JP2015030464A - 包装材料 - Google Patents
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Abstract
Description
より詳細には、内容物中の有機化合物の吸着量が低減されることから、内容物の品質保持に優れ、且つ、ヒートシール性に優れたシーラント層を有する包装材料、及びそれよりなる紙容器であって、特に液体用紙容器に関する。
LDPEは、ヒートシールにより高い密着強度を達成することができるが、有機化合物成分を吸着し易いことが知られている。したがって、LDPEからなるシーラント層を最内層、すなわち内容物と接する層として有する紙容器は、内容物中に含まれる有機化合物成分を吸着して、内容物を変質または劣化させ易い。
また、ガスバリア性を付与するため、例えば、LDPE上にアルミニウム箔等を設けると両層間に層間剥離(デラミネーション)が生じ、実用に耐えることができない。
更に、そのような高温でヒートシールすると、MDPEが酸化し、酸化臭が発生する為、MDPEからなるシーラント層を最内層として有する紙容器は、内容物中に樹脂の酸化臭が移行し易いといった欠点を有する。
ことを特徴とする包装材料、及びそれよりなる紙容器、特に液体用紙容器が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
2.シーラント層は、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる2層の層であり、該2層は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂との混合比率が異なることを特徴とする上記1に記載の包装材料。
3.シーラント層は、中間層側に配置された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層、及び該第一の層とは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂との混合比率の異なる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第二の層を、この順に設けた3層からなる層であることを特徴とする上記1に記載の包装材料。
4.シーラント層は、第二の層が無機系フィラーを含有していることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の包装材料。
5.紙基材層がさらにバリア層を有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の包装材料。
6.バリア層が、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム及びポリアクリロニトリル系樹脂フィルムからなる群より選択される少なくとも1種からなる層であることを特徴とする上記5に記載の包装材料。
7.上記1〜6のいずれかに記載の包装材料を、シーラント層が最内層となるように製函してなる液体用紙容器。
したがって、本発明の包装材料のシーラント層は、製膜が容易であり、均質で、良好な透明性を有する美麗な層を形成することができる。また、インフレーション法による高速製膜時にも、ゲル塊の発生を抑えることができる。
を付与している。したがって、このような構造を有する本発明の包装材料は、内容物中の成分を吸着しにくく、すなわち非吸着性に優れている。
そして、本発明の包装材料は、特に揮発成分(l−メントール、カンフル等)に対する非吸着性が優れている。
また、本発明の包装材料を形成するシーラント層は、良好なヒートシール性を示し、幅広いシール温度範囲でヒートシールが可能である。そのため、一般的なLDPEシーラントと同程度の低温でのヒートシール時にも、製函に際して十分なシール強度を発揮する。したがって、加工が容易であり、樹脂酸化臭等の発生が少ない。
また、最内層を環状ポリオレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とのブレンド層とすることで、表面とのシール性、密着性、非吸着性を両立し確保できる。また、内面同士のシール性も良好となる。
すなわち、内容物中の有機化合物成分の吸着が進行すると、吸着した成分が最内層とこれに隣接する層との間にたまり、カット性低下やデラミネーション等の問題が生じるが、本発明においてはこれを防止することができる。
したがって、本発明の包装材料は、優れた非吸着性及びヒートシール性を維持したまま、簡便かつ低コストで製造することができ、さらに残留溶剤の懸念がない。そのため、内容物の賞味期限を大幅に向上することができる。
また中間層は、接着層として機能するだけでなく、製函時のヒートシールにより溶融し、紙容器の段差部に生じる空隙を埋めて安定した密封性に寄与し、紙容器への液体の充填を可能にする。
したがって、本発明の包装材料は、紙容器、特に内容物の品質保持性が要求される液体用紙容器を形成するのに好適なものである。
1.本発明の包装材料を形成する積層体の層構成
図1〜2に示されるように、本発明の包装材料は、紙基材層1と、シーラント層とを、中間層2を介して積層した構成を基本とする。ここで、シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層3と、これに無機系フィラーを添加した第一の層とは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂の配合割合の異なる第二の層4とを有する。
