JP2015060113A - ホログラム積層体 - Google Patents

ホログラム積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015060113A
JP2015060113A JP2013194397A JP2013194397A JP2015060113A JP 2015060113 A JP2015060113 A JP 2015060113A JP 2013194397 A JP2013194397 A JP 2013194397A JP 2013194397 A JP2013194397 A JP 2013194397A JP 2015060113 A JP2015060113 A JP 2015060113A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hologram
layer
transparent
printing
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013194397A
Other languages
English (en)
Inventor
北村 満
Mitsuru Kitamura
満 北村
壮周 渡部
Takechika Watabe
壮周 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013194397A priority Critical patent/JP2015060113A/ja
Publication of JP2015060113A publication Critical patent/JP2015060113A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、点光源の有無に応じて多彩な意匠性を有するホログラム積層体を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するホログラム層と、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置された透明印刷層と、を少なくとも備えることを特徴とするホログラム積層体を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、点光源の有無に応じて多彩な意匠性を有するホログラム積層体に関する。
ホログラムとは、波長の等しい二つの光(物体光および参照光)を干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録したものである。このホログラムに元の参照光と同一条件の光を当てると干渉縞による回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できる。中でも透過型ホログラムは、点光源からの光照射により入射光が所定のイメージへ変換されて光像として発現するという特異な性質を有することから、新たな用途展開が検討されている。
例えば、特許文献1では、メガネフレームにレンズとして二枚の透過型ホログラムを付したメガネを用い、上記メガネを介して点光源を見つめることで所定の映像を見ることができるというホログラム観察具としての用途が開示されている。また、特許文献2では、透過型ホログラム領域および当該領域以外の非ホログラム領域からなるイメージ変換層を透明基材上に備えるホログラム観察シートを、所望の部材と貼り合せることにより、例えば広告宣伝媒体や装飾用部材等の表示体としての用途が開示されている。
透過型ホログラムは、例えば、以下の方法に従い形成することができる。まず、表示させる原画の画像データをもとに、計算によりフーリエ変換像を形成する。次に、上記フーリエ変換像のデータを二値以上に多値化したものを電子線描画用データへ変換し、上記電子線描画用データを希望の範囲まで配列させる。例えば、電子線描画用データを縦、横方向に各10個ずつ配列させる。配列した電子線描画用データをもとに電子線描画装置で透過型ホログラム原版を作成する。透過型ホログラム原版はその表面に、フーリエ変換像に対応した凹凸パターンを有しており、PET等の基材上の紫外線硬化樹脂等に当該原版を用いて転写することにより、表面に凹凸形状を有する目的とする透過型ホログラムが得られる。
上述の方法より形成される透過型ホログラムは、点光源から光が照射されると、表面の凹凸形状において入射光が変換され、原画の情報を光像として発現することができる。
特開2007−011156号公報 特開2007−041545号公報
しかし、透過型ホログラムが面光源や線光源から光の照射を受ける場合、入射した面光源や線光源からの光全体が変換される結果、上述の様な入射光の変換が面光源や線光源全体に渡って起こる。このとき本来は単一像として発現されるべき光像が面光源や線光源の形に沿って重畳してしまうため、原画の情報を光像として発現することができない。つまり、点光源のない場所において上記透過型ホログラムを備えた表示体等を用いる場合、透過型ホログラム上に光像が発現されないため、観察者は上記光像の情報を認識することができない。
また、上記光像を発現させるためには、透過型ホログラムに高い光透過性が求められる。そのため、透過型ホログラムにおいて発現される光像と異なり且つ点光源を必要とせずに表示可能な意匠等を付する場合、通常、透過型ホログラムと重ならない領域に印刷層等として設ける必要がある。つまり、透過型ホログラム上においては、点光源からの光照射により発現される光像しか表示することができない。
このように、点光源からの光照射を受けない場合、透過型ホログラムは意匠性に乏しいものであるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、点光源の有無に応じて多彩な意匠性を有するホログラム積層体を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するホログラム層と、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置された透明印刷層と、を少なくとも備えることを特徴とするホログラム積層体を提供する。
本発明によれば、ホログラム層における透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように透明印刷層が配置されることにより、点光源からの光照射が無いときは、透明印刷層の印刷情報のみを表示することができ、一方、点光源からの光照射を受けるときは、透過型フーリエ変換ホログラム領域において光像の情報が発現するため、上記光像と透明印刷層の印刷情報とを同時に表示することが可能となる。このように、点光源の有無により多彩な意匠性を有するホログラム積層体とすることができる。
上記発明においては、上記ホログラム層の、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、透明基材を有することが好ましい。透明基材を有することにより、本発明のホログラム積層体の熱的または機械的強度を高めることができるからである。
上記発明においては、上記ホログラム層の、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域における上記凹凸形状を有する面と反対の面側に、接着層を有することが好ましい。接着層を有することにより、本発明のホログラム積層体を、例えば窓ガラス等の所望の部材と貼り合せて広告宣伝媒体や装飾用部材として用いることが可能となるからである。
本発明によれば、ホログラム層における透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように透明印刷層が配置されることにより、点光源の有無に応じて多彩な意匠性を有するホログラム積層体とすることができるという効果を奏する。
本発明のホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。 点光源の有無による本発明のホログラム積層体の表示態様の例を説明するための説明図である。 本発明におけるホログラム領域を説明するための説明図である。 本発明のホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。 本発明のホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。 実施例におけるホログラム層形成工程を説明するための工程図である。
以下、本発明のホログラム積層体について詳細に説明する。なお、以下の説明において、ホログラム層上の透過型フーリエ変換ホログラム領域のことをホログラム領域と称する場合がある。
本発明のホログラム積層体は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するホログラム層と、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置された透明印刷層と、を少なくとも備えることを特徴とするものである。
