JP2015148007A - 機能性フィルムの製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成されたフィルムの巻き取りに起因する膜欠陥を減らし、高い機能性を示す機能性フィルムの製造装置及び製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の機能性フィルムFの製造装置Aは、長尺のベースフィルム1上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムFの製造装置Aであって、ベースフィルム1上に無機膜を形成する第1成膜部A1と、無機膜が形成されたベースフィルム1が巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、無機膜上又はベースフィルム1上に保護層を形成し、かつ無機膜の全面積に対する保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜部A2と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、機能性フィルムの製造装置及び製造方法に関する。より詳しくは、長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成されたフィルムの巻き取りに起因する膜欠陥を減らし、高い機能性を示す機能性フィルムの製造装置等に関する。
従来、ベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成された機能性フィルムが広く利用されている。
食品、医薬品、電子デバイス等の包装材として用いられているガスバリアー性フィルムも、機能性フィルムの1つである。ガスバリアー性フィルムは、ベースフィルム上に形成されたガスバリアー層が、大気中の水、酸素等のガスを遮蔽して内容物の劣化を防ぐ。
ロール・トゥ・ロール(roll to roll)方式によって、長尺のベースフィルムに連続して無機膜を形成する場合、フィルムの巻き取り時に無機膜がベースフィルムに接触し、膜欠陥が生じることがある。
このような膜欠陥を減らすため、無機膜の全面を被覆するように保護フィルムを配置して巻き取り、巻き取り時における無機膜とベースフィルムの接触を防止することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、無機膜上に無機膜の全面を被覆する保護層を形成することも行われている(例えば、特許文献2及び3参照)。
しかしながら、保護フィルムは、機能性フィルムの使用時には取り除かれるため、無駄な廃材が増える。
保護層も機能性フィルムの使用時には洗浄処理によって除去する必要があるが、無機膜の全面を被覆するように保護層を設けると、洗浄負荷が大きくなる。洗浄処理の時間が長いと、洗浄によって先に保護層が除去された部分の無機膜が損傷することもある。
また、真空圧中で無機膜を形成する場合、無機膜の形成後に連続して大気圧下で保護層を形成しようとすると、真空圧から大気圧への圧力調整が必要となり、製造コストを要する。
特開平1−185836号公報 特開2003−231198号公報 特開2011−222212号公報
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、ベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成されたフィルムの巻き取りに起因する膜欠陥を減らし、高い機能性を示す機能性フィルムの製造装置及び製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、無用な廃材を減らすためには保護層をスペーサーとして形成することが有効であるが、全面的に保護層を形成すると、保護層を除去する洗浄負荷が大きいと考えた。鋭意検討の結果、本発明者らは、全面的に無機膜を被覆しなくとも、被覆率が5〜98%の範囲内であれば、無機膜を十分に保護でき、除去も容易であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造装置であって、
前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜部と、
前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜部と、
を備えていることを特徴とする機能性フィルムの製造装置。
2.前記第2成膜部は、前記第1成膜部により形成された無機膜上か、又は前記無機膜が形成されたベースフィルムの面と反対側の面上に、前記保護層を形成することを特徴とする第1項に記載の機能性フィルムの製造装置。
3.前記第1成膜部は、真空圧下において前記無機膜を形成し、
前記第2成膜部は、前記第1成膜部による無機膜の形成と連続して、真空圧下において前記保護層を形成することを特徴とする第1項又は第2項に記載の機能性フィルムの製造装置。
4.前記第2成膜部は、前記保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
5.前記第2成膜部により形成された前記保護層の全面積に対し、大気圧下において前記ロール体を巻き出して展開された機能性フィルム上に残存する前記保護層の面積の割合で表される残存率が、98〜100%の範囲内にあることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
6.大気圧下において、前記展開された機能性フィルムを洗浄処理して、前記保護層を除去する洗浄処理部を備えていることを特徴とする第5項に記載の機能性フィルムの製造装置。
7.前記第1成膜部は、原子層堆積法により前記無機膜を形成することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
8.長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造方法であって、
前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜工程と、
前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜工程と、
を含むことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
9.前記第2成膜工程では、前記第1成膜工程で形成された無機膜上か、又は前記無機膜が形成されたベースフィルムの面と反対側の面上に、前記保護層を形成することを特徴とする第8項に記載の機能性フィルムの製造方法。
10.前記第1成膜工程では、真空圧下において前記無機膜を形成し、
前記第2成膜工程では、前記第1成膜工程での無機膜の形成と連続して、真空圧下において前記保護層を形成することを特徴とする第8項又は第9項に記載の機能性フィルムの製造方法。
11.前記第2成膜工程では、前記保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することを特徴とする第8項から第10項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
12.前記第2成膜工程で形成された前記保護層の全面積に対し、大気圧下において前記ロール体を巻き出して展開された機能性フィルム上に残存する前記保護層の面積の割合で表される残存率が、98〜100%の範囲内にあることを特徴とする第8項から第11項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
13.大気圧下において、前記展開された機能性フィルムを洗浄処理して、前記保護層を除去する洗浄工程を含むことを特徴とする第12項に記載の機能性フィルムの製造方法。
14.前記第1成膜工程では、原子層堆積法により前記無機膜を形成することを特徴とする第8項から第13項までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、ベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成されたフィルムの巻き取りに起因する膜欠陥を減らし、高い機能性を示す機能性フィルムの製造装置及び製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
