JP2015086087A - オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブル - Google Patents

オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】50mm以上のオーバーコート層を除去するための被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の低温条件下での被覆除去性に優れるオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルを提供すること。
【解決手段】本発明のオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を特定範囲とした上で、オーバーコート層3について、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールをオーバーコート層3に対して特定の範囲で含有し、また、オーバーコート層3全体の23℃でのヤング率を特定の範囲としている。これにより、オーバーコート層3を除去するとき、被覆除去力の最大値を適正な範囲とし、オーバーコート層3が光ファイバ着色心線2との間で速やかに除去され、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できる。また、本発明は、エージング後低温条件下における被覆除去ストレスを適正な範囲に保ち、かかる条件下でも優れた被覆除去性が維持される。
【選択図】図1

Description

本発明は、オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルに関する。さらに詳しくは、光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層を設けたオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルに関する。
光ファイバは、一次被覆層(プライマリ層)と二次被覆層(セカンダリ層)との二層構
造からなる被覆が施されており、その周囲に着色層を設けることや、二次被覆層を着色層
とすることで、最外層が着色された光ファイバ着色心線とされる。また、例えば、外径2
50μmの光ファイバ着色心線にオーバーコート層を設けるようにして外径が500μm
になるように補強されたオーバーコート心線は、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性
等を向上させ、敷設作業の簡略化や敷設時間の短縮化に貢献している。
このようなオーバーコート心線は、接続等においてオーバーコート層を除去する必要があるが、オーバーコート層を除去する場合にあっては、ポリオール等の材料がオーバーコート層と着色層との間に介在されるので、ある程度の長さは除去できる。しかしながら、メカニカルスプライスで接続する場合、50mm以上の被覆を除去しなければならない一方、従来のオーバーコート心線は、かかる長さのオーバーコート層を除去するのが困難であるという問題があった。加えて、従来のオーバーコート心線は、長い間エージング(例えば、85℃×85%RHで30日という高温多湿条件下を指す。以下同じ。)した後の低温(−20℃)時の被覆除去性が悪いという問題もあった。
かかる問題に鑑み、例えば、光ファイバにガラス光ファイバを被覆する一次被覆層と、一次被覆層を被覆する二次被覆層に着色層が被覆された光ファイバ着色心線上の最外層に更なる樹脂層を被覆したオーバーコート心線において、オーバーコート層の被覆除去性を向上させるために、オーバーコート層のヤング率の範囲や、オーバーコート層内面の硬化度を特定範囲に規定する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、光ファイバ着色心線の表面摩擦力、オーバーコート層から光ファイバ着色心線を引き抜くために要する力(被服除去力)及びオーバーコート層のヤング率を特定範囲に規定することで、オーバーコート層を容易に除去でき、ピストニング特性及び耐外傷性が優れた光ファイバ心線(オーバーコート心線)が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特許第4500740号公報 特開2010−210711号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたオーバーコート心線では、エージング後に−20℃等の低温条件下での被覆除去試験の結果、満足な結果が得られず、改善が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、50mm以上のオーバーコート層
を除去するための被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の低温条件下での被覆除去性に優れるオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルを提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係るオーバーコート心線は、ガラス光ファイバの周囲に当該ガラス光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成されたオーバーコート心線であって、前記光ファイバ着色心線の表面動摩擦力が0.03N以下であり、前記オーバーコート層が、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを、前記オーバーコート層全体に対して17〜33質量%含有し、前記オーバーコート層の23℃でのヤング率が、40MPa以上140MPa未満であることを特徴とする。
本発明に係るオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オーバーコート層が含有する前記ポリオールがポリプロピレングリコールであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバケーブルは、前記した本発明のオーバーコート心線を備えたことを特徴とする。
本発明に係るオーバーコート心線は、光ファイバ着色心線の表面動摩擦力を特定範囲とした上で、オーバーコート層について、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールをオーバーコート層全体に対して特定の範囲で含有し、また、オーバーコート層全体の23℃でのヤング率を特定の範囲としている。これにより、オーバーコート心線のオーバーコート層を除去するとき、被覆除去力の最大値を適正な範囲とすることができ、オーバーコート層が光ファイバ着色心線との間で速やかに除去され、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できる。また、本発明は、エージング後の低温条件下(例えば−20℃)における被覆除去ストレスを適正な範囲に保つことができ、かかる条件下でも優れた被覆除去性が維持され、加えて、エージング後の光ファイバ着色心線の移動による突き出しの発生を防止可能なオーバーコート心線となる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記した本発明のオーバーコート心線を備えているので、前記した効果を享受し、ケーブル敷設後の工事等においても、取り出したオーバーコート心線から容易にオーバーコート層を除去することができる等、現場等での作業性も良好な光ファイバケーブルとなる。
