以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下においては、自車両に搭載され、運転者が操舵操作を行わずとも、操舵操作を自動で実行することで、自車両を目標駐車位置まで誘導する駐車支援制御が実行可能な駐車支援装置を例示して、本発明を説明する。
《第1実施形態》
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置100を示す構成図である。本実施形態に係る駐車支援装置100は、図1に示すように、車両コントローラ10と、駐車制御装置20と、ステアリング装置21と、入力装置22と、報知装置30と、報知制御装置40とを備える。
車両コントローラ10は、自車両の車速情報を車速センサー(不図示)から取得し、取得した自車両の車速情報を、報知制御装置40に送信する。
駐車制御装置20は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースから構成されたマイクロコンピュータを備えており、ROMに格納された制御プログラムに従って、ステアリング装置21の操舵操作を自動で制御することで、自車両を目標駐車位置まで誘導する駐車支援制御を実行する。
たとえば、本実施形態では、インストルメントパネルに配設されたディスプレイ(報知装置30)の画面に、駐車支援開始ボタンが表示されており、運転者が、ディスプレイ(報知装置30)が備えるタッチパネル(入力装置22)を介して、駐車支援開始ボタンを押下することで、駐車制御装置20の起動が行われ、駐車制御装置20による駐車支援制御が開始される。
駐車支援制御が開始されると、カメラにより撮像された映像が、ディスプレイ(報知装置30)の画面に表示される。運転者は、ディスプレイ(報知装置30)の画面に表示された映像を参照して、当該ディスプレイ(報知装置30)が備えるタッチパネル(入力装置22)を操作することで、駐車制御装置20に目標駐車位置を設定することができる。
そして、運転者により目標駐車位置が設定されると、駐車制御装置20は、現在の車両位置と目標駐車位置との位置関係を演算し、自車両を目標駐車位置まで移動するための目標走行経路を演算する。そして、駐車制御装置20は、目標走行経路と現在の車両位置とに基づいて、目標走行経路上の各位置で目標操舵角を演算し、目標操舵角を達成するために、ステアリング装置21の駆動モータ(不図示)に供給する必要がある電流値を、電流指令値として算出する。
その後、ディスプレイ(報知装置30)の画面に操舵制御開始ボタンが表示され、運転者が、ディスプレイ(報知装置30)が備えるタッチパネル(入力装置22)を介して、操舵制御開始ボタンを押下することで、駐車制御装置20は、算出された電流指令値の電流を、ステアリング装置21の駆動モータに供給する。これにより、駆動モータにおいて、駐車制御装置20により算出された電流指令値の電流が操舵トルクに変換され、ステアリング装置21に操舵力として伝達される。この結果、自車両が目標走行経路に沿って移動するようにステアリング装置21の操舵操作が自動で実行され、自車両を目標駐車位置まで移動させることが可能となる。
また、駐車制御装置20は、駐車制御装置20の動作状態を報知制御装置40に一定間隔で繰り返し送信する。たとえば、駐車制御装置20は、駐車制御装置20の動作状態として、駐車制御装置20が起動しているか否かを示す情報、目標駐車位置が設定されているか否かを示す情報、および、駐車制御装置20により駐車支援制御が実行されているか否かを示す情報を、報知制御装置40に一定間隔で繰り返し送信する。
報知装置30は、インストルメントパネルに配設されたディスプレイやスピーカーなどであり、報知制御装置40の制御に従って、駐車操作に関する報知情報を運転者に報知する。報知装置30により報知される報知情報としては、「駐車支援開始ボタンを押して下さい。」、「目標駐車位置を設定してください。」などの駐車制御装置20の操作方法を運転者に説明するための操作案内情報や、「周辺の安全を直接確認して下さい。」などの駐車操作において運転者の注意を喚起するための注意喚起情報が含まれる。なお、本実施形態では、報知装置30であるディスプレイが、入力装置22であるタッチパネルを備えている。
報知制御装置40は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースから構成されたマイクロコンピュータを備えており、ROMに格納された制御プログラムに従って、報知装置30による報知情報の報知処理を制御する。具体的には、報知制御装置40は、車両コントローラ10から受信した車速情報と、駐車制御装置20から受信した駐車制御装置20の動作状態とに基づいて、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