本発明の上記手段によれば、ロール体において対面する無機膜と無機膜の間か、ロール体において対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層をスペーサーとして配置させることができる。したがって、巻き取り時の無機膜同士の接触又は無機膜とベースフィルムとの接触を防いで、フィルムの巻き取り時の接触に起因する膜欠陥を減らすことができる。また、保護層の被覆率が5〜98%の範囲内であるので、無機膜を十分に保護できるだけでなく、保護層の除去も容易となる。除去時に発生する膜欠陥も減らすことができ、高い機能性を示す機能性フィルムを製造することができる。
本実施の形態に係る機能性フィルムの製造装置が備える第1成膜部及び第2成膜部の概略構成を示す正面図 保護層のパターンの一例を示す上面図 保護層の被覆率を5〜98%の範囲内で異ならせたパターンの一例を示す上面図 本実施の形態に係る機能性フィルムの製造装置が備える洗浄処理部の概略構成を示す正面図 真空蒸着法を用いた場合の第1成膜部の概略構成を示す正面図 機能性フィルムの一例を示す断面図 実施例で使用した保護層のパターンを示す上面図
本発明の機能性フィルムの製造装置は、長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造装置であって、前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜部と、前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜部と、を備えていることを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項14までの各請求項に係る発明に共通の又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記第2成膜部は、前記第1成膜部で形成された無機膜上か、又は前記無機膜が形成されたベースフィルムの面と反対側の面上に、前記保護層を形成することが好ましい。
また、前記第1成膜部は、真空圧下において前記無機膜を形成し、前記第2成膜部は、前記第1成膜部での無機膜の形成と連続して、真空圧下において前記保護層を形成することが、生産性の向上を図る観点から、好ましい。
さらに、前記第2成膜部は、前記保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することが好ましい。パターンにより保護層の被覆率の調整が容易となる。
本発明の実施態様としては、前記第2成膜部により形成された前記保護層の全面積に対し、大気圧下において前記ロール体を巻き出して展開された機能性フィルム上に残存する前記保護層の面積の割合で表される残存率が、98〜100%の範囲内にあることが、無機膜の損傷防止の観点から、好ましい。
また、大気圧下において、前記展開された機能性フィルムを洗浄処理して、前記保護層を除去する洗浄処理部を備えていることが好ましい。
均一な無機膜の形成等の観点から、前記第1成膜部は、原子層堆積法により前記無機膜を形成することが好ましい。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造方法であって、前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜工程と、前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の機能性フィルムの製造方法の好ましい実施態様は、製造装置の好ましい実施態様と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の機能性フィルムの製造装置及び製造方法は、長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成する。
無機膜を形成する方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等の種々の方法を採用することができるが、ち密な薄膜を形成でき、カバレッジ性に優れる観点から、ALD法により無機膜を形成することが好ましい。ALD法は、ベースフィルム上に2種以上の原料を交互に供給し、各原料を反応させる成膜処理を複数サイクル繰り返し、1サイクルごとに原子層(実際には化合物の分子層であり得る。)を1層ずつ堆積させて薄膜を形成する方法である。ALD法であれば、ALD法の1種であるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法、熱ALD法等を用いることもできる。
以下、本実施の形態の製造装置及び製造方法として、PEALD法を用いた製造装置及び製造方法を説明する。
〔機能性フィルムの製造装置〕
図1は、本実施の形態の機能性フィルムの製造装置Aの概略構成を示している。
機能性フィルムの製造装置Aは、図1に示すように、長尺のベースフィルム1上に機能性層として無機膜を形成する第1成膜部A1と、無機膜上又はベースフィルム上に保護層を形成する第2成膜部A2と、を備えている。
また、製造装置Aは、ベースフィルム1の搬送のため、アンワインダー11、ワインダー15、アンワインダー11とワインダー15間に配置された複数のローラー12を備えている。ベースフィルム1はロール体として供給され、アンワインダー11にセットされる。
アンワインダー11がロール体を巻き出すと、複数のローラー12が巻き出されたベースフィルム1を第1成膜部A1、第2成膜部A2へ順次搬送する。ワインダー15は、ベースフィルム1上に機能性層及び保護層が形成されて得られた機能性フィルムFを巻き取り、ロール体とする。
第1成膜部A1は、PEALD法により長尺のベースフィルム1上に機能性層として無機膜を形成する。PEALD法は、ALD法の1種であり、プラズマを用いて原料を改質する方法である。
第1成膜部A1は、図1に示すように、2つの原料供給部21及び22と、改質処理部23とを備えている。各原料供給部21、22及び改質処理部23は、真空ポンプ等によって真空圧下に調整されている。
また、第1成膜部A1は、原料供給部21と改質処理部23との間と、原料供給部22と改質処理部23との間に、それぞれパージ部24を有している。
原料供給部21及び22、改質処理部23、2つのパージ部24のそれぞれの間には仕切り板が配置され、仕切り板によって各原料供給部21及び22、改質処理部23、2つのパージ部24のチャンバーC1〜C4が形成されている。仕切り板は、各チャンバーC1〜C4内を長尺のベースフィルム1が通過できるように、ベースフィルム1の搬送経路上に開口が設けられている。
原料供給部21及び22は、無機膜の原料をガス状にして各チャンバーC1及びC2内へ供給する。原料は、前駆体とも呼ばれる。
チャンバーC1においては、ベースフィルム1の表面に原料供給部21により供給された原料が吸着し、チャンバーC2においては、ベースフィルム1の表面に原料供給部22により供給された原料が吸着する。
改質処理部23は、原料供給部21及び22により供給される原料の改質用ガスをチャンバーC3内に供給する。また、改質処理部23は、ベースフィルム1を挟んで対向するように配置された一対の電極231に図示しない交流電源により電力を供給することにより、改質用ガスに交流電圧を印加してプラズマPを生成する。改質処理部23は、プラズマPによりベースフィルム1上の原料を改質して、無機膜の原子層を形成する。無機膜の原子層は、実際には化合物の分子層であり得る。
ALD法を用いた場合、原料供給部21及び22により供給される異なる原料ガスにベースフィルム1を交互に曝して、原料同士を化学反応させて金属酸化物等の無機膜を形成する。これに対し、PEALD法では、ベースフィルム1上に原料を吸着させた後、酸素、窒素等のプラズマを用いて原料を改質処理することにより、金属酸化物等の無機膜を形成する。PEALD法において、原料供給部21及び22は同じ原料を供給することもできるし、異なる原料を供給することもできる。異なる原料とした場合、原料供給部21により供給された原料を改質処理して得られた無機膜と、原料供給部22により供給された原料を改質処理して得られた無機膜とを交互に積層することができる。
無機膜の原料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)等の金属元素を含有する金属化合物を用いることができる。無機膜は、当該原料を改質処理して得られた金属酸化物、金属窒化物等の金属化合物を含有し得る。
原料供給部21及び22により供給される原料を第1原料とし、改質処理部23により用いられる改質用ガスを第2原料とすると、形成する無機膜に応じて第1原料及び第2原料を選択することができる。
例えば、改質処理により酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム等の金属化合物を得る場合、第1原料としてはアルミニウムを含み、気化できるアルミニウム化合物であれば特に制限はない。そのようなアルミニウム化合物としては、例えば塩化アルミニウム(AlCl)、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリクロロアルミニウム等が挙げられる。
