JP2015107719A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤの耐エア漏れ性能を維持しつつタイヤを軽量化できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、ビードコア51と、ビードコア51のタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラー52と、熱可塑性シートから成ると共にビードコア51およびビードフィラー52に架け渡されるカーカス層6と、カーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層7と、熱可塑性シートから成ると共にカーカス層6のタイヤ幅方向外側に配置されるサイド補強層9とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの耐エア漏れ性能を維持しつつタイヤを軽量化できる空気入りタイヤに関する。
近年では、地球温暖化対策などの環境への配慮から、タイヤを軽量化すべき要求がある。この点において、従来の空気入りタイヤでは、体積の大きいタイヤ部材(例えば、キャップトレッドゴム、サイドウォールゴムなど)を薄肉化した構成が採用されている。しかしながら、タイヤ部材を薄肉化すると、タイヤの耐摩耗性能や耐久性能が低下する。このため、更なるタイヤの軽量化が難しいという課題がある。
この点において、従来の空気入りタイヤは、熱可塑性樹脂から成るカーカス層を用いることでタイヤを軽量化している。
かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2012−46030号公報
一方で、空気入りタイヤでは、エア漏れを低減して、タイヤ内圧を保持すべき課題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの耐エア漏れ性能を維持しつつタイヤを軽量化できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラーと、熱可塑性シートから成ると共に前記ビードコアおよび前記ビードフィラーに架け渡されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、熱可塑性シートから成ると共に前記カーカス層のタイヤ幅方向外側に配置されるサイド補強層とを備えることを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤは、サイド補強層がカーカス層のタイヤ幅方向外側に配置されるので、サイドウォール部からのエア漏れが低減されて、タイヤ内圧が適正に保持される利点がある。また、サイド補強層が熱可塑性シートから成ることにより、タイヤ重量の増加を抑制できる利点がある。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのカーカス層を示す一部拡大子午断面図である。 図3は、図1に記載した空気入りタイヤのカーカス層を示す一部拡大子午断面図である。 図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図6は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図10は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図15は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図17は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図18は、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
[空気入りタイヤ]
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延在する複数(本実施形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延在するリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で巻き上げられることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向両端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き上げられてタイヤ径方向外側に延在され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6についての詳細は後述する。
ベルト層7は、少なくとも2枚のベルトプライ71、72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルトプライ71、72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルトプライ71、72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ径方向外側においてベルト層7全体を覆うように配置されたベルト補強層81と、当該ベルト補強層81のタイヤ径方向外側においてベルト層7全体を覆うように配置されたベルト補強層82と、当該ベルト補強層82のタイヤ幅方向外側においてベルト層7のタイヤ幅方向各端部をそれぞれ覆うように配置されたベルト補強層83とで構成されている。なお、ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置される構成や、ベルト層7のタイヤ幅方向各端部をそれぞれ覆うように配置される構成のみ、またはこれらを適宜組み合わせた構成がある。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向両端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
[カーカス層]
図2および図3は、図1に記載した空気入りタイヤのカーカス層を示す一部拡大子午断面図である。これらの図において、図2は、ビード部5の拡大断面図を示し、図3は、ショルダー部3の拡大断面図を示している。
上述した空気入りタイヤ1において、カーカス層6は、少なくとも2層(図1では、3層)で構成されており、熱可塑性シート(61、62、63)で形成されている。そして、熱可塑性シート(61、62、63)は、各層同士が重なる間にゴム層6aが配置されている。図2においては、熱可塑性シート(61、62、63)の各層同士が重なる間以外に、ビード部5の巻き上げ部分で最も外側となる熱可塑性シート61の外側にもゴム層6aが設けられた形態を示す。
熱可塑性シート(61、62、63)は、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成されており、コードを有さないものである。
本実施形態で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などを挙げることができる。
本実施形態で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えばポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕などを挙げることができる。
このように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも2層のカーカス層6が、そのタイヤ幅方向両端部を両ビード部5に配置したビードコア51まで延在されるとともにビードコア51のタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き上げられてタイヤ径方向外側に延在された空気入りタイヤ1において、カーカス層6は、熱可塑性シート(61、62、63)で形成されてなり、少なくとも熱可塑性シート(61、62、63)の各層同士が重なる間にゴム層6aが配置されている。
この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6を熱可塑性シート(61、62、63)で形成し、少なくとも各層間にゴム層6aを配置したことにより、一般的な空気入りタイヤに適用されるようなタイヤ幅方向に配置されるカーカスコードがコートゴムで被覆されたカーカス層と同等にタイヤの骨格となる機能を有する。この熱可塑性シート(61、62、63)は、カーカスコードよりも軽量である。この結果、タイヤ重量をより軽減することが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6を熱可塑性シート(61、62、63)で形成したことにより、一般的な空気入りタイヤの内側に適用されるインナーライナーにおける空気漏れを抑制する機能を有する。この結果、インナーライナーを省略することが可能になり、タイヤ重量をより軽減することが可能になる。
さらに、この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6を熱可塑性シート(61、62、63)で形成したことにより、カーカス層6において、カレンダー工程(ゴムのシーティング(シート加工)、織布へのゴムのコーティング(トッピング加工)などの操作を行う工程)を省略することができるため、タイヤの製造工程を簡素化することが可能になる。
なお、ゴム層6aの平均厚さは、0.05[mm]以上0.5[mm]以下であることが好ましい。0.05[mm]以上であれば製造が可能であり、0.5[mm]以下であれば重量の増加を防ぐことが可能になる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、カーカス層6をなす熱可塑性シート(61、62、63)は、単層の平均厚さが0.03[mm]以上1.00[mm]以下であり、かつ空気透過係数が3×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以上500×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下であることが好ましい。
ここで、平均厚さは、測定対象タイヤをタイヤ周方向に幅20[mm]から30[mm]でタイヤ幅方向に切断し、タイヤ幅方向の長さを少なくとも8等分し、カーカス層6を構成する熱可塑性シート(61、62、63)のそれぞれの厚みを測定し、単層分について平均化して得る。また、空気透過係数は、JIS K7126「プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法(A)」に準じ、試験気体を空気(N:O=8:2)とし、試験温度を30[℃]として得る。
この空気入りタイヤ1によれば、熱可塑性シート(61、62、63)の上記厚さの規定によりタイヤの骨格となる機能を顕著に有し、かつ上記空気透過係数の規定によりインナーライナーの機能を顕著に有することから、タイヤ重量を軽減化する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、インナーライナーの機能を兼ね、かつタイヤ重量を軽減化する効果を顕著に得るため、熱可塑性シート(61、62、63)の単層の平均厚さを0.05[mm]以上0.6[mm]以下とすることがさらに好ましく、インナーライナーの機能を兼ね、かつタイヤ重量を軽減化する効果をより顕著に得るため、熱可塑性シート(61、62、63)の単層の平均厚さを0.08[mm]以上0.5[mm]以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、ゴム層6aは、熱可塑性シート(61、62、63)との剥離強度が50[N/25mm]以上400[N/25mm]以下であることが好ましい。
ここで、剥離強度は、JIS K6256に準じて測定して得る。
この空気入りタイヤ1によれば、ゴム層6aの上記剥離強度の規定により、カーカス層6間の接着性が向上し、結果としてタイヤの耐久性を向上することが可能になる。なお、剥離強度の上限は、400[N/25mm]を超えてもよいが、タイヤ成形時に供給装置の金属ドラムに密着してハンドリング性が低下する傾向となり修正し難くなるため、400[N/25mm]とした。なお、耐久性を向上する効果を顕著に得るため、ゴム層6aの剥離強度を75[N/25mm]以上400[N/25mm]以下とすることがさらに好ましく、耐久性をより向上しタイヤ成形時のハンドリング性をより向上する効果を顕著に得るため、ゴム層6aの剥離強度を100[N/25mm]以上300[N/25mm]以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、ゴム層6aは、下記式(1)中のR、R、R、RおよびRが、水素、ヒドロキシル基または炭素原子数が1個以上8個以下のアルキル基で表される化合物およびホルムアルデヒドの縮合物と、メチレンドナーと、加硫剤とを含むゴム組成物であって、縮合物の配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であり、メチレンドナーの配合量がゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上80質量部以下であり、メチレンドナーの配合量/前記縮合物の配合量の比が、1以上4以下であることが好ましい。
Figure 2015107719
この空気入りタイヤ1によれば、ゴム層6aの熱可塑性シート(61、62、63)との接着性を向上することが可能になる。すなわち、ゴム層6aの熱可塑性シート(61、62、63)に対する剥離強度が向上し、カーカス層6間の接着性が向上し、結果としてタイヤとしての耐久性を向上することが可能になる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート(61、62、63)は、単層の室温における引張降伏強さが1[MPa]以上100[MPa]以下であることが好ましい。
ここで、引張降伏強さは、JIS K7113に規定の試験法で測定して得る。