ここで、図2は、第1実施形態に係る駐車支援制御の報知処理を説明するための図である。以下においては、図2(A)を参照して、駐車支援制御の報知処理について説明する。
たとえば、本実施形態において、報知制御装置40は、まず、報知情報として、たとえば、「駐車支援開始ボタンを押して下さい。駐車支援制御を開始します。」との駐車制御装置20の操作方法を説明するための操作案内情報を報知装置30に報知させる。これに対して、たとえば、運転者がタッチパネル(入力装置22)に表示された駐車支援開始ボタンを押下し、あるいは、駐車支援制御を開始する旨の音声をマイク(入力装置22)に入力することで、図2(A)に示すように、時刻t1において、駐車制御装置20が起動され、駐車制御装置20による駐車支援制御が開始される。
そして、駐車支援制御が開始されると、報知制御装置40は、報知情報として、「目標駐車位置を設定して下さい。」との操作案内情報を報知装置30に報知させる。これに対して、たとえば、運転者がタッチパネル(入力装置22)により目標駐車位置を指示することで、図2(A)に示すように、時刻t2において、駐車制御装置20に目標駐車位置が設定される。
さらに、目標駐車位置の設定が完了すると、報知制御装置40は、報知情報として、「操舵制御開始ボタンを押して下さい。」との操作案内情報を報知装置30に報知させる。これに対して、運転者がタッチパネル(入力装置22)に表示された操舵制御開始ボタンを押下し、あるいは、操舵制御を開始する旨の音声をマイク(入力装置22)に入力することで、図2(A)に示すように、時刻t3において、駐車制御装置20により、自車両を目標駐車位置に移動するための操舵制御が開始される。
そして、時刻t3において、操舵制御が開始されると、駐車制御装置20は、自車両が自車両前方の中間位置まで移動するように、ステアリング装置21の操舵操作を行う。これにより、運転者はアクセルペダルを操作して自車両を前進させることで、時刻t4において、自車両を中間位置まで移動させることができる。
そして、自車両が中間位置まで移動すると、報知制御装置40は、報知情報として、「リバースレンジを選択して、後退自動転舵で目標駐車位置まで移動して下さい。」との操作案内情報を報知装置30に報知させ、これに対して、運転者がリバースレンジを選択し、さらにアクセルペダルの操作を行うことで、時刻t5において、自車両を後方の目標駐車位置まで移動させることができる。
さらに、報知制御装置40は、駐車制御装置20により駐車支援制御が実行されている場合には、図2(A)に示すように、操作案内情報に加えて、「周辺の安全を直接確認して下さい。」などの駐車操作において運転者の注意を喚起するための注意喚起情報を報知情報として報知装置30に報知させることができる。
すなわち、報知制御装置40は、駐車支援制御が実行されている場合には、操作案内情報と注意喚起情報とを含む複数の報知情報を、報知装置30に報知させることができる。しかしながら、たとえば、運転者が駐車支援制御を用いた駐車操作に慣れている場合には、運転者は駐車制御装置20をスムーズに操作し、自車両を目標駐車位置までスムーズに移動させることができるため、図2(B)に示すように、駐車支援制御を開始した時刻t11から駐車支援制御が終了する時刻t15までの時間が、駐車支援制御の駐車操作に不慣れな運転者(たとえば図2(A)に示す場合)と比べて短くなる傾向にある。このような場合に、操作案内情報と注意喚起情報とを含む複数の報知情報の全てを運転者に報知しようとしても、全ての報知情報を報知することができる時間が十分になく、一部の報知情報を全く報知できない場合や、一部の報知情報を必要なタイミングで報知できない場合があった。
そこで、本実施形態において、報知制御装置40は、自車両の車速情報に基づいて、運転者が駐車支援制御を用いた駐車操作に慣れている度合いを、システム熟練度として判断し、運転者のシステム熟練度と、予め設定されている報知情報の重要度とに基づいて、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
なお、報知情報の重要度は、適宜設定することができる。たとえば、本実施形態では、注意喚起情報の重要度が、操作案内情報の重要度よりも高く設定される。また、注意喚起情報が複数ある場合には、複数の注意喚起情報のそれぞれに異なる重要度を設定してもよいし、同様に、操作案内情報が複数ある場合には、複数の操作案内情報のそれぞれに異なる重要度を設定してもよい。なお、本実施形態では、報知制御装置40は、操作案内情報と注意喚起情報とを含む複数の報知情報の重要度を、報知制御装置40のROMに記憶している。