改質処理により酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)等の金属化合物を得る場合、第1原料としてはトリシラン(Si)、ジシラン(Si)、モノシラン(SiH)の他、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、テトラクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)等のクロロシラン系、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH)2])、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH)、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C)、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH[NH(C)])等のアミノシラン系、Si(OC、SiHCl、Si(NO等が挙げられる。
改質処理により酸化チタン(TiO)、窒化チタン、炭窒化チタン等の金属化合物を得る場合、第1原料としてはTiF、四塩化チタン(TiCl)、TiBr、TiI、テトラキスジメチルアミノチタン([(CHN]Ti)、テトラキスジエチルアミノチタンTi[N(C、Ti[N(CCH)]、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti[(OCH)(CH)が挙げられる。
改質処理により酸化ジルコニウム(ZrO)等の金属化合物を得る場合、第1原料としてはZr(NO、ZrCl、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(IV)(Zr[(CHN])、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(IV)(Zr[N(CH)CHCH)等が挙げられる。
また、改質処理により酸化亜鉛(ZnO)等の金属化合物を得る場合、第1原料としては二塩化亜鉛(ZnCl)等が挙げられる。
第2原料としては、第1原料を酸化する場合は水(HO)、酸素、オゾン(O)、メタノール、エタノール等を用いることができる。第1原料を窒化する場合は窒素、アンモニア(NH)等を用いることができる。これらのガスに、水素(H)ガスを併用してもよい。
機能性層がガスバリアー層である場合には、ガスバリアー性を高める観点から、無機膜が、Al、Ti、Si、Zr及びZnの金属元素のうち少なくとも1種以上の金属元素を含有する金属化合物を第1原料として形成されることが好ましい。これにより、ベースフィルム1が樹脂製であっても、50〜120℃の温度範囲で良質な無機膜を形成することができる。
同様の観点から、機能性層がガスバリアー層である場合、無機膜が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)等の金属酸化物を含有することが好ましい。トリメチルアルミニウム、四塩化チタン等を第1原料とする酸化アルミニウム、酸化チタンは、分子量の大きさが膜欠陥の補修に適しており、カバレッジ性を高まることから、特に好ましい。
また、各原料ガスの供給時間、成膜温度、成膜時の圧力等の成膜条件を調整することにより、AlO、TiO、SiO、ZrOのような中間酸化物、中間窒化物をガスバリアー層の材料として使用することもでき、必要に応じて使用すればよい。
第1原料の供給時間は、0.05〜10.00秒の範囲内であることが好ましく、0.1〜3.0秒の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2.0秒の範囲内であることがさらに好ましい。
供給時間が上記範囲内であれば、ベースフィルム1の表面に第1原料を必要十分に吸着させることができる。
改質処理の処理時間は、0.05〜10.00秒の範囲内であることが好ましく、0.1〜3.0秒の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2.0秒の範囲内であることがさらに好ましい。
処理時間が上記範囲内であれば、第2原料をベースフィルム1上の第1原料と必要十分に改質反応させることができる。
原料供給部21、22及び改質処理部23により無機膜が形成される際のベースフィルム1の温度は、350℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ベースフィルム1の温度が350℃以下であれば、ベースフィルム1に求められる耐熱性も350℃以下でよく、ベースフィルム1の製造コストを減らすことができる。
パージ部24は、チャンバーC4内に不活性ガスを供給し、当該不活性ガスとともにベースフィルム1上の余剰の第1原料又は第2原料を排気して除去する。
不活性ガスは、第1原料又は第2原料との反応性が低いガスをいう。使用できる不活性ガスとしては、例えば希ガス等が挙げられ、第1原料又は第2原料との反応性が低いのであれば、窒素ガス等も使用することができる。
第1原料及び第2原料をパージするための不活性ガスの導入時間は、0.05〜10.00秒の範囲内であることが好ましく、0.5〜6.0秒の範囲内であることが好ましく、1〜4秒の範囲内であることが好ましい。
導入時間が上記範囲内であれば、過剰な第1原料及び第2原料を必要十分に除去することができる。
第1成膜部A1は、原料供給部21によりベースフィルム1上に第1原料を供給した後、原料供給部22により第2原料を供給して第1原料と反応させる成膜処理を1サイクル行うことにより、ベースフィルム1上に無機膜の1原子層を形成することができる。
目的の膜厚が得られるまで複数サイクルの成膜処理を繰り返すため、複数のローラー12は、長尺のベースフィルム1を2つの原料供給部21及び22へ交互に繰り返し搬送するように、配置されている。
図1に示す第1成膜部A1の構成によれば、ベースフィルム1の両面に無機膜が形成されるが、第1成膜部A1によりベースフィルム1の片面にのみ無機膜が形成されるようにしてもよい。例えば、ベースフィルム1の搬送をローラー搬送ではなく、ベルト搬送として、搬送経路上に原料供給部21、改質処理部23、原料供給部22、改質処理部23の順に繰り返し配置することによって、片面にのみ無機膜を形成することができる。
第2成膜部A2は、無機膜が形成されたベースフィルム1が巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルム1との間に保護層が位置するように、無機膜上又はベースフィルム1上に保護層を形成し、無機膜の全面積に対する保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする。
被覆率が5%以上の保護層により、無機膜同士又は無機膜とベースフィルム1との接触による無機膜の損傷を十分に防ぐことができる。一方で、保護層の被覆率が98%以下であるため、洗浄処理による保護層の除去が容易であり、洗浄負荷及び洗浄処理時に生じる膜欠陥を減らすことができる。
第2成膜部A2は、保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することができる。パターンの変更によって容易に被覆率を5〜98%の範囲内に調整することができる。
特に、パターンの保護層の被覆率が30〜80%の範囲内にあると、保護層の被覆率が100%である場合と比較して、ロール体としたときの表裏の接触面積を小さくすることができる。また、巻き取りの張力によりベースフィルム1が微小に変形した場合にも無機膜同士の接触又は無機膜とベースフィルム1の接触を容易に回避することができる。さらに、保護層の洗浄工程において、洗浄液、洗浄部材等が保護層によって被覆されていない領域から無機層と保護層の界面へ侵入しやすく、洗浄性が向上する。
図2は、使用できる保護層のパターンの一例であるパターン101〜105を示している。
図2に示すように、パターン101はストライプのパターンであり、パターン102は格子のパターンであり、パターン103は水玉のパターンである。また、パターン104はAM(Amplitude Modulation)スクリーンのパターンであり、パターン105はFM(Frequency Modulation)スクリーンのパターンである。AMスクリーンのパターン104は面積が同じドットの集合体(網点)が周期的に配置され、FMスクリーンのパターン105は面積が同じドットが非周期的に配置されている。