本発明のホログラム積層体について、図を参照して説明する。図1は本発明のホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。図1で示されるように、本発明のホログラム積層体10は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域(ホログラム領域)1aを少なくとも有するホログラム層1と、上記ホログラム領域1aの少なくとも一部と重なるように配置された透明印刷層2と、を少なくとも備えるものである。上記ホログラム領域1aは表面に、光像を発現させるための凹凸形状を有している。なお、図1で示されるホログラム積層体10のホログラム層1は、ホログラム領域1aの他に、上述した凹凸形状を有しない領域(以下、非ホログラム領域と称する場合がある。)1bを有するものとする。
図2は、点光源の有無による本発明のホログラム積層体の表示態様の例を説明するための説明図であり、図2(a)は棒状の蛍光灯等の線光源からの受光によるホログラム積層体の表示態様、図2(b)はLED光源等の点光源からの受光によるホログラム積層体の表示態様を例示したものである。図2におけるホログラム積層体10は、透明印刷層2がホログラム領域1aの全体と重なるように配置されており、上記ホログラム領域1aは原画として十字状の絵柄をもとに形成されたものとする。
図2(a)に示すように、観察者20が線光源Aからの光照射を受けた本発明のホログラム積層体10を観察すると、ホログラム領域1aにおいては、当該領域と重なる透明印刷層2に描画された印刷情報Xを視認できる。このとき、ホログラム領域1aにおいては入射光の変換が線光源全体に起こることから、十字状の光像が線光源の形状に沿うように重畳される結果、非光像Zとなる。このため、ホログラム領域1a上には光像が発現されず、観察者20は十字状の光像を視認することができない。
一方、図2(b)に示すように、観察者20が点光源Bからの光照射を受けた本発明のホログラム積層体10を観察すると、入射光の変換により発現する十字状の光像Yと透明印刷層2に描画された印刷情報Xとを同時に視認することができる。
本発明によれば、ホログラム層におけるホログラム領域の少なくとも一部と重なるように透明印刷層が配置されることにより、点光源からの光照射が無いときは、透明印刷層に描かれた印刷情報のみを表示することができ、一方、点光源からの光照射を受けるときは、ホログラム領域において発現される光像と透明印刷層の印刷情報とを同時に表示することが可能となる。このように、点光源の有無により多彩な意匠性を有するホログラム積層体とすることができる。
本発明のホログラム積層体は、ホログラム層および透明印刷層を少なくとも有するものである。
以下、本発明のホログラム積層体の各部材について説明する。
1.透明印刷層
まず、本発明における透明印刷層について説明する。本発明における透明印刷層は、透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置されたものである。
ここで、透明印刷層における「透明」とは、「半透明」を含むものであるが、上記透明印刷層が点光源からの光を透過させることが可能な透明性を有することをいう。中でも、上記ホログラム領域上に発現される光像と透明印刷層の印刷情報とを明瞭に表示できる透明性を有することが好ましい。
具体的には、上記透明印刷層の可視光領域における全光線透過率が10%〜90%の範囲内であるものが好ましく、中でも30%〜80%の範囲内であるものが好ましく、特に50%〜70%の範囲内であるものが好ましい。透明印刷層の全光線透過率が上記範囲よりも高いと、透明印刷層の印刷情報が視認されにくくなる場合があり、一方、上記範囲よりも低いと、ホログラム領域上に発現される光像が視認されにくくなる場合がある。なお、上記全光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定した値とする。
また、上記透明印刷層の可視光領域における分光透過率の最大値を示す波長での透過率が20%以上であるものが好ましく、中でも40%以上であるものが好ましく、特に60%以上であるものが好ましい。ホログラム領域上に発現される光像が視認されやすくなるからである。なお、上記分光透過率はJIS R 3106:1998(板ガラス類の透過率、反射率、放射率、日射熱取得率の試験方法 第4章)に従い測定した値である。
また、上記透明印刷層のヘイズ値としては、30%以下であることが好ましく、中でも20%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましい。透明印刷層のヘイズ値が上記範囲よりも大きいと、点光源の光の透過が阻害されてホログラム領域上において光像が視認されにくい場合がある。なお、上記透明印刷層のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定した値とする。
上記透明印刷層は、上述の光学特性を有することが可能なインク(以下、透明インクと称する場合がある。)により構成されるものである。上記透明インクとしては、所望の光学特性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、無色透明のニスまたはインクワニス、透明メジューム等に上述の光学特性を示すことが可能な量の着色剤を添加させた、透明有彩色のインク等を挙げることができる。中でも、透明インクが透明メジュームに適量の着色剤を添加させたものであることが好ましい。また、上記透明インクの種類としては、紫外線硬化型、酸化重合型、浸透型、過熱乾燥型、蒸発乾燥型等、インクの組成に応じて適宜選択される。
上記透明メジュームとしては、通常、印刷用インクに使用される樹脂等を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、このような透明メジュームの市販品としては、例えばセイコーアドバンス社製ACT800等がある。
上記着色剤としては、カラーフィルタ等の印刷用インクに用いられる公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。例えば、無機顔料および有機顔料等の顔料、酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料、および昇華性色素等の染料を挙げることができる。中でも本発明においては、透明性に優れていることから染料が好ましく、特に、油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、一般に油性インク等に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾ−ル系、メチン系、アゾメチン系、キサンチン系、オキサジン系、アゾおよびアゾ系誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体、スピロジピラン系、イソドリノスビロピラン系、フルオラン系、金属錯塩系等の各種油溶性染料を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
例えばカラーインデックスで示すと、イエロー染料としては、C.I.ディスパースイエロー7、3、23、51、54、60、79、141;C.I.ソルベントイエロー2、6、14、15、16、19、21、29、61、66、80、105等が挙げられる。マゼンダ染料としては、C.I.ディスパースレッド1、59、60、73、135、146、167;C.I.ソルベントレッド3、8、18、19、23、24、25、49、81、82、83、84、109、121、132、135、143、146、182等が挙げられる。シアン染料としては、C.I.デイスパースブルー14、19、24、26、56、72、87、154、165、287、301、334、359;C.I.ソルベントブルー11、12、25、35、36、49、50、55、63、70、73、97、105、111等が挙げられる。なお、上述した色およびカラーインデックス以外の油溶性染料を用いてもよい。 上述した油溶性染料の市販品として、例えば保土谷化学工業社製Aizen SpilonシリーズのYellow GRLH special、Yellow 3RH special、Orange GRH conc.special、Orange 2RH special、Red GEH、Red GEH special、Red GFH special、Red GRLH special、Red BEH special、Violet RH special、Blue GNH、Blue 2BNH、Green 3GNH special、Black RLH special、Black BH special、Black MH special等が挙げられる。
また、上記着色剤として油溶性染料を使用する際、透明印刷層の光学特性に影響しない範囲の量であれば水溶性染料、分散染料等の他の染料、顔料等の他の着色剤を併用することもできる。