ここで、報知装置30に報知させる報知情報の決定方法について詳細に説明する。具体的には、報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された際(図2に示す時刻t1,t11)の自車両の車速に基づいて、駐車支援制御を開始した後であり、かつ、操舵制御を開始する前までの間(図2に示す時間T1,T11)に、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
具体的には、報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された際の自車両の車速が所定の第1速度よりも速い速度である場合には、運転者は駐車支援制御を用いた駐車操作に慣れており、システム熟練度が高いものと判断して、重要度の高い報知情報が優先的に報知されるように、報知装置30により報知する報知情報を決定する。なお、第1速度は、特に限定されず、たとえば、ゼロであってもよいし、あるいは、徐行に相当する速度であってもよい。
たとえば、運転者が、自車両が走行したままの状態で、目標駐車位置の周辺で、駐車支援制御を開始する旨の音声をマイク(入力装置22)に入力した場合において、その際の自車両の走行速度が第1速度よりも速い速度である場合には、図2(B)に示すように、報知制御装置40は、運転者のシステム熟練度は高いものと判断し、重要度の高い注意喚起情報を、報知装置30に報知させる報知情報として決定する。
また、報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された後も、駐車支援制御開始後の現在の自車両の車速が第1速度よりも速い速度であるか否かを繰り返し判断することで、報知装置30に報知させる報知情報を順次決定することができる。たとえば、図2(B)に示す例において、報知制御装置40は、時刻t11の後において、自車両の車速が第1速度よりも速い速度であるか否かを繰り返し、自車両の車速が第1速度よりも速い速度である場合には、重要度が高い順に報知情報を順次、報知装置30に報知させることができる。
これにより、運転者のシステム熟練度が高いために、報知情報を報知するための時間が十分にない場合でも、運転者が必要とする重要度の高い報知情報を適切なタイミングで報知することができる。また、報知制御装置40は、自車両の車速が所定の第1速度よりも速い速度である場合には、図2(B)に示すように、重要度の低い操作案内情報の報知を禁止し、重要度の高い注意喚起情報のみを報知装置30に報知させることもできる。この場合、システム熟練度の高い運転者に対して、駐車制御装置20の操作方法を説明するための操作案内情報の報知が行われないため、報知情報の報知による運転者の煩わしさを軽減することができる。
なお、図2(B)に示す例では、重要度の高い注意喚起情報のみを、報知装置30に報知させる報知情報として決定しているが、この構成に限定されず、たとえば重要度の高い注意喚起情報を報知した後に、時間に余裕がある場合には、重要度の低い操作案内情報を報知する構成としてもよい。
一方、報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された際の自車両の車速が所定の第1速度以下である場合には、運転者は駐車支援制御を用いた駐車操作に不慣れであり、システム熟練度が低いものと判断して、報知情報の重要度に拘わらず、報知情報がそれぞれ所定のタイミングで報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。たとえば、運転者が駐車支援制御を用いた駐車操作に不慣れであるために、運転者が目標駐車位置の周辺で自車両を一時停止して駐車制御装置20を操作し、駐車支援制御を開始した場合には、自車両の車速が第1速度以下であると判断され、図2(A)に示すように、報知制御装置40は、重要度の低い操作案内情報と、重要度の高い注意喚起情報とがそれぞれ所定のタイミングで報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
このように、運転者のシステム熟練度が低い場合には、図2(A)に示すように、報知情報を報知する時間に余裕があるため、報知情報の重要度に拘わらず、それぞれの報知情報を所定のタイミングで報知させるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定することで、それぞれの報知情報を適切なタイミングで報知することができる。
