JP2015135444A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒子径A[μm]のフィラー(a)、平均粒子径B[μm]のフィラー(b)及び硬化性化合物(c)を含有し、A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。3μm≦A≦20μm・・・(I)、0.0005×A≦B≦0.02×A・・・(II)
【選択図】なし
Description
しかし、一般的にフィラーは粒子同士が凝集し易く、一次粒子の状態で使用することは困難である。すなわち、凝集物(粗大粒子)が液晶シール剤中に存在することになり、ディスペンス時のノズル詰まり、スクリーン印刷時の版の目詰まり等、塗布工程における不具合を発生させる。
本発明は、フィラーを含有する液晶滴下工法用液晶シール剤であって、上記した課題を解決するものである。
また、フィラーの凝集を無くすことによって、該フィラーのもつ特性を最大限に引き出すことが可能である。例えば、フィラー自身が、液晶の差し込みへの耐性をもつ場合があるが、この効果もより高いレベルで実現することが可能である。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
1)
平均粒子径A[μm]のフィラー(a)、平均粒子径B[μm]のフィラー(b)及び硬化性化合物(c)を含有し、
A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
3μm ≦ A ≦ 20μm ・・・ (I)
0.0005×A ≦ B ≦ 0.02×A ・・・ (II)
2)
上記(a)が、有機フィラーである上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記(b)が、シリカ及び/又はアルミナである上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
4)
上記(a)が疎水性フィラーであり、上記(b)が親水性フィラーである上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
上記(a)が、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)の含有量が5質量部以上50質量部未満である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(b)の含有量が1質量部以上20質量部未満である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
上記硬化性化合物(c)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂であり、更に熱硬化剤(d)を含有する上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
9)
上記硬化性化合物(c)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
上記熱硬化剤(d)が有機酸ヒドラジド化合物である上記8)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
11)
更に熱ラジカル重合開始剤(e)を含有する上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
12)
更にシランカップリング剤(f)を含有する、上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
13)
更にエポキシ樹脂(g)を含有する、上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
14)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
15)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、
に関する。
3μm ≦ A ≦ 20μm ・・・ (I)
0.0005×A ≦ B ≦ 0.02×A ・・・ (II)
[数式(I)に関して]
数式(I)は、平均粒子径の大きいフィラー(a)の、平均粒子径を規定している。すなわち、フィラー(a)の平均粒子径は、3μm以上20μm以下である。フィラー平均粒子径が小さいと、その凝集力が高くなる傾向がある。従って、3μm未満である場合、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、フィラーの平均粒子径が大きすぎると、凝集していなくても、液晶表示セルの製造には不向きとなる。平均粒子径の更に好ましい範囲は、3μm以上15μm以下であり、特に好ましくは、4μm以上10μm以下である。
[数式(II)に関して]
数式(II)は、フィラー(a)とフィラー(b)の平均粒子径の関係を示したものである。すなわち、フィラー(b)の平均粒子径は、フィラー(a)の平均粒子径の2000分の1以上1000分の20以下である。フィラー(b)の平均粒子径がこの範囲である場合には、フィラー(a)の粒子とフィラー(a)の粒子の間に効率良く入り込み、フィラー(a)の分散性を高める効果を発現する。また、フィラー(a)が有機フィラーの場合には、外的応力によって形状が変形することがあるが、フィラー(b)が上記範囲であれば、その変形に追従することが可能であって、フィラー(a)から剥離することもない。フィラー(b)の平均粒子径は、更に好ましくは、1000分の2以上1000分の15以下であり、特に好ましくは、1000分の5以上1000分の10以下である。
有機フィラーとしては、例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド微粒子、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系微粒子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系微粒子、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴム微粒子等が挙げられる。このうち好ましいものはゴム微粒子であって、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、二トリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム( EPM、EP)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(SI、SR)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、多硫化ゴム(チオコール)などが挙げられる。これら固形成分(I)は2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、好ましくは、シリコーンゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、アクリルゴムである。
有機フィラーの中で好ましいものは、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子であり、更に好ましいものは、アクリルゴム及び/又はシリコーンゴムである。
有機フィラーとして特に好ましいものは、KMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、AFX−8、AFX−15(積水化成品工業製)、JB−800T、HB−800BK(根上工業製)である。
有機フィラーとしては、ゼフィアックRTMF−325、F−340、F−351(アイカ工業株式会社製)、パラロイドEXL−2655(呉羽化学工業株式会社製)などが挙げられる。
このフィラー(b)としては、シリカ又はアルミナが好ましく、特に好ましくはフュームドシリカ、フュームドアルミナである。
ここで、親水性とは、表面が水酸基、アミノ基などの水素結合性水酸基を有する官能基で構成されているか金属酸化物などの水素結合受容成分であるものをいう。また疎水性とは、親水性表面をジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン、シリコーンオイルまたは末端に非極性の官能基を有するカップリング剤などで化学的に結合させたものをいう。
また、フィラー(b)の液晶シール剤中の含有量としては、本願発明の液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜20質量部である場合が好ましく、2〜15質量部である場合がより好ましく、3〜10質量部である場合が更に好ましい。
この硬化性化合物(c)は、光又は熱によって重合反応するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物である場合が特に好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、レゾルシン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、例えばレゾルシンジグリシジルエーテル等である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