この空気入りタイヤ1によれば、熱可塑性シート(61、62、63)の上記引張降伏強さの規定により、熱可塑性シート(61、62、63)を引っ張ったときの塑性変形を抑制して耐圧性を向上することが可能になる。耐圧性が向上することで、熱可塑性シート(61、62、63)の積層数を減少させ、タイヤ重量の軽減化を向上することが可能になる。なお、引張降伏強さの上限は、100[MPa]を超えてもよいが、インフレート成形時の熱可塑性シート(61、62、63)の拡大において形状が不均一になる傾向となるため、製造のし易さから、100[MPa]とした。なお、熱可塑性シート(61、62、63)の積層数を減少させ、かつ製造を容易とする効果を顕著に得るため、熱可塑性シート(61、62、63)の上記引張降伏強さを2[MPa]以上80[MPa]以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート(61、62、63)は、単層の室温における破断伸びが80[%]以上500[%]以下であることが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、例えば、リム組み作業時に工具などによりタイヤに局所的な歪みが生じても、熱可塑性シート(61、62、63)の破断を防ぐことができるため、従来のマウント(リム組み)装置を利用することが可能である。また、上記破断伸びの確保により実使用時のタイヤ耐久性も向上する。なお、破断伸びの上限は、500[%]を超えてもよいが、実現可能な範囲として規定した。なお、熱可塑性シート(61、62、63)の耐久性を確保する効果を顕著に得るため、熱可塑性シート(61、62、63)の破断伸びを100[%]以上500[%]以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート(61、62、63)は、タイヤ周方向に対する引張降伏強さαと、タイヤ幅方向に対する引張降伏強さβとの関係が、1<β/α≦5の範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ幅方向に対する引張降伏強さβを、タイヤ周方向に対する引張降伏強さαよりも大きくすることで、タイヤ周方向は変形しやすく、タイヤ幅方向は変形しにくくなる。この結果、タイヤの接地形状(接地長)をより適切にすることができるので、操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、熱可塑性シート(61、62、63)において、タイヤ周方向に対する引張降伏強さαと、タイヤ幅方向に対する引張降伏強さβとの関係を、1<β/α≦5の範囲とするには、以下の方法がある。
例えば、延伸成形により熱可塑性シート(61、62、63)のタイヤ周方向とタイヤ幅方向との延伸率を異ならせ剛性を異ならせる。
さらに、熱可塑性シート(61、62、63)に異方性をもたせるために、熱可塑性シート(61、62、63)の任意の箇所に、切欠部、貫通孔、非貫通の凹部などを形成しても良い(図示省略)。
なお、図1の構成では、図2および図3に示すように、積層体60が、熱可塑性シートから成る3層のカーカス層61〜63を有している。そして、隣り合うカーカス層61、62;62、63の間に、ゴム層6aが挟み込まれている。これにより、ゴム層6aが保護材として機能して、隣り合うカーカス層61、62;62、63の相互接触が防止されている。
また、図2および図3の構成では、ゴム層6aが、積層体60の巻き返し部の外周面に配置されている。これにより、ゴム層6aが、保護材として機能して、巻き返し部の最外層にあるカーカス層61と、周辺部材(例えば、サイドウォールゴム41、リムクッションゴム53、ベルト層7のベルトプライ71、72、ベルト補強層81〜83、後述するサイド補強層91など)との接触を防止している。
また、図2および図3の構成では、ゴム層6aが、積層体60の巻き返し部の内周面に配置されている。これにより、ゴム層6aが、保護材として機能して、巻き返し部の最内層にあるカーカス層63と、周辺部材(例えば、ビードコア51、ビードフィラー52など)との接触を防止し、また、巻き返し部の最内層にあるカーカス層63の本体部と巻き上げ部との自己接触を防止している。
また、図2および図3の構成では、ゴム層6aが、積層体60のタイヤ内腔部側の内表面全体に配置されているが、タイヤ内腔部側の内表面に限っては、ゴム層6aが配置されない領域があっても良い。これは、ゴム層6aがカーカス層61、61同士の相互接触の防止を目的としているためである。さらに、カーカス層61〜63自身が、低い気体透過性を有する熱可塑性シートから成ることにより、インナーライナーとして機能している。
また、図1の構成では、図3に示すように、すべてのカーカス層61〜63の巻き上げ部におけるタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側に配置されている。したがって、カーカス層61の端部が、カーカス層6の本体部とベルト層7との間に挟み込まれて配置されている。これにより、カーカス層61〜63が安定的に保持されている。
ベルト層7の最大幅位置B1は、複数のベルトプライ71、72のうち最も幅広なベルトプライ71のタイヤ幅方向外側の端部の位置をいう。
しかし、これに限らず、少なくとも1層のカーカス層6の巻き上げ部の端部がベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側に配置されれば足りる。例えば、一部のカーカス層6の巻き上げ部が、サイドウォール部4やビード部5で終端しても良い(図示省略)。かかる構成としても、カーカス層6が適正に保持される。
また、上記の構成では、カーカス層6の左右の巻き上げ部の端部のうち最もタイヤ幅方向内側にある端部C1、C1の距離CWと、ベルト層7の最大幅BWとが、0.10≦CW/BW≦0.95の関係を有することが好ましい。また、比CW/BWが、0.15≦CW/BW≦0.95の関係を有することがより好ましい。これにより、カーカス層6とベルト層7とのラップ幅が適正に確保されて、タイヤの耐圧性および耐久性が適正に確保される。
距離CWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの、カーカス層6の左右の巻き上げ部の端部C1、C1のタイヤ幅方向の距離として測定される。
ベルト層7の最大幅BWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの、最も幅広なベルトプライ71の左右の最大幅位置B1、B1のタイヤ幅方向の距離として測定される。
また、図3の構成では、積層された複数のカーカス層61〜63の端部が、相互に位置をずらして配置されている。これにより、複数のカーカス層61〜63の端部が同位置にある構成(図示省略)と比較して、グリーンタイヤ成形時におけるカーカス層61〜63の端部位置でのエア溜まりを低減できる。
[サイド補強層]
近年では、地球温暖化対策などの環境への配慮から、タイヤを軽量化すべき要求がある。この点において、従来の空気入りタイヤでは、体積の大きいタイヤ部材(例えば、キャップトレッドゴム、サイドウォールゴムなど)を薄肉化した構成が採用されている。しかしながら、タイヤ部材を薄肉化すると、タイヤの耐摩耗性能や耐久性能が低下する。このため、更なるタイヤの軽量化が難しいという課題がある。
この点において、この空気入りタイヤ1は、上記のように、熱可塑性シートから成るカーカス層6を用いることでタイヤ重量を軽減している。
一方で、空気入りタイヤ1では、エア漏れを低減して、タイヤ内圧を保持すべき課題がある。エア漏れを低減することは、カーカス層6である熱可塑性シートの積層枚数を増加させることにより、実現できる。しかし、熱可塑性シートの積層枚数を過剰に増加させると、タイヤ重量が増加するため、好ましくない。
そこで、この空気入りタイヤ1は、タイヤの耐エア漏れ性能を維持しつつタイヤを軽量化するために、以下の構成を採用している。
図1〜図3に示すように、この空気入りタイヤ1は、サイド補強層9を備える。サイド補強層9は、熱可塑性シートから成る。したがって、サイド補強層9は、カーカス層6と同一材料から成る。サイド補強層9を構成する熱可塑性シートの物性および平均厚さの範囲は、カーカス層6を構成する熱可塑性シートと同一であるので、その記載を省略する。だたし、サイド補強層9とカーカス層6とが、同一の物性および平均厚さを有する必要はない。
また、サイド補強層9は、カーカス層6のタイヤ幅方向外側に配置される。すなわち、サイド補強層9は、サイドウォール部に部分的に配置される部材であり、タイヤ内腔部の全域に渡って配置されるカーカス層6に対して区別される。