本発明の包装材料の別の態様として、図2に示されるように、シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層8、環状ポリオレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる第一の層3、環状ポリオレフィン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、無機系フィラーからなる第二の層4をこの順に設けた3層からなる層である。
また、本発明においては、中間層2、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層8及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一及び第二の層の4層を、4層共押出により形成することもできる。
本発明の包装材料はまた、紙容器の最外層となる表面保護層として、任意のポリエチレン樹脂(PE)からなる層を、シーラント層と反対側の表面に有してもよい。表面保護層は、包装材料の表面に、溶融PE樹脂を押出コーティングすることによって、またはPEフィルムを任意の方法によりラミネートすることによって積層することができる。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本発明において、密度はJIS K7112に準拠している。
本発明の紙基材層を構成する紙基材としては、適用する紙容器の用途に応じて、種々の賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有する任意の紙を使用することができる。例えば、主強度材であり、強サイズ性の晒または未晒の紙、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙を使用することができる。
紙基材層は、これらの紙を複数層重ねてラミネートしたものであってもよい。紙基材層は、坪量80〜600g/m2、好ましくは坪量100〜450g/m2であり、厚さ110〜860μm、好ましくは140〜640μmの範囲である。これより薄いと、容器としての強度が不足し、またこれより厚いと、剛性が高くなりすぎて、加工が困難になり得る。
紙または紙を主成分とする材料を使用する場合には、JIS P8116による被き裂き強さが、15〜70gf、好ましくは20〜50gfであることが好ましい。このような紙基材としては、純白ロール紙、コート紙、クラフト紙等を使用することができる。
基材としては、フィルムや紙等、ガスバリア層として酸化珪素や酸化アルミニウム等のセラミックを蒸着したものや、アルミニウム箔を積層したものが使用でき、その表面にグラビア印刷法等により絵柄や文字等の印刷インキ層を形成するものでもよい。
本発明において、中間層は、ポリエチレン樹脂(PE)、例えばLDPE層が望ましい。
この中間層は、紙基材層またはバリア層を有する紙基材層とシーラント層との間に位置してこれらを接着すると共に、製函時のヒートシールにより溶融して、層間の接着強度を高め、さらに紙容器の段差部に生じる空隙を埋めて、容器の密封性を高める。
本発明の中間層を形成するPEとしては、任意のポリエチレンを使用することができるが、空隙を埋めるのに好適な溶融粘度(流動性)を示し、且つ製膜適性及び加工適性を有することから、密度0.910〜0.925g/cm3、メルトフローレート(MFR)1〜10g/10分(190℃)の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を特に好ましく使用することができる。
中間層の厚さは、5〜50μm、好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは5〜15μmである。これより薄いと、十分な接着強度が得られず、また、紙容器の密封性が損なわれる恐れがある。逆に、これより厚いと、低温シール性が劣り、好ましくない。
本発明のシーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする。そしてこの環状ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層が、本発明の包装材料の最表層、すなわち紙容器の最内層となるため、優れた非吸着性を示すことができる。
本発明の一態様において、シーラント層は、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる2層の層であり、該2層は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂との混合比率が異なる。
そして、このシーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層が中間層側に配置され、該第一の層上に設けられた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第二の層が無機系フィラーを含有している。
第一の層は、主に、有機化合物成分に対する非吸着性を確保するための層である。そのため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層の混合比率は、環状ポリオレフィン系樹脂の比率が高くなっている。
第一の層における環状ポリオレフィン系樹脂の比率は、90〜99質量%、望ましくは、95〜98質量%程度、また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の比率は、1〜10質量%、望ましくは、2〜5質量%程度である。環状ポリオレフィン系樹脂の比率がこれより大きいと加工性が悪くなり適さない。また、これより小さいと、充分な非吸着性を確保することができない。
そして、第一の層の厚さは3〜10μm程度である。厚さがこれより大きいと、これにより構成されるフィルムが硬くなり皺を生じる恐れがある。
