JP2015085558A - ポリマーアロイの製造方法 - Google Patents

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伸一郎 落合
定之 小林
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Abstract

【課題】圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れた成形品を、汎用の溶融成形技術を利用して容易に製造することができるポリマーアロイの製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して、熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)50〜99重量部および熱可塑性樹脂(B)1〜50重量部を、カオス混合により溶融混練するポリマーアロイの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーアロイの製造方法に関する。より詳しくは、圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れた成形品を、汎用の溶融成形技術を利用して容易に製造することができるポリマーアロイの製造方法に関する。
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用的に用いられている。しかしながら、この様なゴム類は、高温高圧下で長時間にわたって架橋および成形を行なう工程が必要であり、加工性に劣るといった課題があった。また、架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、一般的には、熱可塑性樹脂のようなリサイクル成形が不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように、射出成形、熱プレス成形、押出成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成形品を容易に製造することが可能なポリアミドまたはポリエステルのブロックと、ポリエーテルのブロックが結合してなるブロック共重合体である熱可塑性エラストマーが開発されている。しかしながら、かかる熱可塑性エラストマーは、ゴム状弾性体としての用途に利用するためには硬度が高く、また、圧縮永久歪み特性に劣るといった課題があった。そのため、これらの特性を改良する方法として、熱可塑性樹脂とゴムを混合する方法が試みられており、ゴムブレンド技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性ポリアミド樹脂をマトリックスとし、その中にアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴムを分散させた熱可塑性エラストマー組成物であって、先ずアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴムにその架橋剤を配合し、次いで、この架橋剤を配合したアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴムと熱可塑性ポリアミド樹脂とを混合して得られる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。かかる熱可塑性エラストマー組成物は、汎用の溶融成形技術を利用して成形品を容易に製造することはできるものの、圧縮永久歪み特性が不十分であった。
一方、ポリマーアロイの製造方法として、例えば、特許文献2には、少なくとも2成分以上の熱可塑性樹脂をカオス混合による溶融混練するポリマーアロイの製造方法が開示されているが、エラストマーを主成分とした適用例はない。
特開2001−049037号公報 国際公開第2011/13517号
本発明は、圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れた成形品を、射出成形、熱プレス成形、押出成形などの汎用の溶融成形技術を利用して容易に製造することができるポリマーアロイの製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して、熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)50〜99重量部および熱可塑性樹脂(B)1〜50重量部を、カオス混合により溶融混練するポリマーアロイの製造方法、
(2)前記カオス混合が、粒子追跡法において、線長さをL、初期線長さをL0とするとき、仮想的な線の伸びの対数(lnL/L)が2以上となるカオス混合である(1)記載のポリマーアロイの製造方法、
(3)前記熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)が、オレフィン系ゴム、水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムおよびアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)または(2)に記載のポリマーアロイの製造方法、
(4)前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂およびポリフェニレンオキシド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかに記載のポリマーアロイの製造方法、である。
本発明のポリマーアロイの製造方法によれば、圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れた成形品を、汎用の溶融成形技術を利用して容易に製造することができるポリマーアロイを提供することができる。
本発明は、熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)(以下、単に「エラストマー(A)」と記載する場合がある)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して、エラストマー(A)50〜99重量部および熱可塑性樹脂(B)1〜50重量部を、カオス混合により溶融混練するポリマーアロイの製造方法である。
一般に、水などの粘性の低い流体を混合する場合には、流れを乱流化させることで効率良く混合できる。粘性の高い流体を混合する場合は、流れを乱流化させるためには多大なエネルギーを要することから、流れを乱流化させて均一に混合させることが難しい。化学工学の分野では、層流状態で効率よく、しかも一様に混合する混合方法の研究が行われ、近年、カオス混合(chaotic mixing)の研究が発展してきている。
カオス混合について説明する。2つの流体の混合を考えた場合、初期の2流体の境界面上のすべての点に対して、その位置を初期値として流体粒子の運動を支配する方程式を解くと、境界面の時間発展を求めることができる。2流体がすみやかに混合するためには,この境界面は小さい間隔で折りたたまれていく必要があることから、境界面の面積は急激に増加しなければならず、最初に、ごく近くにいた境界面上の2点間の距離は、急激に増大する必要がある。この様に、流体の運動を支配する方程式の解で、2点間の距離が、時間と共に指数関数的に増大するカオス解をもつ混合のことをカオス混合と呼ぶ。カオス混合は、例えば、Chaos, Solitons & Fractals Vol.6 p425-438に記載されている。