例えば、図1の構成では、図2および図3に示すように、空気入りタイヤ1が、積層された複数(図2および図3では、2層)のサイド補強層9を備えている。また、1つのサイド補強層9が、一対のゴム層9a、9a(6a、9a)の間に挟み込まれて配置されている。これらのゴム層9a、6aは、熱可塑性シートから成るサイド補強層9と周辺部材とを接着するための接着層として機能する。また、ゴム層9aは、カーカス層6に積層されるゴム層6aと同一の物性および平均厚さを有することが好ましい。
また、図1の構成では、カーカス層6(3層のカーカス層61〜63から成る積層体60)が、左右一対のビードコア51、51に架け渡されて、タイヤ内腔部の全域に渡って配置されている。また、カーカス層6が、タイヤ幅方向外側に巻き上げられてビードコア51およびビードフィラー52を包み込む巻き上げ部を有している。そして、サイド補強層9が、カーカス層6の巻き上げ部よりもタイヤ幅方向外側に配置されて、カーカス層6の巻き上げ部をタイヤ幅方向外側から覆っている。そして、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53が、カーカス層6およびサイド補強層9をタイヤ幅方向外側から覆って配置されている。したがって、タイヤ幅方向外側の領域では、カーカス層6およびサイド補強層9がタイヤ外周面に露出していない。
また、図2および図3に示すように、ゴム層6aが、カーカス層6(積層体60を構成するカーカス層61〜63のうち最もタイヤ内腔側にあるカーカス層61)の巻き上げ部と、サイド補強層9(2層のサイド補強層91、92のうちタイヤ幅方向内側にあるサイド補強層91)との間に挟み込まれて配置されている。また、ゴム層6aが、カーカス層6(積層体60を構成するカーカス層61〜63のうち最もタイヤ内腔側にあるカーカス層61)の巻き上げ部と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53との間に挟み込まれて配置されている。また、ゴム層9aが、サイド補強層9(2層のサイド補強層91、92のうちタイヤ幅方向外側にあるサイド補強層92)と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53との間に挟み込まれて配置されている。
また、図1の構成では、サイド補強層9が、ビード部5からサイドウォール部4およびショルダー部3を通ってトレッド部2まで延在している。具体的には、サイド補強層9が、以下の領域に配置されることが好ましい。
まず、図2に示すように、サイド補強層9のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にあることが好ましい。したがって、サイド補強層9とビードフィラー52とが、タイヤ径方向に相互にラップして配置される。これにより、ビード部5からサイドウォール部4に至る領域が、サイド補強層9により効果的に補強されて、タイヤの内圧が保持される。
複数のサイド補強層91、92を備える構成では、すべてのサイド補強層91、92のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にあることが好ましい。例えば、図2の構成では、2層のサイド補強層91、92のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ幅方向内側にそれぞれ配置されている。
しかし、これに限らず、少なくとも1層のサイド補強層9のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にあれば良い(図示省略)。したがって、一部のサイド補強層9が、ビードフィラー52よりもタイヤ径方向外側に配置されても良い。
また、上記の構成では、サイド補強層9とビードフィラー52とのラップ幅Wiが、5.0[mm]≦Wiの範囲にあることが好ましい。これにより、ラップ幅Wiが適正に確保されて、エア漏れが効果的に抑制される。ラップ幅Wiの上限値は、特に限定がないが、過度に大きいとタイヤ重量が増加するため好ましくない。
ラップ幅Wiは、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイド補強層9のタイヤ径方向内側の端部と、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部とのタイヤ径方向の距離として測定される。複数のサイド補強層91、92を備える構成では、ラップ幅Wiが、各サイド補強層91、92について、それぞれ定義される。なお、図2の寸法記号Wiは、外周側にあるサイド補強層92のラップ幅Wiを示している。
また、図3に示すように、サイド補強層9のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側にあることが好ましい。したがって、サイド補強層9とベルト層7とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置される。これにより、サイドウォール部4からトレッド部2に至る領域が、サイド補強層9により効果的に補強されて、タイヤの内圧が保持される。また、サイド補強層9の端部が、カーカス層6とベルト層7との間に挟み込まれて配置されることにより、サイド補強層9が安定的に保持される。
複数のサイド補強層91、92を備える構成では、すべてのサイド補強層91、92が上記の要件を満たすことが好ましい。例えば、図3の構成では、2層のサイド補強層91、92のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側にそれぞれ配置されている。しかし、これに限らず、少なくとも1層のサイド補強層9が上記の要件を満たせば足りる。したがって、一部のサイド補強層9が、ベルト層7よりもタイヤ幅方向外側に配置されても良い(図示省略)。
また、上記の構成では、サイド補強層9とベルト層7とのラップ幅Woが、ベルト層7の最大幅BWに対して、0.03≦Wo/BWの関係を有することが好ましい。これにより、ラップ幅Woが適正に確保されて、エア漏れが効果的に抑制される。ラップ幅Woの上限値は、特に限定がないが、過度に大きいとタイヤ重量が嵩むため好ましくない。例えば、比Wo/BWが、0.03≦Wo/BW≦0.40の範囲にあることが好ましく、0.03≦Wo/BW≦0.30の範囲にあることがより好ましく、0.05≦Wo/BW≦0.25の範囲にあることが更に好ましい。したがって、サイド補強層9が、タイヤ赤道面CLに交差することなく終端する。これにより、タイヤ赤道面CLを越えて延在する構成(図示省略)と比較して、トレッド部センター領域における部材(熱可塑性シートおよびゴム層)の積層枚数を低減できる。
ラップ幅Woは、タイヤ子午線方向の断面視にて、サイド補強層9のタイヤ径方向外側の端部と、タイヤ最大幅位置B1との距離として測定される。複数のサイド補強層91、92を備える構成では、ラップ幅Woが、各サイド補強層91、92について、それぞれ定義される。なお、図3の寸法記号Woは、外周側にあるサイド補強層92のラップ幅Woを示している。
また、図2および図3に示すように、複数のサイド補強層91、92を備える構成では、積層されたサイド補強層91、92の端部が平面方向に相互に位置をずらして配置されることが好ましい。これにより、複数のサイド補強層の端部が同位置にある構成(図示省略)と比較して、グリーンタイヤ成形時におけるサイド補強層の端部位置でのエア溜まりを低減できる。
また、上記の構成では、積層された複数のサイド補強層91、92の端部同士の距離Dが、5.0[mm]≦Dの範囲にあることが好ましい。距離Dの上限値は、特に限定がないが、サイド補強層9が長過ぎるとタイヤ重量が増加するため、好ましくない。したがって、距離DがD≦20[mm]の範囲にあるように、サイド補強層91、92の長さが設定されることが好ましい。