保護層の被覆率を5〜98%の範囲内で調整するためには、ストライプのパターン101及び格子のパターン102の場合であれば、線幅、線の周期等を調整すればよい。また、水玉のパターン103の場合、水玉の直径又は密度を調整すればよい。AMスクリーンのパターン104の場合は網点の大きさ、スクリーン線数等を調整し、FMスクリーンのパターン105の場合はドットの密度を調整すればよい。
図3は、5〜98%の範囲内で被覆率を異ならせたAMスクリーンのパターン104とFMスクリーンのパターン105を示している。
AMスクリーン、FMスクリーンのようにドットによってパターン化される場合、ドットが隣り合ってできた集合体の径が小さいほど保護層の洗浄性が向上する。AMスクリーンの場合は、スクリーン線数等を多くすることにより同じ被覆率でも集合体の径を小さくすることができる。FMスクリーンの場合、ドットの頻度を増やすことにより同じ被覆率でも集合体の径を小さくすることができる。
第2成膜部A2により形成された保護層は、ワインダー15により得られた機能性フィルムFのロール体を大気圧下において巻き出して展開した場合に、形成された保護層の全面積に対し、展開された機能性フィルムF上に残存する保護層の面積の割合で表される残存率が、98〜100%の範囲内にあることが好ましい。
残存率が98〜100%であれば、巻き出し時の保護層の剥離が少なく、無機膜を十分に保護することができる。
保護層の残存率は、保護層の厚さを調整することにより、上記範囲内とすることができる。
通常は、保護層が厚いほど剥離しやすい。無機膜と保護層との密着性によって剥離のしやすさは変わるため、当該密着性に応じて保護層の残存率が98〜100%の範囲内となるときの保護層の厚さとすればよい。
保護層の材料としては、炭素含有ポリマーが好ましく、なかでも硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂の代表的なものとしては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が挙げられるが、なかでも電子線硬化性樹脂が好ましい。
使用できる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えばアクリレート化合物を含有する組成物、アクリレート化合物とチオール基を含有するメルカプト化合物とを含有する組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する組成物等が挙げられる。具体的には、新中村化学工業株式会社の硬化性2官能アクリレートNKエステル A−DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)等を用いることができる。
また、上記のような組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している活性エネルギー線硬化性材料であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種又は2種以上の混合物として使用できるし、その他の化合物との混合物としても使用することができる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂を含む組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
熱硬化性材料としては、具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、アデカ社製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製のシリコン樹脂 X−12−2400、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂の塗布液の調製時に硬化性樹脂の溶解又は分散に用いることができる溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−又はβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
成膜性の向上及びピンホールの発生を防止する観点から、保護層の形成に、硬化性樹脂とともに、熱可塑性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル又はその共重合体、塩化ビニル又はその共重合体、塩化ビニリデン又はその共重合体等のビニル樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂又はその共重合体、メタクリル樹脂又はその共重合体等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
第2成膜部A2は、ワインダー15によりベースフィルム1が巻き取られたロール体において対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルム1との間に位置する保護層を形成するため、第1成膜部A1により形成された無機膜上か、当該無機膜が形成されたベースフィルム1の面とは反対側の面上に、保護層を形成することができる。
第2成膜部A2は、硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合、図1に示すように塗布装置251及び硬化装置252を備えることができる。
第1成膜部A1によれば、ベースフィルム1の両面に無機膜が形成されるため、図1において、ベースフィルム1が巻き取られた際に内側に位置する面の無機膜上にのみ保護層を形成するように、1セットの塗布装置251及び硬化装置252が配置されている。このような配置例に限らず、両面にそれぞれ形成された無機膜のいずれに対しても保護層を形成するように、2セットの塗布装置251及び硬化装置252がベースフィルム1を挟んで対向するように配置されていてもよい。
また、第1成膜部A1によってベースフィルム1の片面のみに無機膜が形成される場合には、塗布装置251及び硬化装置252は、ベースフィルム1の無機膜が形成された面とは反対側の面上に保護層を形成するように配置されてもよい。
塗布装置251は、硬化性樹脂を含有する塗布膜を形成する。
硬化性樹脂を含有する塗布膜の形成方法は特に制限されず、例えばスピン塗布法、スプレー法、ブレード塗布法等の湿式塗布法、蒸着法、フラッシュ蒸着法等の乾式塗布法等により硬化性樹脂を含む塗布液を塗布する方法が挙げられる。
生産性を向上させる観点からは、スプレー法のような真空圧下で成膜が可能な塗布法を用いて、真空圧下での無機膜の形成に連続して真空圧下において保護層を形成することが好ましい。スプレー法のなかでも、超音波スプレー法又はエレクトロスプレー法が好ましい。
超音波スプレー法は、ピエゾセラミックにより超音波スプレーノズル(アトマイザー)中の液体膜を振動させて、きめ細かい粒子を形成し、噴霧する方法である。加圧することなく液体を粒子化でき、微細な硬化性樹脂粒子を噴霧することができる。
エレクトロスプレー法は、先端がとがった容器に高電圧を加えることにより、容器内の液体が電界集中によりスプレーされる現象を利用した方法である。エレクトロスプレーデポジション法(ESD法)とも呼ばれ、静電気力を利用してナノサイズの硬化性樹脂粒子をベースフィルム1上に堆積させて固定させることができる。
このように、超音波スプレー法及びエレクトロスプレー法は、保護層の塗布膜の形成に溶媒を必要とせず、真空条件下でよりち密な塗布膜を形成することができるため、好ましい。
硬化装置252は、塗布装置251により形成された硬化性樹脂の塗布膜に、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線を照射するか、加熱することにより、硬化性樹脂を硬化させる。
紫外線を照射する場合、硬化装置252として、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用いて、好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する。電子線を照射する場合、硬化装置252として走査型又はカーテン型の電子線加速器を用いて、100nm以下の波長領域の電子線を照射することが好ましい。装置設計の容易性や、フィルムのバリア性向上等の観点から、活性エネルギー線として電子線を照射することが好ましい。
パターンの保護層を形成する場合、複数の塗布装置251をベースフィルム1の搬送方向と直交する方向に並べて配置することにより、保護層の塗布膜をパターン化することができる。また、塗布装置251とベースフィルム1間にマスクを配置することにより、保護層の塗布膜をパターン化することもできる。
