JP2015037932A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持可能な車両用操舵装置を提供する。【解決手段】車両用操舵装置Sは、電動機3と、舵角センサ41と、操舵トルクセンサ42と、車両が直進状態にある場合に、操舵トルク及び舵角を含む車両情報に基づいて電動機3に係る駆動電力を制御することにより、操舵系にアシストトルクを付与する制御を行うEPS_ECU1とを有する。EPS_ECU1は、操舵トルクを積算したトルク積算値を算出する積算部1205と、トルク積算値が閾値以上のとき、車両Cの片流れ現象を打ち消すように電動機3に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせる保舵支援制御部12とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、操舵用の電動機を備えた車両用操舵装置に関する。
幅方向に沿って傾斜した道路であるカント路や横風の中で車両を走行させる際には、カント路では重力の影響を受けて傾斜方向の下方側に車両が流される一方、横風の中では風力の影響を受けて風下側に車両が流される現象を生じる。こうした現象を、車両の片流れと呼ぶ。車両の片流れ現象に抗して車両を直進走行させ続けるには、運転者が操向ハンドルを傾斜方向の上方側や風上側に向けて切り続ける必要がある。つまり、車両の片流れ現象が生じる状況下では、車両の直進状態を維持するために、運転者は車両が流される方向(片流れの方向)とは逆の方向に操舵力を絶えず与え続ける必要がある。
例えば、特許文献1には、車両挙動に影響を及ぼすカント路の傾斜や横風などの外乱の発生時、つまり、車両のカント路走行時や横風走行時などに、その車両挙動に対する外乱の影響程度に対応する外乱影響値を求め、その外乱影響値に応じて操舵に係るアシストトルク制御を行うことで、外乱の車両挙動への影響を打ち消すようにした車両用操舵装置が開示されている。
特開2001−1923号公報
ところが、特許文献1(図4参照)に係る車両用操舵装置では、操舵トルクに対し、その中立点を挟んで不感帯を設け、不感帯から操舵トルクが外れるタイミングで操舵に係るアシストトルクを発生させる制御を行っている。そのため、操舵トルクの中立点付近において、不感帯内の領域に操舵トルクが収束している間では、操舵に係るアシストトルクが発生しないため、運転者の操舵に係る肉体的な負担を軽減することができない。その結果、運転者に与える操舵感の快適性が損なわれてしまっていた。
そこで、本発明は、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を直進走行させる際であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持可能な車両用操舵装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用操舵装置(1)は、車両の操舵系の操舵をアシストするためのアシストトルクを付与する電動機と、前記操舵系の操舵に要する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記操舵系に係る舵角を検出する舵角検出部と、前記車両が直進状態にあるか否かを検出する走行状態検出部と、前記車両が直進状態にある場合に、前記操舵トルク及び前記舵角を含む車両情報に基づいて前記電動機に係る駆動電力を制御することにより、前記操舵系に前記アシストトルクを付与する制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する積算部と、前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、前記車両の片流れ現象を打ち消すように前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせる片流れ対応制御部と、を備えることを最も主要な特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(1)では、片流れ対応制御部は、トルク積算値、及び、トルク積算値の変化に対する電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、車両の片流れ現象を打ち消すように電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせる。
ここで、例えば、カント路や横風などの外乱の影響によって車両が進行方向左側に片流れする状況で、車両を直進走行させる場合を考える。この場合、運転者は、操向ハンドルを進行方向右側に切り続けることで、車両の進行方向左側への片流れ傾向に抗して車両を直進走行させようとする。かかる状況では、進行方向右側へのトルク積算値に基づいて、進行方向右側への操舵トルクを軽減させることで、車両の片流れ現象を打ち消すように片流れ対応制御が行われる。その結果、進行方向右側へ操向ハンドルを切り続けなければならない運転者の肉体的な負担が軽減される。
したがって、本発明に係る車両用操舵装置(1)によれば、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を直進走行させる際であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持することができる。
なお、後記する実施の形態では、片流れ対応制御部は、トルク積算値が所定の閾値を超える場合に片流れ対応制御を行わせる例をあげて説明する。
本発明に係る車両用操舵装置(2)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記積算部は、前記車両が直進状態にある際の前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出することを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(2)によれば、片流れ対応制御が実際に必要な場面である車両が直進状態にある際の操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出し、こうして算出されたトルク積算値に基づいて、車両の片流れ現象を打ち消すように片流れ対応制御が行われるため、実用的かつ高精度の片流れ対応制御を実現することができる。
本発明に係る車両用操舵装置(3)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、当該トルク積算値に関係付けられた前記電動機に係る駆動電力の情報を取得し、当該取得した前記電動機に係る駆動電力の情報に対し、高周波成分を減らす処理を施し、当該処理後の前記電動機に係る駆動電力の情報を用いて、前記車両の片流れ現象を打ち消すように前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(3)によれば、片流れ対応制御部は、路面の凹凸などに由来する高周波成分を減らした後の低周波成分を主とする電動機に係る駆動電力の情報を用いて、車両の片流れ現象を打ち消すように電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせるため、高周波雑音成分の影響が減らされた高精度の片流れ対応制御を実現することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(4)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、前記車両の片流れ現象を打ち消すための前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を、前記操舵系の中点を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させることによって行わせることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(4)によれば、片流れ対応制御部は、車両の片流れ現象を打ち消すための電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を、操舵系の中点を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させることによって行わせるため、適切な手順に従って高精度の片流れ対応制御を実現することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(5)は、前記車両用操舵装置(4)であって、前記片流れ対応舵角値の初期値は、予め定められる所定値に設定されることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(5)によれば、片流れ対応舵角値の初期値は、例えば、0degなどの予め定められる所定値に設定されるため、仮に、車両の旋回途中で片流れ対応制御を行う場合であっても、過大な片流れ対応舵角値が与えられる事態を未然に回避することができる。その結果、高精度の片流れ対応制御を実現することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(6)は、前記車両用操舵装置(5)であって、前記舵角検出部は、前記操舵系のうち操向ハンドルの舵角を検出する機能を有し、前記所定値は、前記片流れ対応制御部が前記片流れ対応制御を開始する時点で前記舵角検出部が検出する前記操向ハンドルの舵角値に設定されることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(6)によれば、片流れ対応舵角値の初期値として設定される所定値は、片流れ対応制御部が片流れ対応制御を開始する時点で舵角検出部が検出する操向ハンドルの舵角値に設定されるため、操舵系の中点を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動量を小さく抑えることができる。その結果、運転者による操舵系の保舵力が実際に軽減されるまでの待機時間を短縮することができる。
一般に、クルーズコントロール処理部が処理中の場合には、非処理中の際と比べて、運転者による操舵系の保舵力が弱くなりがちである。クルーズコントロール処理が処理中となるのは、運転者による運転負担の軽減要求が背景にあることが多いからである。
こうした背景から、本発明に係る車両用操舵装置(7)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール処理部が処理中の場合に、前記片流れ対応制御を行わせることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(7)によれば、片流れ対応制御部は、運転者による操舵系の保舵力が弱くなりがちな、クルーズコントロール処理部が処理中の場合に、片流れ対応制御を行わせるため、運転者による操舵系の保舵力不足を適時に補うことができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(8)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール処理部が処理中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記クルーズコントロール処理部が非処理中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(8)では、クルーズコントロール処理部が処理中であることが、片流れ対応制御の実行可否に連携しない態様の車両用操舵装置を前提としている。
本発明に係る車両用操舵装置(8)によれば、片流れ対応制御部は、車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール処理部が処理中の場合の片流れ対応制御に係る制御量を、クルーズコントロール処理部が非処理中の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させるため、仮に、片流れ対応制御を行っている最中にクルーズコントロール処理部が処理中となった場合であっても、運転者による操舵系の保舵力不足を適時に補うことができる。クルーズコントロール処理部が処理中の場合には、非処理中の際と比べて、運転者による操舵系の保舵力が弱くなりがちだからである。
また、本発明に係る車両用操舵装置(9)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記操舵トルクの値が所定の閾値未満の場合に、前記操舵系のうち操向ハンドルの拘束が解かれた状態にあるとみなして、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記操舵トルクの値が前記所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(9)によれば、操舵系のうち操向ハンドルの拘束が解かれた状態にある場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、操舵トルクの値が所定の閾値以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させるため、仮に、片流れ対応制御を行っている最中に運転者が操向ハンドルの握り力を緩めた場合であっても、運転者による操舵系の保舵力不足を適時に補うことができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(10)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記車両が視界不良環境を走行中か否かを検出する走行環境検出部をさらに備え、前記片流れ対応制御部は、前記車両が視界不良環境を走行中の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両が視界良好環境を走行中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