本発明は、エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との溶融混練へカオス混合を展開した、ポリマーアロイの製造方法に関するものである。エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)をカオス混合により溶融混練する方法としては、例えば、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機などを用いて溶融混練する方法が挙げられる。生産性の観点から、二軸押出機を用いた溶融混練が好ましい。例えば、公知の二軸押出機を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を下げて溶融粘度を上げること、および、カオス混合状態を発生させるために有効なスクリューを用いることなどにより、アロイ成分の引き伸ばしおよび折り畳みを繰り返すカオス混合を生じさせることができる。
本発明において、カオス混合による溶融混練温度は、溶融混練するエラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)の組み合わせに応じて適宜調整することができる。二軸押出機を用いた溶融混練を例に挙げると、例えば、熱可塑性樹脂(B)が結晶性樹脂の場合、熱可塑性樹脂(B)の中で最も融点の高い樹脂を基準として、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、その融点より1〜100℃低い温度範囲に設定することが好ましい。ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の中で最も融点の高い樹脂の(融点−1℃)以下に設定することにより、溶融粘度を高めてカオス混合を効果的に生じさせることができる。(融点−10℃)以下に設定することがより好ましい。一方、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の中で最も融点の高い樹脂の(融点−100℃)以上に設定することにより、熱可塑性樹脂(B)の結晶化による固化を抑制し、カオス混合を効果的に生じさせることができる。(融点−90℃)以上に設定することがより好ましく、(融点−70℃)以上に設定することがさらに好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂(B)の融点とは、示差走査熱量計(DSC)において、熱可塑性樹脂(B)を室温から20℃/分の昇温速度で昇温した時に生じる融解曲線のピーク温度から求めることができる。また、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度とは、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでのバレル設定温度を言う。
熱可塑性樹脂(B)が非晶性樹脂の場合、熱可塑性樹脂(B)の中で最もガラス転移温度の高い樹脂を基準として、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、そのガラス転移温度より1〜70℃高い温度範囲に設定することが好ましい。ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の中で最もガラス転移温度の高い樹脂の(ガラス転移温度+1℃)以上に設定することにより、溶融粘度を溶融混練に適した範囲に容易に調整することができる。(ガラス転移温度+5℃)以上に設定することがより好ましい。一方、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の中で最もガラス転移温度の高い樹脂の(ガラス転移温度+70℃)以下に設定することにより、アロイ成分の引き伸ばしを十分に進め、カオス混合を効果的に生じさせることができる。(ガラス転移温度+60℃)以下に設定することがより好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)において、熱可塑性樹脂(B)を室温から20℃/分の昇温速度で昇温した時に生じるベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点から求めることができる。
本発明におけるカオス混合は、粒子追跡法(particle tracking method)において、線長さをL、初期線長さをLとするとき、仮想的な線の伸びの対数(lnL/L)が2以上となるカオス混合であることが好ましい。仮想的な線の伸びの対数は、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。仮想的な線の伸びの対数が大きい場合、流体の運動を支配する方程式の解で、2点間の距離が、時間と共に指数関数的に増大しやすいことを意味している。なお、粒子追跡法は、時間t=0で評価するスクリューの上流面の断面内に1,000個の粒子の初期位置をランダムに決め、解析によって求めた評価するスクリューの速度場に伴う移動をシミュレーションにより追跡する方法であり、各混練温度における各粒子の座標の履歴の記録から、仮想的な線の伸びの対数を求めることができる。粒子追跡法は、例えば、Journal of Non-Newtonian Fluid Mechanics Vol.91, Issues 2-3, 1 July 2000, p273-295に記載されている。
本発明において、カオス混合状態を発生させるために有効なスクリューとしては、粒子追跡法における仮想的な線の伸びの対数が2以上となるスクリューが好ましく、3以上となるスクリューがより好ましく、4以上となるスクリューがさらに好ましい。
カオス混合状態を発生させるために有効な二軸押出機のスクリューとしては、例えば、ディスク先端側の頂部とその後面側の頂部との角度である螺旋角度θが、スクリューの反回転方向に0°<θ<90°の範囲内にあるツイストニーディングディスクや、フラクショナルロブ形状を基盤とするニーディングディスクからなり、軸が偏心したフラクショナルロブニーディングブロックや、フラクショナルロブ形状を基盤とするローターからなり、軸が偏心したフラクショナルミキシングエレメントや、フライトスクリューのフライト部にスクリュー先端側から後端側に向けて樹脂通路が形成されているバックミキシングスクリューなどが挙げられる。これらの中から選ばれる2種以上のスクリューを交互に組み合わせてもよく、カオス混合をより効果的に生じさせることができる。
本発明においては、二軸押出機を用いて、カオス混合による溶融混練を行うことが好ましい。二軸押出機を用いる場合、二軸押出機のスクリュー全長に対する、カオス混合しつつ溶融混練するゾーン(カオス混合ゾーン)の合計の長さの割合は、5〜80%が好ましく、10〜70%がより好ましく、15〜60%がさらに好ましい。また、本発明において、二軸押出機のカオス混合ゾーンは、スクリュー内の特定の位置に偏在することなく、全域に渡って配置されることが好ましい。
本発明において、原材料の配合順序には特に制限はなく、例えば、全ての原材料を配合した後、カオス混合により溶融混練する方法、一部の原材料を配合して一般的な方法により溶融混練した後、さらに残りの原材料を配合してカオス混合により溶融混練する方法、一部の原材料を配合してカオス混合により溶融混練した後、さらに残りの原材料を配合してカオス混合により溶融混練する方法、一部の原材料を配合してカオス混合により溶融混練した後、さらに残りの原材料を配合して一般的な方法により溶融混練する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
