JP6303487B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するための帯電抑制構造を備える空気入りタイヤに関する。
近年の空気入りタイヤでは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するために、アーストレッドを用いた帯電抑制構造が採用されている。アーストレッドは、キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出する導電ゴムである。この帯電抑制構造では、車両からの静電気がベルト層からアーストレッドを介して路面に放出されて、車両の帯電が抑制される。
一方で、近年では、タイヤの低燃費性能を向上させるために、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドウォールゴムなどを構成するゴムコンパウンドのシリカ含有量を増加させる傾向にある。シリカは絶縁特性が高いため、キャップトレッドのシリカ含有量が増加するとキャップトレッドの抵抗値が増加して、タイヤの帯電抑制性能が低下する。
このため、従来の空気入りタイヤは、帯電抑制性能を向上させるために、ビード部からベルト層までの領域に延在する導電部を備えている。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、例えば、特許文献1〜3に記載される技術が知られている。
また、近年の空気入りタイヤのカーカス層は、相互に平行に配列された複数本のカーカスコード(経糸)と、これらのカーカスコードに交差して織り込まれた緯糸とから成る簾織り構造を有している。かかるカーカス層を採用する従来の空気入りタイヤとして、例えば、特許文献4に記載される技術が知られている。なお、特許文献4の技術は、ゴム製品の製造工程の通過時における静電気の発生に基づく加工上の不具合の発生を防止することを解決課題とする。このため、特許文献4の技術は、上記した特許文献1〜3に対して異質な解決課題を有する。
特開2012−131100号公報 特開2009−154608号公報 特開2009−40331号公報 特開2008−13879号公報
この発明は、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するための帯電抑制構造を備える空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコアと、前記ビードコアに架け渡されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴムと、前記カーカス層のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴムと、前記カーカス層の内周面に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、前記カーカス層が、有機繊維材から成ると共に相互に平行に配列された複数本のカーカスコードと、前記カーカスコードに交差して織り込まれた少なくとも1本の緯糸とを有し、且つ、前記緯糸が、1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有すると共に、少なくとも前記ビード部から前記ベルト層まで導通可能に連続して延在することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、カーカス層の緯糸により、ビード部からベルト層までの導電経路が確保されるので、タイヤの帯電抑制性能が効果的に向上する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図3は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。 図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
なお、同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17と、インナーライナ18とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
なお、図1の構成では、カーカス層13が、タイヤ左右のビードコア11、11間に連続的に延在する構造を有している。
しかし、これに限らず、カーカス層13が、左右一対のカーカスプライから成ることによりタイヤ幅方向に分離した構造、いわゆるカーカス分割構造を有しても良い(図示省略)。具体的には、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向内側の端部が、タイヤ左右のビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側にそれぞれ巻き返されて係止される。また、左右一対のカーカスプライのタイヤ径方向外側の端部が、トレッド部センター領域にてタイヤ幅方向に相互に分離して配置される。
かかるカーカス分割構造では、トレッド部センター領域に中抜き部(カーカスプライを有さない領域)が形成される。このとき、この中抜き部におけるタイヤの張力がベルト層14により担持され、左右のサイドウォール部における剛性が左右のカーカス層13、13によりそれぞれ確保される。これにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性が維持されつつ、タイヤの軽量化が図られる。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。また、トレッドゴム15は、キャップトレッド151と、アンダートレッド152とを有する。
キャップトレッド151は、タイヤ接地面を構成するゴム部材であり、単層構造を有しても良いし(図1参照)、多層構造を有しても良い(図示省略)。キャップトレッド151の60[℃]のtanδ値は、0.25以下であることが好ましい。また、キャップトレッド151の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。かかる体積抵抗率を有するキャップトレッド151は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。かかる構成では、60[℃]のtanδ値が低減して、タイヤの転がり抵抗が低下するため好ましい。
