JP5871435B2 - オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブル - Google Patents

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本発明は、オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルに関する。さらに詳しくは、光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層を設けたオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルに関する。
光ファイバは、一次被覆層(プライマリ層)と二次被覆層(セカンダリ層)との二層構
造からなる被覆が施されており、その周囲に着色層を設けることや、二次被覆層を着色層
とすることで、最外層が着色された光ファイバ着色心線とされる。また、例えば、外径2
50μmの光ファイバ着色心線にオーバーコート層を設けるようにして外径が500μm
になるように補強されたオーバーコート心線は、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性
等を向上させ、敷設作業の簡略化や敷設時間の短縮化に貢献している。
このようなオーバーコート心線は、接続等においてオーバーコート層を除去する必要があるが、オーバーコート層を除去する場合にあっては、ポリオール等の材料がオーバーコート層と着色層との間に介在されるので、ある程度の長さは除去できる。しかしながら、メカニカルスプライスで接続する場合、50mm以上の被覆を除去しなければならない一方、従来のオーバーコート心線は、かかる長さのオーバーコート層を除去するのが困難であるという問題があった。加えて、従来のオーバーコート心線は、長い間エージング(例えば、85℃×85%RHで30日という高温多湿条件下を指す。以下同じ。)した後の低温(−20℃)時の被覆除去性が悪いという問題もあった。
また、従来のオーバーコート心線にあっては、オーバーコート層と着色層との間に介在されるポリオール等や、オーバーコート層に含まれるポリオール等に起因して、オーバーコート層の表面にポリオール等がブリードすることがあるが、このようにオーバーコート層の表面にポリオール等がブリードしていた場合にあっては、オーバーコート層の表面がべたつき、数本のオーバーコート心線をバンドル紐で束ねて括った場合等には、表面のべたつきによりオーバーコート心線同士がくっついてしまう場合があった。また、オーバーコート心線に難燃シース材料等を押出被覆してケーブル化した場合には、ポリオール等のブリードにより、多湿の状態であるとポリオールに水分が吸着し、ケーブルのシースとオーバーコート心線のオーバーコート層との界面に空洞が形成されたり、シース内面に発泡が生じたりして、ケーブルのシースとオーバーコート心線のオーバーコート層との間の密着力が低下する。ヒートサイクル試験では、密着力の低下によるオーバーコート心線の移動(心線移動)が生じ、スペックアウトする事例があった。
かかる問題に鑑み、例えば、光ファイバにガラス光ファイバを被覆する一次被覆層と、一次被覆層を被覆する二次被覆層に着色層が被覆された光ファイバ着色心線上の最外層に更なる樹脂層を被覆したオーバーコート心線において、オーバーコート層の被覆除去性を向上させるために、オーバーコート層のヤング率の範囲や、オーバーコート層内面の硬化度を特定範囲に規定する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、オーバーコート層が、光ファイバ心線に対する剥離性を付与する分子量5000以上の添加剤を含有する紫外線硬化型樹脂からなる第1のオーバーコート層と、かかる第1のオーバーコート層の外周に被覆され、第1のオーバーコート層に接触する厚さが3μm以上20μm以下の接触領域が第1のオーバーコート層より架橋密度が大きい紫外線硬化型樹脂からなる第2のオーバーコート層と、を有するオーバーコート心線が提供されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特許第4500740号公報 特開2007−199525号公報
特許文献1においては、オーバーコート層のヤング率の範囲と、オーバーコート層内面の硬化度を規定しており、製造後の状態では良好であるが、エージング後(経時後)に−20℃での被覆除去試験の結果、満足な結果が得られなかった。加えて、オーバーコート層の表面におけるポリオール等のブリードも見られるものであった。また、特許文献2においても、同様に、エージング後の−20℃での被覆除去試験の結果が悪かった。以上より、エージング後の低温条件下も含め、オーバーコート層を効率よく除去でき、オーバーコート層の表面におけるポリオール等のブリードを防止することが可能なオーバーコート心線は未だ提供されておらず、改善が望まれていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、50mm以上のオーバーコート層
を除去するための被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の−20℃での被覆
除去性に優れ、かつ、オーバーコート層の表面におけるポリオール等のブリードを防止することが可能なオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルを提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係るオーバーコート心線は、ガラス光ファイバの周囲に当該ガラス光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成されたオーバーコート心線であって、前記オーバーコート層が、前記光ファイバ着色心線の周囲に接して形成されるオーバーコート内層と、当該オーバーコート内層の周囲に形成され、最外層となるオーバーコート外層を含み、前記オーバーコート内層が、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを、前記オーバーコート内層全体に対して25〜33質量%含有し、前記オーバーコート外層はポリオールを実質的に含有せず、前記オーバーコート層のヤング率が、40MPa以上140MPa未満であることを特徴とする。
本発明に係るオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オーバーコート内層が含有する前記ポリオールがポリプロピレングリコールであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバケーブルは、前記した本発明のオーバーコート心線を備えたことを特徴とする。
