JP2015044738A - 無定形チタニアゾルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性が高く、経時的安定性が高いチタニアゾル及びその製造方法の提供。
【解決手段】有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含み、TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である塩基性無定形チタニアゾルの製造方法。無定形酸化チタン水和物を水の存在下、無定形チタニアゾルが生成するまで、50〜90℃の温度にて、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで処理し、TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾルを生成させる無定形チタニアゾルの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含み、TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である塩基性無定形チタニアゾルの製造方法。無定形酸化チタン水和物を水の存在下、無定形チタニアゾルが生成するまで、50〜90℃の温度にて、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで処理し、TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾルを生成させる無定形チタニアゾルの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、これまで知られているチタニアゾルよりも高い透明性を有する無定形チタニアゾルおよび該無定形チタニアゾルの製造方法に関する。
チタニアゾル(酸化チタンゾル)は、例えばレンズ、プリズム、ミラーのような光学エレメントの表面に高い屈折率を有する塗膜を形成するためのコーティング組成物に使用される。そのような高い透明性が求められる分野で使用するためには、アナタース形またはルチル形のような結晶性チタニアゾルよりも無定形(非晶質)チタニアゾルが高い透明性を有するため適している。
これまでの文献からいくつかのチタニアゾルの製造方法が知られている。例えば特公平2−62498号公報(特許文献1)および特公平2−62499公報(特許文献2)は、共にアナタース形酸化チタンゾルおよびその製造方法に関するが、その比較例として、四塩化チタン水溶液をアルカリで中和することにより析出させたゲルを水酸化ナトリウムの存在下95℃において48時間熱処理し、無定形酸化チタンゾルを得たことを報告している。しかしながら透明性を含むゾルの性質および製造条件の詳細は不明である。
特開平8−208228号(特許文献3)は、四塩化チタン、硫酸チタンのような水溶性チタン塩の水溶液にアルカリを添加して析出させた水酸化チタンを酸、特に塩酸、硝酸などの強酸で解膠することによって無定形チタニアゾルを製造している。得られるゾルは従って強酸性(pH1.0)であり、かつ酸性状態においてのみ安定である。従ってコーティング剤として使用する場合、ガラスやセラミック等の耐酸性基材への塗布に限られ、ゾルの透明性も満足ではなかった。
特開2007−320839号(特許文献4)は、成膜時において高い透明性が得られるアルカリ型酸化チタンゾルおよびその製造方法を開示する。ゾルは水溶性チタン塩をアルカリで加水分解して得られるチタン酸ゲルを水酸化4級アンモニウムの存在下で水熱処理することにより製造される。ゾルのヘイズ値は、TiO21%濃度において25%以下、実施例のゾルは同濃度で約10%である。このゾルを形成する酸化チタン粒子はアナタース形か、わずかにルチル形を含むアナターゼ形結晶からなっていると記載されている。
従って液性が中性ないし塩基性で、これまで知られたチタニアゾルよりも透明性がさらに高いチタニアゾルと、その製造法の提供が望まれる。
本発明者は、低い温度条件で水溶性チタン塩をアンモニアや水酸化ナトリウム等の塩基で中和することにより生成させた無定形(非晶質)酸化チタン水和物を原料とし、これに有機塩基を添加し、なるべく低い温度で解膠して得られるチタニアゾルが、これまで知られている結晶性チタニアゾルよりもさらに高い透明性を有するとの知見を得た。
この知見を基にして、本発明は、液性が塩基性であり、TiO2濃度が5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下であり、かつ乾燥粉末のX線回折スペクトルにおいてアナタース形およびルチル形のピークを示さない無定形チタニアゾルを提供する。本発明に従った無定形チタニアゾルは、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニムハイドロオキサイドを含む。
他の面において、本発明は、前記無定形チタニアゾルの製造方法を提供する。この方法は、無定形酸化チタン水和物の水分散液を、50℃より高く、かつ90℃以下の温度にて、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下であるテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで、無定形チタニアゾルが生成するまで処理することよりなる。