さらに、本実施形態において、報知制御装置40は、操舵制御が開始された際(図2に示す時刻t3,t13)の自車両の車速に基づいて、操舵制御が開始された後であり、かつ、駐車支援制御が終了するまでの間(図2に示す時間T2,T12)において、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
具体的には、報知制御装置40は、操舵制御が開始された際の自車両の車速が所定の第2速度よりも速い速度である場合には、運転者のシステム熟練度が高いものと判断して、重要度の高い報知情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。一方、報知制御装置40は、操舵制御が開始された際の自車両の車速が所定の第2速度以下である場合には、報知情報の重要度に拘わらず、報知情報がそれぞれ所定のタイミングで報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
なお、報知制御装置40は、操舵制御が開始された後も、操舵制御開始後の現在の自車両の車速が第2速度よりも速い速度であるか否かを繰り返し判断し、報知装置30に報知させる報知情報を順次決定することができる。たとえば、図2(B)に示す例において、報知制御装置40は、時刻t13の後において、自車両の車速が第1速度よりも速い速度であるか否かを繰り返し、自車両の車速が第1速度よりも速い速度である場合には、重要度が高い順に報知情報を順次、報知装置30に報知させることができる。
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る駐車支援制御の報知処理について説明する。図3は、第1実施形態に係る駐車支援制御の報知処理を示すフローチャートである。なお、図3に示す駐車支援制御の報知処理は、報知制御装置40により実行される。
ステップS101では、駐車支援制御が開始されたか否かの判断が行われる。たとえば、本実施形態においては、運転者がタッチパネル(入力装置22)に表示された駐車支援開始ボタンを押下し、あるいは、駐車支援制御を開始する旨の音声をマイク(入力装置22)に入力することで、図2(A)に示すように、駐車制御装置20の起動が行われ、駐車支援制御が開始されるとともに、車制御装置20から報知制御装置40に、駐車支援制御が開始された旨の情報が送信される。報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された旨の情報を駐車制御装置20から取得できた場合には、駐車支援制御が開始されたと判断することができる。駐車支援制御が開始されていないと判断された場合には、ステップS101で待機し、駐車支援制御が開始されたと判断された場合には、ステップS102に進む。
ステップS102では、報知制御装置40により、自車両の車速情報の取得が行われる。具体的には、報知制御装置40は、駐車支援制御が開始された際の自車両の車速情報を、車両コントローラ10から取得する。そして、ステップS103では、報知制御装置40により、ステップS102で取得した駐車支援制御開始時の自車両の車速情報に基づいて、報知装置30に報知させる報知情報の決定が行われる。
たとえば、図2(B)に示すように、駐車支援制御開始時(時刻t11)の自車両の車速が所定の第1速度よりも速い速度である場合には、報知制御装置40は、重要度の高い注意喚起情報が、重要度の低い操作案内情報よりも優先して報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。一方、たとえば、図2(A)に示すように、駐車支援制御開始時(時刻t1)の自車両の車速が第1速度以下である場合には、報知制御装置40は、報知情報の重要度に拘わらず、操作案内情報および注意喚起情報がそれぞれ所定のタイミングで報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。そして、ステップS104では、報知制御装置40により、ステップS103で決定された報知情報が、報知装置30を介して、運転者に報知される。