したがって、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性化合物であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
また、硬化性化合物(c)の液晶滴下工法用液晶シール剤中に占める含有率としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、30〜90質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80質量部程度である。
一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物としては、KAYARADRTMPET−30、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DPEA−12、GPO−303、TMPTA、THE-330、TPA−320、TPA−330、D−310,D−330、RP−1040、UX−5000、DPHA−40H(以上、日本化薬株式会社製)、NKエステルRTMA−9300、A−9300−1CL、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMM−3LM−N、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH(以上、新中村化学工業株式会社)、SR295、SR350、SR355、SR399、SR494、CD501、SR502、CD9021、SR9035、SR9041(以上、サートマー社製)等を挙げることができる。これらのうち、モル平均分子量が800以上である場合が好ましく、例えばKAYARADRTMDPCA−20、DPCA−30、DPEA−12が好ましい。また、分子内にC1−C4アルキレンオキサイド(−O−R−O−)を含有する硬化性化合物である場合が好ましく、KAYARADRTMDPEA−12が特に好ましい。
この熱硬化剤は特に限定されるものではなく、多価アミン類、多価フェノール類、ヒドラジド化合物等を挙げることができるが、固形の有機酸ヒドラジドが特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、1−ナフトエ酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。この熱硬化剤は、単独で用いても2種以上混合しても良い。硬化反応性と潜在性とのバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはマロン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドである。かかる熱硬化剤を使用する場合の含有量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部程度である。
上記(e)熱ラジカル重合開始剤として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジエトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
光重合開始剤を用いる場合の液晶シール剤総量中の含有率は、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
ラジカル重合防止剤は、成分(c)を合成する際に添加する方法や、液晶シール剤の製造時において成分(c)に溶解させる方法があるが、より有効な効果を得る為には液晶シール剤の製造時において成分(c)に溶解させるほうが好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2
,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
[レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物の合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(EX−201:ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。得られたエポキシアクリレートの反応性基当量は理論値で183である。
[1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
下記表1に示す量の成分、(a)、(b)等を用い、液晶シール剤の製造を行った。製造方法は以下に示す通りである。
まず、成分(c)に成分(g)を加熱溶解混合し、室温まで冷却後、成分(f)を添加し攪拌した。その後成分(a)、(b)、(d)、(e)、硬化促進剤を順次添加し、3本ロールにより均一に混合した。
凝集物の存在を評価する方法として、ろ過性試験を実施した。
これは、上記実施例1〜7、比較例1〜2で調整した液晶シール剤4gを6mmΦの635メッシュの金メッシュでろ過し、時間とろ過量を測定する方法である。凝集物の多い液晶シール剤は次第にメッシュが詰まってくるため、ろ過速度が遅くなるが、分散されている液晶シール剤は一定の速度でろ過することができる
ろ過性の評価
○:シール剤4gが一定の速度でろ過できる。
△:シール剤4gが徐々に速度が遅くなるがろ過できる。
×:シール剤4gがろ過できず詰まってしまう。
凝集物が存在すると液晶シール剤中での均一性がなくなるため接着強度が低下するが、均一に分散されている液晶シール剤は偏りがなくなるため接着強度が向上する。
液晶シール剤100gにスペーサーとして直径3μmのグラスファイバー(PF−30S:日本電気硝子株式会社製)1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせ、120℃オーブンに1時間投入して硬化させた。そのガラス片のせん断接着強度をボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)を使用して測定した。その結果を表2に示す。
また、本発明の液晶シール剤は接着強度についても、優れることが確認された。
Claims (15)
- 平均粒子径A[μm]のフィラー(a)、平均粒子径B[μm]のフィラー(b)及び硬化性化合物(c)を含有し、
A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
3μm ≦ A ≦ 20μm ・・・ (I)
0.0005×A ≦ B ≦ 0.02×A ・・・ (II)
- 前記(a)が、有機フィラーである請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(b)が、シリカ及び/又はアルミナである請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(a)が疎水性フィラーであり、前記(b)が親水性フィラーである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(a)が、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1又は2以上のゴム微粒子である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)の含有量が5質量部以上50質量部未満である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(b)の含有量が1質量部以上20質量部未満である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記硬化性化合物(c)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂であり、更に熱硬化剤(d)を含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記硬化性化合物(c)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記熱硬化剤(d)が有機酸ヒドラジド化合物である請求項8に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に熱ラジカル重合開始剤(e)を含有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更にシランカップリング剤(f)を含有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更にエポキシ樹脂(g)を含有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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