JP5871435B2 - オーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブル - Google Patents
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Description
造からなる被覆が施されており、その周囲に着色層を設けることや、二次被覆層を着色層
とすることで、最外層が着色された光ファイバ着色心線とされる。また、例えば、外径2
50μmの光ファイバ着色心線にオーバーコート層を設けるようにして外径が500μm
になるように補強されたオーバーコート心線は、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性
等を向上させ、敷設作業の簡略化や敷設時間の短縮化に貢献している。
を除去するための被覆除去力が良好であることに加え、エージング後の−20℃での被覆
除去性に優れ、かつ、オーバーコート層の表面におけるポリオール等のブリードを防止することが可能なオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバケーブルを提供することにある。
の一例を示した断面図である。また、図2は、本発明に係るオーバーコート心線1の構造
の他の例を示した断面図である。図1及び図2中、1はオーバーコート心線、10はガラ
ス光ファイバ、11は一次被覆層、12は二次被覆層、12aは着色された二次被覆層(
図2のみ)、13は着色層(図1のみ)、2は光ファイバ着色心線、3はオーバーコート層、31はオーバーコート内層、32はオーバーコート外層、をそれぞれ示す。
バ10を被覆する少なくとも2の被覆層(一次被覆層11、二次被覆層12、着色された
二次被覆層12a、着色層13)が形成され、かかる被覆層のうち最外層が着色されて構
成される光ファイバ着色心線2の周囲に、オーバーコート内層31と、かかるオーバーコート内層31の周囲に形成されるオーバーコート外層32からなるオーバーコート層3が形成されている。
本発明に係るオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3は、光ファイバ着色心線2の周囲に形成される層である。オーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を設けることで光ファイバ着色心線2を補強し、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性を向上させ、敷設作業の簡略化や時間短縮化を図るものである。
本発明に係るオーバーコート心線1にあって、オーバーコート内層31は、光ファイバ着色心線2の周囲に、光ファイバ心線2に接する状態で形成されている。
オーバーコート外層32は、前記したオーバーコート内層31の周囲に形成され、最外層となって外部に現れる層となる。オーバーコート外層32の構成材料としては、前記したオーバーコート内層31を構成する材料のうち、ポリオールを除いた成分を使用することができ、前記したオーバーコート内層31を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。オーバーコート外層32は、内側に存在するオーバーコート内層31を覆う層となり、オーバーコート内層31に含有されるポリオールがオーバーコート層3の表面にブリードすることを防止することができる。
前記したように、光ファイバ(ガラス光ファイバ10)は、様々な外的応力やそれによって発生するマイクロベンドによって伝送ロスが増加するため、そのような外的応力から光ファイバを保護する必要があり、一般的には、一次被覆層11と二次被覆層12との二層構造からなる被覆が施されている。一次被覆層11は、ガラス光ファイバ10を構成する石英ガラスと接触する内層となり、比較的ヤング率の低い軟質の樹脂が用いられ、その外層には、比較的ヤング率の高い硬質の樹脂を用いた二次被覆層12が被覆される。
本発明に係るオーバーコート心線1の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバ(ガラス光ファイバ10)を光ファイバ素線とよんでいる。
に限定されるものではない。
オーバーコート心線の製造:
表1及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1及
び図2に示したオーバーコート心線を製造した。
石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を表1に示した組成で被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層を被覆して、外径255μmの光ファイバ着色心線を得た(図1に相当する構成で、実施例のうち実施例1、実施例3ないし実施例7、比較例のうち比較例1、比較例2、比較例4、比較例5が該当。)。
(1)により得られた光ファイバ着色心線を巻いたボビンから光ファイバ着色心線を繰り出し、上部ガイドロールで垂直方向に方向を変え、オーバーコート内層の材料として、あらかじめ保温した、表1に示した重量平均分子量及び含有量のポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分A(あるいは成分B、成分C)に圧力をかけ、ホースを通してダイスに送り、光ファイバ着色心線をこの中に通過させることで、光ファイバ着色心線の周囲にポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布した。また、かかる成分を塗布した後、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し、塗布されたポリオールを含有する紫外線硬化樹脂を含む成分を硬化させて、オーバーコート内層を形成した。
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量2000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オンを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤、シリコーン(重量平均分子量:約10000、オーバーコート内層、オーバーコート外層に対して2質量%)を添加剤として適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、実施例1ないし実施例7及び比較例1、比較例2及び比較例5のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量が1000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマーとして単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートを使用した。光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤を適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、比較例3のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