ステップS105では、自車両を目標駐車位置へと移動させるための操舵制御が開始されたか否かの判断が行われる。本実施形態では、目標駐車位置の設定後に、運転者がタッチパネル(入力装置22)に表示された操舵制御開始ボタンを押下し、あるいは、操舵制御を開始する旨の音声をマイク(入力装置22)に入力することで、駐車制御装置20による操舵制御が開始されるとともに、操舵制御が開始された旨の情報が、駐車制御装置20から報知制御装置40に送信される。報知制御装置40は、操舵制御が開始された旨の情報を駐車制御装置20から取得した場合に、操舵制御が開始されたと判断することができる。
ステップS105において、操舵制御が開始されていないと判断された場合には、ステップS102に戻り、駐車支援制御開始後の現在の車速情報が取得され、続くステップS103において、駐車支援制御開始後の現在の車速情報に基づいて、次に報知装置30に報知させる報知情報の決定が行われる。たとえば、図2(B)に示す例において、重要度の高い注意喚起情報が既に報知されている場合には、重要度の低い操作案内情報を、次に報知する報知情報として決定することができる。一方、操舵制御が開始されたと判断した場合には、ステップS106に進む。
ステップS106では、報知制御装置40により、自車両の車速情報の取得が行われる。具体的には、ステップS106において、報知制御装置40は、操舵制御の開始時の自車両の車速情報を取得する。そして、ステップS107では、報知制御装置40により、ステップS106で取得した操舵制御の開始時の自車両の車速情報に基づいて、報知装置30に報知させる報知情報の決定が行われる。そして、ステップS108では、報知制御装置40により、ステップS108で決定された報知情報が、報知装置30を介して、運転者に報知される。
ステップS109では、駐車支援制御が終了したか否かの判断が行われる。たとえば、報知制御装置40は、自車両が目標駐車位置まで移動した場合に、駐車支援制御が終了したと判断することができる。駐車支援制御が終了していないと判断された場合には、ステップS107に戻り、操舵制御開始後の現在の車速情報が取得され、続くステップS108において、操舵制御開始後の現在の車速情報に基づいて、次に報知を行う報知情報の決定が行われる。一方、駐車支援制御が終了したと判断された場合には、図3に示す駐車支援制御の報知処理を終了する。
以上のように、第1本実施形態では、駐車支援制御が実行されている場合に、自車両の車速情報に基づいて、運転者のシステム熟練度を判断することで、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。具体的には、自車両の車速が所定速度よりも速い場合には、運転者のシステム熟練度は高いものと判断し、図2(B)に示すように、重要度の高い報知情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。これにより、第1実施形態では、重要度の高い報知情報を適切なタイミングで報知することが可能となる。
すなわち、従来では、運転者のシステム熟練度が高いため、駐車支援制御において、運転者が自車両を目標駐車位置まで速い速度で移動させた場合に、報知情報を報知できる時間が短くなり、重要度の低い報知情報を先に報知してしまうと、重要度の高い報知情報が報知できなくなってしまうことや、重要度の高い報知情報を報知するタイミングが遅くなってしまう場合があった。これに対して、本実施形態では、自車両の車速が所定速度よりも速い場合には、重要度の高い報知情報が優先的に報知されるため、報知情報を報知するための時間が十分にない場合でも、運転者が必要とする重要度の高い報知情報を適切なタイミングで報知することができる。
特に、本実施形態では、注意喚起情報の重要度を操作案内情報の重要度よりも高く設定することで、報知情報を報知するための時間が十分にない場合でも、注意喚起情報を運転者に報知することができるため、自車両の駐車をより安全に支援することが可能となる。また、運転者のシステム熟練度が高い場合(所定値以上である場合)には、図2(B)に示すように、操作案内情報などの重要度の低い報知情報の報知を省略することができるため、これにより、報知情報の報知による運転者の煩わしさを軽減することもできる。
《第2実施形態》
次に、第2実施形態に係る駐車支援装置100について説明する。第2実施形態に係る駐車支援装置100は、第1実施形態に係る駐車支援装置100と同様の構成を有し、以下に説明する点以外は、第1実施形態に係る駐車支援装置100と同様の動作を行う。
第2次実施形態において、報知制御装置40は、運転者により目標駐車位置が設定されてから、運転者により操舵制御が開始されるまでの時間を、駐車準備時間としてカウントする。そして、報知制御装置40は、カウントした駐車準備時間に基づいて、運転者のシステム熟練度を判断することで、操舵制御の開始後において、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