なお、片流れ対応制御に係る制御量を減少させるとは、片流れ対応制御を停止させることを含む概念である(以下、同様)。
本発明に係る車両用操舵装置(10)によれば、片流れ対応制御部は、車両が視界不良環境を走行中の場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車両が視界良好環境を走行中の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、運転者に与える操舵感の快適性を保持する効果を期待することができる。車両が視界不良環境を走行中の場合には、運転者は、カント路の傾斜を認識しづらくなって、蛇行運転気味になりがちになる。かかる場合には、片流れ対応制御に係る制御量を、車両が視界良好環境を走行中の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させた方が、運転者に与える操舵感の快適性を損なう蓋然性が低いからである。
また、本発明に係る車両用操舵装置(11)は、前記車両用操舵装置(1)であって、車速を検出する車速検出部をさらに備え、前記片流れ対応制御部は、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車速が所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(11)によれば、片流れ対応制御部は、車速が所定の閾値(例えば、時速10キロなど)未満の場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車速が所定の閾値以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車速が所定の閾値未満の場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(12)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記片流れ対応制御部は、前記車両が右左折状態にある場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両が直進状態にある場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(12)によれば、片流れ対応制御部は、車両が右左折状態にある場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車両が直進状態にある場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車両が右左折状態にある場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(13)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記車両の挙動を安定化させる車両挙動安定化制御を行う車両挙動安定化制御部をさらに備え、前記片流れ対応制御部は、前記車両挙動安定化制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両挙動安定化制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(13)によれば、片流れ対応制御部は、車両挙動安定化制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車両挙動安定化制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車両挙動安定化制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(14)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記車両の周囲に存する障害物に対する回避動作を支援する回避支援制御を行う回避支援制御部をさらに備え、前記片流れ対応制御部は、前記回避支援制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記回避支援制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(14)によれば、片流れ対応制御部は、回避支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、回避支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い回避支援制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
また、本発明に係る車両用操舵装置(15)は、前記車両用操舵装置(1)であって、前記車両の走行車線の維持を支援する車線維持支援制御を行う車線維持支援制御部をさらに備え、前記片流れ対応制御部は、前記車線維持支援制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車線維持支援制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両用操舵装置(15)によれば、片流れ対応制御部は、車線維持支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車線維持支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車線維持支援制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
本発明によれば、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持可能な車両用操舵装置を提供することができる。
本発明に係る車両用操舵装置を搭載した車両の全体構成を模式的に表す図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。 図2に示す保舵支援制御部の内部構成を表すブロック図である。 図3に示す中点移動制御部の内部構成を表すブロック図である。 平坦な直線路を走行中の場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。 カント路を走行中に片流れ対応制御なしの場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。 カント路を走行中に片流れ対応制御ありの場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。 カント路において車両に加わる外力と運転者の操舵の関係を表す図である。 車線によってカント路の傾斜が違うことを表す図である。 本発明の第1実施形態に係るクルーズコントロールと片流れ対応制御との連携を簡易に表すフローチャートである。 (a)はCCスイッチ位置の時間推移を、(b)は実舵角の時間推移を、(c)は時刻t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、(d)は時刻t2の時点での舵角ゼロを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。 第2実施形態に係る保舵支援電流値設定部に設定される舵角に対する電流値の関係情報を調整することで片流れ対応制御に係る制御量を増大させる例を表す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。 第3実施形態に係る保舵支援電流値設定部に設定される舵角に対する電流値の関係情報を調整することで片流れ対応制御に係る制御量を減少させる例を表す説明図である。 本発明の第4及び第5実施形態に係る車両用操舵装置のうち、中点舵角移動量設定部の内部及び周辺の構成を表すブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る車両用操舵装置の動作説明に供する図である。 本発明の第4実施形態に係る車両用操舵装置の動作説明に供するフローチャートである。
次に、本発明を実施するための複数の形態について、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sを搭載した車両Cの全体構成を模式的に示す図である。この図1に示すように、車両Cは、不図示の内燃機関を備え、車輪Wを4つ備える四輪車である。車輪WFは、転舵輪を示す。車両Cに搭載された車両用操舵装置Sは、電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)を制御するためのECU(Electronic Control Unit)であるEPS_ECU1や、転舵用の電動機3をはじめとした、電動パワーステアリング装置の構成を備えている。この電動パワーステアリング装置は、車輪Wを転舵する際に要する運転者の操舵力を、電動機3を駆動させることで軽減するようにアシストする周知の装置である。また、車両Cは、燃料噴射(Fuel Injection:FI)を制御するためのECUであるFI_ECU2を備える。
EPS_ECU1には、舵角センサ41、操舵トルクセンサ42、ヨーレートセンサ43、及び、車輪速センサ44を含む各種センサ4、並びに、クルーズコントロールスイッチSWが接続されている。
舵角センサ41は、本発明の“舵角検出部”に相当する部材である。本実施形態では、舵角センサ41を、電動機3の回転角度を計測する角度センサで代用する。この舵角センサ41により、操向ハンドルHの舵角のほか、電動機3の回転速度(電動機回転速度、実質的に、操舵速度と同義)を検出する。
操舵トルクセンサ(図1では“トルクセンサ”と表記)42は、本発明の““操舵トルク検出部”に相当する部材である。操舵トルクセンサ42は、運転者が操向ハンドルHを介して入力する操舵トルク(手動操舵力)を検出する。
ヨーレートセンサ43は、車両Cのヨーレート(旋回角度)を検出する。
車輪速センサ44は、車輪Wの回転速度を車輪速パルス信号として検出する部材である。図1では、車輪速センサ44を1つの車輪Wにのみ記載しているが、実際には4つの車輪Wのそれぞれに備えられている。
ちなみに、車速は、4つの車輪Wのそれぞれに備えられている車輪速センサ44の検出値の平均をとるか、又は従動輪となる2つの車輪Wに備えられている車輪速センサ44の検出値の平均をとることで算出すればよい。
クルーズコントロールスイッチ(以下、“クルーズコントロール”を“CC”と省略する場合がある)SWは、定速制御下で高速道路などを走行する際に、運転者によりオン操作される部材である。図1では、クルーズコントロールスイッチを“CCスイッチ”と表記している。CCスイッチSWは、例えば、操向ハンドルH又はその近傍に設けられる。
CCスイッチSWは、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作などの所定の条件を充足すると解除(オフ)される。
図1において、EPS_ECU1、FI_ECU2、各センサ4、CCスイッチSWなどの間は、例えばCAN(Control Area Network)のような通信媒体Nを介して相互に接続されている。
図2は、図1の車両CにおけるEPS_ECU1及びFI_ECU2の概略構成と、両者の連携した関係を表すブロック図である。
(EPS_ECU1)
図2に示されるように、EPS_ECU1は、EPS用の電動機3の駆動制御を行う機能を有する。EPS_ECU1は、EPS制御部11、本発明の“片流れ対応制御部”に相当する保舵支援制御部12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、加算器16、及び、電動機駆動部17を備えて構成される。
ちなみに、EPS_ECU1のうち、保舵支援制御部12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、及び、加算器16が、本発明に係る実施形態の特徴部分である。
EPS制御部11は、車両Cの速度(車速)、操向ハンドルHの舵角、操舵トルク、及び、電動機3の回転速度(操舵速度)を含む各種パラメータに基づいて、電動機3を駆動するための目標電流値をつくりだす機能を有する。
保舵支援制御部12は、カント路などでの車両Cの片流れ現象が生じる状況下において、片流れを打ち消すための目標電流値を、後段の切替器14に出力する、“片流れ対応制御”を行う機能を有する。保舵支援制御部12の詳細については、図3を参照し後記する。
ゼロ電流値出力部13は、加算器16に供給するゼロ電流値を、後段の切替器14に出力する機能を有する。
切替器14は、クルーズコントロール処理部(CC処理部)21からのCC状態信号(CC処理中フラグ)に基づき、CCスイッチSWがオン状態のときに保舵支援制御部12からの片流れ対応目標電流値を後段のリミッタ15に出力する一方、CCスイッチSWがオフ状態のときにゼロ電流出力部13からのゼロ電流値を後段のリミッタ15に出力する機能を有する。
リミッタ15は、切替器14から出力される電流値の絶対値が、所定の制限値を超えないように制限する機能を有する。具体的には、リミッタ15は、例えば、CCスイッチSWがオン状態のときに、保舵支援制御部12から出力される片流れ対応目標電流値の絶対値が、所定の制限値を超えないように制限する。
ここで、リミッタ15について、さらに詳しく説明する。仮に、切替器14と加算器16との間を、リミッタ15を省いて直結したとする。この場合、加算器16には、切替器14の出力信号がそのまま入力される。切替器14の出力信号としては、保舵支援制御部12からの片流れ対応目標電流値に係る出力信号がある。片流れ対応目標電流値は、片流れを打ち消すために、保舵支援制御部12においてつくりだされる。強大な片流れ現象が車両Cに生じると、この強大な片流れを打ち消すために、片流れ対応目標電流値が過大な値となることがある。