上記機能性フィルムの製造装置Aは、ワインダー15によって得られた機能性フィルムFのロール体を、大気圧下において巻き出して展開し、当該展開された機能性フィルムを洗浄処理して、第2成膜部A2により形成された保護層を除去する洗浄処理部をさらに備えることができる。
洗浄処理部が使用できる洗浄方法としては、乾式洗浄方法、湿式洗浄方法、物理的剥離方法等が挙げられる。
乾式洗浄方法としては、例えばプラズマ洗浄法、イオンビーム洗浄法、UVオゾン洗浄法、UVエキシマ照射法、レーザー洗浄法等が挙げられる。
湿式洗浄方法としては、機能性フィルムFを洗浄液に浸して、例えば噴流洗浄、バブリング洗浄、超音波洗浄又は流水洗浄する方法である。洗浄液としては酸性、中性又はアルカリ性の洗剤溶液又は有機溶媒等を用いることができる。
物理的剥離方法は、保護層の表面に物理的な力を直接的に付与して洗浄する方法であり、例えばスクラブ洗浄、シャワー洗浄、アイスブラスト洗浄等が挙げられる。物理的剥離方法は、保護層の表面に直接的に作用するため、その洗浄力が極めて高く、かつ処理時間も短い。
具体的なスクラブ洗浄方法としては、金属製又はプラスチック製のローラーの表面全体にスポンジ、ブラシ等が設けられたスクラブローラー、保護層との接触面にブラシ、スポンジ等が設けられた円盤状のスクラブパッド等を回転させながら保護層に接触させる方法が挙げられる。その他のスクラブ洗浄方法は、例えば特許第4554367号公報、国際特許第2009/031401号、特開2009−117765号公報、同2010−286632号公報、同2011−018668号公報、同2011−040653号公報、同2011−066386号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
シャワー洗浄としては、高圧スプレー洗浄、超音波シャワー洗浄、二流体ノズル洗浄等が挙げられる。
高圧スプレー洗浄とは、高圧状態の水、洗浄液等を、ノズル等の噴霧機構を用いてジェット状態で吹き付ける方法である。
超音波シャワー洗浄は、超音波振動素子によって超音波で振動させた洗浄液をシャワーする方法である。
二流体ノズル洗浄方法は、二種類の流体、例えば水と空気、洗浄剤と空気等を、ノズル部で会合させ、ジェット状態で噴射する方法である。
アイスブラスト洗浄としては、マイクロアイスジェット、ドライアイススクラブ洗浄等が挙げられる。
マイクロアイスジェット法は、圧縮した空気を超音速に加速して送り出し、加速時に断熱拡張して温度が低下した時に水を供給して過冷却された微小な氷粒子を作り出し、当該氷粒子を含む空気を吹き付けて洗浄する方法である。氷粒子の代わりにドライアイス粒子を作り出し、当該ドライアイス粒子を含む空気を吹き付けることもできる。
図4は、スクラブ洗浄する場合に製造装置Aが備える洗浄処理部A3の概略構成を示している。
洗浄処理部A3は、図4に示すように第1洗浄部261、第2洗浄部262及び乾燥部263を備えている。なお、洗浄処理部A3は大気圧下におかれている。
また、洗浄処理部A3は、機能性フィルムFの搬送のため、アンワインダー271及び複数のローラー273を備えている。
洗浄処理時、図1に示すワインダー15により巻き取られて得られた機能性フィルムFのロール体は、図4に示すアンワインダー271にセットされる。アンワインダー271がロール体を巻き出すと、展開された機能性フィルムFを複数のローラー273が第1洗浄部261、第2洗浄部262、乾燥部263へと順次搬送する。乾燥部263を経た機能性フィルムFは、その後、各種電子デバイスの封止工程等の図示しない工程に移行するため、連続的に搬送されることが好ましい。
第1洗浄部261は、洗浄液が供給された洗浄槽を備えている。機能性フィルムFはローラー273によってこの洗浄槽の洗浄液中に浸漬される。第1洗浄部261は、洗浄液中において、矢印で示す回転方向に回転させたスクラブローラー26rを機能性フィルムFの保護層に接触させ、スクラブローラー26rのローラー面と保護層との摩擦によって保護層を無機膜から剥離させて除去する。
なお、洗浄処理中の無機膜の損傷を防ぐため、洗浄槽において用いられるローラー273として、無機膜に非接触で機能性フィルムFを搬送できる非接触型のローラーが配置されていることが好ましい。非接触型のローラーとしては、例えば軸方向の端部が中央部よりも直径が短くなるように軸方向において段差が設けられたローラー等が挙げられる。
第2洗浄部262は、第1洗浄部261により保護層が除去された機能性フィルムFを水洗し、第1洗浄部261において付着した洗浄液を洗い流す。図4に示すように水槽中に機能性フィルムFを浸漬させて水洗してもよいし、水をシャワーしてもよい。
乾燥部263は、送風して第2洗浄部262により水洗された機能性フィルムFを乾燥する。
〔他の実施の形態の製造装置〕
上述したように、無機膜はCVD法、PVD法により形成されてもよい。CVD法であれば特に限定されず、例えば熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等が挙げられる。PVD法も特に限定されず、真空蒸着法、スパッター法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
図5は、真空蒸着法を用いた場合の第1成膜部B1の概略構成を示している。
図5に示すように、第1成膜部B1は、アンワインダー11、ワインダー15、複数のローラー12、成膜部4を備えて構成されている。なお、図1に示す製造装置Aと同じ構成部分には同じ符号を付している。
成膜部4は、真空蒸着法により機能性層を薄膜として形成する。成膜部4は、図5に示すように、冷却ローラー41、電子銃42、ガス供給部43、プラズマ発生装置44等を備えて構成されている。
成膜部4は、冷却ローラー41により搬送されるベースフィルム1とターゲットTとの間に、プラズマ発生装置44によりアルゴンのプラズマを生成させるとともに、ガス供給部43により改質用ガスを供給する。そして、成膜部4は、電子銃42により電子ビームを照射する。電子ビームは図示しない磁場コイル等によって誘導され、ターゲットTに照射される。ターゲットTは電子ビームの照射によって加熱蒸発し、改質用ガスのプラズマによって改質されてベースフィルム1上に堆積する。
〔機能性フィルムの製造方法〕
上記製造装置Aにおいては、次の第1成膜工程及び第2成膜工程を含む手順により機能性フィルムFを製造することができる。
〔第1成膜工程〕
第1成膜工程では、ベースフィルム1上に無機膜を形成する。
最初に、アンワインダー11によりベースフィルム1のロール体を巻き出し、各ローラー12により、ベースフィルム1を原料供給部21に搬送する。原料供給部21は、ガス状の第1原料をチャンバーC1内に供給する。当該チャンバーC1内において、ベースフィルム1の表面には第1原料が吸着する。
次に、第1原料が吸着したベースフィルム1をパージ部24に搬送し、パージ部24により不活性ガスを供給してベースフィルム1上から余剰の第1原料を除去する。
第1原料を除去後、ベースフィルム1を改質処理部23へ搬送する。改質処理部23は、チャンバーC3内に改質用ガスを供給し、当該改質用ガスに交流電圧を印加してプラズマPを生成する。ベースフィルム1の表面に吸着した第1原料は、プラズマPによって改質処理され、無機膜が形成される。
改質処理後のベースフィルム1をパージ部24に搬送し、パージ部24により不活性ガスを供給して活性ガスを除去する。
原料供給部21及び22により供給される原料が同じである場合、以上が1サイクルの成膜処理の手順となる。
さらにベースフィルム1を原料供給部22に搬送し、原料供給部22により第1原料をチャンバーC2内に供給する。当該チャンバーC2内において、ベースフィルム1の表面に第1原料が吸着する。次に、ベースフィルム1をパージ部24へ搬送し、パージ部24により不活性ガスを供給してベースフィルム1上から余剰の第1原料を除去する。
第1原料を除去後、ベースフィルム1を改質処理部23へ搬送する。改質処理部23は、チャンバーC3内に改質用ガスを供給し、当該改質用ガスに異なる複数の周波数の交流電圧を印加してプラズマPを生成する。ベースフィルム1の表面に吸着した第1原料は、プラズマPによって改質処理され、無機膜が形成される。
原料供給部21及び22により供給される原料が異なる場合、以上が1サイクルの成膜処理の手順となる。
その後、原料供給部21へベースフィルム1を再度搬送し、上述した手順を繰り返すことにより、複数サイクルの成膜処理を繰り返すことができ、目的の膜厚の無機膜が形成された機能性フィルムFを製造することができる。
〔第2成膜工程〕