本発明に係るオーバーコート心線の構造の一例を示した断面図である。 本発明に係るオーバーコート心線の構造の他の例を示した断面図である。 光ファイバ着色心線における表面動摩擦力の測定方法の一例を示した説明図である。 エージング後低温条件下の被覆除去力を測定した場合における、除去長と被覆除去力との関係(測定カーブ)を示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。図1は、本発明に係るオーバーコート心線1の構造の一例を示した断面図である。また、図2は、本発明に係るオーバーコート心線1の構造の他の例を示した断面図である。図1及び図2中、1はオーバーコート心線、10はガラス光ファイバ、11は一次被覆層、12は二次被覆層、12aは着色された二次被覆層(図2のみ)、13は着色層(図1のみ)、2は光ファイバ着色心線、3はオーバーコート層、をそれぞれ示す。
本発明に係るオーバーコート心線1は、ガラス光ファイバ10の周囲にガラス光ファイバ10を被覆する少なくとも2の被覆層(一次被覆層11、二次被覆層12、着色された二次被覆層12a、着色層13)が形成され、かかる被覆層のうち最外層が着色されて構
成される光ファイバ着色心線2の周囲に、オーバーコート層3が形成されている。
図1の構成にあっては、ガラス光ファイバ10の周囲に一次被覆層11(プライマリ層ともよばれる。以下同じ。)、一次被覆層11の周囲に二次被覆層12(セカンダリ層ともよばれる。以下同じ。)、二次被覆層12の周囲に着色された着色層13がこの順で形成されており、光ファイバ着色心線2を構成する。また、着色層13が光ファイバ着色心線2の最外層となる。
一方、図2の構成にあっては、ガラス光ファイバ10の周囲に一次被覆層11、一次被覆層11の周囲に着色された二次被覆層12aがこの順で形成されており、光ファイバ着色心線2となる。また、着色された二次被覆層12aが光ファイバ着色心線2の最外層となる。なお、以下の説明において、光ファイバ着色心線2の最外層となる着色層13と着色された二次被覆層12aとを併せて、「着色層13等」とする場合がある。
(A)オーバーコート層3:
本発明に係るオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3は、光ファイバ着色心線2の周囲に形成される層である。オーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を設けることで光ファイバ着色心線2を補強し、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性を向上させ、敷設作業の簡略化や時間短縮化を図るものである。
本発明にあって、オーバーコート層3を構成する成分としては、重量平均分子量(M)が3000〜4000のポリオールを含む。かかる重量平均分子量(以下、単に「分子量」とすることもある。)のポリオールは、オーバーコート層3を構成する紫外線硬化樹脂の網目に反応しないでオーバーコート層3に存在することができ、紫外線硬化樹脂の稠密な網目構造にポリオールが膨潤していることになり、紫外線硬化樹脂に対して可塑剤的な役割を果たす。これにより、オーバーコート層3のヤング率を低下させるとともに、低温条件下でもオーバーコート層3にしなやかさを付与することができる。また、ポリオールは、光ファイバ着色心線2の最外層(着色層13や着色された二次被覆層12a)とオーバーコート層3の界面にブリードして、低温条件下であっても、オーバーコート層3全体の被覆除去の際に界面を滑りやすくさせる。そして、かかる重量平均分子量の範囲であれば着色層13の分子量より大きくなるため、着色層13の網目を通らず、移行することもない。また、ポリオールの分子量が3000〜4000と大きいので、ポリオールの含有量を増加させることで、オーバーコート層3全体のヤング率をコントロールすることが可能である。このように、オーバーコート層3にポリオールを存在させることにより、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できるとともに、エージング後で−20℃等の低温条件下においても被覆除去性が維持できることに役立つことになる。
ポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられるが、この中で、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等といった分岐構造をもたないものは、低温時に結晶化する場合があり、着色層13等とオーバーコート層3との界面で結晶による曲げが発生しロス増を起こす原因になる場合がある。一方、分岐構造を有しているポリプロピレングリコールは、−60℃の低温でも結晶せず、前記したポリオールの効果を確実に奏することができるため、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリプロピレングリコールはアルカリ触媒を使用しポリプロピレンオキシド(PO)を多官能アルコールに付加重合して製造されるが、反応を高めるためにエチレンオキシド(EO)を付加重合させ利用する場合があるが、エチレンオキシドを付加すると親水性が高くなることから付加物質としてポリプロピレンオキシド(PO)のみの使用が好ましい。
オーバーコート層3に含有されるポリオールの重量平均分子量は、前記したように、3000〜4000とする。ポリオールの重量平均分子量が3000より小さいと、オーバーコート層3と接する着色層13を通り抜けて移行したり、光ファイバケーブルとされた場合に、オーバーコート層3に接する図示しない光ファイバケーブルのシースに移行する場合があり、このようなポリオールの移行により、前記した効果が奏されない場合がある。一方、重量平均分子量が4000を超えると、紫外線硬化樹脂と混合したときに粘度が上昇するため、製造時にオーバーコート層3を塗布する際の塗出量が低下し、外径変動の原因になる場合がある。また、塗出量を多くするため、加熱温度を上げる等により粘度を下げることができるが、加熱温度を上昇させすぎると紫外線硬化樹脂の揮発量が増加し、石英管等の汚れの原因等の要因となる場合がある。なお、ポリオールの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)等の、従来公知の高分子物質の分子量分布や平均分子量分布等を測定する手法による測定値を採用すればよい。
オーバーコート層3に含有されるポリオールの含有量は、オーバーコート層3全体(オーバーコート層3を構成する成分全体に対しての意。以下、単に「オーバーコート層3」とする場合もある。)に対して17〜33質量%とする。オーバーコート層3に対するポリオールの含有量がかかる範囲内であれば、オーバーコート層3のヤング率を40MPa以上140MPa未満の範囲内に維持しやすくなり、オーバーコート層3の被覆除去力が適度な範囲(概ね1.4〜3.5N)となるとともに、エージング後の低温条件下における被覆除去性も良好となる。加えて、エージング後における光ファイバ着色心線2の突き出しを防止することができる。一方、オーバーコート層3に対するポリオールの含有量が17質量%より小さいと、エージング後の低温条件下における被覆除去性が悪く、被覆除去力が適正な範囲(1.4〜3.5N)より高くなる。また、含有量が33質量%を超えると、被覆除去力が適正な範囲より小さくなり、加えて、エージング後の突き出し性に悪影響を与える場合がある。オーバーコート層3に含有されるポリオールの含有量は、オーバーコート層3全体に対して17〜30質量%とすることが好ましい。