そうすると、過大な値となる片流れ対応目標電流値が、加算器16に入力される。電動機駆動部17は、加算器16から出力されてくる過大な片流れ対応目標電流値に基づいて電動機3を駆動する。つまり、EPS_ECU1では、本来の移動量を超えた中点の移動を伴う片流れ対応制御が行われることになる。その結果、保舵力の制御を適切に行うことができないという課題が生じていた。
そこで、切替器14と加算器16との間に、リミッタ15を設けると共に、リミッタ15で設定される電流制限値を、片流れ対応制御に係る最大制御量を超えない範囲内で設定することとした。
このように構成すれば、過大な片流れ対応目標電流値に基づく、本来の移動量を超えた中点の移動を伴う片流れ対応制御を抑制して、保舵力の制御を適切に行うことができる。
加算器16は、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、リミッタ15が出力する片流れ対応電流値を加算する機能を有する。具体的には、加算器16は、CCスイッチSWがオン状態の場合、EPS制御部11が出力する目標電流値に、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値を加算して電動機駆動部17に出力する機能を有する。
電動機駆動部17は、不図示の演算装置やインバータなどを備えてなる。電動機駆動部17は、加算器16から出力される加算処理後の目標電流値に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、このPWM信号を用いてインバータを駆動し電動機3に供給する三相交流電流を生成し、電動機3をPWM駆動させる機能を有する。
(FI_ECU)
FI_ECU2は、図2に示すように、点火時期や燃料噴射量などの制御を司るECUである。車両Cに搭載されたFI_ECU2は、CC処理部21を備えている。FI_ECU2のCC処理部21は、DBW(Drive-By-Wire)弁5の開度調整を行うことによって、適宜設定された車速で車両Cを定速走行させる制御を行う機能を有する。また、CC処理部21は、操向ハンドルHに設けられているCCスイッチSWがオン状態のときに切替器14に信号(CC処理中フラグ)を出力して、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値を後段のリミッタ15に出力させるように機能する。
また、このCCスイッチSWがオン操作されたときは、CC処理部21は、DBW(Drive By Wire)弁5を介してエンジンの出力をコントロールし、車両Cを定速走行させる。このCC処理機能を用いれば、例えば、信号機などがない長い直線路において、運転者がアクセルワークを行うことなく(アクセルペダルから足を離しても)、車両Cを定速走行させることができる。
CC処理部21と切替器14の連携は、次のようにしてなされる。すなわち、CCスイッチSWがオン状態であれば、片流れ対応制御(保舵支援制御)を行う場面を生じる蓋然性が高いとみなして、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて片流れ対応制御を有効とする。一方、CCスイッチSWがオフ状態であれば、大きな操舵もなく、片流れ対応制御が運転者の快適性の支障になる場面を生じる蓋然性が低いとみなして、切替器14をゼロ電流出力部13の側に切り替えて、片流れ対応制御を無効とする。
(保舵支援制御部)
次に、保舵支援制御部12の詳細を、その内部構成を示すブロック図である図3を主に参照して説明する。
図3に示すように、保舵支援制御部12は、中点移動制御部120、減算部121、保舵支援電流値設定部122、ローパスフィルタ(LPF)123、第1レシオ出力部124、乗算部125、ダンパ電流値設定部126、第2レシオ出力部127、乗算部128、加算部129などを備える。
ちなみに、この実施形態での保舵支援制御部12は、カント路や横風などのように車両Cに片流れ現象を生じさせる外力に抗して、電動機3の動きを抑制するような目標電流値(片流れ対応用のベース電流値)を出力する機能を有する。
中点移動制御部120は、ヨーレート、操舵トルク、保舵支援制御部12の出力電流値を入力して、例えば、操舵トルクの積算値(トルク積算値)が閾値(中点移動判定閾値)を超えた場合に、片流れ現象を踏まえた片流れ対応舵角値を出力する機能を有する。この中点移動制御部120については、後で、図4を参照して詳細に説明する。
ちなみに、片流れ対応舵角値に係る初期値は、例えば0degに設定される。片流れ対応舵角値に係る初期値としては、例えば、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満の場合、その時の操向ハンドルHの操舵角を設定すればよい。また、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値以上であるか、又は、ヨーレートが所定のヨーレート閾値以上の場合、0degを初期値として設定すればよい。具体的には、片流れ対応舵角値に係る初期値は、例えば、実験やシミュレーションなどにより得られる解析結果に基づいて、その値の大きさを適宜設定すればよい。
減算部121は、前記片流れ対応舵角値に係る初期値(0deg、又は、舵角センサ41から入力される現在の操向ハンドルHの操舵角)を基準として、中点移動制御部120から出力される片流れ対応舵角値を減算する機能を有する。
保舵支援電流値設定部122は、片流れ対応舵角値の変化に対する電流値の関係情報(予め設定される)に基づいて、減算部121から入力した片流れ対応舵角値を電流値(ベース電流値)に変換する機能を有する。なお、前記片流れ対応舵角値に対する電流値の関係情報は、舵角の絶対値が大きくなるほどベース電流値の絶対値が大きくなる特性に設定される。運転者は、片流れの傾向が大きくなるほど、その傾向を打ち消すために、舵角を大きくして保舵しようとするからである。
補足すると、前記片流れ対応舵角値に対する電流値の関係情報は、車両Cに片流れ現象を生じさせようとする力に抗して電動機3の動きが抑制されるような電流を電動機3に供給する特性に設定される。電動機3の動きが抑制されると、操向ハンドルHの動きが抑制されるため、ひいては、操向ハンドルHを保舵する際の運転者の肉体的な負担を軽減することができるからである。
図3の保舵支援電流値設定部122において示すグラフでは、横軸の中央から右側へ向かう舵角をプラスの値、左側へ向かう舵角をマイナスの値で示している。例えば、舵角がプラスの値の場合には、電流値はマイナスの値に設定される。一方、舵角がマイナスの値の場合には、電流値はプラスの値に設定される。
なお、保舵支援電流値設定部122に設定される前記片流れ対応舵角値に対する電流値の関係情報では、片流れ対応舵角値の初期値(図3の例では、0deg)を境界として、電流値を立ち上げるか又は立下げる特性に設定している。前記片流れ対応舵角値に対する電流値の関係情報を、このような特性に設定すると、片流れ対応舵角値の初期値付近における操向ハンドルHの舵角に対し、基準位置としての戻り感を付与することができる。以下の説明において、車両Cを直進走行させる際に基準となる操向ハンドルHの舵角を、中点舵角(単に、“中点”と省略する場合がある)と呼ぶ。この中点は、詳しくは後記するが、車両Cの走行環境(平坦な直線路か又はカント路か)に応じて変化する。本発明でいう“操舵系の中点”とは、操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)を意味する。
なお、EPS制御部11においても、前記保舵支援制御部12と同様に、ベース電流値やダンパ電流値といった概念が存在する。しかし、保舵支援制御部12におけるベース電流値及びダンパ電流値は、保舵支援を狙った片流れ対応制御を行う際に用いられる概念であるのに対し、EPS制御部11におけるベース電流値及びダンパ電流値は、操舵に係るアシストトルク制御を行う際に用いられる概念である。そのため、保舵支援制御部12におけるベース電流値及びダンパ電流値と、EPS制御部11におけるそれとは、相互に概念が異なることを付言しておく。
ローパスフィルタ123は、例えば、保舵支援電流値設定部122が出力するベース電流値に対して時間移動平均処理を行うことにより、ベース電流値の時間推移特性を鈍らせる機能を有する。ただし、保舵支援電流値設定部122に設定される、前記片流れ対応舵角値に対する電流値の関係情報を適宜調整することにより、ローパスフィルタ123を省略してもよい。
ここで、ローパスフィルタ123について、さらに詳しく説明する。仮に、ローパスフィルタ123を、保舵支援電流値設定部122の前段に設けたとする。この場合、ローパスフィルタ123には、舵角センサ41で検出した舵角信号が入力される。この際に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的低い周波数に設定するのが通常である。舵角信号に含まれる高周波雑音を減らす(除去及び減衰を含む)ことにより、制御の信頼性を担保することができるからである。
ところが、前記のように、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的低く設定すると、次に述べるような課題が生じる。すなわち、例えば、屈曲路走行時や車線変更時などにおいて、運転者が素早い操舵を行った結果、舵角信号の経時特性が急変する場合がある。この際に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数が、比較的低く設定されている場合、舵角の急変に係る検出信号の応答性が悪くなるため、舵角の急変に対する片流れ対応制御の応答性が損なわれてしまう。
また、前記とは逆に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的高く設定すると、今度は、舵角信号に含まれる高周波雑音の除去が不十分となって、平坦路の直進走行時であっても、本来不要な場面で片流れ対応制御が行われるなど、片流れ対応制御の信頼性が損なわれてしまう。
そこで、ローパスフィルタ123を、保舵支援電流値設定部122の後段に設けると共に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的高く設定することとした。
このように構成すれば、片流れ対応制御の信頼性及び応答性を両立させることができる。また、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を設定する際の自由度を確保する効果を期待することもできる。
第1レシオ出力部124は、操舵トルクの変化に対する第1レシオの関係情報(予め設定される)に基づいて、操舵トルクセンサ42から入力した操舵トルクを第1レシオに変換する機能を有する。ここで、第1レシオとは、ローパスフィルタ123が出力するベース電流値を、操舵トルクの大きさを考慮して好適に補正するための補正係数である。
前記操舵トルクの変化に対する第1レシオの関係情報は、操舵トルクの値が所定の小さい領域では、第1レシオの値がほぼ一定の正の値をとると共に、操舵トルクの値が前記小さい領域を外れて大きくなるほど第1レシオの値が小さくなり、操舵トルクの値が所定の大きい領域では、第1レシオの値がゼロとなる特性に設定される。これは、運転者が車両Cの右左折、車線変更、障害物の回避運動に伴う操舵を行う場合(操舵トルクの値は、前記大きい領域に属する。)に、片流れ対応目標電流値を小さく補正するのが、運転者の操舵を妨げない観点から好ましいと考えられるからである。
乗算部125は、ローパスフィルタ123による高帯域成分除去処理がなされたベース電流値に対し、第1レシオ出力部124が出力する第1レシオを乗算する処理を施すことで、ベース電流値に対し、操舵トルクの大きさを考慮した補正を行う機能を有する。
ダンパ電流値設定部126は、電動機回転速度の変化に対するダンパ電流値の関係情報(予め設定される)に基づいて、入力した電動機回転速度をダンパ電流値に変換する機能を有する。ここで、ダンパ電流値とは、電動機3を駆動するためのベース電流値を、電動機回転速度の高低を考慮して好適に補正するための補正係数である。
電動機回転速度の変化に対するダンパ電流値の関係情報は、電動機回転速度がゼロを含む低速領域に属している場合に、電流値の大きさが線形に増減すると共に、電動機回転速度が前記低速領域を外れると、それぞれの回転方向においてほぼ一定の電流値の値をとる特性に設定される。このように、電動機3の動きが急になるにつれて、その急な動きを抑制する特性を有する電流を電動機3に供給すると、電動機3の急な動きが抑制されて、操向ハンドルHの保舵に係る安定性が増すからである。なお、電動機回転速度に係る情報は、電動機3に設けられるレゾルバなどの回転速度センサから取得してもよいし、舵角センサ41に係る舵角の時間微分値に基づいて取得してもよい。
ここで、前記ダンパ電流値設定部126で設定されるダンパ電流値と、EPS制御部11で設定されるダンパ電流値とは、下記の点で異なる。すなわち、EPS制御部11で設定されるダンパ電流値は、車両Cの高速走行中において、操向ハンドルHのふらつきを防止して安定した操舵感を運転者に与えるためのものである。これに対し、前記ダンパ電流値設定部126で設定されるダンパ電流値は、片流れ現象を打ち消すためのものである。
第2レシオ出力部127は、操舵トルクの変化に対する第2レシオの関係情報(予め設定される)に基づいて、操舵トルクセンサ42から入力した操舵トルクを第2レシオに変換する機能を有する。ここで、第2レシオとは、ダンパ電流値設定部126が出力するダンパ電流値を、操舵トルクの大きさを考慮して好適に補正するための補正係数である。
前記操舵トルクに対する第2レシオの関係情報は、前記操舵トルクに対する第1レシオの関係情報と同様に、操舵トルクの値が所定の小さい領域では、第2レシオの値がほぼ一定の正の値をとると共に、操舵トルクの値が前記小さい領域を外れて大きくなるほど第2レシオの値が小さくなり、操舵トルクの値が所定の大きい領域では、第2レシオの値がゼロとなる特性に設定される。これは、運転者が車両Cの右左折、車線変更、障害物の回避運動に伴う操舵を行う場合(操舵トルクの値は、前記大きい領域に属する。)に、ダンパ電流値を小さく補正するのが、運転者の操舵を妨げない観点から好ましいと考えられるからである。