上記透明インクにおける着色剤の添加量としては、透明印刷層が上述の光学特性を有することが可能な量であればよく、例えば、透明メジューム100重量部に対して1重量部以下であることが好ましく、中でも0.01重量部〜0.5重量部の範囲内、特に0.02重量部〜0.2重量部の範囲内であることが好ましい。透明インクにおける着色剤の添加量が上記範囲よりも多いと、透明印刷層が所望の光学特性を有することができず、点光源の光の透過が阻害されてホログラム領域上において光像が視認されにくい場合がある。
上記透明インクは、光重合開始剤、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、消泡剤等の各種添加剤を含むものであってもよい。なお、上記添加剤は、予め透明メジューム等に含有されたものであってもよく、別途添加されたものであってもよい。
また、車両等の難燃性が求められる用途においても本発明のホログラム積層体を用いることができるという点から、上記透明インクは難燃剤を含むものであってもよい。難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属塩系難燃剤、水酸化物系難燃剤、アンチモン系難燃剤等の無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤等の任意の難燃剤を用いることができる。なお、上記透明印刷層における難燃剤の含有量としては、透明印刷層が上述した光学特性を損なわない量であればよく、適宜設定することができる。
上記透明印刷層の膜厚としては特に限定されず、例えば0.1μm〜50μm程度とすることができる。
上記透明印刷層は、意匠性を有するものであるが、中でも、ホログラム層のホログラム領域において発現される光像とは異なる印刷情報を有することが好ましい。上記透明印刷層における印刷情報としては、特に限定されるものではなく、例えば、文字、記号、マーク、イラスト、キャラクター等の絵柄、会社名、商品名、セールスポイント、キャッチコピー、取扱い説明等の各種文字情報を挙げることができる。
本発明における透明印刷層は、ホログラム層のホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置されるものであればよく、その数は1つであってもよく、複数あってもよい。透明印刷層が複数あるとき、各透明印刷層における印刷情報は同一であってもよく、異なる情報であってもよい。また、上記ホログラム領域の全面と重なるようにして配置されていてもよく、さらに、ホログラム層の全面に配置されていてもよい。
上記透明印刷層の配置位置としては、ホログラム領域における凹凸形状面側であってもよく、凹凸形状を有する面と反対の面側であってもよいが、凹凸形状を有する面と反対の面側に配置されることが好ましい。凹凸形状面に透明印刷層を設けると、凹凸形状により生じる屈折率差が変化してしまい、点光源からの光照射に対してホログラム領域において光像を発現できなくなる場合がある。なお、凹凸形状面に透明印刷層を設ける場合は、ホログラム領域の屈折率差が変化しないように凹凸形状に追従させて上記透明印刷層を設けることが好ましい。
2.ホログラム層
次に、本発明におけるホログラム層について説明する。本発明におけるホログラム層は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するものである。
上記ホログラム層は、ホログラム領域の表面の凹凸形状の高低差により、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、すなわちフーリエ変換レンズとして機能するものである。このような機能により、任意の点光源から入射する光が所定の複数の方向に回折され所定のイメージが光像として形成されるものである。なお、上述の機能のことを「フーリエ変換レンズ機能」と称する場合がある。
ここで、本発明において、ホログラム領域の表面の凹凸形状とは、光像として表示させる原画の画像データをもとに形成される多値化されたフーリエ変換像を、縦横方向に所望の範囲まで複数個配列させたときの、フーリエ変換像のパターンに相当するものである。
また、本発明において、上記ホログラム領域とは、図3(a)で示されるように単一のホログラム領域1a(以下、単一ホログラム領域と称する場合がある。)からなるものであってもよく、図3(b)で示されるように単一ホログラム領域1aを複数配列させて拡大させたホログラム領域1a(以下、大判ホログラム領域と称する場合がある。)とすることもできる。なお図3中のYは、単一、または大判ホログラム領域においてそれぞれ発現される光像である。
本発明においては上記ホログラム領域が大判ホログラム領域であることが好ましい。本発明のホログラム形成層を広告宣伝媒体や装飾用部材等に用いる際に、大判ホログラム領域を有することにより光像を拡大表示させることができ、視認性の向上を図ることが可能となる。
上記ホログラム領域において、上述のフーリエ変換レンズ機能を発現できる点光源の波長としては特に限定されるものではなく、所望の波長を対象とすることができる。また、点光源の波長としては、一波長の単色光に限られず、多波長を含む光であってもよく、さらには白色光であってもよい。
上記ホログラム層を構成する材料としては、ホログラム領域において上述したフーリエ変換レンズ機能を発現するための凹凸形状を形成でき、かつ、所定の屈折率を示すものであれば特に限定されない。ホログラム層の材料が示す屈折率としては、特に限定されるもではなく、本発明のホログラム積層体の用途に応じて適宜設定が可能である。
また、上記屈折率の基準となる波長も特に限定されず、400nm〜750nmの範囲内から適宜選択すればよい。中でも本発明においては、波長555nmにおける屈折率が1.3〜2.0の範囲内であることが好ましく、特に1.33〜1.8の範囲内であることが好ましい。ここで、上記屈折率は分光エリプソメーターにより測定することができる。
上記ホログラム層の材料としては、従来からレリーフ型ホログラム等の形成に使用されている樹脂材料、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電離放射線硬化樹脂等を用いることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独重合体であっても2種以上の構成成分からなる共重合体であってもよい。また、これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、各種イソシアネート化合物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の有機過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱あるいは紫外線硬化剤を含んでいてもよい。
また、上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等が挙げられ、中でもウレタン変性アクリレート樹脂が好ましく、特に特開2007−017643号公報で示される化学式で表わされるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂を硬化させる際には、架橋構造、粘度の調整等を目的として、単官能または多官能のモノマー、オリゴマー等を併用することができる。上記単官能モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、2官能以上のモノマーとしては、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(例えば、エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等の)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、ホスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、紫外線、電子線硬化性である種々のモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
更に詳しくは、2官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。4官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、ホスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、また、20を超える場合には柔軟性が低下する傾向があるため、特に官能基数が3〜20の範囲内のものが好ましい。
上記のような単官能または多官能のモノマー、オリゴマーの含有量としては適宜調整することができるが、通常、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して50重量部以下とすることが好ましく、中でも0.5重量部〜20重量部の範囲内が好ましい。
また、上記ホログラム層は必要に応じて、光重合開始剤、重合禁止剤、劣化防止剤、可塑剤、滑剤、染料や顔料などの着色剤、増量やブロッキング防止などの体質顔料や樹脂などの充填剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を、適宜加えてもよい。