本発明に係るオーバーコート心線1のオーバーコート層3は、ポリオールの含有量を前記した範囲とすることにより、オーバーコート層3の被覆除去力を適正な範囲とすることができ、概ね1.4〜3.5Nを維持することができる。被覆除去力とは、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を、市販のマイクロストリップ(例えば、マイクロエレクトロニック社製 0.016インチの穴径の刃)で50mm(5cm)の長さのオーバーコート層3全体を除去する場合における、かかるオーバーコート層3(被覆)を除去するために必要な力を指す。具体的には、オーバーコート心線1の端から50mmの箇所にマイクロストリップの刃を0.05mmの深さまで切り込ませて刃を固定し、光ファイバ着色心線2の端に向けて刃を光ファイバ着色心線2の軸に沿って動かして、50mmのオーバーコート層3を除去するようにする。本発明にあっては、被覆除去時に加わる力の最大値を被覆除去力とする。
オーバーコート層3全体の被覆除去力は、本発明に係るオーバーコート心線1にあっては、概ね1.4〜3.5Nを維持することができる。オーバーコート心線1において、オーバーコート層3の被覆除去力の最大値は、一般に1.3N以上であることが必要とされ、本発明にあっては、余裕も見て1.4N以上としている。一方、3.5Nを超えると、エージング後の諸特性に悪影響を与える場合がある。
オーバーコート層3を構成する他の成分としては、例えば、光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を被覆する紫外線硬化樹脂及びその添加成分等として一般に使用される成分等を使用することができ、具体的には、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、その他各種添加剤等を使用することができる。
オリゴマーとしては、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート等を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。オリゴマーの骨格構造と分子量、及び後記する希釈モノマーの種類と添加量によって、オーバーコート層3全体のヤング率やガラス転移温度(T)を調整することができる。後記するように、オリゴマーの分子量を小さくすることや、モノマーの官能基を増やすこと等により、ヤング率やガラス転移温度(T)を調整することができる。
また、オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合には、中間ブロックは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができるが、分岐構造を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましく、かかるポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。
そして、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができ好ましい。
使用するオリゴマーは、重量平均分子量が500〜2500のものを使用することが好ましく、1000〜2000のものを使用することが特に好ましい。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。
オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。
添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ラウリルアクリレート等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1−6ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。
光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸等が挙げられ、これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他の添加可能な添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤、熱重合禁止剤等の劣化防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、水素吸収剤、連鎖移動剤、シリコーン、滑剤等が挙げられる。
また、オーバーコート層3は着色してもよく、オーバーコート層3を着色する場合に、添加される顔料としては、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキザン、ベンスイミダゾロンの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。なお、着色成分として、顔料と、前記した材料に代表させる紫外線硬化樹脂を混合した着色材を用いるようにしてもよい。着色材の含有量は、着色材に含まれる顔料の含有量や、紫外線硬化樹脂等他の成分の種類等により適宜決定すればよいが、オーバーコート層3全体に対して2.0〜3.0質量%とすることが好ましい。
本発明に係るオーバーコート心線1にあって、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率(以下、単に「ヤング率」とする場合がある。)は、40MPa以上140MPa未満とする。23℃でのヤング率をかかる範囲とすることにより、オーバーコート層3の被覆除去力が適度な範囲(概ね1.4〜3.5N)となるとともに、エージング後の低温条件下における被覆除去性も良好となる。一方、かかるヤング率が40MPaを下回ると、エージング後の突き出しや側圧により外的応力に影響があり、ヤング率が140MPaを超えると、エージング後の−20℃の被覆除去性に影響がある。そのため、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率は、40MPa以上140MPa未満とする。なお、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率は、50〜137MPaとすることが好ましい。
オーバーコート層3全体のヤング率を前記した範囲に調整するには、例えば、オーバーコート層3を構成する成分等を調整することによって実施することができる。具体的には、オーバーコート層3を構成するポリオールの種類、重量平均分子量や含有量、オーバーコート層3を構成するオリゴマーの種類、分子量や含有量、希釈モノマーの種類と添加量、あるいはその他の成分の種類や含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等によって、オーバーコート層3全体のヤング率(及びガラス転移温度(T))を調整することができる。
例えば、一般的な傾向として、オーバーコート層3に含有されるようなポリオールの重量平均分子量を小さくしたり、含有量を少なくすることにより、ヤング率を高くしたりガラス転移温度(T)を高くすることができ、オリゴマーの分子量を小さくすることや、添加する希釈モノマーの含有量や官能基を増やすことで、ヤング率を高くしたりTgを高くすることができる。一方、このようにすると、架橋密度が高くなり、収縮も多くなり、被覆除去力に悪影響を与える場合もあるため、バランスを考慮して調整するようにすることが好ましい。
なお、オーバーコート層3のガラス転移温度(T)は、例えば、高温側で40〜60℃となるようにすることが好ましく、45〜55℃とすることが特に好ましい。