本発明のポリマーアロイの製造方法は、エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)をカオス混合により溶融混練することを特徴とする。エラストマー(A)に熱可塑性樹脂(B)を組み合わせることにより、汎用の溶融成形技術を利用して、成形品を容易に製造することができる。さらに、これらをカオス混合により溶融混練することにより、圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れたポリマーアロイを得ることができる。
エラストマー(A)としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンランダム共重合ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリル酸エステル・ブタジエン共重合ゴム等のジエン系ゴム、水素化ポリイソプレンゴム、水素化スチレン・ブタジエンランダム共重合ゴム、水素化スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、水素化ポリブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、水素化アクリル酸エステル・ブタジエン共重合ゴム等の水素化ジエン系ゴム、(メタ)アクリル酸エステルゴム、(メタ)アクリル酸エステル・エチレン共重合ゴム、(メタ)アクリル酸エステル・エチレン・(メタ)アクリル酸共重合ゴム、(メタ)アクリル酸エステル・エチレン・グリシジル(メタ)アクリル酸アステル共重合ゴム等のアクリルゴム、エピクロルヒドリンのホモポリマーおよびエチレンオキサイドとの共重合体からなるエピクロルヒドリンゴム、エチレン・ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合ゴム等のオレフィン系ゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ブチルゴム等のハロゲン化ゴム、ジメチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン等のシリコーンゴム、フッ素ゴム、コアシェルゴムが例示される。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、オレフィン系ゴム、水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムが好ましく、これらのエラストマーを用いることにより、圧縮永久歪み特性や柔軟性、ゴム弾性をより向上させることができる。
上記オレフィン系ゴムとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセンなどの炭素原子数2〜10のオレフィンから誘導される繰り返し単位を50重量%以上含有する重合体が好ましい。炭素原子数2〜10のオレフィンから誘導される繰り返し単位を2種以上有してもよい。また、オレフィン以外の単量体から誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。オレフィン以外の単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの炭素原子数4〜8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、例えば、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、2−メチルプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体が好ましい。これらのオレフィン系ゴムは、公知の方法により製造することができる。
オレフィン系ゴムは、無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル、エポキシまたはその変性体などで変性されていてもよく、熱可塑性樹脂(B)との相溶性が向上する点で好ましい。
オレフィン系ゴムは、柔軟性および耐寒衝撃性をより高める観点から、JIS K−6253(1997年)のA硬度が98以下であることが好ましく、75以下であることがより好ましい。
上記水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムとしては、特に限定されないが、ヨウ素価が1〜40mg/100mgであって、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が25〜105である水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムを好ましく用いることができる。例えば、“Zetpol”(登録商標)1010、1020、2000、2010、2020、2020L、3110、3120、3310、4310、4320(以上、日本ゼオン株式会社製商品名)、“Therban”(登録商標)A3406、A3407、A3607、A3907、A4307、A4309、B3627、B3629、C3446、C3467、C4367、C4369、LT2007、LT2057、LT2157(以上、LANXESS社(ドイツ)製商品名)などが例示される。これらを2種以上用いてもよい。
上記アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムとしては、結合アクリロニトリル含量が15〜48%であって、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が25〜150であるアクリロニトリル・ブタジエンゴムを好ましく用いることができる。例えば、“ニポール”(登録商標)DN003、DN009、1041、1041L、1031、1001、DN101、DN101L、DN103、DN115、1042、1042AL、1052J、1032、DN200、DN201、DN201、DN202、DN202H、DN206、DN207、DN212、DN215、DN219、DN223、DN225、1043、DN300、DN302、DN302H、DN306、DN315、DN401、DN401L、DN401LL、DN402、DN406、DN407、1072J、DN631、DN1201、DN1201L、DN224、DN1105、DN1205、DN1305、1203JNS、DN502SCR、DN508SCR、PB5501NF、PB5501LN、PB5502NF、VN1000、HF01、1411(以上、日本ゼオン株式会社製商品名)、“JSR”(登録商標)N215L、N222L、N222SH、N220S、N220SH、N224SH、N235S、N230SV、N230SL、N230S、N230SH、N232S、N232SH、N238H、N231L、N231H、N237、N237H、N239SV、N236H、N241、N241H、N240S、N242S、N251H、N250S、N260S、N520、N530、N640H、N640、N202S、N201、N210S、N211SL、PN20HA、PN30A(以上、JSR株式会社製商品名)などが例示される。これらを2種以上用いてもよい。