アンダートレッド152は、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層される部材であり、キャップトレッド151よりも低い体積抵抗率を有することが好ましい。
60[℃]のtanδ値は、粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度60[℃]、剪断歪み10[%]、周波数20[Hz]の条件で測定される。
体積抵抗率は、JIS-K6271規定の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方」に基づいて測定される。一般に、体積抵抗率が1×10^8[Ω・cm]未満の範囲にあれば、部材が静電気の帯電を抑制可能な導電性を有するといえる。
一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。サイドウォールゴム16の60[℃]のtanδ値は、0.20以下であることが好ましい。また、サイドウォールゴム16の抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、1×10^10[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましく、1×10^12[Ω・cm]以上の範囲にあることがより好ましい。かかる抵抗率を有するサイドウォールゴム16は、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。かかる構成では、60[℃]のtanδ値が低減して、タイヤの転がり抵抗が低下するため好ましい。
一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムRのリムフランジ部に対する左右のビード部の接触面を構成する。リムクッションゴム17の抵抗率は、1×10^7[Ω・cm]以下であることが好ましい。
なお、キャップトレッド151の抵抗率の上限値、アンダートレッド152の抵抗率の下限値、サイドウォールゴム16の抵抗率の上限値およびリムクッションゴム17の抵抗率の下限値は、特に限定がないが、これらがゴム部材であることから物理的な制約を受ける。
インナーライナ18は、タイヤ内表面に配置されてカーカス層13を覆う空気透過防止層であり、カーカス層13の露出による酸化を抑制し、また、タイヤに充填された空気の洩れを防止する。また、インナーライナ18は、例えば、ブチルゴムを主成分とするゴム組成物、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物などから構成される。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー組成物から成る構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18を薄型化できるので、タイヤ重量を大幅に軽減できる。なお、インナーライナ18には、一般に、温度30[℃]でJIS K7126−1に準拠して測定した場合に100×10^−12[cc・cm/cm^2・sec・cmHg]以下の空気透過係数が要求される。また、インナーライナ18の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にあることが好ましく、一般に1×10^9[Ω・cm]以上である。
ブチルゴムを主成分とするゴム組成物としては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)などが採用され得る。ブチル系ゴムは、例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのハロゲン化ブチルゴムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などが採用され得る。
エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えばポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕などが採用され得る。
[帯電抑制構造]
空気入りタイヤでは、車両走行時にて車両に発生する静電気を路面に放出するために、アーストレッドを用いた帯電抑制構造が採用されている。アーストレッドは、キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出する導電ゴムである。この帯電抑制構造では、車両からの静電気がベルト層からアーストレッドを介して路面に放出されて、車両の帯電が抑制される。
一方で、近年では、上記のように、タイヤの転がり抵抗を低減して低燃費性能を向上させるために、キャップトレッド、アンダートレッド、サイドウォールゴムなどを構成するゴムコンパウンドのシリカ含有量を増加させる傾向にある。シリカは絶縁特性が高いため、キャップトレッドのシリカ含有量が増加すると、キャップトレッドの抵抗値が増加してタイヤの帯電抑制性能が低下する。
そこで、この空気入りタイヤ1は、帯電抑制性能を向上させるために、以下の構成を採用している。
図2〜図6は、図1に記載した空気入りタイヤの帯電抑制構造を示す説明図である。これらの図において、図2は、タイヤ赤道面CLを境界とする片側領域のタイヤ子午線方向の断面図を示している。図3は、アーストレッド51の拡大断面図を示している。図4は、部品時における単体のカーカス層13の平面図を示し、図5は、図4に記載したカーカス層13のA−A視断面図を示している。図6は、図4に記載したカーカス層13の緯糸の径方向断面図を示している。なお、図6では、黒丸部が導電繊維を示し、白丸部が非導電繊維を示している。
この空気入りタイヤ1では、帯電抑制構造5として、アーストレッド51と、導電性の緯糸132から成るカーカス層13とを有する。
