC分析より、式(11)で表される化合物(シルセスキオキサン)が95%の純度で得られていることを確認した。
上記実施例1のうち、THFをシクロペンチルメチルエーテルに変更した以外は同様にして合成した。同様に式(11)で表される化合物(シルセスキオキサン)を合成した。化合物は95%の純度で得られた。NMRチャートを図1に示す。
500mLフラスコに、サンプリング管、撹拌シール、温度計保護管、滴下ロートを取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、シクロペンチルメチルエーテル100mL、トリエチルアミン3.63g(0.0355mol)、1,3−ジクロロテトラメチルジシロキサン12.72g(60.7mmol)をフラスコ内に入れた。フラスコを内温5℃以下に冷却し、これに攪拌しながら式(10)で表される化合物15g(12.6mmol)を内温が5℃を超えないように入れた。滴下終了後、冷却下で2時間攪拌し、その後室温にて攪拌を行った。一夜室温にて攪拌後、純水を加えて反応を停止した。
この後は上記実施例1と同様に操作を行い、収率18.0%で白色粉末3.3gを得た。1H−NMR、GPC分析、及びTOF/MSより、式(12)で表される化合物(シルセスキオキサン)が95%の純度で得られた。
NMRチャートを図2に示す。
500mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物15.0g(11.2mmol)、トリエチルアミン2.3g(22.5mmol)、シクロペンチルメチルエーテル150mLを入れた。内温を約0℃に保ち、攪拌しながら、1,5−ジク
ロロヘキサメチルトリシロキサン3.2g(11.5mmol)を滴下した。−5℃にて24時間攪拌を継続し、純水100mLを加えて反応を停止させた。純水にて8回水洗を行った後、上層を抜き出し、エバポレーターにより溶媒を留去することによりアメ状物質28.6gを得た。NMR分析より、得られた固体は式(13)で表されるケイ素化合物であることがわかった。得られたシロキサンポリマー(ケイ素化合物)をGPCで測定したところ、重量平均分子量Mwは5,900であった。
300mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物15.0g(11.2mmol)、トリエチルアミン10.7g(106mmol)、脱水トルエン100mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン3.1g(11.2mmol)を滴下した。5℃にて20時間攪拌を継続し、純水50mLを加えて反応を停止させた。純水1.1L、0.48M塩酸水溶液150mL、トルエン50mLを加えて洗浄、中性となったことを確認した後、上層を抜き出し、エバポレーターにより溶媒を留去することにより白色オイル状物質を得た。これを少量のトルエンに溶解後、冷却したヘキサンを滴下し、0℃で1時間攪拌後、上澄みを除去、残ったオイル状物質を減圧乾燥して、式(13)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約40%の収率で得た。
2回合成を実施した。1回目は、GPC分析より数平均分子量Mn=23,800、重量平均分子量Mw=74,200であり、シルセスキオキサン部分(式(13)の繰り返し部分n)が平均47ユニット(n=47)存在することがわかった。2回目は、GPC分析より数平均分子量Mn=40,300、重量平均分子量Mw=111,000であり、シルセスキオキサン部分が平均70ユニット存在することがわかった。合成2回目のNMRチャートを図3に示す。また、合成2回目のGPCチャートを図4に示す。
50mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物2.94g(2.2mmol)、トリエチルアミン2.23g(22mmol)、脱水トルエン20mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン0.77g(2.2mmol)を加えた。その後は実施例4と同様に操作を行い、式(14)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約30%の収率で得た。
GPC分析より数平均分子量Mn=22,600、重量平均分子量Mw=37,800であった。NMRチャートを図5に示す。また、GPCチャートを図6に示す。
50mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(12)で表される化合物3.0g(2.2mmol)、トリエチルアミン2.23g(22mmol)、脱水トルエン15mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,7−ジクロロヘキサメチルテトラシロキサン0.77g(2.2mmol)を加えた。5℃にて20時間攪拌を継続し、純水20mLを加えて反応を停止させた。白濁した有機層を分液し、その後は実施例4と同様に操作を行い、式(15)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約30%の収率で得た。
GPC分析より数平均分子量Mn=43,800、重量平均分子量Mw=79,600であった。
GPCチャートを図7に示す。
(架橋硬化性組成物の作製)
表1の通り、実施例1〜7で得られたシルセスキオキサン及びケイ素化合物を用い、架橋剤としてメチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、溶媒としてトルエンを用いてよく混合することにより、架橋硬化性のシロキサンポリマー組成物を作製した。
なお、表1のポリマーでPDMSとあるのは、式(16)で表される両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであり、例えば、Gelest社製DMS−32(MW=36,000)(組成物5に使用)として入手できる。組成物6のPDMSは1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサンを加水分解して両末端を水酸基に変換することにより得られる。