第2成膜工程では、第2成膜部A2が、第1成膜部A1により形成された無機膜上に保護層を形成する。第2成膜部A2は、無機膜が形成されたベースフィルム1が巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、無機膜上又はベースフィルム1上に保護層を形成し、かつ無機膜の全面積に対する保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする。
具体的には、第2成膜部A2は、塗布装置251により保護層の塗布液を無機膜上に塗布し、硬化装置252により塗布膜を硬化させて保護層を形成する。
保護層が形成された機能性フィルムFをワインダー15により巻き取り、機能性フィルムFのロール体を得る。
〔洗浄工程〕
さらに、機能性フィルムF上の保護層を除去する場合、ワインダー15によって得られた機能性フィルムFのロール体を、洗浄処理部A3のアンワインダー271にセットする。
洗浄工程では、洗浄処理部A3が、アンワインダー271により巻き出されて展開された機能性フィルムFを洗浄処理し、機能性フィルムFから保護層を除去する。
具体的には、洗浄処理部A3は、第1洗浄部261により保護層を除去した後、第2洗浄部262により機能性フィルムFを水洗し、乾燥部263により乾燥する。
〔機能性フィルム〕
図6は、上記製造装置Aにより得られた機能性フィルムFの断面構成を示している。
機能性フィルムFは、図6に示すように、ベースフィルム1の両面に無機膜が機能性層2として形成され、各機能性層2上に保護層3が設けられている。
〔ベースフィルム〕
ベースフィルム1は、機能性フィルムFの基材であり、可撓性を有する。
ベースフィルム1としては、フィルム状の樹脂、ガラス、金属等を用いることができる。なかでも、樹脂が好ましく、透明性が高い樹脂であることが好ましい。樹脂の透明性が高く、ベースフィルム1の透明性が高いと、透明性が高い機能性フィルムFを得ることができ、有機EL(Electro luminescence)素子等の電子デバイスに好ましく用いることができる。
ベースフィルム1として用いることができる樹脂としては、例えばメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド等が挙げられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が、コスト及び入手の容易性から好ましい。
ベースフィルム1は、上記樹脂が2以上積層された積層フィルムであってもよい。
樹脂製のベースフィルム1は、従来公知の一般的な製造方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイ又はTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することができる。また、材料となる樹脂を溶剤に溶解し、無端の金属樹脂支持体上に流延(キャスト)して乾燥、剥離することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを、ベースフィルム1として得ることができる。
上記未延伸フィルムを、フィルムの搬送(MD:Machine Direction)方向又は搬送方向と直交する幅(TD:Transverse Direction)方向に延伸し、得られた延伸フィルムをベースフィルム1とすることもできる。延伸方法としては、一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法が挙げられる。延伸倍率は、原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、搬送方向及び幅方向ともに、それぞれ2〜10倍の範囲内が好ましい。
ベースフィルム1は、上述した未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上及び熱膨張抑制の点からは延伸フィルムが好ましい。延伸によってベースフィルム1の位相差等の光学的な機能を調整できるので、調整が必要な場合は延伸フィルムを用いることが好ましい。
ベースフィルム1は、寸法安定性を得るため、弛緩処理、オフライン熱処理等が施されていてもよい。
弛緩処理は、延伸工程において熱固定した後、幅方向へ延伸するテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80〜200℃の範囲内で行われることが好ましく、100〜180℃の範囲内で行われることがより好ましい。
オフライン熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば複数のローラー群により搬送する方法、加熱空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送(具体的には、複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面又は両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーター等による輻射熱を利用する方法、フィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き取る等の搬送方法等を挙げることができる。熱処理の搬送張力は、できるだけ低くして熱収縮を促進することで、良好な寸法安定性が得られる。処理温度としては(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度範囲が好ましい。ここでいうTgとは、ベースフィルム1のガラス転移温度をいう。
ベースフィルム1は、厚さが10〜250μmの範囲内であることが好ましく、20〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
ベースフィルム1上には、機能性フィルムFにおいてベースフィルム1と機能性層2間に位置する中間層が形成されていてもよい。中間層は、機能性層2との密着性を高める、ベースフィルム1の平滑性を高める、ベースフィルム1中の低分子成分が表面に析出するブリードアウト現象を抑える等の目的に応じて、形成され得る。
例えば、機能性層2との密着性を高めるため、ポリシロキサンの塗布液をベースフィルム1上に塗布した後、真空紫外光の照射によって改質することにより、中間層を形成してもよい。
中間層の材料としては、上記ポリシロキサンに限らず、熱硬化型樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いることができる。なかでも、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、熱処理によって硬化するものであれば特に制限されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、光によって硬化するものであれば特に制限されず、ラジカル反応性不飽和結合を有するアクリレート化合物を含有する樹脂、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する樹脂、米国特許第6503634号明細書に記載の「ORMOCER」等が挙げられる。また、分子内に光重合性不飽和基を1個以上有するモノマーを用いてもよい。
(機能性層)
機能性層2は、ベースフィルム1上に形成された無機膜である。機能性層2としては、例えばガスバリアー層、絶縁層、電子デバイスの基板に対して屈折率差を有する屈折層等が挙げられる。なかでも、ガスバリアー層は、膜欠陥が多いと当該膜欠陥を通して水、酸素等のガスが浸透し、ガスバリアー性能が著しく低下するため、膜欠陥が少ない製造装置Aは、ガスバリアー層の形成に好適である。
機能性層2がガスバリアー層である場合、当該ガスバリアー層は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性を示すことが好ましい。また、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下であり、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下であるガスバリアー性を示すことが好ましい。なお、水蒸気透過度は、MOCON法、特開2005−283561号公報等に記載のカルシウム腐食法等によっても測定することができる。
機能性層2の厚さは特に制限されず、任意の厚さを選択することができる。一般的には、機能性層2の厚さは1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、5〜70nmの範囲内にあることが好ましく、10〜60nmの範囲内にあることが好ましい。