上記ホログラム層の膜厚としては、上記ホログラム層が自己支持性を有する場合、0.05mm〜5mmの範囲内が好ましく、中でも0.1mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。一方、上記ホログラム層が自己支持性を有さず、後述する透明基材上に形成される場合は、ホログラム層の膜厚としては、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、中でも2μm〜20μmの範囲内とすることが好ましい。
また、ホログラム層の大きさ等については、本発明のホログラム積層体の用途に応じて適宜設定することができる。
本発明におけるホログラム層は、ホログラム領域を少なくとも有するものであるが、上記ホログラム領域の他に、凹凸形状が形成されていない領域(非ホログラム領域)を有してもよい。非ホログラム領域において、透明印刷層等の点光源を必要としない別の意匠を付することができるからである。
上記ホログラム層において各領域が占める割合については、特に限定されるものでは無く、用途に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明におけるホログラム層は、通常、上述したようなホログラム領域の表面に凹凸形状が付された態様、すなわち表面位相型であるが、点光源から入射した光を所望の光像へ変換可能なホログラム領域を有するものであれば、他の態様であってもよい。他の態様としては、例えば、上記ホログラム領域に相当するホログラム層内部に屈折率分布を有する内部位相型、上記ホログラム領域に透過率分布を有する振幅型等が挙げられる。
3.任意の部材
本発明のホログラム積層体は、上述したホログラム層および透明印刷層の他に、任意の部材を有していてもよい。
以下、本発明において想定される任意の部材について説明する。
(1)透明基材
本発明のホログラム積層体は、上記ホログラム層の、上記ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、透明基材を有するものであってもよい。透明基材を有することにより、本発明のホログラム積層体の熱的または機械的強度を高めることができるからである。
ここで、「ホログラム層の、上記ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、透明基材を有する」とは、上記ホログラム層上に直接透明基材を有する態様であってもよく、ホログラム層上の別の層を介して透明基材を有する態様であってもよい。すなわち、図4(a)で示されるように、ホログラム層1と上記透明印刷層2との層間に直接透明基材3を有していてもよく、図4(b)で示されるように、ホログラム層1の透明印刷層2を有する面上に透明基材3を有していてもよい。なお、図4(b)の場合、ホログラム層1および透明印刷層2と透明基材3との間に接着剤を介していてもよい。接着剤の組成については、後述する「(2)接着層」の項で説明する材料と同様とすることができる。
また、図示しないが、透明印刷層がホログラム領域の凹凸形状面上に位置する場合は、ホログラム層の透明印刷層を有する面と反対の面上に透明基材を有していてもよい。
上記透明基材は、可視光領域における透過率(以下、光透過率とする場合がある。)が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることがより好ましい。透明基材の光透過率を上述の範囲内とすることにより、透明印刷層およびホログラム層まで光を十分に透過させることができ、上記ホログラム領域において発現する光像および透明印刷層の印刷情報が視認しやすくなるからである。なお、上記透明基材の光透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定した値とする。
また、上記透明基材はヘイズ値が低いものほど好ましく、具体的にはヘイズ値が0.01%〜5%の範囲内であるものが好ましく、中でも0.01%〜3%の範囲内であるものが好ましく、特に0.01%〜1.5%の範囲内であるものが好ましい。透明基材のヘイズ値を上記範囲内とすることにより、視認性を阻害することなくホログラム領域において発現する光像、および透明印刷層における印刷情報の表示が可能となるからである。なお、上記透明基材のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定した値とする。
上記透明基材の材料としては、上述の光透過率およびヘイズ値を示すものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂等の樹脂フイルム、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等のガラスを用いることができる。中でも、上記透明基材としては、軽量且つ破損等の危険性が少ないという点から、樹脂フイルムを用いることが好ましく、複屈折性の面からポリカーボネートが最適である。
上記透明基材は、難燃剤を含んでいてもよい。車両等の難燃性が求められる用途においても本発明のホログラム積層体を用いることができるからである。上記難燃剤の種類については、上述した「1.透明印刷層」の項で説明した材料と同じため、ここでの記載は省略する。なお、難燃剤の添加量については、上記透明基材が所望の光透過性およびヘイズ値を示すことが可能な量であればよく、適宜設定することができる。
また上記透明基材は、紫外線吸収剤、熱線吸収剤等を含むものであってもよい。紫外線および熱線等が当たることによりホログラム層の劣化が生じることを抑制するとともに、本発明のホログラム積層体を紫外線吸収フィルタや、熱線カットフィルタ等として用いることができるからである。
上記透明基材の膜厚としては、ホログラム層等を支持するための剛性および強度を有することが可能な厚さであればよく、例えば0.005mm〜5mm程度であることが好ましく、中でも0.02mm〜1mmの範囲内であることが好ましい。また、上記透明基材の形状については特に限定されるものではなく、本発明のホログラム積層体の使用形態に応じて適宜選択することができる。
上記透明基材は、他の層との密着性を向上させるために、例えば表面にコロナ処理等が行われていてもよい。
(2)接着層
本発明のホログラム積層体は、上記ホログラム層の、上記ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、接着層を有していてもよい。接着層を有することにより、上記ホログラム積層体を、例えば窓ガラス等の所望の部材と貼り合せて広告宣伝媒体や装飾用部材として用いることが可能となるからである。
ここで、「上記ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、接着層を有する」とは、図5(a)で示すように、上記ホログラム層1の上記透明印刷層2が形成されている表面上に接着層4が形成されていてもよく、図5(b)で示すように、ホログラム層1が透明基材3上に形成されており、上記透明基材3の上記透明印刷層2が形成されている表面上に接着層4が形成されていてもよい。
また、図示しないが、透明印刷層がホログラム領域の凹凸形状面上に位置する場合は、ホログラム層の透明印刷層を有する面の反対の面上に接着層が形成されていてもよい。
上記接着層は透明性が高いことが好ましく、具体的には、可視光領域における透過率(光透過率)が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。接着層の光透過率を上述の範囲とすることにより、ホログラム領域において発現する光像、および透明印刷層における印刷情報の視認性が阻害されることなく、表示が可能となるからである。なお、上記接着層の光透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定した値とする。
また、上記接着層はヘイズ値が低いことが好ましく、具体的にはヘイズ値が0.01%〜5%の範囲内であるものが好ましく、中でも0.01%〜3%の範囲内であるものが好ましく、特に0.01%〜1.5%の範囲内であるものが好ましい。これにより、上記接着層を有する場合であっても、ホログラム領域において発現する光像、および透明印刷層における印刷情報の視認性が阻害されることなく、表示が可能となるからである。なお、上記接着層のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定した値とする。
上記接着層は、粘着性を有する粘着層であってもよく、密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であってもよい。上記接着層が粘着層である場合、本発明のホログラム積層体を所望の部材に強固に貼りあわせることができ、被着体からホログラム積層体が剥がれにくいものとすることが可能となる。
また、上記接着層が再剥離密着層である場合、再剥離密着層と被着体との間に空気が入らないよう密着させることにより、本発明のホログラム積層体を所望の部材に貼りあわせることができる。このような再剥離密着層は、被着体に粘着剤等による跡を残すことなく容易に密着および剥離を繰り返し行うことが可能であり、被着体へのダメージを抑えることができる。