オーバーコート心線1におけるオーバーコート層3の外径(オーバーコート心線1の外径でもある。)は、光ファイバ着色心線2及びオーバーコート心線1の特性を維持するために、一般に、470μm〜530μmの範囲内とすることが好ましい。
なお、オーバーコート層3は、単層でなく、複数の層とすることができ、前記の要件を満たした、構成する成分の異なる複数のオーバーコート層3を光ファイバ着色心線2の周囲に形成するようにしてもよい。
(B)一次被覆層11、二次被覆層12、着色された二次被覆層12a及び着色層13:
前記したように、光ファイバ(ガラス光ファイバ10)は、様々な外的応力やそれによって発生するマイクロベンドによって伝送ロスが増加するため、そのような外的応力から光ファイバを保護する必要があり、一般的には、一次被覆層11と二次被覆層12との二層構造からなる被覆が施されている。一次被覆層11は、ガラス光ファイバ10を構成する石英ガラスと接触する内層となり、比較的ヤング率の低い軟質の樹脂が用いられ、その外層には、比較的ヤング率の高い硬質の樹脂を用いた二次被覆層12が被覆される。
本発明に係るオーバーコート心線1の一次被覆層11(プライマリ層)及び二次被覆層12(セカンダリ層)の構成材料となる樹脂材料や、光ファイバ着色心線2の着色層13の構成材料としては、前記したオーバーコート層3を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。なお、前記した添加剤のうち、滑剤は、必要により二次被覆層12や着色層13に添加するようにすればよい。
オリゴマーとしては、例えば、一次被覆層11や二次被覆層12としては、前記したオーバーコート層3を構成すると同様の、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることでヤング率を調整することができる。使用するオリゴマーの重量平均分子量は、一次被覆層11として使用する場合は、1000〜4000のものを使用することが好ましく、二次被覆層12として使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色層13として使用する場合は、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色された二次被覆層12aとして使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましい。
具体的には、一次被覆層11や二次被覆層12としては、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができる。芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1−6ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、着色層13を構成するオリゴマーとしては、前記した一次被覆層11や二次被覆層12と同様に、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させること二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、着色層13を構成する樹脂には、例えば、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。なお、着色された二次被覆層12aが着色層13を兼ねる場合には、かかる着色された二次被覆層12aをこれらの成分とするようにしてもよい。
具体的には、オリゴマーとしては、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、例えば、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。さらに、表面のすべり性を向上させるために、変性シリコーンを添加することが好ましく、例えば、片末端アクリル変性シリコーン等を使用することができる。光開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン等を使用することができる。
なお、図2に示すように、着色された二次被覆層12aが光ファイバ着色心線2の最外層となるとともに、二次被覆層12が着色層13を兼ねる場合には、顔料や前記した着色材を二次被覆層12に添加することにより、着色された二次被覆層12aとすることができる。
本発明に係るオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を0.03N以下としている。光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を0.03N以下とすることにより、オーバーコート層3に重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを特定範囲で含有させることと相俟って、オーバーコート層3の被覆除去力が適度な範囲(概ね1.4〜3.5N)となるとともに、エージング後の低温条件下(例えば−20℃。以下同じ。)の被覆除去ストレスを適切な範囲に維持することができ、エージング後の低温条件下における被覆除去性も良好となる。一方、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力が0.03Nを超える場合には、エージング後の低温条件下における被覆除去性が悪くなり、除去時に着色層13等の割れが発生する懸念がある。光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力は、0.005〜0.03Nであることが好ましく、0.015〜0.025Nであることが特に好ましい。
光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力の測定の方法は、特に制限はなく、従来公知の動摩擦力の測定方法を適用することができるが、例えば、以下に示すKnot Test(ノット試験)を用いるようにしてもよい。
図3は、光ファイバ着色心線2における表面動摩擦力の測定方法の一例を示した説明図であり、Knot Testの概要を示す模式図である。例えば、光ファイバ着色心線2を図3に示すように光ファイバ着色心線2同士が交わる箇所を5箇所(図3のA、B、C、D及びE。以下同じ。)にして直径約7cmの円を作成し、かかる円の両端を従来公知の引張試験機で5mm/分等の速度で引っ張ることで、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を測定することができる。
ここで、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を0.03N以下とするには、例えば、光ファイバ着色心線2における最外層となる着色層13等の表面の硬化性や、着色層13等へ添加され変性シリコーン(片末端アクリル変性シリコーン等)の着色層13等への含有量等を調整して表面動摩擦力を制御して、前記した範囲に収めるようにすればよい。
光ファイバ着色心線2の表面の硬化性は、例えば、使用される光開始剤の種類と製造時の線速度(線速)により調整することができる。線速が速い場合、製造効率はよくなる一方、光ファイバ着色心線2の表面の硬化性が悪くなる場合があるので、例えば、製造に使用する図示しない紫外線照射装置(UV照射装置)の紫外線照射ランプの発光波長に光開始剤の吸収波長を持ってくることにより、線速が速い場合でも効率よく硬化することができる。