機能性層2の厚さが1nm以上であれば、十分な機能性を得ることができる。また、機能性層2の厚さが100nm以下であれば、短時間で機能性層2を形成することができる。また、複数サイクルの成膜処理による補修効果を得ることができる。
〔保護層〕
保護層3は、ベースフィルム1の両面に形成された無機膜同士が巻き取り時に接触して損傷することを防ぐために設けられている。
保護層3の材料としては、上述したように硬化性樹脂を用いることができる。
保護層3の平滑性は、JIS B 0601:2001年で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が1〜80nmの範囲内にあることが好ましい。この範囲内であれば、機能性フィルムFの巻き取りが良好となる。また、ロール体としたときに保護層3と対面するベースフィルム1の表面、無機膜の表面等に、保護層3が接触して損傷することを防止することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔製造装置K1〕
図1に示す製造装置Aにおいて、第2成膜部A2の塗布装置251としてアクリルフラッシュ蒸着法を用いた塗布装置を配置した。さらに、同じ塗布装置を、既に配置された塗布装置とベースフィルムを挟んで反対側に位置するように配置し、製造装置K1とした。
〔製造装置K2〕
図1に示す製造装置Aにおいて、PEALD法を用いた第1成膜部A1を図5に示す真空蒸着法を用いた第1成膜部B1に置き換え、アクリルフラッシュ蒸着法を用いた塗布装置を第2成膜部A2の塗布装置251として配置した。さらに、同じ塗布装置を、既に配置された塗布装置とベースフィルムを挟んで反対側に位置するように配置し、製造装置K2とした。
〔ガスバリアー性フィルム1〕
ベースフィルムとして、厚さ125μmのポリエステルフィルムMELINEX ST504(DuPont Teijin Films U.S. Limited社製)を用意した。このポリエステルフィルムは、0.01Torrの減圧下において、80℃まで加熱して3時間の脱気処理が施されている。
次に、製造装置K1により、上記ベースフィルム上にガスバリアー層として厚さ6nmの酸化アルミニウム膜を形成し、ガスバリアー性フィルム1を得た。
酸化アルミニウム膜の具体的な成膜条件は、以下のとおりである。
(成膜条件)
酸化アルミニウム膜の第1原料:トリメチルアルミニウム
第1原料の供給時間:0.1秒
改質用ガス:水蒸気
改質処理の処理時間:2.0秒
パージに使用した不活性ガス:窒素ガス
パージ時間:2.0秒
酸化アルミニウム膜の堆積速度:0.1nm/サイクル
ベースフィルムの搬送速度:8m/分
ベースフィルムの温度:75℃
ガスバリアー層の形成に続き、製造装置K1において、ガスバリアー層上にストライプのパターンの保護層を形成した。具体的には、トリプロピレングリコールジアクリレートを気化させた蒸気をベースフィルム上に導入し、トリプロピレングリコールジアクレート分子をガスバリアー層上に堆積させて蒸着膜を形成した。この時、マスクを用いて、ガスバリアー層の全面積に対する保護層の面積の割合で表される被覆率が50%となるストライプのパターンの蒸着膜を形成した。また、蒸気の導入時間を調整して最終的な保護層の膜厚を2μmとした。その後、蒸着膜に電子線を照射して硬化させることにより、ストライプのパターンの保護層が得られた。
なお、上記保護層の被覆率は、次のようにして確認した。まず、光学顕微鏡により保護層が形成されたフィルム表面を100μm四方の範囲内で撮影し、400×400画素の画像を得た。この撮影を撮影位置を変えて10回行い、得られた10の画像をそれぞれ解析して、各画像の全画素数に対する保護層の画像領域の画素数の割合(%)を求め、その平均値を保護層の被覆率として求めた。
保護層の形成により得られたガスバリアー性フィルム1を、製造装置K1において巻き取って、そのロール体を得た。
次に、ロール体を大気圧下で巻き出してガスバリアー性フィルム1を展開し、ガスバリアー層の全面積に対する保護層の面積の割合を展開後の被覆率(%)として求めた。この展開後の被覆率と展開前に確認された被覆率とから、展開後にガスバリアー性フィルム1上に残存する保護層の面積の割合で表される残存率(%)を、下記式により求めたところ、99%以上であった。
残存率(%)=(展開前の被覆率)/(展開後の被覆率)×100
〔ガスバリアー性フィルム2〜5〕
上記ガスバリアー性フィルム1の製造において、保護層の形成に用いたマスクを変えて保護層の被覆率及びパターンを下記表1に示すように変更したこと以外は、ガスバリアー性フィルム1と同様にして各ガスバリアー性フィルム2〜4を製造した。
図7は、下記表1に示す被覆率50%のストライプ、水玉、AMスクリーン及びFMスクリーン、被覆率44%の格子、被覆率5%のFMスクリーンの各パターンを示している。
各ガスバリアー性フィルム2〜4の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム6〜9〕
上記ガスバリアー性フィルム5の製造において、FMスクリーンのパターンを変えて保護層の被覆率を下記表1に示すように変更したこと以外は、ガスバリアー性フィルム5と同様にして各ガスバリアー性フィルム6〜9を製造した。
各ガスバリアー性フィルム6〜9の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム10〕
上記ガスバリアー性フィルム3の製造において、製造装置K1のアクリルフラッシュ蒸着法を用いた塗布装置を、印刷法を用いた塗布装置に置き換えて保護層を印刷法により形成したこと以外は、ガスバリアー性フィルム3と同様にしてガスバリアー性フィルム10を製造した。
ガスバリアー性フィルム10の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム11及び12〕
上記ガスバリアー性フィルム4の製造において、蒸気の導入時間を調整して最終的な膜厚がそれぞれ2.5μm及び5.0μmの保護層を形成したこと以外は、同様にしてガスバリアー性フィルム11及び12を作成した。
各ガスバリアー性フィルム11及び12の保護層の残存率を求めたところ、それぞれ98%及び90%であった。
〔ガスバリアー性フィルム13〕
上記ガスバリアー性フィルム1と同じベースフィルム上に、製造装置K2を用いてガスバリアー層として厚さ10nmの酸化アルミニウム膜を形成した。
酸化アルミニウム膜の具体的な成膜条件は以下のとおりである。
(成膜条件)
ターゲット:アルミニウム
改質用ガス:酸素ガス
プラズマ生成用ガス:アルゴンガス
ガス供給量:酸素ガスとアルゴンガスの流量体積比が9:1となるように供給
プラズマ出力:1500W
ガスバリアー層の形成に続き、製造装置K2において、ガスバリアー層上に被覆率50%のFMスクリーンのパターンの保護層を形成した。保護層は、ガスバリアー性フィルム5と同様にして形成した。保護層の形成により得られたガスバリアー性フィルム13を、製造装置K2において巻き取って、そのロール体を得た。
ガスバリアー性フィルム13の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム31〕
上記ガスバリアー性フィルム1の製造において、保護層を形成しなかったこと以外はガスバリアー性フィルム1と同様にして、ガスバリアー性フィルム31を製造した。
〔ガスバリアー性フィルム32及び33〕
上記ガスバリアー性フィルム1の製造において、被覆率が4%のFMスクリーンの保護層を形成したこと以外はガスバリアー性フィルム5と同様にして、ガスバリアー性フィルム32を製造した。
また、上記ガスバリアー性フィルム1の製造において、被覆率が100%すなわち酸化アルミニウム膜の全面を被覆する保護層を形成したこと以外はガスバリアー性フィルム1と同様にして、ガスバリアー性フィルム33を製造した。
各ガスバリアー性フィルム32及び33の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム34〕
上記ガスバリアー性フィルム33の製造において、ベースフィルムの両面に形成された2つのガスバリアー層のうち、第1面に形成されたガスバリアー層上にのみ被覆率が100%の保護層を形成したこと以外は、ガスバリアー性フィルム33と同様にして、各ガスバリアー性フィルム34を製造した。「ベースフィルムの第1面」とはロール体としたときに内側に位置する面である。
ガスバリアー性フィルム34の保護層の残存率を求めたところ、ガスバリアー性フィルム1と同様に99%以上であった。
〔ガスバリアー性フィルム35及び36〕
上記ガスバリアー性フィルム1と同様にしてベースフィルムの両面にそれぞれガスバリアー層を形成した後、ベースフィルムの第1面に形成されたガスバリアー層上にのみ保護フィルムを配置して巻き取り、ガスバリアー性フィルム35のロール体を得た。保護フィルムとしては、厚さ30μmのポリプロピレンフィルムであるサニテクトPAC-3-30(サンエー化研社製)を用いた。