第二の層は、主に、シール性を確保するための層である。そのため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第二の層の混合比率は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の比率がやや高めとなっている。
また、第一の層のみで製膜すると均一な層が形成できにくいが、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の比率が高めとなっている第二の層と一緒に共押出することにより、平滑な製膜が可能となる。
第二の層における環状ポリオレフィン系樹脂の比率は、30〜50質量%、望ましくは、35〜45質量%程度、また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の比率は、45〜65質量%、望ましくは、55〜60質量%程度である。
さらに、第二の層は、加工をする際の滑り性を改善するために無機系フィラーを含有していてもよい。これは内容物が液体の場合は、加工時に滑剤等を吹き付けることができない点を考慮したものである。
そして、第二の層の厚さは緊密なシール性を考慮して5〜15μm程度である。この層が厚過ぎると、無機系フィラーの絶対量が多くなり、シール性・官能等に悪影響を与えると同時に、コストアップとなる為、好ましくない。更に、薄過ぎると無機系フィラーの効果が得られにくくなり、滑り性が劣るため好ましくなく、また、充分なシール強度も確保
できない。
当該構成において、シーラント層の総厚及び各層の厚さは、適用する紙容器の用途に応じて適宜に設定することができるが、製函に必要なシール強度を得るために、また安定した製膜化、非吸着性及び製品コストの観点から、例えば、総厚は5〜30μm、より好ましくは10〜20μmであり、これより厚いと紙容器の剛度が高くなり成形不良を引起し、またこれより薄いと十分な接着強度が得られず、また、紙容器の密封性が損なわれる恐れがある。
第一の層の層厚が厚い程、非吸着性が高まるが、厚過ぎると、十分な接着強度が得られず、紙容器の密封性が損なわれる恐れがあるので好ましくない。
また、第二の層の層厚が薄過ぎると、十分な接着強度が得られず、紙容器の密封性が損なわれる恐れがあるので好ましくない。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層は、シーラント層全体の均一な塗布性と、第一の層と中間層の密着性を向上するために設けられたもので、その層の厚さは、5〜25μm、より好ましくは10〜20μmである。
当該構成において、シーラント層の総厚及び各層の厚さは、適用する紙容器の用途に応じて適宜に設定することができるが、製函に必要なシール強度を得るために、また安定した製膜化、非吸着性及び製品コストの観点から、例えば、総厚は15〜60μm、より好ましくは20〜40μmであり、これより厚いと紙容器の剛度が高くなり成形不良を引起し、またこれより薄いと十分な接着強度が得られず、また、紙容器の密封性が損なわれる恐れがある。
さらに、シーラント層と中間層を合わせた総厚は、20〜80μm、より好ましくは30〜50μm程度である。
本発明のシーラント層に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、密度0.900〜0.940g/cm3の直鎖状ポリエチレンであって、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒またはチーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト系触媒を用いて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを低温、低圧で共重合させて得られるコポリマーである。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
また、共重合方法としては、エチレン及びα−オレフィンを、低圧法、スラリー法、溶液法、気相法等の重合方法が挙げられる。
0.1〜10モル%である。本発明では、構造均一性に優れる点で、メタロセン触媒で調製された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を好適に使用することができる。
本発明において使用するのに好適な直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、宇部丸善ポリエチレン株式会社製、ユメリット0520Fや、住友化学株式会社製の「スミカセン(R)」等が挙げられる。
さらに、上記のような直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とし、これに、必要ならば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を添加してもよい。
本発明において用いられる環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンをメタセシス開環重合反応によって重合した開環メタセシス重合体(COP)、及び、環状オレフィンとα−オレフィン(鎖状オレフィン)との共重合体、すなわち環状オレフィンコポリマー(環状ポリオレフィン系樹脂)を包含する。
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合及びビシクロ環を有する任意の環状炭化水素を使用することができるが、特にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)骨格を有するものが好ましい。
その誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン及びその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12.5 .19.12.08.13]−3−ヘキサデセン及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。環状オレフィンは、置換基として、エステル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基等の極性基を有していてもよい。
また、環状オレフィンコポリマーの製造は、25〜45モル%のα−オレフィンと、55〜75モル%の環状オレフィンとを、メタロセン触媒等のシングルサイト系触媒やマルチサイト系触媒を用いてランダム重合させることによりなされる。
また、さらに必要ならば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を添加してもよい。
本発明において、好適に使用できる無機系フィラーとしては、SiO2、AL2O3、TiO2、ZnO、Fe2O3、SnO2、CeO2、NiO、PbO、S2Cl2、ZnCl2、FeCl2、CaCO3、B2O3等からなり、平均粒径が2〜15μmのフィラーを使用することができ、好ましくは、酸化珪素SiO2のフィラーが用いられる。無機系フィラーの平均粒径が2μm未満の場合は滑り性の改良に効果がなく、また、前記平均粒径が15μmを超えると、製膜フィルムの表面に突出する無機系フィラーにより容器表面を摩擦し、傷つけることがある。なお、本発明において、平均粒径とは、粒度分布測定より、最も多く存在する粒子の粒径を意味する。粒度分布は、コールターカウンター法により計測できる。
本発明の一態様において、シーラント層は、シーラントフィルムからなる層である。この場合、シーラント層は、中間層を介してサンドイッチラミネート法により、紙基材層またはバリア層とラミネートされる。
本発明において、シーラントフィルムは、好ましくは、各層を構成する樹脂及び樹脂組成物を用いて、共押出法によって製膜される。共押出法により製膜することにより、高い層間密着性及び良好な製膜安定性が得られ、非吸着性及びヒートシール性が一層向上され、また美麗な膜が得られる。また本発明において、シーラントフィルムは、特に好ましくは、共押出インフレーション法により製膜される。共押出インフレーション法により製膜することにより、低温にて製膜加工が可能であり、加熱による樹脂臭によるトラブルが減少し、また層間密着性が一層向上する。
本発明においては、中間層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一及び第二の層の3層を、3層共押出により形成することができる。また、中間層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一及び第二の層の4層を、4層共押出により形成することもできる。
本発明の別の態様において、シーラント層は、中間層と共に、紙基材層またはバリア層上に共押出コーティングすることにより積層される層である。中間層を構成するPE等と、シーラント層中の各層を構成する樹脂とを用いて、これらを基材上に一緒に共押出コーティングすることにより、高い層間密着性及び良好な製膜安定性が得られ、非吸着性及びヒートシール性が一層向上され、また美麗な膜が得られる。
本発明の包装材料において、紙基材とドライラミネート用接着剤層との間に、必要に応じて、ガスバリア性を有するバリア層を設けることができる。これにより、外部への内容物のにおい漏れや、外部からの酸素及び水蒸気ガスの浸入を抑え、内容物の変質を防ぐことができる。
このようなバリア層としては、適用する紙容器の用途に応じて任意のガスバリア性フィルムを使用することができる。
例えば、ガスバリア性フィルムとして、アルミニウム箔等の金属箔、または金属箔とプラスチックフィルムとの積層フィルムを用いることができ、この場合には、優れたガスバリア性が得られ、また遮光性を有することとなる。好適に使用される金属箔、または金属箔とプラスチックフィルムとの積層フィルムの厚さは、6〜30μm程度である。
ムからなる場合は、加工時の取り扱い等の観点から、蒸着膜の側が紙基材層と接するように積層することが好ましい。
また、バリア層は、上記の各種ガスバリア性フィルムの中から2種以上を選択して用いてもよい。
本発明の包装材料がバリア層を有する場合、バリア層と紙基材とは、製造コスト及び要求される耐内容物性等を考慮して、熱可塑性樹脂を介するサンドイッチラミネート法や、ドライラミネート用接着剤を介するドライラミネート法等の任意の方法により積層することができる。
この際に、紙基材層の表面には、コロナ処理、火炎処理、アンカーコート処理等の表面処理を行ってもよく、またバリア層の表面にはインラインでコロナ処理、オゾン処理等を行ってもよい。サンドイッチラミネートに用いられる熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し、相互に融着し得る任意の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を使用することができ、例えば、LDPE、MDPE、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体等を使用することができる。
その際の該アンカーコート層は、不飽和カルボン酸又はその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリア層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成することができる。