また、光開始剤の種類についても、光開始剤はその種類によって吸収波長が異なり、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、300nm付近に吸収波長を持ち表面硬化性に優れる。また、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1は、320nm付近に吸収波長を持ち、内部硬化性に優れた非常に高い反応性を有する光開始剤である。さらに、2,4ジエチルチオキサントンは380〜400nm付近に吸収波長を有する。
また、単独では380nm以上の波長に吸収域を殆ど持たない光開始剤(光重合開始剤)でも、他の光開始剤との併用により、長波長領域の光照射で光開始剤として機能させることができる。2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、単独では405nmの光を全く吸収しないが、2,4−ジエチルチオキサントンと併用させると、2,4−ジエチルチオキサントンの増感作用によって、405nmにおける吸光係数を高くすることができる。
なお、吸収波長が長波長側の方が、紫外線は深く入るため、着色層13等の深部の硬化性が上がり、表面だけでなく内部も硬化することになる。そのため、線速が速くても、表面硬化性の高いものと深部硬化性が高いものを併用することで、着色層13等を効率良く硬化させることができる。
光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力については、着色層13等の表面や内部が硬化していない状態でKnot Test等の表面動摩擦力の測定を行うと、表面と内部が硬化した状態と比較してタック性(べたつき)が大きく、かつヤング率も低いことから、つぶれが生じるため、表面動摩擦力が高くなる傾向がある。光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を前記した範囲(0.03N以下)に収めるには、着色層13等の表面と内部が適度に硬化した状態となるように、例えば、光開始剤の種類や線速度等の諸条件を適宜調整することが好ましい。
また、添加する変性シリコーン(片末端アクリル変性シリコーン等)についても、その添加量を調整することで、着色層13等の表面動摩擦力を調整することができる。片末端アクリル変性シリコーン等の変性シリコーンの含有量は、使用する他の成分との関係で適宜決定し、表面動摩擦力が前記の範囲に収まるように調整すればよい。
なお、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力については、前記の要因のほか、光ファイバ着色心線2の最外層(着色層13あるいは着色された二次被覆層12a)に含まれる顔料の種類やその含有量、オーバーコート層3に含まれる場合の顔料の種類やその含有量によっても、適宜調整される。また、本発明にあっては、光ファイバ着色心線2の摩擦力の調整の観点から、ガラス光ファイバ10の周囲に一次被覆層11、二次被覆層12を形成し、かかる二次被覆層12の周囲に着色された着色層13がこの順で形成され、着色層13が光ファイバ着色心線2の最外層となる図1に示した構成とすることが好ましい。
また、本発明に係るオーバーコート心線1は、このようにして光ファイバ着色心線2の摩擦力を特定の範囲とし、また、オーバーコート層3に重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを特定の範囲で含有させることと相俟って、エージング後の低温条件下における被覆除去ストレスを105N・mm未満に抑えることが可能となる。
かかる「エージング後の低温条件下における被覆除去ストレス」(以下、単に「被覆除去ストレス」という場合もある。)は、エージング後の低温条件下(例えば、−20℃等の低温条件下)の被覆除去試験をクリアするための目安となり、かかる被覆除去ストレスが105N・mm未満であることでオーバーコート層3と光ファイバ着色心線2の界面にストレスを集中させずに除去が可能になり、エージング後の低温条件下における被覆除去試験性能が良好となる。被覆除去ストレスは30N・mm以上105N・mm未満であることが好ましく、40〜90N・mmであることが特に好ましい。
かかるエージング後の低温条件下における被覆除去ストレスの算出方法の一例について、図面を用いて説明する。図4は、エージング後低温条件下での被覆除去力を測定した場合における、除去長と被覆除去力との関係(測定カーブ)を示した図である。本発明にあっては、オーバーコート心線1のオーバーコート層3に被覆除去工具の刃が入ってから、オーバーコート層3と光ファイバ着色心線2との界面が滑り出すまでの距離Lとオーバーコート層3の被覆除去力を積分したもの(図4の斜線部分)を被覆除去ストレスと定義している。なお、図4における被覆除去ストレスの算出において、算出の開始点は、被覆除去ストレスの測定カーブが一度低下してから再度上昇する際のその上昇開始点とし、同様に、算出の終了点は、被覆除去ストレスの測定カーブが下降し始める下降開始点とすればよい。ここで、エージング後の低温条件下における被覆除去ストレスの測定は、前記の操作によりオーバーコート心線1に対して行うに際して、オーバーコート心線1をケーブル化し、得られたケーブルをエージングした後、オーバーコート心線1をケーブルから取り出し、低温(−20℃等)の条件下で、前記した操作により被覆除去ストレスを確認するようにしてもよい。
エージング後の低温条件下における被覆除去ストレスは、前記したように、前記した光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を特定の範囲とすること、及びオーバーコート層3の重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを特定の範囲で含有させることに関連する。
光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を特定の範囲とすることにより、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との界面をすべり易くする状態を保つこととなり、エージング後の低温条件下の被覆除去ストレスを適切な範囲に維持することができ、エージング後の低温条件下における被覆除去性も良好となる。また、ポリオールの含有量が少ないと低温条件下ではオーバーコート層3の熱膨張及び収縮により光ファイバ着色心線2が締めつけられた状態になる。一方、ポリオールの含有量が多いと前記のような収縮は小さいがオーバーコート層3が伸びすぎてしまうが、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを特定の範囲で含有させることで、低温(−20℃等)条件下においてオーバーコート層3の伸びを少なくさせてちぎれ易くさせ、また、かかるちぎれた部分に空気層を形成させることで、被覆除去ストレスが必要以上に高くなることを抑え、適切な範囲に収めるようにしている。また、重量平均分子量がこの範囲から外れると着色層13内にポリオールが移行してしまい特性や効果を保つことができない。
本発明に係るオーバーコート心線1を構成する一次被覆層11の23℃のヤング率は、概ね0.3〜1.5MPaとすることが好ましい。また、二次被覆層12の23℃におけるヤング率は、概ね500〜1500MPaとすることが好ましい。着色層13の23℃のヤング率は、概ね1000〜2500MPaの範囲内とすることが好ましい。なお、二次被覆層12が着色層13を兼ねる場合にはかかる着色された二次被覆層12aの23℃におけるヤング率は、500〜1500MPaとすることが好ましい。