無定形酸化チタン水和物は、硫酸チタニル、四塩化チタン、オキシ塩化チタンのような水溶性チタン化合物をアンモニアや水酸化ナトリウム等の塩基で加水分解する方法、またはテトライソプロポキシチタンのようなテトラアルコキシチタンを加水分解する方法によっても製造することができる。
最初に本発明による無定形チタニアゾルの製造方法について説明する。
水溶性チタン化合物をアンモニアや水酸化ナトリウム等の塩基で加水分解して生成させた無定形酸化チタン水和物を原料とする本発明の無定形チタニアゾルの製造方法は、
a)水溶性チタン化合物の水溶液を温度40℃以下に保ちながら塩基を用いてpH8以上に調節し、無定形酸化チタン水和物の沈殿を生成させるステップ、
b)得られた沈殿から、ろ過等の公知の方法で不純物を取り除くステップ、および
c)不純物を取り除いた沈殿を水分散させ、そこへアルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで、分散液が無定形チタニアゾルに解膠されるまで処理するステップよりなる。
a)水溶性チタン化合物の水溶液を温度40℃以下に保ちながら塩基を用いてpH8以上に調節し、無定形酸化チタン水和物の沈殿を生成させるステップ、
b)得られた沈殿から、ろ過等の公知の方法で不純物を取り除くステップ、および
c)不純物を取り除いた沈殿を水分散させ、そこへアルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで、分散液が無定形チタニアゾルに解膠されるまで処理するステップよりなる。
無定形酸化チタン水和物は熱によりアナタース形酸化チタン水和物に転移し易い。そのためステップa)において、中和熱によって反応液の温度が40℃より高い温度へ上昇するのを防止するため、例えば反応液を冷却するなどの手段が必要となろう。
水溶性チタン化合物は限定しないが、一例として、硫酸チタニル、四塩化チタンおよびオキシ塩化チタン等がある。中和すべき水溶液中の水溶性チタン化合物の濃度は、TiO2として50〜100g/Lが適当である。ステップa)において用いる塩基については特に限定はなく、アンモニア水,水酸化ナトリウムさらにはアミンでもかまわない。
水溶性チタン化合物は限定しないが、一例として、硫酸チタニル、四塩化チタンおよびオキシ塩化チタン等がある。中和すべき水溶液中の水溶性チタン化合物の濃度は、TiO2として50〜100g/Lが適当である。ステップa)において用いる塩基については特に限定はなく、アンモニア水,水酸化ナトリウムさらにはアミンでもかまわない。
ステップb)における不純物除去の方法は特に限定しない。例えばイオン交換,限外ろ過,ろ過等があるが、通常は反応液をろ過し、得られる脱水ケーキを水で洗浄し、再びろ過して脱水する。1回の洗浄で中和によって副生した不純物の除去が不充分な場合は、ステップb)を繰り返して充分に不純物を除去する。
次のステップc)においては、無定形酸化チタン水和物よりなる脱水ケーキを水分散液の形で有機塩基にて解膠し、無定形チタニアゾルを生成させる。使用し得る有機塩基は、アルキル基の炭素数が5以下のモノ−,ジ−もしくはトリアルキルアミン、またはテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドである。それらの例は、1級アミンとしてn−プロピルアミン、t−ブチルアミン、2級アミンとしてジイソプロピルアミン、3級アミンとしてトリエチルアミン、4級アンモニウムハイドロオキサイドとしてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを挙げることができる。塩基として他の無機または有機塩基、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、モノ−,ジ−またはトリアルカノールアミンを用いると、透明な無定形チタニアゾルが得られない。
前記有機塩基の使用量は、生成させたチタニアゾルのpHが9以上、好ましくは10.0〜13.0の範囲になる量である。その量は、一般に無定形酸化チタン水和物に対し、20〜120重量%であるが、トリエチルアミン等のアミンを用いる場合は80〜120重量%が好ましく、また、有機塩基として4級アンモニウムハイドロオキサイドを用いる際には20〜60重量%、例えば40重量%でよく、特に厳密に定める必要はない。
これら有機塩基は、例えば無定形酸化チタン水和物のウェットケーキへ加え、純水を加えることによりTiO2として5〜30重量%の濃度へ希釈される。代って所要量の水へ有機塩基とウェットケーキを任意の順序で添加するか、または同時に添加して所望濃度のスラリーとすることができる。TiO2濃度が5%より低ければ、その後に作成するコーティング剤へのTiO2濃度が低くなり高屈折率な膜が作成しにくい。30%より大きければ解膠が不十分で透明性の低下や経時安定性が悪化する。