また、上記の構成では、サイド補強層9と、サイドウォール部4の外表面とのゲージG(図2参照)が、1.0[mm]≦Gの範囲にあることが好ましい。これにより、サイドウォール部4のゴムゲージが適正に確保される。ゲージGの上限値は、特に限定がないが、大き過ぎるとタイヤ重量が嵩むため好ましくない。一般的な乗用車用タイヤでは、ゲージGの上限値が、G≦5.0[mm]に設定される。
ゲージGは、サイド補強層9とサイドウォール部4の外表面の距離の最小値として測定される。複数のサイド補強層91、92を備える構成(図2参照)では、最外層にあるサイド補強層92とサイドウォール部4の外表面の距離の最小値として測定される。
[タイヤ製造方法]
図4〜図6は、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。これらの図は、グリーンタイヤ成形工程を模式的に示している。
空気入りタイヤ1の製造工程では、各種のタイヤ部材が成形機にかけられて、グリーンタイヤが成形される。
具体的には、図4に示すように、ビードコア51およびビードフィラー52の組立体と、カーカス層61〜63と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53を一体化したゴム部材と、サイド補強層91、92とが、成形ドラム(図示省略)に配置されて相互に位置決めされる。
また、カーカス層61〜63とゴム層6aとが予め交互に積層されて、積層体60が成形される。このとき、図5に示すように、カーカス層61〜63と、サイド補強層91、92と、ゴム層6a、9aとが予め交互に積層されて、積層体が成形されても良い。カーカス層61〜63およびサイド補強層91、92を構成する熱可塑性シートは、グリーンタイヤ成形時にて、帯状部材であっても良いし、シームレスな円筒部材であっても良い(図示省略)。
次に、図6に示すように、ターンアップブラダ(図示省略)が用いられて、カーカス層61〜63、サイドウォールゴム41、リムクッションゴム53およびサイド補強層91、92が、ビードコア51およびビードフィラー52の組立体を包み込むように幅方向外側に巻き上げられる。
次に、上記の部材がターンアップブラダにより圧着されて、周方向に一様断面を有する環状部材が成形される。次に、この環状部材の外周に、ベルト層7を構成するベルトプライ71、72、ベルト補強層81〜83(図3参照)、トレッドゴムなどが配置されて、グリーンタイヤが成形される。
次に、このグリーンタイヤがタイヤ加硫モールド(図示省略)に挿入される。そして、この加硫モールドが加熱され、グリーンタイヤの加硫が行われる。その後に、加硫後のタイヤが、タイヤ加硫モールドから引き抜かれて取り出される。
[変形例]
図7〜図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、サイド補強層91、92の配置状態を模式的に示している。
図2および図3の構成では、図7に示すように、2層のサイド補強層91、92が、カーカス層61〜63の巻き上げ部の外周に配置されている。また、2層のサイド補強層91、92のタイヤ径方向内側の端部が、いずれもビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にある。また、2層のサイド補強層91、92のタイヤ径方向内側の端部が、いずれもビードコア51のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向外側にある。
しかし、これに限らず、全部あるいは一部のサイド補強層9が、ビードコア51のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側まで延在しても良い。例えば、図8の構成では、2層のサイド補強層91、92の双方が、ビードコア51のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側まで延在している。
さらに、全部あるいは一部のサイド補強層9が、ビードコア51の重心よりもタイヤ幅方向内側まで延在しても良い。例えば、図9の構成では、内周側のサイド補強層91が、カーカス層6に沿ってタイヤ幅方向内側に延在して、ビードコア51の重心を越える位置まで延在している。
さらに、全部あるいは一部のサイド補強層9が、ビードフィラー52のタイヤ幅方向内側の側面まで延在しても良い。例えば、図10の構成では、内周側のサイド補強層91が、カーカス層6に沿ってタイヤ幅方向内側までに延在し、ビードコア51を包み込むようにタイヤ幅方向内側に巻き上げられている。
また、図2および図3の構成では、図7に示すように、サイド補強層91、92のタイヤ径方向外側の端部が、カーカス層6の巻き上げ部の端部(図7では、巻き上げ部の最外層にあるカーカス層6の端部。最もタイヤ幅方向内側にある端部。)よりもタイヤ幅方向外側にある。
しかし、これに限らず、図11に示すように、全部あるいは一部のサイド補強層91、92(図11では、内周側にあるサイド補強層91)のタイヤ径方向外側の端部が、カーカス層6の巻き上げ部の端部を越えてタイヤ幅方向内側に延在しても良い。
また、図7の構成では、2層のサイド補強層91、92が、タイヤ径方向内側の端部の位置およびタイヤ径方向外側の端部の位置を相互にずらして配置されている。また、内周側にあるサイド補強層91のタイヤ径方向内側の端部が、外周側にあるサイド補強層92のタイヤ径方向内側の端部よりもタイヤ径方向内側にある。また、内周側にあるサイド補強層91のタイヤ径方向外側の端部が、外周側にあるサイド補強層92のタイヤ径方向内側の端部よりもタイヤ幅方向内側にある。このため、外周側にあるサイド補強層92の両端部が、内周側にあるサイド補強層91の上にある。かかる構成では、グリーンタイヤ成形時にて、内側にあるサイド補強層の端部におけるエア溜まりを低減できるため、好ましい。
しかし、これに限らず、図12〜図14に示すように、外周側にあるサイド補強層92の双方あるいは一方の端部が、内周側にあるサイド補強層91の端部を越えて延在しても良い。例えば、図12の構成では、外周側にあるサイド補強層92の双方の端部が、内周側にあるサイド補強層91の端部をそれぞれ越えて延在している。また、図13および図14の構成では、外周側にあるサイド補強層92の一方の端部が、内周側にあるサイド補強層91の端部を越えて延在している。このため、図12〜図14の構成では、外周側にあるサイド補強層92が、内周側にあるサイド補強層91の両方あるいは一方の端部を覆って配置されている。
図15および図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、タイヤ構造を模式的に示している。
図1の構成では、空気入りタイヤ1が、積層された複数のカーカス層61〜63を備えている。かかる構成では、複数のカーカス層61〜63が積層体60を構成することにより、タイヤ内腔部の気密性が向上して、エア漏れが効果的に抑制される。
しかし、これに限らず、図15に示すように、空気入りタイヤ1が、単層のみのカーカス層6を備えても良い。これにより、タイヤがより軽量化され、また、耐エア漏れ性と耐圧性がサイド補強層9により適正に確保される。また、このとき、カーカス層6が一対のゴム層6a、6aに挟み込まれることにより(図示省略)、カーカス層6と周辺部材との接触が抑制される。
図1の構成では、カーカス層6が、端部をタイヤ幅方向外側に巻き上げてビードコア51およびビードフィラー52を包み込む巻き上げ部を有している。かかる構成では、カーカス層6がビードコア51に安定的に保持される点で好ましい。