アーストレッド51は、図2および図3に示すように、トレッドゴム15の踏面に露出し、キャップトレッド151およびアンダートレッド152を貫通してベルト層14(ベルトカバー143)に導電可能に接触する。これにより、ベルト層14から路面への導電経路が確保される。また、アーストレッド51は、タイヤ全周に渡って延在する環状構造を有し、その一部をトレッド踏面に露出させつつタイヤ周方向に連続的に延在する。したがって、タイヤ転動時にて、アーストレッド51が常に路面に接触することにより、ベルト層14から路面への導電経路が常に確保される。
また、アーストレッド51は、トレッドゴム15よりも低い体積抵抗率を有する導電性ゴム材料から成る。具体的には、アーストレッド51の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]未満であることが好ましく、1×10^6[Ω・cm]以下であることがより好ましい。
カーカス層13は、図4および図5に示すように、複数本のカーカスコード131と、1本あるいは複数本の緯糸132と、コートゴム133とから成るカーカスプライを備える。なお、カーカス層13は、単層のカーカスプライから構成されても良いし(図2参照)、積層された複数のカーカスプライから構成されても良い(図示省略)。
カーカスコード131は、カーカス層13の本体を構成する部材である。このカーカスコード131は、上記のように、有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成るため、一般に、1×10^8[Ω・cm]以上の体積抵抗率を有する。カーカスコード131が、かかる有機繊維材から成ることにより、タイヤ骨格としてのカーカス層13の機能が適正に確保される。また、複数本のカーカスコード131が、図4に示すように、長手方向を揃えて一列かつ相互に平行に配列される。
緯糸132は、上記した複数本のカーカスコード131の配列を維持する部材である。この緯糸132は、1×10^8[Ω/cm]未満の体積抵抗率をもつ導電物質(例えば、金属、炭素など)を線状に成形して成る導電線状体であり、全体として1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有する。例えば、(a)金属コード、(b)金属繊維あるいは炭素繊維から成る紡績糸、(c)金属繊維あるいは炭素繊維と、有機繊維(例えば、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、綿)との混紡糸が採用され得る。特に、緯糸132が、ステンレススチール繊維とポリエステル繊維との混紡糸(図6参照)であることが好ましい。
また、緯糸132の総繊度が、150[dtex]以上600[dtex]以下であることが好ましい。総繊度の下限を上記の範囲とすることにより、タイヤ製造時における緯糸132の断線が抑制される。また、総繊度の上限を上記の範囲とすることにより、タイヤ転動時における緯糸132の断線が抑制される。なお、緯糸132は、単線であることが好ましいが、撚り線であっても良い。
総繊度は、JIS L1017化学繊維タイヤコード試験方法8.3 正量繊度に準拠して測定される。
また、緯糸132は、図4および図5に示すように、配列された複数本のカーカスコード131に交差して織り込まれる。このとき、緯糸132がコードの長手方向に導通可能に連続して配置される。また、カーカス層13がタイヤに組み込まれた状態にて、緯糸132が、少なくともビード部からベルト層14まで導通可能に連続して配置されることを要する。これにより、緯糸132からベルト層14に至る導電経路が確保される。
ビード部とは、リム径の測定点からタイヤ断面高さSHの1/3までの領域をいう。
タイヤ断面高さSHとは、タイヤ外径とリム径との差の1/2をいい、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
例えば、図4および図5の構成では、シャトル織機が使用され、緯糸132がカーカスコード131を経糸として簾状に織り込まれている。このため、1本の緯糸132が、カーカスコード131の配列方向に往復しつつカーカスコード131の長手方向に連続的に延在して、1本の導通経路を形成している。
また、カーカス層13がタイヤに組み込まれた状態では、カーカスコード131の長手方向がタイヤ周方向に対して絶対値で80[deg]以上95[deg]以下の角度で配置される。このため、1本の緯糸132が、タイヤ周方向に往復しつつタイヤ径方向に連続的に延在して、タイヤ径方向への1本の導通経路を形成する。
なお、上記に限らず、緯糸132がカーカスコード131の長手方向に導通可能に連続することを条件として、スルーザー織機が用いられて、緯糸132がカーカスコード131に織り込まれても良い。また、カーカスコード131の長手方向にかかる緯糸132の配置間隔は、特に限定がなく、粗くとも良い。
コートゴム133は、カーカスコード131および緯糸132を被覆するゴム部材である。このコートゴム133は、クリーンタイヤ成型時にて未加硫ゴムであり、カーカス層13と隣接部材との接着性を高める機能を有する。具体的には、天然ゴム、合成ゴムおよびカーボンブラックを含む未加硫のコートゴムを、織製されたカーカスコード131および緯糸132の全体に塗布してカレンダー処理することにより、部品であるカーカス層13が成形される。
コートゴム133の60[℃]のtanδ値は、0.20以下であることが好ましい。また、コートゴム133の体積抵抗率は、1×10^8[Ω・cm]以上であることが好ましい。高い体積抵抗率を有するコートゴムは、カーボン配合量が少ない低発熱コンパウンドを使用し、また、シリカ含有量を増加させて補強することにより生成される。かかる構成では、60[℃]のtanδ値が低減して、タイヤの転がり抵抗が低下するため好ましい。
上記の構成では、車両に発生した静電気が、リムRからリムクッションゴム17、カーカス層13の緯糸132およびベルト層14を通ってアーストレッド51から路面に放出される(図1および図2参照)。これにより、静電気による車両の帯電が抑制される。