上記接着層が粘着層である場合、上記粘着層に用いられる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ラテックス系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができる。中でもアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ラテックス系樹脂であることが好ましい。
また、上記接着層が再剥離密着層である場合、上記再剥離密着層に用いられる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等を挙げることができる。中でもアクリル系樹脂、シリコーン樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂は、被着体の表面に多少の凹凸がある場合であっても接着が可能であるからである。また、シリコーン樹脂は、密着および剥離を繰り返し行っても接着強度が低下しにくいからである。
また、上記接着層には必要に応じて紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含有されていてもよい。接着層中に紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含有されることにより、本発明のホログラム積層体が紫外線や赤外線の照射により劣化するのを防ぐことができる。
上記接着層に用いられる紫外線吸収剤としては、紫外領域の波長光を吸収可能なものであれば特に限定されるものではなく、具体的にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、液状紫外線吸収剤、高分子型紫外線吸収剤、アニオン系水溶性高分子紫外線吸収剤、カチオン系水溶性高分子紫外線吸収剤、ノニオン系水溶性高分子紫外線吸収剤等を挙げることができる。中でも、耐久性の観点からベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系の紫外線吸収剤が用いられることが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、単独または2種以上混合して用いることができる。また2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、高い紫外線吸収効果を奏することができる。
上記紫外線吸収剤の添加量としては、本発明のホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択されるが、通常、接着層の固形分中に0.1質量%〜20質量%程度含有されることが好ましく、中でも0.5質量%〜15質量%程度含有されることが好ましい。紫外線吸収剤の添加量が上記範囲よりも少ないと、紫外線の吸収効果が小さく上記ホログラム積層体が紫外線による劣化を生じる場合があり、一方、上記範囲よりも多いと、接着層が黄変したり、接着層の成膜性が低下する場合があるからである。
また、上記接着層に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外領域の波長光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではない。このような赤外線吸収剤としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤が挙げられる。これらの赤外線吸収剤は、単独または2種類以上混合して用いることができる。
上記赤外線吸収剤の添加量については、接着層に要求される赤外線吸収能によって適宜選択されるが、通常、接着層中の固形分中に0.1質量%〜20質量%程度、中でも0.5質量%〜15質量%程度含有されることが好ましい。
また、上記接着層は、車両等の難燃性が求められる用途においても本発明のホログラム積層体を用いることができるという点から、難燃剤を含んでいてもよい。上記難燃剤の種類については、上述した「1.透明印刷層」の項で説明した材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。なお、難燃剤の添加量については、上記接着層が所望の光透過性およびヘイズ値を有することができ、接着力が低下しない程度で適宜設定することができる。
さらに上記接着層は、必要に応じて粘着性付与剤、粘着性調整剤等の添加剤等を含んでいてもよい。
上記接着層の厚みとしては、本発明のホログラム積層体の種類や用途等に応じて適宜選択されるが、通常1μm〜500μmの範囲内とすることが好ましく、中でも2μm〜50μmの範囲内とすることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲内よりも大きいと、上述した光学特性を有することができず、ホログラム領域において発現する光像、および透明印刷層における印刷情報の表示の視認性が阻害される場合があるからである。
また、上記接着層が再剥離密着層である場合の剥離強度としては、被着体に対して、10g/25mm〜1000g/25mmの範囲内であることが好ましく、中でも50g/25mm〜500g/25mmの範囲内であることが好ましい。剥離強度が上記範囲に満たないと、ホログラム積層体が被着体から外力で簡単に剥離してしまうおそれがあるからである。また剥離強度が上記範囲をこえると、本発明のホログラム積層体を被着体から剥離する際に、被着体に再剥離密着層の一部が剥がれずに残ってしまう場合があるからである。
(3)印刷層
本発明のホログラム積層体は、印刷層を有していても良い。ここでいう「印刷層」とは、インク等を用いて情報が印刷された層であるが、上述した透明印刷層の示す光学特性を満たさないものをいう。
上記印刷層を有することにより、ホログラム層および透明印刷層の情報とは異なる情報を有することができ、本発明のホログラム積層体の意匠性を更に向上させることができる。
上記印刷層の材料としては、各種印刷方式により印刷可能な層であれば、特に限定されるものではなく、例えばポリカーボネート類、ポリエステル類、セルロース誘導体、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリプロピレン系類、ポリエチレン系類、スチレン系類等からなる層とすることができる。上記印刷層の形成方法としては、一般的な樹脂層の形成方法と同様の方法を用いることができる。
また、上記印刷層に用いられるインクとしては、通常、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の各種印刷法に用いられるインクを用いることができる。
上記印刷層は、ホログラム層におけるホログラム領域において発現される光像、および透明印刷層により表示される印刷情報とは異なる印刷情報を有することが好ましい。上記印刷層における印刷情報の例については、「1.透明印刷層」の項で説明したものと同様である。
上記印刷層の形成位置としては、透明基材上であってもよくホログラム層上であってもよい。また、上記印刷層は、ホログラム領域上に発現される光像および透明印刷層の印刷情報の視認性を阻害しないように、通常、ホログラム領域および透明印刷層と重ならない位置に形成されることが好ましいが、上記光像および印刷情報と重ならない位置であればホログラム領域内に形成されていてもよい。なお、ホログラム領域内に印刷層が形成されるとき、上記印刷層と重なる部分は非ホログラム領域となる。
(4)離型層
また、本発明のホログラム積層体は、上述した接着層上に離型層が配置されていてもよい。本発明のホログラム積層体を所望の被着体に貼り合せる直前に、離型層と接着層とを剥離して使用することが可能となる。これにより、接着層と被着体との間に異物が付着することを防止できる。
上記離型層としては、接着層を保護することができ、且つ上記接着層から容易に剥離することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。このような離型層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等からなる層とすることができる。
離型層の厚さは、本発明のホログラム積層体の種類や用途等に応じて適宜選択される。
また、上記離型層の接着層と接する側の面には、接着層との剥離操作を容易とするために、剥離処理が施されていることが好ましい。このような処理方法としては、例えばシリコーン処理、アルキッド処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
(5)任意の部材
さらに、本発明のホログラム積層体は、上記透明基材上や上記ホログラム層の非ホログラム領域上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等を有していてもよい。この様な層を有することにより、上記ホログラム積層体に紫外線吸収機能や赤外線吸収機能、反射防止機能等を付与することができ、本発明のホログラム積層体を各種フィルタ等としても用いることが可能となる。