しかし、これに限らず、図16に示すように、カーカス層6が、端部を巻き上げることなくビード部で終端する、いわゆるターンダウン構造を有しても良い。これにより、タイヤがより軽量化され、また、耐エア漏れ性と耐圧性がサイド補強層9により適正に確保される。
図17は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、サイド補強層9と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53とを一体化した構造を示している。
図4の構成では、グリーンタイヤ成形工程にて、サイド補強層9と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53とが相互に独立した部材から成る。そして、ビードコア51、ビードフィラー52、カーカス層6の積層体60、サイド補強層9、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53などのタイヤ部材が成形機にかけられて、グリーンタイヤが成形される。
このとき、図17に示すように、サイド補強層9と、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53とが、予め一体化されても良い。これにより、グリーンタイヤ成形工程にて、タイヤ部材を成形機に対して組み付ける作業を容易化できる。
例えば、図17の構成では、サイド補強層9(図17では、2層のサイド補強層91、92)が、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53の内部に埋設されている。かかる構成は、例えば、サイド補強層9と接着用のゴム層9aとを積層して成る部材を、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53を構成する一対のゴム部材で挟み込んで接着することにより、実現できる。また、例えば、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53を構成するゴム部材と、サイド補強層9とを二層押出形成することによっても、実現できる。後者の場合には、接着用のゴム層9aを省略できる点で好ましい。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、ビードコア51と、ビードコア51のタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラー52と、熱可塑性シートから成ると共にビードコア51およびビードフィラー52に架け渡されるカーカス層6と、カーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層7と、熱可塑性シートから成ると共にカーカス層6のタイヤ幅方向外側に配置されるサイド補強層9とを備える(図1参照)。
かかる構成では、(1)カーカス層6が熱可塑性シート61〜63から成るので、カーカス層がスチールあるいは有機繊維材をコートゴムで被覆して成る構成と比較して、タイヤ重量が軽減される利点がある。
(2)また、通常のタイヤ用ゴム組成物に対して、耐空気透過性に優れた熱可塑性シートから成るサイド補強層9がカーカス層6のタイヤ幅方向外側に配置されるので、サイドウォール部からのエア漏れが低減されて、タイヤ内圧が適正に保持される利点がある。
(3)また、積層された複数のカーカス層を備える構成(図1参照)では、上記のように、サイド補強層9がカーカス層6の機能を補足するので、カーカス層6の積層枚数を低減できる。これにより、エア漏れを低減しつつタイヤ重量を軽減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層6が、タイヤ幅方向外側に巻き上げられてビードコア51およびビードフィラー52を包み込む巻き上げ部を有し、サイド補強層9が、カーカス層6の巻き上げ部よりもタイヤ幅方向外側に配置される(図1および図2参照)。かかる構成では、カーカス層6が巻き上げ部を有することにより、巻き上げ部の配置領域が補強される。さらに、サイド補強層9が、カーカス層6の巻き上げ部よりもタイヤ幅方向外側に配置されることにより、サイド補強層9が、カーカス層6の巻き上げ部の機能を補足する。これにより、エア漏れを効果的に低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9のタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側にある(図1および図3参照)。かかる構成では、サイド補強層9とベルト層7とが相互にラップすることにより、エア漏れが効果的に抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9とベルト層7とのラップ幅Woが、ベルト層7の最大幅BWに対して、0.03≦Wo/BW≦0.40の関係を有する(図2参照)。かかる構成では、サイド補強層9とベルト層7とのラップ幅Woが適正化される利点がある。すなわち、0.03≦Wo/BWであることにより、ラップ幅Woが適正に確保されて、エア漏れが抑制される。また、Wo/BW≦0.40であることにより、サイド補強層9の長過ぎる部分を省いて、タイヤ重量を軽量化できる。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9のタイヤ径方向内側の端部が、ビードフィラー52のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にある(図2参照)。かかる構成では、サイド補強層9とビードフィラー52とが相互にラップすることにより、エア漏れが効果的に抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9とビードフィラー52とのラップ幅Wiが、5.0[mm]≦Wiの範囲にある(図2参照)。かかる構成では、サイド補強層9とビードフィラー52とのラップ幅Wiが適正に確保されて、エア漏れが効果的に抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9のタイヤ径方向内側の端部が、ビードコア51のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側に延在する(図8〜図10参照)。タイヤ転動時には、ビードコア51よりもタイヤ幅方向外側の領域が、リムフランジ部から繰り返し応力を受けて変形し易い。したがって、サイド補強層9の端部がビードコア51のタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ幅方向内側まで延在することにより、サイド補強層9の端部を起点とした周辺ゴム部材のセパレーションが抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数のサイド補強層91、92が、積層されて配置されると共に、積層されたサイド補強層91、92の端部間の距離Dが、5.0[mm]≦Dの範囲にある(図2および図3参照)。かかる構成では、サイド補強層91、92の端部間の距離Dが適正に確保されるので、端部が近接することに起因する集中応力の発生が抑制される。これにより、周辺ゴムのセパレーションが抑制されて、タイヤの耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、少なくとも1層のカーカス層6の巻き上げ部の端部C1が、ベルト層7の最大幅位置B1よりもタイヤ幅方向内側にある(図3参照)。