このように調製された前記有機塩基を含む無定形酸化チタン水和物のスラリーは、90℃以下、例えば60〜80℃の温度で2時間以上保持され、無定形チタニアゾルに解膠される。その際ペイントコンディショナーのようなミルを使って剪断力を加えることにより、解膠のための所要時間を短縮することができる。その後ゾルを室温で数日間放置し、熟成させるのが好ましい。ここでゾルがアナタース形に転移するのを防止するため温度を90℃より高く上げてはならない。また50℃以下では解膠が不十分で目的の透明性を得ることができない。ゾルの生成に使用したアミン等の有機塩基はそのままゾルに残留し、ゾルを塩基性に保ってその経時安定性を高めるのに寄与するものと考えられる。
前述したように、本発明の無定形チタニアゾル製造の原料となる無定形酸化チタン水和物は、テトライソプロポキシチタンのようなテトラアルコキシチタンの加水分解によって生成させることもできる。例えばテトライソプロポキシチタンのイソプロパノール懸濁液を攪拌下水に滴下し、加水分解によって生成した沈澱を濾過し、水洗し、脱水して製造することができる。このものは、これまで説明した水溶性チタン化合物をアンモニアや水酸化ナトリウム等の塩基により加水分解して得られる無定形酸化チタン水和物と全く同じ操作で無定形チタニアゾルに解膠することができる。
本発明は、液性が塩基性であり、TiO2として5%濃度において光路長10mmでヘイズ値が10%以下であり、かつ乾燥粉末のX線回折スペクトルにおいてアナタース形およびルチル形を含むいかなる結晶形のピークも観察されない無定形チタニアゾルにも関する。
無定形チタニアゾルのpHは存在する塩基の種類および濃度に依存し、一般にpH9以上、好ましくはpH10.0〜13.0の範囲内にある。
本発明のチタニアゾルが無定形チタニアゾルであることは、チタニアゾルを50℃で乾燥した粉末のX線回折スペクトルを測定した時において、2θ=25°のアナタース形の最強ピーク、2θ=27°のルチル形最強ピーク、およびその他の結晶形を示すピークが観察されない、すなわち該ピークで結晶子径が測定できないことによって証明される。
図1は、アナタース形およびルチル形酸化チタンゾル標準品と比較した、本発明の無定形チタニアゾル乾燥粉末のX線回折スペクトルチャートである。見られるように、本発明の無定形チタニアゾル乾燥粉末では、アナタース形、ルチル形および他の結晶構造を示すピークが全く観察されないのに対し、アナタース形およびルチル型酸化チタンのX線回折スペクトルにおいては、それぞれの最高ピークが2θ=25°および2θ=27°に明瞭に観察される。
本発明の無定形チタニアゾルは、TiO2として5wt%濃度において光路長10mmで10%以下のヘイズ値を示す。このため高い透明性が要求されるレンズ、プリズム、ミラーなどの光学エレメントのコーティング剤として有用である。さらに光学エレメントに直接配合しレンズの高屈折率化にも寄与できる。この場合、液性が塩基性のため、基材は耐酸性の基材に制限されない利益を有する。またゾルは、経時的に安定である。
本発明の無定形チタニアゾルは限外ろ過,エバポレーター法により溶媒置換でオルガノゾルとすることが可能である。特に有機溶媒に制約はないが水混和性の溶媒が好ましい。また水混和性の溶媒に置換した後非水系溶媒であるトルエン等に溶媒置換可能である。必要に応じて、有機ケイ素化合物、分散剤等を透明性、耐光性に悪影響を及ぼさないものであれば配合してもかまわない。
本発明は基材、特にレンズのような光学基材の表面に、高透明度および高屈折率を有する膜を形成するためのコーティング組成物を提供する。この組成物は、上に述べた本発明の無定形チタニアゾルと、バインダーあるいは樹脂とを含む。無定形チタニアゾルを含んでいるコーティング組成物のバインダーあるいは樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂のような熱硬化性または熱可塑性樹脂や下式で表される有機ケイ素化合物またはその部分加水分解物である。
(R)n−Si−X4−n
式中、Rは互いに同一または異なる有機官能基(好ましくは炭化水素基)、Xは加水分解基であり、nは0〜3、好ましくは1または2である。
本発明の無定形チタニアゾルを配合したコーティング組成物を用い、膜厚1〜3μm、屈折率が1.5〜1.8の塗膜を作成したとき、塗膜は未塗布品と大差ない透明性を示す。また、必要に応じて本コーティング組成物にレオロジーコントロール剤、有機ケイ素化合物等の添加剤を加えてもかまわない。本コーティング組成物を高屈折率光学基材と同じ屈折率に調整し、塗布した高屈折率光学基材は、干渉縞がなく透明性の高い光学基材が得られる。
(R)n−Si−X4−n
式中、Rは互いに同一または異なる有機官能基(好ましくは炭化水素基)、Xは加水分解基であり、nは0〜3、好ましくは1または2である。
本発明の無定形チタニアゾルを配合したコーティング組成物を用い、膜厚1〜3μm、屈折率が1.5〜1.8の塗膜を作成したとき、塗膜は未塗布品と大差ない透明性を示す。また、必要に応じて本コーティング組成物にレオロジーコントロール剤、有機ケイ素化合物等の添加剤を加えてもかまわない。本コーティング組成物を高屈折率光学基材と同じ屈折率に調整し、塗布した高屈折率光学基材は、干渉縞がなく透明性の高い光学基材が得られる。
以下の実施例は例証であり、本発明の制限を意図しない。実施例中、特記しない限り%は重量基準による。
〔参考例1〕