本発明に係るオーバーコート心線は、オーバーコート層が、オーバーコート内層とオーバーコート外層の2層を含み、オーバーコート内層について、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールをオーバーコート内層全体に対して特定の範囲で含有し、また、オーバーコート層全体の23℃でのヤング率を特定の範囲としている。これにより、オーバーコート心線のオーバーコート層を除去するとき、被覆除去力の最大値を適正な範囲とすることができ、オーバーコート層が光ファイバ着色心線との間で速やかに除去され、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できる。また、本発明は、エージング後で−20℃の低温下においても優れた被覆除去性が維持され、加えて、エージング後の光ファイバ着色心線の突き出しの発生を防止可能なオーバーコート心線となる。さらに、ポリオールを実質的に含まないオーバーコート外層が最外層に形成されているので、オーバーコート層表面におけるポリオール等のブリードを防止し、オーバーコート層表面のべたつきをなくすとともに、ケーブル化された場合のシースとオーバーコート層との界面における空洞やシース表面の発泡が形成されることを防止し、また、それに伴うシースとオーバーコート層との密着不良やオーバーコート心線の突き出し及び心線移動等の不具合をなくすことができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記した本発明のオーバーコート心線を備えているので、前記した効果を享受し、ケーブル敷設後の工事等においても、取り出したオーバーコート心線から容易にオーバーコート層を除去することができる等、現場等での作業性も良好であり、また、シースとオーバーコート層との界面における空洞の発生やシースの発泡等の形成を防止することができるので、それに伴うシースとオーバーコート層との密着不良等の不具合がない光ファイバケーブルとなる。
本発明に係るオーバーコート心線の構造の一例を示した断面図である。 本発明に係るオーバーコート心線の構造の他の例を示した断面図である。
以下、本発明の一態様を説明する。図1は、本発明に係るオーバーコート心線1の構造
の一例を示した断面図である。また、図2は、本発明に係るオーバーコート心線1の構造
の他の例を示した断面図である。図1及び図2中、1はオーバーコート心線、10はガラ
ス光ファイバ、11は一次被覆層、12は二次被覆層、12aは着色された二次被覆層(
図2のみ)、13は着色層(図1のみ)、2は光ファイバ着色心線、3はオーバーコート層、31はオーバーコート内層、32はオーバーコート外層、をそれぞれ示す。
本発明に係るオーバーコート心線1は、ガラス光ファイバ10の周囲にガラス光ファイ
バ10を被覆する少なくとも2の被覆層(一次被覆層11、二次被覆層12、着色された
二次被覆層12a、着色層13)が形成され、かかる被覆層のうち最外層が着色されて構
成される光ファイバ着色心線2の周囲に、オーバーコート内層31と、かかるオーバーコート内層31の周囲に形成されるオーバーコート外層32からなるオーバーコート層3が形成されている。
図1の構成にあっては、ガラス光ファイバ10の周囲に一次被覆層11(プライマリ層ともよばれる。以下同じ。)、一次被覆層11の周囲に二次被覆層12(セカンダリ層ともよばれる。以下同じ。)、二次被覆層12の周囲に着色された着色層13がこの順で形成されており、光ファイバ着色心線2を構成する。また、着色層13が光ファイバ着色心線2の最外層となる。
一方、図2の構成にあっては、ガラス光ファイバ10の周囲に一次被覆層11、一次被覆層11の周囲に着色された二次被覆層12aがこの順で形成されており、光ファイバ着色心線2となる。また、着色された二次被覆層12aが光ファイバ着色心線2の最外層となる。
(A)オーバーコート層3:
本発明に係るオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3は、光ファイバ着色心線2の周囲に形成される層である。オーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を設けることで光ファイバ着色心線2を補強し、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性を向上させ、敷設作業の簡略化や時間短縮化を図るものである。
また、図1及び図2に示すオーバーコート心線1を構成するオーバーコート層3は、本発明にあっては、オーバーコート内層31と、かかるオーバーコート内層31の周囲に形成されるオーバーコート外層32を含んで構成されている。
(A−1)オーバーコート内層31:
本発明に係るオーバーコート心線1にあって、オーバーコート内層31は、光ファイバ着色心線2の周囲に、光ファイバ心線2に接する状態で形成されている。
本発明にあって、オーバーコート内層31を構成する成分としては、重量平均分子量(M)が3000〜4000のポリオールを含む。かかる重量平均分子量(以下、単に「分子量」とすることもある。)のポリオールは、オーバーコート内層31を構成する紫外線硬化樹脂の網目に反応しないでオーバーコート内層31に存在することができ、紫外線硬化樹脂の稠密な網目構造にポリオールが膨潤していることになり、紫外線硬化樹脂に対して可塑剤的な役割を果たす。これにより、オーバーコート内層31ないしはオーバーコート層3全体のヤング率を低下させるとともに、低温条件下でもオーバーコート層3にしなやかさを付与することができる。また、ポリオールは、オーバーコート内層31と接する着色層13とオーバーコート内層31の界面(着色層13とオーバーコート層3の界面となる。)にブリードして、低温条件下であっても、オーバーコート層3全体の被覆除去の際に界面を滑りやすくさせる。そして、かかる重量平均分子量の範囲であれば着色層13の分子量より大きくなるため、着色層13の網目を通らず、移行することもない。また、ポリオールの分子量が3000〜4000と大きいので、ポリオールの含有量を増加させることで、オーバーコート層3全体のヤング率をコントロールすることが可能である。このように、オーバーコート内層31にポリオールを存在させることにより、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できるとともに、エージング後で−20℃の低温下においても被覆除去性が維持できることに役立つことになる。
ポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられるが、この中で、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等といった分岐構造をもたないものは、低温時に結晶化する場合があり、着色層13とオーバーコート層3(オーバーコート内層31)との界面で結晶による曲げが発生しロス増を起こす原因になる場合がある。一方、分岐構造を有しているポリプロピレングリコールは、−60℃の低温でも結晶せず、前記したポリオールの効果を確実に奏することができるため、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリプロピレングリコールはアルカリ触媒を使用しポリプロピレンオキシド(PO)を多官能アルコールに付加重合して製造されるが、反応を高めるためにエチレンオキシド(EO)を付加重合させ利用する場合があるが、エチレンオキシドを付加すると親水性が高くなることから付加物質としてポリプロピレンオキシド(PO)のみ使用が好ましい。