乗算部128は、ダンパ電流値設定部126が出力するダンパ電流値に対し、第2レシオ出力部127が出力する第2レシオを乗算する処理を施すことで、操舵トルクの大きさを考慮したダンパ電流値の補正を行う機能を有する。
加算部129は、乗算部125が出力するベース電流値に対し、乗算部128が出力するダンパ電流値を加算する処理を施すことで、ダンパ電流値の大きさを考慮したベース電流値の補正を行う機能を有する。加算部129は、前記補正後のベース電流値を、片流れ対応目標電流値として出力する。
本実施形態では、図2に示されるように、前記片流れ対応目標電流値は、FI_ECU2のCC処理部21におけるクルーズコントロール処理が処理中を表すオン状態の場合に、加算器16において、EPS制御部11が出力する目標電流値(EPS制御における目標電流値)に加算される。電動機駆動部17は、不図示のバッテリ電源から供給される電流を前記加算後の目標電流値に追従させるように電動機3の駆動を行う。
(中点移動制御部)
次に、中点移動制御部120の内部構成について、主として図4を参照して説明する。図4は、中点移動制御部120の内部構成を表すブロック図である。
図4に示すように、中点移動制御部120は、ローパスフィルタ(LPF)1201、トルク換算部1202、加算トルク算出部1203、中点移動キャンセル判定部1204、積算部1205、中点舵角移動量設定部1206などを備えている。
ローパスフィルタ1201は、操舵トルクセンサ42から時々刻々と出力されてくる操舵トルク信号の高周波成分を除去し、除去後の低周波成分を主とする操舵トルク信号を、後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する。ローパスフィルタ1201は、路面の凹凸に起因する操舵トルク信号の高周波成分を除去し、カント路を保舵する際の低周波成分を主とする操舵トルク信号のみを後段の加算トルク算出部1203宛に出力する。
トルク換算部1202は、保舵支援制御部12が出力したベース電流値(電動機3への入力電流値)を帰還入力し、このベース電流値に所定の換算係数を乗じることでベース電流値を操舵トルクに換算し、この換算した操舵トルクを後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する。
加算トルク算出部1203は、ローパスフィルタ1201が出力した操舵トルクに対し、保舵支援制御部12が出力した電流値をトルクに換算したトルク換算部1202の出力を加算することで加算トルクを算出し、この算出した加算トルクを後段の積算部1205に出力する機能を有する。加算トルク算出部1203は、トルク積算値を早期に増大させることにより、操向ハンドルHに係る中点舵角(操舵系の中点)を目標となる片流れ対応舵角値まで迅速に移動させる役割を果たす。なお、中点の移動を伴う片流れ対応制御が行われると、電動機3の作動に伴って、片流れ現象に対応するための操舵トルクが漸減していく。その結果、前記加算トルクは、ゼロに収束してゆくようになる。
中点移動キャンセル判定部1204は、ヨーレートセンサ43で検出したヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度が所定の閾値を超えるかのうちいずれかを充足した場合に、中点の移動をキャンセルするためのキャンセル条件が成立したとみなして、中点の移動をキャンセルする旨のキャンセル信号を生成し後段の積算部1205に出力する機能を有する。
詳しく述べると、中点移動キャンセル判定部1204は、車両Cが旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期において、ヨーレートが所定の閾値以下となった後の所定の待機時間(例えば数秒などの、適宜変更可能な時間)が経過するまでの間は、旋回走行中(ヨーレートが所定の閾値を超える)の場合と同様に、キャンセル信号を積算部1205に出力し続けるように動作する。これにより、中点移動キャンセル判定部1204は、前記過渡期において、中点の移動を行わせないようにする。
換言すれば、中点移動キャンセル判定部1204は、キャンセル条件の成立によって、中点移動キャンセル判定部1204がキャンセル信号を出力中である状況において、仮に、キャンセル条件が不成立に変わったとしても、キャンセル信号の出力をすぐにやめさせずに、前記所定の待機時間が経過するまでの間は、キャンセル条件が成立しているとみなして、キャンセル信号を出力し続けるように動作する。
その理由は、以下の通りである。すなわち、前記過渡期では、操舵トルクセンサ42で検出される操舵トルクの値は、車両Cの姿勢変化の影響を受けて乱れ、誤差を含みがちになる。そうすると、積算部1205における加算トルクの積算値(トルク積算値)も誤差を含みがちになる。その結果、中点の移動タイミングの妥当性が損なわれてしまい、運転者に与える操舵感の快適性が損なわれるおそれがあるからである。具体的には、例えば、車両Cがカント路を走行中には、カント路の傾斜に見合った舵角となるように運転者が操向ハンドルHを操作するところ、その操作前に、仮に、片流れ対応制御がオン状態にされると、運転者に対し、操舵に係る違和感を与えるおそれがあるからである。
前記中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度が所定の閾値を超えるかを判定している。これは、車両Cの挙動が、直進状態にあるか否かを判定しているのと同義である。ヨーレートが所定の閾値以下か、又は、電動機回転速度が所定の閾値以下の場合とは、車両Cの挙動が直進状態にある際に現われる現象だからである。前記中点移動キャンセル判定部1204は、本発明の“直進状態判定部”に相当する。
要するに、中点移動キャンセル判定部1204は、車両Cの挙動が直進状態にない旨の判定が下された場合に、中点の移動をキャンセルするためのキャンセル信号を生成するように動作する。
積算部1205は、加算トルク算出部1203が時々刻々と出力してくる加算トルクを所定のサンプリングレートで積算することでトルク積算値を求め、求めたトルク積算値を後段の中点舵角移動量設定部1206に出力する機能を有する。また、積算部1205は、中点移動キャンセル判定部1204からのキャンセル信号を入力した場合、トルク積算値をゼロにする機能を有する。
例えば、車両Cが旋回走行中である(ヨーレートが所定の閾値を超える)ために中点の移動がキャンセルされる場合には、旋回直前の片流れ対応舵角値が保持された状態で、中点の移動がキャンセルされる。車両Cが旋回走行中である際にも、旋回直前の片流れ対応舵角値に応じたベース電流値が、電動機3に出力され続ける。
また、例えば、片流れ対応舵角値が、ある値(例えば3deg)の際に車両Cが旋回をはじめた場合には、前記のある値(3deg)が保持された状態で旋回が行われる。車両Cの旋回走行中、片流れ対応舵角値の変更は行われない。車両Cの旋回が終了した場合、その終了時点からさらに前記所定の待機時間が経過した後に、中点の移動が行われるようになる。
片流れ対応舵角値がリセットされるのは、例えば、イグニッションスイッチのオン又はオフ時である。片流れ対応制御がクルーズコントロール制御と連動する場合には、CCスイッチSWのオン又はオフ時にも、片流れ対応舵角値がリセットされる。
中点舵角移動量設定部1206は、時々刻々と積算部1205から出力されてくるトルク積算値が、予め定められる中点移動判定閾値を超えるか否かを判定し、トルク積算値が中点移動判定閾値を超える場合、トルク積算値に基づいて、操向ハンドルHに係る中点舵角を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動量を設定し、中点の移動をその移動量と共に指示する旨の制御信号を、中点移動制御部120の出力として、減算部121(図3参照)に出力する機能を有する。
このように、中点移動制御部120では、高周波成分を減らした操舵トルク信号に対し、保舵支援制御部12が出力した電流値をトルクに換算したものを加算し、このトルク加算値を時間的に積算したトルク積算値に基づいて、操向ハンドルHに係る中点舵角を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動量を設定するため、中点舵角の移動条件が成立しやすくなり、片流れ現象に対して迅速に対応することができる。
(動作)
上記では、本発明の第1実施形態に係る車両用操舵装置Sが搭載された車両Cの全体構成及び各部の構成について説明した。次に、本発明の第1実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図5A〜図5Cは、運転者が、車両Cを運転して道路を走行している場面での、車体の傾斜、操舵トルクの推移、及び、片流れ現象に対抗する運転者の操作の関係を表す図である。図5Aは、片流れ対応制御なしで平坦な直線路を走行している場面を表す。図5Bは、片流れ対応制御なし(片流れ対応制御のオン前)でカント路を走行している場面を表す。図5Cは、片流れ対応制御あり(片流れ対応制御のオン後)でカント路を走行している場面を表す。
図6Aは、カント路において車両Cに加わる外力と片流れ現象に対抗する運転者の操作の関係を表す図である。図6Bは、車線毎に傾斜が異なるカント路において車両Cに加わる外力と片流れ現象に対抗する運転者による操作の関係を表す図である。
[平坦な直線路]
図5Aに示す平坦な直線路を走行中に、車両Cの車体は、ロール方向に対してほぼ水平な姿勢をとる。この際の操向ハンドルHの舵角は、基本的に、ほぼ中央に位置する。操舵トルクの推移特性は、中点(基準位置)を中心にして左右に微小振動を繰り返す特性を示す。
なお、平坦な直線路とは、道路の幅方向に沿って実質的に傾斜がない状況の直線道路(カント路ではない)を意味する。この場合において、その進行方向に沿った上下のうねり(高低差)については、その有無を問題としない。
図5Aに示す平坦な直線路を走行中に、仮に、車両Cの運転者が操向ハンドルHに設けられたCCスイッチSWをオン操作したとする。すると、図2に示すFI_ECU2のCC処理部21は、DBW(Drive-By-Wire)弁5の開度調整を行うことによって、予め設定された車速で車両Cを定速走行させる制御を行う。これにより、運転者は、定速走行を行うための煩わしいアクセルペダルの操作から解放される。
また、CCスイッチSWがオン操作されると、FI_ECU2のCC処理部21は、CCスイッチSWがオン操作された旨の信号を切替器14に出力する。この信号をトリガにして、切替器14は、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値を遮断する一方、保舵支援制御部12が出力する片流れを打ち消すための目標電流値を後段のリミッタ15へと通過させる。加算器16は、保舵支援制御部12が出力する目標電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算すると共に、加算後の目標電流値を、電動機駆動部17に出力する。
ただし、平坦な直線路を走行中の場面では、操舵トルクの推移特性は、図5Aに示すように、中点(基準位置)を中心にして左右に微小振動を繰り返す特性を示す。このため、図4に示す積算部1205で積算される加算トルクの値は、中点舵角移動量設定部1206で設定される中点移動判定閾値を超えることはない。
つまり、平坦な直線路を走行中の場面では、図4に示す中点舵角移動量設定部1206は、片流れ対応舵角値として初期値(例えば0deg)を出力する。図3に示す保舵支援電流値設定部122は、片流れ対応舵角値の変化に対する電流値の関係情報に基づいて、中点の移動を伴わない片流れ対応舵角値を電流値(ベース電流値)に変換する。ここで、平坦な直線路を走行中の場面では、操舵トルク、舵角、電動機回転速度(舵角の時間微分値)はいずれも小さい。そのため、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値は、ゼロ又はゼロに近い微小な値となる。
したがって、運転者によりCCスイッチSWがオン操作され、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値が加算されたとしても、平坦な直線路を走行中の場面では、EPS制御部11が出力する目標電流値と実質的に同等程度の大きさの電流値が電動機駆動部17に供給される。
なお、本実施形態の車両Cでは、保舵支援制御部12に属する各機能部は、常時動作していて、片流れ対応目標電流値を時々刻々とつくりだす例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。CCスイッチSWのオン操作をトリガとして、直前まで休んでいた保舵支援制御部12に属する各機能部が動作しはじめる構成を採用してもよい。
[カント路(片流れ対応制御オン前の場合)]
図5Bに示すように、幅方向に沿って傾斜した道路であるカント路では、車両Cに対し重力による片流れ現象が生じる。図5Bに示すような左下がりに傾斜したカント路では、車両Cに左側に向かう片流れ現象が生じる。この片流れ現象に対抗するために、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた舵角状態を維持する保舵操作を行うことになる。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sは、運転者の操舵に要する力をアシストする制御を行うEPS制御部11を有する電動パワーステアリング装置を備える。このため、車両用操舵装置Sによれば、操舵トルクの大きさに見合う目標電流値を設定すると共に、目標電流値に追従する大きさの電流値を電動機3に流通させることができる。