DD(Me)−Si3は、下記式(17)で表されるケイ素化合物であり、式(10)で表される化合物と、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサンとを反応させることにより得られる。また、DD(Me)−Si4は、下記式(18)で表されるケイ素化合物であり、式(10)で表される化合物と、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサンとを反応させることにより得られる。
実施例8で得られたシロキサンポリマー組成物を、15分間攪拌、脱泡後、テフロン(登録商標)製の型に入れ、10分間風乾させた。オーブン中で80℃、1時間加熱し、さらに120℃、2時間加熱することにより硬化させ、得られた架橋硬化物を取り出した。結果、透明な架橋硬化物が得られた。
表2に、それぞれの架橋硬化物(硬化フィルム)、及び用いたシロキサンポリマー組成物、硬化物のTg、5%重量減少温度(Td5)、線膨張係数を記載する。
なお、線膨張係数の測定条件は以下の通り。
測定装置:熱応力歪測定装置TMA/SS100(SEIKO)、昇温レート:0.5(℃/min)、荷重:90(mN)
測定硬化物フィルム:長さ1cm、幅3mm
またポリシルセスキオキサン部分がないポリシロキサン(PDMS)からなる架橋硬化物(フィルム)は、常温以下のTgを持つが、線膨張係数は通常のシロキサン硬化物と同様の数字であり、やはり常温で線膨張係数が低い架橋フィルムは得られない。
本発明シロキサンポリマー架橋硬化物は、フレキシブルな部分を持たせつつ架橋硬化物
の線膨張率が非常に低いという、相反する特性を両立させたことに特徴があり、したがって、各種表示素子における各種層を形成するための電気、電子材料を始め、レンズ等の光学材料への適用や、他の種々の技術分野への利用が可能である。
そこで、架橋性ケイ素化合物を反応させて架橋性組成物とし、シロキサンポリマーで形成されるシロキサンポリマー架橋硬化物を形成し、成形体の耐熱性を上げる検討がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1,2では本願明細書の式(1)で表されるケイ素化合物を用いたポリマーが開示されている。しかしながら、前記ポリマーに関しては、シルセスキオキサン骨格間のシロキサン鎖を短くして、耐熱性に優れる硬いフィルムを得るという目的で開発されたため、mが3以下のポリマーしか合成されておらず、ポリマーのガラス転移点や線膨張係数については、検討されていない。一方、本発明はこれとは逆の目的で開発されており、シロキサン鎖を長くし、フレキシブルな部分を持たせつつ、架橋硬化物の線膨張率が非常に低いという、相反する特性を両立させたことに特徴がある。
3官能以上の架橋性ケイ素化合物とを反応させてなる、シロキサンポリマー架橋硬化物を完成させた。
[1] 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とから得られる、シロキサンポリマー架橋硬化物。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。)
[2] mが、4〜12の整数である、[1]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[3] mが、4である、[1]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[4] 式(2)で表される架橋性ケイ素化合物が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン又はメチルトリアセトキシシランであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[5] R0がフェニルであり、R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル又はフェニルであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。[6] R0がフェニルであり、R1及びR2がメチルであることを特徴とする[5]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のシロキサンポリマー架橋硬化物からなる光学材料。
[8] 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とを
反応させる工程を含む、シロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。)
[9] 式(3)で表されるシルセスキオキサンと、式(4’)で表される化合物とを反応させて式(6)の化合物を得た後、前記式(6)の化合物と式(4'')で表される化合物とをさらに反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)、(4')、(6)、(4'')中、R0、R1及びR2は式(1)におけるR0、R1及びR2と同様に定義される基であり、Xはハロゲンであり、mは4〜30の整数であり、lは0〜14の整数であり、lはmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0である。)
[10] 式(3)で表されるシルセスキオキサンを、式(5)で表される化合物と反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)中、R0、R1は式(1)におけるR0、R1と同様に定義される基である。)
(式(5)中、R2は式(1)におけるR2と同様に定義される基であり、hは3〜6の整数である。)