具体的には、報知制御装置40は、駐車準備時間が所定時間以上である場合には、運転者は駐車支援制御を用いた駐車操作に不慣れであり、運転者のシステム熟練度は低いものと判断して、駐車制御装置20の操作方法を説明するための操作案内情報が優先的に報知されるように、報知装置30により報知する報知情報を決定する。たとえば、図4(A)に示す例において、報知制御装置40は、運転者により目標駐車位置が設定された時刻t22から、運転者により操舵制御が開始される時刻t23までの時間を、駐車準備時間としてカウントする。図4(A)に示す例では、駐車準備時間が所定時間以上であるため、報知制御装置40は、運転者のシステム熟練度は低いものと判断し、操作案内情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。なお、上記所定時間は、特に限定されず、適宜設定することができる。
一方、報知制御装置40は、駐車準備時間が所定時間未満である場合には、運転者は駐車支援制御を用いた駐車操作に慣れており、運転者のシステム熟練度が高いものと判断して、重要度の高い報知情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。たとえば、図4(B)に示す例において、報知制御装置40は、運転者により目標駐車位置が設定された時刻t32から、運転者により操舵制御が開始される時刻t33までの時間を、駐車準備時間としてカウントする。図4(B)に示す例では、駐車準備時間が所定時間未満であるため、報知制御装置40は、運転者のシステム熟練度は高いものと判断し、重要度の高い注意喚起情報が重要度の低い操作案内情報よりも優先して報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る駐車支援制御の報知処理について説明する。図5は、第2実施形態に係る駐車支援制御の報知処理を示すフローチャートである。なお、図5に示す駐車支援制御の報知処理も、報知制御装置40により実行される。
ステップS201〜S204では、第1実施形態のステップS101〜S104と同様に処理が行われる。すなわち、駐車制御装置20の起動が行われ、駐車支援制御が開始された場合に(ステップS201=Yes)、駐車支援制御開始時の自車両の車速情報が取得され(ステップS202)、取得された駐車支援制御開始時の車速情報に基づいて、報知装置30に報知させる報知情報が決定される(ステップS203)。そして、決定された報知情報が、報知装置30を介して運転者に報知される(ステップS204)。
ステップS205では、目標駐車位置の設定が行われたか否かの判断が行われる。たとえば、図4(A)に示すように、運転者のシステム熟練度が低い場合には、報知制御装置40は、「目標駐車位置を設定して下さい。」との操作案内情報を、報知装置30に報知させる。これに対して、運転者がタッチパネル(入力装置22)で目標駐車位置を設定することで、図4(A)に示すように、目標駐車位置の設定が行われる。一方、図4(B)に示すように、運転者のシステム熟練度が高い場合には、重要度の高い注意喚起情報が優先して報知されるため、操作案内情報が報知されない場合もある。このような場合も、システム熟練度の高い運転者は、駐車制御装置20の操作に慣れているため、目標駐車位置を自発的に設定することで、目標駐車位置の設定が行われる。目標駐車位置の設定が行われていない場合には、ステップS203に戻り、駐車支援制御開始後の現在の車速情報の取得が行われ、続くステップS204において、駐車支援制御開始後の現在の車速情報に基づいて、次に報知装置30に報知させる報知情報の決定が行われる。一方、目標駐車位置の設定が行われている場合には、ステップS206に進む。
ステップS206では、図4(A),(B)に示すように、運転者により目標駐車位置が設定されてから、運転者により操舵制御が開始されるまでの時間が、駐車基準時間としてカウントされる。そして、ステップS207では、第1実施形態のステップS105と同様に、操舵制御が開始されたか否かの判断が行われる。操舵制御が開始されていない場合には、ステップS203に戻り、操舵制御が開始されるまで、次に報知装置30に報知させる報知情報の決定と、駐車準備時間のカウントとが繰り返し行われる。一方、操舵制御が開始されている場合には、ステップS208に進む。