ところで、特許文献1(特開2001−1923号公報)に係る従来の電動パワーステアリング装置は、例えば、交差点、曲線路、駐車場を含む運転環境での操舵を円滑に行わせることを狙って設計されている。そのため、特許文献1に係る従来の電動パワーステアリング装置では、カント路や横風による車両Cの片流れ現象への対応が考慮されていない。そのため、車両Cの片流れ現象が生じた場合であって、その片流れ現象に対抗するための操舵トルクの大きさが比較的小さい場合には、操舵トルクの中立点を挟んで操舵トルクに対し不感帯を設けてあるなどの関係から、電動機による操舵に係るアシストトルクがほとんど生じない。ここで、操舵トルクの中立点とは、操向ハンドルHを右側及び左側のそれぞれに旋回させる際に要するトルクの大きさがほぼ均衡する操向ハンドルHの舵角位置を意味する。
具体的には、例えば米国には、道路の水はけ向上を狙って、延々と続くカント路が存在する。こうしたカント路において、特許文献1に係る従来の電動パワーステアリング装置を適用すると、運転者の操舵に係る肉体的な負担を軽減することができない。
図5Bに示す左下がりに傾斜したカント路では、カント路の傾斜角に応じた外力が、フリクションなどによる抵抗力を超えた場合に、傾斜方向に沿う下方に車両Cの片流れ現象が生じる。かかる片流れ現象に対抗して直進状態を保持するために、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた状態を維持する保舵操作を強いられる。このため、運転者に対し、操舵に係る肉体的な負担をかけてしまう。その結果、特許文献1に係る従来の電動パワーステアリング装置では、運転者に与える操舵感の快適性が損なわれてしまっていた。
いま、車両Cが、平坦な直線路から、図5Bに示すような左下がりに傾斜したカント路へと移動してきたとする。また、CCスイッチSWは、車両Cが平坦な直線路を走行中に、既にオン操作されていたものとする。カント路では、車両Cの片流れ現象が生じる。
そこで、車両Cの片流れ現象に対応するため、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた状態を維持する保舵操作を行う。カント路での車両Cを左側方向に片流れさせようとする力と、操向ハンドルHを右方向に傾けたことで車両Cに生じる抗力とが均衡すると、車両Cを直進状態に保持することができる。ただし、かかる状態が長く続けば、運転者に比較的大きい肉体的な負担を強いることになる。
この際に、図4に示すように、ローパスフィルタ1201を通過する操舵トルクと、電動機3の出力電流をトルク換算部1202でトルクに換算した値との加算値が増大する。また、積算部1205で積算される加算トルクも増加し続ける。
中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートセンサ43で検出したヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度が所定の閾値を超えるかのうちいずれかを充足した場合に、直進状態が終わったとみなして、中点移動をキャンセルするためのキャンセル信号を生成し、後段の積算部1205に出力する。このキャンセル信号を受けて、積算部1205は、トルク積算値を0にする。前記のキャンセル条件が成立する時期としては、例えば、車線変更時や交差点での右左折時などを想定することができる。
中点舵角移動量設定部1206は、積算部1205が時々刻々と出力してくるトルク積算値が、予め定められる中点移動判定閾値を超えるか否かを判定し、トルク積算値が中点移動判定閾値を超える場合、中点の移動を指示する旨の制御信号を、中点移動制御部120の出力として、図3に示す減算部121に出力する。
なお、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えない限り、CCスイッチSWがオン操作されていても、運転者にとっての保舵に要する力は軽減されない。トルク積算値が中点移動判定閾値以下の場合の、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値の大きさは、保舵の支援を要するほど大きくないと考えられるからである。ちなみに、中点移動判定閾値を小さい値に設定するほど、片流れ対応制御がオンされるまでの待機時間は短くなる。
[カント路(片流れ対応制御オン後の場合)]
図5Cに示すように、図5Bと同じカント路でも、EPS_ECU1の片流れ対応制御がオン状態の場合は、図3に示す保舵支援制御部12の中点移動制御部120が中点を移動させる制御を行う。図2に示すEPS_ECU1において、加算器16は、図3に示す保舵支援制御部12が出力する移動後の中点に基づく片流れ対応の目標電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算する。その後、図2に示す電動機駆動部17は、電動機3へ供給する実電流を生成する。
EPS_ECU1は、車両Cの片流れ現象を打ち消すように操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)を目標となる片流れ対応舵角値まで所要の舵角量だけ移動させる片流れ対応制御をオンすることにより、車両Cの片流れ現象が生じる状況下においても、運転者が操向ハンドルHを保舵する際の肉体的な負担を軽減して、平坦な直線路と同等の操舵負担を実現することができる。ここで、片流れ対応制御をオンするとは、片流れ対応制御を開始することを意味する。
本第1実施形態では、図3に示すように、乗算部125は、保舵支援電流値設定部122で設定され、ローパスフィルタ123で高周波成分除去処理がなされたベース電流値を、第1レシオ出力部124が出力する第1レシオに乗算する処理を行う。一方、乗算部128は、ダンパ電流値設定部126で設定されるダンパ電流値に対し、第2レシオ出力部127が出力する第2レシオを乗算する処理を行う。前記第2レシオが乗算後のダンパ電流値は、速い操舵操作に対しては大きい値をとる一方、力強い操舵操作(右左折や車線変更や回避行動など)に対しては小さい値をとる。次いで、加算部129は、第1レシオが乗算後のベース電流値に対し、乗算部128が出力するダンパ電流値を加算する処理を行う。
保舵支援制御部12は、カント路や横風などの外力(運転者の唐突な軽い力による操舵)の影響を受けたとしても、運転者による操向ハンドルHの保舵位置(中点舵角)がぶれないように支援する駆動電流を電動機3に供給する制御を行う。
保舵支援制御部12は、乗算部125で第1レシオが乗算された後、加算部129でダンパ電流値が加算されたベース電流値を、片流れ対応目標電流値として出力する。加算器16は、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、図3に示す保舵支援制御部12が出力する移動後の中点に基づく片流れ対応の目標電流値を加算する。前記加算後の目標電流値を受けて、図2に示す電動機駆動部17は、電動機3へ供給する実電流を生成する。
本第1実施形態の車両Cでは、前記EPS_ECU1は、前記片流れ対応制御をオンすると、カント路や横風が吹く状況においても、運転者の操作による操向ハンドルHの舵角からのぶれを、電動機3の力で抑制させる制御を行う。これにより、カント路の走行時における運転者の保舵による肉体的な負担が、平坦な直線路を走行するのと同等なレベルにまで軽減される。
ちなみに、EPS_ECU1が実行する片流れ対応制御は、運転者によるCCスイッチSWのオフ操作、又は、運転者によるアクセルペダル操作に基づくCCスイッチSWのオフ操作がされたときに終了する。なお、運転者が車線変更などにより操向ハンドルHを操舵したときは、中点移動キャンセル判定部1204の指示によって積算部1205における加算トルクを積算したトルク積算値がゼロにクリアされ、保舵支援電流値設定部122での中点の移動は行われなくなる。ただし、前記の操舵後もカント路が続き、運転者がそのカント路に対応した保舵を継続して行った場合、再度、片流れ対応制御がオンされて、車両Cの片流れ現象を打ち消すように、操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)の移動が行われる。
[CCスイッチオンオフとの連携動作を表すフローチャート]
次に、走行中の車両Cに搭載された、第1実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、図7Aを参照して説明する。
図7Aは、本第1実施形態でのCC処理と片流れ対応制御との連携を概略的に示すフローチャートである。
図7Aに示すステップS1において、EPS_ECU1は、FI_ECU2のCC処理部21がCC処理中フラグを出力しているか否かを調べることにより、CC処理中であるか否かを判定する。ここで、CC処理中フラグは、CCスイッチSWが運転者によりオン操作された場合に、FI_ECU2のCC処理部21から出力される情報である。
ステップS1の判定の結果、CC処理中である旨の判定が下された場合(ステップS1の“Yes”)、EPS_ECU1は、処理の流れを次のステップS2へと進ませる。
一方、ステップS1の判定の結果、CC処理中でない旨の判定が下された場合(ステップS1の“No”)、EPS_ECU1は、処理の流れをステップS3へとジャンプさせる。
ステップS2において、CC処理中である旨の判定を受けて、EPS_ECU1の保舵支援制御部12は、保舵支援制御(片流れ対応制御)をオンする制御を行う。これにより、EPS_ECU1の切替器14は、保舵支援制御部13が出力する片流れ対応目標電流値を選択するように、リミッタ15に送る信号の種別を切り替える。その結果、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値が、リミッタ15を介して加算器16に送られる。加算器16は、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応目標電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算すると共に、加算後の目標電流値を、電動機駆動部17に出力する。
保舵支援制御(片流れ対応制御)がオン状態にある旨の表示を、インスツルメントパネルに設けた表示器に表示する構成を採用してもよい。
なお、CC処理中である旨の判定が下されるのは、CCスイッチSWが運転者によりオン操作されている場合である。
一方、ステップS3において、CC処理中でない旨の判定を受けて、EPS_ECU1の保舵支援制御部12は、保舵支援制御(片流れ対応制御)をオフする制御を行う。これにより、EPS_ECU1の切替器14は、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値を選択するように、リミッタ15に送る信号の種別を切り替える。その結果、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値が、リミッタ15を介して加算器16に送られる。加算器16は、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算すると共に、加算後の目標電流値を、電動機駆動部17に出力する。
保舵支援制御(片流れ対応制御)がオフ状態にある旨の表示を、インスツルメントパネルに設けた表示器に表示する構成を採用してもよい。
なお、CC処理中でない旨の判定が下されるのは、運転者によりCCスイッチSWがオフ操作されているか、又は、運転者のブレーキ操作によってCCスイッチSWがオフ状態にある場合である。
また、本第1実施形態では、CC処理中フラグが出力されていなくても、図2〜図4に示されるように、原則として、積算部1205を含む各種機能部がはたらいているものとする。
[CCスイッチSWのオンオフ状態との連携動作を表すタイムチャート]
次に、走行中の車両Cに搭載された、第1実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、時系列を追って説明する。
図7B(a)は、CCスイッチ位置の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(b)は、操向ハンドルHに係る実舵角の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(c)は、時刻t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(d)は、時刻t2の時点での舵角ゼロを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。
まず、時刻t1において、CCスイッチSWはオン操作されておらず、オフ状態にある(図7B(a)参照)。同時刻t1において、操向ハンドルHに係る実舵角はゼロ位置(転舵輪WFが中立となる位置)にある(図7B(b)参照)。図7B(c)に示す片流れ対応舵角値では、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満の場合、その時の操向ハンドルHの操舵角が初期値に設定される。図7B(b)の例では、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満であるとする。この場合、片流れ対応舵角値は0となる。一方、図7B(d)に示す片流れ対応舵角値では、初期値がゼロに設定されている。この場合、片流れ対応舵角値は0となる。
時刻t1〜t2において、CCスイッチSWはオフ状態を維持している(図7B(a)参照)。同時刻t1〜t2において、操向ハンドルHに係る実舵角が漸増してきている。これは、車両Cがカント路に進入し、片流れをしはじめたことに対応して、運転者が操向ハンドルHを逆操作し続けていることに基づく。ただし、同時刻t1〜t2において、図7B(c)〜(d)に示す片流れ対応舵角値は、ゼロのままである。
時刻t2において、CCスイッチSWがオン操作され、オフ状態からオン状態に切替えられている(図7B(a)参照)。同時刻t2のタイミングで、CC処理部21は、CC処理中フラグを、保舵支援制御部12宛に出力する。これを受けて、保舵支援制御部12は、片流れ対応制御の準備を開始する。同時刻t2において、操向ハンドルHに係る実舵角はθである(図7B(b)参照)。ここで、時刻t2において、トルク積算値が、所定の閾値を超えたものとする。これにより、時刻t2において、片流れ対応制御を開始するための条件(CCスイッチSWがオン状態、かつ、トルク積算値が所定の閾値を超えた)を充足する。その結果、同時刻t2において、図7B(c)に示す片流れ対応舵角値はθとなる。一方、図7B(d)に示す片流れ対応舵角値はゼロとなる。