[11] 式(3)で表されるシルセスキオキサンと、式(4’)で表される化合物とを反応させて式(6)の化合物を得た後、式(6)の化合物と式(5)で表される化合物とをさらに反応させることにより、式(1)で表されるケイ素化合物を得る工程を含む、[8]記載のシロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(3)、(4')、(5)、(6)中、R0、R1及びR2は式(1)におけるR0、R1
及びR2と同様に定義される基であり、Xはハロゲンであり、mは4〜30の整数であり、lは0〜12の整数であり、lはmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0であり、hは3〜6の整数である。)
通常知られているケイ素系の重合体からなる材料と比較すると、常温域の線膨張係数が1/100以下のレベルである。したがって、金属や樹脂材料との接着界面の応力集中が低く、封止材や接着フィルムといった光学材料に非常に有用である。
ここで、lは独立して0〜14でmより小さい整数であってm−(l×2)−2>0である。このうちlは0〜3の整数であることが好ましい。
式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、及び炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。また、炭素数1〜15のアシルとしては、アセチルが例示できる。また、炭素数1〜15のアルコキシルとしては、メトキシ、エトキシが例示できる。また、炭素数1〜15のオキシムとしては、エチルメチルオキシムが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノとしては、シクロヘキシルアミノが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミドとしては、N−メチルアセトアミドが例示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシとしては、ジエチルアミノキシが例
示できる。また、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基としては、1−メチルビニルアルコール残基が例示できる。
ケイ素化合物と架橋性ケイ素化合物又はそのオリゴマーとの反応は、必要に応じて、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、例えば、酢酸、塩酸等の酸触媒、及び有機錫系触媒が挙げられる。触媒の種類及び使用量は、架橋性官能基の種類に応じて決めることができ、例えば架橋性の官能基がエトキシである場合では、例えば触媒にはラウリン酸ジブチル錫が、架橋性ケイ素化合物100重量部に対して0.01〜5重量部で使用される。
成物の耐熱性や溶剤に対する溶解性の変化によって確認することができる。例えば、120℃に加熱したときに、生成物が融解しなくなることによってシロキサンポリマー架橋硬化物が生成されたことを確認することができる。また、生成物がアセトンに対して不溶であることによってシロキサンポリマー架橋硬化物が生成されたことを確認することができる。
の高分子分散剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系もしくはフッ素系の界面活性剤;シリコーン系樹脂等の塗布性向上剤;シランカップリング剤等の密着性向上剤;フェノール系、硫黄系、およびリン系等の酸化防止剤;アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;エポキシ化合物、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤;有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤;二酸化チタン、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤および有機色素等の着色剤;三酸化アンチモン、ブロム化合物およびリン化合物等の難燃剤;金属酸化物、シリカ、ガラスビーズ、金属水酸化物等の粉末状の補強剤や充填剤等が利用できる。
また、本発明のシロキサンポリマー架橋硬化物は、ガラス転移点が常温30℃以下、かつ線膨張率が10ppm以下である、という特性から、このような幅広い用途への利用が期待される。
<測定条件>
カラム:Shodex KF−806M 300×8.0mm
移動相:THF
流速:1.0ml/min
温度:35℃
検出器:UV(256nm)
分子量標準サンプル:分子量既知のポリスチレン
熱特性はTG−DTA(熱重量−示差熱分析)によって評価した。TG−DTA測定の条件を以下に示す。
<測定条件>
測定装置:示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000 TG/DTA6300(セ
イコーインスツル株式会社製)
パン:Pt
標準試料:酸化アルミニウム(10mg)
サンプル質量:約10mg
温度プログラム:25〜800℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素
1Lフラスコに、サンプリング管、撹拌シール、温度計保護管、滴下ロートを取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、THF 500mL、トリエチルアミン6.30g(62.3mmol)をフラスコ内に入れ、これに攪拌しながら式(10)で表される化合物30.20g(25.3mmol)を入れた。フラスコを冷却し、これにジメチルジクロロシラン7.83g(60.7mmol)を内温が5℃を超えないように滴下した。滴下終了後、冷却下で2時間攪拌し、その後、室温(25℃)にて攪拌を行った。一夜室温にて攪拌後、純水を加えて反応を停止した。純水を加えて攪拌後、下層を抜き出した。この水洗操作を6回行った。
上層を抜き出し、エバポレーターにより濃縮して白色ペースト状の粗生成物を得た。これにヘキサンを加えて攪拌を30分間行い、不溶分をろ別回収し、50℃で、減圧乾燥を行い、無色の粉末22.8gを得た。1H−NMR及びGPC分析より、式(11)で表される化合物(シルセスキオキサン)が95%の純度で得られていることを確認した。