なお、これらの紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等については、一般的に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
4.ホログラム積層体
本発明のホログラム積層体においては、ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように透明印刷層が配置されることにより、上記透明印刷層を波長フィルタとして機能させることも可能となる。これは、通常、点光源からの光照射によりホログラム領域上に発現する光像は、入射光が分光されることで虹色を呈するものであるが、上記ホログラム領域と透明印刷層とが重なることにより、上記透明印刷層の色を呈した光像を発現することができる。また、このとき発現する光像は、透明印刷層を介さずに発現される光像よりも輪郭が明瞭なものとなるため、より視認されやすいものとなる。
また、本発明のホログラム積層体においては、発現される光像の大きさが、表示される透明印刷層の印刷情報よりも小さいことが好ましい。中でも、表示される上記印刷情報内に上記光像が発現されることが好ましい。印刷情報と光像が組み合わさり、多彩な意匠性を有するホログラム積層体を提供できるからである。
本発明のホログラム積層体は、2種類以上の異なるホログラム領域を有するものであってもよい。例えば、異なる2種類の原画を用い、一方の原画のフーリエ変換像に対応する凹凸形状を有する第1のホログラム領域と、他方の原画のフーリエ変換像に対応する第2のホログラム領域とを有してもよい。このようなホログラム積層体においては、点光源からの光照射を受けることで、第1のホログラム領域の原画の情報に相当する光像と、第2のホログラム領域の原画の情報に相当する光像とを、点光源からの位置に合わせて別々に発現させることが可能となる。
5.製造方法
本発明のホログラム積層体の製造方法は、ホログラム領域を有するホログラム層上に、上記ホログラム領域の少なくとも一部と重なるようにして透明印刷層を形成できる方法であれば特に限定されない。
例えば、ホログラム領域を有するホログラム層を形成するホログラム層形成工程、および、ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように透明印刷層を形成する透明印刷層形成工程等を有することにより、本発明のホログラム積層体を製造することができる。
以下、各工程について説明する。
(1)ホログラム層形成工程
ホログラム層の形成方法としては、ホログラム領域を少なくとも有するホログラム層を形成することができる方法であれば特に限定されない。このようなホログラム層の形成方法としては、例えば、ホログラム層用マスター原版(以下、マスター原版と略する場合がある。)を用いる方法(第1実施形態および第2実施形態)、上記マスター原版を用いない方法(第3実施形態)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
以下、各実施形態について説明する。
(a)第1実施形態
ホログラム層形成工程の第1実施形態は、マスター原版からスタンパーを形成し、上記スタンパーを用いてホログラム層を形成するものである。
(i)ホログラム層用マスター原版の準備
マスター原版の準備方法としては、特に限定されないが、例えば以下に説明する方法により製造することができる。
まず、ホログラム層のホログラム領域に描く原画を作成し、原画のフーリエ変換像を計算機でFFT等の計算により作成する。このときフーリエ変換像は二値以上に多値化したフーリエ変換像とする。次に、基板上に、クロム等の金属層およびフォトレジストを積層したものに電子ビーム描画露光やマスク露光等を施し、凹凸パターンの潜像をフォトレジストに形成し、上記フォトレジストの潜像をポジ現像する。次に、上記フォトレジストのパターンにあわせて1回目のウェットエッチングにより金属層をエッチングし、余分な金属を除去し、続いて1回目のドライエッチングにより基板を所定の深さにエッチングし除去し、残りのフォトレジストを剥離する。
次に、全面にフォトレジストを再度塗布し、電子ビーム描画露光やマスク露光等を施して現像する。続いて、フォトレジストのパターンにあわせて2回目のウェットエッチングにより金属層をエッチングし、2回目のドライエッチングにより基板をエッチングする。この際、1回目のエッチング量の半分の深さだけエッチングを行う。最後に残りのフォトレジストを剥離し残留する金属層を全て除去することでマスター原版を得ることができる。
(ii)ホログラム層の形成
本実施形態において用いられるスタンパーは、例えば、上記マスター原版に導電膜を蒸着しニッケルメッキ(電鋳)を行い、マスター原版を剥離することにより、形成することができる。
上記スタンパーを用いてホログラム層の材料からなる塗布膜に押圧スタンプを1回行い、上記スタンパーの凹凸パターンを転写することにより、単一ホログラム領域を形成することができる。このとき、透明基材上にホログラム層の材料を塗布し、押圧スタンプを行うことも可能である。また、1回目の押圧スタンプ後、スタンパーの幅だけ上記塗布膜を搬送して止め、新たに押圧スタンプを行い再度スタンパーの幅だけ上記塗布膜を搬送して止める作業を繰り返すことで、所望の大きさの大判ホログラム領域を有するホログラム層を形成することができる。
(b)第2実施形態
ホログラム層形成工程の第2実施形態は、マスター原版を用いてホログラム層用複製原版(以下、レプリカ版とする。)を形成し、上記レプリカ版をローラー状にしてホログラム層を形成するものである。
なお、マスター原版の準備方法については、上述した「(a)第1実施形態」と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本実施形態において用いられるレプリカ版は、例えば、上記マスター原版に紫外線硬化性樹脂を塗布し、その上にレプリカ版用基板を押し付けた状態で紫外線照射をして上記紫外線硬化性樹脂を硬化させ、マスター原版を剥離することにより形成することができる。上記レプリカ版用基板としてはPETフィルムまたはポリカーボネートフィルム等が好適である。
上記レプリカ版をエンボスローラーの周囲に隙間無く配置することにより、複数のレプリカ版を表面に有するエンボスローラーとすることができる。
得られた上記エンボスローラーおよびその下に設けた他のローラーによりホログラム層の材料を塗布した透明基材を挟持し、上記エンボスローラを回転させると、ホログラム層の材料からなる塗布膜上にレプリカ版の凹凸パターンが転写されながら搬送される。その後、搬送ラインの下流で紫外線照射により当該塗布膜を硬化することにより、所望の大きさの大判ホログラム領域を有するホログラム層を形成することができる。なお、上記レプリカ版をエンボスローラーの周囲に配置する際に一定の間隔を設けることにより、上述した手順と同様にしてホログラム形成層の材料からなる塗布膜上にパターン転写および紫外線照射による硬化を行った後、上記間隔毎に切断することにより、単一ホログラム領域を有するホログラム層を形成することもできる。
(c)第3実施形態
ホログラム層形成工程の第3実施形態は、マスター原版を使用せずホログラム層を形成する方法(ステップアンドリピート方法)である。
本実施形態は、まず、上述した「(a)第1実施形態 (i)ホログラム層用マスター原版の準備」と同様の方法でフーリエ変換像を作成する。次に、金属層およびフォトレジストが塗布された大型基板を準備し、上記大型基板に電子ビーム描画露光やマスク露光等を施し、凹凸パターンの潜像をフォトレジストに形成する。次いで、上記大型基板をフーリエ変換像の幅の寸法分搬送し止め、再度大型基板に電子ビーム描画露光やマスク露光等を施して凹凸パターンの潜像をフォトレジストに形成し、大型基板をフーリエ変換像の幅の寸法分搬送し止める。上記操作を繰り返し最後に現像を行う。
次に、上記大型基板に対し、上述した「(a)第1実施形態 (i)ホログラム層用マスター原版の準備」と同様の手順で、1回目のウェットエッチング、1回目のドライエッチング、2回目のウェットエッチング、および2回目のドライエッチングを行い、最後に残りのフォトレジストを剥離し、残留する金属層を全て除去することで、縦横方向に所望の数の単一ホログラム領域が隙間無く配置された大型原版が得られる。上記大型原版を用いて「(a)第1実施形態 (ii)ホログラム層の形成」で説明した方法と同様にして押圧スタンプを行うことにより、所望の大きさの大判ホログラム領域を有するホログラム層を形成することができる。なお、上記大型原版は、上述した第1実施形態および第2実施形態におけるマスター原版としても用いることが可能である。
(2)透明印刷層形成工程
透明印刷層の形成方法としては、ホログラム層のホログラム領域の少なくとも一部と重なるように形成することができれば特に限定されるものではない。例えば、ホログラム層上に、透明インクを各種方法により直接塗布して印刷する方法等が挙げられる。また、本発明のホログラム積層体が透明基材を有する場合は、上記透明基材上に別途、上記透明インクを各種方法により塗布して透明印刷層を形成し、上記透明基材の透明印刷層を有する面とホログラム層とを、接着剤等を介して貼り合せる方法等を用いることができる。