本発明の包装材料は、製函時に最外層となる表面保護層として、任意のポリエチレン樹脂(PE)からなる層を、シーラント層と反対側の表面に有してもよい。
表面保護層は、紙基材層の外部を保護すると共に、包装材料の端の部分においては、シーラント層と加熱により貼り合わせられる。ポリエチレンとしては、LDPE、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、MDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)等が用いられ、特に限定されないが、本発明の包装材料のシーラント層とのシール性及び加工適性の観点から、LDPE及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
表面保護層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、紙基材層の一方の面に溶融ポリエチレン樹脂を押出コーティングすることにより形成される。表面保護層は、容器の表面となる層であるが、さらに表面に印刷層を設けることができ、印刷層に用いられる印刷インキの密着性の向上を図るために表面に例えばコロナ処理等の表面処理を施すこともできる。表面保護層の厚さは、特に限定されないが、通常、10〜60μm程度である。
本発明においては、紙基材層、バリア層、該バリア層上に隣接して積層されたアンカーコート層、該アンカーコート層上に隣接して積層された中間層、及び該中間層上に隣接して積層されたシーラント層を有する構成とすることができる。
その際の該アンカーコート層は、不飽和カルボン酸又はその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まない
ように形成された水性分散液を、前記バリア層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成することができる。
本発明の包装材料は、紙容器、特に内容物の品質保持性が要求される紙容器を形成するために、好適に使用することができる。
本発明の包装材料からの紙容器の製造は、通常、次のようにして行われる。すなわち、本発明の包装材料の表面に、必要に応じて印刷を行った後、打ち抜き、端面をスカイブ・ヘミングして内容物が端面に接触しないようにし、充填機内でボトム部及びトップ部を熱風加熱、火炎加熱等によりヒートシールして紙容器とする。
この紙容器の形状については、用途・目的等に応じて適宜に決定すればよく、例えばゲーブルトップタイプ、ブリックタイプ、フラットタイプ等が挙げられ、また、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等が挙げられる。この紙容器の注出口には、たとえばポリエチレン製のキャップ、プルタブ型の開封機構等を適宜に設けてもよい。
紙容器の内容物も、特に限定されず、固体またはゲル状のものであっても、液体、例えば酒、果汁飲料等のジュース、ミネラルウォーター等の各種の飲料品、醤油、ソース、スープ等の液体調味料、あるいは、カレー、シチュー、スープ等の種々の液体飲食物、食用油、機械用油、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他シャンプー、リンス、洗剤等の化成品等であってもよい。
(1)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、ユメリット
0520F)をベースレジンとして、これにシリカ(平均粒径4.9μm)を全体の10質量%となる量で添加し、無機系フィラー含有マスターバッチを作成した。該マスターバッチ30質量%、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、ユメリット 0520F)30質量%及び環状ポリオレフィン系樹脂(ポリプラスチック(株)社製 TOPAS 8007F−500)質量40%をブレンドして、上記第二の層を調製した。
得られたシーラントフィルムは、ゲル塊のない、美麗な膜表面を有していた。なお、本願明細書の積層体の記載において、「/」はその左右の層が積層一体化されていることを示す。
mのLDPEを押出コーティング法により積層した。また、板紙の他方の表面を、上記(3)で作製したガスバリア性フィルムのPETの面と対向させ、その間に厚さ20μmのエチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体(接着樹脂層)を押出してサンドイッチラミネートし、表面保護層/紙基材層/接着樹脂層/バリア層(PETフィルム/ドライラミネート用接着剤層/アルミニウム箔)からなるラミネートフィルムを作製した。
第一の層の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層を使用した以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
第二の層の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層を使用した以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
第一及び第二の層の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
第二の層の代わりに、第一の層を使用した以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