オーバーコート内層31に含有されるポリオールの重量平均分子量は、前記したように、3000〜4000とする。ポリオールの重量平均分子量が3000より小さいと、オーバーコート内層31と接する着色層13を通り抜けて移行したり、光ファイバケーブルとされた場合に、オーバーコート層3に接する図示しない光ファイバケーブルのシースに、オーバーコート外層32を介して移行する場合があり、このようなポリオールの移行により、前記した効果が奏されない場合がある。一方、重量平均分子量が4000を超えると、紫外線硬化樹脂と混合したときに粘度が上昇するため、製造時にオーバーコート内層31を塗布する際の塗出量が低下し、外径変動の原因になる場合がある。また、塗出量を多くするため、加熱温度を上げる等により粘度を下げることができるが、加熱温度を上昇させすぎると紫外線硬化樹脂の揮発量が増加し、石英管等の汚れの原因等の要因となる場合がある。なお、ポリオールの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)等の、従来公知の高分子物質の分子量分布や平均分子量分布等を測定する手法による測定値を採用すればよい。
オーバーコート内層31に含有されるポリオールの含有量は、オーバーコート内層31全体(オーバーコート内層31を構成する成分全体に対しての意。以下、単に「オーバーコート内層31に」とする場合もある。)に対して25〜33質量%とする。オーバーコート内層31に対するポリオールの含有量がかかる範囲内であれば、オーバーコート層3全体のヤング率を40MPa以上140MPa未満の範囲内に維持しやすくなり、オーバーコート層3の被覆除去力が適度な範囲(概ね1.4〜3.5N)となるとともに、エージング後の被覆除去性も良好となる。加えて、エージング後における光ファイバ着色心線2の突き出しを防止することができる。一方、オーバーコート内層31に対するポリオールの含有量が25質量%より小さいと、エージング後の被覆除去性が悪く、含有量が20質量%を下回る場合は特に、被覆除去力が適正な範囲(1.4〜3.5N)より高くなる場合がある。また、含有量が33質量%を超えると、被覆除去力が適正な範囲より小さくなる場合があり、加えて、エージング後の突き出し性に悪影響を与える場合がある。
本発明に係るオーバーコート心線1のオーバーコート内層31は、ポリオールの含有量を前記した範囲とすることにより、オーバーコート層3全体の被覆除去力を適正な範囲とすることができ、概ね1.4〜3.5Nを維持することができる。被覆除去力とは、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を、市販のマイクロストリップ(例えば、マイクロエレクトロニック社製 0.016インチの穴径の刃)で50mm(5cm)の長さのオーバーコート層3全体を除去する場合における、かかるオーバーコート層3(被覆)を除去するために必要な力を指す。具体的には、オーバーコート心線1の端から50mmの箇所にマイクロストリップの刃を0.05mmの深さまで切り込ませて刃を固定し、光ファイバ着色心線2の端に向けて刃を光ファイバ着色心線2の軸に沿って動かして、50mmのオーバーコート層3を除去するようにする。本発明にあっては、被覆除去時に加わる力の最大値を被覆除去力とする。
オーバーコート層3全体の被覆除去力は、本発明に係るオーバーコート心線1にあっては、概ね1.4〜3.5Nを維持することができる。オーバーコート心線1において、オーバーコート層3の被覆除去力の最大値は、一般に1.3N以上であることが必要とされ、本発明にあっては、余裕も見て1.4N以上としている。一方、3.5Nを超えると、エージング後の諸特性に悪影響を与える場合がある。
オーバーコート内層31を構成する他の成分としては、例えば、光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を被覆する紫外線硬化樹脂及びその添加成分等として一般に使用される成分等を使用することができ、具体的には、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、その他各種添加剤等を使用することができる。
オリゴマーとしては、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート等を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。オリゴマーの骨格構造と分子量、及び後記する希釈モノマーの種類と添加量によって、オーバーコート層3全体のヤング率やガラス転移温度(T)を調整することができる。後記するように、オリゴマーの分子量を小さくすることや、モノマーの官能基を増やすこと等により、ヤング率やガラス転移温度(T)を調整することができる。
オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合には、中間ブロックは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができるが、分岐構造を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましく、かかるポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。
また、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができ好ましい。
使用するオリゴマーは、重量平均分子量が500〜2500のものを使用することが好ましく、1000〜2000のものを使用することが特に好ましい。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。
オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。
添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ラウリルアクリレート等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1−6ヘキサンジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。
光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸等が挙げられ、これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他の添加可能な添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤、熱重合禁止剤等の劣化防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、水素吸収剤、連鎖移動剤、滑剤等が挙げられる。
(A−2)オーバーコート外層32:
オーバーコート外層32は、前記したオーバーコート内層31の周囲に形成され、最外層となって外部に現れる層となる。オーバーコート外層32の構成材料としては、前記したオーバーコート内層31を構成する材料のうち、ポリオールを除いた成分を使用することができ、前記したオーバーコート内層31を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。オーバーコート外層32は、内側に存在するオーバーコート内層31を覆う層となり、オーバーコート内層31に含有されるポリオールがオーバーコート層3の表面にブリードすることを防止することができる。
本発明にあっては、オーバーコート外層32の構成材料としてポリオールを実質的に含有しないので、オーバーコート外層32からのポリオールのブリードもない。ここで、「ポリオールを実質的に含有しない」とは、オーバーコート外層32中のポリオールの含有量が十分に低く、ポリオールを含有させたことに基づく顕著な特性変化が、オーバーコート外層32に生じないことを意味し、概ね、ポリオールがオーバーコート外層32全体に対して含有量が1質量%以下であることを示す。また、オーバーコート外層32が含有しないポリオールとは、独立した成分として含有されるポリオール(いわゆる非反応性ポリオール)を指し、例えば、オリゴマーの中間ブロックとして用いられ、他の成分(例えばポリエーテル系ウレタンアクリレート等)と結合してオリゴマーを形成しているポリオールについては、オーバーコート外層32が含有しないポリオールの対象からは外れるものである。
なお、本発明の構成にあっては、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3(オーバーコート内層31)との間にはポリオール等といった潤滑成分は介在する必要がないので、これらの材料に起因するオーバーコート層3の表面へのブリードも起こりえないが、仮に介在された場合であっても、オーバーコート外層32の存在により、ポリオール等のブリードを防止することができる。また、ブリードの原因としては、ポリオールのほか、分子量(重量平均分子量)が比較的小さいシリコーン等が原因となる場合があり、オーバーコート外層32には、重量平均分子量が3000以下のシリコーンを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「重量平均分子量が3000以下のシリコーンを実質的に含有しない」とは、前記した「ポリオールを実施的に含有しない」と同意であり、オーバーコート外層32中の重量平均分子量が3000以下のシリコーンの含有量が十分に低く、かかる重量分子量の範囲のシリコーンを含有させたことに基づく顕著な特性変化が、オーバーコート外層32に生じないことを意味し、概ね、重量平均分子量が3000以下のシリコーンがオーバーコート外層32全体に対して含有量が1質量%以下であることを示す。
また、オーバーコート外層32は着色してもよく、オーバーコート外層32を着色する場合に、添加される顔料としては、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキザン、ベンスイミダゾロンの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。なお、着色成分として、顔料と、前記した材料に代表させる紫外線硬化樹脂を混合した着色材を用いるようにしてもよい。着色材の含有量は、着色材に含まれる顔料の含有量や、紫外線硬化樹脂等他の成分の種類等により適宜決定すればよいが、オーバーコート外層32全体(オーバーコート外層32を構成する成分全体)に対して2.0〜3.0質量%とすることが好ましい。
本発明に係るオーバーコート心線1にあって、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率(以下、単に「ヤング率」とする場合がある。)は、40MPa以上140MPa未満とする。23℃でのヤング率をかかる範囲とすることにより、オーバーコート層3の被覆除去力が適度な範囲(概ね1.4〜3.5N)となるとともに、エージング後の被覆除去性も良好となる。一方、かかるヤング率が40MPaを下回ると、エージング後の突き出しや側圧により外的応力に影響があり、ヤング率が140MPaを超えると、エージング後の−20℃の被覆除去性に影響がある。そのため、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率は、40MPa以上140MPa未満とする。なお、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率は、50〜137MPaとすることが好ましい。
オーバーコート層3全体のヤング率を前記した範囲に調整するには、例えば、オーバーコート層3を構成する成分等を調整することによって実施することができる。具体的には、オーバーコート内層31を構成するポリオールの種類、重量平均分子量や含有量、オーバーコート層3(オーバーコート内層31及びオーバーコート外層32)を構成するオリゴマーの種類、分子量や含有量、希釈モノマーの種類と添加量、あるいはその他の成分の種類や含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等によって、オーバーコート層3全体のヤング率(及びガラス転移温度(Tg))を調整することができる。
例えば、一般的な傾向として、オーバーコート内層31に含有されるようなポリオールの重量平均分子量を小さくしたり、含有量を少なくすることにより、ヤング率を高くしたりガラス転移温度(Tg)を高くすることができ、オリゴマーの分子量を小さくすることや、添加する希釈モノマーの含有量や官能基を増やすことで、ヤング率を高くしたりTgを高くすることができる。一方、このようにすると、架橋密度が高くなり、収縮も多くなり、被覆除去力に悪影響を与える場合もあるため、バランスを考慮して調整するようにすることが好ましい。
また、オーバーコート層3全体の23℃におけるヤング率を40MPa以上140MPa未満の範囲内とするには、前記した成分等を調整して、例えば、オーバーコート内層31の23℃におけるヤング率を20〜50MPaとすることが好ましく、また、オーバーコート外層32の23℃におけるヤング率を215MPa以下とすることが好ましい。オーバーコート層3を構成するオーバーコート内層31やオーバーコート外層32のヤング率をかかる範囲とすることにより、オーバーコート層3全体のヤング率を40MPa以上140MPa未満の範囲内に収めやすくなる。
なお、オーバーコート層3全体のガラス転移温度(T)は、例えば、高温側で50〜70℃となるようにすることが好ましく、55〜65℃とすることが特に好ましい。
オーバーコート心線1におけるオーバーコート層3の外径(オーバーコート心線1の外径でもある。)は、光ファイバ着色心線2及びオーバーコート心線1の特性を維持するために、一般に、470μm〜530μmの範囲内とすることが好ましい。
このうち、オーバーコート外層32の外径は、前記したオーバーコート層3の外径と共通するが、オーバーコート内層31の外径は、一般に、470μm〜530μmの範囲内とすることが好ましい。さらに490μm〜510μmの範囲が好ましい。