上記シリコーンゴムとしては、例えば、SH52U、SH831U、SH841U、SH851U、SH861U、SH871U、DY32−152U、DY32−305U、DY32−310U、DY32−315U、DY32−337U、DY32−338U、DY32−339U、DY32−420U、DY32−421U、DY32−422U、DY32−433U、DY32−474U、DY32−475U、DY32−476U、DY32−522U、DY32−534U、DY32−540U、DY32−541U、DY32−542U、DY32−576U、DY32−580U、DY32−623U、DY32−638U、DY32−643U、DY32−645U、DY32−663U、DY32−800U、DY32−802U、DY32−803U、DY32−839U、DY32−903U、DY32−904U、DY32−910U、DY32−911U、DY32−912U、DY32−913U、DY32−914U、DY32−915U、DY32−916U、DY32−922U、DY32−923U、DY32−924U、DY32−925U、DY32−926U、DY32−927U、DY32−931U、DY32−932U、DY32−933U、DY32−934U、DY32−935U、DY32−936U、DY32−943U、DY32−946U、DY32−2007U(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名)、KE152U、KE153U、KE167U、KE172U、KE174U、KE520U、KE530U、KE540U、KE550U、KE552U、KE552BU、KE765U、KE785U、KE850U、KE870U、KE880U、KE931U、KE941U、KE951U、KE953U、KE954U、KE961U、KE966TU、KE971U、KE7001U、KE7002U、KE7003U、KE7004U、KE7005U、KE7006U、KE7007U、KE7008U、KE7009U、KE7010U、KE7011U、KE7012U、KE7013U、KE7014U、KE7015U、KE7016U、KE7017U、KE7018U、KE7019U、KE7020U(以上、信越化学工業株式会社製商品名)、TSE221−3U、TSE221−4U、TSE221−5U、TSE221−6U、TSE221−7U、TSE221−8U、TSE270−4U、TSE270−5U、TSE270−6U、TSE270−8U、TSE2323−5U、TSE2323−6U、TSE2323−7U(以上、東芝シリコーン株式会社製商品名)等を例示することができる。
上記フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴム、パーフロロエーテル系ゴム、フルオロシリコーン系ゴム等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
フッ化ビニリデン系ゴムとしては、二元系(フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体)や三元系(フッ化ビニリデン、六フッ化プロピレン、四フッ化エチレンの三元共重合体)などが挙げられる。例えば、住友3M株式会社製のダイニオン(商品名)FC−2120、FC−2121、FC−2122、FC−2123、FC−2144、FC−2145、FC−2152、FC−2170、FC−2174、FC−2176、FC−2177、FC−2178、FC−2180、FC−2181、FC−2211、FC−2230、FC−2250、FC−2260、FC−3009、FLS−2530、FLS−2650、FLS−2690、FT−2320、FT−2350、FT−2430、FT−2481、FX−6792、FX−9038、FX−9143等や、デュポンエラストマー株式会社製の“バイトン”(登録商標)A、A−35、A−100、A−200、A−201C、A−202C、A−203C、A−401C、A−402C、A−500、A−HV、B、B−401、B−50、B−600、B−70N、B−910、E−430、E−45、E−60、E−60C、GF等や、ダイキン工業株式会社製の“ダイエル”(登録商標)G−201、G−501、G−601、G−602、G−603、G−621、G−701、G−702、G−704、G−751、G−755、G−763、G−801、G−901、G−902、G−912等や、ソルベイソレクシス社(Solvay Solexis:イタリア)製の“テクノフロン”(登録商標)TN、TN50、TN80、N215、N535、N605K、N935、FOR421、FOR423、FOR531、FOR532、FOR70、FOR45、FOR70BI、FOR65BI、FOR45BI、FOR45Cl、FOR45C2、FOR60K、FOR60Kl、FOR800HE、FOR50E、FORLHF、FORTF、FORTF50、FOR9350、FOR9352、FOR9550、FORTHF等が例示される。
テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴムとしては、例えば、旭硝子株式会社製の“アフラス”(登録商標)100H、100S、150E、150L、150P、200等が例示される。
テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴムとしては、例えば、デュポンエラストマー株式会社製の“バイトン”(登録商標)GLT、GFLT等が例示される。
パーフロロエーテル系ゴムとしては、例えば、信越化学工業株式会社製の“SIFEL”(登録商標)200、210、400等が例示される。
フルオロシリコーン系ゴムとしては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のLS−63U、LS422U(商品名)や、信越化学工業株式会社製のFE251U、FE261U、FE271U、FE351U、FE371U(商品名)等が例示される。
上記アクリルゴムは、少なくとも1種のアクリル酸エステルと、架橋点となる単量体との共重合体である。また、前記の単量体と共重合しうる他の共重合性単量体さらに共重合したものであってもよい。また、一般に市販されているアクリルゴムも使用することができる。
アクリル酸エステルとしては、炭素原子数が1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、炭素原子数が1〜4のアルコキシ基および炭素原子数が1〜4のアルキレン基を有するアルコキシアルキルアクリレートが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等が挙げられる。
また、架橋点となる単量体の具体例としては、ビニルクロロアセテート、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート等の活性ハロゲン基含有単量体、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有単量体、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のジエン化合物、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタアクリレート等のジヒドロジシクロペンタジエニル基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