透明インクを用いて印刷する際、必要に応じて透明インクの各組成物を溶媒に溶解させて用いてもよい。上記溶媒としては、印刷方法に応じて適宜選択することができるが、例えば特開2008−173980号公報で開示される油性インクに用いられる高沸点溶媒や揮発性の高い溶媒を用いることが好ましい。
透明印刷層の形成に用いられる印刷方法としては、特に限定されないが、例えば、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷、孔版印刷の基本印刷法、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、タコ印刷、インクジェット印刷、転写印刷、静電印刷、紫外線(UV)硬化印刷、焼き付け印刷、水なしオフセット印刷等を用いることができる。
(3)その他の工程
本発明のホログラム積層体の製造方法としては、例えば、上述した工程の他に、上記ホログラム積層体の構成に応じて後述する任意の工程を有することができる。
(a)接着層形成工程
上記ホログラム層の、上記ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に接着層を形成する場合、その形成方法としては、所望の位置に接着層を形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、ホログラム層の透明印刷層が形成されている表面上、または、透明基材の透明印刷層が形成されている表面上に、上記接着層形成用塗工液を直接塗布する方法等が用いられる。また、別途剥離層上に上記接着層形成用塗工液を塗布して乾燥させ、接着層を形成した後、ホログラム層等の所望の位置に転写させてもよい。
上記接着層形成用塗工液は、上述した接着層の材料を有機溶剤に溶解させて調製することができる。接着層の材料としては、上述した「3.任意の部材 (2)接着層」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、上記接着層形成用塗工液に用いられる有機溶剤については、接着層の材料および塗布方法に応じて適宜選択することができる。
上記接着層形成用塗工液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法等を用いることができる。
(b)印刷層形成工程
ホログラム層や透明基材上等に印刷層を形成する場合、その形成方法としては、所望の情報を印刷することができれば特に限定されない。上記印刷層の形成に用いられる印刷方法としては、一般的な方法を用いることができ、例えば、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷、孔版印刷の基本印刷法、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、グラビアオフセット印刷、タコ印刷、インクジェット印刷、転写印刷、静電印刷、紫外線(UV)硬化印刷、焼き付け印刷、水なしオフセット印刷等が挙げられる。
(c)任意の工程
上述した各工程の他に、透明基材貼り合せ工程、紫外線吸収層形成工程、赤外線吸収層形成工程、反射防止層形成工程等を有していても良い。
6.用途
本発明のホログラム積層体の用途としては、特に限定されるものではないが、点光源の有無に応じたホログラム領域における表示変化を利用することが可能な用途に好適である。例えば、窓ガラス等に貼付けることにより、広告宣伝媒体や装飾用部材等として用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例]
(ホログラム層形成工程)
<ホログラム層用マスター原版(マスター原版)の準備>
まず、観察したい光像の原画21を作成した(図6(a))。原画は、パーソナルコンピューターの画像作成ソフトを用い、横256画素×縦256画素のビットマップ画像として作成した。次に、パーソナルコンピューターで上記原画21をフーリエ変換したフーリエ変換像データ22を作成した(図6(b))。このときフーリエ変換像データは位相値を四値にしたフーリエ変換像データとした。フーリエ変換像データの画素数は、原画像の画素数と同じ横256画素×縦256画素となった。
次に、上述した「5.製造方法」内の「(1)ホログラム層形成工程 (a)第1実施形態」の項において説明した方法に従い、電子ビーム描画露光およびエッチングによりマスター原版を作製した。この際、フーリエ変換像データの1画素の寸法を横5μm×縦5μmとしたため、フーリエ変換像の寸法は横1280μm×縦1280μmとなった。このフーリエ変換像を、横100個×縦100個形成することで、横128mm×縦128mmの大型のマスター原版23を得た(図6(c))。なお、マスター原版の基板には合成石英を用いた。
<ホログラム層用複製原版(レプリカ版)の形成>
「5.製造方法」内の「(1)ホログラム層形成工程 (b)第2実施形態」の項において説明した方法に従い、上記マスター原版23を用いてレプリカ版24を形成した(図6(d))。上記レプリカ版は、上述で得たマスター原版にウレタン変性アクリレート樹脂を塗布し、その上にレプリカ版用基板としてPETフィルムを押し付けた状態で紫外線照射をしてウレタン変性アクリレート樹脂を硬化させ、マスター原版を剥離することにより形成した。
上記レプリカ版24をエンボスローラーの周囲に幅方向(CD方向)5個×周方向(MD方向)5個となるように隙間無く配置することにより、25個のレプリカ版24を表面に有するエンボスローラー25とした(図6(e))。
<ホログラム層の形成>
上記エンボスローラーおよびその下に設けた他のローラーにより、ホログラム層の材料としてウレタン変性アクリレート樹脂を塗布したPETフィルム(透明基材)を挟持し、上記エンボスローラーを回転させ、上記紫外線硬化樹脂の塗布膜上にレプリカ版のパターンが転写されながら搬送され、その下流で紫外線照射により当該紫外線硬化樹脂を硬化させた。これにより、単一ホログラム領域がCD方向に5個、MD方向に8000個配置されてなる大判のホログラム領域1aを有するホログラム層1を形成することができた(図6(f))。
(透明印刷層形成工程)
上記ホログラム層が形成されたPETフィルムの、上記ホログラム層の形成面と反対の面に透明印刷層を形成した。上記透明印刷層は、透明メジューム(セイコーアドバンス社製 ACT800)100重量部に対し、着色染料(保土谷化学工業製 Aizen Spilon Blue 2BNH)0.05重量部を混ぜたものを透明インクとし、PETフィルム上にスクリーン印刷を行い、絵柄を形成した。
上記透明印刷層を含むPETフィルム上に、シリコーン樹脂から成る再剥離性密着層を設けてホログラム積層体を作製した。
[評価]
得られたホログラム積層体を窓ガラスに貼ったところ、観察者と上記窓ガラスを介して反対側に点光源がない場合には透明印刷層の絵柄を視認することができ、一方、点光源がある場合には、透明印刷層の絵柄の他に、透明印刷層を通してホログラム領域において点光源からの照射光が変換された光像が視認された。
1 … ホログラム層
1a … 透過型フーリエ変換ホログラム領域(ホログラム領域)
2 … 透明印刷層
10 … ホログラム積層体

Claims (3)

  1. 点光源から入射した光を所望の光像へ変換する透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するホログラム層と、
    前記透過型フーリエ変換ホログラム領域の少なくとも一部と重なるように配置された透明印刷層と、
    を少なくとも備えることを特徴とするホログラム積層体。
  2. 前記ホログラム層の、前記透過型フーリエ変換ホログラム領域における凹凸形状を有する面と反対の面側に、透明基材を有することを特徴とする請求項1に記載のホログラム積層体。
  3. 前記ホログラム層の、前記透過型フーリエ変換ホログラム領域における前記凹凸形状を有する面と反対の面側に、接着層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラム積層体。
JP2013194397A 2013-09-19 2013-09-19 ホログラム積層体 Pending JP2015060113A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013194397A JP2015060113A (ja) 2013-09-19 2013-09-19 ホログラム積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013194397A JP2015060113A (ja) 2013-09-19 2013-09-19 ホログラム積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015060113A true JP2015060113A (ja) 2015-03-30

Family

ID=52817680