なお、リムクッションゴム17、カーカス層13のコートゴム133およびベルト層14のコートゴムは、リムRからアーストレッド51に至る導電経路となる。このため、これらのゴムの体積抵抗率が低く設定されることが好ましい。これにより、リムRからアーストレッド51に至る導電効率が向上する。
[変形例]
図1の構成では、カーカス層13が、左右のビードコア11、11に架け渡されて配置されている。また、図4に示すように、導電性の緯糸132が、カーカス層13の全体に一様に織り込まれている。このため、緯糸132が、タイヤ左右のビード部に跨ってタイヤ全域に連続して延在している。このため、左右のビード部から左右のサイドウォール部を介してアーストレッド51に至る導電経路が形成されている。これにより、導電効率が効果的に高められている。
しかし、これに限らず、カーカス層13がタイヤ幅方向に分離して配置された左右一対のカーカスプライから成る構成を有しても良い(図示省略)。かかる構成では、導電性の緯糸132が、左右のカーカスプライのそれぞれに配置される必要はなく、少なくとも一方のカーカスプライに配置されれば良い。
また、導電性の緯糸132は、少なくともビード部からベルト層14まで導通可能に連続して配置されれば良い。これにより、緯糸132からベルト層14に至る導電経路が確保される。
例えば、上記のように、カーカス層13がタイヤ幅方向に分離して配置された左右一対のカーカスプライから成る構成では、導電性の緯糸132を有するカーカスプライのタイヤ径方向外側の端部が、ベルト層14に対してタイヤ幅方向にラップする位置まで延在すれば良い。また、例えば、導電性の緯糸132が、ビード部からベルト層14までの範囲を含む一部の領域にのみ配置され、他の領域には、汎用されている非導電性の緯糸が配置されても良い(図示省略)。
このとき、ベルト層14と緯糸132とのラップ幅La(図示省略)が、3[mm]≦Laの範囲にあることが好ましい。ラップ幅Laの上限は、特に限定がない。
ラップ幅Laは、タイヤ子午線方向の断面視にて、ベルト層14のうち最も幅広なベルトプライ141のタイヤ幅方向外側の端部から緯糸132の配置領域に垂線を引き、この垂線の足から緯糸132の配置領域の端部までの道のりとして測定される。
また、図1の構成では、カーカス層13が単一のカーカスプライから成る単層構造を有し(図2参照)、単一のカーカスプライがタイヤ周方向の全周に渡って配置されている(図示省略)。また、図4に示すように、導電性の緯糸132が、カーカス層13の全体に一様に織り込まれている。このため、導電性の緯糸132が、タイヤ周方向の全域に渡って連続的に延在している。
しかし、これに限らず、導電性の緯糸132が、タイヤ周方向の一部の領域にのみ配置されても良い。例えば、導電性の緯糸132が、タイヤ周方向の一部の領域にのみ配置され、他の領域には、汎用されている非導電性の緯糸が配置されても良い。
また、カーカス層13が複数のカーカスプライを積層して成る構成では、少なくとも1層のカーカスプライが導電性の緯糸132を有すれば足りる。
また、図1の構成では、図2に示すように、カーカス層13の左右の端部がタイヤ幅方向外側に巻き上げられてビードコア11を包み込んでいる。また、図4に示すように、導電性の緯糸132が、カーカス層13の全体に一様に織り込まれている。このため、導電性の緯糸132が、ビードコア11を包み込むように配置されている。かかる構成では、リムクッションゴム17から緯糸132への導電性が向上するため、好ましい。
しかし、これに限らず、カーカス層13が、ビードコア11を包み込むことなくビードコア11の側方あるいはビードコア11の径方向内側で終端しても良い(いわゆるターンダウン構造)。かかる構成としても、リムクッションゴム17から緯糸132への導電性が確保される。
また、図1の構成では、図3に示すように、タイヤ子午線方向の断面視にて、アーストレッド51が、トレッドゴム15の踏面に露出し、キャップトレッド151およびアンダートレッド152を貫通してベルト層14(最外層にあるベルトカバー143)に導電可能に接触している。また、アーストレッド51が、ストレート形状を有している。かかる構成では、低い抵抗率を有するベルト層14からアーストレッド51を介してトレッドゴム15の踏面に至る導電経路が確保されるので、帯電抑制作用を効率的に得られる点で好ましい。
しかし、これに限らず、アーストレッド51が、キャップトレッド151のみを貫通してアンダートレッド152に接触しても良い(図示省略)。かかる構成としても、アンダートレッド152の抵抗率を低く設定することにより、帯電抑制作用を高め得る。
また、アーストレッド51が、トレッドゴム15の踏面からベルト層14に向かって拡幅した形状を有し、ベルト層14に対する接触面を増加させても良い(図示省略)。かかる構成では、アーストレッド51がストレート形状を有する構成(図3参照)と比較して、トレッド踏面におけるアーストレッド51の露出面積を抑制しつつ、アーストレッド51とベルト層14との接触面積を安定的に確保できる。これにより、ベルト層14からアーストレッド51への導電性が向上する。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、ビードコア11に架け渡されるカーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層14と、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴム15と、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴム16、16と、カーカス層13の内周面に配置されるインナーライナ18とを備える(図1参照)。また、カーカス層13が、相互に平行に配列された複数本のカーカスコード131と、カーカスコード131に交差して織り込まれた少なくとも1本の緯糸132とを有する(図4および図5参照)。また、緯糸132が、1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有すると共に、少なくともビード部からベルト層14まで導通可能に連続して延在する。