ステップS208では、ステップS206でカウントされた駐車準備時間に基づいて、操舵制御の開始後に、報知装置30に報知させる報知情報の決定が行われる。たとえば、報知制御装置40は、図4(A)に示すように、駐車準備時間が所定時間以上である場合には、運転者のシステム熟練度が低いものと判断し、操作案内情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。一方、報知制御装置40は、駐車準備時間が所定時間未満である場合には、運転者のシステム熟練度が高いものと判断し、図4(B)に示すように、重要度の高い注意喚起情報が、重要度の低い操作案内情報よりも優先して報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。そして、続くステップS209では、報知制御装置40により、ステップS208で決定された報知情報が報知装置30を介して運転者に報知される。
ステップS210では、第1実施形態のステップ110と同様に、駐車支援制御が終了したか否かの判断が行われ、駐車支援制御が終了していないと判断された場合には、ステップS208に戻り、一方、駐車支援制御が終了したと判断された場合には、図5に示す駐車支援制御の報知処理を終了する。
以上のように、第2実施形態では、駐車支援制御が実行されている場合に、運転者により目標駐車位置が設定されてから、運転者により操舵制御が開始されるまでの時間を、駐車準備時間としてカウントする。そして、駐車準備時間に基づいて、運転者のシステム熟練度を判断することで、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。具体的には、駐車準備時間が所定時間以上である場合には、運転者のシステム熟練度が低いものと判断し、図4(A)に示すように、駐車制御装置20の操作方法を説明するための操作案内情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。これにより、運転者のシステム熟練度が低い場合には、駐車制御装置20の操作方法を説明するための操作案内情報が優先して報知されるため、システム熟練度の低い運転者に駐車制御装置20の操作方法を適切に案内することができる。
また、第2実施形態では、駐車支援制御が実行されている場合に、駐車準備時間が所定時間未満である場合には、運転者のシステム熟練度が高いものと判断し、図4(B)に示すように、重要度の高い注意喚起情報が、重要度の低い操作案内情報よりも優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する。これにより、運転者のシステム熟練度が高いため、報知情報を報知する時間が十分にない場合でも、重要度の高い報知情報を適切なタイミングで報知することができる。また、第2実施形態においては、図4(B)に示すように、重要度の低い操作案内情報の報知を禁止して、重要度の高い注意喚起情報のみを報知装置30に報知させることができ、この場合、報知情報の報知による運転者の煩わしさを軽減することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した第1実施形態では、自車両の車速が所定速度以下である場合に、報知情報の重要度に拘わらず、それぞれの報知情報が所定のタイミングで報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する構成を例示して説明したが、この構成に限定されず、たとえば、自車両の車速が所定速度以下である場合に、駐車制御装置20の操作方法を運転者に説明する操作案内情報が優先的に報知されるように、報知装置30に報知させる報知情報を決定する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、駐車操作に関する報知情報をディスプレイに表示し、あるいはスピーカーにより音声で出力することで、報知情報を運転者に報知する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、駐車制御装置20の操作ボタンにそれぞれ対応しており、運転者が操作すべき操作ボタンを運転者に知らせることができる点灯ランプを点灯することで、あるいは、運転者に注意喚起を行う警告ランプを点灯することで、駐車操作に関する報知情報を運転者に報知する構成としてもよい。さらに、運転者が着座するシートを振動させ、あるいは、運転者が握っているハンドルを振動させることで、駐車操作に関する報知情報を運転者に報知する構成としてもよい。
なお、上述した実施形態の報知制御装置40は本発明の取得手段および報知制御手段に、報知装置30は本発明の報知手段に、それぞれ相当する。