他の共重合性単量体としては、例えば、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
これらのアクリルゴムは、所定量の単量体を塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等により重合することにより得ることができる。
エラストマー(A)の形状は特に限定されず、コアシェル型ゴム粒子であってもよい。コアシェル型ゴム粒子とは、エラストマーを主成分とする粒子状のコア部分と、コア部分とは異なるエラストマーまたはポリマーをグラフト重合するなどの方法でコア表面の一部あるいは全体を被覆したシェル部分とを有する粒子を意味する。
前記コアシェル型ゴム粒子のシェル部分を構成するシェル成分は、コア部分を構成するコア成分にグラフト重合されており、コア成分のエラストマーと化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等が好ましい。これらを2種以上用いてもよい。また、該シェル成分には、相溶性を向上させるために、熱可塑性樹脂(B)と反応する官能基が導入されていることが好ましい。かかる官能基をシェル部分に導入する方法としては、例えば、このような官能基を含むアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等を、モノマーの一部成分としてコア表面にグラフト重合する方法などが挙げられる。
エラストマー(A)は、硫黄、硫黄含有化合物または有機過酸化物等を用いて加硫することにより、強度を更に向上することができる。硫黄含有化合物としては、例えば、ベンゾチアジルジサルファイド、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、チウラムモノサルファイド、チウラムジサルファイド、チウラムテトラサルファイド等の周知の加硫促進剤が例示される。また、有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の周知の有機過酸化物が例示される。また、共架橋助剤として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイミド化合物等のモノマー類が使用可能である。さらに、可塑剤や老化防止剤等の添加剤を適宜に加えることができる。
本発明における熱可塑性樹脂(B)は、加熱溶融により成形可能な樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂が好ましい。
上記ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を有する高分子からなる熱可塑性樹脂のことであり、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの炭素数2〜20の脂肪族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量400〜6000の長鎖グリコールおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ポリエステル樹脂の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらの中でも、ポリブチレンテレフタレート(ポリブチレンテレフタレート樹脂)が好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.36〜1.60の範囲にあるものが好ましく、0.52〜1.25の範囲にあるものがより好ましい。固有粘度の異なるポリブチレンテレフタレート樹脂を併用してもよく、この場合には、ポリブチレンテレフタレート樹脂全体としての固有粘度が0.36〜1.60の範囲にあることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂とは、アミド結合を有する高分子からなる熱可塑性樹脂のことであり、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするものである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロ1,4−ナフタレンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
これらの中でも、200℃以上の結晶融解温度を有するポリアミド樹脂が好ましく、耐熱性や強度をより向上させることができる。200℃以上の結晶融解温度を有するポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6/66コポリマー、ポリアミド6/12コポリマーがより好ましい。
ポリアミド樹脂は、樹脂濃度1g/dlの濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲のものが好ましく、2.0〜4.0の範囲のものがより好ましい。
上記ポリフェニレンサルファイド樹脂とは、下記構造式で示される繰り返し単位を全構造単位中70モル%以上含む重合体または共重合体である。耐熱性をより向上させる観点から、下記構造式で示される構造単位を90モル%以上含むことが好ましい。
Figure 2015085558
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能である。
Figure 2015085558
かかるポリフェニレンサルファイド樹脂は、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法や、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法など、任意の方法によって製造することができる。
上記のようにして得られたポリフェニレンサルファイド樹脂に、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施してもよい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する方法としては、例えば、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、通常150〜280℃の範囲が選択され、好ましくは200〜270℃であり、処理時間としては、通常0.5〜100時間の範囲が選択され、好ましくは2〜50時間である。処理温度と処理時間を調整することによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理装置としては、通常の熱風乾燥機、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置などが挙げられる。効率よく、より均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いることが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合、加熱処理温度は通常150〜280℃、好ましくは200〜270℃であり、加熱時間は通常0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間である。加熱処理装置としては、通常の熱風乾燥機、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置などが挙げられる。