JP2015147318A - ガス保持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】低湿度条件下のみならず高い湿度条件下においても、不活性ガス保持性に優れたガス保持体を提供する。
【解決手段】メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体であって、前記ポリアミド樹脂(A)の40℃、90%RHでの窒素透過係数が1.5cc・mm/(m2・1day・atm)以下であり、かつ40℃、90%RHでの窒素透過係数(GTR-1)を40℃、60%RHでの窒素透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が10以下であることを特徴とする、ガス保持体。
【選択図】なし
【解決手段】メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体であって、前記ポリアミド樹脂(A)の40℃、90%RHでの窒素透過係数が1.5cc・mm/(m2・1day・atm)以下であり、かつ40℃、90%RHでの窒素透過係数(GTR-1)を40℃、60%RHでの窒素透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が10以下であることを特徴とする、ガス保持体。
【選択図】なし
Description
本発明は、高い不活性ガス保持性を有する、ガス保持体に関する。
窒素ガスやヘリウム、アルゴン等の希ガスに代表される、化学的に不活性である気体成分(以下、不活性ガスと称する)を長期間に亘り保持することが可能な、不活性ガスバリア性に優れた材料が望まれている。
不活性ガスバリア性に優れた材料は、不活性ガス保管容器の補強材として使用される。また不活性ガスバリア性に優れた材料は文化財や穀類等の食品類を害虫の被害から守るために、これら被保存物を不活性ガスバリアに優れた材料からなる包装体内に収納し、包装体内を不活性ガスで充填して殺虫および保存を行う保存方法にも用いられている。
このような不活性ガスのガス保持性に優れた材料として、塩化ビニル樹脂等の塩素系樹脂や、熱可塑性樹脂にアルミ等の金属や無機物によるコート層を設けた材料が挙げられる。
不活性ガスバリア性に優れた材料は、不活性ガス保管容器の補強材として使用される。また不活性ガスバリア性に優れた材料は文化財や穀類等の食品類を害虫の被害から守るために、これら被保存物を不活性ガスバリアに優れた材料からなる包装体内に収納し、包装体内を不活性ガスで充填して殺虫および保存を行う保存方法にも用いられている。
このような不活性ガスのガス保持性に優れた材料として、塩化ビニル樹脂等の塩素系樹脂や、熱可塑性樹脂にアルミ等の金属や無機物によるコート層を設けた材料が挙げられる。
また、玩具・販売促進用品・ショーウインドウのデコレーション等に用いられるバルーンは、浮遊能力を持たせるためにヘリウムガス等の不活性ガスを充填する必要がある。そのため、バルーン用の膜材料としても、不活性ガスバリア性に優れる材料が求められる。例えば、特許文献1には二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂層とヒートシール層よりなる膜材料製のバルーンが提案されている。
しかし、塩化ビニル樹脂等の塩素系樹脂は、塩素を含有するため廃棄に際して環境的な問題がある。また、アルミ等の金属や無機物をコートした材料を使用した場合、ピンホール等の局所的な破れによって短期間で内部ガスの漏えいを招く恐れがある。
またポリビニルアルコール系樹脂をバルーン用膜材料として使用した場合、高湿度条件ではガスバリア性が急激に低下するため、降雨にあうとヘリウムガスバリア性が急激に低下し、その結果バルーンの張りがなくなり、浮遊しなくなるという問題がある。
また、MXナイロンは酸素や炭酸ガスに対して高いガスバリア性を示すことは知られているものの、窒素ガスやヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに対するガスバリア性については、知見が得られていない。
またポリビニルアルコール系樹脂をバルーン用膜材料として使用した場合、高湿度条件ではガスバリア性が急激に低下するため、降雨にあうとヘリウムガスバリア性が急激に低下し、その結果バルーンの張りがなくなり、浮遊しなくなるという問題がある。
また、MXナイロンは酸素や炭酸ガスに対して高いガスバリア性を示すことは知られているものの、窒素ガスやヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに対するガスバリア性については、知見が得られていない。
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、周囲の温度変化や湿度変化に対しても窒素ガスやヘリウム、アルゴン等の不活性ガス保持率の変化が少ない、優れた不活性ガスバリア性を有するガス保持体を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体が、低湿度条件下のみならず高湿度条件下でも、窒素ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを高い保持率で、長期間に亘り保持できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)のガス保持体を提供するものである。
(1)メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体であって、前記ポリアミド樹脂(A)の40℃、90%RHでの窒素透過係数が1.5cc・mm/(m2・1day・atm)以下であり、かつ40℃、90%RHでの窒素透過係数(GTR-1)を40℃、60%RHでの窒素透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が10以下であることを特徴とする、ガス保持体。
(2)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる圧力容器。
(3)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いるバルーン。
(4)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる包装材料。
(5)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる輸送ホース。
(1)メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体であって、前記ポリアミド樹脂(A)の40℃、90%RHでの窒素透過係数が1.5cc・mm/(m2・1day・atm)以下であり、かつ40℃、90%RHでの窒素透過係数(GTR-1)を40℃、60%RHでの窒素透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が10以下であることを特徴とする、ガス保持体。