これにより、ショルダー部3におけるタイヤ部材(図3では、カーカス層6の巻き上げ部、ベルトプライ71、72、ベルト補強層81〜83およびサイド補強層91、92)の端部の集中が緩和される。これにより、周辺ゴムのセパレーションが抑制されて、タイヤの耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層6の巻き上げ部の端部のうち最もタイヤ幅方向内側にある左右の端部C1、C1の距離CWと、ベルト層7の最大幅BWとが、0.10≦CW/BW≦0.95の関係を有する(図1参照)。これにより、タイヤの耐久性が適正に確保される利点がある。これにより、カーカス層6の左右の端部C1、C1の距離CWが適正化される利点がある。すなわち、0.10≦CW/BWであることにより、カーカス層6の端部C1とベルト層7の最大幅位置B1との距離が適正に確保されて、タイヤ部材の端部の集中に起因する周辺ゴムのセパレーションが抑制される。また、CW/BW≦0.95であることにより、カーカス層6の余剰部分を省略して、タイヤを軽量化できる。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9と、サイドウォール部4の外表面とのゲージGが、1.0[mm]≦Gの範囲にある(図2参照)。これにより、サイドウォールゴム41のゲージが確保されて、タイヤの耐外傷性や耐候性が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイド補強層9(図2では、内側にあるサイド補強層91)と、カーカス層6(図2では、複数のカーカス層61〜63のうち最も外周側にある巻き返し部を有するカーカス層63)との間に介在するゴム層6aを備える(図2および図5参照)。すなわち、サイド補強層91とカーカス層63とが隣接する位置では、ゴム層6aがサイド補強層91とカーカス層63との間に挟み込まれて配置される。これにより、ゴム層6aが接着層として機能して、サイド補強層91とカーカス層63とが適正に接着される利点がある。また、ゴム層6aにより、サイド補強層91とカーカス層63との接触が防止される。
また、この空気入りタイヤ1では、ゴム層6aと熱可塑性シート61〜63、91、92との剥離強度が、50[N/25mm]以上400[N/25mm]以下の範囲内にある。これにより、ゴム層6a、9aと熱可塑性シート61〜63、91、92との間の接着性が向上して、タイヤの耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ゴム層6aが、上記した式(1)で表される化合物およびホルムアルデヒドの縮合物と、メチレンドナーと、加硫剤とを含むゴム組成物から成る。また、式(1)のR、R、R、RおよびRが、水素、ヒドロキシル基、または、1個以上8個以下の炭素原子数を有するアルキル基である。また、縮合物の配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の範囲内にある。また、メチレンドナーの配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上80質量部以下の範囲内にある。また、メチレンドナーの配合量と前記縮合物の配合量との比が、1以上4以下の範囲内にある。これにより、ゴム層6a、9aと熱可塑性シート61〜63、91、92との間の接着性が向上して、タイヤの耐久性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート61〜63、91、92の平均厚さが、0.03[mm]以上1.00[mm]以下の範囲内にある。また、熱可塑性シート61〜63、91、92の空気透過係数が、3×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以上500×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下の範囲内にある。前者により、熱可塑性シート61〜63、91、92の強度が適正に確保される利点がある。また、後者により、カーカス層6において、熱可塑性シート61〜63がインナーライナーとしての機能を有する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート61〜63、91、92の室温における引張降伏強さが、1[MPa]以上100[MPa]以下の範囲内にある。これにより、熱可塑性シート61〜63、91、92の強度および製造容易性を適正に確保できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート61〜63、91、92の室温における破断伸びが、80[%]以上500[%]以下の範囲内にある。これにより、熱可塑性シート61〜63、91、92の強度を適正に確保できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、熱可塑性シート61〜63、91、92が、配向性を有する。また、熱可塑性シート61〜63、91、92のタイヤ周方向に対する引張降伏強さαと、タイヤ幅方向に対する引張降伏強さβとが、1<β/α≦5の関係を有する。かかる構成では、熱可塑性シート61〜63、91、92におけるタイヤ幅方向の引張降伏強さβがタイヤ周方向の引張降伏強さαよりも大きい(1<β/α)ので、熱可塑性シート61〜63、91、92がタイヤ周方向に変形し易く、タイヤ幅方向に変形し難くなる。これにより、タイヤの接地形状(接地長)が適正に確保されて、タイヤの操縦安定性が向上する利点がある。
図18は、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の試験タイヤについて、(1)タイヤ重量、(2)耐エア漏れ性能に関する評価が行われた。この性能試験では、タイヤサイズ235/40R18の試験タイヤが試作されて用いられる。
(1)タイヤ重量に関する評価では、タイヤ重量が測定されて、有機繊維材から成るコード材をコートゴムで被覆して成るカーカス層を備える既存のタイヤサイズ235/40R18のタイヤを基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が小さいほどタイヤ重量が小さく、好ましい。
(2)耐エア漏れ性能に関する評価では、タイヤが正規リムに装着され、初期圧力250[kPa]、室温21[℃]、無負荷条件下にて3か月間放置される。また、タイヤの内圧が3[h]毎に測定され、測定圧力Pt、初期圧力Po、経過日数tとして、次式で回帰してαの値が算出される。得られたαを用い、t=30[日]を代入し、β=[1−exp(−αt)]×100を得る。βは、1か月あたりの内圧低下率[%/月]である。そして、比較例を基準(100)とする指数評価が行われる。この評価は、数値が小さい差ほど内圧保持性能が優れており、好ましい。
実施例1〜8の試験タイヤは、図1〜図3に示すように、熱可塑性シートから成る複数のカーカス層6と、熱可塑性シートから成る複数のサイド補強層9とを備える。また、複数のサイド補強層9が、図7、図8あるいは図13の位置に配置される。また、隣り合うサイド補強層9の端部間の距離Dが、それぞれD=10[mm]である。また、サイドウォールゴム41およびリムクッションゴム53の体積は、すべて同一である。
比較例の空気入りタイヤは、実施例1の試験タイヤにおいて、サイド補強層9を備えていない。また、カーカス層61〜63は、実施例1と同様に、熱可塑性シートを積層してなる構造を有する。