光ファイバ着色心線2における各層の外径は、光ファイバ素線(後記参照)としての特性を維持するために、一般に、ガラス光ファイバ10の外径は80μm〜125μm、一次被覆層11の外径は120μm〜200μm、二次被覆層12の外径は160μm〜242μm、着色層13の外径は173μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。また、図2に示すように、二次被覆層12が着色層13を兼ねるような構成の場合、着色された二次被覆層12aは、外径を160μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。
(C)オーバーコート心線1の製造方法:
本発明に係るオーバーコート心線1の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を光ファイバ素線とよんでいる。
本発明に係るオーバーコート心線1を製造するには、例えば、まず、石英ガラスを主成分とするプリフォームを線引炉によって加熱溶融して、石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)とする。次に、このガラス光ファイバ10にコーティングダイスを用いて液状の紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、続いて、紫外線照射装置(UV照射装置)で塗布された紫外線硬化樹脂を含む成分に紫外線を照射してかかる成分を硬化させる。このようにして、ガラス光ファイバ10に一次被覆層11と二次被覆層12が被覆された光ファイバ素線が製造される。このように、線引き後、ガラス光ファイバ10の外周に直ちに紫外線硬化樹脂を含む成分を被覆して一次被覆層11及び二次被覆層12を形成することにより、得られる光ファイバ素線の強度低下を防止することができる。
次工程において、得られた光ファイバ素線の外周に着色層13を被覆することにより、光ファイバ着色心線2が製造される。なお、前記したように、二次被覆層12に着色することで、最外層が着色された二次被覆層12aとした光ファイバ着色心線2とするようにしてもよい。
そして、得られた光ファイバ着色心線2の外周に、前記したオーバーコート層3を構成する成分を塗布・硬化して被覆することにより、オーバーコート層3が被覆されたオーバーコート心線1が製造される。光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を被覆するには、例えば、光ファイバ着色心線2を巻いたボビンより繰り出し、あらかじめ保温された、オーバーコート層3を構成する、ポリオール及び紫外線硬化樹脂を含む成分に圧力をかけた状態でダイスに送り、光ファイバ着色心線2を通過させることでかかる成分を塗布し、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し硬化させる。そして、引き取り装置でボビンに巻き取ることで、オーバーコート層3が形成されたオーバーコート心線1を製造することができる。
以上説明した本発明に係るオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の表面動摩擦力を特定範囲とした上で、オーバーコート層3について、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールをオーバーコート層3全体に対して特定の範囲で含有し、また、オーバーコート層3全体の23℃でのヤング率を特定の範囲としているので、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を除去するとき、被覆除去力の最大値を適正な範囲とすることができるため、オーバーコート層3が光ファイバ着色心線2との間で速やかに除去され、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できる。また、本発明は、エージング後で−20℃等の低温条件下における被覆除去ストレスを適正な範囲に保つことができ、かかる条件下でも優れた被覆除去性が維持され、加えて、エージング後の光ファイバ着色心線2の移動による突き出しの発生を防止可能なオーバーコート心線1となる。
また、本発明に係るオーバーコート心線1は、ヒートサイクル(例えば、1サイクルを6時間とした−40℃〜+80℃(あるいは−30℃〜+70℃)を10サイクル等)のヒートサイクル後及びエージング後の伝送損失(ロスレベル。以下同じ。)や、エージングした後の伝送損失も小さく抑えることができ、概ね、1550nmの波長で伝送損失を0.05dB/km以下に抑えることができる。
そして、本発明に係るオーバーコート心線1を備えた光ファイバケーブルは、前記したオーバーコート層3が奏する効果を享受し、エージング後ないし高温高湿度環境下さらに低温条件下であっても、光ファイバケーブルから取り出したオーバーコート心線1のオーバーコート層3はケーブル化していないものと変わらない安定した被覆除去性等を維持できる。よって、ケーブル敷設後の工事等においても、取り出したオーバーコート心線1から容易にオーバーコート層3を除去することができ、現場等での作業性も良好な光ファイバケーブルとなる。
光ファイバケーブルの構成は、特に図示しないが、本発明に係るオーバーコート心線1を備えているものであれば特に限定はなく、例えば、オーバーコート心線1と、かかるオーバーコート心線1の両側にオーバーコート心線1と長手方向に平行に並んで配置されたテンションメンバと、オーバーコート心線1等を被覆するシースとからなる光ファイバケーブル等の構成等、その構成は任意であり、これ以外の構成も含め従来公知の光ファイバケーブルの構成とすることができる。また、例えば、光ファイバケーブルの両脇に、長手方向に亘って形成された一対のノッチが形成され、必要により支持線を内蔵した支持部を配設した、いわゆる光ファイバ8心DF(Distributing Frame)ケーブルの構成としても構わない。
なお、光ファイバケーブルの構成は前記の構成に限定されないことに加え、例えば、シースの種類、厚さ等や、オーバーコート心線1の数やサイズ、テンションメンバの種類、数やサイズ等についても、自由に選定することができる。また、光ファイバケーブルの外径や断面形状、ノッチの形状やサイズ、ノッチの形成の有無等も、自由に選定することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
[実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例5]
オーバーコート心線の製造:
表1に示した内容及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1及び図2に示したオーバーコート心線を製造した。なお、下記の内容において、分子量とは「重量平均分子量」を指す。
(1)光ファイバ着色心線の製造:
石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を表1に示した組成で被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層を被覆して、図1に示した構成の外径255μmの光ファイバ着色心線を得た。
なお、一次被覆層及び二次被覆層については、下記の成分を使用した。
(一次被覆層及び二次被覆層の成分)
一次被覆層、二次被覆層については、紫外線硬化樹脂としてポリプロピレングリコールを使用したオリゴマー(ポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用し、特に二次被覆層については、ヤング率が表1にある値のように種々となるように、分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、実施例及び比較例とした。