(2)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる圧力容器。
(3)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いるバルーン。
(4)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる包装材料。
(5)(1)のガス保持体を少なくとも一部に用いる輸送ホース。
本発明のガス保持体は、低湿度条件下だけでなく、高湿度条件下においても高い不活性ガス保持率を有する。そのため、本発明のガス保持体を用いて文化財や食品等を保存する場合には、周囲の湿度や温度環境の変化が大きく変動しても、包装体内部を不活性ガス雰囲気に保つことができるため、被対象物の劣化を防ぐことができ、長期間の保存が可能となる。また、本発明のガス保持体をバルーンに使用した場合には、降雨等の天候によらず、高い浮遊保持能力と形態保持能力を発揮することができる。
<ポリアミド樹脂(A)>
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を少なくとも1層有する。本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)は、温度40℃、90%RHにおける窒素透過係数が1.5cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは1.0cc・mm/m2・day・atm以下、より好ましくは0.7cc・mm/m2・day・atm以下である。また、本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)の温度40℃、90%RHにおけるアルゴン透過係数は0.055cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは0.050cc・mm/m2・day・atm以下である。また、本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)の、温度40℃、90%RHにおけるヘリウム透過係数は0.020cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは0.018cc・mm/m2・day・atm以下、より好ましくは0.015cc・mm/m2・day・atm以下である。ポリアミド樹脂(A)の窒素透過係数が上記範囲であると、本発明のガス保持体は、低湿度条件のみならず高湿度条件下においても、不活性ガス保持性が良好である。同様に、ポリアミド樹脂(A)のアルゴン透過係数およびヘリウムが上記範囲であると、本発明のガス保持体は、高湿度条件下においても不活性ガス保持性が良好である。
なお、本発明において、「高湿度条件下」とは40℃での相対湿度が90%RH以上の湿度条件を表し、「低湿度条件下」とは40℃での相対湿度が60%RH以下の湿度条件を表す。
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を少なくとも1層有する。本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)は、温度40℃、90%RHにおける窒素透過係数が1.5cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは1.0cc・mm/m2・day・atm以下、より好ましくは0.7cc・mm/m2・day・atm以下である。また、本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)の温度40℃、90%RHにおけるアルゴン透過係数は0.055cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは0.050cc・mm/m2・day・atm以下である。また、本発明のガス保持体に使用されるポリアミド樹脂(A)の、温度40℃、90%RHにおけるヘリウム透過係数は0.020cc・mm/m2・day・atm以下であり、好ましくは0.018cc・mm/m2・day・atm以下、より好ましくは0.015cc・mm/m2・day・atm以下である。ポリアミド樹脂(A)の窒素透過係数が上記範囲であると、本発明のガス保持体は、低湿度条件のみならず高湿度条件下においても、不活性ガス保持性が良好である。同様に、ポリアミド樹脂(A)のアルゴン透過係数およびヘリウムが上記範囲であると、本発明のガス保持体は、高湿度条件下においても不活性ガス保持性が良好である。
なお、本発明において、「高湿度条件下」とは40℃での相対湿度が90%RH以上の湿度条件を表し、「低湿度条件下」とは40℃での相対湿度が60%RH以下の湿度条件を表す。
<不活性ガス>
本発明における不活性ガスとは、25℃、1atmで気体であり、かつ化学反応性の低いものを指す。不活性ガスとしては、、窒素、二酸化炭素、六フッ化硫黄および希ガス;ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等およびこれらの混合ガスが例示される。
本発明における不活性ガスとは、25℃、1atmで気体であり、かつ化学反応性の低いものを指す。不活性ガスとしては、、窒素、二酸化炭素、六フッ化硫黄および希ガス;ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等およびこれらの混合ガスが例示される。
<不活性ガス保持性>
本発明のガス保持体は、40℃での相対湿度が90%以上の高湿度条件においても、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスをきわめて高い保持率で、かつ長期間に亘り保持できる。
本発明のガス保持体が低湿度条件のみならず高湿度条件下においても高い不活性ガス保持率を有するためには、温度40℃、90%RHにおける窒素透過係数を(GTR−1)とし、温度40℃、相対湿度60%RHにおける窒素透過係数を(GTR−2)としたときに、前者を後者で除した値(GTR−1/GTR−2)が、10以下であることが好ましく、より好ましくは8.0以下であり、さらに好ましくは7.5以下である。(GTR−1/GTR−2)の値がこの範囲であると、湿度変化に対する不活性ガス保持率の変化が少なく、周囲環境の変化に依らず、良好な不活性ガス保持性を示す。また、(GTR−1/GTR−2)の値が上記数値範囲であれば、窒素のみならず、ヘリウム、アルゴン等の他の不活性ガスに対しても良好な不活性ガス保持性を示す。
本発明のガス保持体は、40℃での相対湿度が90%以上の高湿度条件においても、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスをきわめて高い保持率で、かつ長期間に亘り保持できる。