効率よく、より均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いることが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましい。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にポリフェニレンサルファイド樹脂を浸漬せしめる方法などが挙げられる。必要により、適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリフェニレンサルファイド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリフェニレンサルファイド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を熱水で洗浄する場合、熱水洗浄によるポリフェニレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水洗浄は、通常、所定量の水に所定量のポリフェニレンサルファイド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリフェニレンサルファイド樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、ポリフェニレンサルファイド樹脂200g以下の浴比が選択される。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を酸処理する方法としては、例えば、酸または酸の水溶液にポリフェニレンサルファイド樹脂を浸漬せしめる方法などが挙げられる。必要により、適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はポリフェニレンサルファイド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたポリフェニレンサルファイド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるポリフェニレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられるポリフェニレンサルファイド樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、機械特性をより向上させる観点から、310℃、せん断速度1,000/秒における溶融粘度が0.5Pa・s以上であることが好ましく、2Pa・s以上であることがより好ましい。一方、流動性を向上させる観点から、310℃、せん断速度1,000/秒における溶融粘度が5,000Pa・s以下であることが好ましく、80Pa・s以下であることがより好ましい。
上記ポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする熱可塑性樹脂であるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、例えば、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分は、全単量体成分中、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量は、1万以上が好ましく、4万以上がより好ましく、8万以上がさらに好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、例えば、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
上記ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体または共重合体であり、無変性のものも、変性されたものも含まれる。
無変性のポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。共役ジエン、非共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。無変性ポリプロピレン樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体のランダムあるいはブロック共重合体、または他の熱可塑性単量体との共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。
また、変性ポリプロピレン樹脂は、好ましくは酸変性ポリプロピレン樹脂であり、重合体鎖に結合したカルボン酸および/またはその塩の基を有してなるポリプロピレン樹脂である。上記酸変性ポリプロピレン樹脂は種々の方法で得ることができ、例えば、無変性のポリプロピレン樹脂に、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/またはケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト重合することにより得ることができる。ここで、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、およびケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体としては、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物が挙げられ、またこれらのエステル、さらにはオレフィン以外の不飽和ビニル基を有する化合物なども挙げられる。
上記ポリカーボネイト樹脂としては、脂肪族または芳香族のポリカーボネイト樹脂が挙げられる。芳香族ポリカーボネイトとしては、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる芳香族ホモまたはコポリカーボネイトなどが挙げられる。ポリカーボネイト樹脂としては、示差熱量計で測定されるガラス転移温度が100〜155℃の範囲にあるものが好ましく用いられる。
前記の芳香族二価フェノール系化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、ヒンダードフェノール系、イオウ系およびリン系の酸化防止剤などの化合物を一種以上含有していてもよい。
上記ポリフェニレンオキシド樹脂としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンオキシド)などを挙げることができ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール)との共重合体などが挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)が好ましい。
また、ポリフェニレンオキシド樹脂は、30℃で測定した還元粘度(0.5g/dlクロロホルム溶液)が、0.15〜0.70の範囲にあるものが好適である。
ポリフェニレンオキシド樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、USP3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として、酸化重合する方法などの任意の方法により得ることができる。上記のようにして得られたポリフェニレンオキシド樹脂を、さらに酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基などの官能基含有化合物により、変性または活性化など種々の処理を施してもよい。