なお、図18において、ゴム層と熱可塑性シートとの剥離強度指数は、以下のように測定される。まず、ゴム層と熱可塑性シートとを積層した積層体を成形し、この積層体を加硫して幅25[mm]に切断して、積層体の短冊状試験片を作成する。そして、この短冊状試験片の剥離強度をJIS K6256に従って測定し、下記の基準(0)〜(6)で7段階に指数化する。この評価は、(1)以上であれば、良好といえる。
(0)…0[N/25mm]以上20[N/25mm]未満
(1)…20[N/25mm]以上25[N/25mm]未満
(2)…25[N/25mm]以上50[N/25mm]未満
(3)…50[N/25mm]以上75[N/25mm]未満
(4)…75[N/25mm]以上100[N/25mm]未満
(5)…100[N/25mm]以上200[N/25mm]未満
(6)…200[N/25mm]以上
また、図18において、カーカス層の積層枚数およびサイド補強層の積層枚数は、熱可塑性シートの積層枚数を示している。カーカス層の積層枚数は、巻き返し部による積層部を含まない。例えば、図1〜図3では、カーカス層6の積層枚数が、3枚であり、サイド補強層9の積層枚数が、2枚である。
試験結果に示すように、実施例1〜8の空気入りタイヤ1では、タイヤが軽量化され、また、耐エア漏れ性能が適正に確保されることが分かる。
1:空気入りタイヤ、2:トレッド部、3:ショルダー部、4:サイドウォール部、41:サイドウォールゴム、5:ビード部、51:ビードコア、52:ビードフィラー、53:リムクッションゴム、6、61〜63:カーカス層、6a:ゴム層、60:積層体、7:ベルト層、71、72:ベルトプライ、8、81〜83:ベルト補強層、9、91、92:サイド補強層、9a:ゴム層

Claims (18)

  1. ビードコアと、
    前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラーと、
    熱可塑性シートから成ると共に前記ビードコアおよび前記ビードフィラーに架け渡されるカーカス層と、
    前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、
    熱可塑性シートから成ると共に前記カーカス層のタイヤ幅方向外側に配置されるサイド補強層とを備えることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記カーカス層が、タイヤ幅方向外側に巻き上げられて前記ビードコアおよび前記ビードフィラーを包み込む巻き上げ部を有し、前記サイド補強層が、前記カーカス層の巻き上げ部よりもタイヤ幅方向外側に配置される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイド補強層のタイヤ径方向外側の端部が、前記ベルト層の最大幅位置よりもタイヤ幅方向内側にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイド補強層と前記ベルト層とのラップ幅Woが、前記ベルト層の最大幅BWに対して、0.03≦Wo/BWの関係を有する請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイド補強層のタイヤ径方向内側の端部が、前記ビードフィラーのタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記サイド補強層と前記ビードフィラーとのラップ幅Wiが、5.0[mm]≦Wiの範囲にある請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記サイド補強層のタイヤ径方向内側の端部が、前記ビードコアのタイヤ径方向外側の端部よりもタイヤ径方向内側に延在する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 複数の前記サイド補強層が、積層されて配置されると共に、積層された前記サイド補強層の端部間の距離Dが、5.0[mm]≦Dの範囲にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記カーカス層の巻き上げ部の端部が、前記ベルト層の最大幅位置よりもタイヤ幅方向内側にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記カーカス層の巻き上げ部の左右の端部の距離CWと、前記ベルト層の最大幅BWとが、0.10≦CW/BW≦0.95の関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記サイド補強層と、サイドウォール部の外表面とのゲージGが、1.0[mm]≦Gの範囲にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記サイド補強層と、前記カーカス層との間に挟み込まれて配置されるゴム層を備える請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記ゴム層と前記熱可塑性シートとの剥離強度が、50[N/25mm]以上400[N/25mm]以下の範囲内にある請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記ゴム層が、式(1)で表される化合物およびホルムアルデヒドの縮合物と、メチレンドナーと、加硫剤とを含むゴム組成物から成り、
    式(1)のR、R、R、RおよびRが、水素、ヒドロキシル基、または、1個以上8個以下の炭素原子数を有するアルキル基であり、
    前記縮合物の配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の範囲内にあり、
    前記メチレンドナーの配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上80質量部以下の範囲内にあり、
    前記メチレンドナーの配合量と前記縮合物の配合量との比が、1以上4以下の範囲内にある請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
    Figure 2015107719
  15. 前記熱可塑性シートの平均厚さが、0.03[mm]以上1.00[mm]以下の範囲内にあり、且つ、前記熱可塑性シートの空気透過係数が、3×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以上500×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下の範囲内にある請求項1〜14のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  16. 前記熱可塑性シートの室温における引張降伏強さが、1[MPa]以上100[MPa]以下の範囲内にある請求項1〜15のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記熱可塑性シートの室温における破断伸びが、80[%]以上500[%]以下の範囲内にある請求項1〜16のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  18. 前記熱可塑性シートが、配向性を有し、且つ、
    前記熱可塑性シートのタイヤ周方向に対する引張降伏強さαと、タイヤ幅方向に対する引張降伏強さβとが、1<β/α≦5の関係を有する請求項1〜17のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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