また、オーバーコート内層31の断面積とオーバーコート外層32の断面積の比(オーバーコート内層31の断面積/オーバーコート外層32の断面積を指す。以下、単に「内層/外層」とする場合がある。)は、0.05〜0.8とすることが好ましい。
なお、オーバーコート層3は、前記したオーバーコート内層31とオーバーコート外層32以外に、任意の層を形成するようにしてもよい。かかる任意の層は、例えば、オーバーコート内層31とオーバーコート外層32との間に介在するように形成することができる。
(B)一次被覆層11、二次被覆層12及び着色層13:
前記したように、光ファイバ(ガラス光ファイバ10)は、様々な外的応力やそれによって発生するマイクロベンドによって伝送ロスが増加するため、そのような外的応力から光ファイバを保護する必要があり、一般的には、一次被覆層11と二次被覆層12との二層構造からなる被覆が施されている。一次被覆層11は、ガラス光ファイバ10を構成する石英ガラスと接触する内層となり、比較的ヤング率の低い軟質の樹脂が用いられ、その外層には、比較的ヤング率の高い硬質の樹脂を用いた二次被覆層12が被覆される。
本発明に係るオーバーコート心線1の一次被覆層11(プライマリ層)及び二次被覆層12(セカンダリ層)の構成材料となる樹脂材料や、光ファイバ着色心線2の着色層13の構成材料としては、前記したオーバーコート層3を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。なお、前記した添加剤のうち、滑剤は、必要により二次被覆層12や着色層13に添加するようにすればよい。
オリゴマーとしては、例えば、一次被覆層11や二次被覆層12としては、前記したオーバーコート層3を構成すると同様の、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることでヤング率を調整することができる。使用するオリゴマーの重量平均分子量は、一次被覆層11として使用する場合は、1000〜4000のものを使用することが好ましく、二次被覆層12として使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色層13として使用する場合は、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色された二次被覆層12aとして使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましい。
また、着色層13を構成するオリゴマーとしては、前記した一次被覆層11や二次被覆層12と同様に、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させること二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、着色層13を構成する樹脂には、例えば、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。
なお、図2に示すように、着色された二次被覆層12aが光ファイバ着色心線2の最外層となるとともに、二次被覆層12が着色層13を兼ねる場合には、顔料や前記した着色材を二次被覆層12に添加することにより、着色された二次被覆層12aとすることができる。
一次被覆層11の23℃のヤング率は、概ね0.3〜1.5MPaとすることが好ましい。また、二次被覆層12の23℃におけるヤング率は、概ね500〜1500MPaとすることが好ましい。着色層13の23℃のヤング率は、概ね1000〜2500MPaの範囲内とすることが好ましい。なお、二次被覆層12が着色層13を兼ねる場合にはかかる着色された二次被覆層12aの23℃におけるヤング率は、500〜1500MPaとすることが好ましい。
光ファイバ着色心線2における各層の外径は、光ファイバ素線(後記参照)としての特性を維持するために、一般に、ガラス光ファイバ10の外径は80μm〜125μm、一次被覆層11の外径は120μm〜200μm、二次被覆層12の外径は165μm〜242μm、着色層13の外径は135μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。また、図2に示すように、二次被覆層12が着色層13を兼ねるような構成の場合、着色された二次被覆層12aは、外径を135μm〜255μmの範囲内とすることが好ましい。
(C)オーバーコート心線1の製造方法:
本発明に係るオーバーコート心線1の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を光ファイバ素線とよんでいる。
本発明に係るオーバーコート心線1を製造するには、例えば、まず、石英ガラスを主成分とするプリフォームを線引炉によって加熱溶融して、石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)とする。次に、このガラス光ファイバ10にコーティングダイスを用いて液状の紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、続いて、紫外線照射装置(UV照射装置)で塗布された紫外線硬化樹脂を含む成分に紫外線を照射してかかる成分を硬化させる。このようにして、ガラス光ファイバ10に一次被覆層11と二次被覆層12が被覆された光ファイバ素線が製造される。このように、線引き後、ガラス光ファイバ10の外周に直ちに紫外線硬化樹脂を含む成分を被覆して一次被覆層11及び二次被覆層12を形成することにより、得られる光ファイバ素線の強度低下を防止することができる。
次工程において、得られた光ファイバ素線の外周に着色層13を被覆することにより、光ファイバ着色心線2が製造される。なお、前記したように、二次被覆層12に着色することで、最外層が着色された二次被覆層12とした光ファイバ着色心線2とするようにしてもよい。
そして、得られた光ファイバ着色心線2の外周に、前記したオーバーコート層3(オーバーコート内層31及びオーバーコート外層32)を構成する成分を塗布・硬化して被覆することにより、オーバーコート層3が被覆されたオーバーコート心線1が製造される。光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を被覆するには、例えば、光ファイバ着色心線2を巻いたボビンより繰り出し、あらかじめ保温された、オーバーコート内層31を構成する、ポリオール及び紫外線硬化樹脂を含む成分に圧力をかけた状態でダイスに送り、光ファイバ着色心線2を通過させることでかかる成分を塗布し、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し硬化させる。次に、オーバーコート外層32を構成する、紫外線硬化樹脂を含む成分に圧力をかけた状態でダイスに送り、周囲にオーバーコート内層31が形成された光ファイバ着色心線2を通過させることでかかる成分を塗布し、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し硬化させる。そして、引き取り装置でボビンに巻き取ることで、オーバーコート層3(オーバーコート内層31及びオーバーコート外層32)が形成されたオーバーコート心線1を製造することができる。