本発明のガス保持体が低湿度条件のみならず高湿度条件下においても高い不活性ガス保持率を有するためには、温度40℃、90%RHにおける窒素透過係数を(GTR−1)とし、温度40℃、相対湿度60%RHにおける窒素透過係数を(GTR−2)としたときに、前者を後者で除した値(GTR−1/GTR−2)が、10以下であることが好ましく、より好ましくは8.0以下であり、さらに好ましくは7.5以下である。(GTR−1/GTR−2)の値がこの範囲であると、湿度変化に対する不活性ガス保持率の変化が少なく、周囲環境の変化に依らず、良好な不活性ガス保持性を示す。また、(GTR−1/GTR−2)の値が上記数値範囲であれば、窒素のみならず、ヘリウム、アルゴン等の他の不活性ガスに対しても良好な不活性ガス保持性を示す。
本発明のガス保持体を構成するポリアミド樹脂(A)は、上記の窒素透過係数を有するポリアミド樹脂であれば特に制限はないが、中でもジアミン単位がメタキシリレンジアミンに由来する構成単位を含み、ジカルボン酸単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂(A)が好ましい。ジアミン単位としてメタキシリレンジアミン単位に由来する構成単位を含むポリアミド樹脂を使用することで、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を少なくとも1層有するガス保持体は、不活性ガスバリア性に優れたものとなる。
(ジアミン構成単位)
ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン構成単位は、メタキシリレンジアミン単位に由来する構成単位を含む。ポリアミド樹脂(A)のジアミン構成単位中における、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。ジアミン構成単位として、メタキシリレンジアミン構成単位を70モル%以上含むことで、得られるポリアミド樹脂は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに対して高いガスバリア性を示し、さらに優れた不活性ガス保持率を示す。さらにポリアミド樹脂(A)を構造材の一部として含有するガス保持体は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスの保持性能に優れると共に、それ自身で形状を維持するために可能な剛性・柔軟性等を兼ね備えることから、構造材・包装材として好適である。
ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン構成単位は、メタキシリレンジアミン単位に由来する構成単位を含む。ポリアミド樹脂(A)のジアミン構成単位中における、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。ジアミン構成単位として、メタキシリレンジアミン構成単位を70モル%以上含むことで、得られるポリアミド樹脂は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスに対して高いガスバリア性を示し、さらに優れた不活性ガス保持率を示す。さらにポリアミド樹脂(A)を構造材の一部として含有するガス保持体は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスの保持性能に優れると共に、それ自身で形状を維持するために可能な剛性・柔軟性等を兼ね備えることから、構造材・包装材として好適である。
ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。メタキシリレンジアミン以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;パラキシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(ジカルボン酸構成単位)
ポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含む。ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸構成単位中における、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸構成単位を構成する化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
中でも結晶性、高弾性、経済性の観点から、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸構成単位は、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を70モル%以上含むことが好ましい。さらに弾性率、耐加水分解性及び成形性の観点からは、ポリアミド(A)のジカルボン酸構成単位は、セバシン酸に由来する構成単位を70モル以上含むことがより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含む。ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸構成単位中における、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸構成単位を構成する化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
中でも結晶性、高弾性、経済性の観点から、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸構成単位は、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を70モル%以上含むことが好ましい。さらに弾性率、耐加水分解性及び成形性の観点からは、ポリアミド(A)のジカルボン酸構成単位は、セバシン酸に由来する構成単位を70モル以上含むことがより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明で好ましく利用できるポリアミド樹脂(A)として、メタキシリレンジアミン構成単位を70モル%以上含むジアミン構成単位と、アジピン酸構成単位を70〜99モル%及びイソフタル酸構成単位を1〜30モル%含むジカルボン酸構成単位を含むポリアミド樹脂が挙げられる。ポリアミド樹脂(A)として、イソフタル酸構成単位を1〜30モル%以上含むジカルボン酸を使用することで、得られるポリアミド樹脂は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスに対する十分なガスバリア性を示すと共に、結晶化速度を遅延させることで圧空成形などの二次成型加工が容易になる。さらに前記ポリアミド樹脂(A)を構造材の一部として含有するガス保持体は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの保持性能に優れると共に、それ自身で形状を維持するに可能な剛性・柔軟性等を兼ね備えることから、構造材・包装材として好適である。