本発明のポリマーアロイの製造方法においては、エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して、エラストマー(A)50〜99重量部および熱可塑性樹脂(B)1〜50重量部を溶融混練する。エラストマー(A)が50重量部未満であり、熱可塑性樹脂(B)が50重量部を超える場合、エラストマー成分が少ないため、圧縮永久歪み特性が低下する。エラストマー(A)が60重量部以上、熱可塑性樹脂(B)が40重量部以下であることが好ましく、エラストマー(A)が70重量部以上、熱可塑性樹脂(B)が30重量部以下であることがより好ましい。一方、エラストマー(A)99重量部を超え、熱可塑性樹脂(B)が1重量部未満である場合、エラストマー成分が多く、成形加工が困難となる。エラストマー(A)が90重量部以下、熱可塑性樹脂(B)が10重量部以上であることが好ましい。
本発明のポリマーアロイの製造方法においては、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマー(A)および熱可塑性樹脂(B)に加えて、さらに各種の添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、塩基性炭酸マグネシウム、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、岩綿、ケイ砂、ワラステナイト、ガラスビーズなどの強化材、非板状充填材、酸化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安定剤(ヒンダードフェノール系など)、エステル交換反応抑制剤、無機系結晶核剤(タルクなど)、有機系結晶核剤(ソルビトール誘導体、脂肪族カルボン酸アミドなど)、滑剤、離型剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料および顔料を含む着色剤、難燃剤(ハロゲン系、リン系など)、難燃助剤(三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンなど)、発泡剤、カップリング剤(エポキシ基、アミノ基メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基を一種以上含むシランカップリング剤やチタンカップリング剤)、抗菌剤等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られたポリマーアロイを成形することにより、各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、熱プレス成形、押出成形、中空成形、カレンダ成形、真空成形、発泡成形などが挙げられる。本発明の製造方法により得られるポリマーアロイは、射出成形、熱プレス成形、押出成形、中空成形、カレンダ成形、真空成形、発泡成形などの汎用の成形方法により、容易に成形品を成形することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。各実施例および比較例における特性評価は、以下の方法により行った。
(1)圧縮永久ひずみ
JIS K6262(2006年版)に準拠し、直径13mm、厚さ6.3mmの試験片をスペーサーにより4.8mmまで圧縮した状態で、実施例1〜3および比較例1〜5は150℃×22時間、実施例4〜6および比較例6〜8は125℃×22時間熱処理を行った。熱処理したサンプルをスペーサーから取り出し、23℃恒温室で30分間静置した後、厚さを測定し、圧縮永久歪み(%)を算出した。
圧縮永久歪み[%]={(試験片の元の厚さ[mm]−スペーサーから取り外し30分後の試験片の厚さ[mm])/(試験片の元の厚さ[mm]−スペーサーの厚さ}×100
(2)引張伸度
JIS K7113(1995年版)に準拠し、JIS K7113 2号ダンベルサンプルを5本に対して、オリエンテック社製UTA−2.5Tを用いて引張速度200mm/minで引張伸度(%)を測定し、その平均値を算出した。
各実施例および比較例において使用した原料を以下に示す。
アクリル系コアシェルゴム:コア;アクリル酸ブチルゴム、シェル;メタクリル酸メチル重合体「“パラロイド”(登録商標)EXL2315」(ロームアンドハース(株)製)、
オレフィン系ゴム:酸変性エチレン/1−ブテン共重合体「“タフマー”(登録商標)MH5010」(三井化学(株)製)
NBR−1:アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム「“Nipol”(登録商標)1411」(日本ゼオン(株)製)
NBR−2:アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム「“Perbunan”(登録商標)NT2865」(バイエル(株)製)100重量部、ポリ(2,24−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン「“ノフラック” (登録商標)224」(大内新興化学(株)製)2重量部、フェノールホルムアルデヒドレジン5重量部、酸化亜鉛2.5重量部、ステアリン酸1重量部を密閉式のゴム用バンバリーミキサーにて40℃で5分間混合し、得られたサンプルをゴムペレタイザーにてペレット化して得られたアクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムマスターペレット
ポリエステル樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂「“トレコン”(登録商標)1100S」(東レ(株)製)、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定した固有粘度[η]0.85dl/g、融点225℃
ポリアミド樹脂−1:ポリアミド610樹脂「“アミラン”(登録商標)CM2001」(東レ(株)製)、98%硫酸1g/dlにおける相対粘度2.7、融点225℃
ポリアミド樹脂−2:ポリアミド6樹脂「“アミラン”(登録商標)CM1010」(東レ(株)製)、98%硫酸1g/dlにおける相対粘度2.8、融点225℃。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
表1記載の原料を表1記載の配合比で、スクリュー回転数を100rpmに設定した二軸スクリュー押出機((株)日本製鋼所製TEX30XSSST)(L/D=45.5(Lは原料供給口から吐出口までの長さ、Dはスクリューの直径である。))に供給し、ポリマー溶融部以降ベントまでのバレル温度を表1記載の設定温度に設定して溶融混練した。ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、ストランドカッターでペレタイズしてペレットを得た。
実施例1〜3と比較例4は、ディスク先端側の頂部とその後面側の頂部との角度である螺旋角度θが、スクリューの反回転方向に0°<θ<90°の範囲内にあるツイストニーディングディスクと、フライトスクリューのフライト部にスクリュー先端側から後端側に向けて樹脂通路が形成されているバックミキシングスクリューとを交互に組み合わせた、カオス混合しつつ溶融混練するゾーン(カオス混合ゾーン)を、押出機のスクリューの全長に対するカオス混合ゾーンの合計の長さの割合が、50%となるように、全域に渡って配置したスクリュー構成(Aタイプ)を用いた。一方、比較例1〜3、5は、L/D=22および28の位置から一般のニーディングディスク(L/D=3.8)を設けたスクリュー構成(Bタイプ)を用いた。