時刻t2以降において、CCスイッチSWは、オン状態を維持している(図7B(a)参照)。同時刻t2以降において、操向ハンドルHに係る実舵角が、引き続き漸増してきている。これは、同時刻t2以降において、車両Cがカント路を走行中であり、片流れ現象が継続していることに対応して、運転者が操向ハンドルHを逆操作し続けていることに基づく。同時刻t2以降において、操向ハンドルHに係る実舵角の漸増に対応して、図7B(c)〜(d)に示すように、片流れ対応舵角値が段階的に増加してきている。その結果、運転者による操向ハンドルHの保舵に要する労力を軽減することができる。この際に、運転者は、操向ハンドルHの舵角に係る中立位置が移動したように感じる。
仮に、車両Cの旋回走行中に片流れ対応制御が開始した場合に、操向ハンドルHに係る実舵角を、片流れ対応舵角値の初期値として設定すると、過大な片流れ対応舵角値が設定される結果として、運転者に違和感を与えてしまう。この点、片流れ対応舵角値の初期値として0degを設定すると、前記のような違和感を運転者に与えてしまうことはなくなる。
[旋回走行中の片流れ対応制御]
次に、車両Cの旋回走行中に、CCスイッチSWがオン操作された場合を考える。車両Cの旋回走行中では、操舵トルク及びヨーレートが大きく、かつ、トルク加算値も大きくなる。
仮に、図7B(a)〜(d)に示す時刻t2において、運転者がCCスイッチSWをオン操作したとする。すると、片流れ対応目標電流値を加味した目標電流値を用いて、電動機駆動部17が電動機3を駆動する。これにより、中点移動が行われる。
こうして中点移動が行われた状態で、車両Cの走行状態が旋回走行中から直進走行に移行すると、EPS_ECU1は、移動後の中点において、電動機3の駆動を抑制するように制御する。その結果、旋回走行中から直進走行に移行する立ち上がりの際に、セルフアライメントトルクの効きが悪くなる。そのため、操向ハンドルHの戻りが悪くなる傾向を生じる。
この点、本第1実施形態では、図4に示すように、中点移動キャンセル判定部1204は、ヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度(舵角速度)が所定の閾値を超えるかのうちいずれかを充足した場合に、中点の移動をキャンセルするためのキャンセル条件が成立したとみなして、中点の移動をキャンセルする旨のキャンセル信号を生成し積算部1205に出力する。これにより、積算部1205におけるトルク積算値はゼロにクリアされる。その結果、中点の移動が行われなくなる。
したがって、仮に、車両Cの旋回走行中に、片流れ対応制御を開始するための条件(CCスイッチSWがオン状態、かつ、トルク積算値が所定の閾値を超えた)を充足したとしても、ヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度(舵角速度)が所定の閾値を超えるかのうちいずれかを充足した場合には、中点の移動がキャンセルされるため、セルフアライメントトルクによる操向ハンドルHの戻りを大きく阻害することはない。
なお、車両Cが旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期において、ヨーレートが所定の閾値と比べて小さくなっても、中点移動キャンセル判定部1204は、所定の待機時間が経過するまでの間は、中点移動のキャンセル信号を積算部1205に出力し続ける。旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期では、操舵トルクの乱れなどがあるので、この際のトルク加算値を積算部1205のトルク積算値に反映しないようにする趣旨である。
(第1実施形態のまとめ)
本発明の第1実施形態に係る車両用操舵装置Sによれば、CCスイッチSWのオンオフ状態と連携して、従来の電動パワーステアリング装置では適切な走行支援を行うことが難しかったカント路走行時や横風走行時など、車両Cに片流れ現象を生じさせる外力が生じている状況でも、片流れ対応制御を用いた適切な保舵支援を行うことができる。その結果、運転者の肉体的な負担を大幅に軽減することができる。
本第1実施形態に係る車両用操舵装置Sでは、CCスイッチSWのオンオフ状態と連携して、CCスイッチSWがオン状態になった場合に、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて片流れ対応制御を有効にする構成を例示して説明したが、本第1実施形態に係る発明はこの例に限定されない。すなわち、片流れ対応制御を有効にするスイッチを別途設け、このスイッチがオンされた際に切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替える構成を採用してもよい。
ただし、片流れ対応制御を活用する場面と、クルーズコントロールを活用する場面とは、相互に類似している。そのため、本第1実施形態では、片流れ対応制御を有効にするスイッチを独立して設けず、CCスイッチSWと兼用することとした。これにより、部品点数の削減に寄与すると共に、運転者の操作を簡略化することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る車両用操舵装置について、図8A,図8Bを参照して説明する。
図8Aは、本発明の第2実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。図8Bは、第2実施形態に係る保舵支援電流値設定部に設定される舵角に対する電流値の関係情報を調整することで片流れ対応制御に係る制御量を増大させる例を表す説明図である。図8Bに示すグラフの横軸(舵角)のうち、+の値は右側への舵角、−の値は左側への舵角をそれぞれ表す。
図8Aに示す第2実施形態に係る車両用操舵装置は、図2に示す第1実施形態に係る車両用操舵装置に対応するものである。第1及び第2実施形態の両者間において、共通の部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
前記第1実施形態に係る車両用操舵装置Sでは、EPS_ECU1は、FI_ECU2のCC処理部21と連携動作する。すなわち、前記第1実施形態では、CCスイッチSWがオン状態の場合には、片流れ対応制御(保舵支援制御)を行う場面を生じる蓋然性が高く、大きい操舵のなされることがまれで、かつ、片流れ対応制御が運転者の快適性の支障になる場面を生じる蓋然性が低いとの想定のもと、CCスイッチSWのオン操作をトリガにして、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えることにより、片流れ対応制御を有効にしていた。
これに対し、本第2実施形態に係る車両用操舵装置では、EPS_ECU1は、車両Cを予め設定された目的地に至るまで経路案内するナビゲーションシステムの電子制御装置であるNAVI_ECU6と連携動作する。すなわち、本第2実施形態では、車両Cの現在位置が直進路上にある旨の判定をNAVI_ECU6が下した場合に、その旨の信号(直進路上フラグ)を出力して、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えさせる一方、車両Cの現在位置が直進路上にない旨の判定をNAVI_ECU6が下した場合に、その旨の信号(直進路外フラグ)を出力して、切替器14をゼロ電流値出力部13の側に切り替えさせるように動作する。
また、本第2実施形態に係る車両用操舵装置では、EPS_ECU1は、第1実施形態とは別の観点で、FI_ECU2のCC処理部21と連携動作している。すなわち、運転者によりCCスイッチSWがオン操作されている状況とは、運転者自らが操舵しようとする意思が低い状況といえる。かかる状況では、操向ハンドルHを握る力が弱まっている蓋然性が高い。そこで、第2実施形態では、保舵支援制御部12は、CC処理部21と連携し、CC処理部21が処理中(CC処理中フラグの受信あり)の際の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、CC処理部21が非処理中(CC処理中フラグの受信なし)の際の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させる構成を採用することとした。
実際に片流れ対応制御に係る制御量を増大させるに際しては、いくつかの実施例をあげることができる。
第1の実施例では、図8Bに示すように、図3に示す保舵支援電流値設定部122における舵角に対する電流値(ベース電流値;絶対値)の関係情報に係る特性を、実線で示す基準特性から破線で示す支援特性へとその応答性を鋭敏にするようにする。図8Bに示す特性では、中点舵角(舵角ゼロ)を挟んで左右に均等に延びる舵角範囲の電流値は、原点を通る線形な傾き特性を示し、前記を外れる舵角範囲の電流値は、所定値を呈する特性を示す。これは、基準特性及び支援特性ともに同じである。
第2の実施例では、図4に示す中点舵角移動量設定部1206で設定される片流れ対応舵角値に係る移動量を、初期設定に基づく片流れ対応舵角値(直前の値を含む)に係る移動量と比べて増大させるようにする。
第3の実施例では、図4に示す中点舵角移動量設定部1206で設定される中点移動判定閾値の値を、初期設定に基づく値(直前の値を含む)と比べて低く設定するようにする。
本第2実施形態に係る車両用操舵装置によれば、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、CC処理部21が処理中の場合の片流れ対応制御に係る制御量を、CC処理部21が非処理中の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させるため、仮に、片流れ対応制御を行っている最中にCC処理部21が処理中となった場合であっても、運転者による操向ハンドルHの保舵力不足を適時に補うことができる。CC処理部21が処理中の場合には、非処理中の際と比べて、運転者による操向ハンドルHの保舵力が弱くなりがちだからである。
なお、本第2実施形態の説明中、運転者による操向ハンドルHの保舵力が弱まっているか否かを、CC処理部21が処理中の場合と関連付けて検知する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。運転者が操向ハンドルHをしっかり把持しているか(手離しをしていないか)を検知する手離し検知センサ81(図8A参照)を設け、この手離し検知センサ81の手離し検知信号を保舵支援制御部12が参照して、運転者が操向ハンドルHから手離しをしている旨が検知された場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、操向ハンドルHがしっかり把持されている旨の検知がなされた場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させる構成を採用してもよい。
また、本第2実施形態では、CC処理部21が処理中か、又は、運転者が操向ハンドルHから手離ししているか、のうちいずれか一方若しくは両者を充足する場合に、前記を充足する場合の片流れ対応制御に係る制御量を、前記を充足しない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させる構成を採用してもよい。
次に、本第2実施形態の変形例について、図8Aを参照して説明する。
本第2実施形態の変形例では、例えば、車両Cがトンネルを抜け出した直後に強い横風を受けることで、車両Cに唐突な片流れ現象が生じるケースを想定している。
すなわち、本第2実施形態の変形例では、保舵支援制御部12は、車両Cがトンネルを抜け出した直後の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、初期設定に基づく片流れ対応制御に係る制御量(トンネルを抜け出す直前の制御量であってもよい)と比べて増大させる構成を採用することとした。
車両Cがトンネルを抜け出したか否かは、例えば、車載カメラから取得する画像データ、照度センサから取得する明暗データ、ヘッドライトの点滅を含む灯火状態データ、Web経由で取得する風力データを含む車両Cの周辺情報、又は、ナビゲーションシステムから取得する地図データのうち、1又は複数の組み合わせに係る情報を適宜用いて判断すればよい。
本第2実施形態の変形例によれば、車両Cがトンネルを抜け出した直後に強い横風を受けるような状況下で車両を直進走行させる際であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持することができる。
[第3実施形態]
前記第2実施形態では、例えば、運転者による操向ハンドルHの保舵力が弱まることに対応して、保舵力が弱まっている際の片流れ対応制御に係る制御量を、保舵力が弱まっていない際の片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大する例をあげて説明した。
これに対し、本第3実施形態では、前記第2実施形態とは逆に、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を減少させる実施形態について、図9A,図9Bを参照して説明する。
なお、片流れ対応制御に係る制御量を減少させるとは、片流れ対応制御を停止させる概念を含む。
図9Aは、本発明の第3実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。図9Bは、第3実施形態に係る保舵支援電流値設定部に設定される舵角に対する電流値の関係情報を調整することで片流れ対応制御に係る制御量を減少させる例を表す説明図である。図9Bに示すグラフの横軸(舵角)のうち、+の値は右側への舵角、−の値は左側への舵角をそれぞれ表す。