また、本発明におけるポリアミド樹脂(A)は、前記したジアミン構成単位およびジカルボン酸構成以外にも、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類に由来する構成単位を有してもよい。
(ポリアミド樹脂(A)の物性)
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、成形加工性や剛性保持の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。相対粘度は、試料0.2gを96質量%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、成形加工性や剛性保持の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。相対粘度は、試料0.2gを96質量%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリアミド樹脂(A)の融点は、耐熱性及び溶融成形性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜260℃の範囲である。融点は、示差走査熱量計を用いて測定される。
(ポリアミド樹脂(A)の製造)
ポリアミド樹脂(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(メタキシリレンジアミン等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド樹脂(A)を製造することができる。また、ジアミン成分(キシリレンジアミン等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド樹脂(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ポリアミド樹脂(A)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(メタキシリレンジアミン等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリアミド樹脂(A)を製造することができる。また、ジアミン成分(キシリレンジアミン等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリアミド樹脂(A)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
<層(X)>
本発明のガス保持体の層(X)は、ポリアミド樹脂(A)を主な樹脂成分として含有するものである。層(X)は、ポリアミド樹脂(A)以外の樹脂を添加してもよいが、層(X)を構成する全樹脂中に占めるポリアミド樹脂(A)の比率は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。層(X)層に含まれる樹脂はポリアミド樹脂(A)のみであってもよく、層(X)を構成する全樹脂中に占めるポリアミド樹脂(A)の比率は100質量%以下が好ましい。
本発明のガス保持体の層(X)は、ポリアミド樹脂(A)を主な樹脂成分として含有するものである。層(X)は、ポリアミド樹脂(A)以外の樹脂を添加してもよいが、層(X)を構成する全樹脂中に占めるポリアミド樹脂(A)の比率は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。層(X)層に含まれる樹脂はポリアミド樹脂(A)のみであってもよく、層(X)を構成する全樹脂中に占めるポリアミド樹脂(A)の比率は100質量%以下が好ましい。
(樹脂(B))
上述の通り層(X)には、ポリアミド樹脂(A)以外の樹脂(以下、樹脂(B)とも称する)を添加してもよい。樹脂(B)としては、本発明の目的を阻害しない範囲で、層(X)に付与したい性能等に応じて、従来公知の種々の樹脂を用いてよい。例えば、樹脂(B)としては、ポリアミド樹脂(ここで言う“ポリアミド”は、本発明の“ポリアミド樹脂(A)”と混合されるポリアミド樹脂を指すものであり、本発明の“ポリアミド樹脂(A)”自体を指すものではない)、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アイオノマー、およびエラストマーと呼ばれる柔軟性を持った樹脂等を1種類又は複数以上含有してもよい。
これらの中でも、ガス保持体の不活性ガス保持性を維持しつつ、さらに柔軟性等の機械物性や成形加工性を改善できる観点から、樹脂(B)としてはポリアミド樹脂が好ましく、より好ましくは脂肪族ポリアミド樹脂または非晶性ポリアミド樹脂が好ましい。本発明のガス保持体が、さらに脂肪族ポリアミド樹脂または非晶性ポリアミド樹脂を含有することで、得られるガス保持体は成型加工に優れ、また成形体に柔軟性を付与することができる。
上述の通り層(X)には、ポリアミド樹脂(A)以外の樹脂(以下、樹脂(B)とも称する)を添加してもよい。樹脂(B)としては、本発明の目的を阻害しない範囲で、層(X)に付与したい性能等に応じて、従来公知の種々の樹脂を用いてよい。例えば、樹脂(B)としては、ポリアミド樹脂(ここで言う“ポリアミド”は、本発明の“ポリアミド樹脂(A)”と混合されるポリアミド樹脂を指すものであり、本発明の“ポリアミド樹脂(A)”自体を指すものではない)、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アイオノマー、およびエラストマーと呼ばれる柔軟性を持った樹脂等を1種類又は複数以上含有してもよい。
これらの中でも、ガス保持体の不活性ガス保持性を維持しつつ、さらに柔軟性等の機械物性や成形加工性を改善できる観点から、樹脂(B)としてはポリアミド樹脂が好ましく、より好ましくは脂肪族ポリアミド樹脂または非晶性ポリアミド樹脂が好ましい。本発明のガス保持体が、さらに脂肪族ポリアミド樹脂または非晶性ポリアミド樹脂を含有することで、得られるガス保持体は成型加工に優れ、また成形体に柔軟性を付与することができる。
(脂肪族ポリアミド樹脂)
脂肪族ポリアミド樹脂の具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン666等を挙げられる。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、供給安定性の観点からナイロン6、ナイロン66、ナイロン666が好ましく、さらにナイロン6が好ましい。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。