また、着色層については、下記の成分A(実施例1ないし実施例4、実施例7、比較例1、比較例2及び比較例5)、成分B(比較例3及び比較例4)、成分C(実施例5及び実施例6)を使用し、表面動摩擦力、ヤング率が表1にある値のように種々となるように、分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、光開始剤の種類、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、実施例及び比較例とした。なお、着色層には、適当量の顔料を含む着色材を添加した。なお、製造における線速度は、1000mm/分とした。
(着色層の成分:成分A)
着色層となる成分Aを構成する紫外線硬化性樹脂は、オリゴマーとして、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用し、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整した。また、着色層を構成する樹脂には、強靱性の向上のため、ビスフェノールAエポキシアクリレートを添加し、また、片末端アクリル変性シリコーンを着色層全体に対して12質量%含有させ、表面のすべり性を向上させ、表面動摩擦力を調整した。光開始剤は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure369)、2,4ジエチルチオキサントン(カヤキュアーDETX−S)を添加した。
(着色層の成分:成分B)
着色層となる成分Bを構成する紫外線硬化性樹脂は、オリゴマーとして、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用し、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整した。また、片末端アクリル変性シリコーンを着色層全体に対して7質量%含有させ、表面のすべり性を向上させ、表面動摩擦力を調整した。光開始剤は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure369)を添加した。
(着色層の成分:成分C)
着色層となる成分Cを構成する紫外線硬化性樹脂は、オリゴマーとしてはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールやビスフェノールAエポキシアクリレートを使用し、モノマーとして二官能モノマーや多官能モノマーで添加することでヤング率を調整した。また、片末端アクリル変性シリコーンを着色層全体に対して10質量%含有させ、表面のすべり性を向上させ、表面動摩擦力を調整した。光開始剤は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)-ブタノン−1(Irgacure369)、2,4ジエチルチオキサントン(カヤキュアーDETX−S)を添加した。
(2)オーバーコート心線の製造:
(1)により得られた光ファイバ着色心線を巻いたボビンから光ファイバ着色心線を繰り出し、上部ガイドロールで垂直方向に方向を変え、オーバーコート層の材料として、あらかじめ保温した、表1に示した重量平均分子量及び含有量のポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む下記の成分に圧力をかけ、ホースを通してダイスに送り、光ファイバ着色心線をこの中に通過させることで、光ファイバ着色心線の周囲にポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布した。また、かかる成分を塗布した後、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し、塗布されたポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を硬化させて、オーバーコート層を形成した。なお、線速に応じて必要によりUV照射装置の灯数を増加させるようにした。そして、下部ガイドロールで方向を変えパスラインで5回方向を変えて、引き取り装置でボビンに巻き取りを行って、図1に示した構成のオーバーコート心線を得た。
なお、オーバーコート層の構成材料については、下記の成分を使用した。なお、適当量の顔料を含む着色材を、表1に示す含有量で添加して使用した。
(オーバーコート層の成分)
オーバーコート層の材料として、紫外線硬化樹脂としてのオリゴマー(重量平均分子量2000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、1−6ヘキサンジオールジアクリレート、多官能としてトリシクロデカンジメチロールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤、シリコーン(重量平均分子量:約10000)を添加剤として適当量混合し、ヤング率やガラス転移温度(T)が、別途添加される、表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールと混合した場合に、表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、オーバーコート層の構成材料とした。
[試験例1]
得られた実施例1ないし実施例7、比較例1ないし比較例5のオーバーコート心線について、下記に示した測定方法及び試験方法を用いて、「(1)ヤング率」、「(2)ガラス転移温度(T)」、「(3)光ファイバ着色心線の表面動摩擦力(Knot Test)」、「(4)被覆除去力」、「(5)エージング後低温条件下での被覆除去ストレス」、「(6)エージング後低温条件下での被覆除去試験」、「(7)ヒートサイクル後及びエージング後での伝送損失」、及び「(8)ヒートサイクル+エージング後の心線移動の有無」の各試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。なお、(3)については、光ファイバ着色心線に対して評価した。
(1−1)オーバーコート層のヤング率:
オーバーコート心線から除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)により0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。サンプルの端末部分をアルミ板にゲル状瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ(登録商標)、東亞合成(株)製)で接着して固定した。そして、23℃×55%RH雰囲気でテンシロン万能引張試験機により、アルミ板部分をチャックし、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で、2.5%伸張時における力を測定し、測定値からヤング率(引張ヤング率)を算出した。23℃で40MPa以上140MPa未満の範囲内であれば合格、範囲を外れた場合を不合格とした。
(1−2)着色層+二次被覆層等のヤング率:
光ファイバ着色心線を約7cmファイバストリッパ−(商品名:MILLER FO−103−S Fiber Optic Stripper、Ripley Company社製)で挟んだ状態で液体窒素に浸漬しながら、ゆっくりとファイバストリッパ−でガラスを引き抜くことにより着色層+二次被覆層+一次被覆層、あるいは着色した二次被覆層+一次被覆層のチューブ状サンプルを作製した。そして、(1−1)と同様な条件で、テンシロン万能引張試験機を用いて引張速度1mm/分で2.5%伸張時の力を測定し、測定値からヤング率を算出した。