図9Aに示す第3実施形態に係る車両用操舵装置は、図2に示す第1実施形態に係る車両用操舵装置に対応するものである。第1及び第3実施形態の両者間において、共通の部材には共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
(低車速時や停車時)
低車速時や停車時では、車両Cはカント路の傾斜の影響を比較的受けづらい。そこで、第3実施形態に係る車両用操舵装置では、車輪速センサ44に基づく車速が、例えば、時速10キロなどの基準速度(適宜変更可能)以下の低車速時、又は、車速ゼロの停車時には、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、前記基準速度を超える車速時における片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)ようにする。
第3実施形態に係る車両用操舵装置によれば、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車速が所定の閾値未満の場合(低車速時や停車時)における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
実際に片流れ対応制御に係る制御量を減少させるに際しては、いくつかの実施例をあげることができる。
第4の実施例では、図9Bに示すように、図3に示す保舵支援電流値設定部122における舵角に対する電流値(ベース電流値;絶対値)の関係情報に係る特性を、実線で示す基準特性から破線で示す支援特性へとその応答性を鈍らせるようにする。図9Bに示す特性では、中点舵角(舵角ゼロ)を挟んで左右に均等に延びる舵角範囲の電流値は、原点を通る線形な傾き特性を示し、前記を外れる舵角範囲の電流値は、所定値を呈する特性を示す。これは、基準特性及び支援特性ともに同じである。
第5の実施例では、図4に示す中点舵角移動量設定部1206で設定される片流れ対応舵角値に係る移動量を、初期設定に基づく片流れ対応舵角値(直前の値を含む)に係る移動量と比べて低減させるようにする。
第6の実施例では、図4に示す中点舵角移動量設定部1206で設定される中点移動判定閾値の値を、直前の値(例えば初期値)と比べて高く設定するようにする。
また、片流れ対応制御を停止させるに際しては、例えば、切替器14をゼロ電流値出力部13の側に切り替えればよい。
(視界不良時;変形例1)
例えば、車両Cが視界不良環境(夜間や霧発生)を走行中の場合、運転者の目視による直進方向の見通しが悪化する。そのため、昼間や霧の発生していない視界良好時であれば、カント路に対応した目標舵角に操向ハンドルHの舵角を即座に適合させられるところ、視界不良時では、操向ハンドルHの操舵精度も悪化する。すると、視界不良時では、修正舵の頻度が増える。
修正舵が増えれば、片流れ対応制御による中点舵角の移動が頻繁に行われる。すると、運転者に対して違和感を与えるおそれがある。
そこで、第3実施形態の変形例1に係る車両用操舵装置は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、車両Cが視界不良環境を走行中の場合の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、車両Cが視界良好環境を走行中の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)ようにする。
第3実施形態の変形例1に係る車両用操舵装置によれば、車両Cが視界不良環境を走行中の場合であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持する効果を期待することができる。
なお、車両Cが視界不良環境(夜間や霧発生)を走行中か否かは、例えば、ヘッドライトやフォグライトを点滅するためのスイッチのオンオフ情報や、車両Cに搭載された時計の時刻情報などに基づいて適宜検出すればよい。
(右左折操作時;変形例2)
第3実施形態の変形例2に係る車両用操舵装置では、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、車両Cが右左折状態にある場合に、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、車両Cが直進状態にある場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)構成を採用してもよい。
第3実施形態の変形例2に係る車両用操舵装置によれば、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車両が右左折状態にある場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
なお、車両Cが右左折状態にあるか否かは、例えば、運転者が右左折時に操作するターンスイッチのターン状態データを参照すればよい。
(車両挙動安定化制御の実行時;変形例3)
第3実施形態の変形例3に係る車両用操舵装置は、車両の挙動を安定化させる車両挙動安定化制御を行う車両挙動安定化制御部をさらに備える。車両挙動安定化制御部としては、例えば、周知のABS(Anti Brake Lock System)やVSA(Vehicle Stability Assist;登録商標)の技術を適宜採用すればよい。
保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、車両挙動安定化制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車両挙動安定化制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)構成を採用してもよい。
第3実施形態の変形例3に係る車両用操舵装置によれば、保舵支援制御部12は、車両挙動安定化制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車両挙動安定化制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両Cの片流れ現象が生じる蓋然性の低い車両挙動安定化制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
(回避支援制御の実行時;変形例4)
第3実施形態の変形例4に係る車両用操舵装置は、車両Cの周囲に存する障害物に対する回避動作を支援する回避支援制御を行う回避支援制御部をさらに備える。回避支援制御部としては、例えば、特開2009−255629号公報に開示された接触回避支援装置の機能を適宜採用すればよい。
保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、回避支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、回避支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)構成を採用してもよい。
第3実施形態の変形例4に係る車両用操舵装置によれば、保舵支援制御部12は、回避支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、回避支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両Cの片流れ現象が生じる蓋然性の低い回避支援制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
なお、回避支援制御部では、衝突余裕時間(Time To Collision;TTC)に応じて片流れ対応制御に係る制御量を可変させる構成を採用してもよい。具体的には、例えば、回避支援制御部では、TTC=5秒のときよりも、TTC=2秒のときの方が、制御量(片流れ対応目標電流値)が小さくなるようにする。
(車線維持支援制御の実行時;変形例5)
第3実施形態の変形例5に係る車両用操舵装置は、車両Cの走行車線の維持を支援する車線維持支援制御を行う車線維持支援制御部をさらに備える。車線維持支援制御部としては、例えば、特開2007−83818公報に開示された運転支援装置の機能を適宜採用すればよい。
保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、車線維持支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車線維持支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる(片流れ対応制御それ自体を停止させる概念を含む)構成を採用してもよい。
第3実施形態の変形例5に係る車両用操舵装置によれば、保舵支援制御部12は、車線維持支援制御が行われている場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車線維持支援制御が行われていない場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両Cの片流れ現象が生じる蓋然性の低い車線維持支援制御が行われている場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。
(運転者の疲労時;変形例6)
運転者の疲労時にも、車両Cが視界不良環境(夜間や霧発生)を走行中の場合と同様に、運転者による修正舵の頻度が増える傾向がある。
修正舵が増えれば、片流れ対応制御による中点舵角の移動が頻繁に行われる。すると、運転者に対して違和感を与えるおそれがある。
そこで、第3実施形態の変形例6に係る車両用操舵装置は、前記第4〜第6の実施例を適宜用いて、運転者が疲労状態に陥っている場合の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応目標電流値)を、運転者が平常状態の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるようにする。
第3実施形態の変形例6に係る車両用操舵装置によれば、運転者が疲労状態に陥っている場合であっても、運転者に与える操舵感の快適性を保持する効果を期待することができる。
なお、運転者が疲労状態に陥っているか否かは、例えば、舵角センサ41の舵角データを時間微分した値や、操舵トルクセンサ42の操舵トルクデータを時間微分した値などに基づいて、操向ハンドルHのふらつき状態を診断すると共に、こうして診断した操向ハンドルHのふらつき状態を参照して適宜判定すればよい。
[第4実施形態]
前記第1〜第3実施形態に係る車両用操舵装置では、EPS_ECU1は、車両Cの片流れ現象を打ち消すように操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)を目標となる片流れ対応舵角値まで所要の量(舵角)だけ移動させる片流れ対応制御の内容を例示して説明した。
これに対し、本第4実施形態に係る車両用操舵装置では、前記第1〜第3実施形態に係る中点移動量に着目した車両用操舵装置の片流れ対応制御の内容に加えて、操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)を目標となる片流れ対応舵角値まで所要の量(舵角)だけ移動させる際の中点移動速度に着目した。この中点移動速度を、車速を含む車両Cの走行状態に応じて可変設定する。これにより、本第4実施形態に係る車両用操舵装置では、中点移動による操舵感の快適性及び操舵に係る安定性の確保を両立することができる。
本第4実施形態に係る車両用操舵装置について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係る車両用操舵装置のうち、中点舵角移動量設定部1206の内部及び周辺の構成を表すブロック図である。図11は、第4実施形態に係る車両用操舵装置の動作説明に供する図である。図12は、第4実施形態に係る車両用操舵装置の動作説明に供するフローチャートである。
中点舵角移動量設定部1206は、図10に示すように、移動量算出部91、移動速度算出部93、及び、中点舵角記憶部95を備えて構成されている。
移動量算出部91は、図4に示す積算部1205が出力したトルク積算値に基づいて、操向ハンドルHに係る中点舵角を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動量を算出する機能を有する。中点舵角の移動量を算出するに際し、トルク積算値に対する中点舵角の移動量を関係付けた関係情報を適宜参照すればよい。この関係情報は、基本的には、例えば、トルク積算値が大きくなるほど中点舵角の移動量が大きくなる特性に設定すればよい。ただし、トルク積算値が大きくなるにつれて、それに対応する中点舵角の移動量の特性として、その傾きを漸減するのが好ましい。
なお、トルク積算値に対する中点舵角の移動量を関係付けた関係情報を設定するに際しては、実車による実験やシミュレーションなどを通して適切な特性を設定すればよい。
移動速度算出部93は、車輪速センサ44の検出値に基づく車速に基づいて、操向ハンドルHに係る中点舵角を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動速度を算出する機能を有する。中点舵角の移動速度を算出するに際し、車速に対する出力利得G(中点舵角の移動速度に乗算される)を関係付けた関係情報を適宜参照すればよい。この関係情報は、例えば図11に示すように、車速がV0〜V1の低速領域では、出力利得G(図11の例ではG1)として、車速が高くなる当初では緩やかに上昇傾向を示すと共に、ある程度車速が高くなると急な立ち上がり傾向を示す特性に設定し、車速がV1〜V2の中速領域では、出力利得G(図11の例ではG2)として、緩やかな右肩上がりの線形な特性に設定し、車速がV2〜V3の高速領域では、出力利得G(図11の例ではG3)として、車速が高くなる当初で急な立ち下がりの後、車速が高くなるにつれて緩やかな下がり傾向を示す特性に設定される。中点舵角の移動速度を算出するに際しては、基準速度Varに対し、車速及び関係情報に基づいて得られる出力利得を乗算すればよい。