紫外線硬化樹脂としてオリゴマー(重量平均分子量が1000のポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、イソフォロンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマーとして単官能モノマーとしてイソボルニルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートやラウリルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムや二官能モノマーとしてトリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを使用した。また、光安定剤としてヒンダードアミン光安定剤を適当量混合し(オーバーコート内層には、さらに表1に記載した重量平均分子量及び含有量のポリオールを混合させて)、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用し、比較例4のオーバーコート層(オーバーコート内層及びオーバーコート外層)の構成材料とした。
得られた実施例1ないし実施例7、比較例1ないし比較例5のオーバーコート心線について、下記に示した測定方法及び試験方法を用いて、「(1)ヤング率」、「(2)ガラス転移温度(Tg)」、「(3)被覆除去力」、「(4)エージング後低温環境下での被覆除去試験」、「(5)ヒートサイクル後及びエージング後での伝送損失」、「(6)エージング後の突き出しの有無」、「(7)シース界面での発泡及び空洞の確認」の各試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。
オーバーコート心線から除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)により0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。サンプルの端末部分をアルミ板にゲル状瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ(登録商標)、東亞合成(株)製)で接着して固定した。そして、23℃×55%RH雰囲気でテンシロン万能引張試験機により、アルミ板部分をチャックし、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で、2.5%伸張時における力を測定し、測定値からヤング率(引張ヤング率)を算出した。
光ファイバ着色心線を約7cmファイバストリッパ−(商品名:MILLER FO−103−S Fiber Optic Stripper、Ripley Company社製)で挟んだ状態で液体窒素に浸漬しながら、ゆっくりとファイバストリッパ−でガラスを引き抜くことにより着色層+二次被覆層+一次被覆層、あるいは着色した二次被覆層+一次被覆層のチューブ状サンプルを作製した。そして、(1−1)と同様な条件で、テンシロン万能引張試験機を用いて引張速度1mm/分で2.5%伸張時の力を測定し、測定値からヤング率を算出した。
前記(1−1)ヤング率の測定と同様に、除去工具を用いてオーバーコート心線のオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。そのチューブ状サンプルを、DMA動的粘弾性試験(商品名:RSA3、TA社製)を用いて、周波数1Hz、標線間20mm、昇温速度3℃/分の条件で引っ張り法測定を行った場合における、tanδの低温側と高温側に現れるピーク値をガラス転移温度(Tg)として測定した。
除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート心線を除去工具で挟んだ状態でテンシロン万能引張試験機のチャックに固定し、心線のもう片側をチャックに固定した。そして、50mm長を測定し、23℃×55%RH雰囲気下、引張速度100mm/分で、50mmのオーバーコート層を除去する場合における必要な力の最大値を被覆除去力として測定した。被覆除去力の最大値が1.4〜3.5Nの場合を合格とし、範囲を外れた場合を不合格と
した。
オーバーコート心線をケーブル化し、得られたケーブルを85℃×85%RHで30日エージングした後、オーバーコート心線をケーブルから取り出し、−20℃雰囲気下で除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)で0.016インチの穴径の刃を用いて、被覆除去試験を各100本行った。100本全部被覆除去できた場合を「○」とし、100本中1本でも被覆除去ができなかった場合を「×」として判定した。なお、50mm除去ができなかった場合、あるいは着色層とオーバーコート層が密着して、着色層がめくれてしまった場合や着色層表面にクラックが入った場合を「×」とした。
オーバーコート心線をケーブル化した後、得られたケーブルを−30℃〜+70℃のヒートサイクルを10サイクル(1サイクル:6時間)実施した後の伝送損失、及び85℃×85%RHで30日エージングした後の伝送損失をそれぞれ測定した。なお、伝送損失の測定は、光パルス試験器(商品名:MW9076B、アンリツ(株)製)を用い、光後方散乱損失係数(OTDR)により、波長1.55μmの伝送ロスを長手方向に測定することにより行った。ともに、1550nmの波長で伝送損失(ロスレベル)が0.05dB/km以下であることを判定基準とした。
(5)のエージング後、オーバーコート心線の端末から光ファイバ着色心線の突き出しの有無を確認した。突き出しが0.2mm以下であった場合を「○」、突き出しが0.2mmを超える場合を「×」と判定した。
オーバーコート心線をケーブル化した後、シースを解体してシースとオーバーコート心線のオーバーコート層との界面の状態について、シースの発泡及び界面に空洞が形成しているかを確認した。発泡や空洞がない場合を「○」、発泡と空洞の少なくとも1つがある場合を「×」とした。
性にも優れ、エージング時のガラス光ファイバの突き出しもなく、オーバーコート層の表面にポリオール等のブリードも発生しないオーバーコート心線として有効に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
10 …… ガラス光ファイバ
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
12a…… 着色された二次被覆層
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバ着色心線
3 …… オーバーコート層
31 …… オーバーコート内層
32 …… オーバーコート外層
Claims (3)
- ガラス光ファイバの周囲に当該ガラス光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成されたオーバーコート心線であって、
前記オーバーコート層が、前記光ファイバ着色心線の周囲に接して形成されるオーバーコート内層と、当該オーバーコート内層の周囲に形成され、最外層となるオーバーコート外層を含み、
前記オーバーコート内層が、重量平均分子量が3000〜4000のポリオールを、前記オーバーコート内層全体に対して25〜33質量%含有し、
前記オーバーコート外層はポリオールを実質的に含有せず、
前記オーバーコート層のヤング率が、40MPa以上140MPa未満であることを特徴とするオーバーコート心線。 - 前記オーバーコート内層が含有する前記ポリオールがポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1に記載のオーバーコート心線。
- 請求項1または請求項2に記載のオーバーコート心線を備えたことを特徴とする光ファ
イバケーブル。
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