脂肪族ポリアミド樹脂の具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン666等を挙げられる。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、供給安定性の観点からナイロン6、ナイロン66、ナイロン666が好ましく、さらにナイロン6が好ましい。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。
(非晶性ポリアミド樹脂)
非晶性ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン6I6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)等が挙げられる。これらの中でも、経済性、供給安定性の観点から、ナイロン6T,ナイロン6I,ナイロン6I6Tが好ましい。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。
非晶性ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ナイロン6I6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)等が挙げられる。これらの中でも、経済性、供給安定性の観点から、ナイロン6T,ナイロン6I,ナイロン6I6Tが好ましい。これらは単独又は複数以上組み合わせて使用することができる。
(樹脂(B)の含有量)
本発明のガス保持体の層(X)に、ポリアミド樹脂(A)以外に樹脂(B)を含有する場合、樹脂(B)の含有量は、層(X)を構成する全樹脂中の合計100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましい。
本発明のガス保持体の層(X)に、ポリアミド樹脂(A)以外に樹脂(B)を含有する場合、樹脂(B)の含有量は、層(X)を構成する全樹脂中の合計100質量部に対して、20〜80質量部であることが好ましい。
本発明のガス保持体を構成する層(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに添加剤を含んでもよい。添加剤としては、フィラー、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、繊維状強化材、可塑剤、潤滑剤、耐熱剤、艶消剤、核剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<層構成>
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有すればよく、例えば層(X)の単層構造体であってもよい。また1層以上の層(X)と、その他の層(Y)を含む多層構造体であってもよい。
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有すればよく、例えば層(X)の単層構造体であってもよい。また1層以上の層(X)と、その他の層(Y)を含む多層構造体であってもよい。
(単層構造体)
本発明のガス保持体が単層構造体である場合、層(X)の厚みは用途に応じて適宜決定することができる。例えば、文化財や食品等の保存、およびバルーン等に使用される場合、ガス保持体の厚みは1〜200μm、より好ましくは15〜150μm、更に好ましくは10〜100μmである。
また、ガス保持体が不活性ガス保管容器の補強材として使用される場合、ガス保持体の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μm以上であることがより好ましく、15〜100μm以上であることが更に好ましい。
本発明のガス保持体が単層構造体である場合、層(X)の厚みは用途に応じて適宜決定することができる。例えば、文化財や食品等の保存、およびバルーン等に使用される場合、ガス保持体の厚みは1〜200μm、より好ましくは15〜150μm、更に好ましくは10〜100μmである。
また、ガス保持体が不活性ガス保管容器の補強材として使用される場合、ガス保持体の厚みは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μm以上であることがより好ましく、15〜100μm以上であることが更に好ましい。
(多層構造体)
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有する多層構造体であってもよい。例えば、1層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y構成の2層構成であってもよく、1層の層(X)及び2層の層(Y)からなるY/X/Y、2層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y/Xの3層構成でもよい。また、3層の層(X)及び2層の層(Y)からなるX/Y/X/X/Y、2層の層(X)及び3層の層(Y)からなるY/X/Y/X/Y、1層の層(X)並びに層(Y1)及び層(Y2)からなるY1/Y2/X/Y2/Y1の5層構成であってもよい。さらに、本発明のガス保持体は、必要に応じて接着層(AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、Y1/AD/Y2/X/Y2/AD/Y1の7層構成であってもよい。
なお、本明細書のガス保持体は、例えばX/Y/Zの表記は、ことわりのない限り内側からX、Y、Zの順に積層していることを示す。また、多層構造体が層(X)層を複数層有する場合、複数の(X)層は同一でも異なっていてもよく、(Y)層についても同様である。
本発明のガス保持体は、ポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有する多層構造体であってもよい。例えば、1層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y構成の2層構成であってもよく、1層の層(X)及び2層の層(Y)からなるY/X/Y、2層の層(X)及び1層の層(Y)からなるX/Y/Xの3層構成でもよい。また、3層の層(X)及び2層の層(Y)からなるX/Y/X/X/Y、2層の層(X)及び3層の層(Y)からなるY/X/Y/X/Y、1層の層(X)並びに層(Y1)及び層(Y2)からなるY1/Y2/X/Y2/Y1の5層構成であってもよい。さらに、本発明のガス保持体は、必要に応じて接着層(AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、Y1/AD/Y2/X/Y2/AD/Y1の7層構成であってもよい。
なお、本明細書のガス保持体は、例えばX/Y/Zの表記は、ことわりのない限り内側からX、Y、Zの順に積層していることを示す。また、多層構造体が層(X)層を複数層有する場合、複数の(X)層は同一でも異なっていてもよく、(Y)層についても同様である。
