JP2006315339A - 熱可塑性エラストマーフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 面内強度及び耐久性の改良された熱可塑性エラストマーフィルムの開発。
【解決手段】 熱可塑性樹脂の連続相に、少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散相として含む熱可塑性エラストマー組成物から構成され、前記エラストマー成分が円盤状にフィルム面方向に配向され、そして連続相を成す熱可塑性樹脂の分子がフィルム面方向に二軸延伸されていることを特徴とする熱可塑性エラストマーフィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は熱可塑性樹脂の連続相に少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散させた熱可塑性エラストマーフィルムに関し、更に詳しくは面内せん断強度、引張強度及び耐久性に優れた熱可塑性エラストマーフィルム及びその製造方法に関する。
熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂の連続相にエラストマー成分を分散相として分散させた熱可塑性エラストマーフィルムが知られており(例えば特許文献1参照)、その軽量性と耐空気透過性の故に、空気入りタイヤの空気透過防止層(インナーライナー)などに使用されている。
しかしながら、かかる熱可塑性エラストマーフィルムは使用用途によっては歪みのかかり方に異方性が生じて、その耐久性に問題が生じるおそれがあるので歪みのかかる方向性を考慮した材料設計が必要となることがある。
特開平8−217923号公報
従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂の連続相(マトリックス)に少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分が分散した熱可塑性エラストマーフィルムの面内せん断強度、引張強度及び耐久性を改良することにある。
本発明に従えば熱可塑性樹脂の連続相に、少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散相として含む熱可塑性エラストマー組成物から構成され、前記エラストマー成分が円盤状にフィルム面方向に配向され、そして連続相を成す熱可塑性樹脂の分子がフィルム面方向に二軸延伸されていることを特徴とする熱可塑性エラストマーフィルム及びそれを空気透過防止層に用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明によれば、前記熱可塑性エラストマーの連続相に少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散させた熱可塑性エラストマー組成物を円筒インフレーション成形する際に、ブロー比を2以上、好ましくは4以上にて、二軸延伸させて、エラストマー成分を円盤状に配向させることで、エラストマー相を円盤状に固定化することが可能となり、エラストマー相を円盤状に配向させることにより、面内せん断強度、引張強度及び耐久性の向上がもたらされる。
本発明者らは前記課題を解決すべく検討をすすめた結果、前記熱可塑性エラストマーを円筒インフレーション成形する際にブロー比を2以上、好ましくは4以上として、二軸延伸させ、分散相のエラストマー成分を円盤状に配向させることにより、エラストマー相を円盤状に固定化することが可能となり、そしてエラストマー相が円盤状に配向したことにより、面内せん断強度、引張強度及び耐久性が改良された熱可塑性エラストマーフィルムが得られることを見出した。
即ち、本発明に係る熱可塑性エラストマーフィルムは熱可塑性樹脂が連続相をなし、少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散相としてなる熱可塑性エラストマー組成物からなり、そのエラストマー成分が円盤状にフィルム面方向に配向し、さらに連続相を成す熱可塑性樹脂の分子がフィルム面方向に二軸延伸されることにより、好ましくはブロー比2以上、更に好ましくは4以上で円筒インフレーション成形することにより、面内せん断強度、引張強度及び耐久性に優れた熱可塑性エラストマーフィルムが得られ、例えば空気入りタイヤの空気透過防止層に用いるのに好適である。
本発明の熱可塑性エラストマーフィルムの熱可塑性樹脂として用いるポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体、及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば6−ナイロンのメトキシメチル化物、6−610−ナイロンのメトキシメチル化物、612−ナイロンのメトキシメチル化物、などを挙げることができ、これらは単独又は任意の混合物として使用することができる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂の連続相に分散させるエラストマー成分としては特に限定はないが、そのようなエラストマー成分としては、例えば以下のようなものを挙げることができる。ジエン系ゴム及びその水添物(例えばNR,IR、エポキシ化天然ゴム、SBR,BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM,EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、IIR、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体)、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム(例えばBr−IIR,Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、CR、ヒドリンゴム(CHR・CHC)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、シリコンゴム(例えばメチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)などを挙げることができ、これらは単独又は任意の混合物として使用することができる。
熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンドからなる熱可塑性エラストマー組成物を製造するには、予め熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続層を形成する熱可塑性樹脂中にエラストマー成分(ゴム粒子)を分散させればよい。