かかる構成では、カーカス層13の緯糸132により、ビード部からベルト層14までの導電経路が確保されるので、タイヤの帯電抑制性能が効果的に向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、緯糸132が1×10^8[Ω/cm]未満の体積抵抗率をもつ導電物質を線状に成形して成る導電線状体である。これにより、タイヤ製造工程やタイヤ使用状態における緯糸132の導電性の低下が抑制されて、タイヤの帯電抑制性能が適正に確保される利点がある。例えば、汎用品である非導電性の緯糸に導電物質をコーティングして成る構成では、タイヤ製造工程やタイヤ使用状態における熱や歪みにより、コーティングが剥離し易い。このため、導電部の導電性能が低下するおそれがあり、好ましくない。特に、インナーライナ18が熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る構成では、インナーライナ18のゲージが薄いため、タイヤ加硫成形時にて、タイヤ内部にある緯糸132が高温となる。このため、非導電性の緯糸に導電物質をコーティングして成る構成では、特にコーティングが剥離し易いため、好ましくない。
また、この空気入りタイヤ1では、緯糸の総繊度が、150[dtex]以上600[dtex]以下の範囲にある。これにより、緯糸の総繊度が適正化される利点がある。すなわち、総繊度が150[dtex]以上であることにより、タイヤ製造時における緯糸の断線が抑制される。また、総繊度が600[dtex]以下であることにより、タイヤ重量の増加に起因する転がり抵抗の増加が抑制される。また、カーカスコード131および緯糸132をコートゴム133で被覆するときの加工性が向上する。
また、この空気入りタイヤ1では、緯糸132が、カーカスコード131に対してシャトル織りで織り込まれる(図4および図5参照)。かかる構成では、緯糸132がカーカスコード131の長手方向に連続して延在するので、カーカス層13がカーカスコード131の長手方向をタイヤ径方向に向けて配置されたときに、緯糸132がタイヤ径方向に連続的に延在できる。これにより、ビード部からベルト層14に至る導電経路が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層13のコートゴム133の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上である。かかる構成では、コートゴム133におけるカーボン配合量を低減できるので、タイヤ転動時におけるコートゴム133の発熱を抑制して、タイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、インナーライナ18が、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る。かかる構成では、インナーライナ18がブチルゴムから成る構成と比較して、インナーライナ18の空気透過性を低減できる利点があり、また、タイヤ重量を軽減してタイヤの転がり抵抗を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、タイヤ接地面を構成するキャップトレッド151と、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッド152とを有し(図1参照)、且つ、キャップトレッド151の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、キャップトレッド151のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、タイヤ接地面を構成するキャップトレッド151と、キャップトレッド151のタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッド152とを有し、且つ、1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有すると共に、少なくともキャップトレッド151を貫通してタイヤ接地面に露出するアーストレッド51を備える(図1〜図3参照)。これにより、ベルト層14(あるいはアンダートレッド152)からトレッドゴム15の接地面への導電経路が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイドウォールゴム16の体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある。かかる構成では、例えば、サイドウォールゴム16のシリカ含有量を増加させて上記の構成とすることにより、タイヤの転がり抵抗が低減する利点がある。
図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の試験タイヤについて、(1)低転がり抵抗性能および(2)帯電抑制性能(電気抵抗値)に関する評価が行われた。この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15 91Hの試験タイヤが試作されて用いられる。
(1)低転がり抵抗性能に関する評価では、ドラム径1707[mm]の室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機が用いられる。また、試験タイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられ、試験タイヤにJATMA規定の正規内圧および最大負荷が付与される。そして、JATMA Y/B 2012年版の測定方法に準拠して、タイヤの転がり抵抗が測定される。評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、好ましい。