1Lガラスビーカーに、TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)を取り、イオン交換水で全量を714mLに希釈した。これに10%アンモニア水を滴下し、pH8.5に調節し、30分間静置した。この間液温が40℃以上にならないよう、アンモニア水の滴下速度を調節した。生成した無定形酸化チタン水和物を含む反応液を濾過し、得られたケーキをイオン交換水で良く洗浄した。ケーキを再びガラスビーカーに移し、トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置し、TiO2濃度5%の透明チタニアゾルを得た。このゾルを50℃で乾燥して得た粉末のX線回折スペクトルチャートを、アナタース形およびルチル形酸化チタンゾルのX線回折スペクトルチャートと比較して図1に示す(測定は、フィリップス社製X´Pert PROを用いた)。見られるように、2θ=25°のアナタース形、および2θ=27°のルチル形の最強ピークが観察されず、得られたチタニアゾルは無定形チタニアゾルであることを示している。
1Lガラスビーカーに、TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)を取り、イオン交換水で全量を714mLに希釈した。これに10%アンモニア水を滴下し、pH8.5に調節し、30分間静置した。この間液温が40℃以上にならないよう、アンモニア水の滴下速度を調節した。生成した無定形酸化チタン水和物を含む反応液を濾過し、得られたケーキをイオン交換水で良く洗浄した。ケーキを再びガラスビーカーに移し、トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置し、TiO2濃度5%の透明チタニアゾルを得た。このゾルを50℃で乾燥して得た粉末のX線回折スペクトルチャートを、アナタース形およびルチル形酸化チタンゾルのX線回折スペクトルチャートと比較して図1に示す(測定は、フィリップス社製X´Pert PROを用いた)。見られるように、2θ=25°のアナタース形、および2θ=27°のルチル形の最強ピークが観察されず、得られたチタニアゾルは無定形チタニアゾルであることを示している。
〔参考例2〕
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液の代りに、TiO2濃度25%のオキシ塩化チタン水溶液200g(TiO2として50g)を用いたことを除いて、参考例1と同じ操作により無定形チタニアゾルを得た。
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液の代りに、TiO2濃度25%のオキシ塩化チタン水溶液200g(TiO2として50g)を用いたことを除いて、参考例1と同じ操作により無定形チタニアゾルを得た。
〔参考例3〕
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)を用いたことを除き、参考例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)を用いたことを除き、参考例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
〔実施例4〕
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)に変更したことを除き、参考例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
トリエチルアミン50g(TiO2に対して100%)の代りに、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)に変更したことを除き、参考例1と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
〔実施例5〕
1Lガラスビーカーにイオン交換水327gを入れた。別にテトラプロポキシチタン183g(TiO2として50g)にイソプロパノール73gを加えた稀釈液を用意し、この液をガラスビーカー中のイオン交換水に攪拌しながら15分を要して徐々に滴下し、30分間室温に静置した。その後反応液を濾過して得たケーキをイオン交換水で洗浄した後、別のビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置したところ、TiO2濃度5%の透明な無定形チタニアゾルが得られた。
1Lガラスビーカーにイオン交換水327gを入れた。別にテトラプロポキシチタン183g(TiO2として50g)にイソプロパノール73gを加えた稀釈液を用意し、この液をガラスビーカー中のイオン交換水に攪拌しながら15分を要して徐々に滴下し、30分間室温に静置した。その後反応液を濾過して得たケーキをイオン交換水で洗浄した後、別のビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)を加え、さらにイオン交換水で全量を1000mLとした。このスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置したところ、TiO2濃度5%の透明な無定形チタニアゾルが得られた。
〔参考例6〕