エラストマー成分を加硫するには、混練下で加硫剤を添加し、エラストマー成分を動的加硫させても良い。また、熱可塑性樹脂又はエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加しても良いが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が挙げられる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練及びエラストマー成分の動的加硫には2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、混練温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良い。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。
上記方法で作製された混練物は、次に円筒インフレーション成形によってフィルム化する。円筒インフレーション成形の条件は、前述の如く、好ましくはブロー比2以上、更に好ましくは4以上であり、ラインスピードは好ましくは毎分1〜30m、更に好ましくは毎分2〜10mがよい。成形温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良い。このようにして得られる熱可塑性エラストマーフィルムは、熱可塑性樹脂の連続相(マトリックス)中にエラストマー成分(ゴム粒子)が不連続相としてフィルム面方向に円盤状に配向して、分散した構造をとる。また、円筒インフレーション成形を行なう際には、前記の混練物単独で成形しても良いし、その他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーと共押出しを行ない、複層フィルムとして成形しても良い。
熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を添加するのが好ましい。系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているエラストマー粒子が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成分の種類によって選定すれば良いが、通常使用されるものにはスチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM:EPDM/スチレン又EPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には、特に限定はないが、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマー成分の総和)100重量部に対して、0.5〜10重量部が良い。
熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドする場合の特定の熱可塑性樹脂(A)とエラストマー成分(B)との組成比には、特に限定はなく、フィルムの厚さ、疲労耐久性、柔軟性などのバランスで適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比(A)/(B)で10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜90/10である。
なお、動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマー成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定はない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が例示され、例えば、0.5〜4phr(ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部)程度を用いればよい。また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜15phr程度を用いればよい。さらに、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示され、例えば、1〜20phr程度を用いればよい。その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示される。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。そのような加流促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば0.5〜2phr程度用いればよい。具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等を;グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン等;チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等;スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等;チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等;ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等;チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を例示することができる。また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等を用いることができる。
本発明の空気入りタイヤを製造するには、まず、前述のようにして、円筒状に成形した熱可塑性エラストマーフィルムをタイヤ成形用ドラムに嵌め、この円筒状の熱可塑性エラストマーフィルムの上にカーカス層、サイド部、ベルト層、トレッド等のタイヤ部材を積層することにより、未加硫ゴムからなるグリーンタイヤを形成し、その内面に、空気透過防止層として、円筒状の本発明の熱可塑性エラストマーフィルムを配置する。また、前記未加硫ゴムのグリーンタイヤの内面に、架橋性接着剤層を介して円筒状の熱可塑性エラストマーフィルムを配置してもよい。このような架橋性接着剤層としては、例えばフェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などを用いればよい。このように架橋性接着剤層を介する場合には、加硫初期を高温にして架橋性接着剤層の架橋を進めると共に、加硫後期に温度を低下させることにより、熱可塑性エラストマーフィルムをタイヤ内面ゴムに強固に接着させるとよい。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックやシリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1及び比較例1