第二の層を、マスターバッチ30質量%、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂60質量%及び上記の環状ポリオレフィン系樹脂(ポリプラスチック(株)社製 TOPAS 8007F−500)10質量%ブレンドとした以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
第二の層を、マスターバッチ30質量%、上記の環状ポリオレフィン系樹脂(ポリプラスチック(株)社製 TOPAS 8007F−500)70質量%ブレンドとした以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
実施例1及び比較例1〜6の包装材料を用いて、130mm×170mmの袋状紙容器を作成し、メントール濃度が5μg/mlとなるように調製したメントール−エタノール溶液を充填した。
50℃の雰囲気下で2週間保存した後、溶液中のメントール含有量をGC/MS法(Gas chromatography-mass spectrometry)により測定した。測定値と保存前のメントール含有量との差から、紙容器の内壁1cm2当たりのメントール吸着量を求めた。
実施例1の包装材料からなる紙容器では、メントールの吸着量は低い値に抑えられていた。
これに対し、比較例1の包装材料からなる紙容器は、多量のメントールを吸着していた。
実施例1及び比較例1〜6の包装材料を用いて、その表面保護層の面にオフセット印刷法により所望の絵柄・表示等の印刷を行った後、所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランクシートとした。
次いで、フレームシール法により胴部を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機(株式会社ディー・エヌ・ケー製、DR−10)に供給した。充填機のホットエアーによりボトム部をヒートシールし、次いで内容物(濃度5μg/mlメントール水溶液)を充填し、最後にトップ部をヒートシールして、ゲーブルトップタイプの紙容器(1リットル容量)を作製した。50℃×1ヶ月保存前後の胴部シール強度を測定した。
メントール吸着性試験結果、及びヒートシール性試験結果を以下の表1に示す。
比較例1:メントール吸着量が多くなる。
比較例2:環状ポリオレフィンと直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との接着が弱いため保存後のシール強度が弱くなる。
比較例3:メントール吸着量が多くなる。
比較例4:シール強度が弱いため紙容器として使用することは難しい。
比較例5:環状ポリオレフィンと直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との接着が弱いため保存後のシール強度が弱くなる。
比較例6:シール強度が弱いため紙容器として使用することは難しい。
2.中間層
3.直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層
4.直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第二の層
5.表面保護層
6.接着樹脂層
7.バリア層
8.直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層
Claims (7)
- 少なくとも、紙基材層、中間層、及び該中間層上に隣接して積層されたシーラント層を有する包装材料であって、該シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂とからなる層であることを特徴とする、上記包装材料。
- 前記シーラント層は、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる2層の層であり、該2層は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂との混合比率が異なることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料。
- 前記シーラント層は、中間層側に配置された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第一の層、及び該第一の層とは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂との混合比率の異なる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる第二の層を、この順に設けた3層からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料。
- 前記シーラント層は、前記第二の層が無機系フィラーを含有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装材料。
- 前記紙基材層がさらにバリア層を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装材料。
- 前記バリア層が、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム及びポリアクリロニトリル系樹脂フィルムからなる群より選択される少なくとも1種からなる層であることを特徴とする、請求項5に記載の包装材料。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装材料を、シーラント層が最内層となるように製函してなる液体用紙容器。
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