上記実施例1のうち、THFをシクロペンチルメチルエーテルに変更した以外は同様にして合成した。同様に式(11)で表される化合物(シルセスキオキサン)を合成した。
化合物は95%の純度で得られた。NMRチャートを図1に示す。
500mLフラスコに、サンプリング管、撹拌シール、温度計保護管、滴下ロートを取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、シクロペンチルメチルエーテル100mL、トリエチルアミン3.63g(0.0355mol)、1,3−ジクロロテトラメチルジシロキサン12.72g(60.7mmol)をフラスコ内に入れた。フラスコを内温5℃以下に冷却し、これに攪拌しながら式(10)で表される化合物15g(12.6mmol)を内温が5℃を超えないように入れた。滴下終了後、冷却下で2時間攪拌し、その後室温にて攪拌を行った。一夜室温にて攪拌後、純水を加えて反応を停止した。
この後は上記実施例1と同様に操作を行い、収率18.0%で白色粉末3.3gを得た。1H−NMR、GPC分析、及びTOF/MSより、式(12)で表される化合物(シルセスキオキサン)が95%の純度で得られた。
NMRチャートを図2に示す。
500mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物15.0g(11.2mmol)、トリエチルアミン2.3g(22.5mmol)、シクロペンチルメチルエーテル150mLを入れた。内温を約0℃に保ち、攪拌しながら、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン3.2g(11.5mmol)を滴下した。−5℃にて24時間攪拌を継続し、純水100mLを加えて反応を停止させた。純水にて8回水洗を行った後、上層を抜き出し、エバポレーターにより溶媒を留去することによりアメ状物質28.6gを得た。NMR分析より、得られた固体は式(13)で表されるケイ素化合物であることがわかった。得られたシロキサンポリマー(ケイ素化合物)をGPCで測定したところ、重量平均分子量Mwは5,900であった。
300mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物15.0g(11.2mmol)、トリエチルアミン10.7g(106mmol)、脱水トルエン100mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン3.1g(11.2mmol)を滴下した。5℃にて20時間攪拌を継続し、純水50mLを加えて反応を停止させた。純水1.1L、0.48M塩酸水溶液150mL、トルエン50mLを加えて洗浄、中性となったことを確認した後、上層を抜き出し、エバポレーターにより溶媒を留去することにより白色オイル状物質を得た。これを少量のトルエンに溶解後、冷却したヘキサンを滴下し、0℃で1時間攪拌後、上澄みを除去、残ったオイル状物質を減圧乾燥して、式(13)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約40%の収率で得た。
2回合成を実施した。1回目は、GPC分析より数平均分子量Mn=23,800、重量平均分子量Mw=74,200であり、シルセスキオキサン部分(式(13)の繰り返し部分n)が平均47ユニット(n=47)存在することがわかった。2回目は、GPC分析より数平均分子量Mn=40,300、重量平均分子量Mw=111,000であり、シルセスキオキサン部分が平均70ユニット存在することがわかった。合成2回目のNMRチャートを図3に示す。また、合成2回目のGPCチャートを図4に示す。
50mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(11)で表される化合物2.94g(2.2mmol)、トリエチルアミン2.23g(22mmol)、脱水トルエン20mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン0.77g(2.2mmol)を加えた。その後は実施例4と同様に操作を行い、式(14)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約30%の収率で得た。
GPC分析より数平均分子量Mn=22,600、重量平均分子量Mw=37,800であった。NMRチャートを図5に示す。また、GPCチャートを図6に示す。
50mLフラスコ内部を窒素置換した後、式(12)で表される化合物3.0g(2.2mmol)、トリエチルアミン2.23g(22mmol)、脱水トルエン15mLを入れた。内温を約5℃に保ち、攪拌しながら、1,7−ジクロロヘキサメチルテトラシロキサン0.77g(2.2mmol)を加えた。5℃にて20時間攪拌を継続し、純水20mLを加えて反応を停止させた。白濁した有機層を分液し、その後は実施例4と同様に操作を行い、式(15)で表される透明なポリマー(ケイ素化合物)を約30%の収率で得た。
GPC分析より数平均分子量Mn=43,800、重量平均分子量Mw=79,600であった。
GPCチャートを図7に示す。
(架橋硬化性組成物の作製)
表1の通り、実施例1〜7で得られたシルセスキオキサン及びケイ素化合物を用い、架橋剤としてメチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、溶媒としてトルエンを用いてよく混合することにより、架橋硬化性のシロキサンポリマー組成物を作製した。
なお、表1のポリマーでPDMSとあるのは、式(16)で表される両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであり、例えば、Gelest社製DMS−32(MW=36,000)(組成物5に使用)として入手できる。組成物6のPDMSは1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサンを加水分解して両末端を水酸基に変換することにより得られる。