本発明のガス保持体において、層(Y)を構成する樹脂としては任意の樹脂を使用することができ、特に限定されない。例えば、上記層(X)に任意に添加される樹脂(B)として挙げられたものを使用することができる。本発明において、層(X)に含まれる樹脂(B)と、層(Y)を構成する樹脂とは、同一であっても異なっていてもよい。
<ガス保持体の製造方法>
本発明のガス保持体は従来公知の成形方法により、各種形態の成形品に成形することができる。成形法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、ダイレクトブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形及び二色成形等の成形法を例示することができる。本発明のガス保持体は、好ましくはフィルム、シート、チューブ、ホース、ボトル、射出成形材等で用いることが出来る。
本発明のガス保持体は従来公知の成形方法により、各種形態の成形品に成形することができる。成形法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、ダイレクトブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形及び二色成形等の成形法を例示することができる。本発明のガス保持体は、好ましくはフィルム、シート、チューブ、ホース、ボトル、射出成形材等で用いることが出来る。
本発明のガス保持体は、圧力容器の補強材、タンク補強材、ガス輸送ホース、食品や文化財保持のための包装材料、バルーン、断熱材などの発泡材料、タイヤのインナーライナー等に用いることが出来る。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
(1)不活性ガスバリア性
不活性ガスとして窒素を用いた。ガス透過率測定装置(GTR−COLD11A/31A、GTRテック(株)製)を用いて、40℃/90%RH及び40℃/60%RHの雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じてフィルムの窒素ガス透過度を求め、フィルム厚みを考慮し窒素ガス透過係数(cc・mm/m2・day)を測定した。なお、窒素ガスの検出にはガスクロマトグラフィーを用い、カラムにはPorapakQカラム(ジーエルサイエンス製)、キャリアーガスにはヘリウムガス、検出器には熱伝導度検出器を用いた。なお、不活性ガス透過係数の値が低いほど不活性ガス保持性が良好であることを示す。
また、不活性ガスとしてアルゴン、ヘリウムを使用した場合についても、窒素ガスと同様の方法で、不活性ガス透過係数を測定した。
不活性ガスとして窒素を用いた。ガス透過率測定装置(GTR−COLD11A/31A、GTRテック(株)製)を用いて、40℃/90%RH及び40℃/60%RHの雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じてフィルムの窒素ガス透過度を求め、フィルム厚みを考慮し窒素ガス透過係数(cc・mm/m2・day)を測定した。なお、窒素ガスの検出にはガスクロマトグラフィーを用い、カラムにはPorapakQカラム(ジーエルサイエンス製)、キャリアーガスにはヘリウムガス、検出器には熱伝導度検出器を用いた。なお、不活性ガス透過係数の値が低いほど不活性ガス保持性が良好であることを示す。
また、不活性ガスとしてアルゴン、ヘリウムを使用した場合についても、窒素ガスと同様の方法で、不活性ガス透過係数を測定した。
製造例1
(ポリアミド(A1−a)の溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、さらに次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)432.5mg(4.083mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)および酢酸ナトリウム207.7mg(2.53mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.62)になるよう入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13895g(102.0mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド(A1−a)を得た。
(ポリアミド(A1−a)の溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸15000g(102.6mol)、さらに次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)432.5mg(4.083mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)および酢酸ナトリウム207.7mg(2.53mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.62)になるよう入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン13895g(102.0mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド(A1−a)を得た。
(ポリアミド(X1a)の固相重合)
窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに、製造例1で得られたポリアミドポリアミド(A1−a)を仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr(133.3Pa)以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30〜45分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド(A1)を得た。
窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに、製造例1で得られたポリアミドポリアミド(A1−a)を仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr(133.3Pa)以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30〜45分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド(A1)を得た。
製造例2
(ポリアミド(A2-a)の生成、ポリアミド(X2)の固相重合)