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013194397A Pending JP2015060113A (ja) 2013-09-19 2013-09-19 ホログラム積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015060113A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016068091A1 (ja) * 2014-10-27 2016-05-06 大日本印刷株式会社 表示物
JP2017072693A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 大日本印刷株式会社 ホログラム構造体
JP2018173463A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 大日本印刷株式会社 ホログラム構造体
WO2019044932A1 (ja) * 2017-09-01 2019-03-07 株式会社長英 広告媒体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007015196A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Dainippon Printing Co Ltd ホログラム付透明カード、および、ホログラム付透明カード認識装置
JP2008105226A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Toppan Printing Co Ltd Ovd媒体及びovd媒体を含むカード状情報媒体
JP2010072384A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Dainippon Printing Co Ltd 回折格子記録媒体
JP2010084147A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Bayer Materialscience Ag ホログラフィック媒体を製造するためのポリエーテル系ポリウレタン組成物
JP2010191428A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Jds Uniphase Corp 可視回折格子パターンを有する耐久性洗濯可能ラベル
JP2012113128A (ja) * 2010-11-25 2012-06-14 Dainippon Printing Co Ltd ホログラムシート、ホロラムラベル及びホログラム転写シート

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007015196A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Dainippon Printing Co Ltd ホログラム付透明カード、および、ホログラム付透明カード認識装置
JP2008105226A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Toppan Printing Co Ltd Ovd媒体及びovd媒体を含むカード状情報媒体
JP2010072384A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Dainippon Printing Co Ltd 回折格子記録媒体
JP2010084147A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Bayer Materialscience Ag ホログラフィック媒体を製造するためのポリエーテル系ポリウレタン組成物
JP2010191428A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Jds Uniphase Corp 可視回折格子パターンを有する耐久性洗濯可能ラベル
JP2012113128A (ja) * 2010-11-25 2012-06-14 Dainippon Printing Co Ltd ホログラムシート、ホロラムラベル及びホログラム転写シート

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016068091A1 (ja) * 2014-10-27 2016-05-06 大日本印刷株式会社 表示物
JP2016085355A (ja) * 2014-10-27 2016-05-19 大日本印刷株式会社 表示物
US10359735B2 (en) 2014-10-27 2019-07-23 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Display article
JP2017072693A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 大日本印刷株式会社 ホログラム構造体
JP2018173463A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 大日本印刷株式会社 ホログラム構造体
JP2021177248A (ja) * 2017-03-31 2021-11-11 大日本印刷株式会社 ホログラム構造体
WO2019044932A1 (ja) * 2017-09-01 2019-03-07 株式会社長英 広告媒体
JP2019045692A (ja) * 2017-09-01 2019-03-22 株式会社長英 広告媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9694618B2 (en) Method for the production of a multilayer element, and multilayer element
CN108136811B (zh) 防伪结构体
JP2007015196A (ja) ホログラム付透明カード、および、ホログラム付透明カード認識装置
JP4821192B2 (ja) 計算機ホログラム光学素子
JP2015060113A (ja) ホログラム積層体
JP6743465B2 (ja) ホログラム構造体
JP2013222027A (ja) 表示体及びその製造方法
JP6686323B2 (ja) ホログラム構造体
US10675906B2 (en) Hologram structure
US10792949B2 (en) Information recording medium, label, card and method of authentication
JP2004101834A (ja) 画像表示媒体、及びその製造方法
JP2013195640A (ja) 光学素子とそれを備えた転写箔およびシール
JP2017129802A (ja) ホログラム構造体
JP4900150B2 (ja) 脆質ラベル及びその製造方法
JP4984657B2 (ja) ホログラム観察シート
US10780729B2 (en) Information recording medium and individual certificate medium
US7704576B2 (en) Thermal transfer sheet, process for producing the same, and image formed object produced by transfer of said thermal transfer sheet
JP5256718B2 (ja) 転写箔及び表示体付き物品
JP6686322B2 (ja) ホログラム構造体
JP2017072693A (ja) ホログラム構造体
JP6455076B2 (ja) ホログラム積層体および情報記録媒体
JP6939772B2 (ja) 回折構造形成体、回折構造形成体付き物品、および、回折構造形成体の製造方法
JP2020086058A (ja) 表示媒体、ならびに表示媒体の作成方法
JP2007015197A (ja) ホログラム観察カード

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170418

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170616

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170718

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171006

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20171016

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20171215