(株)日本製鋼所製、押出機内CAE解析ソフトSCREWFLOW−MULTIを用いて、時間t=0でスクリューの上流面の断面内に1,000個の粒子の初期位置をランダムに決め、解析によって求めた評価するスクリューの速度場に伴う移動をシミュレーションにより追跡し、各混練温度における各粒子の座標の履歴の記録から、線長さをL、初期線長さをL0とするときの仮想的な線の伸びの対数(lnL/L0)を求め、その値を表1に記載した。
得られたペレットを、ホッパ下から先端に向かって、220℃−225℃−230℃−230℃に設定した住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度30℃とし、保圧15sec、冷却時間20secの成形サイクルで、上記(1)〜(2)に記載の試験片を成形した。得られた試験片について上記(1)〜(2)に記載の方法で評価した結果を表1に記載した。
Figure 2015085558
エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)を溶融混練して得られるポリマーアロイにおいて、カオス混合状態を発生させるために適したAタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の融点より15℃低い温度に設定して溶融混練した実施例1〜3は、仮想的な線の伸びの対数(lnL/L)が2以上となるカオス混合となり、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイが得られた。
一方、比較例1〜3では、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の融点より25℃高い温度に設定して溶融混練したが、混練ゾーンの温度が高く、また、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成のため、カオス混合状態とならず、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイは得られなかった。比較例4では、カオス混合状態を発生させるために適したAタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の融点より25℃高い温度に設定して溶融混練したが、混練ゾーンの温度が高いため、カオス混合状態とならず、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイは得られなかった。比較例5では、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の融点15℃低い温度に設定して溶融混練したが、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成のため、カオス混合状態とならず、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイは得られなかった。
(実施例4〜6、比較例6〜8)
表2記載の原料を表2記載の配合比で、スクリュー回転数を100rpmに設定した二軸スクリュー押出機((株)日本製鋼所製TEX30XSSST)(L/D=45.5)に供給し、ポリマー溶融部以降ベントまでのバレル温度を表2記載の設定温度に設定して溶融混練した。ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、ストランドカッターでペレタイズしてペレットを得た。
実施例4〜6は、実施例1と同じスクリュー構成(Aタイプ)を用いた。一方、比較例6〜8は、比較例1と同じスクリュー構成(Bタイプ)を用いた。
実施例1と同様に仮想的な線の伸びの対数(lnL/L)を求め、その値を表2に記載した。また、実施例1と同様に試験片を成形し、得られた試験片について実施例1と同様に評価した結果を表2に記載した。
Figure 2015085558
エラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)を溶融混練して得られるポリマーアロイにおいて、カオス混合状態を発生させるために適したAタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の融点より15℃低い温度に設定して溶融混練することにより、仮想的な線の伸びの対数(lnL/L)が2以上となるカオス混合となり、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイが得られた。
一方、比較例6〜8では、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成を用い、ポリマー溶融部以降ダイヘッドまでの混練温度を、熱可塑性樹脂(B)の中で最も融点の高い樹脂の融点より25℃高い温度に設定して溶融混練したが、混練ゾーンの温度が高く、また、一般のニーディングディスクを設けたBタイプのスクリュー構成のため、カオス混合状態とならず、圧縮永久歪み特性、機械特性に優れたポリマーアロイは得られなかった。
本発明のポリマーアロイの製造方法により、圧縮永久ひずみ特性および機械特性に優れ、汎用の溶融成形技術を利用して成形品を容易に製造することのできる、リサイクル性に優れたポリマーアロイが得られる。本発明のポリマーアロイの製造方法により得られるポリマーアロイは、これらの特性を活かして成形品として広く用いることができ、特に、自動車部品におけるシール部品などの自動車用途や電気・電子部品用途などに有用に用いることができる。

Claims (4)

  1. 熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100重量部に対して、熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)50〜99重量部および熱可塑性樹脂(B)1〜50重量部を、カオス混合により溶融混練するポリマーアロイの製造方法。
  2. 前記カオス混合が、粒子追跡法において、線長さをL、初期線長さをL0とするとき、仮想的な線の伸びの対数(lnL/L0)が2以上となるカオス混合である請求項1記載のポリマーアロイの製造方法。
  3. 前記熱可塑性エラストマーを除くエラストマー(A)が、オレフィン系ゴム、水素化アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムおよびアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のポリマーアロイの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂およびポリフェニレンオキシド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーアロイの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7468172B2 (ja) 2020-06-12 2024-04-16 三菱ケミカル株式会社 粒子配合ポリエステル樹脂組成物の製造方法

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