ジカルボン酸成分として、アジピン酸に代わって、アジピン酸14094.3g(96.444mol)およびイソフタル酸1022.8g(6.156mol)を添加し、次亜リン酸ナトリウム一水和物の配合量を12978mg(122.5mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として151ppm)及び酢酸ナトリウムの配合量を6914mg(84.29mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.69)となるように変更した以外は、製造例1と同様に溶融重合して、ポリアミド(A2-a)を得、同様に固相重合して、ポリアミド(A2)を得た。
(ポリアミド(A2-a)の生成、ポリアミド(X2)の固相重合)
ジカルボン酸成分として、アジピン酸に代わって、アジピン酸14094.3g(96.444mol)およびイソフタル酸1022.8g(6.156mol)を添加し、次亜リン酸ナトリウム一水和物の配合量を12978mg(122.5mmol、ポリアミド中のリン原子濃度として151ppm)及び酢酸ナトリウムの配合量を6914mg(84.29mmol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.69)となるように変更した以外は、製造例1と同様に溶融重合して、ポリアミド(A2-a)を得、同様に固相重合して、ポリアミド(A2)を得た。
(実施例1)
(ガス保持体の製造)
得られたポリアミド(A1)を用いて、25mmφ単軸押出機(型式:PTM25、(株)プラスチック工学研究所製)、綾畳織600メッシュのフィルターを設けたヘッド、Tダイからなるフィルム押出機、冷却ロール、巻き取り機等を備えた引き取り装置を使用して、フィルムの製造を行った。フィルムの製造条件は、樹脂の吐出速度を3kg/hに保持しつつフィルム状に押し出し、引き取り速度を調節して幅15cm、厚み50μmとすることにより、ポリアミド(X1)からなる未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを二軸延伸装置(テンター法、東洋精機製作所(株)製)にて延伸温度130℃、熱固定温度210℃、延伸倍率を縦4倍×横4倍;16倍にて延伸して延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(ガス保持体の製造)
得られたポリアミド(A1)を用いて、25mmφ単軸押出機(型式:PTM25、(株)プラスチック工学研究所製)、綾畳織600メッシュのフィルターを設けたヘッド、Tダイからなるフィルム押出機、冷却ロール、巻き取り機等を備えた引き取り装置を使用して、フィルムの製造を行った。フィルムの製造条件は、樹脂の吐出速度を3kg/hに保持しつつフィルム状に押し出し、引き取り速度を調節して幅15cm、厚み50μmとすることにより、ポリアミド(X1)からなる未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを二軸延伸装置(テンター法、東洋精機製作所(株)製)にて延伸温度130℃、熱固定温度210℃、延伸倍率を縦4倍×横4倍;16倍にて延伸して延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリアミド(A1)に代えてポリアミド(A2)を使用した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)に代えてポリアミド(A2)を使用した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
フィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RH(GTR−1)および40℃/60%RH(GTR−2)での窒素ガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
フィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RH(GTR−1)および40℃/60%RH(GTR−2)での窒素ガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリアミド(A1)に代わり、ポリアミド(A1)70質量%およびナイロン6(UBEナイロン1024B、宇部興産(株)製)30質量%をドライブレンドしたものを用いた以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)に代わり、ポリアミド(A1)70質量%およびナイロン6(UBEナイロン1024B、宇部興産(株)製)30質量%をドライブレンドしたものを用いた以外は、実施例1と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
フィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
フィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリアミド(A1)とナイロン6の混合割合、およびフィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様に製膜および延伸を実施し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)とナイロン6の混合割合、およびフィルムの延伸倍率を表1に記載の条件に変更した以外は、実施例4と同様に製膜および延伸を実施し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例3で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHでのアルゴンガス透過係数および40℃60%RHでのアルゴンガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
実施例3で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHでのアルゴンガス透過係数および40℃60%RHでのアルゴンガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例3で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのヘリウムガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