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、ジイソプロピルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
〔参考例7〕
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、t−ブチルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、t−ブチルアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作によって無定形チタニアゾルを得た。
〔比較例1〕
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、25%アンモニア水200g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、25%アンモニア水200g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
〔比較例2〕
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、トリエタノールアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対して40%)の代りに、トリエタノールアミン50g(TiO2に対して100%)に変更したことを除き、実施例5と同じ操作を繰り返した。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、結晶形を確認したところ無定形であったが、解膠せず透明なチタニアゾルが得られなかった。
〔比較例3〕
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)をイオン交換水で全量2000mLに希釈した。この溶液を還流冷却器を備えたフラスコに入れ、攪拌しながら3時間100℃で還流し、硫酸チタニルを加水分解した。冷却後反応液を濾過し、洗浄したケーキをビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対し40%)を加え、さらにイオン交換水で全量1000mLに稀釈し、得られたスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置した。TiO2濃度5%の半透明チタニアゾルが得られた。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、得られた粉末をX線回折したところ、アナターゼ形のピークが観察された。
TiO2濃度200g/Lの硫酸チタニル水溶液250mL(TiO2として50g)をイオン交換水で全量2000mLに希釈した。この溶液を還流冷却器を備えたフラスコに入れ、攪拌しながら3時間100℃で還流し、硫酸チタニルを加水分解した。冷却後反応液を濾過し、洗浄したケーキをビーカーに移し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド20g(TiO2に対し40%)を加え、さらにイオン交換水で全量1000mLに稀釈し、得られたスラリーを80℃に2時間保持した後、室温で1週間静置した。TiO2濃度5%の半透明チタニアゾルが得られた。このチタニアゾルを50℃で乾燥し、得られた粉末をX線回折したところ、アナターゼ形のピークが観察された。
チタニアゾルの評価
1.透明性(ヘイズ)
参考例、実施例および比較例で得たチタニアゾルをそれぞれイオン交換水でTiO2濃度5%に希釈し、光路長10mmの石英セルに入れ、ヘイズメーター(日本電色工業(株)ヘイズメーターNHD−2000)を用いてヘイズ値を測定した。透明性はヘイズ値に反比例する。比較例1および2のゾルについてはヘイズ値以外の項目については測定しなかった。
2.pH
pHメータにて直接測定する。
3.経時安定性
チタニアゾルをガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。試験したすべてのゾルは、増粘、ゲル化、凝集などの変化を示さなかった。
1.透明性(ヘイズ)
参考例、実施例および比較例で得たチタニアゾルをそれぞれイオン交換水でTiO2濃度5%に希釈し、光路長10mmの石英セルに入れ、ヘイズメーター(日本電色工業(株)ヘイズメーターNHD−2000)を用いてヘイズ値を測定した。透明性はヘイズ値に反比例する。比較例1および2のゾルについてはヘイズ値以外の項目については測定しなかった。
2.pH
pHメータにて直接測定する。
3.経時安定性
チタニアゾルをガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。試験したすべてのゾルは、増粘、ゲル化、凝集などの変化を示さなかった。
コーティング組成物および塗膜の評価
1.コーティング組成物の作成(参考例8〜10、実施例11〜12、参考例13〜14、比較例4)
参考例1〜3、実施例4〜5、参考例6〜7および比較例3のTiO2濃度5%のチタニアゾル30.0g(TiO2として1.5g)を攪拌しながら水系アクリル樹脂(三井化学製アルマテックス(登録商標)K271:不揮発物44%)6.8g(樹脂固形分3.0g)と混合し、さらに30分間攪拌してコーティング組成物を得た。