なお、オーバーコート層3の形成は、オーバーコート内層31とオーバーコート外層32をそれぞれ別の工程で形成するようにしてもよく、これらの層31,32を1工程で形成するようにしてもよい。なお、1工程で形成する場合には、前記したように、オーバーコート内層31の構成材料を塗布、硬化させた後、オーバーコート外層32の構成材料を塗布、硬化させるようにしてもよく、あるいは、オーバーコート内層31の構成材料を塗布した後、オーバーコート外層32の構成材料を塗布し、その後、2つの層31,32を一緒に硬化させるようにしてもよく、この製造方法は任意である。また、いわゆるデュアル塗布方式で、2つの層31,32の構成材料を塗布し、硬化するようにしてもよい。
以上説明した本発明に係るオーバーコート心線1は、オーバーコート層3が、オーバーコート内層31とオーバーコート外層32の2層を含み、オーバーコート内層31について、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールをオーバーコート内層31全体に対して特定の範囲で含有し、また、オーバーコート層3全体の23℃でのヤング率を特定の範囲としている。これにより、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を除去するとき、被覆除去力の最大値を適正な範囲(概ね1.4〜3.5N)とすることができ、オーバーコート層3が光ファイバ着色心線2との間で速やかに除去され、50mm以上の長さであっても被覆除去を効率よく実施できる。また、本発明に係るオーバーコート心線1は、エージング後で−20℃の低温下においても優れた被覆除去性が維持され、加えて、エージング後の光ファイバ着色心線2の突き出しの発生を防止可能なオーバーコート心線1となる。
そして、本発明に係るオーバーコート心線1は、ポリオールを実質的に含有しないオーバーコート外層32が最外層に形成されているので、オーバーコート層3表面におけるポリオール等のブリードを防止し、オーバーコート層3表面のべたつきをなくすとともに、ケーブル化された場合のシースとオーバーコート層3との界面に発泡や空洞が形成されることを防止し、また、それに伴うシースとオーバーコート層3との密着不良等の不具合をなくすことができる。
また、本発明に係るオーバーコート心線1は、ヒートサイクル(例えば、1サイクルを6時間とした−40℃〜+80℃(あるいは−30℃〜+70℃)を10サイクル等)のヒートサイクル後及びエージング後の伝送損失(ロスレベル。以下同じ。)や、エージングした後の伝送損失も小さく抑えることができ、概ね、1550nmの波長で伝送損失を0.05dB/km以下に抑えることができる。
そして、本発明に係るオーバーコート心線1を備えた光ファイバケーブルは、前記したオーバーコート層3が奏する効果を享受し、エージング後ないし高温高湿度環境下であってもシース等の外被とオーバーコート心線1のオーバーコート層3との層間で物質の移行等を防止でき、光ファイバケーブルから取り出したオーバーコート心線1のオーバーコート層3はケーブル化していないものと変わらない安定した被覆除去性等を維持できる。よって、ケーブル敷設後の工事等においても、取り出したオーバーコート心線1から容易にオーバーコート層3を除去することができ、現場等での作業性も良好な光ファイバケーブルとなる。
加えて、本発明に係る光ファイバケーブルは、シースとオーバーコート層3の界面における空洞の発生やシースの発泡等が形成されることが防止されるので、それに伴うシースとオーバーコート層3との密着不良やオーバーコート心線の突き出し及び心線移動等の不具合がない光ファイバケーブルとなる。
光ファイバケーブルの構成は、特に図示しないが、本発明に係るオーバーコート心線1を備えているものであれば特に限定はなく、例えば、オーバーコート心線1と、かかるオーバーコート心線1の両側にオーバーコート心線1と長手方向に平行に並んで配置されたテンションメンバと、オーバーコート心線1等を被覆するシースとからなる光ファイバケーブル等の構成等、その構成は任意であり、これ以外の構成も含め従来公知の光ファイバケーブルの構成とすることができる。また、例えば、光ファイバケーブルの両脇に、長手方向に亘って形成された一対のノッチが形成され、必要により支持線を内蔵した支持部を配設した、いわゆる光ファイバ8心DF(Distributing Frame)ケーブルの構成としても構わない。
なお、光ファイバケーブルの構成は前記の構成に限定されないことに加え、例えば、シースの種類、厚さ等や、オーバーコート心線1の数やサイズ、テンションメンバの種類、数やサイズ等についても、自由に選定することができる。また、光ファイバケーブルの外径や断面形状、ノッチの形状やサイズ、ノッチの形成の有無等も、自由に選定することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
[実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例5]
オーバーコート心線の製造:
表1及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1及
び図2に示したオーバーコート心線を製造した。
(1)光ファイバ着色心線の製造:
石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を表1に示した組成で被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層を被覆して、外径255μmの光ファイバ着色心線を得た(図1に相当する構成で、実施例のうち実施例1、実施例3ないし実施例7、比較例のうち比較例1、比較例2、比較例4、比較例5が該当。)。
なお、二次被覆層(セカンダリ層)に着色を施し、二次被覆層が着色層を兼ねる場合には、一次被覆層(プライマリ層)の外径を185μm、二次被覆層の外径を255μmとしてそれぞれの層を被覆して、光ファイバ着色心線とした(図2に相当する構成で、実施例のうち実施例2、比較例のうち比較例3が該当。)。
なお、一次被覆層、二次被覆層、着色層については、紫外線硬化樹脂としてポリプロピレングリコールを使用したオリゴマー(ポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用し、特に二次被覆層及び着色層については、ヤング率が表1にある値のように種々となるように、分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、実施例及び比較例とした。なお、着色層、及び二次被覆層が着色層を兼ねる場合の着色された二次被覆層には、適当量の顔料を含む着色材を添加した。
(2)オーバーコート心線の製造:
(1)により得られた光ファイバ着色心線を巻いたボビンから光ファイバ着色心線を繰り出し、上部ガイドロールで垂直方向に方向を変え、オーバーコート内層の材料として、あらかじめ保温した、表1に示した重量平均分子量及び含有量のポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分A(あるいは成分B、成分C)に圧力をかけ、ホースを通してダイスに送り、光ファイバ着色心線をこの中に通過させることで、光ファイバ着色心線の周囲にポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布した。また、かかる成分を塗布した後、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し、塗布されたポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を硬化させて、オーバーコート内層を形成した。
次に、オーバーコート外層の材料として、あらかじめ保温した、紫外線硬化樹脂を含む成分A(あるいは成分B、成分C)に圧力をかけ、ホースを通してダイスに送り、前記のようにしてオーバーコート内層の材料を塗布した状態の光ファイバ着色心線をこの中に通過させることで、光ファイバ着色心線の周囲に紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布した。また、かかる成分を塗布した後、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し、塗布された紫外線硬化樹脂を含む成分を硬化させて、オーバーコート外層を形成し、オーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)とした。なお、線速に応じて必要によりUV照射装置の灯数を増加させるようにした。そして、下部ガイドロールで方向を変えパスラインで5回方向を変えて、引き取り装置でボビンに巻き取りを行って、図1及び図2に示したオーバーコート心線を得た。
なお、オーバーコート内層及びオーバーコート外層の構成材料については、表1に示すように、オーバーコート層ベース材料として、下記の成分A(表1では「A」)(実施例の全て、比較例1、比較例2及び比較例5)、成分B(表1では「B」)(比較例3)、成分C(表1では「C」)(比較例4)を使用した。そして、オーバーコート内層については成分A(あるいは成分B、成分C)に表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールをさらに加えた。一方、オーバーコート外層については、成分A(あるいは成分B、成分C)に対して、適当量の顔料を含む着色材を、表1に示す含有量で添加して使用した。
(成分A)
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量2000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オンを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤、シリコーン(重量平均分子量:約10000、オーバーコート内層、オーバーコート外層に対して2質量%)を添加剤として適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、実施例1ないし実施例7及び比較例1、比較例2及び比較例5のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
(成分B)
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量が1000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマーとして単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤を適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、比較例3のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
(成分C)
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量が1000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、イソフォロンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマーとして単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムや二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤を適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、比較例4のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
[試験例1]
得られた実施例1ないし実施例7、比較例1ないし比較例5のオーバーコート心線について、下記に示した測定方法及び試験方法を用いて、「(1)ヤング率」、「(2)ガラス転移温度(T)」、「(3)被覆除去力」、「(4)エージング後低温環境下での被覆除去試験」、「(5)ヒートサイクル後及びエージング後での伝送損失」、「(6)エージング後の突き出しの有無」、「(7)シース界面での発泡及び空洞の確認」の各試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。
(1−1)オーバーコート層のヤング率:
オーバーコート心線から除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)により0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。サンプルの端末部分をアルミ板にゲル状瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ(登録商標)、東亞合成(株)製)で接着して固定した。そして、23℃×55%RH雰囲気でテンシロン万能引張試験機により、アルミ板部分をチャックし、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で、2.5%伸張時における力を測定し、測定値からヤング率(引張ヤング率)を算出した。
(1−2)着色層+二次被覆層等のヤング率:
光ファイバ着色心線を約7cmファイバストリッパ−(商品名:MILLER FO−103−S Fiber Optic Stripper、Ripley Company社製)で挟んだ状態で液体窒素に浸漬しながら、ゆっくりとファイバストリッパ−でガラスを引き抜くことにより着色層+二次被覆層+一次被覆層、あるいは着色した二次被覆層+一次被覆層のチューブ状サンプルを作製した。そして、(1−1)と同様な条件で、テンシロン万能引張試験機を用いて引張速度1mm/分で2.5%伸張時の力を測定し、測定値からヤング率を算出した。