同様にして、ベースフィルムの第1面ではなく第2面に形成されたガスバリアー層上にのみ保護フィルムを配置して巻き取り、ガスバリアー性フィルム36のロール体を得た。
なお、「ベースフィルムの第1面」とはロール体としたときに内側に位置する面であり、「ベースフィルムの第2面」とはロール体としたときに外側に位置する面である。
〔評価〕
(巻き取り適性)
各ガスバリアー性フィルム1〜13、31〜36のロール体を巻き出して、目視で観察し、巻き取り適性を下記基準により評価した。
5:巻き乱れ、巻きしわがなく、良好に巻き取られている
4:巻きしわは観察されないが、フィルムの幅方向両端に1mm以下の巻き乱れが観察された
3:巻きしわは観察されないが、フィルムの幅方向両端に数mm程度の巻き乱れが観察された
2:わずかな巻きしわと、フィルムの幅方向両端に数mm程度の巻き乱れが観察された
1:明確な巻きしわと、大きな巻き乱れが観察された
(洗浄適性)
保護層が設けられたガスバリアー性フィルム1〜13、32〜34に対し、下記洗浄条件により60秒間の洗浄処理を行い、保護層を除去した。洗浄処理には、ドライアイススノー精密洗浄システムQuickSnow QS‐1001(エア・ウォーター社製)を用いた。
(洗浄条件)
洗浄方法:ドライアイススクラブ洗浄法
ガス噴出口の傾斜面角度θ:25°
ガス噴出口の形状:φ1.6mm長穴構造
ドライアイススノー流通管外径:φ1.6mm
整流ガス供給圧力:0.45MPaG
液化炭酸ガス供給圧力:7.0MPaG
洗浄処理による保護層の除去の程度を、下記基準に従って洗浄適性として評価した。
5:5秒以内にすべての保護層が容易に除去された
4:15秒以内にすべての保護層が除去された
3:60秒以内にすべての保護層が除去された
2:洗浄処理前の保護層の全面積に対する面積の割合が5%以上となる保護層が残留した
1:洗浄処理前の保護層の全面積に対する面積の割合が30%以上となる保護層が残留した
残留する保護層の面積の割合は、被覆率と同様にして求めた。
(ガスバリアー性)
各ガスバリアー性フィルム1〜13、31〜36の水蒸気透過度を、水蒸気透過率測定装置PERMATRAN-W(MOCON社製)を用いて測定した。測定は、温度38℃、相対湿度90%RHの環境下で行った。
測定された水蒸気透過度を元に、下記基準に従って各ガスバリアー性フィルム1〜13、31〜36のガスバリアー性を評価した。
5:水蒸気透過度が、0.05g/m・day未満である
4:水蒸気透過度が、0.05g/m・day以上、0.10g/m・day未満である
3:水蒸気透過度が、0.10g/m・day以上、1.00g/m・day未満である
2:水蒸気透過度が、1.00g/m・day以上、5.00g/m・day未満である
1:水蒸気透過度が、5.00g/m・day以上である
下記表1は、評価結果を示している。
上記表1に示すように、本発明の実施例に係るガスバリアー性フィルム1〜13によれば、高いガスバリアー性が得られていることから、被覆率が5%以上の保護層を形成することにより、ガスバリアー層を十分に保護できたことが分かる。また、保護層の形成により良好な巻き取り適性が得られている。被覆率が98%以下の保護層であれば、洗浄処理による除去が容易であるため、洗浄適性も良好な結果が得られている。
一方、比較例に係るガスバリアー性フィルム31〜36によれば、保護層が無いか、保護層があっても被覆率が5%未満であると、巻き取り適性が低く、ガスバリアー性も低い。また、被覆率が100%の保護層では洗浄処理による除去が容易ではないため、洗浄適性が低くなっている。
A 製造装置
A1 第1成膜部
21、22 原料供給部
23 改質処理部
231 電極
24 パージ部
C1〜C4 チャンバー
A2 第2成膜部
251 塗布装置
252 硬化装置
A3 洗浄処理部
261 第1洗浄部
26r スクラブローラー
262 第2洗浄部
263 乾燥部
F 機能性フィルム
1 ベースフィルム
2 機能性層
3 保護層

Claims (14)

  1. 長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造装置であって、
    前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜部と、
    前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜部と、
    を備えていることを特徴とする機能性フィルムの製造装置。
  2. 前記第2成膜部は、前記第1成膜部で形成された無機膜上か、又は前記無機膜が形成されたベースフィルムの面と反対側の面上に、前記保護層を形成することを特徴とする請求項1に記載の機能性フィルムの製造装置。
  3. 前記第1成膜部は、真空圧下において前記無機膜を形成し、
    前記第2成膜部は、前記第1成膜部による無機膜の形成に連続して、真空圧下において前記保護層を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機能性フィルムの製造装置。
  4. 前記第2成膜部は、前記保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
  5. 前記第2成膜部により形成された前記保護層の全面積に対し、大気圧下において前記ロール体を巻き出して展開された機能性フィルム上に残存する前記保護層の面積の割合で表される残存率が98〜100%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
  6. 大気圧下において、前記展開された機能性フィルムを洗浄処理して、前記保護層を除去する洗浄処理部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の機能性フィルムの製造装置。
  7. 前記第1成膜部は、原子層堆積法により前記無機膜を形成することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造装置。
  8. 長尺のベースフィルム上に機能性層として無機膜を形成して巻き取る機能性フィルムの製造方法であって、
    前記ベースフィルム上に前記無機膜を形成する第1成膜工程と、
    前記無機膜が形成されたベースフィルムが巻き取られたロール体において、対面する無機膜と無機膜との間又は対面する無機膜とベースフィルムとの間に保護層が位置するように、前記無機膜上又は前記ベースフィルム上に前記保護層を形成し、かつ前記無機膜の全面積に対する前記保護層の面積の割合で表される被覆率を5〜98%の範囲内とする第2成膜工程と、
    を含むことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
  9. 前記第2成膜工程では、前記第1成膜工程で形成された無機膜上か、又は前記無機膜が形成されたベースフィルムの面と反対側の面上に、前記保護層を形成することを特徴とする請求項8に記載の機能性フィルムの製造方法。
  10. 前記第1成膜工程では、真空圧下において前記無機膜を形成し、
    前記第2成膜工程では、前記第1成膜工程での無機膜の形成と連続して、真空圧下において前記保護層を形成することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の機能性フィルムの製造方法。
  11. 前記第2成膜工程では、前記保護層の被覆率が5〜98%の範囲内にあるパターンの保護層を形成することを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  12. 前記第2成膜工程で形成された前記保護層の全面積に対し、大気圧下において前記ロール体を巻き出して展開された機能性フィルム上に残存する前記保護層の面積の割合で表される残存率が98〜100%の範囲内にあることを特徴とする請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  13. 大気圧下において、前記展開された機能性フィルムを洗浄処理して、前記保護層を除去する洗浄工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の機能性フィルムの製造方法。
  14. 前記第1成膜工程では、原子層堆積法により前記無機膜を形成することを特徴とする請求項8から請求項13までのいずれか一項に記載の機能性フィルムの製造方法。
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