2.塗膜の作成
上で作成したそれぞれのコーティング組成物を松浪ガラス工業(株)製ミクロスライドガラスプレート(70×55×1.3mm)に500rpmにおいて3秒間スピンコートし、25℃で15分、110℃で60分乾燥して膜厚2μmの塗膜を形成した。
3.コーティング組成物の安定性
作成したコーティング剤をガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。
○・・・変化なし。
△・・・若干増粘する。
×・・・ゲル化或いは凝集する。
4.塗膜の透明性
コート剤を温度25℃、湿度40%の環境下でスピンコートする。その塗膜の透明性を目視により評価した。
○・・・塗膜に濁りが認められない。
△・・・若干塗膜が濁っている。
×・・・塗膜が白化している。
5.塗膜の屈折率
塗膜をエリプソメーター((株)溝尻光学研究所DVA−FL3G)で633nmの波長における屈折率を測定した。
1.コーティング組成物の作成(参考例8〜10、実施例11〜12、参考例13〜14、比較例4)
参考例1〜3、実施例4〜5、参考例6〜7および比較例3のTiO2濃度5%のチタニアゾル30.0g(TiO2として1.5g)を攪拌しながら水系アクリル樹脂(三井化学製アルマテックス(登録商標)K271:不揮発物44%)6.8g(樹脂固形分3.0g)と混合し、さらに30分間攪拌してコーティング組成物を得た。
2.塗膜の作成
上で作成したそれぞれのコーティング組成物を松浪ガラス工業(株)製ミクロスライドガラスプレート(70×55×1.3mm)に500rpmにおいて3秒間スピンコートし、25℃で15分、110℃で60分乾燥して膜厚2μmの塗膜を形成した。
3.コーティング組成物の安定性
作成したコーティング剤をガラス容器に入れ、40℃の恒温室に1ヶ月間保管した後の状態を目視により評価した。
○・・・変化なし。
△・・・若干増粘する。
×・・・ゲル化或いは凝集する。
4.塗膜の透明性
コート剤を温度25℃、湿度40%の環境下でスピンコートする。その塗膜の透明性を目視により評価した。
○・・・塗膜に濁りが認められない。
△・・・若干塗膜が濁っている。
×・・・塗膜が白化している。
5.塗膜の屈折率
塗膜をエリプソメーター((株)溝尻光学研究所DVA−FL3G)で633nmの波長における屈折率を測定した。
この知見を基にして、本発明は、液性が塩基性であり、TiO2濃度が5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下であり、かつ乾燥粉末のX線回折スペクトルにおいてアナタース形およびルチル形のピークを示さない無定形チタニアゾルを提供する。本発明に従った無定形チタニアゾルは、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含む。
Claims (9)
- 有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニムハイドロオキサイドを含み、
TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾル。 - TiO2濃度5%におけるヘイズ値が5%以下である請求項1の塩基性無定形チタニアゾル。
- pHが9.0〜13.0の範囲内にある請求項1ないしは2の無定形チタニアゾル。
- 無定形酸化チタン水和物を水の存在下、無定形チタニアゾルが生成するまで、50℃より高く、かつ90℃以下の温度にて、有機塩基としてアルキル基の炭素数が5以下のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドで処理し、TiO2濃度5%において光路長10mmでヘイズ値が10%以下である透明な塩基性無定形チタニアゾルを生成させることを特徴とする無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物は、水溶性チタン化合物をアンモニアで加水分解することによって製造される請求項4の無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物の生成温度は、40℃以下である請求項4ないし5のいずれかの無定形チタニアゾルの製造方法。
- 無定形酸化チタン水和物は、テトラアルコキシチタンの加水分解によって製造される請求項4ないしは6のいずれかの無定形チタニアゾルの製造方法。
- 透明な塗膜を形成するバインダーと請求項1ないし3いずれかの無定形チタニアゾルを含有してなるコーティング組成物。
- 透明な塗膜を形成するバインダーと請求項1ないし3いずれかの無定形チタニアゾルを含有し、塗膜とした際に屈折率が1.50以上であるコーティング組成物。
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- 2014-10-14 JP JP2014210133A patent/JP2015044738A/ja active Pending
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