なお、引張試験は二次被覆層(及び着色層)に一次被覆層が一緒になった状態で引っ張っているが、一次被覆層の常温の弾性率は1MPa以下であることから、二次被覆層や着色層のヤング率に比べると3桁ほど異なるため、一次被覆層が存在しても影響は誤差範囲と考えられる。このように、一次被覆層が一緒になっていてもその存在は誤差範囲であるため、断面積は二次被覆層と着色層のみの値を用いてヤング率を算出した。
(2)オーバーコート層のガラス転移温度(T):
前記(1−1)ヤング率の測定と同様に、除去工具を用いてオーバーコート心線のオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。そのチューブ状サンプルを、DMA動的粘弾性試験(商品名:RSA3、TA社製)を用いて、周波数1Hz、標線間20mm、昇温速度3℃/分の条件で引っ張り法測定を行った場合における、tanδの低温側と高温側に現れるピーク値をガラス転移温度(T)として測定した。
(3)被覆除去力:
除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート心線を除去工具で挟んだ状態でテンシロン万能引張試験機のチャックに固定し、心線のもう片側をチャックに固定した。そして、50mm長を測定し、23℃×55%RH雰囲気下、引張速度100mm/分で、50mmのオーバーコート層を除去する場合における必要な力の最大値を被覆除去力として測定した。被覆除去力の最大値が1.4〜3.5Nの場合を合格とし、範囲を外れた場合を不合格と
した。
なお、下記(4)ないし(7)の評価では、オーバーコート心線をケーブル化して評価を実施した。オーバーコート心線のケーブル化については、オーバーコート心線上に熱可塑性樹脂を被覆し、シースとしてケーブル化するようにした。なお、熱可塑性樹脂として、難燃ポリオレフィンを用い、熱可塑性樹脂の温度は219℃、押し出し圧力は26MPaとして被覆した。
(4)エージング後低温環境下での被覆除去試験:
オーバーコート心線をケーブル化し、得られたケーブルを85℃×85%RHで30日エージングした後、オーバーコート心線をケーブルから取り出し、−20℃雰囲気下で除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)で0.016インチの穴径の刃を用いて、被覆除去試験を各100本行った。100本全部被覆除去できた場合を「○」とし、100本中1本でも被覆除去ができなかった場合を「×」として判定した。なお、50mm除去ができなかった場合、あるいは着色層とオーバーコート層が密着して、着色層がめくれてしまった場合や着色層表面にクラックが入った場合を「×」とした。
(5)ヒートサイクル後及びエージング後の伝送損失:
オーバーコート心線をケーブル化した後、得られたケーブルを−30℃〜+70℃のヒートサイクルを10サイクル(1サイクル:6時間)実施した後の伝送損失、及び85℃×85%RHで30日エージングした後の伝送損失をそれぞれ測定した。なお、伝送損失の測定は、光パルス試験器(商品名:MW9076B、アンリツ(株)製)を用い、光後方散乱損失係数(OTDR)により、波長1.55μmの伝送ロスを長手方向に測定することにより行った。ともに、1550nmの波長で伝送損失(ロスレベル)が0.05dB/km以下であることを判定基準とした。
(6)エージング後の突き出しの有無:
(5)のエージング後、オーバーコート心線の端末から光ファイバ着色心線の突き出しの有無を確認した。突き出しが0.2mm以下であった場合を「○」、突き出しが0.2mmを超える場合を「×」と判定した。
(7)シース界面での発泡及び空洞の確認:
オーバーコート心線をケーブル化した後、シースを解体してシースとオーバーコート心線のオーバーコート層との界面の状態について、シースの発泡及び界面に空洞が形成しているかを確認した。発泡や空洞がない場合を「○」、発泡と空洞の少なくとも1つがある場合を「×」とした。
なお、「総合判定」については、(1−1)オーバーコート層のヤング率が23℃で40MPa以上140MPa未満の範囲内、(3)被覆除去力が1.4〜3.5Nの範囲内、(4)エージング後の被覆除去試験が「○」、(5)伝送損失が0.05dB/km以下、(6)エージング後の光ファイバ着色心線の突き出しの有無が「○」、(7)シース界面での発泡及び空洞の確認が「○」、のすべてを満たした場合を「○」とし、前記した項目の1つでも不合格だったものを「×」として判定した。
(組成及び結果)
Figure 0005871435
表1に示すように、実施例1ないし実施例7の光ファイバケーブルは、総合評価について合格(「○」)であった。
一方、比較例1ないし比較例5は、23℃のヤング率が40MPa以上140MPa未満の範囲外となり、また、23℃×55%RH雰囲気下での被覆除去力が1.4〜3.5Nであること、エージング後低温環境下での被覆除去性、シースとオーバーコート層の界面での発泡及び空洞がないことの全てを満足するものはなく、総合評価でも不合格(「×」)であった。
本発明は、被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の−20℃での被覆除去
性にも優れ、エージング時のガラス光ファイバの突き出しもなく、オーバーコート層の表面にポリオール等のブリードも発生しないオーバーコート心線として有効に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
1 …… オーバーコート心線
10 …… ガラス光ファイバ
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
12a…… 着色された二次被覆層
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバ着色心線
3 …… オーバーコート層
31 …… オーバーコート内層
32 …… オーバーコート外層

Claims (3)

  1. ガラス光ファイバの周囲に当該ガラス光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成されたオーバーコート心線であって、
    前記オーバーコート層が、前記光ファイバ着色心線の周囲に接して形成されるオーバーコート内層と、当該オーバーコート内層の周囲に形成され、最外層となるオーバーコート外層を含み、
    前記オーバーコート内層が、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを、前記オーバーコート内層全体に対して25〜33質量%含有し、
    前記オーバーコート外層はポリオールを実質的に含有せず、
    前記オーバーコート層のヤング率が、40MPa以上140MPa未満であることを特徴とするオーバーコート心線。
  2. 前記オーバーコート内層が含有する前記ポリオールがポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1に記載のオーバーコート心線。
  3. 請求項1または請求項2に記載のオーバーコート心線を備えたことを特徴とする光ファ
    イバケーブル。

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