DD(Me)−Si3は、下記式(17)で表されるケイ素化合物であり、式(10)で表される化合物と、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサンとを反応させることにより得られる。また、DD(Me)−Si4は、下記式(18)で表されるケイ素化合物であり、式(10)で表される化合物と、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサンとを反応させることにより得られる。
実施例8で得られたシロキサンポリマー組成物を、15分間攪拌、脱泡後、テフロン(登録商標)製の型に入れ、10分間風乾させた。オーブン中で80℃、1時間加熱し、さらに120℃、2時間加熱することにより硬化させ、得られた架橋硬化物を取り出した。結果、透明な架橋硬化物が得られた。
表2に、それぞれの架橋硬化物(硬化フィルム)、及び用いたシロキサンポリマー組成物、硬化物のTg、5%重量減少温度(Td5)、線膨張係数を記載する。
なお、線膨張係数の測定条件は以下の通り。
測定装置:熱応力歪測定装置TMA/SS100(SEIKO)、昇温レート:0.5(℃/min)、荷重:90(mN)
測定硬化物フィルム:長さ1cm、幅3mm
またポリシルセスキオキサン部分がないポリシロキサン(PDMS)からなる架橋硬化物(フィルム)は、常温以下のTgを持つが、線膨張係数は通常のシロキサン硬化物と同様の数字であり、やはり常温で線膨張係数が低い架橋フィルムは得られない。
本発明シロキサンポリマー架橋硬化物は、フレキシブルな部分を持たせつつ架橋硬化物
の線膨張率が非常に低いという、相反する特性を両立させたことに特徴があり、したがって、各種表示素子における各種層を形成するための電気、電子材料を始め、レンズ等の光学材料への適用や、他の種々の技術分野への利用が可能である。
Claims (14)
- 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とから得られる、ガラス転移点が30℃以下、かつ線膨張率が10ppm以下である、シロキサンポリマー架橋硬化物。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。) - mが、4〜12の整数である、請求項1記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
- mが、4である、請求項2記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
- 式(2)で表される架橋性ケイ素化合物が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン又はメチルトリアセトキシシランであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
- R0がフェニルであり、R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル又はフェニルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
- R0がフェニルであり、R1及びR2がメチルであることを特徴とする請求項5記載のシロキサンポリマー架橋硬化物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物からなる光学材料。
- 式(1)で表されるケイ素化合物と、式(2)で表される架橋性ケイ素化合物及び式(2)で表される架橋性ケイ素化合物のオリゴマーからなる群から選ばれる一以上とを反応させる工程を含む、ガラス転移点が30℃以下、かつ線膨張率が10ppm以下である、シロキサンポリマー架橋硬化物の製造方法。
(式(1)中、mは、独立して4〜30の整数を表し;nは、重量平均分子量2,000〜10,000,000を満たす数字を表し;R0は、独立して、フェニル又はシクロヘキシルを表し;R1及びR2は、独立してフェニル、シクロヘキシル又は炭素数1〜5のアルキルを表し、前記フェニル及びシクロヘキシルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数1〜5のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。)
R3−Si(R4)3 (2)
(式(2)中、R3は炭素数1〜20のアルキル又は炭素数6〜30のアリールを表し、R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜15のアシル、炭素数1〜15のアルコキシル、炭素数1〜15のオキシム、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノ、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミド、炭素数1〜15の置換基を有していてもよいアミノキシ、又は炭素数1〜15の置換基を有していてもよいビニルアルコール残基を表す。) - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物又は請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたシロキサンポリマー架橋硬化物を含む光学材料。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物又は請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたシロキサンポリマー架橋硬化物を含むLED封止材料。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー架橋硬化物又は請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたシロキサンポリマー架橋硬化物を含む光透過性接着剤。
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