(2)帯電抑制性能に関する評価では、JATMA規定の測定条件に基づき、ADVANTEST R8340A ウルトラ・ハイ・レジスタンスメータが使用されてタイヤの電気抵抗[Ω]が測定される。また、電気抵抗が、タイヤ新品時と所定条件下での走行後とで、それぞれ測定される。走行後の電気抵抗は、ドラム径1707[mm]の室内ドラム式タイヤ転動抵抗試験機が用いられ、試験タイヤをJATMA規定の適用リムに組み付け、試験タイヤに空気圧200[kPa]およびJATMA規定の最大荷重の80%を付与し、速度81[km/h]にて120分間の走行後に測定される。評価は、従来例のタイヤ新品時を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほどタイヤの電気抵抗が小さく、好ましい。
実施例1〜9の試験タイヤは、図1の構成を備え、帯電抑制構造5として、アーストレッド51と、導電性の緯糸132から成るカーカス層13とを有する。また、アーストレッド51が、4.0×10^6[Ω/cm]の体積抵抗率を有する。また、カーカス層13の緯糸132が、ステンレス繊維と、綿あるいはポリエチレンテレフタラートから成る非導電繊維との混紡糸から成り、全体として1×10^8[Ω/cm]未満の体積抵抗率を有する。また、カーカスコード131が、有機繊維から成り、1×10^13[Ω・cm]の体積抵抗率を有する。
従来例の試験タイヤでは、実施例1の試験タイヤにおいて、カーカス層13の緯糸が綿製の紡績糸である。比較例の試験タイヤでは、実施例1の試験タイヤにおいて、カーカス層13の緯糸が、導電性被膜を形成したナイロン糸である。
試験結果が示すように、実施例1〜6の試験タイヤでは、タイヤの転がり抵抗性能および帯電抑制性能が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、5:帯電抑制構造、51:アーストレッド、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、131:カーカスコード、132:緯糸、133:コートゴム、14:ベルト層、141〜143:ベルトプライ、15:トレッドゴム、151:キャップトレッド、152:アンダートレッド、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、18:インナーライナ

Claims (12)

  1. 一対のビードコアと、前記ビードコアに架け渡されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されるトレッドゴムと、前記カーカス層のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置される一対のサイドウォールゴムと、前記カーカス層の内周面に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、
    前記カーカス層が、有機繊維材から成ると共に相互に平行に配列された複数本のカーカスコードと、前記カーカスコードに交差して織り込まれた少なくとも1本の緯糸とを有し、且つ、
    前記緯糸が、1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有すると共に、少なくともビード部から前記ベルト層まで導通可能に連続して延在することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記緯糸が、1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率をもつ導電物質を線状に成形して成る導電線状体である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記緯糸の総繊度が、150[dtex]以上600[dtex]以下の範囲にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記緯糸が、前記カーカスコードに対してシャトル織りで織り込まれる請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記カーカス層のコートゴムの体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上である請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記インナーライナが、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から成る請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記トレッドゴムが、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッドとを有し、且つ、
    前記キャップトレッドの体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記トレッドゴムが、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドと、前記キャップトレッドのタイヤ径方向内側に積層されるアンダートレッドとを有し、且つ、
    1×10^8[Ω・cm]未満の体積抵抗率を有すると共に、少なくとも前記キャップトレッドを貫通してタイヤ接地面に露出するアーストレッドを備える請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記サイドウォールゴムの体積抵抗率が、1×10^8[Ω・cm]以上の範囲にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記緯糸が、金属繊維あるいは炭素繊維から成る紡績糸から成る請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記緯糸が、金属繊維あるいは炭素繊維と有機繊維との混紡糸から成る請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記緯糸が、ビード部から前記ベルト層までの範囲を含む一部の領域にのみ配置され、他の領域には、非導電性の緯糸が配置される請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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