実施例3で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのヘリウムガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリアミド(A1)に代えて、ナイロン6(UBEナイロン1024B、宇部興産(株)製)を用いた以外は、実施例3と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)に代えて、ナイロン6(UBEナイロン1024B、宇部興産(株)製)を用いた以外は、実施例3と同様に未延伸フィルムおよび延伸フィルムを作製し、延伸フィルムの40℃90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−1)および40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリアミド(A1)に代えて、EVOHフィルム(エバールEF−XL、厚み15μm、延伸倍率16倍、(株)クラレ製)を用いて、40℃/90%RHおよび40℃/60%RHでの窒素ガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド(A1)に代えて、EVOHフィルム(エバールEF−XL、厚み15μm、延伸倍率16倍、(株)クラレ製)を用いて、40℃/90%RHおよび40℃/60%RHでの窒素ガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例1で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのアルゴンガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
比較例1で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのアルゴンガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例1で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのヘリウムガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
比較例1で作製した延伸フィルムを用いて、40℃90%RHおよび40℃60%RHでのヘリウムガス透過係数を測定した。結果を表1に示す。
実施例で示したように、本発明のガス保持体は40℃90%RHでの不活性ガス透過係数の値が小さいことから、高湿度条件下において不活性ガスバリア性に優れることがわかる。また、40℃90%RHでの不活性ガス透過係数(GTR−1)を40℃60%RHでの不活性ガス透過係数で除した値(GTR−1/GTR−2)が小さいことから、周囲の湿度条件が変化しても、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス透過係数の変化が少なく、不活性ガス保持性に優れることがわかる。
一方、ポリアミド樹脂(A)のかわりにナイロン6を使用した比較例1では、40℃、90%RHでの窒素透過係数の値が大きいため、ガス保持体としての性能に劣るものであった。同様に、不活性ガスとしてアルゴンを用いた比較例3、ヘリウムを用いた比較例4においても、40℃、90%RHでの不活性ガス透過係数の値が大きいことから、ナイロン6は不活性ガス保持体として性能に劣るものであることがわかる。さらに、ポリアミド樹脂(A)の代わりにEVOHを使用した比較例2では、40℃、90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR-1)を40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が大きいことから、湿度による不活性ガス保持率の変動が大きく、不活性ガス保持体として性能に劣るものであった。
一方、ポリアミド樹脂(A)のかわりにナイロン6を使用した比較例1では、40℃、90%RHでの窒素透過係数の値が大きいため、ガス保持体としての性能に劣るものであった。同様に、不活性ガスとしてアルゴンを用いた比較例3、ヘリウムを用いた比較例4においても、40℃、90%RHでの不活性ガス透過係数の値が大きいことから、ナイロン6は不活性ガス保持体として性能に劣るものであることがわかる。さらに、ポリアミド樹脂(A)の代わりにEVOHを使用した比較例2では、40℃、90%RHでの窒素ガス透過係数(GTR-1)を40℃60%RHでの窒素ガス透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が大きいことから、湿度による不活性ガス保持率の変動が大きく、不活性ガス保持体として性能に劣るものであった。
Claims (12)
- メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、α、ω‐直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)を含有する層(X)を1層以上有するガス保持体であって、
前記ポリアミド樹脂(A)の40℃、90%RHでの窒素透過係数が1.5cc・mm/(m2・1day・atm)以下であり、かつ40℃、90%RHでの窒素透過係数(GTR-1)を40℃、60%RHでの窒素透過係数(GTR−2)で除した値(GTR−1/GTR−2)が10以下であることを特徴とする、ガス保持体。 - 層(X)におけるポリアミド樹脂(A)の含有量が20質量%以上である、請求項1に記載のガス保持体。
- 前記ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂である、請求項1又は2に記載のガス保持体。
- 前記ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、アジピン酸単位70〜99モル%及びイソフタル酸単位1〜30モル%とを含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂である、請求項1または2に記載のガス保持体。
- 前記ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、セバシン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂である、請求項1または2に記載のガス保持体。
- 層(X)が、さらに脂肪族ポリアミド樹脂または非晶性ポリアミド樹脂を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載のガス保持体。
- 脂肪族ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン66及びナイロン666から選択された1種以上のポリアミド樹脂である、請求項6に記載のガス保持体。
- 非晶性ポリアミド樹脂が、ナイロン6T、ナイロン6I及びナイロン6I6Tから選択された1種以上のポリアミド樹脂である、請求項6に記載のガス保持体。
- 請求項1〜8のいずれかのガス保持体を少なくとも一部に用いる圧力容器。
- 請求項1〜8のいずれかのガス保持体を少なくとも一部に用いるバルーン。
- 請求項1〜8のいずれかのガス保持体を少なくとも一部に用いる包装材料。
- 請求項1〜8のいずれかのガス保持体を少なくとも一部に用いる輸送ホース。
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