なお、引張試験は二次被覆層(及び着色層)に一次被覆層が一緒になった状態で引っ張っているが、一次被覆層の常温の弾性率は1MPa以下であることから、二次被覆層や着色層のヤング率に比べると3桁ほど異なるため、一次被覆層が存在しても影響は誤差範囲と考えられる。このように、一次被覆層が一緒になっていてもその存在は誤差範囲であるため、断面積は二次被覆層と着色層のみの値を用いてヤング率を算出した。
(2)オーバーコート層のガラス転移温度(T):
前記(1−1)ヤング率の測定と同様に、除去工具を用いてオーバーコート心線のオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。そのチューブ状サンプルを、DMA動的粘弾性試験(商品名:RSA3、TA社製)を用いて、周波数1Hz、標線間20mm、昇温速度3℃/分の条件で引っ張り法測定を行った場合における、tanδの低温側と高温側に現れるピーク値をガラス転移温度(T)として測定した。
(3)光ファイバ着色心線の表面動摩擦力(Knot Test):
作製した光ファイバ着色心線を、前記した図3に従い光ファイバ着色心線同士が交わる箇所を5箇所にして、直径約7cmの円を作った。その円の両端を市販の引張試験機で5mm/分の速度で引っ張ることで光ファイバ着色心線の表面動摩擦力を測定した。0.03N以下の場合を合格とし、0.03Nを超えた場合を不合格とした。
(4)被覆除去力:
除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート心線を除去工具で挟んだ状態でテンシロン万能引張試験機のチャックに固定し、心線のもう片側をチャックに固定した。そして、50mm長を測定し、23℃×55%RHの条件下、引張速度100mm/分で、50mmのオーバーコート層を除去する場合における必要な力の最大値を被覆除去力として測定した。被覆除去力の最大値が1.4〜3.5Nの場合を合格とし、範囲を外れた場合を不合格と
した。
なお、下記(5)ないし(8)の評価では、オーバーコート心線をケーブル化して評価を実施した。オーバーコート心線のケーブル化については、オーバーコート心線上に熱可塑性樹脂を被覆し、シースとしてケーブル化するようにした。なお、熱可塑性樹脂として、難燃ポリオレフィンを用い、熱可塑性樹脂の温度は219℃、押し出し圧力は26MPaとして被覆した。
(5)エージング後低温条件下での被覆除去ストレス:
オーバーコート心線をケーブル化し、得られたケーブルを85℃×85%RHで30日エージングした後、オーバーコート心線をケーブルから取り出し、前記(4)の操作を、−20℃の条件下で実施して、図4に示すような除去長と被覆除去力との関係(測定カーブ)を確認し、除去工具の刃が入ってからオーバーコート材と着色心線界面が滑り出すまでの距離と応力を積分したもの(図4参照)を被覆除去ストレスとした。そして、図4の斜線部分の除去ストレスが105N・mm未満であれば合格、105N・mm以上であれば不合格とした。
(6)エージング後低温条件下での被覆除去試験:
オーバーコート心線をケーブル化し、得られたケーブルを85℃×85%RHで30日エージングした後、オーバーコート心線をケーブルから取り出し、−20℃の条件下で除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)で0.016インチの穴径の刃を用いて、被覆除去試験を各100本行った。100本全部被覆除去できた場合を「○」とし、100本中1本でも被覆除去ができなかった場合を「×」として判定した。なお、50mm除去ができなかった場合、あるいは着色層とオーバーコート層が密着して、着色層がめくれてしまった場合や着色層表面にクラックが入った場合を「×」とした。
(7)ヒートサイクル後及びエージング後の伝送損失:
オーバーコート心線をケーブル化した後、得られたケーブルを−30℃〜+70℃のヒートサイクルを10サイクル(1サイクル:6時間)実施した後の伝送損失、及びオーバーコート心線をケーブル化した後、得られたケーブルを85℃×85%RHで30日エージングした後の伝送損失をそれぞれ測定した。なお、伝送損失の測定は、光パルス試験器(商品名:MW9076B、アンリツ(株)製)を用い、光後方散乱損失係数(OTDR)により、波長1.55μmの伝送ロスを長手方向に測定することにより行った。ともに、1550nmの波長で伝送損失(ロスレベル)が0.05dB/km以下であることを判定基準とし、0.05dB/km以下の場合を合格、0.05dB/kmを超えた場合を不合格とした。
(8)ヒートサイクル+エージング後の心線移動の有無:
ヒートサイクル+エージング条件として、オーバーコート心線150m(束内径30cm以上)を、+85℃×14日→+60℃×95%RH×14日→−40℃〜+75℃のヒートサイクルを42サイクル(1サイクル:8時間)の条件下においた後、オーバーコート心線の端末から光ファイバ着色心線の移動の有無を確認した。片端につき光ファイバ着色心線の移動が3mm以下の場合「○」とし、移動が3mmを超える場合を「×」と判定した。
なお、「総合判定」については、(1−1)オーバーコート層のヤング率が23℃で40MPa以上140MPa未満の範囲内、(3)光ファイバ着色心線の表面動摩擦力が0.03N以下、(4)被覆除去力が1.4〜3.5Nの範囲内、(5)エージング後低温条件下での被覆除去ストレスが105N・mm未満、(6)エージング後低温条件下での被覆除去試験が「○」、(7)伝送損失が0.05dB/km以下、(8)ヒートサイクル+エージング後の心線移動の有無が「○」、のすべてを満たした場合を「○」とし、前記した項目の1つでも不合格だったものを「×」として判定した。
(組成及び結果)
Figure 2015086087
表1に示すように、実施例1ないし実施例7の光ファイバケーブルは、総合評価について合格(「○」)であった。一方、比較例1ないし比較例5は、前記した項目の全てを満足するものはなく、総合評価でも不合格(「×」)であった。
本発明は、被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の低温条件下での被覆除去性にも優れるオーバーコート心線として有効に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
1 …… オーバーコート心線
10 …… ガラス光ファイバ
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
12a…… 着色された二次被覆層
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバ着色心線
3 …… オーバーコート層

Claims (3)

  1. ガラス光ファイバの周囲に当該ガラス光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成されたオーバーコート心線であって、
    前記光ファイバ着色心線の表面動摩擦力が0.03N以下であり、
    前記オーバーコート層が、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを、前記オーバーコート層全体に対して17〜33質量%含有し、
    前記オーバーコート層の23℃でのヤング率が、40MPa以上140MPa未満であることを特徴とするオーバーコート心線。
  2. 前記オーバーコート層が含有する前記ポリオールがポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1に記載のオーバーコート心線。
  3. 請求項1または請求項2に記載のオーバーコート心線を備えたことを特徴とする光ファ
    イバケーブル。
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