なお、車速に対する出力利得Gを関係付けた関係情報を設定するに際しては、実車による実験やシミュレーションなどを通して適切な特性を設定すればよい。
中点舵角記憶部95は、時々刻々と更新される中点舵角に関する情報(中点舵角の移動量及び移動速度の情報)を記憶する機能を有する。
(動作)
次に、第4実施形態に係る車両用操舵装置の動作について、操向ハンドルHに係る中点舵角の記憶更新タイミングに着目して、図12を参照して説明する。前提として、操向ハンドルHに係る中点舵角の記憶更新は、直進走行時などの予め定められたタイミングで適宜行われるものとする。
ステップS11において、EPS_ECU1は、片流れ対応制御を実行中か否かを判定する。ステップS11の判定の結果、片流れ対応制御を実行中である旨の判定が下された場合、EPS_ECU1は、処理の流れを次のステップS12へと進ませる。一方、ステップS11の判定の結果、片流れ対応制御を実行中でない旨の判定が下された場合、EPS_ECU1は、処理の流れをステップS11に戻して、以降の処理を行わせる。
ステップS12において、EPS_ECU1の保舵支援制御部12に含まれる中点舵角移動量設定部1206は、操向ハンドルHに係る中点舵角の記憶更新を禁止する。
(作用効果)
第4実施形態に係る車両用操舵装置では、操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)を目標となる片流れ対応舵角値まで所要の量(舵角)だけ移動させる際の中点移動速度に着目した。この中点移動速度を、車速を含む車両Cの走行状態に応じて可変設定することとした。
本第4実施形態に係る車両用操舵装置によれば、中点移動による操舵感の快適性及び操舵に係る安定性の確保を両立することができる。
また、第4実施形態に係る車両用操舵装置では、片流れ対応制御を実行中である旨の判定が下された場合、操向ハンドルHに係る中点舵角の記憶更新を禁止することとした。
本第4実施形態に係る車両用操舵装置によれば、片流れ対応制御が行われることで中点舵角(中点)が本来の位置からずれている場合に、中点舵角の記憶更新が禁止されるため、誤った中点舵角の記憶が行われる事態を未然に防止して、片流れ対応制御を高い精度をもって行わせることができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の第1実施形態に係る説明において、車両Cが直進走行中か否かを判定する部材として、中点移動キャンセル判定部1204を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。中点移動キャンセル判定部1204に代えて、ナビゲーションシステムを用いて、車両Cの現在位置が曲線路上や市街路上である場合に、キャンセル信号を積算部1205宛に出力する構成を採用してもよい。
また、本発明の第1〜第4実施形態に係る説明において、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値に基づいて、操向ハンドルHに係る中点舵角を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させる際の移動量を設定する例をあげて説明した。ここで、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値の大きさに応じて、又は、トルク加算値に係る移動平均値の大きさに応じて、それぞれの値が大きくなるほど、中点舵角に係る移動量を増大させるように構成してもよい。この場合において、車両挙動に乱れが生じた場合(ヨーレートや舵角が急変した場合など)には、トルク積算値をゼロクリアしたり、トルク加算値に係る移動平均値をゼロクリアしたりすることで、中点舵角に係る移動量の設定誤差を除くように構成すればよい。
また、本発明の第1〜第4実施形態に係る説明において、切替器14やゼロ電流値出力部13は必須の構成ではない。そのため、これらを省略して、第1〜第4実施形態に係る車両用操舵装置を構成してもよい。
また、本発明の第1〜第4実施形態に係る説明において、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えた場合に、所定の手順に従って中点舵角に係る移動量を設定する構成を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、トルク積算値に所定の係数を乗算することで取得したトルク積算値の大きさに応じた中点舵角に係る移動量を設定する態様を、本発明の技術的範囲に包含させてもよい。
また、本発明の第1〜第4実施形態に係る説明において、本発明を、内燃機関を備える車両Cに適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、電気自動車や燃料電池車などの、あらゆる種類の車両に適用可能である。ちなみに、本発明を電気自動車や燃料電池車に適用した場合において、クルーズコントロールは、例えば、走行モータ用インバータの駆動制御を行うことにより、定速走行を実現させればよい。
また、本発明の第1〜第4実施形態に係る説明において、クルーズコントロール処理部21を備えるFI_ECU2を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。前記クルーズコントロール処理部21に代えて、加減速に加えて制動も自動制御することで車間距離を一定に保つための処理を行うアダプティブクルーズコントロール(ACC)処理部を用いてもよい。
また、本発明の技術的思想は、例えば小型船舶において、潮流や横風によって船体が横方向に流されることで片流れ現象を生じる場合においても、その片流れの程度に応じて船舶の舵取り用操向ハンドルを運転者が保舵するような状況にも、同様に適用することができる。この場合、請求項に記載の車両の語を、船舶や乗り物に読み替えて適用すればよい。
1 EPS_ECU(制御装置)
11 EPS制御部
12 保舵支援制御部(片流れ対応制御部)
1205 積算部
1206 中点舵角移動量設定部(片流れ対応制御部)
3 電動機
21 クルーズコントロール処理部
41 舵角センサ(操舵角検出部)
42 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出部)
C 車両
S 車両用操舵装置
H 操向ハンドル

Claims (15)

  1. 車両の操舵系の操舵をアシストするためのアシストトルクを付与する電動機と、
    前記操舵系の操舵に要する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記操舵系に係る舵角を検出する舵角検出部と、
    前記車両が直進状態にあるか否かを検出する走行状態検出部と、
    前記車両が直進状態にある場合に、前記操舵トルク及び前記舵角を含む車両情報に基づいて前記電動機に係る駆動電力を制御することにより、前記操舵系に前記アシストトルクを付与する制御を行う制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する積算部と、
    前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、前記車両の片流れ現象を打ち消すように前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせる片流れ対応制御部と、
    を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記積算部は、前記車両が直進状態にある際の前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、当該トルク積算値に関係付けられた前記電動機に係る駆動電力の情報を取得し、当該取得した前記電動機に係る駆動電力の情報に対し、高周波成分を減らす処理を施し、当該処理後の前記電動機に係る駆動電力の情報を用いて、前記車両の片流れ現象を打ち消すように前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を行わせる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記トルク積算値、及び、前記トルク積算値の変化に対する前記電動機に係る駆動電力が関係付けられた関係情報に基づいて、前記車両の片流れ現象を打ち消すための前記電動機に係る駆動電力の片流れ対応制御を、前記操舵系の中点を目標となる片流れ対応舵角値まで移動させることによって行わせる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 請求項4記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応舵角値の初期値は、予め定められる所定値に設定される
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 請求項5記載の車両用操舵装置であって、
    前記舵角検出部は、前記操舵系のうち操向ハンドルの舵角を検出する機能を有し、
    前記所定値は、前記片流れ対応制御部が前記片流れ対応制御を開始する時点で前記舵角検出部が検出する前記操向ハンドルの舵角値に設定される
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  7. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール処理部が処理中の場合に、前記片流れ対応制御を行わせる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  8. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール処理部が処理中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記クルーズコントロール処理部が非処理中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  9. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記操舵トルクの値が所定の閾値未満の場合に、前記操舵系のうち操向ハンドルの拘束が解かれた状態にあるとみなして、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記操舵トルクの値が前記所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて増大させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  10. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記車両が視界不良環境を走行中か否かを検出する走行環境検出部をさらに備え、
    前記片流れ対応制御部は、前記車両が視界不良環境を走行中の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両が視界良好環境を走行中の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  11. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    車速を検出する車速検出部をさらに備え、
    前記片流れ対応制御部は、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車速が所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  12. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記片流れ対応制御部は、前記車両が右左折状態にある場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両が直進状態にある場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  13. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記車両の挙動を安定化させる車両挙動安定化制御を行う車両挙動安定化制御部をさらに備え、
    前記片流れ対応制御部は、前記車両挙動安定化制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車両挙動安定化制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  14. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記車両の周囲に存する障害物に対する回避動作を支援する回避支援制御を行う回避支援制御部をさらに備え、
    前記片流れ対応制御部は、前記回避支援制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記回避支援制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
  15. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記車両の走行車線の維持を支援する車線維持支援制御を行う車線維持支援制御部をさらに備え、
    前記片流れ対応制御部は、前記車線維持支援制御が行われている場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車線維持支援制御が行われていない場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる
    ことを特徴とする車両用操舵装置。
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