実施例1においては、先ず表Iに示す配合、即ち樹脂、ゴム及び動的架橋に必要な架橋系配合剤を2軸混練押出機にて混練し、ストランド状に押出し、冷却後、樹脂用ペレタイザーを用いてペレット化した。次に、このペレットを通常の75mm単軸樹脂用押出機に供給して、溶融押出及び円筒インフレーション成形し、円筒フィルムを作製した。なお、インフレーション成形においては、ブロー比を4.1とした。得られたフィルムは、熱可塑性樹脂をマトリックスとし、エラストマー成分がドメイン(分散相)をなし、かつ、エラストマー成分の一部が架橋された熱可塑性エラストマーフィルムとなっている。
一方、比較例1は実施例1と同様にペレットを製造した後、T字型ダイの付いた押出成形機を用いて、実施例1のインフレーション法に代えて、Tダイフィルム押出成形を行なった。
次に、上記実施例1及び比較例1のフィルムを使用して、以下のようにして、タイヤを作製した。即ち、フィルムをタイヤ成形用のドラムに巻き、その上に、カーカス、サイド、ベルト、トレッド等のタイヤ部材を積層させ、インフレートさせて、グリーンタイヤとした。このグリーンタイヤは、加硫機で185℃で15分間、圧力2.3MPaにて加硫させ、タイヤサイズ165SR13のタイヤに仕上げた。得られたフィルム及びタイヤについて、以下の方法で、各種性能を評価した。結果を表Iに示す。
フィルムのヤング率の測定法:JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じた。試験片は各例で作成したフィルムサンプルを、フィルム成形押出時の流れ方向に平行に、JIS3号ダンベルで打ち抜いて準備した。
エラストマー粒子分散状態の観察:各例で作製したフィルムサンプルに対して、超薄切片を製作し、RuO4(四酸化ルテニウム)で染色を行ない、透過型電子顕微鏡を使用してエラストマー粒子の分散状態(3000倍)を観察した(図面にみる写真である図1及び図2参照)。
図1は本発明に従った実施例1の円筒インフレーション成形したフィルムの断面観察写真であり、図2は比較例1のT字型ダイの付いた押出成形機にてフィルム押出成形を行なったフィルムの断面写真である。図1から本発明による成形方法によりエラストマー粒子が偏平な球状で分散していることが明らかであるのに対し、比較例1のTダイ押出成形を行なったフィルムはエラストマー粒子が球状のまま分散していることが分かる。前記の引張り試験結果より、破断強度(TB)、破断伸び(EB)はともに円筒インフレーション成形フィルムの方が大きく、フィルム強度が向上していることが分かる。従って、本発明のように熱可塑性樹脂成分を連続層とし、エラストマー成分を分散層とする熱可塑性エラストマーをブロー比4以上でインフレーション成形し、エラストマー粒子をフィルム面方向に円盤状に配向させた熱可塑性エラストマーフィルムは、一般的な方法により押出成形したフィルムと比較し、強度及び耐久性の向上がもたらされることが理解できる。
タイヤ走行耐久性試験(インナーライナー層の耐久試験):実施例1及び比較例1のフィルムを用いて185℃×15分、圧力2.3MPaの加硫条件でスチールラジアルタイヤ165SR13(リム:13×41/2−J)を作製し、得られたタイヤを用いて、空気圧140kPa×荷重5.5kNの試験条件下に、室温38℃で、1707mmφドラム上で、速度80km/hで10,000km走行させた後にタイヤの内面の空気透過防止層(インナーライナー層)を目視検査し、次の故障が発見されたものを不合格(×)とし、故障が発見されないものを合格(○)とした。
1)キレツ、クラックのあるもの
2)ハガレ、浮き上がりのあるもの
表I脚注
*1:アルケマ社製 BESN O TL
*2:宇部興産(株)製 5033B
*3:エクソンモービル化学(株)製 Exxpro MDX89−4
*4:正同化学(株)製 亜鉛華3号
*5:日本油脂(株)製 ビーズステアリン酸
*6:正同化学(株)製 ステアリン酸亜鉛
以上のように、熱可塑性エラストマーを円筒インフレーション成形する際に、ブロー比を2以上、好ましくは4以上にて二軸延伸させ、エラストマー粒子を円盤状に配向させて熱可塑性エラストマーフィルムとすることにより、エラストマー相を円盤状に固定化することが可能となり、エラストマー相が円盤状に配向したことにより、面内せん断強度、引張強度及び耐久性の向上がもたらされるので空気入りタイヤの空気透過防止層として使用するのに有用である。
本発明により円筒インフレーション成形された実施例1の熱可塑性エラストマーフィルムの断面構造を示す図面に代る透過型電子顕微鏡写真(3000倍)である。 比較例1のTダイフィルム押出成形による熱可塑性エラストマーフィルムの断面構造を示す図面に代る透過型電子顕微鏡写真(3000倍)である。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂の連続相に、少なくとも一部が架橋されたエラストマー成分を分散相として含む熱可塑性エラストマー組成物から構成され、前記エラストマー成分が円盤状にフィルム面方向に配向され、そして連続相を成す熱可塑性樹脂の分子がフィルム面方向に二軸延伸されていることを特徴とする熱可塑性エラストマーフィルム。
  2. ブロー比が2以上の円筒インフレーション成形によって得られる請求項1に記載の熱可塑性エラストマーフィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である請求項1に記載の熱可塑性エラストマーフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーフィルムを空気透過防止層に用いた空気入りタイヤ。
  5. 熱可塑性樹脂の連続相に、エラストマー成分を分散相として含む熱可塑性エラストマー組成物のエラストマー成分を少なくとも一部架橋させ、次いで円筒インフレーション成形装置にてインフレーション成形を行う際にブロー比を2以上で二軸延伸することにより、前記エラストマー成分を円盤状にフィルム面方向に配向させ、連続相を成す熱可塑性樹脂の分子をフィルム面方向に延伸させてフィルムを得ることを特徴とする熱可塑性エラストマーフィルムの製造方法。
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